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(1)

生物薬剤学講座 児玉庸夫

3年次後期 専門科目群Ⅰ

(必修科目) 2単位

臨床薬理学

5回目

(2)

2

臨床薬理学は薬物治療学を支える

基礎として機能する

臨床薬理学

薬物治療学

臨床薬物動態学 医療薬学 例えば、TDMや薬物相互作用 例えば、調剤、製剤、 服薬指導、在宅医療における 訪問薬剤管理指導 治療薬や用量などの 薬物治療の個別化 臨薬

(3)

臨床薬理学は医薬品開発や

臨床薬効評価などを行う学問である

医薬品開発

厚生労働省は、

薬事法

に基づき医薬品と

しての承認の可否を判断する

臨床薬効評価 臨床試験(治験) 例えば、臨床試験では、 どのような方法で有効性 (エンドポイント)を評価 するか 例えば、どの種類の臨床 試験をどの時期に行うか 例えば、治験の科学性、 倫理性、信頼性をどのよ うにして確保するか

(4)

4

講義の内容(1)

• 第1回 臨床薬理学の役割、医薬品開発の歴史とコンセ プト • 第2回 医薬品市場と開発すべき医薬品(小テスト) • 第3回 標的生体分子とリード化合物(小テスト) • 第4回 医薬品の製造と品質管理(小テスト) • 第5回 医薬品開発における非臨床試験 (小テスト) • 第6回 医薬品の承認 (小テスト) • 第7回 医薬品開発と生産のながれ、及びリード化合物 のまとめと演習(中間テスト)

(5)

講義の内容(2)

• 第8回 薬害(小テスト) • 第9回 治験の意義と業務(1)(小テスト) • 第10回 治験の意義と業務(2)(小テスト) • 第11回 治験における薬剤師の役割(小テスト) • 第12回 治験の意義と業務(3)(小テスト) • 第13回 演習

(6)

6

第5回 医薬品開発における非臨床試験

• 医薬品開発における非臨床試験の目的と 実施概要、及びGLP(Good Laboratory Practice)について説明できる • 薬剤師国家試験 医1S-a、非臨床試験 医1T-a、有害事象と副作用 医2B-a、ファーマコキネティクス(PK) 法2C-b、研究・開発

(7)

薬事法の体系

法律 薬事法 国会の議決をへて制定 政令 薬事法施行令 内閣が、憲法及び法律の規定を実施する ために制定する命令 省令 薬事法施行規則 各種規則・基準 大臣が、法律又は政令の施行又はそれら の特別の委任に基づいて発する命令 告示 厚生労働省告示 省庁が、法律の規定に基づき、公示を必 要とする事項を広く一般に知らせる行為 通達 厚生労働省局 長・課長通達 担当部局長(局長・課長など)が、法令の 解釈、運用や行政執行の方針を命令又は 示達するもの。通知ともいう

(8)

8

薬事法(法律)

薬事法は、 「医薬品」だけでなく、 「医薬部外品」(コンビニ販売可能)、 「化粧品」、 「医療機器」、 の4つを所管する法律である よ改

(9)

法律上の医薬品承認の基準

• 薬事法上は、「どのような場合に承認しない か」を規定。 • 承認しない場合: (a) 申請の効能・効果が認められない場合 (b) 申請の効能・効果に比して著しく有害な作用 を有して、医薬品としての価値がない場合 (c) その他(品質に問題がある場合 等) ⇒ (a)-(c)以外の場合は、法解釈上は、承認が 与えられるはず。 しかし実際は・・・

(10)

10

非臨床試験での有効性・安全性の評価

研究開発段階 非臨床試験 品質試験 初回治験届 30日 臨床試験(治験) 2~10年(平均 5年) 第Ⅰ相 第Ⅱ相 第 Ⅲ 相 新薬承認申請 (規格・安定性) 承認審査 治験薬概要書 Investigator’s Brochure Common Technical Document 国際共通化資料 (薬理・ 薬物動態・ 毒性) 承認 製造 販売後 非臨床試験で、ヒトでの安全性・有効性と 投与量を予測

(11)

医薬品候補化合物(被験薬)

