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経済産業省における最近の議論 (1) 産業構造審議会では 今後日本は 何で稼ぎ 何で雇用していくのか について検討をすすめ 今般 産業構造ビジョン2010 を取りまとめた その中で 日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく 以下の3つの構造的な要因が存在していると分析された 1. 産業構造全体 の

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本日の講演内容 はじめに Ⅰ. 営業秘密管理とは Ⅱ. 営業秘密管理指針について Ⅲ. 営業秘密管理指針(改訂版)の内容 おわりに

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経済産業省における最近の議論(1) ○産業構造審議会では「今後日本は、何で稼ぎ、何で雇用していくのか」 について検討をすすめ、今般「産業構造ビジョン2010」を取りまとめ た ○その中で、日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく、以下の3つ の構造的な要因が存在していると分析された。 た。 の構造的な要因が存在していると分析された。 1.「産業構造全体」の問題 (自動車依存の「一本足構造」で良いのか等) 2.企業の「ビジネスモデル」の問題 (DVDプレーヤーのように「技術で勝って、事 業 負ける はなぜか等) 業で負ける」のはなぜか等) 3.一企業ではどうしようもない、国 の「ビジネスインフラ」の問題 (出典) 産業構造ビジョン2010 (法人税等のコストが高いのではないか等) ( 典) 業構造 2 ○産学官 体とな て 前頁1 3 の全ての問題を解決していく必要があるが 経済産業省における最近の議論(2) ○産学官一体となって、前頁1.~3.の全ての問題を解決していく必要があるが、 各企業には、まずもって2.の「ビジネスモデル」問題を解決することが期待される。 ビジネスモデルを構築するに当たっては、何を「オープン化」し、何を (出典) 産業構造審議会 産業競争力部会 第一回資料 ビジネスモデルを構築するに当たっては、何を オ プン化」し、何を

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○知的資産とは ○知的資産経営 意義 知的資産経営の推進 ○知的資産とは 知的資産とは「従来のバランスシート上に記載されている資 産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉であ ○知的資産経営の意義 ★自社の持つ経営資源を最大限活用する 企業の成長・発展のためには不断の経営改善が必 要 そ ためには限られた経営資源(内部 外部) る、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組 織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表 われてこない目に見えにくい経営資源の総称を指す。 【イメージ図】 要。そのためには限られた経営資源(内部・外部) を有効に活用する「気づき」が重要であり、財務情 報(決算書)に表現されない自社の個性、強みなど 競争力の源泉を明確にし、それを認識・活用するこ とで将来にもわたり持続的な経営が可能となる 知的財産 知的資産 ex.)人材、組織力、経営理念、顧客とのNW等 無形資産 ex.)借地権、電話加入権等 知 とで将来にもわたり持続的な経営が可能となる。 ★自社 強みや将来性を金融機関 取引先等に知 内部マネジメントに有効 知的財産権 ex.)特許権、著作権等 知的財産 ex.)営業秘密、ノウハウ 等 知 的資産 ★自社の強みや将来性を金融機関、取引先等に知っ てもらう 自社の経営方針や強み、将来の企業価値の源泉に ついて、金融機関、取引先、社員、株式市場に十分 ○知的資産経営とは 知的資産経営とは、自らの強みである知的資産を内部で把握 し それを企業の内部 外部における経営活動に活かしてい ついて、金融機関、取引先、社員、株式市場に十分 に示されておらず、経営者の頭の中だけにイメージ されている場合が多い。それらを多くのステークホ ルダー(利害関係者)と共有し支持されることが重 要となる。 財務資産 非財務資産 知的資産 企業内 企業外(外部ステーク ホルダー) し、それを企業の内部・外部における経営活動に活かしてい く経営手法である。 外部コミュニケーションに有効 人材 顧客 NW 情報 資金 =知的資産 人材 顧客 NW 資金 共同 開発先 金融 仕入先・ 協力会社 顧客 ●「気づき」のツールとして有効 (活用例:指南書、備忘録、人材育成) 知的資産経営報告書は 設備 情報 技術力 知財 ブランド 設備 情報 技術力 知財 ブランド 金融 機関 顧客・ ユーザー ・・・ (活用例:指南書、備忘録、人材育成) ●「見せる化」のツールとして有効 (活用例:新規取引先開拓、資金調達、動機付け)1 4 Ⅰ 営業秘密管理とは Ⅰ. 営業秘密管理とは

