1 防災対策の必要性
◆日本は,太平洋プレート,フィリピン海プレート,北米プレート,ユーラシアプレートが絡
み合あっており,世界で発生しているM6以上の地震の内,5分の1が日本で発生して
います。
◆国の中央防災会議は,今後30年以内に南関東直下地震(M7クラス)が発生する確率
を70%と発表しています。
◆東日本大震災によって地盤に大きな変化が生じ,他の大規模地震や火山噴火の誘発
が懸念されています。
地震大国日本の現実
◆1923年9月1日 「関東大震災」
関東地方の南部を中心に広い範囲で震度6を観測。
発災後に発生した
火災
により多くの犠牲者が発生。
◆1995年1月17日 「阪神・淡路大震災」
兵庫県を中心に近畿圏に甚大な被害が発生。
特に震源に近い神戸市近郊では,
建物の倒壊
などにより多くの犠牲者が発生。
◆2011年3月11日 「東日本大震災」
地震による直接的被害は少なかったが,その後に襲った
大津波
により多くの犠牲者
が発生。
記憶から消えない地震災害の歴史
2 過去の災害から学ぶ
(その1)
内陸部に発生した「直下型地震」として,柏市の被害想定をはじめ,市のさまざまな防災対
策を考える上でモデルケースとなった災害です。
当時,実際に被災された方が直面したことを改めて振り返ることにより,今後の防災対策の
方向性が見えてきます。
地震発生が冬の未明であったことに加え,停電により情報がストップしたため,行政も市民
も状況を把握するのに多くの時間がかかった。
伝達手段が未整備であったため,行政からの情報が正しく伝わらずデマ等が発生し混乱を
招いた。
阪神・淡路大震災を振り返る
~具体的な取り組みは過去の災害が教えてくれる~
�情報伝達
�避難所
食事や睡眠,着替え,授乳などプライバシーのない生活へのストレスを多くの方が感じた。
電源不足によるポットやストーブなどの電気暖房器具(寒さ対策)やコンセントの使用制限に
よる特に携帯電話の充電に大きな影響があった。
~具体的な取り組みのヒントは過去の災害が教えてくれる~
便層に排泄物があふれているが,汲み取り作業が追いつかない。
仮設トイレの絶対数不足とそれを代用できる資機材の不備が判明。
飲料用の水が不足し,炊事の再開まで時間を要した。
近隣に応急給水所がないために,水を求めて長時間の移動を要した。
共助による支援が届かないため,災害時要援護者への供給が困難となった。
�トイレ
�飲料水
�その他
こころのケアに対する認識の低さが,症状を悪化させることになった。
事業所の被災により経済生産活動が停止したことで,住民だけでなく地域の復興も遅れた。
�応援・ボランティア
被災地のニーズとボランティアや支援物資など供給側とのミスマッチが,かえって効率的な
支援活動の弊害になった。
2 過去の災害から学ぶ
(その2)
◆住まいの安全対策・備蓄の
啓発
◆防災講習会の実施
◆救命・消火訓練の支援
◆防災訓練の実施支援
◆自主防災組織の結成・育成
支援
4 柏市の防災事業(概要)
◆救助・消防体制の強化
◆医療体制の強化
◆災害時要援護者支援体制
◆物資供給体制の構築
◆防災関係機関との連携強化
◆公共施設・ライフラインの耐震化、
ブロック塀の生垣化支 援
◆市街地の整備、地盤被害対策,
浸水解消対策
◆防災行政無線の整備
◆井戸・貯水槽整備
◆避難所の確保
災害に強い体制づくり
災害に強いまちづくり
災害に強いひと・地域づくり
5-1 防災事業指標
大項目 中項目 小項目 目標 現状
災害に強いひ
と・地域づくり
自主防災組織
の結成
自主防災組織結成率 全町会・自治会等(287団体)で結成 200団体
災害に強いま
ちづくり
通信設備の整
備
防災行政無線
(屋外スピーカー)
202箇所に設置(難聴地域の解消) 190箇所
防災行政無線
(相互通信機器)
防災関係機関に整備済み
今後は新たな協定締結先に随時整備
448局
衛星携帯電話 拠点病院と市・消防に配備(12台) 12台
給水施設の整
備
耐震性井戸付貯水装置
(災害用井戸)
コミュニティエリアに最低1箇所整備
※未整備地区は手賀地域のみ
16ヵ所
耐震性貯水槽(水道管) 6箇所
防災用簡易井戸
(手こぎ式井戸)
コミュニティエリアの内,人口・面積の規模が
大きい地域に整備
15箇所
避難施設の整
備
指定避難場所 人口1人当たり4㎡以上必要
きめ細かな確保(移動距離の短縮)
4.7㎡
111箇所
指定避難所 想定最大避難者1人当たり4㎡以上必要
