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高橋 清・川崎 敏・古川博恭 (昭和44年9月1日受理)

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49

有明海域の第四系の花粉層序学的研究

高橋 清・川崎 敏・古川博恭

(昭和44年9月1日受理)

Palynostratigraphic study of the Quaternary formations of the Ariake Sea area

Kiyoshi TAKAHASHI, Satoshi KAWASAKI, and Hiroyasu FURUKAWA

Abstract

1) The Quaternary formations of the Ariake Sea area are divided into five formations, that is, the lowest, lower, middle, upper, and pumice-tuff formations (see table 1).

2) These formations, excepting the pumice-tuff formation, are zoned by the differences of the pollen-spore assemblages. Palynostratigraphic classification is as follows.

The upper formation represents the A-type pollen group consisting mainly of Pinus, Gleicheniaceae, Tsuga, Ilex, Fagus, Picea, Polypodiaceae etc. The middle formation contains many pollen grains of Taxodiaceae (Metasequoia predominant), Alnus, Picea etc. which are the main members of the B-type pollen group. The lower formation representing the C-type pollen group, contains predominant pollen grains of Quercus, Castanea, Chenopodiaceae, Pinus etc. The lowest formation consists mainly of Fagus Pinus, Quercus, Zelkova or Ulmus etc. This assemblage is named the D-type pollen group and represents probably the lower Fagus zone in this area.

3) The pollen-spore assemblage obtained from the Kuriya-gawa (Kuriya river) clay bed consists predominantly of spore and pollen grains of Pinus, Ilex, and Gleicheniaceae, and next of Fagus, Quercus, Polypodiaceae, Tsuga, Picea, Zelkova or Ulmus etc. This has the same characteristics as the A-type pollen group.

4) In the Tatsuishi district, the humus mud bed (sample: Hikimuta nos. 4 and 5)

contains the microflora of Taxodiaceae (Metasequoia predominant), Alnus, Picea etc.

*日本地質学会第75年秋季学術大会(19占8,9,27‑29,東海大学)において講演したものに新し い資料を加えた。

**長崎大学教養部地学教室

***北海道開発局農林水産部

****東海農政局計画部資源課

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高橋清・川崎敏・古川博恭

and shows the characteristics of the B-type pollen group. This bed is undoubtedly correlated with the middle formation.

The sample Hikimuta no. 2, bluish gray silt, is composed of the main pollen grains of Alnus and Taxodiaceae, which are very similar to the characteristics of the B-type pollen group.

The sample Hikimuta no. 1, humus mud, shows the high appearance percentage of

Fagus, and this assemblage is similar to the characteristics of the D-type pollen group.

The sample from the upper part of the Kita-Arima formation at Kitadani, dark

greenish gray fine sand, contains predominantly pollen grains of Quercus, Castanea, Fagus, Pinus etc. This assemblage resembles the C-type pollen group, but this asse- mblage may possibly belong to a lower horizon than the Fagus zone of the D-type pollen group.

5) In the pollen-spore assemblage from the Nagasu Formation, Fagus and Pinus show the most predominant appearance and Picea, Tsuga, Quercus, Castanea, Ilex, Gleicheniaceae, Zelkova or Ulmus etc. are next. This assemblage can be compared with the D-type pollen group. However, as a possible correlation, this may be the same Fagus zone as the upper Fagus subzone of the Osaka Group. This problem of correlation has to be solved in the near future.

I まえがき

さきに筆者ら(19る8)は島原半島北端の長崎県南高来郡国見町東里の沖合の有明海々底ボ‑

リングコアによる第四系の岩相区分と火山噴出物に挟まれるシルト‑粘土層から検出した花粉

・胞子の検討を行った。その結果,花粉群集の特微により第四系を上部から下部にA型花粉 群, B型花粉群, C型花粉群の5つに区分した。

今回は上記のものよりさらに沖合のA, B, C各列の6番から12番までの21本のボ‑リング コアから65個の試料を採集し, 22試料から検出した花粉・胞子について記述する。陸上部のも のについては国見町・有明町の境界を流れる栗谷川の島原鉄道鉄橋附近で得られた粘土から検 出した花粉・胞子群ならびに半島南部の南高来郡西有家町引無田,北有馬村北谷などから竜石 屑および北有馬層の試料を採集し,検出した花粉・胞子群の特徴について述べる。この研究に より島原半島および有明海々底の第四系の花粉による分帯が確立されることになる。また熊本 県北西部の長洲町附近における長洲層から検出した花粉・胞子を比較検討し,長洲層の層位学 的位置について言及し,今後の問題点を指摘する。

本研究において川崎・古川は地質・岩相区分を主として担当し,高橋は花粉分析,花粉層位 学的検討を行った。また総括は高橋・川崎が当った。

本研究を行うに当り,御支援をいたゞき,またこゝろよく発表をお許し下さった九州農政局

(3)

