カ ウ ンセ リング ・ス キル を考 慮 した 授 業 づ く りに関 す る実 証 的研 究

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千 原:カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を 考 慮 した授 業 づ く りに関 す る 実 証 的 研 究

カ ウ ンセ リング ・ス キル を考 慮 した 授 業 づ く りに関 す る実 証 的研 究

コ ミュ ニ テ ィ心 理学 的視 座 か らの ア プ ロー チ

千 原

美 重 子*

EmpiricalStudyonTeachingSkillwithCounselingTechniques:

ACIinicalandCommunityPsychologicalApproach

MiekoChihara

本研 究 は 、 カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を生 か した授 業 を す る こ と に よ って 生 徒 の 授 業 に対 す る 評価 が 上 が る か ど うか 、 ま た 、教 師 の 授 業 度 が 向 上 す る か ど うか を 実証 授 業 を行 っ て検 証 す る こ とを 目的 に して い る 。 同 時 に、 臨 床 心 理 士 が 学 校 とい う現 場 に入 り協 働 す る とい う コ ミュ ニ テ ィ心 理 学 の立 場 が 有 効 か ど うか を検 討 す る こ とで あ る 。 そ の 結 果 、 実 証 授 業 後 に生 徒 の授 業 に対 す る評 価 は上 が り、教 師 の授 業 度 も向 上 した こ と を示 した 。 学 校 コ ミュニ テ ィへ の臨 床 心 理 士 の 参 画 の 意 義 を検 討 した。 今 後 コ ミュ ニ テ ィ心 理 学 が 果 た す 役 割 が 大 きい こ と を示 唆 す る もの で あ った 。

間 題 と 目的

学 力 低 下 の 問 題 が 指 摘 され て久 しい 。 本 当 に子 ど もた ち は学 ぶ こ とが 嫌 い な の だ ろ うか 。 また 、学 習 へ の 動 機 づ けが 充 分 で な い生 徒 が 多 い との 指摘 もあ り、 学校 教 育 で の 教 科 指 導 が 困 難 で あ る状 況 は 一 般 的 な傾 向 で あ る 。 臨床 心 理 士 と して 、 生徒 の 相 談 事 例 に接 す る た び に、 学 習 が 楽 しい 、 よ く分 か る よ うに な れ ば 、学 校 で の居 場 所 が作 れ るの で は ない か とか ね が ね 思 っ て い た 。

平 成18年 度 に 、 中 学 校 の 先 生 と、 「学 校 教 育 相 談 に関 す る研 究 」 の プ ロ ジ ェ ク トチ ー ム を組 む 機 会 を い た だ い た 。

過 去5年 間 、 アサ ー シ ョ ン ・トレー ニ ン グ、 ピア ・サ ポ ー ト、 ス トレス マ ネ ー ジ メ ン トの研 究 を 現 場 の教 員 とチ ー ム を組 み 、 専 門研 究 員 と して 実 際 に教 育 現 場 に 出 向 い て研 究 を して き た 。

「学 校 教 育 相 談 に関 す る研 究 」 は 、 テ ー マ が カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を生 か した 授 業 づ く りで あ り、非 常 に 関心 の あ る分 野 に参 加 す る こ とが で きた。 昨 年 度 の 中 間報 告(千 原 、2007)で は 、 カ

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奈 良 大 学 大 学 院研 究 年 報 第13号(2008年)

にポ ジテ ィー ブ な結 果 を得 た。 今 回 は 、 全 体 の プ ロ ジ ェ ク トの 結 果 を分 析 した 結 果 、 どの よ うな 展望 が見 え て くる の か を考 察 した い。

今 回 の研 究 の 視 座 と して 、 コ ミュ ニ テ ィ心 理 学 的 観 点 をあ げ て い る 。 これ は平 成7(1995)年 度 以 降 に お い て 、 臨 床 心 理 士 が相 談 室 か ら地 域 住 民 の 生 活 の 場 に飛 び込 む とい う心 理 臨 床 的 地 域 支援 が急 激 に 求 め られ る よ う に な っ て き とこ とに よ る。

