• 検索結果がありません。

家計の金融資産選択分析-ベイズ型コウホート分析の適用-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "家計の金融資産選択分析-ベイズ型コウホート分析の適用-"

Copied!
18
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

・著者の許可なく、本ディスカッション・ペーパ ーからの転載、引用を禁じます。 ・DBS ディスカッション・ペーパー・シリーズは、オムロン基金により運営されています。 1 D B S - 1 6 - 0 3 「金 融 リ テ ラ シ ー ・ マ ッ プ と 家 計 金 融 資 産 選 択 行 動 に 関 す る 予 備 的 考 察

Preparatory study on Financial Literacy Maps and Portfolio Selection」

山 下 貴 子 Takako Yamashita ( 同 志 社 大 学 大 学 院 ビ ジ ネ ス 研 究 科 ) 2017 年 3 月 ( 要 約 ) 2016 年 に 実 施 さ れ た 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 」 の 集 計 ベ ー ス の 結 果 を も と に 、 日 本 人 の 金 融 資 産 選 択 行 動 や 考 え 方 に 関 す る 予 備 的 な 考 察 を 行 っ た 。「 金 融 知 識 」 の 正 誤 問 題 と 「 行 動 特 性 ・ 考 え 方 等 」 の 結 果 か ら 年 齢 や 性 別 で 回 答 傾 向 に 差 が み ら れ た 。「 望 ま し い 金 融 行 動 」 に つ い て は 「 金 融 教 育 受 講 経 験 」 の 高 い セ グ メ ン ト の 回 答 率 が 高 く 、 金 融 リ テ ラ シ ー 教 育 の 有 効 性 が 示 さ れ た 。 ま た 、 米 国 FINRA や OECD な ど 海 外 機 関 に よ る 同 種 調 査 と 比 較 し た 結 果 、 日 本 人 の 金 融 知 識 水 準 は 諸 外 国 に 比 べ て 低 い こ と が 示 さ れ た 。 ( キ ー ワ ー ド ) 金 融 リ テ ラ シ ー 、 金 融 リ テ ラ シ ー ・ マ ッ プ 、 金 融 資 産 選 択 、 金 融 マ ー ケ テ ィ ン グ

(2)

1

「金 融 リテラシー・マップと家 計 金 融 資 産 選 択 行 動 に関 する予 備 的 考 察

Preparatory study

on Financial Literacy Maps

and Portfolio Selection

1 . は じ め に 日 本 の家 計 部 門 の金 融 資 産 構 成 を欧 米 と比 較 すると、現 金 ・預 金 等 の安 全 資 産 のウェ イトが 50%を超 え、株 式 などのリスク性 資 産 の保 有 比 率 が低 くなっていることはよく知 られて いる(図 1)。 ( 図 1) 家 計 の 金 融 資 産 構 成 の 国 際 比 較 ただし、預 貯 金 が選 択 されるまでに個 人 がどのように考 え、行 動 したのか、というようなプロ セスの問 題 はあまり議 論 され ない。様 々な金 融 資 産 のリスク・リターンを十 分 に吟 味 した結 果 としての選 択 なのか、あるいは最 初 から安 全 性 だけを重 視 した結 果 なのか、消 費 者 のお かれた状 況 や特 性 によって異 なってくる 。 消 費 者 の多 くは、預 貯 金 について銀 行 など の 金 融 機 関 が破 綻 することはほと んどないから元 本 は安 全 だろうと考 え てい る。このとき、消 費 者 は信 用 リスク(銀 行 が破 綻 するリスク)が極 めて小 さいと評 価 していることにな るが、金 1 同 志 社 大 学 ビ ジ ネ ス 研 究 科 、 〒 602-8580 京 都 市 上 京 区 今 出 川 通 烏 丸 東 入 52.3 13.9 34.6 1.5 5.1 3.8 5.0 10.7 8.6 8.6 35.4 16.3 29.8 32.1 34.2 4.1 2.9 3.0 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 日本 米国 ユーロ エリア 現金・預金 債券 投資信託 株式・出資金 保険・年金準備金 その他計 (資料:日本銀行「資金循環の日米欧比較(2016年12 月22日掲載)」 日米は2016年9月末、ユーロエリアは2016年6月末現在。) 山 下 貴 子1 Takako Yamashita

(3)

2 融 商 品 のリスクは信 用 リスク以 外 にも様 々存 在 する 。たとえば、インフレが生 じたとき、実 質 的 な預 貯 金 の価 値 が目 減 りしていくというリスクがある。米 国 などの諸 外 国 と異 なり、長 年 に わたる年 功 序 列 の賃 金 制 度 の下 、加 齢 とともに給 与 が増 加 する日 本 人 家 計 の多 くは 適 切 な投 資 対 象 を積 極 的 に探 索 する必 要 もなく、そもそも金 融 リテラシーを求 められることもな かった。銀 行 預 金 においても、預 入 期 間 と金 利 の2つの要 素 が重 要 であるものの、基 本 的 に金 利 のみを理 解 していれば対 応 でき た。このような環 境 が日 本 人 の金 融 リテラシーの獲 得 を阻 害 していた可 能 性 もある 。しかし、今 後 はこのような各 種 経 済 指 標 を理 解 できる 「知 識 」に加 えて「知 識 を 前 提 とした行 動 力 」を促 す 金 融 リテラシーを身 につけることが極 めて 重 要 となる。つまり、知 識 が単 体 で 役 立 つこと は稀 で実 際 には複 数 の知 識 を 同 時 に組 合 せながら、適 切 な判 断 を行 い、行 動 する力 が必 要 になってくる 。 2 . 金 融 リ テ ラ シ ー と は 貝 塚 他 (2013)によると、金 融 リテラシーとは「金 融 知 識 の獲 得 を具 体 的 な金 融 行 動 につ なげることができる能 力 であり、それは金 融 ケイ パビリティ の基 礎 的 理 解 と同 義 で ある。」と 定 義 されている。金 融 庁 金 融 経 済 教 育 研 究 会 (2013)は、金 融 リテラシーとして最 低 限 身 に付 けるべき 4 分 野 ・15 項 目 (表 1)を網 羅 的 に提 示 した。この表 での金 融 リテラシーの基 本 的 な考 え方 は、「知 識 」だけでなく「習 慣 化 =知 識 を前 提 とした継 続 的 行 動 」も含 まれる ようになっており、従 来 の金 融 リテラシーが金 融 知 識 の獲 得 に重 点 が置 かれていたことを考 えると踏 み込 んだ内 容 になっている。例 えば、家 計 管 理 分 野 の中 に「適 切 な収 支 管 理 (赤 字 解 消 ・黒 字 確 保 )の習 慣 化 」という項 目 がある。知 識 の獲 得 を重 視 するなら「適 切 な収 支 管 理 (赤 字 解 消 ・黒 字 確 保 )の 重 要 性 の理 解 」という記 載 になるはずであろう。「重 要 性 を 理 解 すること」と「理 解 したうえで具 体 的 な行 動 をとること、そしてそれを継 続 すること」の間 には大 きなレベルの格 差 がある。「習 慣 化 」というのはより高 いレベルの要 求 であり 、この要 件 を満 たさなければ、 消 費 者 個 々人 のライフステージの変 化 に沿 っ て有 効 に資 産 を運 用 することが難 しくなる。 こうした金 融 知 識 を具 現 化 するために 2013 年 金 融 経 済 教 育 推 進 会 議 が設 置 され、前 述 の「 生 活 ス キ ル と し て 最 低 限 身 に 付 け る べ き 金 融 リ テ ラ シ ー 」4 分 野 ・15 項 目 の 知 識 の獲 得 について項 目 別 ・年 齢 別 に体 系 化 した「金 融 リテラシー・マップ」が策 定 された。 金 融 リテラシー・マップの主 な内 容 は、(表 2)のようになる。