の有効性評価

• 医薬品となる可能性のある物質(医薬品候補 化合物=被験薬)の有効性は、動物や細胞な どを用いた非臨床試験、及びヒト(健康成人、 患者)を対象とした臨床試験(治験)で評価さ れる • 動物や細胞などを用いた非臨床試験では、薬 効薬理試験において、医薬品候補化合物(被 験薬)の有効性評価を行う • 通常は、非臨床試験において有効性が確認 できなかった医薬品候補化合物(被験薬)の

(12)

12

医薬品候補化合物(被験薬)

の安全性評価

• 医薬品となる可能性のある物質(医薬品候補化合物 =被験薬)の安全性は、動物や細胞などを用いた非 臨床試験、及びヒト(健康成人、患者)を対象とした臨 床試験(治験)で評価される • 動物や細胞などを用いた非臨床試験では、毒性試験、 安全性薬理試験、非臨床薬物動態試験において、医 薬品候補化合物(被験薬)の安全性評価を行う • 通常は、非臨床試験において安全性が確認できな かった医薬品候補化合物(被験薬)の開発は断念さ れる

(13)

医薬品候補化合物(被験薬)

の有効性・安全性評価(まとめ)

• 医薬品となる可能性のある物質(医薬品候補化合物 =被験薬)の有効性及び安全性は、動物や細胞など を用いた非臨床試験、及びヒト(健康成人、患者)を 対象とした臨床試験(治験)で評価される • 非臨床試験では、薬効薬理試験において、医薬品候 補化合物(被験薬)の有効性評価を行う • 非臨床試験では、毒性試験、安全性薬理試験、非臨 床薬物動態試験において、医薬品候補化合物(被験 薬)の安全性評価を行う • 通常は、非臨床試験において有効性・安全性が確認 できなかった医薬品候補化合物(被験薬)の開発は

(14)

14

非臨床試験から臨床試験(治験)への移行

研究開発段階 非臨床試験 品質試験 初回治験届 30日 臨床試験(治験) 2~10年(平均 5年) 第Ⅰ相 第Ⅱ相 第 Ⅲ 相 新薬承認申請 (規格・安定性) 承認審査 治験薬概要書 Investigator’s Brochure Common Technical Document 国際共通化資料 (薬理・ 薬物動態・ 毒性) 承認 製造 販売後 非臨床試験から臨床試験への移行には条件がある

(15)

非臨床試験から臨床試験(治験)

への移行

・非臨床試験で、有効性・安全性が確認できな かった医薬品候補化合物(被験薬)の開発は断 念される ↓ 有効性及び安全性の両方が確認された場合に、 臨床試験に移行できる。但し、悪性腫瘍やエイズ 等の致死率が高度な疾患を対象とする場合には、 必ずしも適用されない

(16)

16

医薬品候補化合物(被験薬)の

リスクとベネフィットの考え方

• 対象疾患により、ベネフィット(有効性)とリス ク(安全性)のバランスが異なる • 重篤な疾患を対象とする医薬品候補化合物 (被験薬)(例えば、抗癌剤)の場合、ベネ フィット(有効性)が明確であれば、ある程度 のリスク(副作用)があっても承認は可能(但 し、リスク軽減のための方策の検討、及び患 者への説明と同意が必要)

(17)

日本国内で医薬品候補化合物(被験薬)を

初めてヒトに投与する時の制度

ー初回治験届調査制度ー

(薬事法80条の2第3項)

• 薬物の初回治験の届出をした者は、当該届出 をした日から起算して30日を経過した後でな ければ、治験を依頼し、又は自ら治験を実施し てはならない。この場合において、厚生労働大 臣は、当該届出に係る治験の計画に関し保健 衛生上の危害の発生を防止するため必要な調 査を行う(30日ルール)

(18)

18 (通知) 医薬品の臨床試験のための非臨床安全性試験の実 施時期についてのガイドライン(ICH-M3) (審査管理課長通知、平成10年11月13日) 医薬品の臨床試験(治験)の実施を認めるための非臨床安 全性試験の範囲と期間を示したもので、原則として以下の 試験が必要とされる ○安全性薬理試験 ○トキシコキネティックスおよび非臨床薬物動態試験 ○毒性試験 単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、 局所刺激性試験、遺伝毒性試験、 がん原性試験(必要時)、生殖発生毒性試験(必要時) 非臨床試験から臨床試験(治験)への移行に必要な 非臨床試験

(19)