平 成7年 は コ ミュ ニ テ ィ心 理 学 に と って 画 期 的 な年 で あ っ た 。1月17日 に 阪神 ・淡 路 大 震 災 が 発 生 し、 被 災 者 の 心 の ケ ア の た め には 、 密 室 で 来 談 者 を待 つ とい う姿 勢 で は な く、 被 災 者 の 生 活 の場 に出 向 き、 心 理 臨 床 的 地 域 援 助 の実 践 が 求 め られ る こ とに な っ た 。

さ らに 、平 成7年4月 か ら各 都 道 府 県 の小 中 高 に ス ク ー ル カ ウ ンセ ラー と して 、 臨 床 心 理 士 な ど心 理 臨 床 の 高 度 の 専 門家 を試 行 的 に学 校 現 場 に配 置 す る 国家 的 プ ロ ジ ェ ク トが 開 始 され たの で あ る。学 校 教 育 へ の パ ラ ダ イ ム の変 換 が求 め られ た結 果 で あ る。

日本 臨 床 心 理 士 認 定 協 会 で は 、 臨 床 心 理 士 の 実 践 的 役 割 と して 、 臨床 心 理 学 的 査 定 と、 心 理 相 談 、 心 理 臨 床 的 地 域 援 助 をあ げ て い る 。 今 後 ます ます 地 域 援 助 の要 請 が 求 め られ て き る だ ろ う。

特 に、 緊 急 支 援 対 応 は非 常 に増 え て お り、 多 くの 臨 床 心 理 士 が 緊急 に現 場 に 介 入 して お り、 地 域 援 助 の 成 果 が 高 ま っ て い る。

平 成19年 度 は 、 異 な っ た 観 点 か らで あ るが 、 「人 権 に 関 す る研 究 」 に再 度 専 門研 究 員 と して コ ミュニ テ ィ心 理 学 の視 座 か ら研 究 に参 画 を してい る と こ ろ で あ る。 結 果 に つ い て は 、 次 回発 表 し たい 。

今 回 の研 究 目的 は 、地 域 支援 と して 学 校 現 場 で の 授 業 に カ ウ ンセ リ ング ・ス キ ル を導 入 す る こ と に よ り、 生 徒 の 授 業 理 解 や 学 習 へ の 動 機 づ けが どの よ う に変 化 す る か 、 また 、 教 師 の 授 業 が ど の よ う に変 化 す るか を見 る こ とで あ る。

カ ウ ンセ リ ン グ ・マ イ ン ドとい う言 葉 が 教 育 現 場 で 使 用 さ れ始 め た の は 、1970年 ご ろか らで あ る。 カ ウ ンセ リ ング ・マ イ ン ドとい う言 葉 は、 和 製 英 語 で あ り、 そ の意 味 は 、 カ ウ ンセ リン グ を 行 う と きの よ う な対 等 で 信 頼 関係 に裏 打 ち され た よ うな 人 間 関係 の あ り よ う を さす 言 葉 で あ る。

今 回 は、 カ ウ ンセ リ ン グ ・マ イ ン ドよ りや や 踏 み 込 ん で、 カ ウ ンセ リ ング ・ス キ ル を考 慮 した 授 業 づ く りの 研 究 で あ る 。教 師 が 授 業 で カ ウ ンセ ラ ー に な れ とい うの で は な い 。 カ ウ ン セ リン グ の ス キ ル を考 慮 して 、 授 業 をす る とい う こ とで あ る。

研 究 仮 説 と して 、 「カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を授 業 に生 か す こ とで 、生 徒 が 授 業 へ の 主 体 的 な 参 画 を深 め 、 学 習 へ の動 機 づ け や 理 解 度 が 高 ま り、 生 徒 の教 師へ の評 価 が 高 ま り、 教 師 の 授 業 度 が 向 上 す る」 とい う こ とで あ る。

したが って 、 今 回 の 論 文 の具 体 的 な 目的 は 、

(1)授 業 に対 す る生 徒 の 評 価 が 、 カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を導 入 した授 業 後 に高 ま る か 、 (2)教 師 の授 業 度 が 、 実 証授 業 後 に高 ま る傾 向 にあ るか 、

