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再生可能エネルギー・燃料電池活用型住宅用 複合システムに関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 後 藤 隆 一 郎

学 位 論 文 題 名

再生可能エネルギー・燃料電池活用型住宅用 複合システムに関する研究

学位論文内容の要旨

  エネル ギーの有 効利用およ び地球環 境負荷の 低減化の 観点から ,住宅や 個々の建築 物にお ける再生 可能エネル ギーの適 正な導入 手法とエ ネルギー 自律化の ための新たな 技術開 発が必要 不可欠であ る.今後 ,エネル ギー自律 型住宅の 普及に向 けては,再生 可能エ ネルギー の利用基盤 を段階的 に強化す ることが 不可欠で あり,そ のために燃料 電池に よるコー ジェネレー ションシ ステムに 代表され る従来型 エネルギ ーの新利用形 態と再 生可能エ ネルギーとの複合化を展開することが緊急の課題であると考えられる.

固体高 分子形燃 料電池は, 常温から80℃程度の 低温域で 作動する ことから 材料の低コ スト化 が可能と なるとともに,比較的容易な起動・停止,高い総合効率と環境保全性,

静音性 などの特 性を有し, 実用化に 向けた技 術開発が 国内外で 進められ ている.住宅 用,燃 料電池の 適正な運転形態に関しては,解析的にはその高い省エネルギー効果が確 認され ている. 一方,実機 の発電・ 排熱回収 特性の詳 細な運転 実績に基 づく導入可能 性評価 が報告さ れた例はな い.さら に,再生 可能エネ ルギーと 燃料電池 コージェネレ ーショ ンシステ ムをハイブ リッドに 活用した 住宅用複 合システ ムの可能 性を明らかに するた めには, 燃料電池お よび再生 可能エネ ルギーの 特性と複 合的活用 ,コージェネ レーシ ョンシス テムの運転 制御,給 湯・暖房 ・融雪方 式,およ び建物を 統合したトー タルシ ステムと しての評価 を行うこ とが必要 である,

  本論文 は,固体 高分子形燃 料電池の 特性と実 用可能性 を明らか にし,戸 建て住宅に おける 導入効果 に関して電 力,給湯 ,暖房, 融雪需要 を考慮し 総合的に 評価するとと もに, 再生可能 エネルギー と燃料電 池を活用 した住宅 用複合型 エネルギ ーシステムの あり方 について 提案するこ とを目的 としてい る.

  本 論 文 は 8章 よ り 構 成 さ れ , 各 章 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る .   第1章 で は, 燃 料 電池コ ージェネ レーション の現状と 実用化見 通しを展 望し,再 生 可能エ ネルギー と燃料電池 の複合シ ステム, さらにエ ネルギー ネットワ ーク化に向け た未来 像を示す とともに, 本論文の 構成を示 した,

  第2章で は,国内 外における 燃料電池 開発・利 用技術に関する既往の研究を要約し,

その問 題点を述 べるとともに,寒冷地における独自のシステム構築の必要性を述べた.

さらに ,再生可 能エネルギ ー利用の 既往の研 究を概説 し,燃料 電池との 複合型エネル ギ ーシ ス テム を 提 案す る こと の 意 義を 明 確 化し ,本 論文の位 置づけを 示した.  .   第3章 は ,固 体 高 分子形 燃料電池 の性能評価 を実施し たもので ある,ま ず,発電 特 性と排 熱回収特 性に関する 実験を行 った結果 ,定格出 力時の直 流端発電 熱効率,排熱

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回収熱効率Iま,それぞれ42.5%,49.2%と極めて高い値を示した.次いで,部分負荷特 性, 排熱 回収 水入 口温度 の影響,起動および追従性,排ガスに関する環境性について 明ら かに した .さ らに, 実際の給湯利用の前段として,貯湯槽の特性に関する計測を 行 う と と も に , 連 続 運 転 時 に お い て も 安 定 し た 性 能 が 得 ら れ る こ と を 示 し た.

  第4章で は, 固体 高分 子形 燃料 電池 によ る電 力・給 湯システムの実証実験と導入効 果の 解析 を実 施し たもの である.まず,標準的な電力・給湯負荷を適用した三種類の 実証実験を行い,ダブルDSS(Daily .Start and Stop)運転の一次エネルギー削減率が最 大で24% に達 する ことを 示した.次いで,札幌の世帯の冬期の負荷を取り上げた場合 の一 次エ ネル ギー 削減量 は,標準的な中間期のエネルギー需要を適用した実験結果を 上回 って おり ,寒 冷地に おいては,燃料電池の導入効果が,特に冬期において大きく なる こと を明 らか にした .さらに,燃料電池コージェネレーションシステムの最適容 量の解析を行い,逆潮を認め.なぃ場合の燃料電池の最適容量は0.9 kW(標準・ダブル DSS運 転) とな るこ とを 示し た. 逆潮 を許 容し た場合 には,容量の小型化を図ること が可能である.

