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平成20年3月4日

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2 0 1 2 年 7 月 1 3 日 日 本 銀 行 福 島 支 店

【 本 件 に 関 す る 問 い 合 わ せ 先 】

NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映に伴う県内経済への波及効果

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【要 旨】 ■ 県内では、2013 年に放映が予定されているNHK大河ドラマ「八重の桜」を 契機に、風評被害に悩む観光の回復を願う声が多く聞かれている。過去の例をみて も、本県にゆかりの深い大河ドラマの放映によって、2013 年の福島県の観光入 込客数は相応に増加する可能性が高い。 ■ 大河ドラマ「八重の桜」の放映による県内経済への波及効果額を、過去の事例を もとに試算すると、113 億円となった。 ■ 「八重の桜」を契機に、その経済効果を高め、風評被害の払拭を実現するために は、県外観光客の動向を分析し、震災前に比べ減尐が大きい首都圏や東北地区にP R展開の的を絞ることで、誘客効果の最大化を図るべきである。 ■ 仮に、「八重の桜」を中心とした観光PR等が功を奏し、入込客数が震災前の水 準まで回復した場合、経済効果額は 650 億円に拡大する。 ■ 放映後も継続的に観光を盛り上げていくためには、リピーターの確保や観光客 1 人当たりの消費支出額を増やす取組みを強化する必要がある。そのためには、点在 する豊富な観光資源の結びつきを強化し「県内観光の組織化」を一層推し進め、日 帰り型から宿泊型へのシフトや連泊を促すような宿泊プランの提供等が必要と考 えられる。

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100 120 2010年の各月=100 1.はじめに ○ 2013年に放映が予定されているNHK大河ドラマ「八重の桜」は、会津若松市 出身の主人公・新島八重の幕末会津における奮闘ぶりがストーリーの中核を構成する など、当県にゆかりの深い題材となっている。このため、現状、風評被害に苦しむ観 光業界では、当県観光をPRする絶好のチャンスと捉えている。 本レポートでは、①過去の大河ドラマの事例を踏まえ「八重の桜」による県内経 済への波及効果を試算したほか、②大河ドラマを契機とした観光産業復活への道筋 について取り纏めた。 2.県内観光動向の現状 ○ 県内の主要観光施設の入込客数は、連休中や週末には、県内外の個人客に動意が 窺われる等、持ち直しに向けた動きがみられる。もっとも、団体客(教育旅行等) の減尐が大きく影響しているため、全体の入込みは、例年に比べ7割方の水準に止 まっている(図表1)ほか、「応援需要が前年に比べると勢いを失いつつあるなど、 当県の観光が“風化”に向かっているのではないか」といった声が聞かれている。 こうした厳しい環境下、観光関連産業の風評被害払拭に向けた取組みは進んでお り、特に会津地区を中心とした多くの観光施設からは「NHK大河ドラマ“八重の 桜”を起爆剤に観光客の回復を図りたい」といった期待の声が多く聞かれている。 また、会津商工会議所と会津若松市を中心に「八重の桜プロジェクト協議会」が発 足するなど、今後のPR活動に向けた準備が進められている。 【図表1】県内主要観光施設の入込客数の推移

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武蔵 義経 22 22.5 23 23.5 24 24.5 01 02 03 04 05 06 07 山口県 (百万人) +2.5% ▲0.1% 功名が辻 龍馬伝 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 05 06 07 08 09 10 11 高知県 (百万人) +4.9% +38.1% 風林火山 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 04 05 06 07 08 09 10 長野県 (百万人) +3.6% 篤姫 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 04 05 06 07 08 09 10 +4.8% (百万人) 鹿児島県 利家とまつ 19 19.5 20 20.5 21 21.5 22 22.5 23 00 01 02 03 04 05 06 +5.0% 石川県 (百万人) 新選組 55 60 65 70 75 80 02 03 04 05 06 07 08 +2.4% (百万人) 京都府 北条時宗 130 135 140 145 150 155 160 165 170 00 01 02 03 04 05 06 神奈川県 +2.2% (百万人) 天地人 60 62 64 66 68 70 72 74 76 04 05 06 07 08 09 10 (百万人) +5.8% 新潟県 (出所) 各県 (注) 高知県は、県外入込客数 3.NHK大河ドラマの誘客効果 ○ 2001~2010 年放映のNHK大河ドラマの舞台となった各県の観光入込客数 の動向をみると、地域で伸び率に差はあるものの、大河ドラマ放映年には殆どの地 域で観光入込客の増加を確認できる(図表2)。一方で、放映年の翌年や翌々年に かけては、反動減がみられるケースも尐なくない。 【図表2】各県の観光入込客数の推移(大河ドラマとゆかりの深い都道府県)