(3)コ ミュ ニ テ ィ心 理 学 的 視 座 の 実 証 とい う こ とを検 討 す る こ とで あ る 。

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千 原:カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を考 慮 した授 業 づ く りに 関 す る 実 証 的 研 究

研究方法

1.研 究 期 間:平 成18年4月 か ら平 成19年3月 まで

2.研 究 委 員:プ ロ ジ ェ ク ト推 進 研 究 員1名 、 専 門研 究 員2名(筆 者 も含 む)、 研 究 委 員4名 (2名 の 実 証 授 業 者 を含 む)、 計7人

3.研 究 対 象 者:中 学 生X中 学 校1年 生17人(英 語 科 目)、Y中 学 校1年 生24人(国 語 科)、

計41人 。 教 師(実 証 授 業 実 施 者)X中 学 校 英 語 科 担 当A先 生(男 性)、Y中 学 校 国 語 科 担 当B先 生(女 性)、 計2名

4.手 続 き:

(1)実 証 授 業 に入 る前 に、 生 徒 に対 して授 業 に対 す る ア ンケ ー ト調査 を実 施 す る。 ま た、 授 業 風 景 を ビデ オ に撮 影 し、授 業 度 を測 定 す る 。

(2)授 業 に生 か す カ ウ ンセ リ ング に つ い て講 義 をす る。 講 義 内 容 に関 して は、5.で 説 明 す る 。 実 施 者 は臨 床 心 理 士 で あ る。

(4)実 証授 業 に入 る前 に 、 毎 回 指 導 案 を作 成 し、1次 的支 援 と2次 的 支 援 の ポ イ ン トにつ い て 委 員 会 で 検 討 し、 修 正 す る 。

(5)実 証 授 業 は 、 英 語 科 と国 語 科 目 をそ れ ぞ れ4回 〜5回 す る 。 毎 回 授 業 を ビ デ オ に 収 録 す る。 最 終 授 業 の ビデ オ よ り、授 業 度 を測 定 す る 。授 業 度 の分 析 の観 点 は 、 図1に 示 す 。 (6)毎 回生 徒 は 、振 り返 りシ ー トを記 入 す る。

授業者 ○ ○ 教諭 分析者 2006年7月6日(木)5校

形態 ⑧ ・ グル ープ学習 ・ 個別学習 教科 国語

言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 非 言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン (1)

授 業 に必 要 な応 答 (ll)

カ ウンセ リン グ ・スキ ル を 生 か した 応 答

(皿) 非 カウンセリ ング的 応 答

(IV)

カウ ンセ リング 的 な コ ミュニ ケー シ ョン

(V)

非 カ ウンセ リング 的 な コミュ ニ ケー ション

(w) 授業に 必要

問 指

示 説

明 評

価 誘

導 範

読 そ の 他

明 確 化 壱昌 換

え 支

持 質

問 自 己 開 示

容 評

責 非

難 皮

微 笑 み

姿 勢 生 徒

近 接 行 動

身 振 り 大

前 傾 姿 勢

首 肯 き

机 間 指 導

首 横 振 り

腕 組 姿 勢

後 傾 姿 勢

身 振 り 小

視 線 外 す

表 情 乏 し い

駿

22 17 14 0 3 0 10 8 3 11 4 0 4 4 1 0 0 0 0 5 4 0 2 0 6 3 0 0 0 0 0 0 10 0

ー4

66 35 0 20 0 10

101 30

131

図1分 析 集 計表(例)

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奈 良 大 学 大 学 院 研 究 年 報 第13号(2008年)

5.授 業 に生 か す カ ウ ン セ リ ング の講 義 内容

(1)授 業 に生 か せ る カ ウ ンセ リ ン グ につ い て は、 教 育 心 理 学 、 臨床 心 理 学 、 教 育 相 談 な どの 教 科 で今 ま で講 義 して きた講 義 概 要 や 、 新任 教 師 や10年 研 修 な ど で教 育 相 談 に 関 して 講 演 や 演 習 で して きた 内 容 を 中心 に して 、 パ ワー ポ イ ン トで 提 示 し、 シ ャ トル カ ー ドを用 い て そ の 効 果 を吟 味 した 。

