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(1)

89 2007, Vol. 11, No. 2, 89−98 1.緒 言  新奇な刺激対象でも何回も見慣れると好感度が増す 現象を,Zajonc(1968)は単純接触効果と名づけた. 筆 者 ら は 今 ま で に 第 1 研 究( 長 田・ 杉 山・ 小 林, 1992),第 2 研究(長田・小林,1995),第 3 研究(長 田・小林,1996),第 4 研究(長田・小林,2005a),

呈示回数増加による閾下呈示における単純接触効果

−刺激として衣服を用いた検討−

長 田 美 穂

1)

,小 林 茂 雄

2) (1)日本工学院専門学校(非),2)共立女子大学家政学部)

Effects of subliminal mere exposure by means of increasing

the number of exposure times

−A discussion using dress as a stimulus−

Miho OSADA

1)

and Shigeo KOBAYASHI

2)

1) 2)

 In the previous study of “Eff ects of subliminal mere exposure in the case of the dress”, we found, that the mere exposure eff ect had a tendency to appear more clearly when an object is off ered sub-liminally, and that this was also true in the case of dress.

 In this study, we increased the subliminal exposure frequency from 20 times to 40 times, since it was expected that the subliminal experiment method of a momentary exposure needs less time and less burden for the experiment.

 We conducted three experiments in order to determine whether the favorable impression continues to increase when the number of exposure times increases, and under how many exposure frequency conditions the mere exposure eff ect appears the most.

 Experiment 1 was conducted subliminally (in a less than 50% visible condition). Experiment 2 was conducted consciously (in a 60-90% visible condition, avoiding a 100% visible condition). Experiment 3 was conducted subliminally without recognition of the experiment.

 As a common result of Experiment 1 and Experiment 3, the mere exposure eff ect appeared the most clearly at 20 times, and the favorable impression decreased at frequencies over 30 times. Among the three experiments, the mere exposure eff ect appeared the most in Experiment 3.

 Lastly, we examined whether the object pictures were valid by means of Latin square design. Al-though a signifi cant diff erence was recognized in the scale of “friendliness” (Scale 6), since no other signifi cant diff erence was seen in scales of other favorable impressions (Scales 3, 7 and 11), it may be considered that the object picture is valid.

(Received 1 September 2006, Accepted 27 April 2007) Key words: mere exposure eff ect 単純接触効果,subliminal condition 閾下条件,dress 衣服

