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Academic year: 2021

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(1)

【講義】

強度⾏動障害とは

テキストp.12-33

社会福祉法人 とちのみ会

とちのみ学園 石塚大志

(2)

この講義で学ぶこと

「強度⾏動障害」と⾔われる⼈がいること

どのような人たちなのか

強度⾏動障害は障害特性と環境との相互作

用で引き起こされる

⽀援の基本は障害特性を理解すること

6つの支援のスタンダード

(3)

強度⾏動障害とは|

定義

自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、

危険につながる飛び出しなど、本人の健康を損ねる

⾏動

他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くな

ど、周囲の⼈のくらしに影響を及ぼす⾏動

上記の2つの⾏動が著しく⾼い頻度で起こるため、

特別に配慮された支援が必要になっている状態

障害福祉の仕組みでは「障害者⽀援区分」の「⾏動関連項⽬」に おいて10点以上(最大24点)を強度⾏動障害と⾔う

(4)

強度行動障害児者研究 強度行動障害特別処遇事 業 強度行動障害特別加算費 支援加算費 重度障害者 行動援護 強度行動障害支援者養成 研修 動く重症児対策 重度知的障害児 精神科⼊院治療 自閉症研究 1988年 1993年 1998年 2006年 2013年2014年 1960年代後半 ( 支援費) (2018年) 重度障害者支援費加算・行動援護従業者 等の要件として研修修了が前提 行動援護従業者養成研修 自閉症児施設 国立療養所重心 報酬改定

過去を振り返ると

強度⾏動障害のある者への対策は、30年近く前から検討

されてきているが・・・

(5)

映像資料|

強度⾏動障害

【事例の概要】

□各事例、約3分

□5事例

■⾏動障害が表れている時の映像

■障害特性に即した支援の映像

■⾏動障害が軽減した、あるいは

普段の穏やかな時の映像

(6)

強度⾏動障害になりやすいのは

強度⾏動障害

自傷・他傷・破壊

⾮衛⽣的・異⾷

極端な固執⾏動等

急性期の

精神科症状

興奮・混乱

混迷・拒絶等

反社会的⾏動

⾮⾏・虞犯

触法⾏為等

強い 自閉症の特徴 弱い 最重度 重 度 中 度 軽 度 境界域 標 準 知的障害 の程度 この状態像の人が全て 強度⾏動障害に当ては まるわけではない!

(7)

知的障害とは|

定義

知的障害の定義

知的機能に明らかな制限があること

適応⾏動に明らかな制限があること

上記2つが発達期(概ね18歳まで)にあらわれること

 「知的機能の明らかな制限」とは、一般的に知能検査の結果(IQ)を 参考にする(標準よりかなり低い状態であるかどうか)  「適応⾏動に明らかな制限」とは、適応⾏動尺度(社会成熟度検査等) の結果を参考にする(標準よりかなり低い状態であるかどうか)  ⽇本では、都道府県・政令指定都市が知的障害(児)者に療育⼿帳(愛 の⼿帳・みどりの⼿帳)の交付を⾏っている

(8)

知的障害とは|

ICDの分類

軽度(Mild mental retardation : IQ 50-69) …B2/Ⅳ

成⼈期においてその精神年齢は概ね9歳から12歳相当。学齢時に学業不振が表⾯化する場合が多い。社会 的な興味は年齢相応である。成⼈になってから、仕事に就き、良好な⼈間関係を保ち、結果的に地域社会の ⼀員として周囲から評価されている事例が多く、そのような能⼒をもっている。

中度(Moderate mental retardation : IQ35-49) …B1/Ⅲ

成⼈期においてその精神年齢は概ね6歳から9歳相当。幼児期から発達の遅れが顕著であるが、基本的な身 辺⾃⽴やコミュニケーション能⼒、そして読み書きについては⼀定レベルの学習は可能である。社会⽣活や就業 ⽣活に必要な⽀援の程度には個⼈差がある。

重度(Severe mental retardation : IQ20-34) …A2/Ⅱ

成⼈期においてその精神年齢は概ね3歳から6歳相当。12歳頃までに2語⽂程度を⽤いる。⼈⽣のどの時期 においても、生活のさまざまな場面で他者からの継続的な支援が必要である。

最重度(Profound mental retardation : IQ 20以下) …A1/Ⅰ

成⼈期においてその精神年齢は概ね3歳未満。⾝辺⾃⽴や節制(がまん)、コミュニケーション能⼒、さらには 外出・移動において相当の制限がある。 IQの数字は目安 中等度 最重度 重度 軽度 測定不能 20 35 50 70