(4)

3 ( 表 1) 最 低 限 習 得 す べ き 金 融 リ テ ラ シ ー ( 4 分 野 ・ 15 項 目 ) ( 出 所 : 金 融 庁 金 融 経 済 教 育 研 究 会 ( 2013)「 金 融 経 済 教 育 研 究 会 報 告 書 」 よ り 筆 者 作 成 ) 3 . 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 2016 年 、金 融 広 報 中 央 委 員 会 により「金 融 リテラシー・マップ」の体 系 を踏 まえ、18~79 歳 の 25,000 人 を対 象 に金 融 リテラシー調 査 が実 施 された。設 問 は「 金 融 リテラシー・マッ プ」の8分 野 について、「金 融 知 識 ・判 断 力 」に関 する正 誤 問 題 と「行 動 特 性 ・考 え 方 等 」 に関 する問 題 とを組 み合 わせている。約 半 数 の設 問 については、米 国 FINRA(金 融 業 界 監 督 機 構 )や OECD など海 外 機 関 による同 種 調 査 と比 較 できるように設 計 された。(表 3) に、調 査 の設 問 構 成 を示 す。本 稿 では、集 計 レベルの調 査 結 果 について、金 融 広 報 中 央 委 員 会 「金 融 リテラシー調 査 (2016)」に従 って検 討 を行 う。 1 家計管理 1 適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)の習慣化 2 生活設計 2 ライフプランの明確化及びライフプランを踏まえた資金確保の必要性の理解 3 金融知識及び 金融経済事情の理解 3 契約にかかる基本的な姿勢の習慣化 4 情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できる者であるかどうかの確認の習慣化 5 インターネット取引は利便性が高い一方、対面取引の場合とは異なる注意点があることの理解 6 金融経済教育において基礎となる重要な事項(金利(単利・複利)、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融経済情勢に応じた金融商品の利用選択についての理解 7 取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の理解 8 自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が何かの理解 9 カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要性の理解 10 住宅ローンを組む際の留意点の理解 ①無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てることの重要性 ②返済を困難とする諸事情の発生への備えの重要性 11 無計画・無謀なカードローン等やクレジットカードの利用を行わないことの習慣化 12人によってリスク許容度は異なるが、仮により高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことの理解 13 資産形成における分散(運用資産の分散・投資時期の分散)の効果の理解 14 資産形成における長期運用の効果の理解 4 外部の知見の適切な活用 15 金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必要性の理解 (資産形成商品) 分野 項目 (金融取引の基本としての素養) (金融分野共通) (保険商品) (ローン・クレジット)

(5)

4 ( 表 2- 1) 金 融 リ テ ラ シ ー ・ マ ッ プ の 主 な 内 容 ( 1 ) 分 野 分 類 小 学 生 中 学 生 高 校 生 大 学 生 若 年 社 会 人 一 般 社 会 人 高 齢 者 家 計 管 理 家 計 管 理 必 要 な も の ( ニ ー ズ ) と 欲 し い も の ( ウ ォ ン ツ ) を 区 別 し 、 計 画 を 立 て て 買 物 が で き る 家 計 の 収 入 ・ 支 出 に つ い て 理 解 を 深 め 、 学 校 活 動 等 を 通 じ て 収 支 管 理 を 実 践 す る 自 分 の た め に 支 払 わ れ て い る 費 用 を 知 り 、 家 計 全 体 を 意 識 し な が ら よ り よ い 選 択 ・ 意 思 決 定 が で き る 収 支 管 理 の 必 要 性 を 理 解 し 、 必 要 に 応 じ ア ル バ イ ト 等 で 収 支 改 善 を し つ つ 、 自 分 の 能 力 向 上 の た め の 支 出 を 計 画 的 に 行 える 家 計 の 担 い 手 と し て 適 切 に 収 支 管 理 を し つ つ 、 趣 味 や 自 己 の 能 力 向 上 の た め の 支 出 を 計 画 的 に 行 え る 家 計 を 主 と し て 支 え る 立 場 か ら 家 計 簿 な ど で 収 入 支 出 や 資 産 負 債 を 把 握 管 理 し 、 必 要 に 応 じ 収 支 の 改 善 、 資 産 負 債 の バ ラ ン ス 改 善 を 行 え る リ タ イ ア 後 の 収 支 計 画 に 沿 っ て 、 収 支 を 管 理 し 、 改 善 の た め に 必 要 な 行 動 が と れ る 生 活 設 計 生 活 設 計 働 く こ と を 通 し て お 金 を 得 る こ と お よ び 将 来 を 考 え 金 銭 を 計 画 的 に 使 う こ と の 大 切 さ を 理 解 し 、 貯 蓄 す る 態 度 を 身 に 付 け る 勤 労 に 関 す る 理 解 を 深 め る と と も に 、 生 活 設 計 の 必 要 性 を 理 解 し 、 自 分 の 価 値 観 に 基 づ い て 生 活 設 計 を 立 て て み る 職 業 選 択 と 生 活 設 計 を 関 連 付 け て 考 え 、 生 涯 の 収 支 内 容 を 理 解 し て 生 活 設 計 を 立 てる 卒 業 後 の 職 業 と の 両 立 を 前 提 に 夢 や 希 望 を ラ イ フ プ ラ ン と し て 具 体 的 に 描 き 、 そ の 実 現 に 向 け て 勉 学 、 訓 練 等 に 励 ん でい る 人 生 の 3 大 資 金 等 を 念 頭 に 置 き な が ら 、 現 実 的 な 生 活 の 収 支 イ メ ー ジ を 持 つ 選 択 し た 職 業 と の 両 立 を 図 る 形 で ラ イ フ プ ラ ン の 実 現 に 取 り 組 ん でい る ラ イ フ プ ラ ン の 実 現 の た め に お 金 が ど の 程 度 必 要 か を 考 え、 計 画 的 に 貯 蓄 、 資 産 運 用 を 行 え る 環 境 変 化 等 を 踏 ま え 、 必 要 に 応 じ ラ イ フ プ ラ ン や 資 金 計 画 、 保 有 資 産 の 見 直 し を 検 討 し つ つ 、 自 分 の 老 後 を 展 望 し た ラ イ フ プ ラ ン の 実 現 に 向 け 着 実 に 取 り組 ん でい る 学 校 と 連 携 し つ つ 、 家 庭 内 で 子 の 金 融 教 育 に 取 り 組 む リ タ イ ア 後 の ラ イ フ プ ラ ン に つ い て 、 余 暇 の 活 用 、 家 族 や 社 会 へ の 貢 献 に も 配 慮 し た 見 直 し を 行 っ てい る 年 金 受 取 額 等 を ベ ー ス と し た 生 活 ス タ イ ル に 切 り 替 え 、 心 豊 か に 安 定 的 な 生 活 を 過 ご せ る よ う 、 堅 実 に 取 り 組 ん で い る 金 融 知 識 及 び 金 融 経 済 事 情 の 理 解 と 適 切 な金 融 商 品 の 利 用 選 択 金 融 取 引 の 基 本 と し ての 素 養 小 学 生 が 巻 き 込 ま れ る 金 融 ト ラ ブ ル の 実 態 に つ い て 知 り 、 消 費 生 活 に 関 す る 情 報 を 活 用 し て 比 較 ・ 選 択 す る 力 を 身 に 付 け る 契 約 の 基 本 を 理 解 し 、 悪 質 商 法 等 を 見 分 け 、 被 害 に 遭 わ な い よ う に す る 契 約 お よ び 契 約 に 伴 う 責 任 に 関 す る 理 解 を 深 め る と と も に 、 自 ら 情 報 を 収 集 し 消 費 生 活 に 活 用 で き る 技 能 を 身 に 付 け る 収 集 し た情 報 を 比 較 検 討 し、 適 切 な 消 費 行 動 を す る こ と が でき る 金 融 商 品 を 含 む 様 々 な 販 売 ・ 勧 誘 行 為 に 適 用 さ れ る 法 令 や 制 度 を 理 解 し 、 慎 重 な 契 約 締 結 な ど 、 適 切 な 対 応 を 行 う こ と が で き る 詐 欺 な ど 悪 質 な 者 に 狙 わ れ な い よ う 慎 重 な 契 約 を 心 掛 け る 資 産 管 理 面 で 高 齢 者 が 必 要 と す る 基 本 的 な 知 識 を 習 得 し 、 必 要 に 応 じ て 専 門 家 に 相 談 す る こ と が でき る 金 融 分 野 共 通 暮 ら し を 通 じ て お 金 の 様 々 な 働 き を 理 解 す る お 金 や 金 融 ・ 経 済 の 基 本 的 な 役 割 を 理 解 す る お 金 や 金 融 ・ 経 済 の 機 能 ・ 役 割 を 把 握 す る と と も に 、 預 金 、 株 式 、 保 険 な ど 基 本 的 な 金 融 商 品 の 内 容 を 理 解 す る 金 融 商 品 の 3 つ の 特 性 ( 流 動 性 ・ 安 全 性 ・ 収 益 性 ) と リ ス ク 管 理 の 方 法 、 お よ び 長 期 的 な 視 点 か ら 貯 蓄 ・ 運 用 す る こ との 大 切 さを 理 解 す る お 金 の 価 値 と 時 間 と の 関 係 に つ い て 理 解 す る ( 複 利 、 割 引 現 在 価 値 な ど) 景 気 の 動 向 、 金 利 の 動 き 、 イ ン フ レ ・ デ フ レ 、 為 替 の 動 き が 、 金 融 商 品 の 価 格 、 実 質 価 値 、 金 利 ( 利 回 り) 等 に 及 ぼ す 影 響 に つい て 理 解 し てい る (出 所 :金 融 経 済 教 育 推 進 会 議 「金 融 リテラシー ・マップ( 2015 年 6 月 改 定 版 )」より抜 粋 )

