- 1 - 時 の 話 題 ~平成27年度 第2号(H27.5.29調査情報課)~
クレジットカード
収納の拡大
都は、納税者の利便性を一層高め、都民サービス の向上を図るため、平成 27 年4月 1 日、都税のクレ ジットカード収納について制度変更を行った。また 国においても、平成 29 年1月の「マイナポータル」 導入と同時に、国税でのクレジットカード収納を検 討している。 そこで、クレジットカードによる税の収納等の概 要や今後の都や国の取組についてまとめる。 1 これまでの都税の収納方法等について 都では、これまで納税者の利便性向上のため、コンビニ収納を全国で初め て導入するなど、様々な収納方法を順次導入してきた。クレジットカード収 納の拡大前に行われていた収納方法は、下記の全4種類であり、多様な収納 方法での納税が可能となっていた。 収納方法の多様化や継続的な滞納整理の努力等により、都の徴収率は、全 国的に見て高い水準にある(図1)。 (1)窓口での収納 ○ 都税事務所・都税支所・支庁等(自動車税については左記のほか都税総合事務セン ター・自動車税事務所) ○ 金融機関・郵便局 ○ コンビニエンスストア(バーコード付きの納付書で、納付金額が 30 万円以下のも のに限る) (2)ペイジー(Pay-easy)収納※ 金融機関・郵便局のペイジー対応のATM、インターネットバンキング等からの 支払 (3)パソコン・携帯電話からのクレジット収納(自動車税のみ) (4)口座振替(固定資産税・都市計画税、固定資産税(償却資産)、個人事業税) ※ ペイジーとは、税金や公共料金、各種料金などの支払を、金融機関の窓口やコ ンビニのレジに並ぶことなく、パソコンやスマートフォン・携帯電話、ATMから 支払うことができるサービスである。ペイジーは、「Pay-easy マーク」 が付いて いる納付書・請求書の支払や、支払方法として「ペイジー」が選択できるサイトで の料金支払などで利用可能となっている。- 2 - さらに、ライフスタイルの変化により、日常生活におけるクレジットカー ドの利用が拡大する(クレジットカード利用額は過去 10 年間で 1.8 倍の 41.7 兆円(平成 25 年度)に増加)とともに、時間や場所を選ばず利用可能であり、 ポイントサービスの利用等のメリットもあるため、電気料金、ガス料金や税 などの公共料金の支払いに対するクレジットカード収納の活用が注目されて いる。 株式会社ジェーシービーのクレジットカードに関する総合調査によれば、 最近の利用対象は、携帯電話料金、電気料金、ガス料金等の公共料金や税金 の支払いにも広がっており(図2)、都においても水道料金の支払いにクレジ ットカード収納が広がる等、クレジットカードによる支払は今後も都民生活 に広く浸透していくと考えられる。 図1 都税滞納額と徴収率等の推移(平成 12 年度~平成 24 年度) 出典:東京都主税局ホームページより作成 図2 平成 26 年の過去3か月間のクレジットカード利用業種(n=5350:クレジットカード枚数) 出典:株式会社ジェーシービーホームページより作成
- 3 - 2 地方税におけるクレジットカード収納の課題と現状 かつて、地方税においては、クレジットカードによる収納が可能か否か法 令上明らかでなく、また手数料負担についても、納税者と地方自治体のいず れの負担とするのかが課題であった。法令については、平成 18 年の地方自治 法の一部改正で指定代理納付者制度が整備され、クレジットカードでの支払 いが可能となった。また、手数料についても、平成 18 年の総務省通知によっ て、納税者負担とすべきものとされた。これは、クレジットカード収納の場 合、手元に現金がなくても支払方法(翌月一括払いなど)に応じて後払いで 納付できることや利用額に応じたポイントサービス等、他の収納方法にはな い利益を利用者が受けることを理由としている。 このように、様々な課題が解決された結果、クレジットカード収納を実施 する地方自治体は増えてきた。地方税の収納・徴収対策に係る調査結果(平 成 26 年1月)によれば、全国の自治体で地方税のクレジットカード収納を実 施しているのは、16 都道府県、51 市区町村となっている。