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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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高 齢 者 の 社 会 的 孤 立 の 問 題 と ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 課 題

││オランダ・SWOLの﹁高齢者孤立防止プロジェクト﹂の活動から││

空 閑 浩 人

はじめに

日本における高齢者の社会的孤立の問題

1.社会的孤立の度合いが高い日本 2.高齢者の社会的孤立がもたらす悲劇 蠱

SWOLによる高齢者の孤立防止プロジェクト

1.SWOLの概要と孤立防止の取り組み 2.﹁ギャラリー会話︵Galerijgesprekken︶﹂プロジェクト 3.夏の孤立防止プロジェクト 4.配偶者と死別した人への支援 蠶

社会的孤立の防止に向けて

1.﹁自立支援﹂ということ 2.社会的孤立防止のためのソーシャルワークの課題 蠹

おわりに

― 19 ―

(2)

はじめに

今日︑人口の高齢化が進行するなかで︑一人暮らしの高齢者が誰にもみとられずに亡くなる﹁孤独死﹂や︑高齢者の

自殺の問題が深刻化している︒また高齢者夫婦世帯で介護疲れなどにより無理心中を図ったり︑配偶者を殺害するなど

の事件も相次いでいる︒そして︑これらの問題の背景には︑一人暮らしの高齢者や夫婦のみの高齢者世帯が︑地域のな

かで近隣との接触も薄く︑また周囲にうまく助けを求められないなど︑社会的に孤立化しているという実態がある︒こ

のような状況のなか︑厚生労働省は高齢者間の心中や孤独死を防ぐための﹁孤立死ゼロ・プロジェクト﹂を二〇〇七年

度に実施する方針を固めている︒

筆者は二〇〇六年九月にオランダ・レオワルデン︵Leeuwarden︶市を訪れる機会を与えられ︑そこで高齢者の社会的 孤立の防止に力を入れているSWOL︵StichtingWelzijnOuderenLeeuwarden︶という民間団体を訪問した︒その際S

WOLのソーシャルワーカーや関係者に対して︑社会的孤立の問題やそれを防止するための活動に関する聞き取り調査

を行うとともに︑ソーシャルワーカーやボランティアが行う家庭訪問活動に実際に同行する機会を得ることができた︒

本稿では︑今日の日本における高齢者の社会的孤立の状況を踏まえ︑このSWOLが行っている社会的孤立防止のた

めのプロジェクトやその具体的な活動内容について述べるとともに︑日本における社会的孤立の問題に対するソーシャ

ルワークの課題について考察する︒ 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 20 ―

(3)

%  16  14  12  10  0

                                       

総人口 

低所得者 

たまにしか会わない    まったく会わない 

日本における高齢者の

社会的孤立の問題

1.社会的孤立の度合いが高い日本

図1は︑OECD加盟国における社会的孤立の状況を表

した調査結果であり︑﹁社交のために友人︑同僚または家

族以外の者と︑まったくあるいはごくたまにしか会わない

とした示した回答者の割合﹂をグラフにしたものである︒

これによれば︑日本は﹁家族以外の人﹂と︑まったくある

いはごくたまにしか会わないと答えた人の割合が先進国の

なかで最も高く︑社会的孤立の度合いが非常に高い社会と

いうことになっている︒

この調査結果について︑広井良典は現在の日本社会の日

常的な人と人︑あるいは人と社会との関係における以下の

ような例を考えると︑ある意味当然のことのように思われ

るとしている︵広井2006:204−11︶︒

︵1︶見知らぬ者同士がちょっとしたことで声をかけあ

ったりコミュニケーションをとることが︑︵現在の︶

1 OECD加盟国における社会的孤立の状況 2001年

注:この主観的な孤立の測定は、社交のために友人、同僚または家族以外の者と、ま ったくあるいはごくたまにしか会わないと示した回答者の割合をいう。図におけ る国の並びは社会的孤立の割合の昇順である。低所得者とは、回答者により報告 された、所得分布下位3番目に位置するものである。

出所:OECD編著・井原辰夫訳(2005)『世界の社会政策の動向−能動的な社会政策 による機会の拡大に向けて−』明石書店、31頁。

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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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日本社会ではほとんど見られないこと

︵2︶︵広義の︶﹁あいさつ﹂や感謝の言葉が非常に使いづらかったり未成熟だったりすること

︵3︶見知らぬ者同士のあいだで︑互いに道や順番などを﹁ゆずり合う﹂といったことが稀であること

︵4︶同じマンション等の住民の間ですら︑あいさつをかわしたりしないことが一般的になっていること

︵5︶駅や街頭などで身体や荷物などをぶつけあったりしても互いに何も言わないことが珍しくないこと

広井の指摘の背景として︑現在の日本では伝統的な地縁的・血縁的なつながりが都市化による環境の変化により希薄

化し︑人々が互いのことに無関心になるとともに︑その生活が他者から干渉されることもなくなり︑いわば﹁個﹂の︑

あるいは﹁個人単位﹂の生活やライフスタイルが重視される傾向にあるということがいえる︒さらに︑人々のコミュニ

ケーションの手段がITの発達の中でインターネットや電子メール︑携帯電話等によるものに傾倒していくなかで︑対

面的な関係︑すなわち肉体を介したコミュニケーションの機会やその重みが減少し︑家族関係や親子関係を含めた人間

関係が︑いわば﹁浅く﹂なっているということとも無関係ではないであろう︒また︑グラフに示されているように︑人

口全体と比較して社会的孤立の度合いが低所得者の間で高くなっているということにも注目すべきである︒いずれにし

ても︑そのような今日の日本社会の状況のなかで︑特に職場や集団に属する機会を失い︑特に近隣とのつながりもな

く︑さらに経済的にも豊かでない一人暮らしなどの高齢者にとっては︑ますます社会的孤立に陥るリスクを多く抱えざ

るを得なくなっており︑人口の高齢化が進むなかでそのリスクは高まっているのである︒

2 .高齢者の社会的孤立状況がもたらす悲劇

社会的に孤立した状態にある高齢者が増大している状況とそのリスクの拡大を象徴的に表す出来事として︑日本にお

ける﹁孤独死﹂﹁自殺﹂﹁介護心中・介護殺人﹂の問題について最近の新聞記事から取り上げてみたい︒ 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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二〇〇六年五月の新聞は︑東京都の都営住宅と都市再生機構の賃貸住宅︵旧都市基盤整備賃貸住宅︶の一人暮らし世

