● 消 防情 報処 理 シリ ーズ ・
最 適 化 の 考 え 方(2) 一 救急車の最適配置−
1。 目 的 関数 の 定 義
あ る消 防 機 関 にM 台 の 救 急 車 があ り, こ れ をN か所 の消 防 署 所 に 最 適 配 此 す る こ と を 考 え る。 最 適化 を 行 う場 合 , ま ず 何 を も っ て 最 適 と する か の 指 標 , す な わ ち 目 的 関 数 を 明 確 に し てお か な け れ ば な ら ない 。 救急 車 の 最適 配 置 を 検討 す る にあ た っ て, い ろい ろ な 目 的 関数 が 考 えら れる 。 こ こ で は, 出 動 に一 定 時 問以 上 を 要す る 救 急 事 案 件 数 を 最小 にす る 配 置 を 最適 配 置 とす る 。 具体 的 に は, 出 動 に 8 分 以 上 を 要 す る 一 年 間 の 救 急 事 案 件 数 と し た 。 もち ろ ん, 地 域 の 実 状 に 応 じて 5分 以 上 で も10分 以 上 で もか ま わな い 。 こ こ で , 出 動 と は 消 防 署 所 を出 発 し て か ら 救 急 事 案 の 発 生 現 場 に 到 着 す る まで を い う 。
救急 活 動 の 目 的 か ら す る と, 署 所 を 出 発 し て か ら患 者 を 病 院 に 搬 送 す る まで の 時 間 を考 慮 し た 方 が よい よ う に思 わ れ る 。 し か し, 病 院 へ の搬 送 は, 患 者 の 病状 , 病 院 の受 け 入 れ 体 制 な ど に 影 響 さ れ, 救急 車 の 配 置 に は直 接 関 係 しな い 。 した がっ て, 上 記 の よ うに 出 動 時 間 だけ を考 えて さし つ か えな い 。
2. 最 適 化 の 方 法
い ま救 急 車 台 数 (M ) は 消 防 署所 数 ( N ) よ り 少 な く, 一 つ の 署 所 に 2台 以 上 配 置し な いこ と を 前 提 に , 前 回 で 述 べ た 山 登 り 法 を 用
財団法人 消防 科学総 合セン ター 研究貝 山 瀬 敝 郎
い て 最適 配置 を求 め る 。 そ の と き の フロ ー を 図 1 に 示 す 。 救 急 事 案 が 地 域 の特 定 箇所 に非 常 に 偏っ て 発 生 し な い か ぎ り, 最適 解 が 一つ の署 所 に 2 台 以 上 配 置す る も の の中 に ふ く ま れる こ と は まずあ り 得 な い と思 わ れる 。 救急 車 台 数 が 消 防 署所 数 よ り 多 い 場 合 も, す べて の 署 所 に必 ず 1 台 配 置 す る と し て 同 様 に 解 く
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図 1 救 急 車 配 置の 最 適化 ア ル ゴ リ ズ ム 間 始
初 期配 置 を決 定し Ds とす る。
配 置 Dsをも とに1 年 間の 救急 治動 シ ミュ レ ーシ ョン を 行い 、目 的 、 関数 を 計 算し Ps とす る。
配1aDs か ら1 台動 か すこ とに よっ て でき る 全ての 配 置DI.D2 、 …・・
を 作成 す る。
配 置DI 、D2、… …の 日 的関 数PI 、 P2 … ……を 計 算し 、最 も小 さい も D → Ds の をP、 そ の ときの 配li をD と す P → Ps る。
YEs Pく Ps
No Ds を最 適配 置とす る。
終 了
目 的 関 数 値
( 小)
/
図 2 初 気配置と最適配置( 山登り 法)
こ とが で きる 。