有明海城の第四系の花粉層序学的研究

51

長崎干拓事務所茶谷所長,重石次長に惇くお礼を申し上げる。同事務所の方々には色々の面で 机援助をいたゞいた。長崎大学教養部地学教室溝上芳則氏には図の浄書をしていたゞいた。あ わせて感謝の意を表する。

Ⅱ試験採集位置および若相 A:有明海々底

有明海々底第四系については,さきの筆者ら(19占8)の論文に示したA, B, C各列の1番

〜5番よりさらに沖合の6番から12番までのボ‑リングコアを研究の対象とした。 A, B, C 各列の間隔は50.nで,各列とも5番と6番の間隔は85.46T.で, 6番‑12番間の各々のボ‑

リング間隔はdOTLである。

第1図有明海々底ボーリング位置および有明海周辺第四系試料採集地点

A:有明海々底ボ‑リング地域B :究谷川地区C:電石地区D:長洲地区

A列中7番を除いた6本のボ‑リングコアから主にシルト〜粘土の試料を22個採集し,その

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高橋清・川崎敏・古川博恭

うち8試料から十分な花粉個体数を検出出来た(採集・検出試料の層準は第2‑4図参照)。

B列では8番を除いた6本のコアからシルト〜粘土の試料27個を採集し, 12試料から十分な 花粉を検出した。

C列では11番を除いた5本のコアから16試料を採集し,うち2試料のみから花粉を検出 出来た。

岩層による層序区分は,さきに筆者ら(19占8)によって示した通りであるが,さらに細分す れば第1表の通りである。

第1表有明海々底第四系の地質・層序および花粉分帯

地 質 . 層 序 ‑ 】

1 A

層 厚

m

‑ 】 花 粉 に よ る分 帯

備 考

沖 積 層 礫 ま じ り 粘 土 】

0 ′ 1 .5 1

‑ 不 整 合 八 女 粘 土 層

(新 柏 阿 蘇 火 山 噴 出物 )

不 整 合 ‑ 寝 石 質

凝 灰 岩層 極 石 質 凝 灰 岩

1

5

l ド F

l‑ i

座 讐 岩 , 砂 質 〜 シル ト l

0 .9 12 .2 慶

l P o ly p o d ia c e a e

e tc .

1 :. i,・ ‑. : 蝣 ; . ' i ・!

" ' ' 蝣 ' i

I

1 .2 ′ ‑ 2 .9 I‑

粘 土 層 ( 炭 化 植 物 片 混 り)

0 . 15 ‑ 2 .6

栗 谷 川 粘 土 層

i

凝 灰 質 細 砂 礫 層 l 0 .6 3 .6

不 整 合 ? ‑ 東 里 粘 土 層

不 藍 合 ‑ 中

部 層

‑ 腐 植 泥 ( 粘 土 ) 層 】

i

0 .4 2 .5

E 笠 m x o d ia c e a e ( M eta ‑ m se q u o ia ) ,

A ln u s, P ic ea e tc .

層 E

I 1

‑ I

l 】

‑ 1

IZ C 型 花 粉 郡 Q u e rc u s C a s ta n ea C h e n o p o d ia c e a e P in u s

, i e tc .

一 部 溶 岩

I

‑ l 4

: 粘 土 . シル ト層 1

I

0 .7 2 .5 ( m a x . 9 .5 以 上 ) ) i

凝 灰 角 礫 岩 ‑1 2 .7 以上

E L

i 火 山 角 礫 岩 E ‑3 0

1 l 不 整 合 '?

芸 日 l

砂,砂礫 下限不明… ‑P DF u賢装nus,Querc当ir

(a)最下部層

ボーリングBo. B<のそれぞれ標高‑43m, ‑55m以探に分布する。砂・砂礫よりなるが,

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有明海域の第四系の花粉層序学的研究

55

E3では青灰色の粘土層が‑50mより5m以上つゞいている。砂礫層は上位の下部層と同種の角 閃石・黒雲母安山岩の径1‑2cmの亜円礫,円礫を含み黒雲母片の多い砂をマトリックスと

しているO稀に珪岩等の火山岩以外の礫も含まれている。 E3では花粉を検出出来なかったが B9では晴灰色砂から花粉を多数検出出来た。

第2図ボーリングーAi3のコアに裁く岩相柱状担

土 粘

〜ト

レノ

シ砂

土 り り 粘 混 混 一 物 物 砂

‑ 泥 植 植 質 ル 植 腐 腐 礎 石 シ 腐

‑ 砂 砂 軽

b!‑Quflot<

g :凝灰岩

h :シルト質凝灰岩(又は凝灰質シルト)

