弥生文化のルーツの解明

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科研費NEWS 2011年度 VOL.2

弥生文化のルーツの解明

國學院大學栃木短期大学 日本史学科 教授

小林青樹

 本研究は、弥生文化の起源を東アジア全体のなかで探 求し、新しい歴史像の再構築を目指したものです。従来の 説では弥生文化の起源は朝鮮半島にあり、それが北部九 州に伝播し、東方の縄文文化に広がったという単純なもの でした。また大陸との関係においては、紀元前108年に前 漢帝国による楽浪郡が設置されなければ、大陸の文物は 流入しないというのが定説でした。しかし国立歴史民俗博 物館によるAMS炭素14年代測定により、弥生開始年代が 従来の説より500年も遡り、その起源をめぐる問題は大きく 変わりました。本研究では、さらに国内外で年代の見直しを おこない、弥生文化の起源に関わる2つの大きな発見をしま した。

 福岡県や佐賀県など北部九州での調査の結果、最初の 弥生土器文様の大部分は、東北縄文の亀ヶ岡式文化の 文様に起源することが明らかになりました(図1)。これが第1 の発見です。分析の結果、土器の粘土は地元産、文様は 東北そのものであり、東北縄文人が北部九州に来て土器 製作に関わったと考えました。また、東北の漆器も多数北部 九州に来ており、ものづくりでの東北縄文文化の影響は計 り知れません。

 第2の発見は、中国北方の青銅器・鉄器文化の再検討 の結果、戦国七雄の一つである燕国の鉄器などの痕跡を 北部九州各地で確認したことです。これまでの定説よりも約 250年前の紀元前4世紀中頃、すでに燕国や東方の遼寧 地域との間に直接的な交流があったことを明らかにしました。

この2つの発見により、弥生文化の成立は、想像を超える遠 隔地とのダイナミックな交流によって達成されたものであるこ とがわかりました(図2)。

 縄文文化と大陸文化が融合した弥生文化は、日本文化 の起源を考える上で重要です。起源の探求は、いずれ中国 北方地域を超え、ユーラシア全体に広がるでしょう。今後は、

歴史学、人類学、神話学、言語学などとの連携が進み、 本人と日本文化の起源の研究が深まることを期待します。

平成16−20年度 学術創成研究 「弥生農耕の起源と 東アジア-炭素年代測定による高精度編年体系の構築-」

(連携研究者) 研究代表者:西本豊弘(国立歴史民俗 博物館)

平成21−23年度 基盤研究(B) 「紀年銘中原系青銅 器の再検討による中国北方青銅器文化研究の再構築」

図1 東北縄文土器文様から弥生土器文様への変化 この文様は、近畿地方に伝播して銅鐸の文様ともなった。

図2 初期の弥生文化形成にみる2つの大きな流れ

研究の背景

研究の成果

今後の展望

関連する科研費

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人文・社会系

Culture & Society

(記事制作協力:日本科学未来館科学コミュニケーター 五十嵐海央)

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