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営業秘密とは ○不正競争防止法によって保護される、以下の3要件を全て満 たす情報である  秘密として管理されていること(秘密管理性) ①情報にアクセスできる者を制限すること (アクセス制限) たす情報である。 ①情報にアクセスできる者を制限すること (アクセス制限) ②情報にアクセスした者にそれが秘密であると認識できること (客観的認識可能性)  有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性)

 有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性) 当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経 営効率の改善等に役立つものであること。現実に利用されていなくても良い。 ○ × ・設計図、製法、製造ノウハウ ・顧客名簿、仕入先リスト ・販売マニュアル ○ ・有害物質の垂れ流し、脱税等の反社会的な活動につい ての情報は、法が保護すべき正当な事業活動ではない ため、有用性があるとはいえない。 × 販売マニュアル  公然と知られていないこと(非公知性) 保有者の管理下以外では 般に入手できないこと 保有者の管理下以外では一般に入手できないこと。 ・第三者が偶然同じ情報を開発して保有していた場合で も、当該第三者も当該情報を秘密として管理していれ ○ ・刊行物等に記載された情報 × ば、非公知といえる。 6 裁判例において営業秘密として主張された情報 製造方法(ノウハウ) ・製袋機の製造工程 ・白アリ防除剤製造方法(配合割合、加熱温度、攪拌方法・攪拌時間、冷却 温度等) 技術情報 温度等) 等 図 ・金型図面 ・組立図面 図 面 組立図面 ・部品図面 等 そ の 他 ・ソフトウェアのプログラム 機械効率のデ タ そ の 他 ・機械効率のデータ 等 経 営 情 報 ・ソフトウェアの開発方針 ・取締役議事録 等 等 仕 入 先 / 販 売 先 に ・野菜の輸入先目録(生産者の氏名、住所、連絡先等) ・商品の原価 ・顧客目録(顧客の名称、住所、連絡先、過去の取引実績及び支払状況等) 営業情報 関 す る 情 報 ・電話帳より抜粋した顧客名簿(ただし、電話勧誘の際の反応、成約に至る 見込みなども記載) 等 ・従業者(システムエンジニア)の情報(連絡先、売上高、報酬額、その そ の 他 差額である粗利益等) ・派遣会社における派遣社員情報(氏名、連絡先、年齢、性別、経歴、取得 資格、派遣実績等) 等 等

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営業秘密と特許権等との対比 営業秘密として管理 特許権等の知的財産権を取得 •自社の事業戦略の方向性が他社に明ら かとならない メ リ ッ ト かとならない •失敗した実験のデータ等特許になじまな いノウハウも営業秘密として保護対象と なり得る •事前の審査を通じ権利の内容が明確と なる •登録を通じ権利の存否が明確となる なり得る •製品等を分解することによって明らか にならない限り、保護期間の制限もなく 他社との差別化を図れる •一定期間、譲渡可能な排他的独占権を 取得できる 他社との差別化を図れる •登録制度がないので 権利の内容 存 •出願内容を公開することを制度の前提 デ メ リ ッ ト •登録制度がないので、権利の内容、存 否が不明確 •他社が独自開発した場合、独占できなく なる •出願内容を公開することを制度の前提 としており、自社の開発動向が知られた り、周辺特許を取得されたりする可能 性がある なる •適切に管理しない場合、法律による保護 を受けられない 性がある •保護期間が満了したら誰でも利用可能 となる 8 知財戦略の選択肢のひとつ ○技術・ノウハウ等を活用して、利益を持続的に確保する には 他社に「使用させる部分」と「使用させない部分」 には、他社に「使用させる部分」と「使用させない部分」 とを明確にする必要がある。 ○そして、それぞれの部分について特許等を用いた「オープ ン化」と営業秘密として管理する「ブラックボックス化」 ン化」と営業秘密として管理する ブラックボックス化」 とを戦略的に使い分けることが求められる。 ※こうした使い分けは 今後 大企業のみならず 中小企業においても求められるものと考えられる ※こうした使い分けは、今後、大企業のみならず、中小企業においても求められるものと考えられる。 公開(オープン化)して権利取得 非公開に(ブラックボックス化)して保護 営業秘密 ○発明を保護 ○原則出願から20年 特許権 ○保護期間に制限なし 各企業においてベストミックスを追求