(2)パ ワ ー ポ イ ン トの具 体 的 な内 容 は、 講 義 ・演 習 の 目的 、 ウ ォー ミ ン グア ッ プ、 プ ロ グ ラム の 日程 説 明 を し、 そ の 後 は第3部 に分 け て行 って い る 。

(3)第1部 で は 、 授 業 と は、 カ ウ ンセ リ ング とは 、授 業 に カ ウ ンセ リ ン グ を生 か す 方 法 、 構 成 的 グル ー プ ・エ ンカ ウ ン タ ー(SGE)、SGEの 演 習 の実 施 を含 む 。SGEの 実 習 内 容 は、 ウ ォ ー ミン グ ア ップ(ご ち ゃ 混 ぜ ビ ンゴ の 実 施)の 後 、「授業 が面 白 くない」 とい う生徒 の話 を 聞 くとい う教 師 同 士 の ロ ー ル プ レイ ング を行 い、 シ ェ ア リ ング を行 っ た 。

(4)第2部 で は 、 さ ま ざ ま な カ ウ ンセ リ ング理 論 に つ い て要 点 を ま とめ て 説 明 した 後 、17年 に わ た る 実 証 的研 究 の 結 果 につ い て説 明 した。

(5)第3部 で は 、 カ ウ ン セ リ ング の ス キ ル を授 業 に生 か す た め の観 点 を取 り上 げ た。 基 本 的 な もの と して は、5つ の言 語 ス キ ル(受 容 、 繰 り返 し、 明確 化 、 質 問 、 支 持)、8つ の 非 言 語 ス キ ル(視 線 、 表 情 、 ジ ェス チ ャ ー、声 の 質 ・量 、席 の と り方 、 言 葉 遣 い 、服 装 ・身 だ しな み 、 身 体接 触)に つ い て指 摘 した 。上級 者 向 け と して 、1960年 代 か ら提 唱 さ れ た ア イ ビー(2000) の マ イ ク ロ カ ウ ン セ リ ン グ につ い て 、 か か わ り技 法 と、 積 極 技 法 に 関 して説 明 した。 沈 黙 、 受 容 、 質 問 、 繰 り返 し、 明 確 化 、要 約 、支 持 、対 決 な ど具 体 的 な言 葉 の 説 明 を した 。

結果 と考察

1.振 り返 りシ ー トの分 析

図2の よ うな5件 法 に よ る振 り返 りシ ー トを使 用 した。5が 最 高 得 点 で あ る 。 (1)総 合 的 な分 析

表1、 表2は そ れ ぞ れ の先 生 に対 す る 生徒 の 振 り返 りシ ー トの 得 点 で あ る。 図3は 、初 回 の 振 り返 りシ ー トの 「授 業 につ い て 」、 「自分 自 身 の評 価 」、 「先 生 に対 す る 評 価 」 を総 合 した平 均 得 点 と、 最 終 回(図 で は 第2回)の 得 点 を 図示 した もの で あ る 。 これ に よ る と、 最 終 回 の 評 価 が 高

くな っ てお り、 従 業 へ の評 価 が 高 くな って い る こ とが うか が え る 。 (2)授 業 に関 す る評 価 の分 析

振 り返 りシ ー トの 中 で も特 に授 業 に つ い て の評 価 につ い て検 討 す る 。 実 証 事 業 に取 り組 む前 と 実 証 事 業 後 を比 較 す る と、 「授 業 は 楽 しか っ た で す か 」 の 項 目で は、5の 評 価 が2倍 以 上 増 え て お り、1の 評 価 が な くな って い る。 ま た、 「授 業 が 良 くわ か りま した か」 の 項 目で は、5の 評 価 が 3倍 以 上 増 え て 、2と1の 評 価 が な くな っ てい る(図4、 図5)。

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千 原:カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を考 慮 した 授 業 づ く りに関 す る実 証 的 研 究