・ ‥二∴、..∵言∴:‑

j :火山角礫岩 k :凝灰角礫岩 I :貝殻化石混在

○印‑花粉検出試料採集層準

△印‑花粉未検出(又は僅少検ii)試料採集層準

×印‑不適当のため未処理試料の採集層準

(b)下部層

下部層はさらに次のように細分される。

1)凝灰角礫岩

(6)

54

lL新語清・川崎敏・古川博恭

第引貿1ボ‑リングBo‑Bi2のコアに裁く岩相柱状図(凡例は第2図参照)

東里取付,排永門地点地下のほゞ全域にわたり標高‑12mないし‑20m以探に分布する。岩 石は灰白色で粗粒の角閃石黒雲母安山岩角礫と角閃石・黒雲母の結晶を多量に含む砂質のマト

リックスからなる火山噴出物である。角礫は部分的には径10cm以上のものも含まれるが,多 くは径2cm以下である。礫を含まない火山砂の部分もあり,後述するシルト・粘土層をはさ む。また火両角礫岩とは漸移的に変っていると推定される。

2)火山角礫岩

分布の形態は第5図に断面で示してあるが, A8‑ Bi0‑Bn‑B12を結ぶ緑の東側と C9付近には分布しない。火両角礫岩層はその末端部で薄くなり,また風化も進んでいるが,

その範囲はBl‑Ai‑A2‑A4‑A,‑A7‑3 ‑10‑ '12,潮19‑C7‑C6付近の一帯であ

(7)

IE

第5図ボーリングB3‑B]の間の海底第四系の岩細区分断両と花粉分帯の関係 a :磯混り粘土‑M精層

b :蝣'鋸出吊I'^v;‑一・一撞M質花.一汗七f出 C :凝灰角礫岩

d :砂質・シルト質凝灰岩(軟質)

e : 〟 〟 (硬質)

f :砂屑(炭化植物片混り) g :粘土層(炭化植物片混り) h :凝灰mm砂礫層ノ i :腐植泥(粘土)屑Itl脚再

j :粘‑‑.・シルト層

k :凝灰角礫岩・凝灰質砂・砂礫屑 I :丸up]礫岩(風化邦)

m未風化部)

上部層

下部屑

(柱状図)

1:シルト

2 :軽石質凝灰岩 5 :凝灰岩 4 :凝灰質砂 5 :凝混り凝灰質砂 6 :凝灰質砂礫

7 :凝灰角凝岩(上部層) 8 :凝灰角礫岩(下糾弓) 9 :火山角礫岩

10:腐植泥

!蝣}<.化植物片混り砂,粘土

A : A型花粉鮮

b : b^酎E粉群

C : C型花粉群

D : D型花粉瑠

(8)

有明海域の第四系の花粉層序I、/'II勺研究

る。この層が厚くなり,とくにその上Ill]が 標高‑17.5mより高いところはB4‑P5‑

BォーB,の一帯である。この部分での 層厚は15‑20ユ,と推定される。

木屑は角閃石・黒雲母安両告質の径の大 きい磯を多量に合み,場合によっては溶岩 となっていると推定される。木屑の上面2 6ITの深さおよび末端和は風化が著し く,火山砂のような岩村を呈する。ごくま れにではあるが,非常に硬く,礫とマトリ ックスが固着した凝灰角礫岩が採取されて

用&m

5)シルト・粘土層

凝灰角磯路膏の種々の屑準にはさまれて いる。最も)'/いのはAlで9.5‑H以上あるが 他は2.5m以下で, 102IT.以下の薄層も数多

くはさまっている。

岩質は緑灰色の硬質シルト〜粘土で,中20 部層の腐植泥(粘土)層の甫下にある場合 は両者の区別が左1調鋸勺に困難な場合もある が,花粉組成が非常に異なることにより容

DLi

C‑6 C‑ C‑9 C‑10 C‑12

第4図ボ!リングCO‑C]2 (C8, Cnは火除)のコア に裁く岩机柱状図(凡例は第2図参照) 易に区別されうる。

(C)中部層(腐植泥(粘土)層又は東里粘土層)

83‑C2‑A2より南側(東里取付にも分布する)と樋cf付近および東里潮受堤防取付 地点付近地下に分布する(第6図参照)。層厚はBI B21 A.がやゝ厚く1‑2.5rrで他は].5tn 程度である。

地層は暗灰色〜黒色の炭化植物片の混った褐色粘土,シルト,砂でかなり堅く岡結してい る。 C6には木片を合む粘土まじり拙砂礫がみられる。木屑の上面は標高‑14‑ dTlである。

(d)上部屑

東里取付附近の海岸に露出するような凝灰角礫告,凝灰質砂礫,砂質凝灰岩,細粒の凝灰岩

が複雑に堆積した火山性の地層であるが,非火山性の炭化植物片混りの砂,粘土がはさまる層

準がある。本層全体の屑屋は0.9‑12.2mで,一般には5‑10二T‑である。炭化柿物片混り砂層

および炭化植物片混り粘土層以外は水平的に連続する層がないので木屑の細分は困難である

が,岩柚により次のように分けられる。

(9)