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Ⅱ 営業秘密管理指針について Ⅱ. 営業秘密管理指針について 10 営業秘密管理指針とは ○適切な営業秘密管理に向けた企業 のアプローチを支援することを目的 のアプローチを支援することを目的 に策定されたガイドライン。 ○「営業秘密 として法的に認めら ○「営業秘密」として法的に認めら れうる秘密管理の水準を示している。

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営業秘密保護に係る制度整備及び管理指針策定・改訂の経緯 平成2年 民事保護規定の創設 「営業秘密」の不正取得・使用・開示行為に対する民事保護規定の創設 平成14年 「知的財産戦略大綱」 平成14年 「知的財産戦略大綱」 企業が営業秘密に関する管理強化のための戦略的なプログラムを策定できるよう、「参考と なるべき指針」を2002年度中に作成することが盛り込まれる 平成15年 「営業秘密管理指針」の策定・公表 平成15年 「営業秘密侵害罪」の創設 営業秘密侵害行為のうち 特に違法性の高い行為類型に限定して刑事罰の対象とする 営業秘密侵害行為のうち、特に違法性の高い行為類型に限定して刑事罰の対象とする 平成16年 裁判所法等の改正 民事訴訟における営業秘密保護のための秘密保持命令制度、当事者尋問等の公開停止規定導入 平成17年 「営業秘密侵害罪」の罰則強化 国外処罰規定、退職者処罰規定、法人処罰規定等の導入(平成17年11月1日施行) 平成17年 「営業秘密管理指針」の改訂・公表 平成17年 「営業秘密管理指針」の改訂 公表 平成18年 「営業秘密侵害罪」の罰則強化 懲役刑の上限を10年、罰金刑の上限を1000万円、法人重課の上限を3億円に引き上げ (平成19年1月1日施行) 平成21年 「営業秘密侵害罪」の罰則強化 目的要件の変更、第三者等による営業秘密の不正な取得に対する刑事罰の対象範囲の拡大、従 業者等による営業秘密の領得自体への刑事罰の導入(平成22年7月1日施行) 平成22年 「営業秘密管理指針」の改訂・公表 12 平成21年不競法改正時の指摘とそれを踏まえた指針の改訂点 ① 処罰対象となる行為、ならない行為を具体的に明らかにするべきでは ないか。 ② 高度な管理水準を一律的に要求しているような印象を与えているので はないか。 ③ 中小企業等にとって より使いやすいものにするべきではないか ③ 中小企業等にとって、より使いやすいものにするべきではないか。 ① 処罰対象行為の明確化 →第2章 ② 合理性のある秘密管理方法の提示 →第3章 ③ 中小企業向けの参照ツールなどの提示 →参考資料 第1章 概説 第1章 概説 第2章 不正競争防止法上の営業秘密の保護 第3章 営業秘密を保護するための管理の在り方 参考資料1 営業秘密管理チェックシート 参考資料2 各種契約書等の参考例 参考資料3 我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等について 参考資料3 我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等について 参考資料4 営業秘密を適切に管理するための導入手順について ~はじめて営業秘密を管理する事業者のために~

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Ⅲ 営業秘密管理指針(改訂版)の内容 Ⅲ. 営業秘密管理指針(改訂版)の内容 14 第1章 概説 ○知的資産経営 競争力の維持・強化の観点から、事業者が無形の経営資源 競争力の維持 強化の観点から、事業者が無形の経営資源 である技術・ノウハウ等を強みとして把握し、これらを適 切に管理し活用していく用 知的資産経営資 が求められている。。 ○オープン・イノベーション オ プン イノベ シ ン(※)の促進ためには 事業者 オープン・イノベーション(※)の促進ためには、事業者 間で相互に営業秘密を開示しあうことが必要となるところ、 その前提として実効的な営業秘密の管理が重要となる その前提として実効的な営業秘密の管理が重要となる。 ※「オープン・イノベーション」とは、企業等が情報を自社内でクローズにするのではなく、 企業間で相互に情報を開示し合うことにより、イノベーションを起こしていくことをいう。 企業間で相互に情報を開示し合うことにより、イノベ ションを起こしていくことをいう。 ○人的マネージメント 営業秘密管理の実効性を高めるためには 人的マネ ジメ 営業秘密管理の実効性を高めるためには、人的マネージメ ントの充実を図ることが重要である。