(9)

自閉症とは|

育て方が原因ではない

脳の発達の問題 その反応に偏りや遅れ 情報 ( 刺激) の入力や 生活や学習上 のつまずき 行動の自己調整 対人関係 の問題 様々な行動障害 不適切 な環境 横浜市中部療育センター ⾼⽊⼀江先⽣の資料を⼀部変更 定型発達の⼈と異なる ものの⾒⽅・とらえ⽅・ 感じ方をすることが多い 社会生活を送る上で ■ うまく理解できない ■ うまく表現できない ためにつまづきやすい

(10)

自閉症とは|

三つ組の障害

感覚過敏・鈍麻

多動

睡眠の問題

【三つ組】

【その他】

社会性の障害 人に対する独特な 関わり方 コミュニケーションの 障害 ⾔葉や表情等の使い⽅ や理解の仕⽅が独特 限定的で反復的な ⾏動や関⼼ ⾒通しが持ちにくく 急な変更が苦⼿

(11)

社会性の障害

障害特性 実際の場⾯で想定される⾏動 ①⼈を意識しにくい または過剰に反応する ・無視しているような反応・一方的に話す、質問する ②相⼿の⽴場に⽴ちにくい 共感性が乏しい ・⾒知らぬ⼈に話しかける・相手の思いや事情を汲み取れない ③表情や感情を読み取るのが苦手 ・相手が嫌がることも繰り返す・相⼿が怒っても平然としている ④場の雰囲気を読み取るのが苦手 空気が読めない ・静かにすべきところでも騒がしい ⑤人よりも物に愛着を示す ・友だちとの遊びよりもミニカーに夢中になる ⑥自分と人の物の区別がつかない ・断りなく人の物を持っていく・人の食べ物を食べてしまう

(12)

コミュニケーションの障害

障害特性 実際の場⾯で想定される⾏動 ①話し⾔葉をコミュニケーションの 道具としてうまく使えない ・⾔葉を使わず直接⾏動する ・⾔葉で伝えてもうまく伝わらない ・気に入ったフレーズの繰り返し ②文字は読めても意味までは伝わり にくい ・伝えている内容が伝わらず勘違い しやすい ・字義通りに受け取ってしまう ③オウム返し(エコラリア) ・伝えられたことをそのままオウム返しする ④⾝振りやジェスチャーの理解が 難しい ・ジェスチャー等が(暗黙では)伝わらない ⑤独特のコミュニケーション方法 ・人を叩いてジュースを要求する等

(13)

限定的で反復的な⾏動や関⼼

障害特性 実際の場⾯で想定される⾏動 ①興味関心が乏しい・狭い・偏る 限局した興味関心に没頭する ・レジャー施設に⾏っても無関⼼・店の商品を並べ替える ②物事や⾏動の意味理解が難しい ルールや⼿続きどおりに⾏動する ・家のトイレには決まった時間に ⾏くが、外ではトイレに⾏けない ・毎日、同じ服を着ようとする ③経験していないことは難しい ・初めての場所では不安が強く、 ⾏動停⽌する ・指示があるまで待っている ・経験したやり方だけにこだわる ④⽬に⾒えないことを想像できない ・時間や予定がイメージできずに待てない ⑤⾒通しが持ちにくい ・予定が変更されるとパニックに

(14)

その他の特性

障害特性 実際の場⾯で想定される⾏動 ①感覚の過敏さ、鈍感さ ・偏⾷が⽬⽴つ・ケガをしても平然としている ②五感への反応が独特で一貫性が ない ・子どもの声には過敏だがTVは⼤⾳量で⾒る ③感覚の選択性の問題 情報の取捨選択ができない ・電⾞のアナウンスや周囲の⾳、親 の声が⼀度に⼊ってきて、ひとつ に注目できない ④シングルフォーカス ⼀部に意識が向きがちで全体に 注意が向かない ・⾞が好きかと思ったらタイヤを ⾒るのが好きだった ⑤能⼒の発達がアンバランス ・名前は書けないが計算は得意・計算は得意だが支払いはできない

(15)

知的障害と自閉症

まとめ

情報を受け取ること・表現することが難しい

感じ方や考え方が独特で共有しにくい

「わかろうとする努⼒」と「伝える工夫」が必要

知的障害と自閉症の併存

知的障害が重度であればあるほど、⾃閉症の併存率

は高くなる

IQ30以下では併存率は7割以上

(杉山, 2008)