山 登 り法 に よ り 最 適化 を 行 う場 合, 初 期 配 置 に よ っ て 到達 す る 解, す な わ ち 最 適 解 が 異 な っ て く る 可 能 性 があ る。 し か し, ど の よ う な 配 雌 を 初 期 配 置 と す る か に つ い て 悩 むこ と はあ まり 意 味 が ない 。 図 2 に 示 す よ う に, 良 い に こ で は 目 的 関 数 が 小 さ い ) 初 期 配 置 か ら ス ター ト し た か ら と い っ て , 必 ず し も良い 解 か 俳 ら れ る 保 証 は な い 。 し た が っ て , 初 期 配 置 は 適 当 に き め て や れば よ く, 通 常 は 現状 の 配 置 を 初 期 配 置 と し て お け ば よ い 。
〈 1 年 間 の 実 際 の 救 急 発 生 状 況 〉
図 3 救 急 活 動 シミ ュレ ー ショ ン の 概念
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3。 目 的 関 数 の 計 算
一つ の 救急 車 の 配 置 案 に 対 す る 目 的 関 数 , す な わ ち 出動 に 8 分以 上 要 す る 救 急 事 案 件 数 は, 対 象 地域 にお け る 実 際 の 救 急 発 生 状 況 を もと に, 一年 問 の 救急 活 動 シ ミ ュレ ーシ ョ ン を 実 行 す る こ と に よ り 求 め る 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 目 的 関 数 を 計 算 す る と き の 概 念 を 図 3 に 示 す。
4. 救 急 活 動 シ ミ ュレ ーシ ョ ン
救 急 活 動 の 流 れは, 概 ね図 4 の よ う に な る 。 過 報 に つ い て は 救 急 車 の 配 置 と関 係 が ない の で 除 き, 出 動 隊 の 決 定 以 降 に つ い て シ ミ ュ レ ーシ ョ ン を 行 う 。[l的 関 数 は出 動 時 問 だ け を考 え た が , 出 動 し た 救 急 車 は, 患 者 の 搬 送 が 終 わり 粁 所 に もど っ た 後 で ない と 次 の 救 急 事 案 に 出 助 で き な い た め , 救 急 活 動 シ ミ ュ レ ーシ ョ ンは 出 発 か ら 帰 署 まで を 対 象 と し て い る 。 現 実 に は , 帰 署 途中 に 次 の 発 生 場 所 に 出 動 す る こ と もあ り 得る が, こ こ で は 考 慮 し て い な い 。
5. ケ ー ス ス タデ ィ
上記 に 基づ い て 開 発 し た シ ステ ムを 実 際 の
図 4 救 急 活 動 の 流 れ 救 急事案 発生
通 報 覚 知
出 動隊決 定 署所 出 発
出 動 現場 到 篇
現 場作業
誤 報、不搬 送 現 場 出 発
搬 送 病 院 到 珊
刑 院待機又 は転 送 病 院 出 発
帰 署 署所 到 着
地 域 に 適 用 し なが ら , シ ス テ ム の基 本的 な考 え方 に つ い て 概 説 す る 。
(1) 対 象 地 域
東 京 近 郊 の あ る都 市 を対 象 にケ ー ス ス タ デ イ を行 っ た 。 当 地 域 に は, 図 5に 示 す よ う に12 の 消 防 署 所 (A 〜L ) が あ り, そ こ に10 台 の 救 急 車 を配 置す る 。同 図 の よ う に,
対 象 地 域 を町 丁 目 で 区 切 る こ と に より 地 区 を 設 定 し , 救 急 事 案 はこ れら の地 区 の 中 心 で 発 生 す る と し た。
(2) 救急 事案
当地 域で は, 年 問 に約 1万 件 の 救急 事案 が 発生 し て い る 。 こ こ で は , 昭 和61 年 の救 急 統 計 か ら 次 の 項 目 を取 り 出 し, 目 的 関数 を 計 算 す る た め の 救急 活 動 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 入力 と し た。 す な わ ち, 昭 和61年 の救 急 発 生 状 況 を も と に 救 急 車 の 最 適 配 置 を 行 った こ と に な る。
・ 発 生 場 所 ( 町丁 )
・ 出動 日時
■ A 〜 L
: 消 防 署 所
図 5 ケ ース ス タ デ ィ 対 象 地 域
・ 現場 作業 時 問