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第2章 不正競争防止法上の営業秘密の保護 ○営業秘密侵害行為類型(第2条第1項第4号~9号) 使用④ 使 ○不正取得の類型 ㊙ 不正に取得④ 使用④ 開示④ 悪意or重過失で取得⑤ 使用⑤ 開示⑤ 悪意or重過失で使用⑥ 不正に取得④ 善意and無重過失で取得 悪意or重過失で使用⑥ 悪意or重過失で開示⑥ ○正当取得の類型 図利加害目的で 不正使用⑦ 使用⑧ ○正当取得の類型 ㊙ 正当に取得 図利加害目的で 不正開示⑦ 悪意or重過失で取得⑧ 善意 d無重過失で取得 開示⑧ 悪意or重過失で使用⑨ ⑨ ※○囲いの数字は 不正競争防止法第2条第1項の各号の「不正競争」に該当することを意味する 善意and無重過失で取得 悪意or重過失で開示⑨ ※○囲いの数字は、不正競争防止法第2条第1項の各号の「不正競争」に該当することを意味する。 悪意or重過失=当該行為があったことを知っている、あるいは重大な過失により知らないこと。 善意and無重過失=当該行為があったことを、重大な過失なくして知らないこと。 図利加害目的=不正に利益を上げたり、他人に損害を与える目的。 16 (1号)図利加害目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為によって、 営業秘密を不正に取得する行為 (5号)営業秘密を保有者から示された現職の役員又は従業者が、図利加害 ○営業秘密侵害罪の類型(第21条第1項) ㊙ ㊙ 目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、 営業秘密を使用又 は開示する行為 管理の任務に (2号)不正に取得した営業秘密を、図利加害目的で、使用又は開示する行為 ㊙ 詐欺等行為・管理侵害行為により、 営業秘密を不正に取得① ㊙ 管理の任務に 背いて使用⑤ 管理の任務に 背いて開示⑤ ㊙ 従 業 者 ㊙ 使用② (6号)営業秘密を保有者から示された退職者が、図利加害目的で、在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いて営業秘密の開示の申込みを し、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受け、退職 在職中に営業秘密を既に 示されている者 背いて開示⑤ ㊙ 詐欺等行為・管理侵害 行為により不正に取得 開示② 使用⑥ 従 業 退 し、又はその営業秘密の使用若しくは開示に いて請託を受け、退職 後に使用又は開示する行為 (3号)営業秘密を保有者から示された者が、図利加害目的で、その営業秘密の管理に ㊙ 在職中に営業秘密を既に 開示⑥ 業 者 退 職 者 退 職 在職中に「図利加害目的」で使用・ (3号)営業秘密を保有者から示された者が、図利加害目的で、その営業秘密の管理に 係る任務に背き、 (イ)媒体等の横領、(ロ)複製の作成、(ハ)消去義務違反+ 仮装、のいずれかの方法により営業秘密を領得する行為 営業秘密を示された者が (4号)営業秘密を保有者から示された者が、第3号の方法によって領得した営業秘密を、 在職中 営業秘密を既 示されている者 在職中に「図利加害目的」で使用・開示の約束 (7号)図利加害目的で、②、④~⑥の罪に当たる開示によって取得した 営業秘密を、使用又は開示する行為 ㊙ 営業秘密を示された者が、 媒体の横領等の方法に より営業秘密を領得③ ㊙ ㊙ 管理の任務に背 いて使用④ ㊙ ( 号)営業秘密を保有者 者 、第 号 方法 領得 営業秘密を、 図利加害目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用又は開示する行為 ㊙ 使用⑦ ㊙ 営業秘密を示された者が、 3号の方法により営業秘密を領得 管理の任務に背 いて開示④ ㊙ ②④⑤⑥に当たる 開示を通じ取得 開示⑦