56

高橋清・川崎敏・古川博恭 1)凝灰角礫岩

全域に分布する。礫(最大3Dcm以上,お おむね10cm以下が多い)を多量に含み凝灰 質砂,泥質の凝灰質砂をマトリックスとする 地層である。磯は晴灰色(風化して褐色)の 輝石安山岩が主で下部層にみられる角閃石・

黒雲母安I吊'‑I‑も少量みられる。マトリックス は概してル‑ズで軟質である(東里海岸でみ

られる程度と推定される)。

2)砂質凝灰岩

殆んど礫を含まない砂質凝灰岩で,岩柏に より2分するO

硬質砂質凝灰岩(硬質相)

淡紫灰色,灰褐色でしまっている。連続性 に乏しいがBi, B2, Ci, C2付近および A6, B7, C5, C6, C7付近に分布し,屑屋 は1.7‑4.3mである。

軟質砂質凝灰岩(軟質相)

淡灰色,灰色でルーズなもので風化してい る。分布は硬質なものとはゞ同じくAi, A2, Bi, B2, Ci, Q付近とA8, B6,

&7, C5, C6, C7付近であり,排水門地点で は軽石質凝灰岩層の直下に分布する。

5)砂層(炭化植物片混り)

A3, A4, B3, B4,樋3に分布する(第6 図参照)。層厚は1.2‑2.9mであり,上面の 分布標高は‑9‑‑11mである。

ルーズな中〜細粒砂で炭化植物片を含み, 暗灰色である。

4)粘土層(炭化植物片混り)

A5, Afl, B6付近およびA8, Bfl,潮19 以北に分布する(第6図参照)。層厚は0.15

・2.6mでAn, Bio, CSでは2m以上と厚 くなっている。分布上限標高は‑12.30‑

第6図上部層中の砂層(炭化植物片混0) ,粘土層 (炭化植物片湿り)および中部層一腐植泥 (粘土)層の等層厚線図

a :上部層の砂層(炭化植物片湿り)分布域 b :上部層の粘土層(炭化植物片湿り)分布域 C :中部層一腐植泥(粘土)層分布域

d :等層厚線m

(10)

有明海域の第円系の花粉層序学的研究

57

17.00mである。

軟質な粘土,礫まじり粘土,砂質粘土で暗青色で,炭化植物片を多く含んでいる。国見町と 有明町を境する栗谷川の河口付近にみられる粘土層(栗谷川粘土層)と岩相・花粉組成とも全

く類似し,両者は同一層準のものと考えられる。 B6では問に細砂礫層をはさんで2枚の粘土 層がみられるが,下位のものは花粉組成がやゝ異なっている。

5)凝灰質細砂磯層

炭化植物片混り粘土屑の直下,下即の直上に分布する。大体A*. B(より北側に分 布し,屑厚は‑3.6mである。

火山岩質の粗砂および同質の細礫(多くは1cm以下の亜角礫,円礫)を多量に含む凝灰質 砂礫層である̀。下部層の凝灰角礫岩との違いは含まれる磯の岩質は下部層が角閃石・黒雲母安 山岩のみを含むに対し,本層はそれと異質の安山岩が多いことにある。マトリックスは上部層 の凝灰角礫岩層より粗粒である。

(e)軽石質凝灰岩層

上記の地層とは異質の地層で,堆積年代もかなり新しいと考えられる。阿蘇カルデラ形成時 の噴出物といわれ,八女粘土層ともいわれており,倉地川河口付近,潮受堤防線の轡曲部より も北よりの海底に広く分布するものと同じ地層である。殆んど未風化の部分と著しく風化の進 んだ部分とがある。

1)軽石質凝灰岩層未風化部

Bi, Ag‑A6より北西側に分布する。下底標高は‑5 12mで北側ほど深くなっている.

軽石の礫(径最大30or,普通3err‑)および少量の黒色安山岩の細礫(径5mm以下) と軽石質のルーズな砂のマトリックスからなる地層でシラスと似ている。

2)軽石質凝灰岩風化部

風化部はA, C<より北側に分布する。下底標高は9‑12mである。層厚は2‑

4mである。

軽石の礫は原型を残したまゝ完全に軟質になって風化し,マトリックスの粘土化が著しい。

風化が最も著しく進行すると肯灰色の粘土と化し, N値が0であり,著しく軟弱である。礫は 白色の粘土の斑点となってその形をとどめている。

(f)沖積層

Al, A2を除く全域に分布するが,厚さは1.5m以下,下限標高‑8.0mである。貝殻を多量 に含む腐植泥質の礫まじり粘土層である。

B:栗谷川地区

長橋県南高来郡国見町と有明町の境界を流れる栗谷川の下流の島原鉄道鉄橋付近の露頭では

最上部に凝灰質細礫層〜粗粒砂層(礫は3mmで安山岩が多い。マトリックスは斜長石,

角閃石,輝石,岩片よりなる粗粒砂)が20二mの厚さで観察され,その下は炭化植物片を含む

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58

高橋清・川崎敏・古川博恭

灰色のシルト〜粘土層となっている。ボーリングによる深度190cmまではシルト〜粘土である が, 190ニn7から軽石を含む層となり,それより深く2403mまでは細礫湿りの暗灰色シルト〜粘 土となる。 250二m以深は礫がみられる。 2本のボーリングのコアによる岩柏柱状図は第7図に