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90 第 5 研 究( 長 田・ 小 林,2005b), 第 6 研 究( 長 田・ 小林,2006a)を行い,刺激対象を衣服とした場合に おいて単純接触効果が出現するかどうかを検討し,確 かに衣服を対象としても効果が出現することを確認し てきた.さらに第 7 研究(長田・小林,2006b)にお いては,新奇なファッションのイラスト画を刺激対象 にして閾下で呈示した場合の単純接触効果の出現を検 討した.その結果,筆者らの第 6 研究までの研究のよ うにはっきり刺激対象が見える方法より,閾下で呈示 する方法によるほうが,多くの好感度項目尺度におい て単純接触効果が出現することが分かった.  今回の研究は,筆者らのこれまでの研究では呈示回 数が最大 20 回だったが,最大 40 回までに増やし,単 純接触効果の出現のピークを検討することを目的とし た.これまでの研究では被験者の疲労などを考慮して, 20 回までの呈示しか行わず,その 20 回呈示条件で好 感度がもっとも高くなり単純接触効果が出現した.し かし,呈示回数を増やせばそのまま好感度も上昇し続 けるのか,それとも上昇が止まるのかは検討されてい なかった.なお,回数増加の先行研究には Zajonc, Crandall, Kail & Swap(1974)の 1,9,27,243 回の 呈示回数条件で実験したものがある.Zajonc らは, neutral な感情価を持つ漢字を 16 ミリフィルムでコマ 送りのスピードを変えた呈示方法で実験を行った結果 27 回まで好感度は上昇するが,それ以後は減少する こ と を 示 し た. 好 感 度 減 少 に 関 し て は,Crandall, Montogomery & Rees(1973)は呈示回数を増加する ことにより被験者の注意力が散漫になるためと考えて いる.  本論文では具体的に,第 7 研究と同様に刺激を閾下 で呈示することにより,刺激対象をはっきり見せるよ り単純接触効果が出現するものと考えられるため,実 験方法は閾下,あるいは閾上であっても認知閾に達し ていないレベルで瞬間呈示を行った.また,筆者らの 第 5 研究(第 6 研究は調査)までの実験方法では呈示 回数が増す分,実験時間の長さによる疲れが出るが, 瞬間呈示による実験方法は,被験者に負担を減らす効 果も期待できた.実験は第 7 研究と同様に閾下である 実験 1,瞬間呈示であり,認知閾には達していないも のの閾上である実験 2,ビデオの中に刺激画像をとり 入れて被験者に気付かれないように操作した実験 3 の 3 つの実験で成り立っている.最後に,刺激画像が妥 当なものであったかどうかをラテン方格方式により吟 味した. 2.実 験 1  実験 1 では,刺激写真に新奇なイラスト画を使用し, 呈示回数条件を 1 回,10 回,20 回,30 回,40 回とし た.刺激対象として新奇なイラスト画を閾下で瞬間呈 示したときに,呈示回数にともなって単純接触効果が どのように出現するかを検討することを目的とする. ここでの閾下とは,10 枚のイラスト画の弁別において, 5 枚以下,つまり 50%以下の弁別成績を引き起こす呈 示条件を指す.  2−1 方 法  刺激写真画像 筆者によって作成された,イラスト 画から予備実験により新奇性の高いものを選定し,A ∼ J の 10 枚の画像(Fig. 1)を使用した.またイラス ト画は,婦人服に限定しないユニセックスで新奇な ファッションであり,モデルについても男女差が影響 しないように配慮した.この画像は第 7 研究で使用し たものと同様である.  被験者 被験者は 21∼23 歳の女子大学生 15 名であ り,2001 年 7 月∼10 月に個別実験を行った.  手続き 実験の手続きは,以下に示すように閾値測 定,本実験,閾値の吟味の 3 段階からなり,これらを 連続してコンピュータの画面を見て個別で実施した. 方法は本実験の呈示回数が増える以外は,第 7 研究と 同じである.  まず個人ごとに異なる閾値を各々測定した.最初

Fig. 1 Photos of the dresses experimentally manipulated [Dress A, B, C, D, E, F, G, H, I and J were created by the author.]

䇭䇭 Dress A Dress B Dress C Dress D Dress E

䇭䇭䇭䇭Dress F 䇭 Dress G Dress H Dress I Dress J

䇭䇭

A,B,C,D, E,F,G,H,I and J were created by the author.

