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厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業) 

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業) 

小児がん拠点病院を軸とした小児がん医療提供体制のあり方に関する研究  分担研究報告書

 

「小児がん拠点病院を軸とした小児がん医療提供体制のあり方に関する研究」 

分担研究課題  「小児がん患者の動態調査」 

研究分担者  小川  千登世    国立がん研究センター中央病院  小児腫瘍科長

研究要旨 

    平成24年に小児がん拠点病院が全国に15施設指定されたことを受け、本研究全体で は、拠点病院及び小児がん診療病院における診療連携方法の確立を研究し、チーム医療を 推進することで、真に機能する連携のあり方を検討することとしている。診療連携の在り 方の検討資料として、本分担研究においては、国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 での患者動態調査を行う。 

昨年度は 2011 年 1 月から 2013 年 12 月に初診した初発および再発の小児腫瘍科、眼腫瘍 科受診患者の居住地域を調査することにより、小児がんの動態調査を行った。この結果、

造血器腫瘍、神経芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫等では居住地域分 布はほとんどが関東圏であった一方、稀な胎児性腫瘍、滑膜肉腫、悪性ラブドイド腫瘍、

線維形成小円形細胞腫瘍などの極めて稀な肉腫やその他の腫瘍は、東北、中四国、本州外 など広く日本中からの症例が集積する傾向にあった。また、網膜芽細胞腫においては人口 分布に応じたほぼ全国からの患者集積があり、集約化が進んでいることがうかがわれた。

  この結果から、今年度は2014年1月から12月に国立がん研究センター眼腫瘍科を診療 目的に初診した網膜芽細胞腫の患者の受診状況調査を行った。初診患者数は37人、年齢分 布は中央値1歳4か月で、70%が2歳未満であった。居住地域は北海道から沖縄まで広く 全国に分布し、関東甲信越以外からの受診が50%以上を占めていた。受診目的は、診断お よび治療方針の確認、また、化学療法及び局所治療であった。2015年 12 月までの入院回 数の中央値は6 (0-18)回、32%が10回以上の入院を必要とした。遠方より外来受診や入院 加療のための来院を必要とする患者の時間的、経済的負担が大きいことが推測され、外来 受診を含めた通院等にかかわる費用負担の実態調査が必要と考えられる。

A.研究目的

  平成24年2月に小児がん拠点病院(以下

「拠点病院」とする)が全国に15施設指定 されたが、小児がん医療の実態と理想の間 には、依然として乖離がある。今回、拠点 病院が指定されたことは、理想実現の第一 歩であり、今後は拠点病院の医療の質を向 上させることで、より理想的な小児がん診 療を行うことの出来る体制を構築する必要 がある。 

標準リスクの白血病診療では、日本国内 での均てん化は比較的達成されていると考 えられるが、再発、難治白血病診療につい ては、それぞれの施設間での格差がある。

また、固形腫瘍、特に脳腫瘍、網膜芽細胞 腫などある程度の患者数があるにも関わら ず、診療を行っている医療機関が比較的少 ない疾患に関しては、集約化はある程度進 んでいるものの、固形腫瘍、脳腫瘍等の診 療を専門とする小児科医の不足、小児を専 門とする脳神経外科医、眼科医等の絶対的

(2)

な不足により、拠点病院間のみの連携では、

十分な連携とは言えないことが問題である。 

  本研究全体では、拠点病院及び小児が ん診療病院における診療連携方法の確立を 研究し、チーム医療を推進することで、真 に機能する連携のあり方を検討することと している。診療連携の在り方の検討を目的 として、本分担研究においては、初年度に 小児外科以外の外科系診療科との連携を必 要とする小児がん患者、特に網膜芽細胞腫 と骨軟部腫瘍患者の動態を調査し、実態を 明らかにした。この結果、造血器腫瘍の患 者はほとんどが関東圏内の居住者であった。

代表的な小児がんの神経芽腫、肝芽腫、横 紋筋肉腫においてはそのほとんどが関東圏 からの患者であり、骨肉腫、ユーイング肉 腫でも、実数は小児がん拠点病院での診療 数よりも多いものの、居住地域分布はほと んどが関東圏であった。一方で、神経芽腫、