・ 搬 送 の 有 無 , 搬 送 場 所 (町 丁 )
・ 転 送 の 有 無 , 転 送 場 所 (町 丁 ) 個 々 の 事 案 に 関 す る こ れら の 項 目 か ら ,
図 6 救 急 車 配 置 の 最適 化
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〈最適配 雌〉
・8分以上件数 277件
・平均出動時 闘 3.7分
K B
〈現 状 配 置 〉
・ 8 分以 上 件 数 355 件
・平 均 出動 時 間 3.7 分
○ : 救 急 車 配 置署甬
あ る 配 置案 に 基づ い て 出 助 署 所 を 決定 し, (5) 救急 車 配 置 の 最 適 化
出 動, 搬 送, 転 送, 帰 署 に 要 す る時 間 を 計 現状 の 救 急 車 の 配 置 を初 期 配 置 と し て 上 算 す る こ と に より , 1 年 間 の 救 急 活 動 の シ 記 の シ ステ ム を適 用 し た 結果 ,図 6 に 示 す ミュ レ = シ ョ ンを 行 い , 目 的 関 数 の 値 を 計 よ う な 最適 配 置が 得 ら れ た。 目 的 関 数 で あ 算 す る 。 る 出動 に 8 分以 上 要 す る 救 急 事 案 件 数 は ,
(3) 救 急 車 の 走 行 355 件 か ら277 件 に 減 少 し て い る 。 た だし , 市 街 地 図 を もと に道 路 ネ ット ワ ー ク を設 1 件 あ た り の 平 均 出 動 時 間 は い づ れ も3.7 定 し , 救 急 車 は ネ ット ワ ー ク の 最短 経 路 を 分 で ほ と ん ど 変 化 し て い な い 。
通っ て 走 行す る と し た。走 行 速 度 は,出 動 , また , 現 状 配 置 と 最 適 配 置に お け る 消 防 搬 送 , 転 送時 が600m / 分 (36 ォ/ 時 ), 帰 屠 所 別 の 出 動 比 率 は,図 7 の よ うに な っ た。
署時 が300m / 分 (18 ォ/ 時 ) とし て い る 。 両 者 を比 べ る と , 最適 配 置 の方 が 偏 り が 少
(4) 救 急 車 の 出 動 順 位 な くな っ て い るこ とが わ か る。
通 常, 救急 者 が 配 置 し て あ る 署所 ご と に, 6. お わり に
救 急 車 の 出 動 範 囲 が 決 め ら れて い る。 し か ここ で 述 べ た ケ ー ス ス タデ ィは , シ ステ ム し , 妓適 配 置 を求 め る場 合 に は, 現 在 救 急 の テ ス ト的 な性 質 の も の で あ り , 地 域 の評 価 車が 配置 さ れ てい ない 署所 に 配 置 し た と き を行 っ た も ので は な い。 実 際 に 地 域 の評 価 を の 活 動 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン も 行 う 必 要 が あ 行 う に あ た っ て , 信 頼 性 の 高 い 結 果 を 得 る た る。 し た が っ て, 各 地 区 に 対 し て , ネ ット め に は , 救 急 車 の 走 行 をで き る だけ 現 実 に 近 ワ ー ク上 の 走 行 距 離 の 近 い 順 に 第1 か ら 第 い かた ち で シ ミ ュレ ート す る こ と が 最 も重 要 12 まで 出 動 署 所 を 決 め て お き, 出 動 順 位 が で あ る。 し た が っ て , 道 路 ネ ット ワ ー クの 形 高 く , か つ 救 急 車 が 待 機 中 の 署 所 か ら 出 動 状 は も と よ り, 走 行 速 度 を道 路 や 時 刻 (昼 夜 す る もの と し た 。 間)に よ っ て 変 え る な ど の 配 慮 が 必 要 に な る 。
< 現 状 配 置> < 娘適配 置>
図 7 消 防 署 所 別 の 救 急 車 出 動 比 率
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