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91 15msec の 長 さ で グ レ イ 地 が あ ら わ れ, 続 い て 50msec の間グレイ地に 5 つの白い点を施した注視点 が呈示された.その直後,刺激画像である顔写真が瞬 間呈示され,その直後顔写真を見えにくくする妨害刺 激として,ランダムドットパターンが 50msec 呈示さ れた.顔写真の呈示時間は,10,15,20,25,30,35, 40msec の 7 条件であり(名目上は 10msec,15msec, 20msec の時間設定をしたが,呈示時間のキャリブ レーションを行わなかった),これらが 1sec の間隔で 次々呈示された.  また,この場合の刺激画像である顔写真は,実験当 時若い女性に知名度の高い女性タレント 10 名(安室 奈美恵,梅宮アンナ,神田うの,菅野美穂,中山美穂, 浜崎あゆみ,広末涼子,藤原紀香,松たかこ,松嶋 奈々子)をアンケートにより選定した.被験者には呈 示された顔写真が誰だったか,わかった時点で報告し てもらった.1 枚の写真がわかれば 10%の正答と換算 し,10 名の顔写真のうち 5 名がわかった時点の一番 短い呈示時間を 50%の正答と考え,その呈示時間を 閾値とした.衣服写真を弁別するのは顔写真を弁別す るよりも複雑な作業であると予測できたため,本実験 で顔写真の弁別の呈示時間を使用すれば閾下時間とし て成り立つと考えた.この呈示時間を確定することを 目的に実験を行った.15 名の被験者のうち 10msec が 2 名,15msec が 10 名,20msec が 3 名という結果 となり,これらの時間を本実験の閾下呈示時間とした.  続いて本実験では,1 回,10 回,20 回,30 回,40 回の 5 呈示条件を閾下で行った.被験者により閾値が 違うため,呈示時間を操作して個別に実験を行った (Fig. 2).10 枚のファッション図版を呈示回数条件の 各画像の新奇性が予備実験により,ほぼ等しくなるよ うに操作し画像を見せた.具体的には 1 回条件として は A・C の 2 枚の画像を各 1 回の計 2 枚,10 回条件 としては E・I の 2 枚を各 10 回の計 20 枚,20 回条件 と し て は F・G の 2 枚 を 各 20 回 の 計 40 枚,30 回 条 件としては D・H の 2 枚を各 30 回の計 60 枚,40 回 条件としては B・J の 2 枚を各 40 回の計 80 枚,合計 202 枚の画像をランダムな順序に配列した.まず 10 枚の画像をコンピュータ上に順に映し,通覧しても らった後,改めてコンピュータの画面上に映し,衣服 の印象を Table 1 の 13 形容語対,7 段階評定尺度の SD 法で評定してもらった(1 回目の評定).  実験は最初グレイ地が 15msec あらわれ視点の準備 をさせた後,すぐに 50msec の間グレイ地に白で書い たフォントサイズ 150 の 1 桁の数字が出る.被験者に は数字をできるだけ早く読みあげる,というダミーの 作業をしてもらった.数字があらわれるとすぐに,先 に個別に調べた閾値の呈示時間で,刺激画像を呈示し た.刺激画像が消えた直後に妨害効果をもたらすラン ダムドットパターンを 50msec 呈示した.この刺激画 像とランダムドットパターンの組み合わせを 202 回繰 り返し,202 枚の刺激画像すべてを見終わった後で,