1年

【授 業 に つ い て 】

1.授 業 は 、 楽 しか っ た で す か 。 2.授 業 は 、 よ くわ か り ま した か 。

【自分 自身 の 評 価 】

1.進 ん で 発 表 す る こ とが で き た。

2.話 を し っか り と聞 く こ とが で き た。

3.授 業 に 意 欲 的 に 取 り組 む こ と がで き た。

【先 生 に 対 す る評 価 】

1.表 情 ・身 振 り ・手 振 りを上 手 に使 い 、 して い る。

2.生 徒 の 発 表 を しbか りと受 け止 めて くれてい る。

3.わ か りや す い 授 業 を しよ うと努 力 して い る 。

【今 日の 授 業 の 感 想 】

授 業 振 り返 り シ ー ト

※ 「5」が一 番 良 い評 価 で す

組 番 氏 名

(5・4・3σ2・1) (5・4・3・2・1)

(5・4・3・2・1) (5・4・3・2・1) (5・4・3・2・1)

うま く説 明 や 質 問 を

)))‑■‑⊥■1

222

333

444

555(((

図2振 り返 り シ ー ト 表1振 り返 り シ ー トの 結 果(A先 生)

授業 自分 自身 先生

1 2 1 2 3 1 2 3

9月13日 3.8 3.8 2.3 3.8 3.3 3.1 3.8 3.9

10月3日 4.3 4.1 3.1 4.3 4.3 4.1 4.2 4.3

10月4日 4.2 4.1 3.6 4.1 4.1 4.1 4.2 4.3

10月6日 4.2 4.3 3.3 3.9 3.8 4.0 4.1 4.1

10月17日 4.5 4.4 3.9 4.5 4.6 4.4 4.3 4.5

表2振 り返 り シ ー トの 結 果(B先 生)

授業 自分 自身 先生

1 2 1 2 3 1 2 3

7月4日 3.8 3.5 1.8 3.7 3.7 4.0 2.7 4.0

9月22日 3.8 4.4 2.5 3.9 3.6 3.7 3.9 4.4

10月3日 3.3 3.6 2.2 3.5 3.3 3.2 3.7 4.0

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PO4.0ウ﹂dーハU

灘 灘 灘、

蓋叢議 鱒薬 灘 薮灘 鐘蕪童 ξ 塑鎌癒i難灘 灘灘

第1回 第2回

→‑A先 生 +B先 生

図3授 業 についての生徒の評価

授 業 は楽 しか っ た で す か

取組み前

実証授業

0%20%

※5が 一 番 良 い 評 価

40% 60% 80%

舞%

囲5【 コ4圏3口2〔 コ1 n=28

100%

図4振 り返 り シ ー トの 比 較(楽 しい)

授 業 は よ くわ か り ま したか

取組み前

実証授業

0%20%

※5が 一 番 良 い 評 価

40% 60% 80% 100%

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千 原:カ ウ ン セ リ ング ・ス キ ル を 考 慮 した 授 業 づ く りに関 す る 実 証 的 研 究

2.教 師 の 授 業 度 につ い て"

(1)授 業 度 の 指標

教 師 の カ ウ ン セ リ ン グ ・ス キ ル を生 か した授 業 度 と して 、(カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を生 か し た応 答+カ ウ ンセ リ ン グ的 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン)÷ コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 総 量 ×100で 算 出 した (図6)。A先 生 は、 事 前 で は21.6%が 、 授 業 後 は32.4%、B .先生 は 、事 前 で は42.0%、 授 業 後 は 48.6%と 変 化 した 。 そ れ を 図 示 したの が 図7で あ る 。 両 先 生 と も実 習授 業 後 に高 くな っ て い る。