ただし、対象税目 は一部にとどまっており、都道府県では主に自動車税(16 団体全て)を扱い、 市区町村では、主に軽自動車税、個人住民税、固定資産税、国民健康保険税 等を扱っている。 また地方税の他、国民健康保険料や介護保険料などを対象として、クレジ ットカード収納を扱っている自治体もある。 都でも、社会的なクレジット決済の拡大や納税者からの要望(平成 20 年度 に実施した都民へのクレジットカード収納に関する意向調査において、自動 車税等の税目で約7割がクレジットカード収納を「積極的に利用したい」も しくは「前向きに利用を検討したい」と回答)に基づき、自動車税でのクレ ジットカード収納を 平成 23 年度から開始 した。これにより、 自動車税におけるク レジットカード収納 の利用件数は年々上昇している(図3)。 出典:東京都主税局資料より作成 図3 都の自動車税のクレジットカード収納の利用件数、 利用率の推移
- 4 - 3 国の取組 国は、国税へのクレジットカード利用について、平成 17 年度の規制改革・ 民間開放推進会議の官業民営化ワーキンググループ等で検討したが、当時の 議論では、クレジットカード手数料の負担の問題、国税の徴収率の高さ、高 い口座振替利用や源泉徴収等の仕組みによる徴税コストの低さを理由とし て、検討段階に留まっていた。 その後、平成 26 年6月 24 日に閣議決定した「日本再興戦略」改訂におい て、2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等を踏まえ、キャ ッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図り、更なるク レジットカードの利用環境整備を国が図ることとした。 さらに、内閣官房、金融庁、消費者庁、経済産業省、国土交通省、観光庁 の6省庁は、キャッシュレス決済の利便性・効率性の向上を図るため、平成 26 年 12 月 26 日「キャッシュレス化に向けた方策」を明らかにし、この中で 公的分野の効率性向上の観点から電子決済の利用拡大を盛り込んだ。 内閣官房及び関係省庁では、マイナンバー制度で構築される「マイナポー タル」※への決済ポータル機能の付加を行い、公金決済をキャッシュレスで 電子的に行う機能を組み込み、クレジットカード収納等を可能にすることを 明らかにしている。 さらに国は、クレジットカード収納等電子納付の導入自治体数の増加のた めの助言や情報提供を行うとしている。 なお、国は国民年金保険料について平成 20 年3月からクレジットカード収 納を開始しており、クレジットカード収納率は平成 25 年度で 1.8 パーセント ※「マイナポータル」とは、自己の特定 個人情報とその提供記録の確認ができる システムである(平成 29 年1月順次サ ービス開始予定)。 マイナポータルを利活用したマイナン バー利用事務に係るプッシュ型サービス やワンストップサービスの提供等を検討 しており、公金の電子決済サービスも提 供される予定である(図4)。 出典:首相官邸ホームページより作成 図4 「マイナポータル」のイメージ
- 5 - となっている。 4 都の取組 (1)都のクレジットカード収納拡大の経緯 クレジットカード収納の啓発ポスター掲示等の、都の広報活動の取組もあ り、クレジットカードの利用率は年々上昇し、納税者に対して納付方法とし て浸透してきた(前掲図3)。また、他の税目でも利用したいという要望が多 く寄せられてきた。そのため、都は、納税者サービスの更なる向上、徴収率 の向上を目的として、平成 27 年度に他税目へもクレジットカード収納を拡大 することとした。 (2)都のクレジットカード収納の主な変更点 クレジットカード収納拡大に伴う主な変更点は4つある(図5)。最も大き な点は、対象税目がこれまで自動車税のみだったものを都税 15 税目※へと拡 大させたことである。