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‑e,‑de,‑ke,‑je及びPrafixe be‑,je‑,ver‑を中心と した考察

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東南部低地ドイツ方言,東中部ドイツ方言領域にお ける/e/のNormとしての機能について Suffixe

‑e,‑de,‑ke,‑je及びPrafixe be‑,je‑,ver‑を中心と した考察

その他のタイトル Uber die Leistung des /e/ in den

sudostniederdeutschen und ostmitteldeutschen Mundarten, vom lautlichen Feld aus betrachtet

著者 水野 恒生

雑誌名 独逸文学

巻 19

ページ 71‑103

発行年 1974‑04‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00017832

(2)

東南部低地ドイツ方言,東中部ドイッ方言領域 における/ e / の Norm としての機能について

Suffixe ‑e,  ‑de,  ‑ke,  ‑je及 び Prafixebe‑,  je‑,  ver‑ を 中 心 と し た 考 察

水 野 恒

低独地域の各方言団体の所属員の,敏感な郷土的言語感覚が示すところ と異り,周知の通りドイツ方言研究の分野では,久しい以前から低地ドイ ツ語というひとつの統一体の存在を認めている.然し乍ら不思議なこと に,これ迄のところ言語地理学も音韻地理学も,はたまた言語地図もNd. という全ー的なもの(もしその様なものがあるとしたら)の各部分々々を

B. Panzer及び W.Thiimmelの言葉を借りれば,まるでモザイクの様 に示して呉れるにとどまり. 各々が Nd.という全体像の欠くべからざる 分節を為していると云う認識を,我々に与えて呉れるところ迄はいってい ないのである.

しかも皮肉なことに,こうした傾向に絶望し,これに背を向けて個々の方 言に埋没し,その中に音韻形態上の緊密な体系を見出そうとした所謂Ort‑ grammatik COG)が,曽てあれ程痛烈に Th.Frings

J .

Vandenheu‑ vel等に叩かられ乍らも,今日却て構造主義的音韻論そして又言語内容 中心の文法論の側からも,貴重な資料の提供源として注目され始めている のは興味深いことである1).

従来の Wortgeographie,Lautgeographie, Sprachatlas'といったも のに対する批判のひとつは,低地ドイツ語に属する各方言の特殊性ーー特

‑ 71‑

(3)

に15〜16世紀以来目立ち始めたHd・の影響一の為に,真のNd・的音韻変 化をてき出することが, これ迄の方法をもってしては正確を期し難い点に 根差している.即ち,話される言語の宿命として,Phonologieの側から見 て,例えばieという音ひとつを取り上げても,少くとも6通り以上もの 固有のLautzeichenが主張され,そのどれをAllophon即ちfakultative Varianteにすべきか,或いは又その全てをRelevanzにすべきかという すこぶる難しい問題があり,一方inhaltbezogeneGrammatik側から見 れば,とりわけWortgeographieが提供する資料の,特に量的な面での信 頼性の乏しさである. その点ひとつの方言に対象をしぼり, paroleから langueを抽出し,又その方言の特徴をなす或る特定の音韻形態に着目し て, それが全体系にどの様な影響を及ぼしているかを探るOGは,今日 意外に稔り豊かな結果をもたらし,更に又前述の意味で,様々な学派に貴 重な資料を提供することが,今後予想されると言えよう.

Vandenheuvel等の,OG"に対する手厳しい批判,即ち,OGはしばし ばひとつの先入主ないし予め設定された法則に合うもののみを採録する傾 向があり, しかも生きたRedeから切り離されたPausephonetikである が故に,最も重要な音韻のニュアンスが全く取り上げられていない, とす る主張に対し,K.Baumgartner,P.vonPolenz,H.Steger等の流れを くむ方言研究家B.Panzer及びW.Thiimmelほその著D彪助,オe伽"g

〃γ〃.M'"血γ#g〃α〃Gγ""ddE"s""ルオ"γg舵〃跡、加峨""gdesVb〃α"S‑

"sl971の中で,構造主義的音韻論の立場に立ってOGを弁護し,そ の利用価値を高く評価している.然し乍ら音韻論はTongebungの分析 には不向きであり,その意味からOGでは重要な音のニュアンスが無視 されているとするVandenheuvelの主張は一応もっともであると考えら れるが,必ずしもそうではなく,本稿の筆者がこれ迄しばしば指摘してき た様に,一方言の郷土性ひいてはNationalitatを忠実に反映するTon‑

gebungの特徴は,当方言の音韻形態にひとつのNormとして明確に顕れ

−72−

(4)

一方,文章語の揚合と異り,本質的に話され,聞かれる言語である方言 の語野を把握し,図式化することは,とりわけ通時的な観点からして非常 な困難が予想される.即ち Nd.としての Altber linischMittelmar‑ kischが示している通り1516世紀以降の記録,例えば BerlinerStadt‑ biicherに書き記されている言語は,当時の文章語即ち,LeipzigFrank‑ furt a.  0.を中心とする一般通用語としての Obersachsisch‑MeiBnisch (Ostmd.)であり,従ってその語彙,語法が,そのまま Mittelmarkisch, Altberlinischもしくは Neuberlinischといった低独的方言は勿論のこ

と,上部ザクセン語圏内の諸方言の民衆語のそれに,一致するとは限らない のである3).従って此の意味に於て,量的に乏しい資料を掻き集め,極め て強引に通時的な Wortstandの透視図を作成したとしても,その信頼注 は低いと言わざるをえないであろう.故に特に通時的比較考察に重点を置

. . . . . .  

いて,生きた一方言の語野を求める場合,その試みはあまり古い時代に渕る ことは,事実上不可能とさえ思える.これ迄に為された極く少数の試み が,何れも一方言団体の現時点を中心とした,老年令層と若年層との比較 にとどまっているのは,ひとつには上記の理由によると思われる. Hd. に於ける

J .

Trierの方式に倣って, Verstandの意味領域についての,一 方言に於ける語野を,とりわけ通時的に探る試みは,唯単にドイツ方言固 有の平均的特性,即ちNegativitatを浮き彫りにしただけで,少くともこ れ迄のところ何等割目すべき新事実の発見にはつながっていない.しかも こうした特性は,語野理論の助けを借りずとも,既に古くから良く知られ ている事実なのである.