帯で二〇〇四年度中に計四一〇人がいわゆる﹁孤独死﹂の状態で亡くなっており︑そのうち約七五%が六五歳以上であ

ったと報じている︵﹃東京新聞﹄二〇〇六年五月七日朝刊︶︒また︑同記事は孤独死の状態で亡くなった一人の女性につ

いて︑次のように記している︒

二月十三日︒弱々しい陽光がカーテン越しに差し込んでいた︒︵中略︶シズエさんは一人静かに冷え切った湯船

につかっていた︒台所の小さな戸棚に一人分の食器が整然と収まっている︒十一日の夕食前だったと︑監察医は推

定した︒﹁貧血で意識を失い︑おぼれ死んだようだ﹂︒七十七歳で生涯を閉じてから︑丸二日がたっていた︒

記事によれば︑﹁独り身になってシズエさんはぼけが進んでいた︒﹃シャツが足りない﹄﹃誰かが冷蔵庫の牛乳を飲ん

だ﹄︒周りを犯人扱いし︑近所づきあいは減っていた﹂とされている︒﹁孤独死﹂の問題は︑この女性のように︑都会で

生活する一人暮らしの高齢者が︑近隣とのつながりも薄く︑誰かにうまく助けを求めることも出来ず︑また地域や行政

もその生活を支えられないままに︑社会的孤立化の様相を深めているということを表している︒

次に︑同年六月には︑年間自殺者数が八年連続三万人を超えたことが報じられた︵﹃朝日新聞﹄二〇〇六年六月一日

夕刊︶︒記事によれば︑昨年一年間の全国の自殺者数は三万二五五二人で︑性別では男性が二万三五四〇人と全体の七

割を占め︑さらに年代別では六十歳以上が最も多く一万八九四人で全体の三割を超えているという︒これを見るかぎ

り︑確かに現在でも高齢者の自殺は深刻な事態であるが︑それに次いで四〇〜五〇歳代の働き盛りの世代の自殺も多い

ことから︑現在はもちろんのこと︑将来にわたっても一層この問題が深刻化する可能性があることを直視する必要があ

る︒このような状況のなかで︑二〇〇六年六月には︑自殺対策に関する法律として﹁自殺対策基本法﹂が国会で成立し

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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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た︒その基本理念を示した第二条には﹁自殺対策は︑自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく︑

その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ︑社会的な取組として実施されなければならない﹂とされており︑

自殺が﹁社会的な問題﹂であるとともに︑自殺対策を社会的な取り組みとして実施すべき課題と定めている︒また︑自

殺問題やその予防に詳しい高橋祥友は︑﹁自殺は︑自由意思に基づいて選択された死などでは決してなく︑いわば﹃強

制された死﹄である﹂︵高橋2006:7 ︶とし︑その予防のためには背景にあるうつ病などの心の病の早期発見と適切な

治療の実施が必要であるとしたうえで︑次のように述べている︒

私は精神科医であるが︑かといって︑心の病の早期発見と適切な治療だけですべてが済むとは考えていない︒自

殺のキーワードは﹃孤立﹄である︒困ったときには︑誰かに助けを求めても構わない︑むしろ︑それが適切な対応

なのだという点を強調したい︒︵高橋2006:222︶

高齢者の自殺を予防するには︑その背景に高い割合であるとされるうつ病の早期発見・治療とともに︑家族の中であ

るいは地域の中で孤立させないための仲間づくりや生きがい対策などの社会的な取り組みが求められるのである︒

さらに︑同年九月の新聞では︑介護疲れなどによる高齢者夫婦間の心中や殺人事件が相次いで起きていることを報じ

ている︵﹃朝日新聞﹄二〇〇六年九月一七日朝刊︶︒記事によれば︑﹁老老世帯﹂の孤立ぶりが浮かび上がるとし︑ま

た︑男性が加害者となる例が目立つという︒その背景には︑家事や介護に困難を抱えがちな夫が︑隣近所とのつながり

が薄く︑福祉関係機関へ連絡︑相談するなど専門職にもうまく助けを求められないままに︑妻の介護を一人で抱えこむ

ことで﹁介護の孤立化﹂を招いている状況がある︒介護サービスの提供はもちろんのことであるが︑介護の悩みを打ち

明けたり︑相談が気軽に出来︑様々な情報が得られるような専門職や地域の人々との社会的接触の場や機会が︑日常的 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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に保障されていく必要がある︒

このように高齢者の社会的孤立をめぐる問題については︑単に地域社会や人のつながりが希薄化しているというだけ

ではすまされない状況にある︒孤立を防止するために︑人々の生活を社会的に支援する役割を担うソーシャルワークは

何をすべきなのか︒以下︑オランダ・SWOLの高齢者孤立防止プロジェクトの活動を取り上げて検討してみたい︒

SWOLによる高齢者の孤立防止プロジェクト

1.SWOLの概要と孤立防止の取り組み SWOL︵StichtingWelzijnOuderenLeeuwarden= レオワルデン高齢者福祉法人︶とは︑オランダのレオワルデン市

で高齢者福祉に関する様々な活動を行っている民間団体である︒レオワルデン市は︑オランダ北部のフリースランド

︵Friesland︶州にある人口約九万人の都市である︵図2︶︒﹁私たち︑レオワルデン高齢者福祉法人の職員は︑三つの方

法であなたたち高齢者を支援します﹂という言葉で始まるSWOLのホームページには︑

漓のすまち保をりがなつと私会社とたなあ︑はちた︒ 滷らすまけ助をたなあか私生発の題問︑はちた︒ 澆にすまし決解を題問緒私一とたなあ︑はちた︒

と書かれている︒孤立しがちな高齢者に社会とのつながりを持たせると同時に︑生活問題の予防に努め︑問題が起こっ

た場合には利用者と協働して解決のために取り組むことを通して︑高齢者の生活全般を支えていくことを目的とした団

体である︒

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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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訪問時︑約二五人の事務職員やソーシャルワ

ーカーを抱えているこの法人の人件費や活動に

必要な資金の大半は︑市からの補助金でまかな

われており︑新たなプロジェクトの企画や実施

の際にも市へ提案して補助金を申請するとい

う︒

活動の特徴としては︑そのコンセプトとして

高齢者の﹁自立﹂を支援するということ︑そし

て︑どの活動も多くのボランティアの参加を得

ているということであろう︒老後の過ごし方の

選択肢をいかに増やすかということが︑高齢者

の自立を支援することにつながるとして︑様々

な趣味のサークル活動︑パソコンやインターネ

ットの講習︑また哲学や文学などの教養講座の実施など︑高齢者が参加・受講できる講座を数多く企画し︑実施してい

る︒それぞれの活動ごとに担当のソーシャルワーカーがつくが︑実際の運営等は住民のボランティアの力によって行わ

れているものが多い︒

SWOLは︑そのような地域の社会教育センター︵EducatiefCentrum︶としての役割を担うとともに︑前述したよう

に高齢者の様々な生活問題に対応した取り組みを行っている︒そして︑それらの活動のなかでも︑特に︑高齢者の孤独

や社会的孤立︵EenzaamheidenSociaalIsolement︶の防止のための活動に力を入れており︑様々な孤立防止プロジェク

2 レオワルデン(Leeuwarden)市の位置 出所:世界経済情報サービス(2006)『ARCレポート

2005:オランダ』

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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トが展開されている︒たとえば︑継続して実施されているものに︑﹁高齢者のそばに︵RondomSenioren︶﹂と名付けら

れたプロジェクトがある︒これはSWOLの登録ボランティアが︑高齢者の自宅を訪問して︑話し相手になるなどの活

動を行うものである︒オランダでは︑日本と違って︑基本的に子どもは成人すると親の家を出て暮らすようになり︑将

来的にも親と同居することはない︒人口の高齢化が進むにつれて︑高齢者夫婦のみの世帯や一人暮らしの高齢者世帯が

増加し︑それに伴って︑地域における高齢者の孤独や孤立の問題が増大しているという︒また外国人や移民が多いオラ

ンダでは︑他国籍をもつ高齢者が地域のなかで差別されるなどの問題もある︒SWOLでは︑このような社会的孤立や

社会的排除の問題を﹁社会福祉問題︵maatschappelijkprobleem ︶﹂として位置づけて︑その問題の予防や解決に取り組

んでいる︒また︑実際にこの活動を担う登録ボランティアは︑高齢者との信頼関係の形成からその孤独を癒し︑社会的

な孤立を防止するための方法を研修で学んでおり︑SWOLの担当ソーシャルワーカーによるコーディネートやアドバ

イスのもとで活動を行っている︒さらに︑SWOLにはこのプロジェクトと並行して行われている︑いくつかの特徴的

な孤立防止プロジェクトがある︒以下に取り上げて紹介したい︒

2 .﹁ギャラリー会話︵Galerijgesprekken︶﹂プロジェクト 地域の高齢者が集まって対話する機会をつくる活動である︒孤立しがちな高齢者の社会的な接触︵contacten︶の場作