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○平成21年法改正後に 処罰対象となる行為類型と ○平成21年法改正後に、処罰対象となる行為類型と、 処罰対象とはならない行為類型とを、具体的に明示。 <処罰対象となる行為の例> <処罰対象とならない行為の例> 公益 実現を図る目的 企業 ►金銭を得る目的で、競業企業 以外に営業秘密を不正に開示 する行為 ►公益の実現を図る目的で、企業の 不正情報を内部告発する行為 ►労働者の正当な権利の実現を図る する行為 ►外国政府を利する目的で、営業 秘密を外国政府関係者に不正に 労働者の正当な権利の実現を図る 目的で、労使交渉により取得 した保有者の営業秘密を、労働 組合内部(上部団体等)に開示 開示する行為 ►保有者に損害を加える目的で、 持出しが禁止されたファイルを 組合内部(上部団体等)に開示 する行為 ►権限を有する上司の許可を受け、 持出しが禁止されたファイルを 無断で外部に持ち出す行為 権限を有する上司の許可を受け、 営業秘密をコピーしたり、営業 秘密が記載された資料を外部に 持ち出したりする行為 持ち出したりする行為 18 (参考)平成21年法改正の背景 ○近年、以下のような営業秘密に対する不正な侵害が多く発 生し 法改正の必要性が指摘されていた <従業員による機密情報の不正な持ち出し> 生し、法改正の必要性が指摘されていた。 ある企業に勤務する従業員が、当該企業が秘密として管理する図面データ等を貸与パソコン に大量にダウンロードし、無断で繰り返し自宅に持ち帰っていた。これを知った同社が同従業 員に事情聴取を行ったところ、持ち出されたデータはどこにも残っておらず、貸与パソコンに記 録媒体を装着した痕跡はあったが、不正にコピーがなされたと見られる私用パソコンが破壊さ れており、データの使用や外部への送信について確認することはできなかった。 <外国政府によるデ アル ス技術の不正取得> <外国政府によるデュアル・ユース技術の不正取得> 元ロシア共和国在日大使館職員が、光学系機器メーカー従業員から、軍事転用されるおそれ のある光通信の機密部品を不正に入手した。元大使館職員は警察の出頭要請に応じず帰国 し 元従業員についても起訴猶予処分とな た し、元従業員についても起訴猶予処分となった。 <取引先企業によるノウハウの取り上げ> ある中小企業が 取引先である大手企業から 業務提携を前提として試作品を提供してほし ある中小企業が、取引先である大手企業から、業務提携を前提として試作品を提供してほし い旨の申出を受け、 試作品とその設計図面を提供したところ、取引先企業がその複製の作成 をし、当該設計図面をもとに自社の製品として勝手に製品化をしてしまった。

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(参考)平成21年法改正の主な内容 ①営業秘密侵害罪の目的要件の変更 ②第三者等による営業秘密の不正な取得に対する刑事罰の ②第三者等による営業秘密の不正な取得に対する刑事罰の 対象範囲の拡大 ③従業者等による営業秘密の領得自体への刑事罰の導入 ③従業者等による営業秘密の領得自体 の刑事罰の導入 〈目的要件〉 <第三者等による不正な取得> 〈目的要件〉 <従業者等による領得> 正 当 な 目 的 拡大 正 当 な 目 的 図利加害目的 拡大 図利加害目的 拡大 図利加害目的 不正の競争 の目的 拡大 拡大 拡大 不正の競争 の目的 図利加害目的 使用・開示 〈行為態様〉 記録媒体等 の取得等 使用・開示 領得 の目的 〈行為態様〉 の目的 取得 :改正前の処罰対象 :改正後の処罰対象 :改正前の処罰対象 :改正後の処罰対象 20 第3章 営業秘密を保護するための管理の在り方 組織的管理 ○ 営業秘密の管理に当たっては、 「物理的管理」、「技術的管理」、 物理的管理・技術的管理 物理的管理」、 技術的管理」、 「人的管理」等により、 -営業秘密を他の情報と区分し報 -アクセスした者が秘密である と認識して取り扱うために必 要な措置 及び -権限のない者がアクセスでき 企業にとって大事な 営業秘密 ないような措置 を講じることが必要である。 ○これらの管理を適切に機能させ るために「組織的管理」を行うこ 人的管理 (秘密保持契約) るために「組織的管理」を行うこ とが重要である。