診断がついていなくても自閉症の人はいる

(16)

知的障害+

自閉症の人

の特徴例

■知的障害や自閉症の特徴

障害特性のサンプルです

■障害福祉サービスを提供す

る私たちは、このような人たち

が安心して過ごせる場を作る

ことが⼤切です(ほとんどこ

れしか出来ない)

■しかし、そのような場を作るに

は、まず一人ひとりの特性を

理解する必要があります

想定される

障害特性

  ことばを聞いて理解することが苦⼿    表情や⾝振りを、誤って理解してしまう   ⼈や場⾯によって態度を変えられない    他の人の興味あることに関心が薄い   全体をとらえて関係性をつかむことが苦手   別のやり⽅を探したり臨機応変な対応が苦⼿    集団で⼀⻫に⾏動することが苦⼿   「いつ終わる」かを理解するのが苦⼿    抽象的、あいまいなことの理解が苦⼿    経験していないことを想像することが苦手   特定の物事に強く固執    記憶することが苦手    発達(認知能⼒)がアンバランス   特定の⾏動を何度もくりかえしてしまう    期待されていることに注意が向かない        ・落ち着きがなく、その場にとどまっていられない       ・結果をかえりみず突然反応してしまう   特定の感覚が過敏、または鈍い

(17)

人や場に対する

嫌悪感・不信感

環境

(物理的な環境、⽀援者、その他の⼈、状況等)

情報・刺激が

■偏ったり

■分かりにくい

■独特な形で

入ってくる

伝えたいことを

■⾔葉ではない

■独特の表現や

⾏動を通して

伝えようとする

障害特性 × 環境要因 ⇒ 強度⾏動障害

「分からない」

の積み重ね

「伝わらない」

の積み重ね

どうして強度⾏動障害になるの?

障害特性

重度の知的障害+⾃閉症の特性は?

(18)

強度⾏動障害に有効な⽀援

0% 20% 40% 60% 80% 100% 安定集団 折り合い 対処方法獲得 障害理解 許容導入 時間をかける 成功体験 生活リズム 静音環境 キーパーソン 薬物療法 コミュニケーション 構造化 (飯田, 2004) (n=32)

(19)

共通する支援の枠組み

構造化された環境の中で

医療と連携しながら

リラックスできる強い刺激を避けた環境で

一貫した対応をできるチームを作り

自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし

地域で継続的に生活できる体制づくりを進める

映像資料の⽀援もこの枠組を原則として

(20)

⼤切なキーワード「構造化」

本人の強みを活かし、情報を整理して、その⼈が理解でき

る環境を作る

(21)

さまざまな環境の構造化

物理的 環境 ■苦⼿な刺激を取り除く ※直接的な対処:イヤーマフ、遮光カーテン、パーテーション ※根本的な対応:⽇課の変更、場所の変更 ■場所と活動を1対1対応にする ■トランジッションエリア(中継地点)を設定する 時間的 な環境 ■やることや予定を写真等で提示する ※作業⼿順や中・⻑期のスケジュール(1⽇、1週間、1ヶ⽉) ※予定の変更を写真で知らせる/予め練習して慣れる ■待ち時間を視覚化する(トークン・エコノミー、タイマー等) ■ひとりでできる活動の⽤意(⾃⽴課題・ワークシステム) 人的な 環境 ■本⼈に理解できる写真等の視覚刺激、短い⾔葉で伝える ■本⼈の要求や拒否の仕⽅を理解して読み取る ■話ことばに頼らないコミュニケーション手段(PECS等) ■本⼈の取り組みや努⼒に対する強化(報酬)を明確にする ■人によって対応が変わらないよう一貫した対応をする

(22)

まとめ|

強度⾏動障害とは

強度⾏動障害とは

⾃らの健康を損ねる⾏動/周囲の⼈の暮らしに影響を及ぼす

⾏動/これらが著しい頻度で起こり特別な⽀援が必要な状態

強度⾏動障害になりやすいのは

重度・最重度の知的障害/⾃閉症/思春期以降から成⼈期

上記の特性に対する配慮が不⼗分な環境との相互作⽤

強度⾏動障害への⽀援にはスタンダードがある

⼀⼈ひとりの特性を理解しようとすること

その特性に配慮した生活環境を作り出すこと

これまでの実践から、共通する支援の枠組みが存在する

参照

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