りとして︑地域ごとにソーシャルワーカーが高齢者の自宅を訪問︑あるいはSWOLから手紙を出して参加を促し︑一

度に一〇〜十五人の高齢者が集まって行われる︒﹁高齢者は出会いの場を求めている﹂という考えから︑一人暮らしな

どにより︑社会的接触の機会が少ないと思われる高齢者に参加してもらうように働きかけているという︒何らかのテー

マを設定して︑参観者が輪になって座り︑ソーシャルワーカーの司会・進行のもと︑一回で二時間程度の話し合いを行

う︒図3は︑そのプログラムの例である︒

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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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この集まりは︑その時々の話し合いのテーマ

によって︑地域の問題について住民間で共有

し︑解決していくための集まりになることもあ

れば︑共通の趣味を持った人々の集まりの場と

もなる︒地域における防犯等の安全確保やゴミ

処理等の環境に関する問題︑また地域の相談機

関や福祉サービス等についての要望など︑その

内容によっては︑報告書を作成して市へ提出

し︑施策に反映させるための働きかけをも行う

ことになる︒この集まりを通して︑住民委員会

︵bewonerscommissie︶の設立や︑近隣の助け合 い︵burennhulp︶︑また相互に気軽に訪問︵be- zoekjes︶しあえる関係づくりを促している︒こ

のように︑﹁地域の高齢者をアクティブにする

こと︵Activeringvanouderen︶﹂がこの活動の

大きな効果としてあげられている︵SWOL2004

b:5︶︒

もちろん︑ソーシャルワーカーが訪問して誘

っても︑参加に否定的な反応を示す高齢者もい

ギャラリー会話プログラム(Programma Galerijgesprek)

日 付[Datum]:〈年月日〉

時 間[Tijd]:〈○時〜□時〉

場 所[Locate]:〈会場名〉

テ ー マ[Thema]:「自宅周辺地域の住みやすさ、安全、福祉」

(Leefbaarheid, veiligheid en welzijn in de eigen omgeving)

司 会[Panelleider]:〈司会者名〉

記 録 者[Notulist]:〈記録者名〉

出席者数[Aantal deelnemers]:〈実際の出席者数〉

14:00 はじめの会[Introductie bijeenkomst]

14:30 住みやすさと安全について[Leefbaarheid en veiligheid]

どうすれば、アパートの中や周辺が生みやすく、安全になると思いますか?

(Hoe wordt de leefbaarheid en veiligheid in en rond de flat door u ervaren?)

14:55 社会的接触について[Contacten]

アパートではどのようにして社会との接触を持っていますか?

(Hoe ervaart u de contacten in de flat?)

15:20 (福祉)施設について[(Welzijns)voorzieningen]

地域の(福祉)施設や機関についてどのような意見を持っていますか?

(Wat is uw mening over(welzijns)voorzieningen in de wijk?)

15:50 まとめの会[Samenvatting bijeenkomst]

16:00 終わりの会[Afsluting bijeenkomst]

3 「ギャラリー会話」プログラム例 出所:SWOL(2004 b)Galerijgesprekken SWOL informatiemap,p. 10

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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る︒そのような高齢者には参加を無理強いせずに︑継続して訪問することにより︑まずはソーシャルワーカーとの信頼

関係を築くことを大切にしているという︒

筆者がSWOLの本部を訪問した際に︑この活動がテレビ放映された際の番組を録画したビデオを見せてもらった︒

﹁隣近所との接触がなくてアパートがホテルのような感じになっている﹂︒

﹁アパートの外との接触はあるが︑一緒にアパートに住んでいる者同士の交流がない﹂︒

ソーシャルワーカーの司会・進行に合わせ︑日常生活で不安に感じていることなどについて語り合っている場面のな

かで︑参加者が語っていた言葉である︒このように︑孤立しがちな高齢者に対して︑相互の﹁直接的﹂﹁対面的﹂な関

係を大切にした社会的接触の機会︑すなわち出会いの場や近隣のつながりを形成し︑深める機会を与え︑そして安全で

住みよい地域づくりの一環として実施されている活動である︒

SWOLのソーシャルワーカー達に︑日本では社会的孤立に伴う﹁孤独死﹂の問題が深刻になっているという話をす

ると︑確かにオランダでもそのようなことがあるということであった︒﹁孤独死﹂防止のためには︑その前提として︑

社会的孤立を防止するための取り組みが必要であり︑そのためには住民の社会的な接触の機会を︑いかに日常のなかに

つくっていくかということが問われる︒特に一人暮らしで孤立しがちな高齢者にとっては︑地域における住民同士のつ

ながりが生活の基盤となるといっても過言ではないであろう︒高齢者の社会的孤立をなくそうとするSWOLの取り組

みは︑住民に働きかけ︑住民の力を引き出しながら︑住民とともに近隣のネットワークや小さなコミュニティづくりを

進める活動であるといえる︒

3.夏の孤立防止プロジェクト

オランダでは︑七月〜九月はじめの夏の間に︑数週間の長期休暇をとって海外やリゾート地へと出かける家族が多

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高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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い︒すなわちその時期︑アパートや地域には︑高齢者のみが﹁残された﹂状態になるのである︒地域が静寂に包まれる

この時期︑特に身寄りがない一人暮らしの高齢者の孤独感が一層深まるという︒まさに﹁大きな静寂は︑大きな困難と

なりうる﹂︵Liwwadders,NR.78 ︶のである︒SWOLではこのような﹁夏の間の孤独﹂︵eenzaamheidindezomer ︶に関

心を寄せたプロジェクトを企画し︑実施している︒

﹁二〇〇六年夏のプロジェクト

toe!uaarnkomtWOLS:2006Zomerproject ﹂!︶︵すSま来にばそのたなあがLOW :

と題されたこのプロジェクトでは︑SWOLのソーシャルワーカーが高齢者宅を訪問して︑夏の間の生活状況などにつ

いて話を聞き︑必要であれば話し相手や外出の際の付き添いのボランティア活動につなげたり︑SWOLが企画するイ

ベントや各種サークルなど︑地域の高齢者の集まりに誘うなどの活動を行う︒また︑各種の社会福祉︑社会保障制度や

必要な手続き方法の説明等も行っている︒自宅に直接訪問することが多いが︑時には路上にいる人に声をかけて道端の

ベンチで話をしたり︑スーパーマーケットなどで買い物をしている高齢者にも声をかけるという︒ただ︑このような個

別の訪問活動では︑ソーシャルワーカーの身に危険なことが起こる可能性もあるとのことで︑活動は二人一組で行い︑

携帯電話で連絡が取れるようにしているとのことである︒

訪問・面接内容は︑書式を定めた﹁活動内容一覧表︵Actielijst︶﹂に記録しているが︑その項目は︑日付︵Datum︶︑ 住所︵Adres︶︑名前︵Naam︶︑状況や訴え︵Signalen︶︑対策︵Acties︶︑備考・参照事項︵Verwijzingen︶となってい