描7図栗行川鉄橋付近に おけるボーリングコアに 基く栗谷川粘土層の柱状 図

大部分は炭化植物)トを 混える粘土層で,決皮 190cm付近から軽石を含 むシルト〜粘土が現わ れ,それより下位は紬礫 混りシルトとなり,245aπ 付近から礫が多くなる。

a‑j :試料採集層準

示す通りである。 a・‑jは分析試料採集層準を示す。

試料a c,は炭化植物片混り灰色シルト〜粘土であり, 試料b, d, e, f, iは灰色シルト〜粘土である。試料jは細礫混り 暗灰色シルト〜粘土である。これを栗谷川粘土層と名付ける。

C:竜石地区

鳥原半臨南部の南高来郡西有家町引無闇の海岸においては下部の 北有馬層と上部の竜石屑が不整合に重なっており,第8図からも分 るように,東に漸次上位の地屑が低い位置に分布する。

北有馬層は円磨された結晶片岩,チャ‑ト,粘板岩の中〜細礫よ りなる礫層をしばしばはさんでおり,比較的粗い粒子よりなる砂層 が最上部にあり,著しい斜層理の発達をみる褐灰色砂よりなる。こ の上に凝灰角礫岩〜火両角礫岩が不整合に重なる。この部分から上

位が竃石層であり,凝灰角礫岩〜火山角礫岩,凝灰質砂〜釦砂礫が

あり,薄い紫灰色凝灰質シルトをはさむ(海底ボ‑リングでの上部

層に見られるものによく似る)。凝灰質シルト〜細砂層には斜層理

の発達も見られる。第8図の中の引無田4, 5の試料採集地では,

採石場の崖の最下部の層準に炭化木片を含む暗灰色の腐植泥層がある。試料引無田1は同じく

暗灰色腐植泥であり,引無田2は青緑色シルト〜粘土であり,引無田5は暗線灰色シルト‑粘

(12)

有明海域の第四系の花粉層序学的研究

59

土である。

南高来郡北有馬町北谷の小学校北方で北有馬層の微細な貝殻片を含む暗縁灰色の極細粒砂を 分析用試料として採集した。

D :熊本県長洲地区

熊本県長洲港北東の高木の北約7DCm付近の露頭で約50二汀・間隔でa‑1の12個の試料を採集し た(,岩石はすべて灰色〜青灰色シルト〜粘土である。炭化植物片,貝殻化石などが含まれてい るのが肉眼的に認められる‑,ir¥溝塩(1965)によれば,長洲層は貝殻化石から内湾度の強 い湾奥の堆積物であると推定されている。この地区の長洲層が島原半島に発達するどの地層に 対比されるのか,ロ‑ム層などの解釈により,一応,推定で吾妻屑に対比されているが,花粉 研究を行うことはさらにもっと積極的な対比資料を得るのが主な目的である。

Ⅲ花粉・胞子群

a)有明海々底第四系からの花粉・胞子

17本のボーリングコアの中から,主にシルト〜粘土を選び, 65試料を採集した。そのうち22 試料から花粉・胞子化石を検出した。他の試料からは全く検出出来なかったか,又は検出出来

ても極く少数の個体数しか検出出来なかった。試料採集層準ならびに検出層準は第2‑4図の 柱状図に示してある。 P8ボーリングコアのように花粉検出に適する試料を採集出来なかった

ものもある。検出した花粉・胞子の種類および頻度は第2表に示す通りである。

さきにボ‑リングA, B, C列各1番から5番に至るコアから得た資料により花粉群の特微 をA型, B型, C型に区分した(筆者ら, 1968)。 A型花粉群の構成特微種はPinus, Gleiche‑

niaceaeが優勢で,次いでTsuga, Picea, Ilex, Fagus, Polypodiaceaeなどがみられる。

第9図A列ボーリングコア試料から得られた主要花粉・胞子の頻度図 上段: A型花粉群下段: C型花粉群

第2表,第9図および第10図から分るように, A型花粉群の特微を示す試料は次の通りであ

(13)