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▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 0 5 10 15 20 25 30 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (単位:%) 平均視聴率(左軸) 観光客数伸び率(右軸) 放映年 大河ドラマ 視聴率(%) 2001 北条時宗 18.5 2002 利家とまつ・加賀百万石物語 22.1 2003 武蔵(MUSASHI) 16.7 2004 新選組! 17.4 2005 義経 19.5 2006 功名が辻 20.9 2007 風林火山 18.7 2008 篤姫 24.5 2009 天地人 21.2 2010 龍馬伝 18.7 2011 江~姫たちの戦国~ 17.7 2012 平清盛 17.3 (出所)ビデオリサーチ (注)視聴率は期間内平均視聴率。 「平清盛」は、初回視聴率。 (年) 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 武蔵 ○ 観光入込客数の伸び率の違いについては、主人公等の放映前の全国的な知名度よ りも、大河ドラマの視聴率との間に相関が窺われる(図表3)。視聴率の高さは、 コアファンが創出されていることを示す 1 つの指標であるほか、高視聴率自体が世 間一般の話題として広まることで、新たなファンの動機付けとなり、観光入込客の 増加に繋がる。ドラマ制作者の頑張りとPRに強く期待したい。 【図表3】大河ドラマ視聴率と各地の観光入込客数伸び率の関係 ○ 各地の観光入込客数の伸び率(図表4)に注目すると、2001~2005 年に 2.4% 程度であった伸び率の平均は、2006~2009 年には 4.8%と拡大している※。こ れは、全国的に大河ドラマを契機とした観光業の取組みが官民一体となって年々強 化され、「歴女ブーム」等の新たな観光客層のほか、近年増加しているシニア層(個 人客)の取り込みに成功していることが要因と推測される。 【図表4】大河ドラマと各地の観光入込動向

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試算① 直接効果 1次波及効果 2次波及効果 113億円 70億円 29億円 13億円 経済効果 +4.8% 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 07 08 09 10 11 12 13 年間観光入込客数(福島県) (千人) (年) (出所)福島県「観光客入込状況」(07~10年) (注)2007~2010年は福島県発表の「観光入込客数」。2011、2012年は日本銀行福島支店「県内主 要観光施設の入込客数」の前年比伸び率を基に算出した推計値。 1人当たりの平均県内消費支出額 (単位:円) 県内客 19,490 県内客 6,603 県外客 25,931 県外客 7,959 (出所:アナリーゼ福島No.18) 宿泊旅行者 日帰り旅行者 4.大河ドラマ「八重の桜」が及ぼす経済効果 ○ まずは、過去に大河ドラマの舞台となった地域における観光入込客数の平均的な 増加率(放映年)をもとに、「八重の桜」放映に伴う県内経済への標準的な波及効 果を試算したところ、以下のようになった。 ○ 経済効果額は 113 億円で、県民1人当たり約 5,675 円の効果額となる。 ・直接効果 : 「八重の桜」放映を受けた県内観光消費の増加に伴う県内各産業の生産増加額。 ・1次波及効果: 直接効果によって県内各産業にもたらされる生産誘発額。 ・2次波及効果: 直接効果および1次波及効果によって生じた雇用者所得の増加が消費に向けられること で県内各産業にもたらされる生産誘発額。 【試算の概要】 ○ 県内観光入込客数の増加率は、2006~2009 年のNHK大河ドラマで舞台となった 都道府県における観光入込客数の増加率(放映年)を単純平均した値=4.8%とした。 ○ 大河ドラマによる観光消費額(観光客増加人数×1人当たり観光消費額)の増加額を もとに、「2005 年 福島県産業連関表」を用いて経済効果を試算した。 ○ 雇用者所得については、一定割合が消費に回ると仮定し、全国の消費転換率を家計調 査(総務省)から引用した。 <注意点> 産業構造(産業間の相互依存関係)および生産物の価格は 2005 年時点のものであるほか、生じた需要を在庫で賄う場 合は、生産誘発過程が一時的に中断する場合も考えられる。また、計測された経済波及効果の達成時期は未定である。