(6)

5 ( 表 2- 2) 金 融 リ テ ラ シ ー ・ マ ッ プ の 主 な 内 容 ( 2 ) 分 野 分 類 小 学 生 中 学 生 高 校 生 大 学 生 若 年 社 会 人 一 般 社 会 人 高 齢 者 金 融 知 識 及 び 金 融 経 済 事 情 の 理 解 と 適 切 な 金 融 商 品 の 利 用 選 択 保 険 商 品 事 故 や 疾 病 等 が 生 活 に 大 き な 影 響 を 与 え る こ と を 理 解 し 、 自 ら も 安 全 に 行 動 す る 不 測 の 事 態 に 備 え る 方 法 と し て 貯 蓄 以 外 に 保 険 が あ る こ とを 理 解 す る リ ス ク を 予 測 し て 行 動 す る と と も に 、 人 を 負 傷 さ せ た り 、 人 の 物 を 壊 し た 場 合 に は 弁 償 し な け れ ば な ら な い こ と を 理 解 す る 事 故 や 病 気 の リ ス ク や 負 担 を 軽 減 さ せ る 手 段 の ひ と つ に 保 険 が あ る こ と を 理 解 す る リ ス ク を 予 測 ・ 制 御 し て 行 動 す る と と も に 、 加 害 事 故 を 起 こ し た 場 合 に は 責 任 や 補 償 問 題 が 生 じ る こ とを 理 解 す る 社 会 保 険 と 民 間 保 険 の 補 完 関 係 を 理 解 す る 自 分 自 身 が 備 え る べ き リ ス ク の 種 類 や 内 容 を 理 解 し 、 そ れ に 応 じ た 対 応 ( リ ス ク 削 減 、 保 険 加 入 等 ) を 行 う こ と が で き る 自 動 車 事 故 を 起 こ し た 場 合 、 自 賠 責 保 険 で は 賄 え ない こ とが あ る こ と を 理 解 し てい る 備 え る べ き リ ス ク と 必 要 な 金 額 を カ バ ー す る た め に 適 切 な 保 険 商 品 を 検 討 、 選 択 し、 家 族 構 成 や 収 入 等 の 変 化 に 応 じ た 見 直 し を 行 う こ と が で き る 高 齢 期 に お け る 保 険 加 入 の 必 要 性 ・ 有 効 性 や 保 険 の 種 類 を 理 解 し てい る ロ ー ン ・ ク レ ジ ッ ト 子 ど も 同 士 で お 金 の 貸 し 借 り は し な い よ う に す る ロ ー ン 等 の 仕 組 み や 留 意 点 に つ い て 理 解 す る 貸 与 型 の 奨 学 金 な ど ロ ー ン の 仕 組 み を 理 解 し 、 返 済 方 法 や 金 利 、 延 滞 時 の 影 響 に つ い て 考 え る 各 種 カ ー ド の 機 能 や 使 用 上 の 留 意 点 を 理 解 し 、 適 切 に 行 動 す る 態 度 を 身 に 付 け る 奨 学 金 を 借 り て い る 場 合 、 返 済 を 延 滞 し た 場 合 の 影 響 等 を 理 解 す る と と も に 、 自 力 で 返 済 す る 意 思 を も ち 、 返 済 計 画 を 立 て る こ と が でき る 住 宅 ニ ー ズ を 考 慮 し た ラ イ フ プ ラ ン を 描 い て い る 現 在 と リ タ イ ア 後 の 住 宅 ニ ー ズ を 考 慮 し た ラ イ フ プラ ン を 着 実 に 実 行 し つ つあ る リ タ イ ア 後 の 生 活 の 安 定 の た め に 、 必 要 に 応 じ て 負 債 と 資 産 の バ ラ ン ス を 見 直 せ る 住 宅 ロ ー ン の 基 本 的 な 特 徴 を 理 解 し 、 必 要 に 応 じ 具 体 的 知 識 を 習 得 し 返 済 能 力 に 応 じ た 借 入 れ を 組 む こ と が でき る ロ ー ン や ク レ ジ ッ ト は 資 金 を 費 消 し て しま い や す い こ とに 留 意 す る ク レ ジ ッ ト カ ー ド の 分 割 払 い や リ ボ ル ビ ン グ 払 い に は 手 数 料 ( 金 利 ) 負 担 が 生 じ る 点 に 留 意 す る ロ ー ン や ク レ ジ ッ ト の 返 済 を 適 切 に 履 行 し な い 場 合 に は 、 信 用 情 報 機 関 に 記 録 が 残 り 、 他 の 金 融 機 関 等 か ら も 借 入 等 が 難 し く なる こ とを 理 解 す る 資 産 形 成 商 品 金 利 計 算 ( 単 利 ) な ど を 通 じ て 、 主 な 預 金 商 品 と そ の 利 息 の 違 い に つ い て 理 解 す る リ ス ク と リ タ ー ン の 関 係 に つ い て 理 解 す る 金 利 計 算 ( 複 利 ) を 理 解 し 、 継 続 し て 貯 蓄 ・ 運 用 に 取 り 組 む 態 度 を 身 に 付 け る 基 本 的 な 金 融 商 品 の 特 徴 と リ ス ク ・ リ タ ー ン の 関 係 に つ い て 理 解 し 、 自 己 責 任 で 金 融 商 品 を 選 択 す る 必 要 が あ る こ とを 理 解 す る リ ス ク 管 理 の 方 法 や 定 期 的 に 貯 蓄 ・ 運 用 し 続 け る こ と の 大 切 さを 理 解 す る 自 ら の 生 活 設 計 の 中 で、 ど の よ う に 資 産 形 成 を し て い く か を 考 え てい る 様 々 な 金 融 商 品 の リ ス ク と リ タ ー ン を 理 解 し 、 自 己 責 任 の 下 で 貯 蓄 ・ 運 用 す る こ と が でき る 分 散 投 資 に よ り リ ス ク 軽 減 が 図 れ る こ と を 理 解 し てい る 長 期 運 用 に は 「 時 間 分 散 」 の 効 果 が あ る こ と を 理 解 し て い る リ ス ク と リ タ ー ン の 関 係 を 踏 ま え、 求 め る リ タ ー ン と 許 容 で き る リ ス ク を 把 握 し てい る 分 散 投 資 ・ 長 期 投 資 の メ リ ッ ト を 理 解 し、 活 用 して い る 分 散 投 資 を 行 っ て い て も 、 定 期 的 に 投 資 対 象 ( 投 資 す る 国 や 商 品 ) の 見 直 し が 必 要 で あ る こ と を 理 解 し てい る 自 ら 理 解 で き な い 商 品 へ の 投 資 は し ない ノ ー リ ス ク ・ ハ イ リ タ ー ン を う た う 金 融 商 品 に 疑 い を も つ こ と が で き る 年 齢 や ラ イ フ ス タ イ ル な ど を 踏 ま え 、 投 資 対 象 の 配 分 比 率 を 見 直 す 必 要 が あ る 外 部 の 知 見 の 適 切 な 活 用 外 部 の 知 見 の 適 切 な 活 用 困 っ た と き に は す ぐ に 身 近 な 人 に 相 談 す る 態 度 を 身 に 付 け る ト ラ ブ ル に 遭 っ た と き の 相 談 窓 口 に 、 必 要 に 応 じ て 連 絡 す る 方 法 を 身 に 付 け る ト ラ ブ ル に 対 処 で き る 具 体 的 方 法 を 学 び 、 実 際 に 行 使 で き 金 融 商 品 を 利 用 す る 際 に 相 談 等 が で き る 適 切 な 機 関 等 を 把 握 す る 必 要 が あ る こ と を 認 識 し てい る 金 融 商 品 を 利 用 す る に 当 た り 、 外 部 の 知 見 を 適 切 に 活 用 す る 必 要 が あ る こ と を 理 解 し て い る 金 融 商 品 の 利 用 の 是 非 を 自 ら 判 断 す る う え で 必 要 と な る 情 報 の 内 容 や 、 相 談 し ア ド バ イ スを 求 め ら れ る 適 切 で 中 立 的 な 機 関 ・ 専 門 家 等 を 把 握 し、 的 確 に 行 動 でき る ( 出 所 : 金 融 経 済 教 育 推 進 会 議 「 金 融 リ テ ラ シ ー ・ マッ プ( 2 0 1 5 年 6 月 改 定 版 ) 」 よ り抜 粋 )