高橋清・川崎敏・古川博恭

第10図B列ボ‑リングコア試料から得られた主要花粉・胞子の頻度図 上段: A型花粉群最下段: D型花粉群

A6 (6.70‑6.80), A9 (9.20‑9.30), Aio (10.40‑10.50), An (10.70‑10.80), B7 (9.50‑9.60), Bio (8.70‑8.80), Bio ( 9.70‑ 9.80), BIO (10.20‑10.30),

Aio ( 9.70‑ 9.80), Ai2 ( 9.80‑ 9.90), Bio ( 9.50‑10.00), Bii ( 9.80‑ 9.90), C10 ( 9.40‑9.50)

これらの試料から検出された花粉・胞子の特徴は共通してPinus, Gleicheniaceaeが多く, 次いでTsuga, Piceajlex, Fagus, Polypodiaceaeなどがみられる。

B型花粉群の特徴として,筆者ら(1968)はTaxodiaceae (Metasequoiaが多い)が圧倒的 優勢で,次いでAlnus, Piceaなどが多いことを示した。今回の試料中明かにB型花粉群の特 徴を示すものはC6 (8.20‑8.30)であり, Taxodiaceae (Metasequoiaが多い;筆者ら(1968), 40‑41貢および第9図参照)が89%みられAlnusは5%である。第6図に明かに示されてい

るように, B型花粉群を示す地層‑腐植泥(粘土)層‑はB3よりも海岸側と樋1およびC6 付近に薄層で存在している。

C型花粉群の特徴はQuercus (常緑型と落葉型が混在するが常緑型が多い;筆者ら(1968), 41貢および第10図参照)が優勢でありPinus, Chenopodiaceae, Castanea, Polypodiaceaeな

どがありTaxodiaceae, Gleicheniaceaeは無いか又は非常に少ない。

A8 (17.40‑17.60), An (18.30‑18.40), Bn (16.55‑16.65)の試料がC型花粉群に入

ると考えられる。 5試料ともQuercusが優勢で, Pinus, Chenopodiaceae, Polypodiaceaeな

(14)

第2表胞子・花粉出現率表

(鈷踏給餌瓢翔蹴㌶昔矧

ボーリングコア試料はボーリング番号および深度(m)で示してある

Lycopodiu m Osmunda Lygodium Schizaeaceae Gleicheniaceae Polypodiaceae spore(indet.)

Monocolpate pollen Podocarpus

Picea Pinu s Tsuga Sciadopitys?

Larix?

Abies Taxodiaceae Sa lix Carya Pterocarya Juglans

Juglandaceae Carpinus Corylus Betula Betulaceae Alnus Fagus Quercus Castanea

Zelkova or Ulmus Celtis?

Polygonum ( =Periscaria) Polygonaceae?

Chenopodiaceae Caryophyllaceae Nuphar?

Liquidambar Ilex

Tilia

Myriophy llu m Ericaceae Sy mplocos Compositae

Euphorbiaceae Nyssa?

Gramineae Tricolpate pollen Tricolporate pollen Tetracolporate pollen pollen (indet.)

試料

胞子・花粉

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有明海域の第四系の花粉層序学的研究

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どがみられTaxodiaceae, Gleicheniaceae, Fagus, Ilexなどはないか又は少ない。したがっ てA塾, B型の各花粉群の特微と著しく異なっている。

B6 (10.60‑10.70), B6 (ll.20‑ll.30)の2試料については, A型花粉群の特微とはやゝ 異なる特微をもっている。 Pinusが非常に優勢で, Picea, Tsuga, Fagus, Polypodiaceaeなど がみられるが, A型の主要な特徴の1つであるGleicheniaceaeの出現が極端に少ない点が著 しい相違点である。 B型, C型の各花粉群の特微は全く示さない。したがって, Gleicheniaceae は芳しく少ないが本来のA型花粉群の特徴を示す試料の深度と比較すれば,上記2試料の深度 はやゝ深く,層準的に若干下位を占めるものと判断されるからA型花粉群proper ‑の移行段 階のものと考え, A型花粉群に非常に近い特徴をもつものと考える。

第5図においてB9の柱状図はaとbに分けて示してあるがbはaの下位に続くものである。こ のボ‑リングは他のものより深く,深度50mまで掘られている。 B9 (31.00‑31.50), Be (55.30‑35.00), E9 (36.40‑36.60)の5試料から得られた花粉の特徴は類似しており, Fagusが優勢であり,次いでPinusである。その他Alnus, Zelkova or Ulmus, Pclypodia‑

ceae, Quercusなどが著しい。 B9 (31.00‑31.50)ではPiceaが極端に多く見られる以外は 非常に良く類似した構成を示す。この特微は上記のA, B, Cの各花粉群の特徴のいずれのも のとも異なったものであり, D型花粉群と呼ぶことにする。これは明らかにC型花粉群が示す 屑準より下位に位置するものである。