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県外客 県内客 20 40 60 80 100 120 140 延べ宿泊者数の動向 観光目的の宿泊者が50%未満 観光目的の宿泊者が50%以上 前年比 (%) 居住地別延べ宿泊者数(2011年度) 地区別 前年比(%) 延べ宿泊者数 全国 ▲ 11.5 316,701 東北・北海道 ▲ 46.5 31,455 関東地方 ▲ 9.4 216,244 中部地方 ▲ 24.0 32,411 近畿地方 2.4倍 19,823 中国地方 3.6倍 5,688 5.大河ドラマを足掛かりとした県内観光の回復に向けて ○ 標準的な経済効果額は 113 億円との結果となったが、戦略的なPR施策の実施 等により震災後に大きく落ち込んだ観光入込客を回復させることが出来れば、大河 ドラマによる経済効果をより上積みすることができる。また、同時に大河ドラマ放 映後も継続して観光を盛り上げていく施策を講じることが重要である。 ○ 行政と観光業・報道関係者等が連携した「福島県観光復興キャンペーン委員会」 では、NHK大河ドラマ「八重の桜」を核としたキャンペーンを展開し、13 年度 までに観光入込客数を例年の水準まで回復させることを目標としている。こうした 目標を達成するためには、戦略的なPR施策が重要である。 ○ 県内宿泊施設の延べ宿泊者数の動向(図表5)をみると、観光用宿泊施設(観光 目的の宿泊者が5割以上の施設)では、震災以降、前年を下回って推移している。 この動きは県外客で特に顕著であり、宿泊者を居住地別(2011 年度)にみると、 もともとウェイトが小さかった西日本からの宿泊客が増加しているものの、ウェイ トの大きい関東地方(前年比▲9.4%)のほか、東北・北海道(同▲46.5%)、中 部地方(同▲24.0%)からの宿泊客が減尐している。 【図表5】県内宿泊施設の入込動向(宿泊目的別の寄与度および居住地域別) <戦略的なPR施策>

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▲ 80 ▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 2011年1Q 2Q 3Q 4Q 2012年1Q 県外客 県内客 前年比 2011年1Q 2Q 3Q 4Q 2012年1Q リゾートホテル 2011年1Q 2Q 3Q 4Q 2012年1Q ビジネスホテル 旅館 (%) (出所)観光庁「宿泊旅行統計調査」より日本銀行福島支店が作成 (注)従業者数10人以上の事業所の延べ宿泊者数。 試算② 直接効果 1次波及効果 2次波及効果 650億円 403億円 169億円 78億円 経済効果 +3割 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 09 10 11 12 13 年間観光入込客数(福島県) (千人) (年) (参考)宿泊タイプ別の入込動向 ○ 県内宿泊施設をタイプ別にみると(図表6)、観光目的の宿泊客を受入れる割合が 高い旅館・リゾートホテルにおける県外客の動きは弱めで推移している一方、ビジネ スホテルでは県外客を中心に前年を上回っている。 【図表6】県内宿泊施設の入込動向(宿泊タイプ別) ○ こうしたことから、「八重の桜」のPR展開では、震災前に比べて減尐が大きく、 回復した場合の絶対数の拡大が見込める首都圏や東北地区に的を絞り、集中的なP R活動を進め、誘客を図ることが重要である。また、こうした近隣地域の回復が進 めば、リピーターや口コミによる波及がより見込みやすい面もある。 ○ 「八重の桜」に合わせた観光PR施策が効果を発揮し、来夏に見込まれる「東北 六魂祭」の福島開催との相乗効果もあって、「福島県観光復興キャンペーン委員会」 の計画通り、2013 年の入込客数が例年並みに回復(前年比3割方の増加)した場 合、経済効果額は 650 億円に拡大する。