即ち,方言に於ては Normを逸脱したものへのnegativな語彙,表現が 実に豊富で,しかも具象的である.換言すれば,方言は抽象的でpositiv 語彙,言い回しに乏し<,W.Mitzkaの言葉を借りれば,,Normalfall"

若しくは,,Anerkennung"の範疇に入るものは,文章語に比し蓬かに数少

‑ 73 ‑

(5)

く, しかも類型的である.A.Mohrは,例のTrierの方式を踏襲して1939 年,低独地域に属する一方言を対象とした〃g〃オe腕〃"eノル〃"Sc賊オz""g

〃sハ化"sc"e〃加吻γハ〃a.desA郷オesD70応"αgg〃伽S""eγ〃"d.〃〃

"、""血γオ"b"es功γαc"此"es凡〃に於て語野を調査し,結論として世代に 関係なく (但し彼の調査対象は年令的に当時の20代から70〜80代にかけて というすこぶる幅の狭いものではあるが)当語野に於て最も密度の濃い部 分はnegativな語彙であり,最も稀薄な部分がpositivなものであると しているが4),これは既に,例えば1919年にO・WeiseがThtiringische Mundartを中心とした方言の音韻形態に基く古典的な方法によって明ら かにしており,又それ以前にも良く知られた事実なのである.Mohrの調 査はTrierの文章語に於ける目醒しい画期的な成果に刺激され, その方 式の一部をその儘真似たに過ぎないことは明白である しかも我々が最も 知り度く思う点,即ち語野カミ当方言のSatzbauに如何なる影響を及ぼし ているかについてはTrier‑Weisgerberに於ける文章語の場合と同様何 等言及されていないのである.

Wortfeldtheorieが方言研究に向いているかどうかは別にして, これ迄 のところ,残念乍ら先述の理由から,此の方面よりの研究が,文章語に比 べ更に大幅に遅れている事実は否めない.Mohrの調査にしろ,その対象 は役所用語であり,真の生きた方言とは言えないものである.

いまひとつの問題点は一方言の語彙を採録する際の基準‑‑‑Hochspra‑

cheとの一線を何処に引くかである. ひと口にbodenstandigeMda., landschaftlicheUmgangssprache, aufgehobeneUmgangssprache そしてHochspracheなどと分類されているカミ, これ等はいずれも語彙が 重り合い,従って真に伝統的,郷土的そして又住民の気質・特質を最も忠実 に反映している方言としての語彙を,ほぼ満足のゆく程度に迄漏れなく採 録するのは至難の業である.此の種の作業による蒐集結果が全くまちまち で,300から2万語迄千差万別である5)のは当然のことと言えよう.しかも

−74−

(6)

一方言の語彙を決定する際に必ず生ずる問題点は,果して(その語彙の中 に加えた)Hd.Z的単語が実際に平均的に使用されているか否かである.文 章語の場合ならさして問題とならない此の種のことが,話される言語であ る方言,即ち固有の音韻感覚に裏打ちされた, ひとつのNormを厳しく 守り,数少い語彙と相俟ってたったひとつのHd.的単語の加入が大きな 意味をもってくる方言の場合には,決して軽々しくは扱えない問題なので ある.方言研究がどうしても音韻中心とならざるをえない宿命的なものが ここにも窺えよう.

さてOGが蒐集した諸方言の語彙とその音韻形態を比較観察してみる と,弦に極めて興味ある事実が浮び上ってくる.即ち,各々の方言団体に於 ける,或る特定の音韻に対する異常な程の偏好度である.これ等特定の音韻 群は,今日音韻感覚と云うものから可成離脱してしまっている文章語では 考えられない程,各々の方言に於て語形成,外来語の借用形式,延いては 文構造に到る迄何等かのNormとして,規制力を持っているように観察さ れる.後述する/e/を中心とした特定の音韻群の働き具合を,Berlinisch を中心とした東南部低地ドイツ方言群, Obersachsischを中心とした東 中部ドイツ方言群について調べてみると,上記の意味から/e/が紛れもな い共通項として強力に作用している事実が浮び上ってくる.本論では従て 先ず,当該言語領域のSuffixe‑e, ‑de, ‑ke(n), ‑je, ‑sche;Prafixebe‑, ver‑, je‑;Mittelsilben‑e‑,‑ee‑;Entrundungeftir6,白といった/e/

への異常な偏好現象を共時,通時両面から探ってみようと思う.

尚, L.Weisgerberの「人の対格化,物の具格化」理論の中核を為す be‑Verbenは,Mittelmarkisch,Berlinisch,Obersachsisch,Schlesi‑

schを中心とするOstmd.‑Siidostnd.言語圏では13〜14世紀のmnd.

期に於ては量的にもさして目立った存在ではなく,圧倒的に多いnd.的 ver‑Verbenの蔭に隠れてしまっている印象が強い. (Mnd.、Altberl.

ではhd.er‑,ent‑はVer‐となり,又此のVer‐はbe‑と機能的に一致

−75−

(7)

する場合が多い.)乏しい資料を探ってみても,例えばBerlinerStadt‑

biicherや当時のHanseとの交換文書の中にもbe‑Verbenは確かに見 られるカヌ,量的にも,その使用頻度に於てもver‑Verbenのそれには遙 かに劣っていたことは断言出来る6).前者の,少くとも見掛けの上での急 激な拾頭は18〜19世紀, とりわけ今世紀に入ってからである. しかもその 殆んどがWeisgerberやH・Kolbの主張と正反対に,,PerfektiveG@で占 められている事実は何を意味するのであろうか,本論では引き続きこれ等 の現象を方言に特有のlautlichesFeldとからみ合わせて考察してみたい と思う.

I

本質的にlautmalendな要素の強い,話され聞かれる言語である方言 という体系に於ては, テンポやアクツエントの置き方がひとつの重要な Normとしての役割を荷っており,従ってこれ等Tongebung上の変化 は音韻形態上の変化,変遷と極めて緊密な相関関係にあることは,既に本 稿の筆者はこれ迄に幾度か強調してきた.例えば弦で扱うBerlinischを 中心とした東南部低地ドイツ方言及び東中部ドイツ方言に於て, とりわけ 15〜16世紀以後異常な発達を見せている/e/‑Lautstand,就中mnd.,

mhd.的Su伍xe‑e, ‑de,‑jeそしてこれと同一のLautstandに入る

Diminutiv‑keとその派生は,音韻形態のみならず, その語形成,延い ては文構造との関連に於て方言研究者の強い興味をひくものである. しか

もこれ等のNachsilbenはMittelmarlcisch,Berlinisch,Ostmitteld.

方言群そしてNiedrfrankischに特有のVorsilbe je‑7)及びOstmd., Siidostnd.の方言群, とりわけBerlinischに極めて多く見受けられる Prafixebe‑,ver‑型の動詞とも相互に影響し合い,更には, 特に15〜16 世紀以来,上記方言群の記録に明白に顕れているHd.の影響下における Lautsubstitution8)の際にもHd・的ei音に変らずにその儘根強く保持

−76−

(8)

1 『.

された本来のnd.6,及びOstmd.の一大特徴でもあるEntrundungに よるe音の強力な援護を受けて,WortbildungのみならずSatzbauに 迄可成な規制力を発揮しているものと考えられる.更にその際伝統的(Nd.