h)栗谷川粘土層からの花粉・胞子

栗谷川粘土層の採集試料層準は第7図に示してある。 a‑jの10個の試料から得られた花粉

第11図栗谷川粘土層から得られた主要花粉・胞子の頻度図

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・胞子の構成の特徴はすべてよく類似しており, Pinus, Ilex, Gleicheniaceaeなどが優勢で次 いでFagus, Quercus, Polypodiaceae, Tsuga, Picea, Zelkova or Ulmnsなどがみられる。こ の地域のものは,特にIlexの出現率が高くなっているが,これまで知られているA型花粉群 の特徴と比較されうるものである,。花粉頻度図は第11図に示す通りである。

c)竜石地区からの花粉・胞子

半島南部の南高来郡西有家町引無用の海岸附近で引無田1 ‑5の5個の試料を採集し,分析 を行った。また北有馬町北谷の小学校附近で1試料を採集し,分析を行った。花粉・胞子が検 出された試料は引無田5の試料を除いた5試料であり,主な花粉の出現頻度図は第12図に示す 通りである。

第12図電石地区の北有馬層および竜石層から得られた主要花粉の頻度図

引無田4および5は第2表および第12図から明かな様にTaxodiaceae (Metasequoiaが多 い*)およびAlnusが優勢であり,次いでPicea, Pinusなどがみられる。この特微はB型花 粉群として示したものの持徴と同じである。したがって,引無田4および5の腐植泥は有明海

々底にみられる中部層である腐枇泥層に完全に対比されるものである。引無田4および5は引 無田1および2などより層位的に明かに上位に位置するものと解釈される。また引無FIlは引 無田2より層位的に下位に位置するものと考える。

引無田2の試料から示される花粉出現の粘微もAlnusが優勢で, Taxodiaceaeがこれに次 いで多い。これは特徴としてE型花粉群に近いものである。

引無田1の試料からみられる花粉の特微は第12図でも明かに分るように, Fagusの出現率は 高い。その他の花粉の出現率は低い。胞子の出現率は異状に高い。このようにFagusが多く みられる層準は,有明海々底では89の深度30‑r台の層準にみられるE型花粉群がある。また後 述の長洲層のものが同じような特微をもつ。したがって,対比の可能性として, D型花粉蝉の 特徴を示す層準と考えられうるが,上記のごとく,引無田4および5の試料がB型花粉群を示 すので,その層準からみると,中間にC型花粉群を示す層位のものが存在しなければならない

*筆者ら(19占8)の第9図に示したと同じ様に, Taxodiaceaeの花粉の大きさの頻度曲線を描いて

みると26m又は28^の位置にピ‑クが来るOこの関係は前回(1968)のものと全く同じである。さ

らにCryptomeγiaも若十存在していると推測される。

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が,はたしてそれが入る余地があるのかどうか,検討を要する。

さらに北谷の試料から得られたものはQuercusが優勢でCastanea, Fagus, Pinusなどが みられるが,これをC型花粉群と同じものとすれば,有明海々底の資料と矛盾する。 C型花粉 群がみられるのは雲仙火山噴出物の下部層であり, D型花粉群から北有馬層に入るものと見放 している,,したがって,北/liのものは海底の試料ではみなかった,さらにT位の層準を示す花 粉群集である可能性が大である。引無田2の試料はさておき,引無出1のものをD型花粉群の ものと考え,竜石屑が北有馬層の異なる蝉単を不整合で蔽うとするなら,一応は説明が出来 る。しかし,もっと細かい試料の採集を行って検討をする必要が生じて来た。

d)熊本県長洲地区からの花粉・胞子

長洲港北方の長洲層からの12個の試料を検討した結果は第2表および第15図に示す通りであ る。

第15図長洲層から得られた主要花粉・胞子の頻度図

花粉群集の特徴はいずれの試料もFagusが優勢であり,これと同じ程度あるいはこれより

も高い出現率でPinusがみられる。その他の花粉・胞子ではPicea, Tsuga, Queγcus, Castanea,

Ilex, Gleicheniaceae, Zelkova or Ulmusなどがみられる。この群集の特徴はFagusで代表

され, 1つのFagus帯を示すものと解釈出来る。これと同じように,上記のD型花粉群とした

ものがやはりFagusが優勢で,次いでPinusなどがみられるもので,これもFagus帯を構

成するものである。しかしPinusまFagusより出現率が低くなっている。一般にPinusの

花粉生産量は天であり,また地域によっても分布上の差が存在するであろうし,露頭における

やゝ風化した岩石ではPinusが放り安い傾向が認められるから多少の出現率の差でもって特

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高橋清・川崎敏・古川博恭 微の差異を決定することは出来ないであろう。