  第5章は ,燃 料電 池排 熱の 暖房 利用 に関 して ,独自 のコージェネレーションシステ ムを 開発 し, 実証 実験と シミュレーションによる評価を行うとともに,住宅の暖房環 境を 対象 とし て, 衣服, 設定室温,エネルギー消費量の関係を整理し,暖房エネルギ ーの 削減 を図 るこ とを目 的としたものである.燃料電池排熱をヒートポンプと組み合 せ, 排熱 の暖 房利 用可能 なシステムとして構築する事により一次エネルギーおよび二 酸化 炭素 排出 量削 減に寄 与することを示した.また,暖房負荷削減の観点から,設定 室温 とデ グリ デー に基づ く暖房エネルギーの簡易予測式,および設定室温と追加着衣 量の 関係 式を 提示 し,設 定室温を低下させた場合の省エネルギー効果,衣服の追加着 用に よる 設定 室温 の低下 と省エネルギー効果に関する計算例を示した.さらに,札幌 市内 の戸 建て 住宅 を対象 として,暖房期間のモニタリングを実施し,期間エネルギー 消費 量が 予測 値に 概ね近 い傾向を示すことを検証するとともに,省エネルギー対策に よる一次エネルギー削減効果の試算を行った,

  第6章は ,燃 料電 池排 熱の 融雪 利用 に関 して ,画像 解析を導入した路面融雪運転制 御と の複 合シ ステ ムを開 発し,雪処理の大幅な省エネルギー化を図ることを目的とし

、たものである.まず,対象路面画像の積分処理,明るさ検出処理,濃度拡張処理,二 階調 化処 理に よる 積雪判 定手法を提示するとともに,試験装置,制御プログラムを作 成し た. 次い で, 制御プ 口グラムにおける各種処理精度の実験を行い,歩行者,自動 車な どの 動的 外乱 ,日射 ,日影,照明などによる画像デ一夕明るさの相違の影響に起 因す る誤 作動 をお おむね 防止し得ることを確認した.さらに,一般に用いられる路面 融雪 運転 制御 法の ーっと して降雪センサを取り上げ,運転時間の比較を行った結果,

大幅な削減効果が得られた.

  第7章は ,再 生可 能エ ネル ギー と燃 料電 池を 活用し た住宅用複合型エネルギーシス テム の実 証実 験と 評価を 実施したものである.まず,太陽エネルギー・燃料電池複合 によ る電 力・ 給湯 システ ムの晴天日における実験を札幌において実施し,従来方式に 対す る一 次エ ネル ギー削 減率が46.6%となることを示した.さらに,システムの適正 な規 模と 導入 効果 に関す るシミュレーションを行った結果,逆潮を許容しない場合の 札幌における多結晶シリコン型太陽電池,固体高分子形燃料電池の一次エネルギー消,

費量を最小とする最適容量はそれぞれ27n12(最大出力: 2.8 kW),1.1 kWとなった.

ソー ラー コレ クタ との複 合利用についても熱利用を給湯に限定した場合の燃料電池の

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最 適容 量は 札幌 にお いて1 kW程度 にな るこ とを 明ら かにレ た, さらに,燃料電池排 熱 を地 下熱利用と組み合わせ,排熱の暖房・融雪への適用が可能なシステムの試作を 行い,冬期は連続運転により省エネルギー・環境保全に大きく寄与することを示した,

  第8章では,本研究で得られた結果を要約して述べた.

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    窪田英 樹 副査   教授   横山真太郎 副 査    教授    繪内正 道 副査   助教授   濱田靖弘

学 位 論 文 題 名

再生可能エネルギー・燃料電池活用型住宅用 複合システムに関する研究

  工 ネル ギーの 有効 利用および地球環境負荷の低減化の観点から,住宅や個々の建築 物に おけ る再生 可能 エネルギーの適正な導入手法とエネルギー自律化のための新たな 技術 開発 が必要 不可 欠である,今後,再生可能エネルギーの利用基盤を段階的に強化 する こと が不可 欠で あり,そのために燃料電池によるコージェネレーションシステム に代 表さ れる従 来型 エネルギーの新利用形態と再生可能エネルギーとの複合化を展開 することが緊急の課題であると考えられる,

  本 論文 は,固 体高 分子形燃料電池の特性と実用可能性を明らかにし,戸建て住宅に おけ る導 入効果 に関 して電力,給湯,暖房,融雪需要を考慮し総合的に評価するとと もに ,再 生可能 工ネ ルギーと燃料電池を活用した住宅用複合型エネルギーシステムの あり方について提案することを目的としたものである,

  本論文は8章より構成される,

  第1章で は, 燃料 電池 コー ジェ ネレ ーショ ンの 現状と実用化見通しを展望し,再生 可能 エネ ルギー と燃 料電池の複合システム,さらにエネルギーネットワーク化に向け た未来像を示すとともに,本論文の構成を示している.