る︒

筆者は︑このプロジェクトを担当しているソーシャルワーカー二人に同行して地域を歩き︑二件の家庭訪問を行っ

た︒以下に事例として簡単に紹介したい︒ 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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事例1

住夫在トーパア︑婦者五齢高の半後代歳〇 :

SWOLのソーシャルワーカーが以前にも何度か訪問したことのある家庭のようで︑筆者も含めて快く家の中に招

いてくれる︒

二年前にこの地域へ引っ越してきたが︑なかなか地域になじめないでいる︒妻がオランダ人でない︵ロシア人との

こと︶せいか︑挨拶をしてくれないなど︑近隣の人たちの偏見を感じることがある︒またこの地域はフリースランド

州の方言もあって︑妻には言葉がわかりにくく︑そのこともこの地域になじめない理由の一つである︒アパートの上

の階の人に︑一緒にコーヒーを飲まないかと誘ったこともあるが︑二回誘って︑二回とも断られた︒三回目は誘いに

くい︒近いうちに引っ越しを考えているとのことであった︒ワーカーは︑﹁引っ越しのことでも相談にのるからいつ

でも連絡して︑また来るから﹂と伝える︒

事例2

住ら在トーパア︑し暮八人一︑性女歳五 :

玄関で身分証明書を見せての自己紹介と訪問の趣旨を伝えて︑家の中に入れてもらう︒

ワーカーが生活状況を尋ねると︑一人暮らしだが︑子どもが多い︵六人︶ので︑普段は誰かがときどき孫を連れて

訪ねてきてくれるが︑今は長期休暇中でみんな旅行に行っているので寂しいとのこと︒早くに夫を亡くして︑一人で

六人の子どもを育ててきた︒今まで自分で何でもやってきたのに︑年齢とともにだんだんとできなくなっていくのは

つらい︒子どもに手助けは頼みにくい︒ワーカーが︑誰か話し相手に訪問して欲しいかと尋ねると︑特にはいらない

との返事︒それなら同世代の集まりがあったら参加したいかと聞くと︑そういうのがあるなら行きたいとのことであ

った︒ワーカーは︑住所を確認して電話番号を聞き︑SWOLが企画・実施しているイベントや集会等の話をして︑

今後そのような案内を郵送すると伝える︒また︑自分の名刺を渡して︑何か困ったことがあったら︑いつでも連絡す

― 31 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(14)

るようにと伝える︒

オランダでは︑子どもが成人して家を出て行く︑また離婚や配偶者との死別等により一人暮らしになるなど︑その

時々の世帯状況や生活状況に合わせて家を引っ越すことが多いという︒その意味では高齢になっての引っ越しにも抵抗

感は少ないのであろう︒そして事例1のような理由で転居を希望するケースもある︒いずれにしても︑ソーシャルワー

カーやボランティアが引っ越しに伴う手続きを一緒にするなどといった援助をすることもよくあるという︒事例2につ

いては︑はじめは︑突然の訪問に︵日本人の筆者も一緒なのでなおさら︶不審を抱いている様子であったが︑ワーカー

と話をするうちに︑徐々にうち解けていく様子が伺えた︒訪問したときの住民の反応などについてワーカーに尋ねる

と︑﹁訪問してもはじめは不審がられたり︑断られることもあるが︑繰り返し訪問したり手紙を出したりするなどかか

わりを継続していくことで︑相手の信頼を引き出すことができる︒そして一度信頼されると積極的に話をしてくれるよ

うになる︒関心を持ち続ける︑かかわり続けることが大切﹂と語っていた︒また︑訪問に同行したワーカーは︑訪問の

途中︑通りにいる人や数人で立ち話をしている人々に対して︑実によく声をかけていた︒﹁直接住民から話を聞くこと

で︑その地域の状況もよくわかる﹂という︒このような訪問活動は︑個別のかかわりから地域理解を深め︑個人にそし

て地域全体に必要な支援を見出し︑具体化していくプロセスにおいて︑非常に重要な実践であるといえよう︒この同行

訪問を通して︑ソーシャルワーカーが自ら地域に出向き︑各家庭を訪問し︑住民に直接話を聞くことによる生活問題・

ニーズの発見とその後の継続的なかかわり︑そしてボランティアや各種の福祉サービス︑利用できる制度などの必要な

社会資源へのつなぎによる問題解決といった︑まさに生活支援の実践としてのソーシャルワークの基本を見せられた思

いであった︒

夏の間の高齢者の孤独や社会的孤立に関心を寄せたこのプロジェクトについては︑市民新聞に記事として大きく掲載 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 32 ―

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されていた︵Liwwadders,NR.78︶︒SWOLが行うプロジェクトの内容やそこでのボランティアの活動の様子などが︑

このように市民新聞に紹介されるということも︑住民が地域の問題についての関心をもち︑またSWOLのような福祉

関係団体の活動への理解︑さらには地域住民による積極的なボランティア活動にもつながっているといえるであろう︒

4.配偶者と死別した人への支援

︵1︶プロジェクトの目的

SWOLが実施している高齢者の社会的孤立を防止するプロジェクトのなかでも︑ユニークなものとして︑配偶者と

死別した人への訪問・支援活動︵bezoekdienstenvoorweduenenweduwnaars︶が挙げられる︒このプロジェクトは二〇

〇四年から実施しているが︑効果があるということで継続して行っているという︒基本的に成人した子どもが親と同居

することがないオランダでは︑特に高齢期になって配偶者と死別することは︑それまでの夫婦の絆が強いほど孤独感を

深め︑生きる意欲を失うことにもなりかねないという︒配偶者との死別を体験することにより生じる孤独や社会的孤立

の問題への対応として︑この活動が実施されている︒このプロジェクトでは︑ソーシャルワーカーの紹介により︑同じ

く配偶者と死別した体験を持つボランティアが︑家庭訪問を一定期間継続して行い︑話し相手になったり外出をともに

するなどの活動を行うことで︑主に精神的な回復の支援を行う︒筆者は︑配偶者と死別して︑アパートで一人暮らしを

している女性︵Aさん︶宅へ︑担当ボランティア︵Bさん︶およびソーシャルワーカーに同行して︑訪問させてもらっ

た︒訪問の際に行ったAさんやBさんへのインタビューの内容も交えて︑このプロジェクトの内容について紹介した

い︒

︵2︶活動の概要

配偶者と死別した人のリストを市役所から提供してもらい︑最初にSWOLからプロジェクトの紹介とボランティア

― 33 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(16)

による訪問の希望を尋ねる手紙を出して︑ボランティアに訪問して欲しいかどうかの希望を確認する︒すぐに返事がな

くても︑しばらくして再び手紙を出すなどして連絡を取り続ける︒決して無理強いはしないが︑﹁あなたに関心を持っ

ている﹂というサインを送り続けること︑そして自分に関心を向けてくれる人がいると思ってもらうことが大切である

という︒訪問の希望があった場合︑まずはプロジェクト担当のソーシャルワーカーが訪問して面接を行い︑活動内容の

詳細等の説明をする︒面接の内容から︑この人にはどのボランティアを派遣するのが良いかについて検討し︑そのボラ

ンティアと一緒に訪問してお互いを紹介し︑両者のマッチングを行う︒もし両者が合わない場合には︑そのマッチング

を見直す︒

また︑ボランティアによる訪問の対象となるのは︑対人コミュニケーションに問題がないなど︑いわば︑特に医療の

側面からの治療的なかかわりの必要がない人であり︑その判断はSWOLのソーシャルワーカーが行う︒また︑ボラン

ティアによる訪問が始まったケースでも︑難しい場合はソーシャルワーカーが訪問して︑必要であれば精神科医などに

相談している︒さらに︑SWOLでは︑ボランティアによる個別訪問だけでなく︑高齢になって配偶者と死別した当事

者同士が集まる機会を用意している︒ボランティアによる個別のかかわりや対話をしばらく続けた後に︑そのような集

まりへの参加を促し︑当事者相互の交流や支え合いのネットワークづくりを支援している︒

︵3︶ボランティアについて

この活動を担うボランティアは︑自身も過去に配偶者と死別した体験をもっているということが参加の条件になる︒

ボランティアを希望する人たちには︑心理学やカウンセリングなどについて︑一定のプログラムの研修を受講すること

が義務づけられている︒それには︑このプロジェクトは︑あくまでも﹁同じ経験をもつ人が訪問する﹂ということを重

視したものであり︑実際に訪問を行うボランティアが︑ある程度自分で判断して活動が実施できるようにという考えが

基盤にある︒また︑この研修のなかで︑ボランティア希望者には一定期間継続して活動することを約束してもらうとい 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 34 ―