的)郷土的な文法構造, 例えばDativ,Akkusativの同一化,Genitiv の欠如等がPhonem/e/を中心としたlautlichesFeldの構成に拍車を

かけたことは十分に窺えるのである.

方言とその荷い手の特質は,外部的には次の2つの現象に特徴的に顕れ ると考えられる、そのひとつはTempoそしてdynamischer,musikali‑

scherAkzentであり, いまひとつは個々の語及びBegriffsfelderであ る.gesprocheneSpracheである方言に於ては特に前者が,文章語や統 一語より遙かに重要かつ決定的な作用力を持っている. こうしたアクツエ ントと密接な関係にある音韻についてDuden‑Grammatikは,,reines ZeichenfiirFunktionendであるとして,特定の方言に於ける特定の音韻 のlangueとして,Normとしての働きを無視もしくは軽視しているの は方言研究の側からみて受け入れ難いことである9).Mnd.期以来,上記 の,方言領域に於てPhonem/e/は,とりわけは市方言Berlinischの低独 的音韻と結び付いて極めて特徴的な発達を遂げ,Hd・の圧倒的な影響力に も屈せず,その全体系を強力に規制するひとつのNormとして働いてい るように見受けられる.A.Laschが15〜16世紀以来今日迄保持されてい る典型的な,,BerlinischeW6rter"として其の著励γ伽jsc〃の中に収録 し,解説している単語86の中,所謂,,e({W6rterは64の多きを数えてい る0).

Obersachs.,BerlinischそしてMittelmarkischのLautstandの中 核を為すPhonem/e/,とりわけそれがS11ifixとして顕れる場合,特有 のTongebungとの相関関係に於て次に述べる歴史的事実が重要な重み を持ってくる. Friihdeutsch即ちAltsachsisch,Althd.の後綴の有名 な完全母韻は, Altsachsischに於ては既に其の長音はAlthd.と異り短

(9)

Illl

音化していた様で,Mnd.期には‑eに弱化する.此の様にNachsilbeの 完全母韻が‐eに弱化し,時にはNhd.の様に消滅してしまう音韻形態上 の現象は,従来指摘されてきた様に,言語変遷の原動力であるDfilckak‑

zentの変化によって齋らされたものと考えられ,此の観点から見れば

Neuberlinischをはじめとする東南部低地ドイツの諸方言及び東中部方言 群が,Endung‑eを今日迄極めて良く保存し,西中部方言群のEndung‑

S11)とは対照的な形をとって,此の特徴あるSu伍x‐eがその語形成,

文構造に可成の規制力となって作用している事実'2)は, gesprochene Spracheである方言の一特性を明らかに示しているものとして特筆すべき であろう.

記録で見る限り,少くとも14世紀以来, とりわけ16世紀以来Endung

‑eが如何に此の地域の住民に好まれ,特にベルリンの住民の精神,気質 の重要な部分を形成するに到っているかを次の事実が明白に示している.

Endungen‑e, ‑de, ‑ke(od. ‑che, ‑chen:Obersach.), ‑je, ‑sche:

1)Adjektive(auchalsPradikat)undAdverbienmit‑e:dicke, feste,heile, jewohne,kiele,reene, scheene,stille, jerne,ofte, sachte,sehre(hd.sehr),vorneu.a.; ,,detisjapuppe,dufte.$@

"neshreBackfeife.G: ,, 'nejanzeverfluchteJeschichte.4@duf‑

te,klasse,puppe, sacheusW、 (Berliner,Obersachsenは無 意識の中に抽象名詞から‐e型の形容詞,副詞を作り出す.'3)) 2)Zahlenauf‑e: eene, zwee,dreie, viere,…. zwelwe; ,,med

(met,mit)vierelang." "'nezueDroschke.",,anzweeStie‑

beln.l@

Zahlw6rterauf‑e(n)iumUhrefimwen(hd.etwaumfiinf Uhr),umeensen(umeins),umzehne.

3)Femininaauf‑e(極めて数多くの男・中性名詞が語尾一eをとり,

従て女性名詞となっている):Alte(hd.dasAlter),Flicke,Hak‑

−78−

(10)

ke,Hake,Karpe,Karre,Keile,Kinne,Kniee,Kolbe,Korne (,,keeneKorneSalz"),Lappe,Muffe,Rabe,Schlitze,Spade,

Waschlappe,Zacke,Bimse,Haue,Schimfeu.a.

(namentlichimObers.:)Fiihle,Rieche,Schmecke,Schame;

(imSchlesisch.:)Schone,Backe,Melde.

更には本来一e型ではない女性多詞にも‐eを付ける:Bahne,Ban‑

ke,MusikeUhre,Mulle,Molle(hd.Mutter)u.a.

4)mannlicheVornamenauf‑e:Aute,Ede.Fritze,Maxe,Miele, Paule,Karle,Hanne,Kulle(=Kurt),Rulleusw.

5)Abstrakte,vonAdjektivenabgeleiteteFeminina,auf‑de:

Dickde,Heechde,Lengde,Wermde,Mengdeusw. (‑de<

mnd.,mhd. ‑ede)

6)Abstrakteauf ‑e: Benehme, ElteBleibe, Ziehe, Traute, Klige(Kltige),Bangeusw.

7)Diminutive‑ke, ‑ken(obersachs. ‑che, ‑chen):Fatzke,Men‑

kenke,JImgeken,Patentfatzke,Steppke,Henneken,Olleken, Bliemeken,Endeken,Mulleken,Boofke,eenBi6kenusw.

(auchAdjektiveundAdverbienauf ‑ke(n):) olleken, sachteken,scheeneken, schreken, leiseken, jeschwindeken,

stillekenusw.

8)Pluralauf‑e:Lause,Erme(Arme),Deime(Daeme<Dau‑

me),Pinkte,Rehme(hd.Rahmen),Beeme(hd・ Baume);

K.G.Schadow: ,,dajibtsnurzweeSortenvonB6me(spr. : beeme).BeedesehenauswieRejenschirme,dieeenenuffje‑

klapptunddieandernzuijeklappt.G@

(此の様に当該方言領域では ‑er,. ‑n型の複数形と並んで‐e型,

特にEntrundungを伴うものカミ圧倒的に多い.)

−79−

1

I

(11)

9) Verschleifung :,,Kosse ma!",,Koste se ma !",,Hasse ?"  (hast  du sie),,!ck finse nich.",,Biste ?",,Gehste ?",,Dia  hamse  woll als Kind ze heeB jebadet ?" 

10) Imperativ fur 2.  Person Sing.: fast immer auf ‑e :,,Suche !" 

,,Schreibe !",,Werfe",,Helfe !",,Esse (EB)!",,Breche !",.Ste‑ che !",,Benehme dia !",,Seh(e) !",,Verjesse !"  usw. 