きめ細かな確保(移動距離の短縮
2.3㎡
108箇所
防災備蓄倉庫
の整備
防災備蓄倉庫 コミュニティエリアに最低1箇所整備
その他,人口・面積を考慮し拡充
42箇所
5-2 防災事業指標
大項目 中項目 小項目 目標 現状
災害に
強い体
制づくり
食糧・
水の備
蓄
アルファ米 想定最大避難
者7万人分の1
日(3食)分の
備蓄
42,000食(7万人×0.2(要援護者)×3食) 29,500食
サバイバルフーズ 70,000食(7万人×1食) 90,156食
調理不要食 70,000食(7万人×1食) 25,000食
ビスケット 70,000食(7万人×1食) 0食
保存水(500ml) 20,000本(避難所×200本) 30,240本
資機材
の備蓄
毛布 避難所生活で
最低限必要な
資機材
30,000枚(家屋全壊・焼失者×1枚) 31,767枚
仮設トイレ 300台(避難所×3台) 300台
簡易トイレ 1,300台(避難所×13台) 2,594台
非常用トイレ袋 572,000枚(利用者×5回×3日分) 293,814枚
バーナーセット 100台(避難所×1台) 83台
かまどセット 300台(避難所×3台) 255台
投光機 100台(避難所×1台) 78台
発電機 200台(避難所×2台) 177台
簡易更衣・授乳室 200台(避難所×2台) 134台
間仕切り 3,000組(避難所×30組) 組
マット 21,350枚(避難所×350枚) 4,366枚
ブルーシート 10,000枚(避難所×100枚) 4,944枚
リヤカー 200台(避難所×2台) 144台
※赤字は目標を上回っているもの
6 重点事業
(平成25年度予算)
課題と
の対応
対応策 理由 予算額
情報
通信
防災施設及び防災資器材の管理事業
~情報伝達の強化~
柏駅周辺の帰宅困難者対策としてネ
ットワーク構成機関に携帯型の防災
行政無線を配備。
3,440千円
(復興交付金100%
活用)
情報
通信
防災施設及び防災資器材の管理事業
~難聴対策~
難聴地域の解消を図るため,市内5
箇所に新たに防災行政無線塔(屋外
スピーカー)を設置。
19,392千円
情報
通信
防災施設及び防災資器材の管理事業
~通信障害対策~
地上回線の障害による情報伝達が途
絶えることに備え,衛星携帯電話を医
療機関に配備。
1,500千円
備蓄
資機材
防災施設及び防災資機材の管理事業
~避難所運営の強化~
避難所開設時に必要となるグッズを
予め各避難所に配備。
5,480千円
(復興交付金100%
活用)
被災
生活
災害時要援護者対策
~生活用品の整備~
高齢者,障害者,乳幼児,女性を対象
に災害時は自助による確保が困難と
される生活用品等を整備。
6,016千円
(9月補正)
被災
生活
防災施設及び防災資機材の管理事業
~安全な飲料水の確保~
災害時における飲料水の安定確保を
図るため,既存施設を改修。
51,300千円
7-1 対応策
情報通信
今年度は,新たに「柏駅周辺帰宅困難者等対策ネットワーク」の構成機関の5箇所に携帯型を整備。
①クレストホテル ②三井ガーデンホテル ③柏プラザホテル ④相鉄フレッサイン
⑤高島屋ステーションモール
電話網の寸断に備え,情報連絡体制を確保する仕組み。統制局を市役所本庁舎,中継局を柏そごう
屋上に置きます。
<整備場所>
①国・県機関や市役所各部局
②地域の防災拠点となる近隣センター
③避難所となる小・中・高等学校
④電気・ガス・電話等どのライフライン機関
⑤鉄道・バス等の公共輸送機関
⑥救急医療の拠点となる病院
⑦生活物資の提供を受ける大型店舗
無線通信機の配備
災害時救命活動に大きな役割を果たす医療機関との連絡手段を確保します。
今年度は,新たに5箇所の医療機関に配備し,昨年度とあわせ計9箇所に配備。
H25 ①辻仲病院柏の葉 ②千葉・柏田中病院 ③岡田病院 ④柏厚生総合病院 ⑤柏南病院
H24 ①市立柏病院 ②慈恵医大柏病院 ③おおたかの森病院 ④名戸ヶ谷病院
衛星携帯電話の配備
7-2 対応策
防災備蓄資機材
休日・夜間に災害が発生した時に備え,地域住民により避難所を開設で
きるよう,予め設置に必要なグッズ(20品目)を市内の避難所(全109箇
所)に配備します。
<平成25年度購入計画物資>
①非常用トイレ袋 ②発電機 ③折りたたみ式リヤカー ④バーナーセット
⑤投光機付発電機
<配備品目の概要>
①明かり取り(ランタン,簡易ライト,ろうそく)