肝芽腫、腎芽腫以外の稀な胎児性腫瘍、滑 膜肉腫、悪性ラブドイド腫瘍、線維形成小 円形細胞腫瘍などの極めて稀な肉腫やその 他の腫瘍は、東北、中四国、本州外など広 く日本中からの症例が集積する傾向にあっ た。また、網膜芽細胞腫においては人口分 布に応じたほぼ全国からの患者集積があり、

集約化が進んでいることがうかがわれた。

本年度は集約が進み、当院への受診率が 高いと考えられる網膜芽細胞腫につき、受 診実態につき調査した。 

B.研究方法

前年度研究で国立がん研究センター中央 病院への集約化が最も進んでいる小児がん である網膜芽細胞腫について、2014年1月か ら12月の眼腫瘍科初診患者を対象とし、年 令、居住地域、受診目的、また、検査治療

のための入院回数を調査した。 

C.研究結果

  2014年1月から12月に国立がん研究 センター眼腫瘍科を診療目的に初診した 網膜芽細胞腫の患者は37人、その年齢分 布は中央値 1 歳 4 か月(日齢 15 から 7 歳)で、70%が 2歳未満であった。居住 地域は北海道2、東北2、甲信越1、関東 7、東京7、東海2、近畿6、中国3、四国 1、九州4、沖縄1であり、関東甲信越以 外からの受診が 50%以上を占めており、

昨年度の 2011-2013年調査と同様ほぼ全 国から受診していた。受診目的は、診断 および治療方針の確認、また、化学療法 及び局所治療目的であった。2015 年 12 月 31 日までの入院回数の中央値は 6 (0-18)回、32%が10回以上の入院を必要 とした。紹介元病院でのMRI実施済みの 病期確認のみの 2 例は入院なしであった が、病期確認MRIを当院にて実施した症 例では静脈麻酔等、鎮静下での実施が必 要であり、1回の入院を必要とした。加療 例では定期的な全身化学療法、メルファ ラン等の選択的眼動脈内注入、ルテニウ ム小線源治療等を実施しており、最大 18 回の入院を反復していた。

D.考察

  網膜芽細胞腫に対する全身化学療法は 全国各施設においても実施されているが、

ルテニウム小線源治療、および、メルフ ァラン等の選択的癌動脈内注入は国立が ん研究センター中央病院以外に国内で実 施している施設はほとんどなく、これを 目的とした入院加療が行われている。ま た、今回の調査対象とはしなかったが、

経過観察のための受診も複数回行われて

(3)

おり、遠方の患者での時間的、経済的負 担は大きいことが推測される。医療費そ のものについては小児慢性特定疾患に該 当しており、公的助成がなされているも のの、外来受診を含めた通院等にかかわ る費用負担の実態調査が必要と考えられ る。

E.結論

  網膜芽細胞腫においては局所療法を目 的とした全国各地からの国立がん研究セ ンター中央病院への複数回の受診、入院 加療が行われている実態が明らかとなっ た。

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1.論文発表

(雑誌論文) 

1) Ono R, Hasegawa D, Hirabayashi S, Kamiya T, Yoshida K, Yonekawa S, Ogawa C, Hosoya R, Toki T, Terui K, Ito E, Manabe A. Acute megakaryoblastic leukemia with acquired trisomy 21 and GATA1 mutations in phenotypically normal children. Eur J Pediatr, 174(4):525-531, 2015

2) Kato M, Manabe A, Saito AM, Koh K, Inukai T, Ogawa C, Goto H, Tsuchida M, Ohara A. Outcome of pediatric acute lymphoblastic leukemia with very late relapse: a retrospective analysis by the Tokyo Children's Cancer Study Group (TCCSG). Int J Hematol, 101(1):52-57, 2015 

3) Yasui N, Kawamoto H, Fujiwara M, Aihara Y, Ogawa C, Hosono A, Suzuki S. High-dose chemotherapy for high-risk retinoblastoma: clinical course and outcome of 14 cases in the National Cancer Center, Japan.

Bone Marrow Transplant, 50(2):221-224, 2015 

4) 歌野  智之, 田中  庸一, 木津  純子,  神谷  尚宏, 小川千登世, 石田也寸志,  細谷  亮太, 真部  淳:小児急性リンパ 性白血病の維持療法期間におけるメル カプトプリン及びメトトレキサート投 与量の推移〜単施設における検討〜.日 本小児血液がん学会雑誌   2015;52:

399‑404 

2.学会発表   関連するものなし

H.知的財産権の出願・登録状況  

1.特許取得 なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

参照

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