  第2章では,国内外における燃料電池開発・利用技術に関する既往の研究を要約し,

その 問題 点を述 べる とともに,寒冷地における独自のシステム構築の必要性を述べて いる .さ らに, 再生 可能エネルギー利用の既往の研究を概説し,燃料電池との複合型 工 ネ ル ギ ー シ ス テ ム を 提 案 し よ う と す る 本 論 文 の 意 義 を 明 確 に し て い る .   第3章は ,固 体高 分子 形燃 料電 池の 性能評 価を 実施したものである.まず,発電特 性と 排熱 回収特 性に 関する実験を行った結果,定格出力時の直流端発電熱効率,排熱 回収熱効率は,それぞれ42.5%,49.2%と極めて高い値を得ている.次いで,部分負荷 特性 ,排 熱回収 水入 口温度の影響,起動および追従性,排ガスに関する環境性につい て明 らか にして いる ,さらに,貯湯槽の特性に関する計測を行うとともに,連続運転 時においても安定した性能が得られることを示している,

  第4章で は, 固体 高分 子形 燃料 電池 による 電力 ・給湯システムの実証実験と導入効

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果の 解析 を実 施し たも ので ある ,ま ず, 標準的な電力・給湯負荷を適用した三種類の 実証実験を行い,ダブルDSS(Daily Start and Stop)運転の一次エネルギ一削減率が最 大で24% に達 する こと を示 して いる .次 いで,札幌の世帯の冬期の場合の一次エネル ギー削減量は,標準的な中間期のエネルギー需要を適用した実験結果を上回っており,

寒冷 地に おい ては ,燃 料電 池の 導入 効果 が,特に冬期において大きくなることを明ら かに して いる .さ らに ,燃 料電 池コ ージ ェネレーションシステムの最適容量の解析を 行い ,逆 潮を 認め ない 場合 の燃 料電 池の 最適 容量 は0.9 kW( 標準 ・ダ ブルDSS運転)

とな るこ とを 明ら かに して いる .逆 潮を 許容した場合には,容量の小型化を図ること が可能であるとしている.

  第5章 は, 燃料 電池 排熱を 利用 して 暖房 エネ ルギ ーの 削減 を図 るこ とを目的とした もの であ る. 独自 のコ ージ ェネ レー ショ ンシステムを開発し,実証実験とシミュレー ショ ンに よる 評価 を行 って いる .燃 料電 池排熱をヒートポンプと組み合せ,排熱の暖 房利 用可 能な シス テム を構 築し た場 合, 一次エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減 に大 きく 寄与 する こと を明 らか にし てい る,また,暖房負荷削減の観点から,設定室 温と デグ リデ ーに 基づ く暖 房エ ネル ギー の簡易予測式,および設定室温と追加着衣量 の関 係式 を提 示し ,衣 服の 追加 着用 によ る設定室温の低下と省工ネルギ一効果に関す る計 算例 を示 して いる .さ らに ,札 幌市 内の戸建て住宅を対象としてモニタリングを 実施 し, 期間 工ネ ルギ ー消 費量 が予 測値 に概ね近い傾向を示すことを検証するととも に , 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 に よ る 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 を 試 算 し て い る .   第6章 は, 燃料 電池 排熱の 融雪 利用 に関 して ,大 幅な 省エ ネル ギー 化を図ることを 目的として,画像解析を導入した路面融雪運転制御との複合システムを開発している,

まず ,対 象路 面画 像の 積分 処理 ,明 るさ 検出処理,濃度拡張処理,二階調化処理によ る積 雪判 定手 法を 提示 する とと もに ,試 験装置,制御プログラムを作成している.次 いで ,制 御プ ログ ラム にお ける 各種 処理 精度の実験を行い,歩行者,自動車などの動 的外 乱, 日射 ,日 影, 照明 など によ る画 像デー夕明るさの相違の影響に起因する誤作 動を おお むね 防止 し得 るこ とを 確認 して いる,さらに,路面融雪運転制御法のーっと し て 一 般 に 用 い ら れ る 降 雪 セ ン サ と 比 較 し , 大 幅 な 削 減効 果 を 確 認 し て い る ,   第7章 は, 再生 可能 エネル ギー と燃 料電 池を 活用 した 住宅 用複 合型 エネルギーシス テム の実 証実 験と 評価 を実 施し たも ので ある,まず,太陽工ネルギー・燃料電池複合 によ る電 力・ 給湯 シス テム の晴 天日 にお ける実験を札幌において実施し,従来方式に 対す る一 次エ ネル ギー 削減 率が46.6%と なることを示している.さらに,システムの 適正 な規 模と 導入 効果 に関 する シミ ュレ ーションを行い,固体高分子形燃料電池等設 備 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 最 小 と す る 最 適 容 量 を 明 ら か に し て い る .   第8章は,本研究で得られた結果の要約である.

    これを要するに,本論文は,固体高分子形燃料電池の戸建て住宅への導入効果を電 カと 熱需 要を 考慮 して 総合 的に 評価 する とともに,再生可能エネルギーと燃料電池を 活用 した 住宅 用複 合型 エネ ルギ ーシ ステ ムのあり方について論じたものであり,暖冷 房 工 学 , 建 築 環境 工学 ,エ ネル ギ一 利用 工学 に貢 献す ると ころ 大なる もの があ る.

    よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める.

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