11) Infinitiv auf ‑e:,,nich ze dune" (=nicht zu tun),,ze sehne" 

usw. 

12) eigene Pragungen auf ‑e14>  (unzahlbar)  13) Entlehnungen auf ‑e14>  (unzahlbar) 

14) weibliche Personalbezeichnungen auf ‑sche:  (vor allem im  Nd., auch im Md.:) Meestersche (Meistersche), Nachbarsche‑ usw. (Altberl.:)  dy mester hansynne dy tigelersche (1458)  kruthokersche;  die Jakob Molnerynne,  die schumakersche 

(1507); ein jeder Knape oder Kneipesche (1602); borden‑ werkerinne (1516) ; sedelerinne  (1519).  (Neuberl. :)  de  Langesche,  Millersche,  Schulzen,  Buchholzen.  (‑sche  < 

frz.  ‑esse);  Vergl.:  thiiring.  u.  hess.  ‑asche (<frz. ‑age):  Kleidasche, Kittelasche, Schenkasche, Leckasche, Fressasche,  Bummelasche usw. 

即ち此のもは文章語にはまず見られない様な形をとって,名詞,代名 詞,副詞,数詞,不変化詞に付くのみならず不定詞の語尾やPradikat しての形容詞にすら好んで付けられ,また代名詞と定形との融合形を形成 する際に重要な役割を果している.更には語尾を—e で終らせ度いが為に,

或いはそれに都合の良い性・数・格の上での大幅な混乱と逸脱状態が見ら , 従って Hd.では男・中性であるべき名詞が女性に変り,そして又文 章語では—e 型ではない女性名詞にも当然の様に—e が付く例が頗る多く見

‑ 80 ‑

(12)

I

受けられる. 18世紀のベルリンの著名な文法学者Heynatzはその著 Hb"肋"c〃z〃γ鋤#軽γ吻沈γ#妙"g〃"d助"γオe伽"gα晩γA"e〃〃0〃

Sc〃沈此"e"A"/b"ze",Berlinl773の中でHemdを斥けHemdeを とっており,又FriedrichⅡは母音で終らないHd.を忌み嫌って, ランス語を使わない場合は敢てderbなBerlinischで話し又書いたこと は有名な事実である. 18世紀以来今日に到る迄Berlinを中心とした言語 領域で非常に好まれている所謂AbreiBgedichte,即ち母音のみで脚韻が 踏まれ,万一子音が最後に来た場合,その語は母音,特に/e/の直後で切 られて,残りの部分は次行の頭に回される形式の詩'5)であるカミ,これも又 当該方言領域の住民の特異な音韻感覚に即したものであると言えよう.

さて此の様にPhonem/e/を印象付けるSuffixeとしては‐eの他に Mnd. (Mhd.)以来の‑de, ‑te, ‑sche及び‑(i)ge若しくは‑jeが挙げら れ, これ等はOberd.、Westmd.の‑et及び‑ungとは全く対照的で ある'6).

lOstmd.,Siidostnd.,Berl. : Substantivaauf‑de, ‑te, ‑sche

IOberd. : ‑et

I"!dN‑SiTE

<Ostmd. :

‑IW…e(‑unge)

‑(i)ge! (<‑ung)

IWestmd ‐un&

Nominal‑,Verbal‑u.Adverbialendungenとしてのauslautendes

‑eは中部ドイツの広範囲と低地ドイツの一部分(とりわけ本稿で扱う地 域)を除いた地域では今日廃れており,時には名詞の複数語尾一eカミ消失 してしまう場合(z.B・oberd.Gans)さえあるのに対し,中部, とりわけ 東中部ドイツ及びBerlinを中心とした低地ドイツの一部では此の‐eが 非常に好まれている'7).

Vergl.Westmd.,Oberd.: Kas,Freud,Hitz,Glori,Furi,Tag 西ドイツでは,名前が‑eで終る人はその‑eが無視されたり脱落したりす

I

I

−81−

(13)

るのを防ぐ為にその部分にアクツエントを置く (z.B.Wetterl6).Goethe の父がそういう注意を払っていたことをO.Weiseが記している18). また 更にはOberd.の強い影響の下に今日こうした‐eが消失する傾向がある とされているが,少くとも上部ザクセンとベルリンに於ては筆者の観察す る限り‐eに対する愛好度は今日尚極めて強固なものがある. こうした傾 向を更に助長するものとしては,既に指摘した様に当該地域に於ける異常 な程の女性名詞への偏好である. これはドイツ方言に多かれ少かれ見られ る傾向ではあるが,Ostmd.とNd.とりわけBerlinischに際立って認め られる現象である.

Oberd. :derZiffer Berl. :de(die)Ziffa

derButter de(die)Butta

Ostfr. :derKwekster de(die)Zwetsche

derSch6rzer de(die)Scherze

Ostmd. :derScherbel de(die)Scherbe

以上Endungen‑e, ‑de, ‑jeに歴然と顕れた当該方言領域の特異な音 韻感覚の所産を見てきたが,此の観点からすればBerlinischを含む東南 部低地ドイツ方言群のあの有名な縮小詞‑ke(n),更には同じ/e/‑Laut‑

standに入るPraiixebe‑,ver‑, je‑,そして又Obersachs.を含めての此 の一大方言領域の際立った特徴とされるMittellaute‑ee‑, ‑6‑,Entrun‑

dungefiir6,白の存在が重要な重みを持ってくる.

その発生過程は全く異るにしても,機能上及び音韻感覚の上から見て,

Suffixe‑e, ‑de, ‑jeと姉妹関係にあるNd.的Diminutiv‑keは,Berlin に於ては特に17世紀以来,最早や本来の縮小詞としての役割を大幅に逸脱 してしまっている.此の‑keの当該方言領域に於ける/e/‑Laustandとし ての機能については,所謂Wortnische‑Wortstandとの対比を中心に後 注'4)に掲げた小論の中で扱っているので参照され度い、尚輩で特筆すべ きはsiidd. ‑lein, ‑el, ‑l;md. ‑chen;nd. ‑ke(n)という縮小詞の帯び

−82−

(14)

ている郷土性であり,伝統的な音韻感覚の忠実な反映である.nd. ick, ik 或いはickeそして又Endung‑keというNiederdeutscherやBer‐

linerにとり,すこぶる,,gemiitlichC<19)な音韻力:,SiiddeutscherやWie‐

nerの音韻感覚に可成粗野で耳ざわりに響く一方で,後者の‑lein, ‑lが 前者の感覚には妙にお上品ぶった,率直でない,女々しいものとして受け 止められ,又bl6deというひとつの語がWienに於てはHd.や文章語 としてのbl6deが持つ意味内容以上に,,negativ@@な内容を帯び20),か つその音韻感覚を逆撫でする様な感が強いのに対し,低独人としての Berlinerの感覚は,Wienerに言わせれば遙かに鈍く, bl6deは後者に とっては時には快いものとして屡々positivな意味内容に転ずる・のであ る.本研究が音韻感覚に基く lautlichesFeldなるものを,方言研究に 於て提唱する由縁のひとつが弦にある.方言の場合は文章語と異り,対比 概念を中心とした語野理論だけではどうしても説明しきれい感が強い.