ま だ。2事 例 な の で 、統 計 的有 意 差 検 定 は で きな い が 、 か な り上 が って い る こ とが示 され て い る。

今 後 、 事 例 数 を増 や して 検 討 す る必 要 が あ る。

カウンセリング・スキル を生 かした授 業 度

図6カ ウ ン セ リン グ ・ス キ ル を生 か し た授 業 度 の 求 め方

60 50 40 9630

20 10 0

第1回 第2回

→‑A先 生 +B先 生

図7カ ウ ン セ リン グ ・ス キ ル を 生 か した 授 業度 (2)授 業 度 を示 す 簡便 な 指標 の 考 案 に つ い て

今 回 の 分 析 で は全 コ ミュニ ケ ー シ ョ ン量 を算 出 した が 、 さ ら に簡 便 にす る た め に は 、 カ ウ ンセ リ ング ・ス キ ル を生 か した言 語 的 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を使 用 した 応 答(繰 り返 し、明 確 化 、支 持 、 質 問 、 自己 開 示 、 受 容 、 評 価)、 非 言 語 的 カ ウ ンセ リ ン グ的 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン(微 笑 み 、視 線 、 近 接 行 動 、 身振 り大 、 前 傾 姿 勢 、 首 肯 き、 机 問 指 導)に 注 目す る こ とで よい の で は な い か と考 え ら れ る 。 そ の 上 で 、 そ の 対 極 に あ る非 カ ウ ン セ リ ン グ的 言 語 応 答(叱 責 、非 難 、 皮 肉)、 非 カ ウ ン セ リ ング 的 非言 語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン(首 横 振 り、 腕 組 後 傾 、後傾姿勢、身振 り小、視 線合 わ せ ず ・ 表 情 乏 しい)を 見 て い く こ とが 必 要 で あ る と考 え る。 簡 便 で利 用 価 値 が 上 が る指 標 を検 討 す る必 要 性 が あ る と思、われ る。

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3.カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を生 か した授 業 と授 業 度 の 高 ま りの 関連 性

授 業 とは 、 教 育 者 と被 教 育 者 とが 教 材 を仲 立 に して 行 う営 み で あ る とい わ れ る 。 した が っ て 、 教 材 研 究 が 十 分 に な され る こ とは 必 要 条 件 で あ る。 そ れ だ け で 十 分 か とい う と、 教 育 者 と被 教 育 者 との 関係 性 が深 ま らな い と授 業 の 深 ま りは乏 しい もの に な る 。 両 者 の 関 係 を どの よ う にす れ ば 授 業 とい う土 台 に乗 せ られ るか が 、非 常 に重 要 で あ る。

今 回 の研 究 で は、 指 導 案 を作 成 す る と きに 、1次 的 支 援 と2次 的支 援 を考慮 に 入 れ て い る。 誰 にで も共 通 す る支 援 を1次 的 支 援 と した。 振 り返 りシー トな ど を活 用 して 、 生 徒 の 状 況 や ニ ー ズ に合 わせ て 個 別 な支 援 が 必 要 な生 徒 に対 して 、2次 的 支援 を考 慮 した。 結 果 的 に 、 仮 説 が 支 持 さ れ た の は 、個 人 が大 切 と され て い る授 業 の 雰 囲 気 は、 安 心 感 の あ る状 況 を醸 成 した こ とが1つ の 要 因 だ と思 わ れ る。

今 回 の 授 業 分 析 の 対 象 者 は 、 中学1年 の 国 語 と英 語 の教 師 と、 中学1年 生 で あ る 。 中 学1年 生 で 、英 語 の授 業 につ まず い て 興 味 を失 う生 徒 が あ る 。 また 、 日常 的 に使 用 して い る国 語 で は あ

るが 、読 み書 き にだ る さ を感 じ る生 徒 もあ り、 結 果 的 に 、 学校 教 育(学 習)へ の 意 欲 を失 う生 徒 が 多 い。

教 師が 生 徒 の気 持 ち を理解 し、 話 を聞 こ う とす る カ ウ ンセ リ ン グ、 マ イ ン ドや 、 構 成 的 グ ル ー プエ ンカ ウ ン ター(SGE)の よ うに 、生 徒 同士 が 主 体 的 に活 動 で きる カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を 用 い た授 業 で は 、 生徒 の授 業 に対 す る関 心 度 や 理 解 力 が 高 ま り、 教 師 自身 も授 業 度 を高 め る こ と が で きる こ と を示 す傾 向 が示 され た 。今 回 は2事 例 な の で 、 統 計 的 な有 意 差 検 討 が で きなか っ た が 、今 後 事 例 を増 し、検 討 す る こ とが必 要 で あ る。