(17)

う︒つまりボランティアだからといって︑いつでもやめて良いという形にはしていない︒派遣前あるいは派遣中には︑

SWOLスタッフのソーシャルワーカーと打ち合わせを行うほか︑ボランティア同士のミーティングの機会も定期的に

設けている︒また︑ボランティアによる訪問期間は︑利用者の状態によって様々であり︑訪問期間が終了した後でも電

話等による相談に応じている︒

訪問に同行させてもらったボランティアのBさんは︑この活動に参加した動機を次のように語っていた︒

自分は以前に看護師の仕事をしていたので︑人が亡くなる場面には多く遭遇していた︒しかし︑自分自身がパー

トナーを失う体験をして︑はじめて気づいたことやわかったことがたくさんあった︒パートナーを失った後には︑

そのことについて周囲に語ることがタブーとされる文化がある︒これには体験した人でないとわからないつらさが

ある︒その体験を活かして︑同じようなつらさや苦しみのなかにいる人を支えたいと思ったのが︑この活動に参加

した動機である︒

Bさんによれば︑この活動に携わることで︑ボランティア自身が支えられることも多くあるという︒しかし︑﹁一義

的な目的はあくまでも︑悲しみの状態にいる人を支えること﹂ということであった︒この活動は︑過去に同じ体験をし

ている者同士であるからこそ︑お互いにわかりあえるということを大切にしたものである︒ただ︑それをボランティア

が一人で抱え込むことにならないように︑あるいは単なる自己満足的な活動でなく必要な場合は適切な専門機関との連

携を行いながらの支援となるように︑事前研修や活動中のミーティングを行いながら︑活動が進められているのであ

る︒

― 35 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(18)

︵4︶この活動の意義について

訪問の際に︑Aさんは配偶者を亡くした後のことについて︑次のように語っていた︒

夫を亡くした後に近隣の人たちに会うと何か避けられているように思えることがあった︒もちろん︑声をかけて

様子を尋ねてくれる人もいるが︑無理に明るく振る舞って余計につらくなっていた︒兄弟や子どもに対しても︑亡

くなった人の話をしづらい雰囲気がある︒以前に弟夫婦に誘われて旅行に出かけたことがあるが︑夜になると弟夫

婦とは別の部屋になって︑一人で寂しい思いをした︒そのことを弟に伝えるが︑﹁がんばらないと﹂と言われて余

計につらくなった︒

この活動の意義について︑一緒に訪問したソーシャルワーカーは︑﹁長年連れ添ったパートナーを失うという体験

は︑親や兄弟を亡くすこととは異なった意味を持つ︒それが本人にしかわからない悲しみやつらさであっても︑それを

何らかの形で乗り越えていくことが︑その後の人生のためには必要である︒ボランティアがかかわることによって︑悲

しみやつらさを否定するのではなく︑その表出のかたちや方向を変えていく役割をこの活動は担う︒それによって︑こ

れまで以上に充実した人生が開ける可能性もある﹂と語っていた︒

日本では︑葬式のあとも一定の期間ごとに﹁法事﹂があり︑また定期的に家族や親族が集まって一緒に墓参りをする

などの機会がある︒そのようなときには︑亡くなった人の思い出話をすることが多いと筆者が話しをすると︑Aさんは

﹁それはとても良いことですね︒思い出話ができることがうらやましい﹂と語っていた︒

配偶者を亡くした本人の悲しみには︑時間が経つにつれて︑つまり生活が日常に戻っていくにつれて︑かえって深ま

っていく悲しみやつらさがあると思われる︒そのような悲しみやつらさ︑また亡くなった人の﹁思い出話﹂を共有でき 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 36 ―

(19)

る対人関係がもてない状況では︑ただ単に︑時間が経てば悲しみが薄れていくというものでは決してないであろう︒亡

くなった直後というよりもむしろ︑生活が日常を取り戻すにつれて高まっていく危機的な状況への介入とサポートの必

要性がここにあるといえる︒

社会的孤立の防止に向けて

1.﹁自立支援﹂ということ

前述したように︑SWOLが実施している高齢者の生活支援のための様々なプロジェクトに共通するコンセプトは︑

高齢者の﹁自立支援﹂である︒そして︑これはオランダ全体の社会福祉施策の基本的な方針ともなっている︒SWOL

のあるソーシャルワーカーは︑﹁老後の活動の選択肢をいかに増やすかということが自立支援のために必要﹂と語って

いた︒このことはSWOLにより地域で企画・開催される数多くの趣味のサークルや教養講座︑また︑それらを含めた

SWOLの様々な活動に︑大勢のボランティアが携わっているということにもつながる︒

今回の訪問で重点的に調査した︑一連の﹁社会的孤立防止プロジェクト﹂についても︑一人暮らしの高齢者や︑配偶

者を亡くした高齢者の﹁自立﹂を支援するということが共通の目的となっている︒そして︑その﹁自立﹂のためにこ

そ︑社会的な接触︵contacten︶の機会が保障される必要があるということである︒すなわち︑SWOLによる自立支援 のための活動が︑﹁誰もが誰かをなしではいられない︵Niemandkanzonderiemand︶﹂︑﹁誰もが他者との社会的な接触な

しではいられない︵Niemandkanzondersociaalcontactmetanderen︶﹂という考えのもとに行われていることに注目した

い︒いわば︑﹁﹃自立﹄のためにこそ︑﹃孤立﹄させてはいけない﹂という自立観であり︑援助観なのである︒この考え

が︑SWOLによる様々な社会的孤立防止プロジェクトのなかで︑﹁自立﹂のための環境や条件整備のための活動とな

― 37 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(20)