以上,方言というものに於ける所謂縮小語尾を含めた各種Suffixeの 現状から判断して, これ等はinhaltbezogeneGrammatikに於て所謂 ,,FacherungC@として扱れているStammwortとSuffixという相関関 係を考えた場合でも,文章語のそれより遙かに此の両者は密着融合し,屡 々分離し難いひとつの音韻状態,意味形態を形成しているようであり,従 って少くとも方言の場合は,語野理論を補う意味で一言語団体のNormと しての特有の音韻感覚に裏打ちされたlautlichesFeldの存在を合わせて 考慮に入れるべきではなかろうかと愚考する次第である.尚これは,少く

とも14〜15世紀以来Berliner,Mittelmarkerが,Obersachs.より採り入 れてきた語彙に見られる/e/の異常に高い含有度,そして又これ等/e/型 のlautlichesFeldに包み込まれている方言地域に於ける新語や外来語に 共通した/e/への強い偏好度とそのMorphemへの敏感な反映といった 現象に実に明白に顕れていると筆者は考える次第である.

HMeyer,D"沈彫妙馳γ伽〃に採録されている典型的なBerlinisch

‑83‑

(15)

の単語の中から,ひとまずb,k,  h,pで始る名詞を全て取り出し,その中 Suffix ‑eを持つものの,各々全体に対する割合を調べてみた結果を参考 迄に次に示す.

B‑e: 29/76  (更に Mittellaut od.‑ee‑を含むものを加算する 40/76)

K‑e: 51/126  (同じく 58/126) H‑e: 28/43 

P‑e: 35/58 

上記前2者についての実例は後注21)を参照され度い.

さて第2章では引き続き此の/e/がPrafixとして,又Mittellautとし てどの様に顕れているかを観察し,更には文構造に迄何等かの Norm

して作用している事実を見ていき度い.

]I 

14 16世紀以来の東西部低地/東中部ドイツ方言群, とりわけ Alt‑/ Neuberlinischで機能的にも数量的にも非常に目につく Prafixで/e/‑ Lautstandに属するものは,nd.ver‑(=hd. er‑,  ent‑, ver‑)je‑,続い て be—であるが, 18~19世紀に到り,此の be- の使用頻度が急に増大す ドイツ語は一般に現代に近付くにつれbe‑が多くなる21)と言われて いるが,生きた言語である方言から,より一層離脱していくにつれ文章語 のこうした傾向は今後更に強まるものと思われる.一方 gesprochene Spracheとしての方言,伝統的音韻感覚を極度に粘り強く保持する方言

と云う言語体系の側から見れば, Hd.の滲透度は各方言の Normとして の固有の音韻感覚によって著るしく左右されるようである.事実,とりわ け従来の方言学の主たる取扱い対象であった「地域的方言」の標準語から の偏差が年々急激にせばめられつつある今日,尚こうした方言の特徴を強

‑84‑

(16)

固に保持している中下層労働者階級の方言に於て,上述の傾向が顕著であ るのは注目に値しよう.典型的な都市方言であるNeuberlinischが,古 来のnd.Substratに裏打ちされた暗く, J猩めた低独的音韻感覚を今日迄 持ち続け乍ら,一方では近代ベルリン人の特色であるイローニッシュで皮 肉な特質を適切に外部に示しているMittellaut‑e‑とNachlaut‑eの異 常に高い頻出度と並んで,同じ/e/‑Lautstaudに属するbe‑,ver‑型の

他動詞のみならず同じPrafixebe‑,ver‑を持つ自動詞を数多く抱えてい るのは,L・Weisgerberの説くところの「人の対格化,物の具格化」に 注目する文章語の研究者にも興味あることであろう.

Berlinischを中心とする東南低地ドイツ方言群,東中部方言群に顕著 であるこれ等音韻形態上の特徴は,後述する通り語形成,文構造とも何等 かの相関関係にあるように見受けられる.事実Altberl. (Mnd.)から Ne曲erl.に切り代った15〜16世紀以前から,既に記録22)に顕著に見え始 めている/e/とnd. /b/,/d/, /k/, /j/等の結び付きが,単にそれ迄の Mnd・Mhd.の特徴を保守的に固持するという消極的な機能の域を遙かに 越えて極めて積極的に独特のLautstandを形成し,前述のSuffixe‑e,

‑de, ‑ke, ‑je,そして更には, この後で扱う ‑ee‑, ‑e‑と相俟ってひとつの Feldを形成しているという印象が強い.Berlinisch,Obersachs.に顕著 である‑e‑, ‑ee‑, ‑6‑の顕れ方を一応整理すれば次の様になる.

1)nd.§,eestatthd.ei :Steen,menen,keeneusw.23) 2)nd. f‑シhd.ei‑シ6,ee: ,,MeeneMulle,($ ,,WatheeBenSe?{@

3)Entrundung6,ヨーシe:scheene,zehlen,Lecherusw.

4)Imperativ‑e‑ :"Sehemal!", "Nehmemet (mit)!"

5)ersterbt,dusterbst;erhelft,duhelfst;detjeltnich. (hd.

dasgiltnicht.)erseht;er/ihrfehrt(fahrt),dufehrst;er/

ihr/dufe6t(<fassen);Fr. n: "dusehest."K.Ph・Moritz:

"eBt","lest","treft", j,verjeBt", ,,stecht."A.GlaBbrenner: ,,Ihr

−85−

(17)

unterhelteuch.G@

6)eigenePraungen(Berl.)undEntlehnungenmit-6-, -e-:

Menkenke,keB,Steppke,Kreten,Krete,Dreckschwalbe usw、24)

7)AdjektivaneigeninderSteigerungzum/e/:doll (hd.toll), della(deller),amdellsten; jlatt, jletta,amjlettesten;rasch, rescha,amreschesten;dereberste(<Oberste);neja;heja;

schreja(<schlager);demehrsten(‑diemeisten).

8)sog.,,GemischteVerben<@ :rennte,jerennt;brennte,jebrennt;

abjebrennt;wente(hd.wandte),jewent;abjewent;nennte>

jenenntusw.