(7)

6 ( 表 3)「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 」 設 問 の 構 成 ( 出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) ① 年 齢 ・ 性 別 と 正 答 率 正 誤 問 題 の正 答 率 の平 均 は 55.6%であり、18~29 歳 での正 答 率 が低 く、年 齢 が上 が るとともに正 答 率 は上 昇 し 70 代 で低 下 している(図 2)。性 別 では、その年 代 も女 性 の正 答 率 は男 性 に比 べて低 い。また分 野 別 の正 答 率 でみると、「金 融 知 識 」「保 険 」「ローン」 「資 産 形 成 」の分 野 で女 性 の正 答 率 が低 いことがわかる(図 3)。 「18~29 歳 」と「70~79 歳 」の正 答 率 の差 を見 ると(図 4)、男 女 とも「金 融 ・経 済 の基 礎 」 「ローン」「資 産 形 成 商 品 」分 野 の正 答 率 が 25%以 上 の差 が見 られた一 方 、「家 計 管 理 」 については正 答 率 の差 は小 さい。男 女 別 にみると、「金 融 取 引 の基 本 」「外 部 知 見 の活 用 」について男 性 の正 答 率 が上 がっているが、もともと女 性 の 18~29 歳 での正 答 率 が男 性 より高 かったものが、加 齢 とともに男 性 の正 答 率 が伸 びて逆 転 した 。「保 険 」の知 識 は男 性 の正 答 率 の伸 びが女 性 に比 べて大 きいことが示 された。 こうした設 問 への回 答 について、金 融 知 識 水 準 の自 己 評 価 と比 較 したものが(表 4)であ る。表 中 の「客 観 的 評 価 」とは、正 誤 問 題 25 問 の正 答 率 であり、「自 己 評 価 」とは、設 問 1 7の「あなたの金 融 全 般 に関 する知 識 は、他 の人 と比 べてどのようなレベルにあると感 じて いますか」という問 いに対 して「1.とても高 い」~「5.とても低 い」まで 5 段 階 で回 答 を得 た ものである2。客 観 的 評 価 と自 己 評 価 の差 を見 ると 18~29 歳 のセグメントでマイナス 6.6 と 差 異 が大 きく、実 際 の金 融 知 識 水 準 に対 して自 信 過 剰 傾 向 にある ことがわかる。「知 識 が 足 りない」という点 について自 覚 が薄 いということからも、生 活 スキルとしての金 融 リテラシー を学 ぶ意 義 があろう。 2 「 金 融 知 識 に つ い て の 自 己 評 価 」 に つ い て 、「 と て も 高 い =100 」、「 ど ち ら か と い え ば 高 い = 75」、「 平 均 的 = 50」、 「 ど ち ら か と い え ば 低 い =25」、「 と て も 低 い = 0」、「 わ か ら な い = 計 算 対 象 外 」 と し て 集 計 対 象 者 の 平 均 値 を 算 出 。 そ の う え で 、 自 己 評 価 お よ び 客 観 的 評 価 (「 正 誤 問 題 の 正 答 率 」) に つ い て 、 そ れ ぞ れ 全 体 平 均 を 100 と す る 指 数 を 算 定 。 差 異 の マ イ ナ ス ( ▲ ) は 自 信 過 剰 ( 客 観 的 評 価 < 自 己 評 価 )、 プ ラ ス は 自 信 不 足 ( 客 観 的 評 価 > 自 己 評 価 ) を 示 し て い る 金融知識・ 判断力 行動特性・ 考え方等 9 2 7 9 2 7 金融取引の基本 4 3 1 金融・経済の基礎 7 6 1 保険 5 4 1 ローン・クレジット 5 3 2 資産形成 7 3 4 4 3 1 その他 3 0 3 53 26 27 金融教育のニーズ、経験 合 計 設問数 内訳 金 融 リ テ ラ シ ー ・ マ ッ プ の 分 野 家計管理 生活設計 金 融 知 識 外部知見の活用