②情報伝達(ラジオ メガホン,ペーパーホワイトボード)
③避難者対応(筆記用具一式,接着テープ,はさみ等)
④雑貨(バケツ,タオル,ポリ袋等)
避難所開設・運営資機材の配備
避難所生活における男女や世帯のプライバシーに配慮するため,「簡易更
衣室」や「避難所用間仕切り」の備蓄を計画を前倒してし実施します。 また,
いつ災害が発生しても資器材の機能が適切に発揮できるよう整備・修繕を
行います。
防災資機材の計画的整備
7-3 対応策
被災生活
災害時における安全な飲料水の確保は,被災生活及び健康面にお
いて重要な課題となります。また,道路損壊等により遠距離を移動し
ての給水は,高齢者や障害者にとって多大な負担を強いることにな
るため,各地区に安定供給できる施設を整備します。
避難所等で一時的に生活する
ための必要最低限の資機材,
想定最大避難者(約7万人)の1
日分を計画的に備蓄します。
<平成25年度耐震性井戸付貯水槽の整備・改修>
①リフレッシュプラザ柏 ②柏第4中学校
飲料水の安定確保
備蓄食料の増強
高齢者,障害者,乳幼児,女性を対象に災害時は自助による確保
が困難とされる生活用品等を整備します。
災害時要援護者対策
<平成25年度購入計画食料>
①保存用ビスケット
②調理不要食(おかゆ)
<整備品目>
①高齢者 : 大人用オムツ,尿とりパッド,ハーネス
②乳幼児 : 乳児用オムツ,幼児用オムツ
③女 性 : 生理用品
7-4 対応策
災害対応力の強化
自助・共助力向上の支援
柏駅周辺の帰宅困難者対応における業務遂行能力の向上を図
ることを目的とし、発災から一時滞在施設の確保・案内・受入までの
情報連携を含めた訓練を実施します。
また、帰宅困難者役の多くは一般公募により参加してもらい、訓練
の内容を知らせず、より実践に近い形で訓練を行います。
総合防災訓練の実施
各ふるさと協議会毎に担当職員を割り振り,訓練の計画・実施を
サポートし,地域防災体制の強化を支援します。
地区訓練の実施支援
防災知識を普及させるため,町会・自治会等を対象に講習会や
啓発事業を実施します。
※平成24年度実績 68回実施 約3,000名受講
防災講習会実施
<新しい情報伝達ツールの活用>
訓練の実施にあわせ,柏駅周辺のデジタルサイネージ(計3箇所)の運用を開始し,伝達体制
の強化を図ります。
8 今後の方向性
~事業の優先順位~
① 参加(体験)型総合訓練の実施
② テーマ別訓練の実施
③ 被害想定調査の委託
① 既存施設や資器材の大規模修繕
② 防災備蓄倉庫の新規設置
③ 備蓄資器材の拡充
④ 職員の備蓄食糧整備
① 防災行政無線の新規設置
② 電子掲示板・案内板の設置
③ 情報ネットワークシステムの導入
① 耐震性井戸付貯水槽の全20地区への設置
② 防災用簡易井戸の未設置避難所への設置
③ 避難生活を良好に保つための環境整備
事業内容
優先
順位 課題との対応 方向性
1
被災生活 26年度予算要望
今後やりたい取組み
優先順位が低いため
やれない取組み
2
情報通信 26年度予算要望
今後やりたい取組み
今後やりたい取組み
3
防災備蓄資器材 26年度予算要望
今後やりたい取組み
今後やりたい取組み
優先順位が低いため
やれない取組み
4
災害対応力 26年度予算要望
今後やりたい取組み
優先順位が低いため
やれない取組み
9 平成26年度予算要望
課題
との対応 対応策 予算要望と投入後の状態 予算要望額
被災生活
防災施設及び防災資機材の管理事業
~安全な飲料水の確保~
災害時における飲料水の安定確保を
図るため,施設の未設置地区に新設。
⇒当初計画していた全エリアに設置完
了予定。
73,500千円
情報通信
防災施設及び防災資機材の管理事業
自主防災組織事業
~災害時の情報伝達~
災害時の連絡体制を確保するため,
受伝達系統の複線化を整備。
⇒電話・FAX等地上波回線が不通時
に無線による手段が確保される。
4,382千円
(一部交付金
活用)
防災備蓄
資機材
防災施設及び防災資機材の管理事業
~非常時に備えた管理~
経年劣化により生じた資器材の修理・
修繕と備蓄物資の拡充。
⇒防災資源の適正状態の確保と充足
率の向上が図られる。
58,086千円
災害
対応力
防災訓練の実施等防災知識の普及事業
・危機管理事業
~防災訓練の実施など~
市・地域・関係機関が一堂に会し,訓
練を実施。
⇒市民の防災意識が高まる。関係機
関との連携体制が強化される。
3,297千円