4.コ ミュニ テ ィ心 理 学 的 視 座 の 検 証 につ い て

コ ミ ュニ テ ィ心 理 学 と は、 「誰 もが 切 り捨 て られ る こ とが な く、 個 人 と環 境 との適 合 性 を最 大 にす る こ とで あ る」(山 本 、1998)。

学 校 現 場 で は、 不 登 校 、 い じめ 、 友 人 関係 の トラブ ル 、 学 業 不 振 、 問 題 行 動 、 リス トカ ッ トな どの 自傷 行 為 、 教 師 の 精 神 的 ・身 体 的 不 適 応 問題 な ど、 さ ま ざ ま な問 題 が あ る。 こ う した問 題 を 解 決 しな が ら、 生徒 も、教 師 も発 達 して い る と もい え る。

今 回 は、 「学 校 教 育 相 談 の研 究 一 カ ウ ンセ リ ング ・ス キ ル を生 か し た授 業 づ く り一 」 とい う テ ー マ で、中学 校 で 実 証 的研 究 を行 っ た 。学校 とい う コ ミュニ テ ィ に入 り、現 場 の先 生 と協 働 して 、 教 育 相 談 と授 業 との 関連 性 につ い て研 究 す る こ とが どの よ う な結 果 を もた らす の か 、 興 味 を持 っ

て参 画 した 。 そ の 結 果 、 生 徒 は学 習 が 楽 し く、授 業 が 良 くわ か る とい う結 果 と な り、 教 師 も授 業 度 が上 が った 。 学 校 コ ミュ ニ テ ィへ の 臨床 心 理 学 の 参 画 は 今 後 さ ま ざ ま な課 題 に関 して、 そ の必 要 性 、可 能性 が 示 唆 され る結 果 とな った 。

参考文献

(9)

千 原 カ ウ ン セ リン グ ・ス キ ル を考 慮 した授 業 づ く りに 関 す る実 証 的研 究

的 な か か わ りが授 業 力 を高 め る 一」 平 成18年 度 滋 賀 県 総 合 教 育 セ ン タ ー 滝 口俊 子2005『 ス クー ル カ ウ ンセ リ ン グ』 放 送 大 学 教 育 振 興 会

千 原美 重 子2007「 教 育 臨 床 心 理 学 へ の ア プ ロー チ ー カ ウ ンセ リ ン グ ・ス キ ル を考 慮 した 授 業 づ く りに お け る臨 床 心 理 士 の 関与 の あ り方 一」 奈 良 大 学 大 学 院 年 報31‑30

松 原達 哉1998『 カ ウ ンセ リ ン グ を生 か した 授 業 作 り』 学 事 出 版 斉藤 優 他 編2004『 授 業 の 技 』 教 育 開 発研 究 所

〈付 記 〉 今 回 の 研 究 に あ た り、 滋 賀 県 総 合 教 育 セ ン タ ー研 究 員 、大 林 裕 季 先 生 を始 め 、専 門 委 員 、 研 究 委 員 、 研 究 協 力 校 の生 徒 の 皆 様 には 大 変 協 力 い た だ き ま した 。 記 して 感 謝 申 し上 げ ます 。

Summary

Purposesofthispaperaretostudywhetherstudents'evaluationofclassesbecometohigher3ndwhether teachers'teachingskillsgowell,throughsomeexperimentalclassesappliedbyteachingskillswithcounsel‑

ingtechniques.Italsoincludedtoconsiderusefulnessofclinicalandcommunitypsychologybycollabora。

tiveactivitiesofcertificatedclinicalpsychologistsinschools.Resultsofdiscussionsuggestedfbrtheexperi‑

mentalclassestorisethestudentsユevaluationhigherandtoimprovementteachers'teachingskills.These revealthatclinicalandcommunitypsychologywillbeimportantinfUture.

(10)

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References

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