(8)

7 ( 図 2) 性 別 ・ 年 齢 別 正 答 率 ( 全 体 ) ( 左 ) と 分 野 別 正 答 率 ( 右 ) ( 図 3) 年 齢 別 正 答 率 の 推 移 ( 左 : 男 性 、 右 : 女 性 ) ( 図 4) 分 野 別 「 18~ 29 歳 」 と 「 70~ 79 歳 」 の 正 答 率 の 差 ( 出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 44.8 54.4 56.5 62.4 66.2 66.3 40.9 47.7 52.4 59.1 60.8 57.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 18-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 ( %) 男性 女性 49.4 49.0 71.3 56.2 54.8 57.4 58.3 64.5 52.6 51.8 74.5 41.6 50.1 49.3 50.3 66.1 0.0 100.0 1.家計 管理 2.生活 設計 3.金融 取引 4.金融 基礎 5.保険 6.ローン 7.資産 形成 8.外部 知見 男性 女性 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 家 計 管 理 生 活 設 計 金 融 取 引 の 基 本 金 融 ・ 経 済 の 基 礎 保 険 ロー ン 資 産 形 成 商 品 外 部 知 見 活 用 18-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 家 計 管 理 生 活 設 計 金 融 取 引 の 基 本 金 融 ・ 経 済 の 基 礎 保 険 ロー ン 資 産 形 成 商 品 外 部 知 見 活 用 18-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 家 計 管 理 生 活 設 計 金 融 取 引 の 基 本 金 融 ・ 経 済 の 基 礎 保 険 ロー ン 資 産 形 成 商 品 外 部 知 見 活 用 男性 女性

(9)

8 ( 表 4 ) 金 融 リ テ ラ シ ー の 客 観 的 評 価 と 自 己 評 価 の 差 ( 出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 次 に、実 際 にとった金 融 行 動 と正 答 率 の関 係 を見 ていく。 同 調 査 では「望 ましい金 融 行 動 」の指 標 として「保 険 」「ローン・クレジット」「資 産 形 成 」に 関 する 3 つの設 問 (表 5)を採 用 している。いすれも商 品 を購 入 する際 に「比 較 購 買 を行 っ たか否 か」を問 う内 容 になっている。 ( 表 5 )「 望 ま し い 金 融 行 動 ( 保 険 ・ ロ ー ン ・ 資 産 形 成 )」 の 3 指 標 ( 出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 正 誤 問 題 の正 答 率 (横 軸 )と、「望 ましい金 融 行 動 をとる人 の割 合 」(縦 軸 )の関 係 を示 す(図 5)。「ライフステージが上 がるとともに正 答 率 や「望 ましい金 融 行 動 」をとる割 合 が増 えているが、高 齢 者 は、正 答 率 は上 がるものの「望 ましい金 融 行 動 」をとる割 合 が低 くなっ ている。全 セグメントにわたり「金 融 教 育 経 験 者 」は正 答 率 も「望 ましい金 融 行 動 」をとる割 合 も高 い。「比 較 購 買 」を行 うには一 定 の金 融 リテラシーが必 要 とされるため、この結 果 から 金 融 教 育 の有 効 性 が示 されたと言 える。 (A) (B) (A-B) 全回答者 55.6 100.0 40.1 100.0 0.0 18-29歳 42.9 77.2 33.6 83.8 ▲ 6.6 30歳代 51.1 91.9 37.0 92.3 ▲ 0.4 40歳代 54.5 98.0 39.0 97.3 0.8 50歳代 60.7 109.2 42.2 105.2 3.9 60歳代 63.3 113.8 44.6 111.2 2.6 70歳代 61.4 110.4 44.5 111.0 ▲ 0.5 合計 55.6 100.0 40.1 100.0 0.0 差異 客観的評価 自己評価 正誤問題の 正答率(%) 全体平均を100とし た際の指数 金融知識に関す る自己評価 全体平均を100とし た際の指数 1.比較したうえで生命保険に入っている 2.比較せず生命保険に入っている 3.生命保険に入っていない 1.比較したうえで、借りた 2.比較せず、借りた 3.借りたことはない 1.比較したうえで、資産運用を行った 2.比較せず、資産運用を行った 3.資産運用は行わなかった あなたは過去に金融機関から1か月の生活費を超える金額のお金を運用したことがありますか。最後 にお金を運用した際、最も有利と考えられる金融商品を選ぶために、ほかの金融機関あるいはほか の金融商品と比較しましたか。 Q32 Q29 あなたは生命保険に入っていますか。現在加入している生命保険を選ぶ際、他の生命保険と比較し ましたか あなたは過去に金融機関から1か月の生活費を超える金額のお金を借りたことがありますか。最後に お金を借りた際、ご自身の状況に適したローンを選ぶために、ほかの金融機関あるいはほかのローン と比較しましたか。 保険 ロー ン・ク レジット 資産形成 Q24

(10)

9 ( 図 5 ) 各 セ グ メ ン ト の 正 答 率 と 行 動 ( 正 誤 問 題 及 び Q24・ Q29・ Q32) (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」) ② 行 動 経 済 学 的 特 徴 金 融 広 報 中 央 委 員 会 (2012)によると、①消 費 者 の金 融 行 動 には行 動 バイアスと呼 ば れる心 理 的 要 因 が影 響 するため、常 に合 理 的 であるとは限 らないこと、 ②行 動 経 済 学 の研 究 により、不 合 理 行 動 にも一 定 のメカニズムや規 則 性 が存 在 することが明 らかさにされたこ と、③金 融 教 育 の推 進 に際 しても、こうした点 に配 慮 することで教 育 効 果 の改 善 が期 待 で きることを説 明 し、(表 6)のような消 費 者 の金 融 行 動 や金 融 教 育 の学 習 時 に発 生 しやすい 行 動 バイアスを示 した。 ( 表 6 ) 消 費 者 の 行 動 バ イ ア ス と 金 融 行 動 や 金 融 教 育 学 習 へ の 影 響 主 な 行 動 バ イ ア ス 消 費 者 の 金 融 行 動 と の 関 係 金 融 教 育 学 習 と の 関 係 情 報 過 多 金 融 商 品 の選 択 を遅 らせたり、選 択 を 回 避 してしまう 追 加 的 な金 融 情 報 の入 手 に無 関 心 現 状 維 持 バ イ ア ス 手 続 き な ど 目 先 の 負 担 を 回 避 す る ため、金 融 行 動 を先 送 りしてしまう。 学 習 参 加 の金 銭 的 ・非 金 銭 的 負 担 がネックとなる。 自 信 過 剰 傾 向 投 資 能 力 を 過 信 し 、 金 融 商 品 売 買 を短 期 的 に繰 り返 してしまう 自 分 の 金 融 リ テ ラ シ ー を 過 信 し て 、 金融 教 育 に無 関 心 となる 損 失 回 避 傾 向 投 資 行 動 で簡 単 に「損 切 り」 に踏 み切 れない 高 齢 者 ほど損 失 回 避 傾 向 が顕 著 にな りやすい フ レ ー ミ ン グ 効 果 金 融 商 品 の申 込 書 などの表 記 方 法 が 意 思 決 定 に影 響 を及 ぼす メ ッ セ ー ジ の 提 示 方 法 の 違 い が 行 動 に影 響 を及 ぼす ( 出 所 : 福 原 ( 2012) よ り 筆 者 作 成 ) 今 回 の金 融 リテラシー調 査 ではどのようなセグメントに行 動 バイアスが発 生 しているのか (表 7)のような「損 失 回 避 傾 向 」、「近 視 眼 的 行 動 」、「横 並 び行 動 」の指 標 を 用 いて分 析 を行 った。