臨床試験(治験)での有効性・安全性評価

研究開発段階 非臨床試験 品質試験 初回治験届 30日 臨床試験(治験) 2~10年(平均 5年) 第Ⅰ相 第Ⅱ相 第 Ⅲ 相 新薬承認申請 (規格・安定性) 承認審査 治験薬概要書 Investigator’s Brochure Common Technical Document 国際共通化資料 (薬理・ 薬物動態・ 毒性) 承認 製造 販売後 臨床試験(治験)で医薬品の効能・効果、用法

(20)

20

医薬品の承認審査での有効性・安全性評価

研究開発段階 非臨床試験 品質試験 初回治験届 30日 臨床試験(治験) 2~10年(平均 5年) 第Ⅰ相 第Ⅱ相 第 Ⅲ 相 新薬承認申請 (規格・安定性) 承認審査 治験薬概要書 Investigator’s Brochure Common Technical Document 国際共通化資料 (薬理・ 薬物動態・ 毒性) 承認 製造 販売後 承認審査で医薬品の有効性・安全性 を評価する

(21)

承認審査の対象

z 医薬品(医療用医薬品、一般用医薬品)

z 医療用医薬品(新医薬品、後発医薬品)

z新医薬品(新有効成分、新配合剤、新投与経路、

(22)

22

承認する項目

医薬品の名称(販売名)

②医薬品の成分及び分量又は本質

③医薬品の製造方法

④医薬品の用法及び用量

⑤医薬品の効能又は効果

⑥医薬品の貯蔵方法又は有効期間

⑦医薬品の規格及び試験方法

(23)

承認申請資料の種類

-薬事法施行規則40条-z 日本では資料をイロハニホヘトの7種に分類 イ 序論 ロ 品質規格に関する資料 ハ 安定性に関する資料 ニ 薬理作用に関する資料 ホ 体内動態に関する資料 ヘ 毒性に関する資料 ト 臨床試験の試験成績に関する資料

(24)

24

医薬品候補化合物(被験薬)の開発で

遵守すべき規準

薬事法14条は、医薬品の 承認申請に添付する非 臨床試験成績、及び臨 床試験成績の収集・作 成に関して、基準(GCP、 GLP、信頼性の基準)を 設定している よ改

(25)

薬事法14条第3項で定める基準とは

• GLP「医薬品の安全性に関する非臨床試験の 実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令 第21号) • GCP「医薬品の臨床試験の実施の基準に関す る省令」(平成9年厚生省令第28号) 信頼性基準」(薬事法施行規則43条)

(26)

26 GCP ト 臨床試験 GLP ヘ 毒性試験 ニ 安全性薬理試験 信頼性基準 (薬事法施行規則43 条) ロ 規格、試験法試験 ハ 安定性試験 ニ 効力を裏付ける薬力学試験、 副次的薬理試験 その他の薬理試験 ホ 吸収、分布、代謝、排泄試験 ヘ 毒性試験(総括報告書等) ト 臨床試験(治験総括報告書等) 承認審査資料を収集・作成する基準と 承認審査資料との関係(まとめ)

(27)

非臨床試験(毒性試験・安全性薬理試験)はGLPを遵守 臨床試験(治験)はGCPを遵守 研究開発段階 非臨床試験 品質試験 初回治験届 30日 臨床試験(治験) 2~10年(平均 5年) 第Ⅰ相 第Ⅱ相 第 Ⅲ 相 新薬承認申請 (規格・安定性) 承認審査 治験薬概要書 Investigator’s Brochure Common Technical Document 国際共通化資料 (薬理・ 薬物動態・ 毒性) 承認 製造 販売後 安全性薬理試験と毒 GCP遵守

(28)

28 憲法 薬事法 薬事法による医薬品候補化合物(被験薬)の非臨床試験 (毒性試験・安全性薬理試験)に対する規制(GLP) 薬事法施行令 薬事法施行規則 法律 政令 省令

GLP(Good Laboratory Practice)

医薬品の安全性に関する非臨床 試験の実施の基準に関する省令

(29)

医薬品候補化合物(被験薬)の非臨床試験では GLPを遵守しなければならないものがある 安全性薬理試験と毒性試 験の成績の収集・作成 に関して、GLPを遵守す る必要がある GLP(Good Laboratory Practice) 医薬品の安全性に関する 非臨床試験の実施の基 準に関する省令

(30)

30

GLPとは(1)