り︑すなわち︑多様なかたちでの社会的接触の機会を保障する活動として具体化されているのである︒

さらに︑このような個々人の自立を支援する取り組みは︑﹁地域の自立﹂や﹁コミュニティの自立﹂とでもいうよう

な︑住民主体の地域やコミュニティの形成にもつながっているといえる︒ソーシャルワーカーの訪問や働きかけによ

る︑住民同士の社会的なつながりやネットワークの形成と︑地域住民が集まって話し合う場や機会づくりの活動は︑住

民が自らの地域の問題に関心を持ち︑問題の解決に向けて主体的︑積極的に取り組んでいくきっかけや意欲につなが

る︒たとえば︑﹁ギャラリー会話﹂プロジェクトによる﹁地域の高齢者をアクティブにする﹂という効果などは︑まさ

に﹁地域住民のエンパワメント﹂につながるといえよう︒

2.社会的孤立防止のためのソーシャルワークの課題

︵1︶﹁アウトリーチ﹂と﹁問題・ニーズの発見﹂

以上述べてきたようなSWOLの取り組みを踏まえ︑高齢者の社会的孤立防止のためのソーシャルワークの課題につ

いて検討したい︒SWOLの活動に関する調査を通して︑筆者が強く感じたことは︑ソーシャルワークの機能・役割と

しての﹁アウトリーチ﹂と﹁問題・ニーズの発見﹂の重要性であった︒SWOLのソーシャルワーカーは一連の孤立防

止プロジェクトのなかで︑実によく地域に出向いて︑高齢者宅を訪問し︑また住民にかかわっているという印象を受け

た︒オランダの住宅は窓が大きく︑外から家の中の様子がうかがえるようなつくりになっているものが多いが︑訪問活

動に同行したソーシャルワーカーは︑窓から見えるカーテンの色や形など︑外から見た部屋の雰囲気で︑高齢者が住ん

でいるかどうかがわかるという︒そのような家庭に直接訪問して話をする︒また︑手紙を出したり︑直接パンフレット

などを持って行って︑地域の集まりなどに誘う︒そのように色々な方法でかかわり︑働きかけを続けるのである︒﹁自

立﹂の価値観を大切にするオランダ人は︑日本とはまた異なる意味で︑人に助けを求めることに対して抵抗感を抱くの 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 38 ―

(21)

かもしれない︒しかし︑ボランティアによる訪問活動も含めた社会的接触の機会となる様々な活動の選択肢を︑こちら

から積極的に提示することで︑SWOLの活動に興味や関心をもってもらい︑利用︑参加してもらおうとする働きかけ

を行うのである︒このようにソーシャルワーカーが地域に出向き︑地域の人々の話を直接聞くことで︑個々人や地域全

体への理解が深まる︒それによって︑社会的接触の機会を失い孤立しつつある人や︑介護や医療などの専門的なサービ

スを必要とする人など︑高齢者や高齢者夫婦が抱えている問題状況を発見し︑どのような援助や社会資源の活用が必要

なのかといった︑そのニーズを知ることができる︒そしてボランティアや福祉サービスなどの必要な社会資源を活用し

て︑孤立しがちな高齢者を社会的な接触の機会へ︑そして地域へとつないでいく︒﹁高齢者のそばに﹂という意味の

﹁RondomSenioren﹂という一連の孤立防止プロジェクトのテーマは︑ボランティアが高齢者のそばに行くという訪問活

動の内容を表すのみでなく︑﹁高齢者のそばで﹂また﹁高齢者のいるところから﹂︑必要なかかわりや援助の内容を見出

すという︑SWOLのソーシャルワーカーの姿勢と実践をも表しているといえよう︒

︵2︶社会的接触の機会と﹁居場所﹂づくり

社会的孤立の問題をめぐるSWOLのソーシャルワーカー達との話のなかで︑何度も聞かされたのは﹁contacten﹂と

いう言葉であった︒すなわち当然のことであるが︑孤立しがちな高齢者に﹁社会的接触﹂の機会が日常的にあること

が︑孤立防止のためには最も重要ということである︒そして︑そのためにはボランティア活動などの近隣住民による活

動や住民同士のつながりが求められ︑それが孤立防止の大きな力になるのである︒本稿のはじめに取り上げた︑東京都

営・旧公団住宅の孤独死について報道した記事のなかでは︑主な遺体発見者は親族関係が一二三件︑次いで近隣・自治

会関係者が六七件︑民生委員やホームヘルパーなどの保健・福祉関係者が六〇件︑警察が四六件などどされている

︵﹃東京新聞﹄二〇〇六年五月七日︶︒ここで近隣住民と保健・福祉関係者の数に大きな差がないということ︑また警察

に発見されるケースは︑死後しばらくたってからの異変に気づいた近隣住民の通報によるものが多いということから

― 39 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(22)

も︑都会の団地内で日常的な近隣関係が希薄になっていることが伺える︒孤立防止にはソーシャルワーカーなどの専門

職の力だけではどうしても限界があり︑SWOLの活動に見られるように︑地域住民に働きかけ︑ボランティア活動へ

の参加を促し︑地域住民同士の社会的接触が日常的にもてる機会や場所︑あるいはそのきっかけになるような企画や催

しを行うことが求められる︒いわば﹁他者への関心﹂を︑地域住民の日常のなかでいかに引き出し︑それを根付かせて

いけるかどうかが︑社会的孤立防止のためのソーシャルワークの課題であるといえる︒

また︑それは高齢者に対して︑ただ単に社会的な接触の機会を増やせばよいということでは決してないであろう︒そ

の接触の機会や住民同士のつながりが︑孤立しがちな高齢者にとって︑自分の存在が認められ︑尊重され︑また自分の

存在の価値が実感できるような体験や関係であることが必要である︒それはすなわち︑自分にとっての﹁居場所﹂が地

域のなかにあるかどうかということである︒

そこには自分が愛情によってとり包まれている︑自分自身を表出できる︑メンバーによって了解されているなど

として捉えられる共通感覚がある︒居場所は人間にとってなくてはならない場所である︒人間が居場所を失ったと

き︑それは社会的に死を宣告されたようなものだ︒︵藤竹2000:47︶

特定の他者との親密なつながりであったり︑何らかの集団の一員としての居心地の良さなど︑﹁居場所﹂のかたちは

人によって様々である︒いずれにしても﹁人間はここが自分の居場所だと感じることができる空間をもつことができた

とき︑アイデンティティ︵自分が社会に生きている証拠︶を確かめることができる﹂︵藤竹2000:47−48︶のであり︑

それがもてないとき﹁社会的に死を宣告された﹂ような状態に陥るのである︒社会的孤立の状態とは︑まさに社会や地

域のなかでの﹁居場所の喪失﹂を意味しているといえる︒前述した新潟県における自殺防止のための事業のなかで行わ 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 40 ―

(23)

れた調査では︑﹁自殺を容認・肯定する文化︑あるいは役に立たなければ生きていく意味がないとする社会が︑高齢者 の自殺の背景にあることが浮き彫りになった﹂︵高橋2006:177︶とされている︒このような社会の価値観を問い直す

ような地域住民への理解と啓発のための働きかけも︑高齢者の社会的孤立の防止のためには求められるのである︒ま

た︑オランダと異なり︑日本の高齢者の場合は︑家族と同居している場合も多いが︑その家庭のなかに﹁居場所﹂があ

るかどうかについても考慮が必要である︒家族と暮らす家庭のなかでの孤立状況も高齢者の自殺の背景にあることが指

摘されている︒

うつ病では従来︑独居や高齢︑特に独居の高齢が自殺の危険因子とされてきた︒しかし現在では︑独居ではなく

家族と一緒にいて︑なおかつ高齢という人に自殺が多くなっている︒つまりもう従来の危険因子からだけでは︑自

殺の危険性は判断できなくなっている︵筒井2004:172︶︒

日本の高齢者の自殺については︑決して一人暮らしの高齢者だけが孤立によるリスクが高いのではなく︑﹁家族がい

ても︑実際には高齢者は孤独に暮らしていて︑結局は孤独が自殺の大きな危険因子となっている﹂︵筒井2004:174︶

こともあることに注意が必要であろう︒家庭が﹁居場所﹂となっているか︒家族のなかに﹁居場所﹂があるか︒このよ

うな視点が︑高齢者の社会的孤立を防止するためのソーシャルワークに求められるといえよう︒いずれにしても︑孤立

しがちな高齢者が︑社会的接触を通して︑それを自分の﹁居場所﹂として実感できるような社会的なつながりや関係づ

くり︑機会や場づくりがソーシャルワークの課題として求められ︑そのような﹁居場所﹂づくりには地域住民の力が必

要となるのである︒﹁地縁的・血縁的な

!古い共同体

"がくずれ︑しかしそれに代わる

!新しいコミュニティ

"が出来

ていない﹂︑また﹁都市化が進み経済も豊かになって社会が﹃個人﹄単位のものになっていく﹂なかで︑﹁そうした個人

― 41 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(24)