(11)

10 ( 表 7 )「 損 失 回 避 傾 向 」、「 近 視 眼 的 行 動 」、「 横 並 び 行 動 」 の 指 標 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) それぞれの傾 向 が強 い人 の割 合3をセグメント別 に比 較 すると(図 6)~(図 7)のように なる。 ( 図 6 )損 失 回 避 傾 向 が 強 く 投 資 し な い 人 の 割 合( 左 )、近 視 眼 的 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 の 割 合 ( 右 ) ( 図 7 ) 横 並 び 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 の 割 合 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 3損 失 回 避 傾 向 が 強 い 人 」 と は 、Q6 に お い て 「 2.投 資 し な い 」 を 選 択 し た 人 、「 近 視 眼 的 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 」 と は 、Q1-10 に お い て 「 1.あ て は ま る 」 ま た は 「 2.」 を 選 択 し た 人 、 横 並 び 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 と は 、Q1-3 に お い て 「 1.あ て は ま る 」 ま た は 「 2.」 を 選 択 し た 人 。 1.投資する 2.投資しない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 横並び行動 Q1-3 類似する商品が複数ある時、自分が「良い」と思ったものよりも、「これが一番売れています」と勧めら れたものを買うことが多い。 損失回避傾向 Q6 10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生 するとします。あなたならどうしますか。 近視眼的行動 Q1-10 お金を必ずもらえるとの前提で、(1)今10万円をもらう、(2)1年後に11万円をもらう、という2つの選択 があれば、(1)をえらぶ 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 18 -29 歳 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 男性 女性 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 18 -29 歳 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 男性 女性 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 18 -29 歳 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 男性 女性

(12)

11 「損 失 回 避 傾 向 」では、期 待 収 益 率 +5%の投 資 に対 して女 性 はどの年 代 も 8 割 が「投 資 しない」 と回 答 している。「近 視 眼 的 行 動 」では、女 性 に比 べて男 性 の方 が傾 向 が強 く、男 女 とも年 齢 が上 がるごとに傾 向 が強 まる。「横 並 びバイアス」は男 性 に比 べて女 性 の方 が傾 向 が強 く、男 女 とも年 齢 が上 がるにつれ弱 まる傾 向 が見 られた。 次 に、「金 融 リテラシーの高 低 」4と、「金 融 教 育 受 講 経 験 の有 無 」5といったセグメントでこれらの行 動 の比 較 を行 う(図 8)。「損 失 回 避 傾 向 」は、「低 リテラシー層 」で約 9 割 と強 く、「高 リテラシー」と 「金 融 教 育 を受 けた人 」はそれぞれ 64.9%、64.3%であった。リテラシーが低 い層 が投 資 を回 避 し ている。「近 視 眼 的 行 動 バイアス」 では、「高 リテラシー」層 と「金 融 教 育 を受 けた人 」のほうがバイア スが若 干 強 いという結 果 となった。「横 並 び行 動 バイアス」は、「高 リテラシー」層 が 9.2%と低 く、他 の 2 つのセグメントの約 半 分 の割 合 であった。リテラシーが高 い層 は、自 分 自 身 の考 えで意 思 決 定 を行 っていることが示 された。 ( 図 8 )「 金 融 リ テ ラ シ ー の 高 低 」 と 「 金 融 教 育 受 講 経 験 の 有 無 」 別 に み る 金 融 行 動 の バ イ ア ス 傾 向 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) ③ 海 外 と の 比 較 次 に、海 外 の金 融 リテラシー調 査 結 果 との比 較 を行 う。 日 本 と諸 外 国 の金 融 リテラシ ーの国 際 比 較 を行 った先 行 研 究 には、Lusardi and Olivia(2014)による基 本 的 な知 識 を

4 「 高 リ テ ラ シ ー 」 の 定 義 は 正 誤 問 題 に お い て 正 答 率 が 84~ 100% で あ っ た 者 、「 低 リ テ ラ シ ー 」 の 定 義 は 正 誤 問 題 に お い て 正 答 率 が0~ 24% で あ っ た 者 。 5 「 金 融 教 育 を 受 け た 人 」 の 定 義 は 質 問 票 の Q39「 在 籍 し た 学 校 、 大 学 、 勤 務 先 に お い て 生 活 設 計 や 家 計 管 理 に つ い て の 授 業 な ど の 「 金 融 教 育 」 を 受 け る 機 会 は あ り ま し た か 」 と い う 設 問 に お い て 「2.受 け る 機 会 が あ り 、 自 分 は 受 け た 」 を 選 択 し た 者 。 64.9 45.4 9.2 89.7 40.9 19.7 64.3 45.3 18.9 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 損 失 回 避 傾 向 が 強 い 人 の 割 合 近 視 眼 的 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 の 割 合 横 並 び 行 動 バ イ ア ス が 強 い 人 の 割 合 高リテラシー層 低リテラシー層 金融教育を受けた人

(13)

12 問 う質 問 (金 利 ・インフレ・リスク多 様 性 ) の回 答 率 の比 較 がある6。今 回 の金 融 リテラシー調 査 では、米 国 の調 査7と OECD 調 査8の結 果 とそれぞれ直 接 、比 較 ができるように構 成 され ている。ローンや分 散 効 果 など、より多 面 的 な設 問 で比 較 可 能 となった。 ( 1 ) 米 国 調 査 と の 比 較 (表 8)は比 較 対 象 にした共 通 の正 誤 問 題 (5 問 )である。それぞれの正 答 率 を比 較 する と、(図 9)のようになる。 ( 表 9 ) 米 国 調 査 と の 比 較 対 象 と し た 正 誤 問 題 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 )

6 Lusardi and Olivia に よ る 比 較 に よ れ ば 、 ド イ ツ や ス イ ス で は 全 問 正 答 率 が 高 く 50% を 超 え て い た が ア

メ リ カ や フ ラ ン ス は 30% 程 度 で 、 日 本 は そ れ を 下 回 る 27% で あ っ た 。 特 に 3 問 目 の リ ス ク 多 様 性 に 関 す る 質 問 で は 、 欧 米 各 国 の 正 答 率 が お お む ね 50% を 超 え て い る こ と に 対 し 日 本 は 正 答 率 が 39.5% と 低 く 、 「 わ か ら な い 」 と 回 答 し た 割 合 も 56.1% と 突 出 し て 高 い こ と が 特 徴 で あ っ た 。 全 3 問 中 少 な く と も 1 問 に つ い て 「 わ か ら な い 」 と 回 答 し た 割 合 は 、 ル ー マ ニ ア を 除 く と 日 本 が 最 も 高 く 61.5% で あ っ た 。