さて当該方言領域に於て,今日nd.ver‑Verbenの地位をおびやかす程 急激にその数を増しつつあるように見受けられるbe‑Verbenではあるが,

これがWeisgerberの意味での「人の対格化,物の具格化」に積極的に その力を貸し始めたように見えるのは,少くともBerlinischに於ては記 録上では19世紀後半以降,特に今世紀に入ってからという感が強い. 14〜

16世紀のBerlinerStadtbiicherを見てもbe‑Verbenの存在は目立た ず,よりnd.的なver‑ (=hd.er‑,ent‑,ver‑)の圧倒的に高い頻出度に 目を奪われてしまう.前記BerlinerStadtbiicherやBerlin皇C61nと Hanseとの間に交された外交文書が当時のnd.Schriftspracheで記さ れ,更に下って16世紀に入るとObersachs.‑MeiBnischという中部から 低地ドイツにかけての一般通用語ないし文章語で書かれていた事実からし て, これは奇妙なことと言わねばならないであろう.即ちH.Kolb(延い てはRGrosse)がWeisgerberの ,,AkkusativierungderPerson undlnstrumentalisierungderSache"25)を批判し,DieakkuSativie‑

rendenWortbildungen, insbesonderediemitbe‑,stammenviel‑

mehrausallenjenenBereichenmenschlicherSPrachleistung,die

−86−

(18)

nachsprachlicherPrazisionstreben,ohneinhaltlicheVerarmungzu scheuen;siestammenausjenenRegionenmenschlicherSprach- iibung,diesichausihrenbesonderenErfordernissenherausdem

Sprachschematismusundvielleichtnotgedrungenannahernmiis- sen:ausAmtsstubeundKanzlei, ausGerichtsverhandlungund Rechtsprechung,ausVerwaltungund(…).Nursoweitdiesalles auchindermodernenGesellschaftwirksamist, sind jene AkkusativierungenderPersonbezeichnendauchftirdiegeistige HaltungdesmodernenMassenzeitalters・AIssolchesindsiekein ZeichenderZeit.26)

と述べ,その重要な根拠のひとつとして, 14〜18世紀にかけて一般に用い られていたとされる法律用語を収録したDe"#sc"esmc"82"6γ"γ6"c".

Wけ〃′γ伽c〃伽γα"e〃〃""sc"e〃肋c〃sSp7'cc"e I:&メ.,Weimar l914‑1932の中に数多く見出されるbe‑Verbenを挙げているが,上記 BerlinerStadtbticherに見られる現象はこれと相反するものであり,

Kolbの見解は極めて説得力に富んではいるが,それをもってWeisgerber の見解を完全に否定し去ることは出来ないと言えよう. Brandenbur‑

gisch‑Berlinisch或いはObersachs・やSchlesichが今日保持しているbe‑

Verbenはその多くが18〜19世紀以来のもので,現代に入って際立ってそ の数を増し始めている事実は否定し得ないのである. しかもその殆んどが 所謂,,Perfektive:@であり, これはWeisgerberが主張し,Kolbによっ ても確認されている. "ProduktivitatderOrnativeC:とは全く矛盾する現 象と言わねばならない.尚これと同じ調査結果が方言のみならず文章語の 側からも出ているのは興味あることである27).次にやや古い資料ではあ るがH.Meyer,Deγγ允耐軽比γ〃",Berlinl921に収録されている典 型的なbe‑VerbenをWeiSgerberに倣って分類すれば下記の様になる であろう.

−87−

(19)

Perfektive:beboomelen,bedienen,befummeln,behalten,beherr- schen,bejrapschen, bekleckern,bekloppen,bekochen,bekoofen, bemogeln,beschmuddeln,beschnuppern,beschummeln,beschup- sen, besehen, besorjen,bestellen,bestreiten, betalpschen, be- tatschen,betasten,bewaschen,beflicken,bezahlen

Ornative:belatschern,berappen, (bestreiten)

Faktitive:beduseln(<duselich),beschickern(<schicker) さてbe‑Ableitungは, まず他動詞を出発点とするものはその本来の性 格を強め, 本体が自動詞から出発したものは他動詞となってAkkusativ を作ると一般に言われているが, Sprechspracheとしての方言では,各 々の言語団体固有の音韻感覚から来るbe‑に対する好みの差が極端に顕 れ,周知の通りVer‐と並んでbe‑Verbenの多いNd.とその流れをくむ Neuberlinischでは,元来自動詞であるStammwortにbe‑が付き乍ら 依然として自動詞の性格を保持するという文章語では普通見られない現象 が屡々見出される.

bestehen,behacken(‑hd.hangen),beliegen,besitzenbleiben (=hd・ stehenbleiben)usw.

又他動詞としての本体だけで十分機能が果せる場合でもbe‑が付いて口調 が整えられる傾向が顕著である.次に示す典型的なBerlinischのbe‑

Verben(尚この中の多くはObersachs.のそれと一致している)を以上 の観点から参照され度い、

*beboomelen: "BeboomelenSesichmannich!l$ (=hd. ,,Seien Sienichtsoangstlich!@@)

bedientsein: (hd.genugvonetwashaben) beduselt: (hd. etwasbetrunken)

*befummeln: (hd.zustandebringen)

behalten: ,,Detkannstefordiaalleenebehalten!"(=hd. "Das

−88−

(20)

will ich nicht hören.")

*beherrschen: .. Ick kann ma ja maßlos beherrschen." (=hd.

,,Ich werde mich hüten.")

bejraben : ,,Lasse dia bejraben!'' ,,Damit kannste dia bejraben lassen."

* bejrapschen, betasten : · (hd. betasten)

* bekleckern : ,,Du haste dia nich met Ruhm bekleckert." ,,Bekle- cken Se sich man nich!" ( =hd. ,,Machen Sie nicht so wich- tig!")

bekloppt (hd. schwer von Begriff, dumm)

bekochen, bewaschen, beflicken : (hd. für jemand sorgen)

„Se har'n festen Herrn, den bewäscht unbekocht un beflickt

"

se.

bekoofen: (hd. kaufen)

belatschern : (hd. jemandem etwas betrügerisch vorgaukeln)

* bemogeln, betriejen : (hd. betrügen)

berappen: (hd. bezahlen) >Berappung: ,,Jetzt kommt de Berappungsarje." (=hd. ,,Es muß .bezahlt werden.")

berühmt : (hd. nichts Besonderes) ,,Det is nich beriehmt."

beschickert : (hd. leicht angetrunken)

* beschmuddeln : (hd. beschmutzen)

*beschnuppern: ,,Erst müssen wa uns ma beschnuppern.") =hd.

uns näher kennenlernen.)

* beschummeln, beschupsen, betriejen : (hd. betrügen)

besehen : (hd. bekommen, sehen) ,,Du wirst jleich wat bese- hen." ,,Ick kann den Kerl nich besehen."

* besorjen : ,,Den wer ick et besorjen."

- 89 -

(21)

1

bestellen: ,,Dersiehtauswiebestelltunnichabjeholt."