なお、他の自治体は、対象税目として自動車税、固定 資産税・都市計画税、固定資産税(償却資産)、個人事業税、不動産取得税、 軽自動車税の中から数税目、又は一税目(主に自動車税)であることが多く、 扱っているクレジットカード会社も少ない等の傾向が見受けられる(図7)。 また、納期の異なる税目に対応するため、納付専用サイトの開設期間を1 か月から通年へと拡大させた。 図5 都税のクレジットカード収納の主な変更点 出典:東京都ホームページより作成 ○対象税目 自動車税 ○納付専用サイトの開設期間 5月のみ ○利用者負担の手数料 定額 300 円(消費税別) ○納付専用サイト 日本語のみ ○対象税目 自動車税、固定資産税・都市計画税、 個人事業税、不動産取得税等 15 税目 (税額が 100 万円未満の納付書のみ) ○納付専用サイトの開設期間 通年 ○利用者負担の手数料 税額に応じた決済手数料 (税額1万円あたり 73 円(消費税別)) ○クレジットカード収納の利便性向上 納付専用サイトについて日本語以外に英 語・中国語・韓国語にも対応 これまでの取組 平成27 年4月以降の取組 ※ 15 税目とは、自動車税、固定資産税・都市計画税(23 区内のみ)、固定資産税(償却資産)(23 区内の み)、個人事業税、不動産取得税、都たばこ税、軽油引取税、法人都民税、ゴルフ場利用税、法人事業 税、地方法人特別税、鉱区税、事業所税、自動車取得税、宿泊税である。
- 6 - また、手数料については、自動車税は税額の幅が小さいため、納税者負担 を抑えるためにこれまで定額 300 円(消費税別)に設定していた。今回の対 象税目の拡大に伴い、税額の幅が広がることから、公平な費用負担に配慮し、 一定の税額に応じた決済手数料(税額 1 万円あたり 73 円(消費税別))へと 制度変更を行った。 窓口となるポータルサイトも、外国人納税者などを踏まえ、英語、中国語、 韓国語の画面を用意し、納税者サービスの更なる充実を図っている(図8)。 さらに、クレジットカード収納の普及のため、都は納税通知書等へのチラ シの同封、広報東京都等の広報紙の活用、ホームページ・SNSの活用、キ 対象税目 :自動車税のみ 対象期間 :5月のみ 手数料 :1台あたり324 円(税込) 取扱ブランド:JCB、VISA等5ブランド 対象税目 :市県民税、固定資産税・都市計画税、 固定資産税(償却資産)、軽自動車税 対象期間 :通年 手数料 :一定の税額に応じた決済手数料 取扱ブランド:VISA、マスターカード 神奈川県 神戸市 図7 神奈川県と神戸市でのクレジットカード収納の概要 出典:神奈川県ホームページ、神戸市ホームページより作成 図6 クレジットカードでの収納方法について 出典:東京都主税局ホームページより作成
- 7 - ャンペーンの実施(グッズ 配布とPR動画の放送)、 上記キャンペーン以外の PR動画の放送(YouTube の東京都チャンネル等)や ポスターの掲示(鉄道やバ ス等の公共交通機関)等の 更なる広報活動を積極的 に実施し、都民へのクレジットカード収納の周知を行っている(図9)。 5 今後に向けて 国と都は 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、ク レジットカード決済の促進などを図っており、重要な施策の一つとなってい る。これにより、クレジットカードの利用は今後ますます社会に浸透してい くことが予想される。 このような中、都税におけるクレジットカード収納の拡大は、納税手段と 機会の拡大により、納税者の利便性を向上させるとともに、徴収率を向上さ せ、安定的な都税収入の確保にもつながる。 こうしたクレジットカード収納をはじめとした着実な都税収入の確保策を 進めることは、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめ とする様々な施策の推進に貢献するものであり、今後も更なる利便性の向上 を図る必要がある。 図9 PR動画のイメージと味の素スタジアムでの放映の様子 出典:主税局資料より作成 図8 東京都主税局のクレジットカード支払いのポータルサイト 出典:東京都主税局ホームページより作成