全文

(1)

最新の脂肪肝診断治療

~紹介適応について~

藤田医科大学岡崎医療センター

消化器内科 舘 佳彦

(2)

COI 開示

筆頭発表者:舘佳彦

演題発表に関連し、開示すべき

COI

関係にある企業などはありません

出典のないスライドは演者作成

(3)

本日の内容

NASH/NAFLDの疫学

NASH,NAFLDの超音波診断 NASH/NAFLDの治療

NNASH/NAFLDの診断

NASH/NAFLDの診断

(4)

NAFLD

(Non-alcoholic fatty liver disease)

• NAFLDは発癌、肝硬変へのリスクの高いNASH

と、そのリスクの低いNAFLを包括した疾患である。

最新の大規模疫学調査(8352人の健診受 信者)において29.7%の有病率1)

国内に1000~2000万人のNAFLD患者が存 在し、その10~20%がNASHと推察される。

1) Eguchi Y, et al.Prevalence and associated metabolic factors of nonalcoholic fatty liver disease in the general population from 2009 to 2010 in Japan: a multicenter large retrospective study. J Gastroenterol,2012

(5)

NAFLDの概念・定義

肝臓の脂肪沈着は組織学的に5%以上とする

病理診断は脂肪変性、炎症、風船様変性が特徴とする。

• NAFL,NASHは相互移行がある。

飲酒の上限はエタノール換算男性30g/日、女性20g/日が 基準である。

薬剤に起因する脂肪性肝疾患は薬物性肝障害として扱う。

ライ症候群、急性妊娠性脂肪肝は除外する。

• NASH肝硬変の中には脂肪変性や風船様変性などのNASHの

特徴が消失しburned-out NASHを呈するものがある。

日本消化器病学会・日本肝臓学会NASH/NAFLD診療ガイドライン2020(改訂第3版)

(6)

BMI別のNAFLD有病率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

BMI<23 23<BMI<25 25<BMI<28 28<BMI

nonNAFLD NAFLD

Eguchi Y, et al.Prevalence and associated metabolic factors of nonalcoholic fatty liver disease in the general population from 2009 to 2010 in Japan: a multicenter large retrospective study. J Gastroenterol,2012

(7)

NAFLD/NASHと癌

• NAFLDからの肝発癌は低率(0.44/1000

人・年)であるがNASHでは5.29/1000人・年、

肝硬変では0.45~22.6/1000人・年である。

• NASH/NAFLDでは大腸癌の発生頻度および

乳癌の発生頻度が増加する。

日本消化器病学会・日本肝臓学会NASH/NAFLD診療ガイドライン2020(改訂第3版)

*男性の大腸癌のハザード比 2.01

*女性の乳癌のハザード比 1.92

*B型肝硬変の発癌率 3%/年

*C型肝硬変の発癌率 6%/年

(8)

本日の内容

NASH/NAFLDの疫学

NASH,NAFLDの超音波診断 NASH/NAFLDの治療

NNASH/NAFLDの診断

NASH/NAFLDの診断

(9)

NASHの治療

肥満:-7%の体重の減量、外科療法

薬物療法:ビタミンE

基礎疾患治療

① 糖尿病:ピオグリタゾン、GLP-1アゴニスト、

SGLT2阻害剤

② 高コレステロール血症:スタチン、エゼチミブ

③ 高血圧:ARB、ACE阻害薬

(10)

治療

薬剤 推奨 推奨の強さ エビデンスレベル

ウルソデオキシコール酸 推奨しない

ビグアナイド 提案しない

B

チアゾリン誘導体* 推奨

A

SGLT2阻害剤

提案

C

GLP1アナログ、DPP4阻害剤

提案

C

ビタミンE** 推奨

A

脂質異常症改善薬 提案

C

ACE阻害剤、ARB

提案

C

*チアゾリン誘導体:本邦ではピオグリタゾンのみ

* * NASH/NAFLDに対するビタミンEの保険適応はない

(11)

本日の内容

NASH/NAFLDの疫学

NASH,NAFLDの超音波診断 NASH/NAFLDの治療

NNASH/NAFLDの診断

NASH/NAFLDの診断

(12)

NAFLD/NASH患者を

どう診断するか?