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○合理的な管理がなされていることが重要である。  高度な管理方法 さらに高いセキュリティレベルを求める事業者は、営業秘密の漏えいリスクを最小化する さらに高いセキュリティレ ルを求める事業者は、営業秘密の漏えいリスクを最小化する ための高度な管理手法を採用することも考えられる。 <高度な管理方法の例> -プリンターで デジタル透かし情報(廃棄期限や秘密表示など)をプリンタ で、デジタル透かし情報(廃棄期限や秘密表示など)を 付加する。 -情報を外部に持ち出す際には、記録媒体に含まれる情報全体を 暗号化する。 -コンピュータにアクセスする際に、生体認証などを利用する。 -理解度確認付きe-ラーニングなど全員の受講が確認できる教育プ ログラムを実施する。  一般的な管理方法 営業秘密として法律上の保護を受けるた めには 必ずしも 律に高度な水準が要 <一般的な管理方法の例> 紙媒体の隅に 「厳秘」や「秘」などのスタンプを押したり めには、必ずしも一律に高度な水準が要 求されるものではない。 それぞれの事情を踏まえ、各種の管理方 法を組み合わせて合理的な管理がされ -紙媒体の隅に、「厳秘」や「秘」などのスタンプを押したり、 シールを貼り付ける。 -施錠可能な金庫、などに施錠して保管する。 -コンピュータの閲覧に関するパスワードやIDを設定する。 法を組み合わせて合理的な管理がされ ていれば足りる。 -定期的行われる朝礼などの際に、随時、営業秘密の取り扱いなどの注意喚起を行う。 22 ○今回の再改訂によって、「営業秘密侵害に備えた証拠確保の ための措置」に関する記載が加わ た (1)秘密指定・アクセス権者の指定 ための措置」に関する記載が加わった。 (3)人的管理 (2)物理的・技術的管理 (3)人的管理 (4)営業秘密侵害に備えた証拠確保のための措置 ○厳重な管理方法を実施しても、営業秘密が漏えいするおそれを完全にな くすことはできない そこで 営業秘密が漏えいした場合に備え 証拠確保 くすことはできない。そこで、営業秘密が漏えいした場合に備え、証拠確保 のための措置を講じることが考えられる。 <管理方法(証拠確保措置) 例> <管理方法(証拠確保措置) 例> <管理方法(証拠確保措置)の例> <管理方法(証拠確保措置)の例> ・営業秘密が記録されている書面、記録媒体等に関する閲覧、複製、持ち出しについて、台 帳に記録する。 帳に記録する。 ・アクセス権者等のコンピュータの利用状況や通信の記録を保存する。 ・営業秘密を保管している施設に監視カメラを設置し、記録する。

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参考資料1 営業秘密管理チェックシート ○裁判例分析を踏まえた、秘密 管理性について自己診断等が 管理性について自己診断等が できる。 ○活用方法としては以下が考え ○活用方法としては以下が考え られる。 ・自社診断ツール ・自社診断ツール ・どの水準の管理体制を構築するか 判断するための参照ツール 情報毎に機密レベルを分ける場合に ・情報毎に機密レベルを分ける場合に、 どの機密レベルをどの管理水準で管理 するか決める際の参照ツール ○得点を高めることにより、個 別の事情の影響度を減少させ 別の事情の影響度を減少させ、 秘密管理性が認められる可能 性を高くすることができる 性を高くすることができる。 24 参考資料2 各種契約書等の参考例 ○各企業における秘密管理 において参考となる各種 において参考となる各種 契約書等の参考例を示し ている。 ○実際に本参考例を用いる 際は 自社にとって参照 る。 際は、自社にとって参照 することが適切かを十分 検討し活用頂きたい。 検討し活用頂きたい。 (例) ・就業規則 ・営業秘密管理規程 ・入社時の秘密保持誓約書 ・工場見学時の秘密保持誓約書工場見学時の秘密保持誓約書 ・取引基本契約書(製造請負契約) ・共同研究開発契約書 等 等