をもう一度﹃つないで﹄いく何かが必要なのだが︑それがまだできていない﹂という現在の日本社会についての広井の 指摘︵広井2005:104︶は︑日本における高齢者の社会的孤立や孤独死の問題の背景として捉えることができる︒そし

て︑日本のソーシャルワークは︑そのような新しい﹁つながり﹂のかたちと︑それを通して人々の﹁居場所﹂を社会的

にどう作るのかということを︑地域に出向いて︑孤立しがちな高齢者にかかわり続け︑そして社会や地域住民への働き

かけを続けながら見出していかなければならない︒

おわりに

﹁個人主義﹂︑﹁自立心の強さ﹂︑あるいは﹁自立した個人﹂︒そのようなイメージを漠然と抱いて訪問したオランダで

あった︒確かに︑SWOLの様々なプロジェクトについても︑それは前述した様に︑あくまでも高齢者本人の﹁自立﹂

を援助するという観点からの取り組みや活動である︒高齢者の生活支援をめぐる話のなかでも︑子どもや家族による支

援というような話が出てこないというのも日本との違いとして感じた点である︒また︑何らかのかかわりや援助をする

際にも︑あくまでも決めるのは本人次第で︑こちらはいかに必要なあるいは魅力ある企画や活動のメニューを用意し

て︑さらにそれをいかに伝えていくかが重要という姿勢は︑SWOLのソーシャルワーカーへのインタビューのなかで

も感じられた︒しかし︑﹁自立すること﹂は﹁孤立すること﹂とは異なる︒そして︑﹁自立させる﹂ことは﹁孤立させ

る﹂ことではないのである︒SWOLの取り組みは︑高齢者が︑いわゆる﹁自立した個人﹂であり続けるために︑生活

のなかで何が必要なのかを問う実践である︒そしてそのために︑高齢者の日常的な社会的接触の機会をいかに保つか︑

またボランティア活動や社会教育︑生涯学習等も含めた活動や参加の選択肢をいかに増やすか︑すなわち高齢者が自分

の選択で社会参加できるような場や機会をいかに豊かにするか︑ということが︑﹁自立﹂のために﹁孤立﹂させないた 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

― 42 ―

(25)

めのSWOLの多様な取り組みとして具体化されているのである︒そして︑それはソーシャルワーカーによる﹁アウト

リーチ﹂と﹁問題・ニーズの発見﹂という日々の地道な活動に支えられ︑さらに︑そのような生活上の問題は︑あくま

でもその地域で暮らす住民の問題とすることで︑﹁住民の参加﹂を促し︑住民の力に支えられた問題解決と﹁コミュニ

ティづくり﹂や﹁地域の居場所づくり﹂の実践となっているのである︒

前述したように︑SWOLによる社会的孤立防止のための活動の根底にあるのは︑﹁誰もが誰かをなしではいられな

い﹂︑﹁誰もが他者との社会的な接触なしではいられない﹂という考えであった︒このことは︑たとえ﹁自立した個人﹂

であるためにということではないにしても︑生活あるいは生きることの基盤として︑日本人にとっても同じであろう︒

地域の高齢者に社会的な接触の機会を保障することによる新たな﹁つながり﹂の形成と︑そのような活動を通した地域

での居場所づくり︑そしてそのための訪問活動︵アウトリーチ︶と問題やニーズの発見︑ボランティアの参加と地域住

民の力の活用という︑SWOLのソーシャルワークの実践から学びつつ︑日本における社会的孤立を防止するための実

践のかたちを見出していきたい︒

︵謝辞︶

本調査研究にあたり︑ヒアリングや資料提供に快く応じてくださったNynkeBijleveld氏はじめSWOLのソーシャルワーカーの

方々︑ボランティアや地域住民の方々に心より感謝申し上げます︒

また︑オランダ在住のリヒテルズ直子氏には︑訪問先との連絡や通訳等多大なご尽力・ご協力を頂きました︒深く感謝申し上げ

ます︒

︵付記︶

本稿は︑文部科学省科学研究費二〇〇六年度基盤研究B

盪ジ︱較比のと型類欧西と型類アア﹁東・韓日︱較比際国の祉福域地﹂

︵研究代表者

︒助るあで部一の果成究研るよに成の井︶授教部学会社学大社志同勉岡 :

― 43 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(26)

注︵1︶﹁孤立死防止へ総合対策﹂︵﹃読売新聞﹄二〇〇六年八月二二日︶

YOMIURIONLINE読売新聞﹁医療と介護﹂ www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20060822ik05.htm︵二〇〇六年九月二五日︶

記事によると︑二〇〇七年度予算の概算要求に一億七〇〇〇万円を盛り込み︑そのプロジェクトの内容は︑全国のモデル自

治体で

漓地域社会の再生

滷異の使用を確認して変なを察知するシステどス急緊病などに対応する急ガ通報装置や︑電気・ム

などハード面の整備

澆すの事業を実施るなとされているど認介の護サービスと連確携による安否︒

︵2︶大木昌は︑このような都市部の人間関係の希薄化のなかで︑他者への想像力や共感力が欠如し︑それが周囲への無関心とな

って表れているなど︑現代の日本における人々の価値観や生活状況について取り上げ︑それを﹁関係性喪失の時代﹂という

キーワードで論じている︵大木2005︶︒

︵3︶日本におけるこれまでの自殺予防の取り組みとして︑新潟県東頸城郡松之山町︵現十日町市︶における老年期の精神保健活

動が有名である︒新潟県は高齢者の自殺率が全国平均よりも高かったが︑一九八五年度から開始された﹁老人の心の健康増

進及び自殺防止﹂の事業が効果を上げている︒その事業の一環として行われた調査の結果︑高齢者の高率な自殺の背景に

﹁高齢者が孤立する傾向﹂が明らかになったとされている︵高橋2006:175−179︶︒

︵4︶オランダは地方分権が進んでいる国であり︑社会福祉においてもその権限は地方自治体へ委譲されている︒また行政と民間

団体との役割分担が明確であり︑行政は市の社会福祉施策の基本方針の策定と︑施策やそれに基づく事業の実施のための予

算の確保を役割とし︑具体的な福祉サービスの提供や社会福祉に関する活動の実施は︑SWOLのような民間団体の役割と

なっている︒このあたりのことについては他稿で詳しく取り上げたい︒

︵5︶SWOLが各種講座の案内として発行している﹃CursusProgramma2006−2007﹄という冊子には︑現在開講している四六の

講座の内容の紹介︑およびそれぞれの開催期間︑曜日︑時間︑場所︑受講料や参加料等の説明が掲載されている︒また︑こ

れらの講座の紹介は︑レオワルデン市の市民広報︵﹃Liwwadders﹄毎月発行︶にも定期的に掲載している︒

︵6︶オランダの人口は︑一六二九万二〇〇〇人︵二〇〇五年一月一日現在︶で︑六五歳以上人口は約二三〇万人︑その全人口に

占める割合は一四・〇%となっている︒﹁高齢者の人口は戦後のベビーブーム世代が退職する時期を迎える二〇一〇年以降に

急速に増大し︑二〇三〇年には三八〇万人に達する﹂とされている︵経済情報サービス2006:116︶︒ 高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