• GLPは、 「医薬品の安全性に関する非臨床試 験の実施の基準に関する省令」である • GLPは、医薬品の安全性に関する非臨床試験 の信頼性を確保するため、試験施設の構造設 備及び運営管理の両面から、試験実施にあ たっての遵守基準を規定している • 毒性試験及び安全性薬理試験は、GLPを遵守 する必要がある

(31)

GLPとは(2)

• 試験結果の最終報告書は、試験責任者が作成 する • 信頼性保証部門責任者は、最終報告書の誤り を発見したとき、運営管理者および試験責任者 に報告するとともに、改善のための勧告を行う • 公的機関により、試験実施施設がGLP基準に 適合しているか否か実地調査される(GLP適合 性実地調査)

(32)

32

医薬品の承認申請に必要な

非臨床試験

• 薬効薬理試験(信頼性基準を遵守) • 安全性薬理試験(GLP遵守) • 非臨床薬物動態試験(信頼性基準を遵守) • 毒性試験(GLP遵守)

(33)

薬効薬理試験(信頼性基準を遵守)

○主要な薬効の薬理学的根拠を検討する (作用機序) ○用量-反応又は濃度-反応関係と作用持続 時間を検討する ○可能性のある臨床投与経路に関して試験する (通知)

臨床試験の一般指針

(ICH-E8)

(審査管理課長通知、平成10年4月21日)

(34)

34

薬効薬理試験(1)

• 被験薬の有効性、主要な薬効の薬理学的根 拠(作用機序)を検討する • 臨床的に期待される薬理学的特性(主作用) と作用機序の解明を目的とする試験で、健 常動物や各種病態モデル動物が用いられる • 臨床試験(治験)におけるヒトでの用法・用量 の基礎となる成績を得る。臨床試験(治験) の用法・用量の考察のため、非臨床薬物動 態試験との間で試験成績の比較を可能とす る内容(動物種、投与経路などの実験条件な どを共通にする)にしなければならない

(35)

薬効薬理試験(2)

• 薬効と関係する主作用点以外の体内の作用 点を検討する • 薬理作用は、代謝物についても検討する • 薬効の用量相関性と作用持続時間を検討す る

(36)

36 (通知)

安全性薬理試験(GLPを遵守)

安全性薬理試験ガイドライン

(ICH-S7)

(審査管理課長通知、平成13年6月21日) 安全性薬理の定義と評価のための原則を示したもの ○安全性薬理試験とは、治療用量及びそれ以上の曝露 に関連した、被験物質の生理機能に対する潜在的な望ま しくない薬力学的作用を検討する試験である ○安全性薬理試験の対象とすべき生命維持を司る器官 系は、心血管系、呼吸系、および中枢神経系である

(37)

安全性薬理試験

• 中枢神経系では、運動量、行動変化、協 調性、感覚/運動反射反応及び体温につ いて評価する • 心血管系では、血圧、心拍数、心電図につ いて評価する • 呼吸系では、呼吸数及び他の呼吸機能の 尺度(一回換気量、ヘモグロビン酸素飽和 度)について評価する

(38)

38 (通知)

非臨床薬物動態試験(信頼性基準を遵守)

非臨床薬物動態試験ガイドライン

(審査管理課長通知、平成10年6月22日) 非臨床における薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄) に関する試験法を示したもの ○試験方法(被験物質、試験系、投与経路、投与量、 投与期間・投与間隔、定量法) ○検討項目(吸収、分布、代謝、排泄、その他の検 討項目)

(39)

非臨床薬物動態試験(1)

-試験方法-

• 原薬、及び必要に応じて同位元素標識体、製剤 を使用する • 毒性、薬理、及び臨床試験(治験)との対応を考 えて、動物種及びin vitro試験系を使用する • 臨床投与経路を用いる • 毒性、薬理、及び臨床試験(治験)との対応を考 えて、投与量を選択する • 単回投与及び必要に応じて反復投与を行う

(40)

40

非臨床薬物動態試験(2)

-検討項目-

• 吸収では、被験薬の吸収の程度と速度を推定する(血中濃度時 間曲線から算出) • 分布では、被験薬の臓器及び組織への分布、経時的変化、必 要に応じて蓄積性を明確にする目的で、以下の項目を検討する ①臓器内及び組織内濃度 ②胎盤・胎児移行性 ③血漿中のタンパク結合、血球への分配 • 代謝では、被験薬の主たる代謝経路を示し、代謝の程度と速度 を明らかにする。ヒトでの代謝に関与する主たる酵素を明らかに する • 排泄では、被験薬及び主要な代謝物の排泄経路、及び排泄の 程度と速度を明らかにするする目的で、以下の項目を検討する。 ①尿、糞、呼気 ②胆汁 ③乳汁