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 埼 玉 県 滋 賀 県 佐 賀 県 愛 知 県 神 奈 川 県 奈 良 県 岐 阜 県 大 阪 府 秋 田 県 福 岡 県 青 森 県 栃 木 県 山 形 県 千 葉 県 熊 本 県 徳 島 県 島 根 県 岩 手 県 群 馬 県 茨 城 県 静 岡 県 広 島 県 山 梨 県 全 国 平 均 宮 城 県 福 島 県 山 口 県 兵 庫 県 東 京 都 富 山 県 和 歌 山 県 香 川 県 北 海 道 鹿 児 島 県 愛 媛 県 京 都 府 福 井 県 鳥 取 県 長 野 県 石 川 県 岡 山 県 長 崎 県 (出所)JTB総合研究所「都道府県別 観光入り込み客数」より日本銀行福島支店が作成 (%) 【図表7】都道府県別観光入込客数に占める宿泊者数の割合(2009年) ○ 上述したようにNHK大河ドラマの放映後、反動から観光入込客数が減尐するケ ースもみられる。継続的に県内観光を盛り上げるためには、①リピーター創出に向 けた仕掛け作りや、②観光客 1 人当たりの消費支出額を多くすることが必要である。 ○ このため、今後は、「八重の桜」のPR展開と同時に、県内に点在する豊富な観 光資源を結び付け、「県内観光の組織化」を図る以下の施策を講ずることが重要で ある1 ◆ 地域毎のコンセプトを意識した、各地域を巡るシナリオ作りの展開。 ◆ コンセプトに沿った宿作りと、個人客獲得に向けた体制面の整備やサービスの 充実。 ◆ 複数回・複数地域を訪れた観光客に対する割引優待制度を導入するほか、利用 者にとって安価で便利な交通手段(乗り合いバス等)を整備。 1 詳細は「最近の観光動向と今後の課題について」(日銀福島、2011.8.5)を参照。 (参考)都道府県別の宿泊・連泊状況 ○ 観光入込客数に占める宿泊者数の割合(図表7)、平均宿泊日数(図表8)をみると、 当県はほぼ全国平均並みで健闘しているが、上位の他県と比較しても、遜色ない観光資 源や首都圏から近い立地条件を有している。このため、宿泊客や連泊客が伸びる余地は あり、観光客 1 人当たりの消費支出額の増加を図ることは可能である。 <継続的に県内観光を盛り上げる施策>

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6.終わりに ○ 県内では、「八重の桜」をきっかけとした観光復活を期待する声が強まっている。 ドラマが放映される 2013 年には相応の誘客効果が期待され、県内経済への波及 効果も大きい。まずは、県内各地で観光業者、企業、行政が連携し、開催するイベ ントやキャンペーン等のあらゆる場面において「八重の桜」を活用して雰囲気を盛 り上げていくことが重要である。また、盛り上がりみせた観光地を積極的にPRす ることで風評被害の払拭、観光地の復活を強く印象付けることが出来れば、更なる 集客効果の上積みが期待できる。加えて、大河ドラマ「八重の桜」の主人公である 新島八重といった新たな観光資源の定着を図り、ブランド化することが出来れば効 果が持続し、ドラマ放映後の観光入込客数の底上げに繋がることが期待される。 以 上

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