長洲層は古川・満塩(1965)の研究でも明かなように,内湾度の強い貝化石などを含んでお り,湾奥の堆積物である。大型植物化石もFagus sp., Distylopsis parγotoides (Miki) Miki, Wistaria sp., Styrax japonica Sieb. et Zucc, Pinus Thunbergii Parl.などが知られている。

D型花粉群が示す層位は北有馬層に入ると考えられるもので,海成のものと考えられる。海 底にみられる堆積物では,下部層の雲仙火山噴出物の中に挟まって来るシルト〜粘土層が海成 のものと考えられるが,中部層および上部層は非海戊の堆積物のようである。長洲層より下位 および上位の地層の花粉群集の資料が得られていない現状では,可能性として, D型花粉群に 対比させる考えも成り立つし,また海底部の上部層と新期阿蘇火山噴出物と考えられる軽石質 凝灰岩との問に考えられる時間的間隙の問に堆積したものとして, D型花粉群よりもさらに上 位のFagus帯を構成するものとする考えも可能となるが,その場合には長洲湾入がどのよう な状態で存在したかも大きな問題点となる。海底部の上部層である雲仙火山噴出物より上位に Fagus帯が存在する可能性は大阪層群における花粉の分帯(田井, 1965)でMetasequoia胃 の上に下位Fagus亜帯が認められ,上位にPicea, Tsuga diversifolia亜帯をはさんで上位 Fagus亜帯が認められていることと合せ考える場合に考えうるものである.しかし,これは今 後に残された重要な問題である。

wm*

上記のごとく,新しく明かになった知識と今後の問題点を総括すれば,次のごとくまとめる ことが出来る。

1)筆者ら(1968)の研究で明かにされたように,半島北部の有明海々底の第四系において 区別されたA型花粉群, B型花粉群, C型花粉群は,今回のさらに沖合のボーリングコア の試料で確認された。とくにB型花粉群を示す中部層の分布は陸に近い地域に発達がみら れ,沖合になるにしたがって欠除する。

2) C型花粉群の下位にD型花粉群が区別される。これはB9ボ‑リングの30m台の深度の層 準に認められる。 Fagusが優勢でありPinus, Alnus, Zelkova or Ulmus, Queγcus, Polypodiaceaeなどが次いでみられ, Fagus帯を構成するものである。この層位の堆積物

(暗灰色粗粗砂)は半島南部に露出する北有ノ【引百上位のものに岩相的に対比される0 5) D型花粉群(Fagus帯)は大阪層群のMetasequoia帯の上の下位Fagus亜帯に対比

される可能性をもっている。

4)栗谷川粘土層から得られた花粉群集はPinus, Ilex, Gleicheniaceaeなどが優勢で,次 いでFagus, Quercus, Polypodiaceae, Tsuga, Picea, Zelkova or Ulmusなどがみられ, A型花粉群の特徴と一致する。

5)竜石地区において,引無田海岸附近の採土場の露頭の最下位にみられる腐植泥(試料引

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無口4および5)はTaxodiaceae (Metasequoiaが多い), Almus, Piceaなどがみられ, 明かにB型花粉群の特徴を示す。したがって,この腐植泥層は海底の中部層である腐植泥 層に対比されうる。

6)上記引無田の腐植泥層より上位の火山角礫岩,凝灰角礫岩,凝灰質砂・シルトなどの堆 積物は海底部の上部層の堆積物と岩相的によく似ている。

7)試料引無田2から得られた花粉群はAlnus, Taxodiaceaeが多くみられ, B型花粉群に 近い特微を示す。

8)試料引無田1は腐植物を多く含む腐植泥であり, Fagusの出現率が高い.これはD型花 粉群の特微に類似する。 D型花粉群と同じであるなら引無田2の示す花粉群が疑問とな

り,再検討を要することになる。

9)北谷の北有馬層からの1試料(極細粒砂)にみられる花粉群は,試料が少ないが, Quercus, Castanea, Fagus, Pinusなどがみられ, C型花粉群の特微に類似するが, C型花 粉群と同じものと考えるならば海底部の層序と矛盾する。したがって, D型花粉群が示す Fagus帯より下位の花粉群を示すことになる可能性をもっている。

10)熊本県長洲附近の長洲層から得られた花粉群はFagus, Pinusが優勢でPicea, Tsuga, Quercus, Castanea, Ilex, Gleicheniaceae, Zelkova or Ulmusなどがみられ, Fagusで代

表させうる。すなわちFagus帯を構成する。これと同じ特微を示すものはD型花粉群で あり,これに比較しうる。

ll)しかし,可能性としては,大阪層群に下位Fagus亜帯と上位Fagus亜帯が区別され ていることから,新期阿蘇噴出物と上部層との間に,すなわちA型花粉群の上にFagus帯 の存在が期待されうる。しかし,現段階では全くの推測である。

12)この問題を解決する方法としては長洲層の上下の地層の花粉群集の特徴を検討すること が必要となって来る。

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参照

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