(=hd. ,,ErsiehtwieverlorenauS")

*bestreiten: "IckbestreitealletunerwartedenJejenbeweis!!<

*betalpschen:.(hd.betatschen)

besahlen: "MetdetBezahlenverplempatmandetmeisteJeld!"

尚*印を付けた、ものは,そのStammwortが仮令hd.に於て他動詞と して十分機能を果している場合でもBerlinischではmnd・期以来用いら れた形跡がなく,必ずbe‑を伴って顕れる. 当該方言領域ではbe‑は伝 統的なVer‐と並んで(他動詞を形成する機能媒体として働く以外に)口 調を整える為のもの,即ち独特の音韻感覚から,可成無意識の中に付けら れる傾向が強いと言える. こうした方言特有の音韻感覚の強い規範力は,

外来語やHd.の取入れ方及びLautsubstitutionのその後の発展傾向に 明白に顕れている.Neuberlinischが15〜16世紀以来Hd.を含めての外 来語を如何に巧みにPhonem/e/を中心とした其の独特な音韻感覚に副 って自家薬籠中のものにしてしまっているかについては,同じく/e/に基 く新造語及び郷土的な言い回しとの関連に於て,後注'4)に掲げた小論を 参照され度い、

此の様にBerlinischではbe‑,延いては/e/への極端な好みによって 産み出されたbe‑Verbenの他に,言う迄もなく他動詞を作り出す為の本 来の機能としてのbe‑を持つものもあり,又一方では近年急激に増えつつ ある文章語からのbe‑型の他動詞も其の採り入れられる際にBerlinerの LautgefUhlが強く作用していることは明らかである.例えばbeschik‑

kern(<schicker: jtid./hebr. ,,betrunkendI)はbe‑を極度に好む近 代ベルリン人の口調から生れた新語と考えられるが,同時に此のbe‑には Analogieから来る他動詞への意識も明らかに働いているようであり,即 ち蓮にはlautlichesFeldとWortfeldの相乗作用が見られる.従って 方言に於ては,少くとも今日,固有の音韻感覚に基くLautstandと固有

‑90‑

(22)

Wortstandに基いて形成された Feldに外部からひとつの Hd.的単 語が祁入された際に,後者はそれ自体当然異質な語野の中にあったわけで あるが当該方言の中に文章語特有の機能を持ち込むことになる.唯その際 本来所属していた語野,言語野から切り離され,方言という異質な Laut‑ feldに組み込まれた為に, 本来の文章語的他動詞の機能を失ってしまう

. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .  

場合も少くない. Berlinischの数多い be‑型の他動詞と自動詞の混在状 態がこれを示唆しているかと考えられる.近年急激に増加しつつある東南 部低地ドイツ方言領域と東中部方言領域に於ける be—型の他動詞による

. . .  

Akkusativierungと並んで,同じ Prafixを持つ自動詞の根強い存在とい う矛盾した現象も上述の観点から眺めれば説明し易いようである.

ick beliege im Bette 

ick kann ma (hd. mich) ja maBloB beherrschen̲ 

これに対して tiberetwas/jemand herrschenは使われず,一方 ,,Aas'doch nich so mit's Jenseschmalz !"と並んで,

,,Veraase doch det liebe Jut nich so!" 

も又良く使われているのは上述の意味から興味深いことである.

周知の通りアクツェントのない前綴は,初期ドイツ語では其の母音が弱 音化し始め, Altsachs.  に於ても既にti‑,te‑ (,,zer‑");  for‑, far‑,  fer‑

(,,ver‑"); bi‑, be‑("be‑"); gi, ge‑(,,ge‑)という動揺が見られ, Mnd.

期には各々 te‑, fer‑,  be‑,  ge‑,但し Berlinischを中心とする東南部低 地ドイツ方言領域, Leipzig以地の東中部ドイツ方言群そして Niederfr.

では geーは je—となる. (一方 Stidd.の多くの方言ではgeーは gーに退 化してしまっている.)尚以上の地域では此の Prafixje‑ Suffi:x:‑e 結び付いて移しい数にのぽる名詞,特に抽象名詞を作り上げている.

Jedulde, Jehabe, Jedue, Jejriene, Jejrohle,  Jeloofe  usw.  Vergl. : westmd. Ge‑s : hess. Gelaufs ; r hein. Gekochs 

stidd. G

:alem. Grapp. Gstork 

‑ 91  ‑

(23)

以上の様にPhonem,Morphem/e/への異常な程の偏好が見られる一 方言に於ては, Prafixebe‑, je‑,ver‑, Suffixe‑e, ‑de, ‑je, ‑scheそし て又Mittellautとしての‑e‑, ‑ee‑は,仮令Duden‑Grammatikの主張 する ,,Funktionszeichen<@であったとしても,文章語やHochsprache とは本質的に異り,極めて当該方言団体固有の音韻感覚によって強固に裏 打ちされたものであり,従て其の方言団体固有のTongebungに適した 口調としての性格を大きく逸脱して迄機能媒体として働くことは,少くと も今日に於ては相当困難であると考えられる28).又仮令一言語団体に一 見そぐわない単語や語法が文章語から採り入れられている場合でも, P.

KretschmerがWbγ靭ogy'"""吻γ〃. [/iwgn"g功γαc"e,G6ttingen l969の中で随所に指摘している様に,それ等は応々にして可成異った意味 内容に転化しており,その「新しい」意味内容を把握する為には,切り離 された単語としてではなく,当該方言団体固有の音韻感覚に裏打ちされ た, 即ちひとつのLautlichesFeldのうちにある文の中で観察するこ とが,語野的観察と並んで不可欠であると考えられる.Nd.,Berlinisch そしてobersachs.Mundartenの所謂,,Akkudativ@@現象も此の現点か ら眺める必要があろう.

BerlinischをはじめとするNd・の流れをくむ当該方言領域に共通した 特徴である,,AkkudativC<即ちDativ,Akkusativの同一化もしくは交 替現象−その文法構造, とりわけFlexionからすれば当然Dativにな るべき場合にAkkusativの形をとり,又その逆の顕れ方をするという

「混乱状態」が生ずる場合には,ひとつのNormとしてEndung‑eを 中心とする/e/‑Lautstand,若しくは母音が何等かの役割を果しているよ うに観察される.例えば,方言の根強い影響下に,Berlinerlandschaft‑

licheUmgangsspracheでも3格支配の前置詞が屡々4格をとり ,,Sesinjanzebeesemit(mede)deLeitedadriben.

そしてこれとは対照的に

−92−

(24)

,,Biste beese mit se ?" 