7 米 国 金 融 業 界 の 自 主 規 制 機 関 ( Financial Industry Regulatory Autho rity, FINRA) が 2012 年 に 調 査

(Financial Capability in the United States ) を 実 施 。 2013 年 5 月 に 調 査 結 果 を 公 表 。 調 査 方 法 は イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査。

8 経 済 協 力 開 発 機 構 ( OECD) の 金 融 教 育 に 関 す る 国 際 ネ ッ ト ワ ー ク ( International Network on Financial Education, INFE) 会 議 参 加 国 の う ち 、 英 国 、 ド イ ツ を 含 む 14 か 国 が 2010~ 2011 年 に 調 査 ( Measuring Financial Literacy) を 実 施 。 調 査 方 法 は 、 訪 問 調 査 及 び 電 話 調 査 。 1.110万円より多い 2.ちょうど110万円 3.110万円より少ない 4.上記の条件だけでは答えられない 5.わからない 1.今日以上に物が買える 2.今日と全く同じだけ物が買える 3.今日以下しか物が買えない 4.わからない 1.正しい 2.間違っている 3.わからない 1.正しい 2.間違っている 3.わからない 1.上がる 2.下がる 3.変化しない 4.債券価格と金利の間には何の関係もない 5.わからない ⑤債券価格 Q22 金利が上がったら、通常、債券価格はどうなるでしょうか ③住宅ローン Q21-2 住宅ローンを組む場合、返済期間が15年の場合と30年の場合を比較すると、通 常、15年の方が月々の支払い額は多くなるが、支払う金利の総額は少なくなる Q19 100万円を年率2%の利息が付く預金口座に預け入れました。それ以外、この口座 への入金や出金がなかった場合、5年後の口座の残高はいくらになっているでしょ うか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。 ④分散投資 ①複利(5年後) ②インフレ Q20 インフレ率が2%で、普通預金口座であなたが受け取る利息が1%なら、1年後にこ の口座のお金を使ってどれくらいのものを購入することができると思いますか。 Q21-4 1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(※)を買うよりも安全な投資である。 ※何社かの株式に投資する金融商品

(14)

13 5 問 平 均 の正 解 率 は米 国 が 57%であったことに対 し日 本 は 47%と 10%も下 回 ってい る。とくに「①複 利 (5 年 後 )」の正 答 率 の差 が大 きく、米 国 の正 答 率 が 75%に対 し日 本 は 43%と、正 答 率 に 30%以 上 の差 がみられた。 性 別 でみると日 米 ともに男 性 に比 べて女 性 の正 答 率 が低 いが、米 国 女 性 は 50%以 上 の 正 答 率 があったことに対 し、日 本 は 41%しかない。また、年 齢 でみると、日 米 ともに加 齢 とと もに正 答 率 が増 すが、18~34 歳 の若 年 層 では米 国 の正 答 率 は 46%と約 半 数 であること に対 して、日 本 は 35%と低 い結 果 であった。 ( 図 9 ) 米 国 と の 正 答 率 の 比 較 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) ( 2 ) OECD 調 査 と の 比 較 (表 10)は、日 本 とドイツ、英 国 、アイルランドの欧 州 3 か国 を比 較 対 象 にした共 通 の 正 誤 問 題 と行 動 ・考 え方 (11問 )である。それぞれの正 答 率 を比 較 すると、(図 10)のように なる。金 融 知 識 の正 誤 問 題 では、5 問 の平 均 正 答 率 が 3 か国 とも 65%を超 えていたが、 日 本 の正 答 率 は 58%と、7~8%下 回 った。 金 融 行 動 に関 する 4 問 の回 答 率 も 3 か国 に比 べると低 い(図 11)。特 に「②お金 への注 意 」に関 する回 答 率 は、3 か国 とも 80%を超 えていることに対 し、日 本 は 58%にとどまった。 特 にドイツは、「①支 払 期 限 の遵 守 」では 96%と高 い回 答 率 で支 払 い期 日 を遵 守 する態 度 を示 し(日 本 :85%)、「②お金 の運 用 や管 理 への注 意 」でも 87%(日 本 :58%)と注 意 を 払 う態 度 が示 されるなど、望 ましいとされる金 融 行 動 をとっている人 の割 合 が高 い。考 え方 についても「①貯 蓄 重 視 」の考 え方 は、日 本 が 36%であることに対 しドイツは 49%と、堅 実 な国 民 性 が見 て取 れる。 43 56 68 46 24 54 41 35 46 56 75 61 75 48 28 64 52 46 58 66 46 57 66 48 28 56 42 37 48 59 72 55 70 48 28 0 20 40 60 80 ① 複 利 ( 5 年 後 ) ② イ ン フ レ ③ 住 宅 ロ ー ン ④ 分 散 効 果 ⑤ 債 券 価 格 男 性 女 性 18 ~34 歳 35 ~54 歳 55 ~79 歳 日本 2016年 米国 2012年 東京 2016年 NY州 2012年

(15)

14 ( 表 10) OECD 調 査 と の 比 較 対 象 と し た 正 誤 問 題 ・ 行 動 ・ 考 え 方 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 102万円 102万円以外 わからない 1.110万円より多い 2.ちょうど110万円 3.110万円より少ない 4.上記の条件だけでは答えられない 5.わからない 1.正しい 2.間違っている 3.わからない 1.正しい 2.間違っている 3.わからない 1.正しい 2.間違っている 3.わからない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない 1.あてはまる ↑ 3.どちらともいえない ↓ 5.あてはまらない ④長期計画の策定 Q1-6 その日暮らしで明日のことは明日また考えればよいと考えがちである 考 え 方 ④長期計画の策定 Q1-4 お金を貯めたり使ったりすることについて、長期の計画をたて、それを達成するよう に努力する。 行 動 ①貯蓄重視 Q1-5 先行きのためにお金を貯めるより、今お金を使う方が満足感が高いと思う 知 識 ②お金への注意 Q1-7 自分のお金の運用や管理について、十分注意している ③余裕の確認 Q1-1 何かを買う前に、それを買う余裕があるかどうか注意深く考える ①支払期限の遵守 Q1-2 請求書の期日に送れずに支払いをする ①金利 Q18 100万円を年率2%の利息が付く預金口座に預け入れました。それ以外、この口座 への入金や出金がなかった場合、1年後の口座の残高はいくらになっているでしょ うか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。(自由記述) ④リスクリターン Q21-3 平均以上の高いリターンのある投資には、平均以上の高いリスクがあるものだ ④分散投資 Q21-4 1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(※)を買うよりも安全な投資である。 ※何社かの株式に投資する金融商品 ②複利 Q19 100万円を年率2%の利息が付く預金口座に預け入れました。それ以外、この口座 への入金や出金がなかった場合、5年後の口座の残高はいくらになっているでしょ うか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。 ③インフレの定義 Q21-1 高インフレの時には、生活に使うものやサービスの値段全般が急速に上昇する

(16)