(41)

(通知)

毒性試験(GLPを遵守)

医薬品毒性試験法ガイドライン

(審査第一課長、審査第二課長、生物製剤課長通知、平成元年9月11日) 動物等を用いた安全性試験データを作成するために実 施される毒性試験の方法を示したもの。安全性試験(毒 性試験)は一般毒性試験と特殊毒性試験に分類される 一般毒性試験 ○単回投与毒性試験 ○反復投与毒性試験 特殊毒性試験 ○局所刺激性試験 ○遺伝毒性試験 ○がん原性試験 ○生殖発生毒性試験

(42)

42

単回投与毒性試験

• 2種以上の動物を用い、1種はげっ歯類 (例えばラット)、もう1種はウサギ以外の 非げっ歯類(例えばイヌ)とする • 性差を検討する • 概略の致死量を求める

(43)

反復投与毒性試験

• 2種以上の動物を用い、1種はげっ歯類 (例えばラット)、もう1種はウサギ以外の 非げっ歯類(例えばイヌ)とする • 性差を検討する • 毒性変化が認められない用量(無毒性量、

NOAEL:No Observable Adverse Effect Level)を求める

• 反復投与毒性試験の結果は、被験薬物の 無毒性量の推定に用いられる

(44)

44

遺伝毒性試験(1)

• 細胞の遺伝物質(DNA)に傷害性を示す性 質(genotoxicity)を調べる試験である • 遺伝毒性試験は、ヒト遺伝子への影響(染 色体異常、遺伝子異常)や癌原性を予知 するための試験である • 遺伝子突然変異(gene mutation)を指標と する試験、染色体異常(chromosomal aberration)を指標とする試験、げっ歯類 (特にマウス)を用いる小核試験がある

(45)

遺伝毒性試験(2)

• 遺伝子突然変異を指標とする試験は、細 菌(ネズミチフス菌あるいは大腸菌)を用い て行われ、エームス・テストと呼ばれる。発 がん物質に対して高感受性を示す • 染色体異常を指標とする試験は、哺乳類 の培養細胞(チャイニーズ・ハムスター細 胞株あるいはヒト・リンパ球)を用いるin vitro試験法が採用されている。この試験で 陽性となった物質は、必ずしも生体内染色 体異常試験で陽性となるとは限らない

(46)

46

遺伝毒性試験(3)

• 小核試験は、げっ歯類(特にマウス)を用 いて行われる • 染色体異常試験(in vitro試験)で陽性と なった物質は、必ずしも、生体内染色体異 常試験(in vivo試験)で陽性となるとは限ら ないため、生体内試験(in vivo試験)として 小核試験が行われる

(47)

がん原性試験

• 動物での催腫瘍性を検索し、ヒトでの発が

ん性リスクを予知する

• 2種の雌雄動物を使用し、ラット、マウス、 ハムスターが主に用いられる

(48)

48

生殖発生毒性試験

• ヒトに医薬品を投与した場合に予想される、親世 代の生殖機能に対する影響、妊娠の維持などに 対する影響、及び次世代の胎児期死亡と発育遅 滞及び奇形発生を評価する • 生殖・発生毒性試験では、被験薬物の催奇形性 だけでなく、親動物の生殖や胎児の発育状態など に対する影響が評価される • ラットが主に用いられる • 受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験 (Ⅰ試験)、出生前及び出生後の発生並びに母体 の機能に関する試験(Ⅱ試験)、胚・胎児発生に 関する試験(Ⅲ試験)を行う

(49)

依存性試験

• 薬理学的に中枢神経作用を有する被験薬 を対象とする • 被験薬の反復投与による身体依存または 精神依存形成の有無を検討する • 依存性試験は特殊毒性試験に属し、被験 薬物の身体依存性と精神依存性を明らか にする目的で実施される

(50)

50

第5回講義の結論(1)