という言い方が為される一方 ,,Se  is  janze beese mit dia" 

の様に本来の3格 が 顕 れ る . 弦 に 見 ら れ る 通 り 6,a eとなり, eu (au) ei若しくは ee となる Entrundung現象も/elを中心とす lautlichesFeldの形成に一役かっていることは明白である.此の様に Neuberlinisch, Oberchs.では古来の Nd.的文法構造とあいまって所 謂る 3格支配の前置詞 mit,bei,  aus, zu等に禅かれる冠詞,名詞,代名 詞,形容詞が必ずしも3格とならず, Hd.の側から見てその様な逸脱状態 が生ずる場合には, Normとしての音韻感覚,即ち/el若しくは母音の 可成強い規制力が働いている様である.

bei,  mit (met), ze  vor an, uf 

wejen 

deine Faulheet 

mseeiinnee(tm Buch ) Runde (sing.) 

de Diele (Tur) 

det Hemde, kurzet Hemde (sing.)  dia,  mia, se,  Se,  et,  eich, uns  an de Erde fallen 

ehr nechste W oche 

uf enen pinxstedach (=Pfingstentag)  mank de Linden 

nach od.  nacher: Reisekosten nacher Leipzig (1634)  seit,  seiter od.  seider: seider die affere  (1712) 

seiter den 9.  Nov.  (1799) 

尚,当該方言領域では,方向を示すnachze(=zu)に取って代られ る傾向が強い.

ze Hause jehen (statt nach Haus gehen) 

‑ 93 ‑

(25)

こうした/elへの偏向は複合語の形成に際して Bindesilbeとして働

-e—の高い頻出度にも顕れて, Westmd. の_s- と際立った対照を見せ ている.尚, 同じ Md.であっても後者に於ける/elの規制力は可成衰 ぇ,その間隙を縫ってs,sが登場してくる.

さて本稿で扱っている一大方言領域に共通した nd.eの頑なな保持(nd., oberchs.,Berl. sten, meenen), それと対照的な nd.ihd.ei

の置換現象も,今日では更に変化が進んで, Obersachs.ではe(nd. i→ 

hd. eie)となり, Neuberl.と其の周辺部方言群でも nd.ihd. ei→ 

(ae)

e

という推移が見られ始めている.

,,Mein Wein is  sauer." ,,Meen Ween is  saua." 

今日のHochspracheの趨勢としてGenitivの言い替えが顕著であるが,

当方言頷域では其の傾向は一層徹底している,と言うより,これはBerli‑ nisch本来の,,plastisch'な語法の産物29)であるかと考えられる.

hd.,,Scham dich deiner Faulheit !" 

,,Scham dich wegen deiner Faulheit !" 

obersach., Berl.,,Scheeme dia mit deine Faulheet ! " 

hd.,,Ich kann mich ihrer erinnern." 

,,Ich kann mich an sie erinnern." 

Berl.,,Ick kann mia uff se besinnen." 

又極めて直裁的な Berlinerの性格は其の言語にも反映し, Passivを極 度に嫌う.

hd.,,Das Kind ist mir begegnet." 

Berl.,,Ick habe /hebbe det Kind bejejent." 

hd.,,Bist du gesehen worden? " 

Berl.,,Ham se dia jesehen? " statt,,Biste jesehen worn ?" 

即ちこうした「書き替え」も, Mnd.期以来の Perfektへの偏向と相侯 て,当方言領域に於ける be‑Verbenの発達を促進し,延いてはこれが

‑ 94 ‑

(26)

I

/e/‑Feldを更に一層強化したことは十分に推測出来るであろう.be‑Ver‑

benの持つ秀れた機能のひとつはPartizipdesPerfektsの作り易さに あることはWeisgerber,30)Kolb31) も夙に指摘していることである.

北ドイツの中央部に位置しなカミらBerlinの住民は14〜15世紀のAltber‑

linisch時代以来Perfektへの強い偏好度を示して今日に到っているの は特筆すべき現象と言えよう.

次に示すものは14〜15世紀のAltberlinisch.Perfektの使い方と/e/

に注目し度い、

NejendeSake:wendiRadmannetusikvorbodeden (spr.ver‑

bodeden)dyjemeynen(spr. jemeenen)borgere (spr.berjere) vndhebbenmetdenturedendeiimmeunserherenntidund

fromenundderstede,sovoljendendyjemeynen(spr. jemee‑

nen)b6rgere(spr.berjere) denRadmannen6resrades jerne vndscheiden(spr・ scheeden)ski eyndrechtlikenvondenRad‑

rnannen、32)

Hd・訳を試みれば:

NeunteKlagesache:wenndieRadmannendieBtirgerschaftzu sichentbotenundmit ihneniiberderHerrschaftNutzund

FrommenunddieBediirfnissederStadtezuverhandelnhaben, sofolgtendieBiirgerdenVorschlagenderRadsherrenbereit‑

willig,undsieschiedeninEintrachtvondenRadsherren.

Perfekt即ちje‑への偏好は次の現象にも顕れている.

iberjefahren(stattiberfahren‑hd. tiberfahren), iberjesetzt, jede‑

kliniert, jekujoniert, jebarbiertusw.

こうしたje‑への偏好は既に13〜14世紀のAltberlinischに明白に顕れ ており,当時既にge‑を失ってしまっているNiederSachsischとは全く 対照的であり興味あることと言えよう.

−95−

(27)

Altberl.〜Neuberl. :

ikhebbe,duhest(<hest<hesst<hevest) h6het,wi/gf/sihebben

Partizip: jehat,jen6men, jejeben mnd・Schriftsprache:

wi,gf,sehebtgen6men,gevet O

mnd.Dialekten:

wi,gi, sehebtn6men,gevet mnd・Ostfal:

wi,gf, sehebten6men,gevet nnd.Dialekten(z.B.Liibeckisch):

wi,gi,sehebbennemen,geven

以上,Berlinischを中心とした東南部低地ドイツ方言及び東中部方言群 に於ける,Phonem/e/に基くLautstand,及びこれを中心として文構造 に迄何等かの影響を及ぼしているlautlichesFeldの存在を示唆する音韻 形態上の現象について,通時,共時両面からの資料を基にして私見を述べ た次第であるが,弦で浮き彫りにされてきたのは生きた言語である方言と その音韻感覚から遠く離れた今日の文章語あるいは統一語の〃"gWeと しての異常な特質である.然し乍らWeisgerberの意味での,認識と論理 の先天的規定形式としてのMutterspracheがSaussureの〃"gWeと は異り,その母胎である民族から切り離せないものであるとしたら,今日 のドイツ文章語や統一語の発生源であり,今日尚文章語に幾漠かの影響を 与え続けている方言の研究は尚更必要ではなかろうかと考える次第であ る.従って此の意味からも,現代以前の文章語は今日のそれとは同一に扱 えず,その際は,当時の各方言の存在を常に考慮に入れねばならないであ ろう.時代と共に揺れ動き,又変化し続ける方言のlautlichesFeldと語 野との相関関係についてのより掘り下げた研究を今後の課題にし度いと思

−96−

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