(13)

肝生検

• 肝線維化

• 脂肪化(5%)

• 炎症

• 風船様変性 Ballooning

肝生検は侵襲を伴う検査です。

(14)

NAFLD/NASH患者の

診断において何が重要なのか?

(15)

線維化ステージ

がNASH患者の

生命予後と関連する

Hagstron H,J Hepatol 2017 Dec;67(6):1265-1273.

(16)

痛みもなく肝線維化を診断できないか?

(17)

線維化鑑別のための スコアリングシステム

FIB-4 index:

AST [IU/L] × age [years]/ platelet count [10

9

/L] × ALT [IU/L]

1/2

NAFLD fibrosis score:

-1.675 + 0.037 × age (years) + 0.094 × BMI

(kg/m2)+1.13 ×impaired fasting glycemia or diabetes (yes = 1; no = 0) +0.99 × AST/ALT ratio

- 0.013 9

×

platelet (9 109/L)- 0.66 9 × albumin

(g/dL)

(18)

FIB4 index

• FIB-4 index:

AST × age / platelet count × ALT 1/2

血液データのみで線維化ステージを予測する。

*3.25以上:肝硬変と診断

*2.67以上:肝生検を推奨

*1.30以上:肝硬度検査を推奨

*1.30未満:経過観察

Richard K. Sterling, et,al. Development of a Simple Noninvasive Index to Predict

Significant Fibrosis in Patients With HIV/HCV Coinfection. Hepatology.2006 Jun;43(6):1317-25.

(19)

肝臓学会のホームページから

(20)
(21)

FIB4 index

• FIB-4 index:

AST × age / platelet count × ALT 1/2

血液データのみで線維化ステージを予測する。

*3.25以上:肝硬変と診断

*2.67以上:肝生検を推奨

*1.30以上:肝硬度検査を推奨

*1.30未満:経過観察

Richard K. Sterling, et,al. Development of a Simple Noninvasive Index to Predict

Significant Fibrosis in Patients With HIV/HCV Coinfection. Hepatology.2006 Jun;43(6):1317-25.

(22)

侵襲のない超音波検査で

肝線維化を診断できないか?

(23)

肝硬度検査:超音波エラストグラフィー

2018年より保険収載

シーメンス

ACUSON S2000

Aplio iシリーズ/Aplio aシリーズ など

富士フィルム

ARIETTA E70

GEヘルスケア

LOGIQ S8 FS

(24)

音波照射力(acoustic radiation force impulse: ARFI) を肝臓の測定部位に照射すると、肝組織は微小な変異を起こす。

押された肝組織は元の位置に戻ろうと動く。この動きはせん断弾 性波(shear wave)と呼ばれ、その速度はVelocity of

shear wave:Vs

値(m/s)で表される。硬い組織では早く、軟 らかい組織では遅くなる。

Shear wave elastography

(25)

N.S

P<0.01 P<0.01

P<0.01

F0-1 F2 F3 F4

SVR(N=121) 1.10±0.24 1.21±0.22 1.35±0.42 2.16±0.66 HCV(+)(N=211) 1.22±0.26 1.55±0.50 1.89±0.70 2.24±0.58

Tachi Y, Hirai T, Kojima Y, Alimentary Pharmacology & Therapeutics 2016 Jun 13;44:346-355.

Fibrosis stageとVs値との相関

(26)

Bモードによる脂肪肝診断

高輝度肝、肝腎コントラスト 肝脾コントラスト

深部減衰、門脈枝静脈枝 不明瞭化

(27)

脂肪肝はよくなりましたか?

(28)

どうやって説明すれば??

前回とくらべて

よくはなっているけれど・・・

(29)

「白い」といっても感じ方はいろいろです

肝臓が白いってだけじゃ 説明難しいな・・・

(30)

Bモードによる脂肪肝の定性的診断

高輝度肝、肝腎コントラスト 肝脾コントラスト

深部減衰、門脈枝静脈枝 不明瞭化

数値としてあらわすことが困難でした。

(31)

どうしても術者の主観に左右される

前回は他の先生が 検査していて

軽度脂肪肝って 記載があるけど・・・

(32)

NASH/NAFLDを客観的に

評価できないか?