• 医薬品となる可能性のある物質(医薬品候補化合物 =被験薬)の有効性及び安全性は、動物や細胞など を用いた非臨床試験、及びヒト(健康成人、患者)を対 象とした臨床試験(治験)で評価される • 非臨床試験では、薬効薬理試験において、医薬品候 補化合物(被験薬)の有効性評価を行う • 非臨床試験では、毒性試験、安全性薬理試験、非臨 床薬物動態試験において、医薬品候補化合物(被験 薬)の安全性評価を行う • 通常は、非臨床試験において有効性・安全性が確認 できなかった医薬品候補化合物(被験薬)の開発は断 念される

(51)

第5回講義の結論(2)

• 通常は、非臨床試験において有効性・安全性が確認で きなかった医薬品候補化合物(治験薬)の開発は断念 されるが、重篤な疾患を対象とする医薬品(例えば、抗 癌剤、エイズ薬など)の場合には、必ずしも開発は断念 されない • 対象疾患により、ベネフィット(有効性)とリスク(安全 性)のバランスが異なる • 重篤な疾患を対象とする医薬品(例えば、抗癌剤、エイ ズ薬など)の場合、ベネフィット(有効性)が明確であれ ば、ある程度のリスク(副作用=薬物有害反応)があっ ても承認は可能(但し、リスク軽減のための方策の検

(52)

52

第5回講義の結論(3)

• 薬事法は、医薬品の承認審査資料を収集・作 成する際の基準として、GLP、GCP、信頼性の 基準を規定している • GCPは、「医薬品の臨床試験の実施の基準に 関する省令」である • GLPは、「医薬品の安全性に関する非臨床試験 の実施の基準に関する省令」である • 信頼性の基準は、薬事法施行規則43条に規定 されている

(53)

第5回講義の結論(4)

• GLPは、医薬品の安全性に関する非臨床試験 の信頼性を確保するため、試験施設の構造設 備及び運営管理の両面から、試験実施にあ たっての遵守基準を規定している • 非臨床試験の中で、毒性試験及び安全性薬理 試験はGLPを遵守する必要がある

(54)

54

第5回講義の結論(5)

• 医薬品の承認申請に必要な非臨床試験は、薬 効薬理試験(信頼性基準を遵守) 、安全性薬 理試験(GLP遵守)、非臨床薬物動態試験(信 頼性基準を遵守) 、及び毒性試験(GLP遵守) である • 薬効薬理試験は、被験薬の有効性、主要な薬 効の薬理学的根拠(作用機序)を明らかにし、 臨床試験(治験)におけるヒトでの用法・用量の 基礎となる成績を得るために行われる。 • 薬効薬理試験では、薬効の用量相関性と作用 持続時間を検討する

(55)

第5回講義の結論(6)

• 安全性薬理試験とは、治療用量及びそれ以上 の曝露に関連した、被験物質の生理機能に対 する潜在的な望ましくない薬力学的作用を検討 する試験である • 安全性薬理試験の対象とすべき生命維持を司 る器官系は、心血管系、呼吸系、および中枢神 経系である

(56)

56

第5回講義の結論(7)

• 非臨床薬物動態試験では、原薬、及び必要に応じて 同位元素標識体、製剤を使用し、毒性、薬理、及び臨 床試験(治験)との対応を考えて投与量を選択し、臨 床投与経路を用いて単回投与及び必要に応じて反復 投与を行う • 非臨床薬物動態試験において、吸収では、被験薬の 吸収の程度と速度を推定する。分布では、被験薬の 臓器及び組織への分布、経時的変化、必要に応じて 蓄積性を検討する。代謝では、被験薬の主たる代謝 経路を示し、代謝の程度と速度を明らかにし、ヒトでの 代謝に関与する主たる酵素を明らかにする。排泄では、 被験薬及び主要な代謝物の排泄経路、及び排泄の程 度と速度を明らかにするする

(57)

第5回講義の結論(8)

• 毒性試験は、動物等を用いた安全性試験データを作 成するために実施されるもので、一般毒性試験と特殊 毒性試験に分類される。単回投与毒性試験、反復投 与毒性試験、局所刺激性試験、遺伝毒性試験、がん 原性試験、生殖発生毒性試験、その他の試験がある • 単回投与毒性試験は、概略の致死量を求める • 反復投与毒性試験は、毒性変化が認められない用量 (無毒性量、NOAEL:No Observable Adverse Effect Level)を求める

• 依存性試験は、被験薬の反復投与による身体依存ま

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587, West 12th Street Huangpu, Shanghai, China..

(2)

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