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(27)

︵7︶オランダでは︑総人口に占める外国人の割合が年々高くなっており︑二〇〇五年には一九・一%を占めている︒また︑その

うち一〇・四%は︑トルコ︑モロッコ︑スリナムなどのヨーロッパ以外からの移民とされている︵経済情報サービス2006:

117︶︒

︵8︶﹁ArtikelwebsiteSWOLspeerpuntprojecten

isolementprsociaalenzaamheideenrondomproject”enorniSeondom“Rtecoj・ −

︵﹂S −

WOLホームページ内に掲載︶

ここには高齢者の社会的孤立を防止するプロジェクトに関する基本的な考えが述べられている︒

︵9︶たとえば︑SWOLが孤立防止プロジェクトと並行して︑最近力を入れているプロジェクトに︑地域に住む異なる世代の

人々の相互理解を促して︑コミュニティづくりを進めようとするものがある︒一例を挙げると︑若い世代の人々だけを集め

て﹁高齢者﹂イメージについて話し合う︒それとは別に高齢者だけを集めて﹁若者﹂イメージについて話し合う︒その後︑

それぞれの集まりの話し合いの内容をもって︑合同の場を設定して︑対話や交流を深めるというものである︒さらに︑この

ような話し合いの結果を踏まえて地域住民を招いてのパネルディスカッションを行うこともある︒若者が高齢者を理解し︑

高齢者が若者を理解するという︑お互いに対しての偏見や先入観にとらわれない世代間交流を通して︑安全で住みよい地域

にしていこうとする取り組みである︵SWOL2004a,2006a,2006b︶︒

引用・参考文献

藤竹暁︵2000︶﹁居場所を考える﹂藤竹暁編﹃現代人の居場所︵現代のエスプリ別冊︶﹄至文堂︑四七︱五七頁︒ 広井良典︵2005︶﹃ケアのゆくえ科学のゆくえ﹄岩波書店︒ 広井良典︵2006︶﹃持続可能な福祉社会︱﹁もうひとつの日本﹂の構想︱﹄ちくま書房︒ 空閑浩人︵1999︶﹁介護保険制度におけるソーシャルワークの課題︱高齢者の﹃孤独死﹄・﹃自殺﹄の問題をめぐる考察︱﹂﹃同志社

社会福祉学﹄同志社大学社会福祉学会︑第一三号︑五八︱七一頁︒

倉部誠︵2001︶﹃物語オランダ人﹄文藝春秋︒ 長坂寿久︵2000︶﹃オランダモデル︱制度疲労なき成熟社会︱﹄日本経済新聞社︒ OECD︵2005︶ExtendingOpportunities:HOWACTIVESOCIALPOLICYCANBENEFITUSALL.︵=二〇〇五︑OECD編著・井原

辰雄訳﹃世界の社会政策の動向︱能動的な社会政策による機会の拡大に向けて︱﹄明石書店︶︒

― 45 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

(28)

大木昌︵2005︶﹃関係性喪失の時代︱壊れてゆく日本と世界︱﹄勉誠出版︒ 世界経済情報サービス︵2006︶﹃ARCレポート2005

オランダ﹄︒ :

下条美智彦︵1998︶﹃ベネルクス三国の行政文化︱オランダ・ベルギー・ルクセンブルク︱﹄早稲田大学出版部︒ SWOL︵2004a︶Consumentenpanel“GeneratiesinGesprek”inWirdummei2004.

SWOL︵2004b︶GalerijgesprekkenSWOLinfomatiemap. SWOL︵2006a︶Aldeboarn:“DorpvooralleLeeftijden”.

SWOL︵2006b︶Eindresultatenproject“Wirdumherbergzaamvoorjongenoud”.高林秀明︵2004︶﹃健康・生活問題と地域福祉︱くらしの場の共通課題を求めて︱﹄本の泉社︒ 高橋祥友︵2006︶﹃自殺予防﹄岩波書店︒ 筒井末春︵2004︶﹃うつと自殺﹄集英社︒ その他の引用・参考資料およびwebsiteレオワルデン市民新聞﹃LiwwaddersNR.78﹄︵二〇〇六年六月︶︒

﹃LiwwaddersNR.81﹄︵二〇〇六年九月︶︒ SWOL各種講座案内﹃CursusProgramma2006−2007﹄

﹁都営・旧公団住宅﹃孤独死﹄四〇〇人超﹂﹃東京新聞﹄二〇〇六年五月七日朝刊︒

﹁自殺︑8年連続3万人﹂﹃朝日新聞﹄二〇〇六年六月一日夕刊︒

﹁孤立させない近所の力︵介護⁝悲劇をなくせ︒︶﹂﹃朝日新聞﹄二〇〇六年七月一五日朝刊︒

﹁﹃介護疲れ﹄相次ぐ悲劇﹂﹃朝日新聞﹄二〇〇六年九月一七日朝刊︒

SWOLホームページ

tmagswohframeset.a/start_inl/p.nipemaatskl.d九日〇二月︶年六〇〇二︵ : YOMIURIONLINE読売新聞﹁医療と介護﹂

o.jp/iryou/news/kaigo_news/20060822ik05.htmwww.yomiuri.c二年〇月九〇六〇︶二︵日 : 課のとクーワルャシーソ者題問の立孤的会社の齢高題

― 46 ―

(29)

The problem of the elderly’s social isolation and the subject of social work

──A study from the activities of “the project for preventing elderly from being isolated” by SWOL in Netherlands──

Hiroto Kuga

Today, while the aging of the population progresses, elderly people of living by oneself and married couple’s elderly household are in danger of being isolated so- cially. They have rarely contact with the neighborhood and can’t ask someone for help.

In September, 2006, I visited the SWOL (Stichting Welzijn Ouderen Leeuwar- den), which is grappling with the problem of social isolation of elderly people in Leeuwarden-city, Netherlands.

SWOL has various projects to prevent the social isolation of elderly people.

SWOL does activities to give various opportunities for “social contact” to elderly people, for the purpose of “support for independence of them”. And, the activities to support for independence of individuals is connected with, so to speak, “the inde- pendence of the area” and “the independence of the community”. “That someone should become independent” is different from “that person is isolated”. Then, “mak- ing someone to become independent” is not “making the person to become isolated.”

Weakening of the human relations in the area, is shown as the background of the social isolation of elderly people in Japan. Then, some opportunities for social contact must be prepared for the elderly people. We must find how make the inhabi- tants’ connection in the area by the inhabitants’ power and activities, that is for ex- ample volunteer activities. For this purpose, the role of “reaching out for elderly people”, “the discovery of the problem and needs”, and “making inhabitants active”, become very important roles for social work practice. Therefore, social workers must keep going to the area, keep visiting to elderly people, and keep being concerned.

― 47 ―

高齢者の社会的孤立の問題とソーシャルワークの課題

図 2 レオワルデン(Leeuwarden)市の位置 出所:世界経済情報サービス(2006) 『ARC レポート
図 3 「ギャラリー会話」プログラム例 出所:SWOL(2004 b)Galerijgesprekken SWOL informatiemap, p. 10

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