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参考資料3 我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等 ○公的機関等により提示されて いる各種ガイドライン等とそ いる各種ガイドライン等とそ の対象となる情報との対応関 係を概観できる。 係 概観 き 。 ○例えば顧客情報は、営業秘密 という観点から 管理と個人 (相互に参照) (相互に参照) という観点からの管理と個人 情報保護法からの管理が求め られる場合があるなど 同 られる場合があるなど、同一 の情報でも異なる管理を要請 される場合がある ○本図表を用いることで 効率 される場合がある。 ○本図表を用いることで、効率 的な管理の在り方を整理・把 握することが期待される 握することが期待される。 26 参考資料4 導入手順例 ○管理体制を構築するための具体的な導入手順を紹介している。 ①自社の強みとなる情報資産を把握する。 Step1 技術やノウハウ ブランド ①自社 強みとなる情報資産を把握する。 (営業秘密として管理する情報資産の把握) Step2 製造プロセス 販売マニュ Step3 把握した具体的な情報の中 技術やノウハウ、ブランド 力等の自社の強みとなる 知的資産を把握する。 製造プロセス、販売マニュ アル、仕入先等、知的資産 を構成する具体的な情報を 把握する。 把握した具体的な情報の中 から、営業秘密として管理 したいと考える情報を選択 する。

Step1 Step2 Step3 個性的な製品等を完成させるた ・製造プロセス・段取りに関する情報 把握する。 する。 個性的な製品等を完成させるた め の 技 術 や ノ ウ ハ ウ ・研究開発情報(技術開発・試験記録等) ・製造協力先・下請事業者の情報 営業秘密として 中長期的な取引関係等に基づく ・仕入先・販売先・品目・数量・価格情報等 販売 アル サ ビス アル等 営業秘密として 管 理 し た い と 考 え る 情 報 を 選 択 中長期的な取引関係等に基づく 信頼に裏打ちされた製品等や、 事 業 者 の ブ ラ ン ド 力 ・販売マニュアル、サービスマニュアル等 ・販売協力先(代理店・FC等)情報 ・製品・商品・サービスに対する利益額(率) 選 択 顧客のニーズに応える製品等を 提 供 す る 営 業 力 ・顧客から受け取る各種資料及び情報 ・顧客との各種契約情報及び契約内容 ・技術者教育・育成に関する情報

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参考資料4 導入手順例 ③営業秘密の管理ルールを決め 周知 実施する ②チェックシートを用いて現在の管理水準を認識する。 ③営業秘密の管理ルールを決め、周知、実施する。 事業者の規模、業種、営業秘密として管理する情報量、取扱状況を踏まえ、 Step1 チェックシートを用いて目標とする管理水準を検討する。 Step2 管理方法を選択する。 Step3 選択した管理方法を書面等用いて周知する。<具体的な導入手順の流れ><具体的な導入手順の流れ> ④管理ルールが適切に行われているか チェック・見直しをする。 ○構築した管理ルールが実効性を欠く事態に ○構築した管理ルールが実効性を欠く事態に 陥っている場合には、営業秘密として認め られないおそれがあるため、管理状況を チ クすることが望ましい チェックすることが望ましい。 ○チェック方法としては、規模等に応じて、 例えば社長が日常的に目を配る、監査を 実施する、などを行うことが考えられる。 ○実効的な管理が行われていない場合には、 要因に応じて対応策を実施する必要がある。 要因 応 対応策を実施する必要 ある。 28 おわりに ○各企業には、自社のビジネスモデル・知的資産を見つめ 直し、自社の競争力の源泉となる情報を合理的に管理する 直し、自社の競争力の源泉となる情報を合理的に管理する ことが期待される。 ○管理の際は 営業秘密侵害に備えた証拠確保のための措 ○管理の際は、営業秘密侵害に備えた証拠確保のための措 置についても、予め検討しておくことが期待される。 参考情報 ○知的資産経営に関する情報は「知的資産経営ポータルサイト」へ http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html 「知的資産経営ポータル」で検索 ○営業秘密管理に関する情報は「営業秘密のHP」へ http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-29 secret.html 「営業秘密を守り活用する」で検索

参照

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