(33)

一般的名称:汎用超音波画像診断装置 販売名:超音波診断装置 Aplio i800 TUS-AI800 認証番号:228ABBZX00021000

一般的名称:汎用超音波画像診断装置 販売名:超音波診断装置 Aplio i700 TUS-AI700 認証番号:228ABBZX00022000

一般的名称:汎用超音波画像診断装置 販売名:超音波診断装置 Aplio i900 TUS-AI900 認証番号:228ABBZX00020000

キヤノンメディカルシステムズ(株)

岡崎医療センターにはi700,i900が常備されています。

(34)

減衰:超音波の散乱、吸収による

減衰定数

(dB/cm)

:α=a・f

n

軟部組織ではn=1であるため減衰はαの変わり に比例定数a(dB/MHz/cm)で表される。

*CAPのみdB/m

略称

Controlled attenuation parameter CAP Echosens

Attenuation Imaging ATI Canon

Attenuation coefficient ATT HITACHI

Ultrasound guided attenuation parameter UDAP GE

(35)

Attenuation Imaging:ATI

(36)

ATIと脂肪化%の相関(n=85:自験例)

自験例

(37)

脂肪化とATI(n=85:自験例)

P<0.001

自験例

(38)

脂肪化5%の診断能(n=85:自験例)

Factor

Cut-off 0.60

AUROC 0.910

95CI 0.841-0.979

ATI0.60が脂肪肝の診断Cut-off値である可能性あり

自験例

(39)

肝生検と比較した脂肪化5%の診断能

著者 地域 N 手法 Cut-off AUROC

Tada T 1) 2019 日本 148 ATI Canon 0.66 0.85

Tamaki N 2) 2018 日本 351 ATT HITACHI 0.62 0.79

Fujiwara Y 3) 2018 日本 163 UDAP GE 0.53 0.900

1) Tada T, Iijima H, Kobayashi N, et al. Ultrasound in Medicine & Biology in press.

2) Tamaki N, Koizumi Y, Hirooka M, et al. Hepatol Res. 2018; 48:821-828.

3) FujiwaraY, Kuroda H, Abe T, et al. Ultrasound Med Biol. 2018; 44(11):2223-2232.

Attenuation0.60 前後が脂肪肝の診断閾値か?

(40)

Aplio i800

Attenuation Imaging

による は

肝脂肪化を

客観的

かつ

定量的

に評価し得る

ツールである可能性がある。

ATI値

(41)

2D-Shear Wave Elastography

(42)

線維化Stageと肝硬度(Vs)

自験例

(43)

• 形態の観察→性状の評価

①SWEによる肝硬度:線維化

②Attenuationによる減衰:脂肪化 NASH,NAFLDの診断が可能に?

超音波診断のこれから

(44)

かかりつけ医から専門医紹介 フローチャート

肝線維化の可能性を評価

線維化マーカー高値

FIB-4index 1.3以上、NFS -1.455以上 血小板数 20万/mm³ 未満

消化器内科へ紹介 適時採血画像

フォローアップ 健康診断、人間ドック

脂肪肝を指摘 医療機関に定期受診あり

肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧 肝逸脱酵素/腹部超音波で

検査所見異常

なし あり

日本消化器病学会・日本肝臓学会NASH/NAFLD診療ガイドライン2020(改訂第3版)改変

(45)

肝癌サーベイランス

肝線維化進展例の絞り込みフローチャート

消化器病・肝臓専門医による二次スクリーニング

NAFLD

FIB-4<1.3 NFS<-1.455

Low risk

検診フォロー

87%

FIB4 1.3-2.66 NFS<-1.455~0.674

Intermediate risk

SWE,肝生検 考慮

12%

FIB-4 >2.67 NFS >0.675 High risk

SWE,肝生検 推奨

1%

日本消化器病学会・日本肝臓学会NASH/NAFLD診療ガイドライン2020(改訂第3版)改変

(46)

本日のまとめ

• NAFLD/NASH患者において肝線維化が 予後に関連します。

• FIB4index 1.3以上、血小板20万

/mm 3 未満が専門医紹介の基準です。

• 最新の超音波検査にて肝硬度、脂肪肝 が客観的に評価可能です。

本日のまとめ

(47)

スタッフ力を合わせて

診療させていただきます。

(48)

今後ともよろしくお願いいたします

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 :

Scan and read on 1LIB APP