15 ( 図 10) 日 本 ・ ド イ ツ ・ 英 国 ・ ア イ ル ラ ン ド 間 の 「 金 融 知 識 」 正 答 率 の 比 較 ( 図 11) 日 本 ・ ド イ ツ ・ 英 国 ・ ア イ ル ラ ン ド 間 の 「 行 動 」「 考 え 方 」 の 比 較 (出 所 : 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「 金 融 リ テ ラ シ ー 調 査 ( 2016)」 よ り 筆 者 作 成 ) 4 . 小 結 本 稿 では 2016 年 に実 施 された金 融 リテラシー調 査 の集 計 ベースの結 果 をもとに、日 本 人 の金 融 資 産 選 択 行 動 や考 え方 について予 備 的 な考 察 を行 った。 調 査 の結 果 より、消 費 者 の多 くは多 様 な資 産 への投 資 の検 討 を行 っていないと推 測 で きる。比 較 購 買 を行 うためには、余 裕 資 金 がある一 定 額 に達 したときに 預 貯 金 以 外 の資 産 クラスへの投 資 を一 度 は検 討 する習 慣 を定 着 させることが必 要 となる。このとき、選 択 可 能 な金 融 資 産 が想 起 集 合 の中 に含 まれなければならない。たとえば、想 起 集 合 にリスク性 資 産 が含 まれていない段 階 で、金 融 機 関 から「定 期 預 金 で投 資 信 託 のご購 入 をご検 討 なさ ってはいかがでしょうか」と電 話 で勧 誘 されたらどうだろう。多 くの消 費 者 は戸 惑 い、金 融 機 関 からそれ以 上 の説 明 を聞 こうともしない。反 対 に、既 にリスク性 資 産 が想 起 集 合 に含 まれ ている状 態 なら、それらへの投 資 を金 融 機 関 の説 明 を聞 きながら検 討 する ことが可 能 とな る。本 調 査 で、「望 ましい金 融 行 動 」(金 融 商 品 の比 較 購 買 )をとる人 の割 合 が「金 融 教 育 経 験 者 」において最 も高 かった結 果 からも、金 融 リテラシー・マップに沿 った金 融 教 育 は必 須 となる。 66 43 75 61 46 64 47 79 87 60 61 37 77 94 55 76 29 84 88 47 0 20 40 60 80 100 ①金利 ②複利 ③リスクとリターン ④インフレの定義 ⑤分散 日本 ドイツ 英国 アイルランド 85 58 70 47 36 55 96 87 82 61 49 65 89 80 77 43 35 50 85 85 83 56 38 54 0 20 40 60 80 100 ①支払期限の遵守 ②お金への注意 ③余裕の確認 ④長期計画の策定 ①貯蓄重視 ②その日暮らし回避 日本 ドイツ 英国 アイルランド

(17)

16 また、金 融 リテラシーを高 め、様 々な経 済 指 標 について理 解 を深 めることで、景 気 の将 来 の展 望 について「どうなるかわからない」という不 安 を低 減 することが出 来 る。一 例 を挙 げ ると、春 闘 の結 果 ベースアップを勝 ち取 ったなら、実 質 賃 金 の上 昇 と今 後 の物 価 上 昇 の相 対 的 な関 係 を把 握 することが重 要 になってくる。多 様 な経 済 指 標 を文 脈 の中 で理 解 するこ とで、個 々の消 費 者 の状 況 に合 わせた消 費 や資 産 の選 択 が行 われることが金 融 リテラシ ー・マップ策 定 の理 想 であろう。日 々発 表 される経 済 指 標 に積 極 的 に注 目 し、経 済 見 通 し を立 てる訓 練 をすることが、結 果 的 に質 の高 い消 費 や貯 蓄 行 動 に結 びつくと考 えられる。 次 稿 以 降 では金 融 リテラシー調 査 の個 票 ベースの分 析 を行 い、個 々のセグメントに合 致 した金 融 リテラシー教 育 や、企 業 側 からの金 融 マーケティング戦 略 のありかたを検 討 してい く。 参 考 文 献 ・ 参 考 資 料 貝 塚 啓 明 ・吉 野 直 行 ・伊 藤 宏 一 (2013)『実 学 としてのパーソナルファイナンス』中 央 経 済 社 。 金 融 経 済 教 育 推 進 会 議 (2016)『金 融 リテラシー・マップ「最 低 限 身 に着 けるべき金 融 (お 金 のリテラシー知 識 ・判 断 力 )」の項 目 別 ・年 齢 層 別 スタンダード( 2015 年 6 月 改 訂 版 )』 http://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy/ 金 融 広 報 中 央 委 員 会 (2016)「金 融 リテラシー調 査 」 https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2016/ 金 融 広 報 中 央 委 員 会 「金 融 商 品 を巡 る環 境 の変 化 と自 己 責 任 時 代 」(平 成 25・26 年 用 ) http://www.shiruporuto.jp/finance/kinyu/hyakka/hk1201.html 金 融 庁 金 融 経 済 教 育 研 究 会 (2013)「金 融 経 済 教 育 研 究 会 報 告 書 」 http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20130430 -5/01.pdf 福 原 敏 恭 (2012)「行 動 経 済 学 の金 融 教 育 への応 用 の重 要 性 」『行 動 経 済 学 』第 5 巻 、 p.157-161。 山 下 貴 子 (2015)「景 気 の変 化 を読 み解 く金 融 リテラシー」、日 本 FP 協 会 『調 査 研 究 レポ ート』、No.72。 山 下 貴 子 (2014)「金 融 リテラシーの変 容 ―「理 解 」から「習 慣 化 」へ-」、日 本 FP 協 会 『調 査 研 究 レポート』、No.70。

Lusardi A. & Olivia S. Mitchell (2014)“The Economic Importance of Financial Literacy: Theory and Evidence,” Journal of Economic Literature , American Economic Association, vol.52 (1), pages 5-44, March.

(18)

17

Implications for Retirement Wellbeing,” Pension Research Council Working Paper No.17078. http://www.nber.org/papers/w17078.pdf

Sekita, Shizuka(2011)“Financial Literacy and Retirement Planning in Japan”,

参照

関連したドキュメント

繰延税金資産は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26

As a multidisciplinary field, financial engineering is becom- ing increasingly important in today’s economic and financial world, especially in areas such as portfolio management,

The orthogonality test using S t−1 (Table 14), M ER t−2 (Table 15), P P I t−1 (Table 16), IP I t−2 (Table 17) and all the variables (Table 18) shows that we cannot reject the

Droegemuller, W., Silver, H.K.., The Battered-Child Syndrome, Journal of American Association,Vol.. Herman,Trauma and Recovery, Basic Books,

Article 58(3) of UNCLOS provides that in exercising their rights and performing their duties in the EEZ, “States shall have due regard to the rights and duties of the coastal

If a new certificate of origin was issued in accordance with Rules 3(e) of the operational procedures referred to Chapter 2 (Trade in Goods) and Chapter 3 (Rules of

The Leaders welcomed the successful conclusion of the negotiations for the ASEAN-Japan Comprehensive Economic Partnership (AJCEP) Agreement and noted with satisfaction that

[4]Hetzel, Robert L., “Arthur Burns and Inflation,” Federal Reserve Bank of Richmond, Economic Quarterly, Winter 1998, pp.21−44. [5]Keller,