15msec䇭

50msec

10䌾40msec䇭

50msec

Experiment 1 Experiment 4 Experiment 2 Experiment 3 33msec

Fig. 2 Flow chart of experimental procedures

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92 もう一度同じ SD 評定項目で,10 種類の衣服につい ての印象を評定してもらった(2 回目の評定).  本実験の後に閾値の吟味を行った.閾値測定で決め た閾値を用いて本実験をしたが,各被験者にとって刺 激画像をファッション図版にした場合,本当に閾下実 験として成り立つかどうか,本実験終了後に本実験で 刺 激 画 像 を 呈 示 し た 時 間 で 1 回 ず つ 呈 示 し, そ の ファッション図版がどれであったか言い当ててもらっ た.方法としては,本実験と同様に最初 15msec の長 さでグレイ地があらわれて,すぐに 50msec の間グレ イ地に白で書いた 1 桁の数字があらわれた.被験者に は本実験同様に,数字をできるだけ早く読みあげると いうダミーの作業をしてもらい,本実験での閾値によ り各々の呈示時間で刺激写真を呈示し,その後に 50msec の間ランダムドットパターンを呈示した.1 枚を見終わった後,A4 サイズの写真用の用紙にプリ ントアウトしてあるファッション図版 10 枚と,ダ ミーであるファッション図版 5 枚の合計 15 枚の中か ら,今見た図版があればどの図版であるかを,無いと 思ったなら無かったと,また分からない場合も分から ないと報告してもらった.この手続きを本実験で用い た 10 種類の図版全てについて行い,1 枚につき 10% と換算し,10 枚全て言い当てた場合は 100%となるた め,5 枚以下,すなわちファッション写真の弁別が 50%以下であることを確認した.閾値の吟味を行った 結果,全ての被験者が 50%以下であり,閾下実験は 成り立つといえる.具体的には 10%であった被験者 は 2 名,20%は 2 名,30%は 3 名,40%は 8 名であっ た.  2−2 結 果  印象評定の結果は,7 段階尺度の各評定に 1 点∼7 点を与えて数値化した.13 の尺度(Table 1)の中か ら,好感度を測定している尺度を確定するために,第 1 回目の評定結果を因子分析した.Table 2 が実験 1 の結果であり,固有値 1.0 以上,バリマックス回転後 の因子負荷量を示したものである.これらの因子のう ち第 1 因子は評価性因子であり,その中から好感度を 測定するために,尺度 3 「感じのよい−感じのわるい」, 尺度 6「親しみやすい−親しみにくい」,尺度 7「好き な−嫌いな」,尺度 11「心地よい−心地わるい」の 4 尺度を用いた.  次に,用いた刺激画像がどのくらい新奇であったか を第 1 回目の評定結果から示す.Table 3 が A ∼ J の 10 種類の,尺度 4 の「珍しい−ありふれた」の評定 の平均値と標準偏差である.平均値が大きいほど,そ の刺激画像が新奇なものとして受けとめられているこ とを示している.中立点は 4.00 であり,全ての刺激 図版は新奇な側に位置している.  各呈示条件の 4 つの好感度尺度の平均値をグラフに して,Fig. 3 に示す.尺度 3,6,7,11,および 4 尺 度の合計値ごとに分散分析した結果は,尺度 6「親し みやすい−親しみにくい」( (4,56)=2.58, <0.05), 尺 度 7 の「 好 き な− 嫌 い な 」( (4,56)=3.39, < 0.05) に お い て, 有 意 差 が 認 め ら れ た. 多 重 比 較

Table 1  Thirteen rating scales measuring impressions of dresses 㪫㪸㪹㫃㪼㩷㪈㩷㩷㪫㪿㫀㫉㫋㪼㪼㫅㩷㫉㪸㫋㫀㫅㪾㩷㫊㪺㪸㫃㪼㫊㩷㫄㪼㪸㫊㫌㫉㫀㫅㪾㩷㫀㫄㫇㫉㪼㫊㫊㫀㫆㫅㫊㩷㫆㪽㩷㪻㫉㪼㫊㫊㪼㫊 㪪㪺㪸㫃㪼㩷㪥㫆㪅 㪩㪸㫋㫀㫅㪾㩷㫊㪺㪸㫃㪼 㪈 䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭㪾㪸㫐㩿ᵷᚻ䈭䋩㪄㫇㫃㪸㫀㫅䋨࿾๧䈭䋩 㪉 䇭䇭䇭㪺㪸㫊㫌㪸㫃䋨䉦䉳䊠䉝䊦䈭䋩㪄㪽㫆㫉㫄㪸㫃䋨䊐䉤䊷䊙䊦䈭䋩 㪊 䇭䇭㪸㪾㫉㪼㪼㪸㪹㫃㪼䋨ᗵ䈛䈱䉋䈇䋩㪄㪻㫀㫊㪸㪾㫉㪼㪼㪸㪹㫃㪼䋨ᗵ䈛䈱䉒䉎䈇䋩 㪋 㪺㫆㫄㫄㫆㫅㫇㫃㪸㪺㪼䋨䈅䉍䈸䉏䈢䋩㪄㫅㫆㫍㪼㫃䋨⃟䈚䈇䋩 㪌 䇭䇭䇭䇭䇭㫄㫆㪻㪼㫉㫅䋨䊝䉻䊮䈭䋩㪄㪺㫃㪸㫊㫊㫀㪺䋨䉪䊤䉾䉲䉾䉪䈭䋩 㪍 䇭㪽㫉㫀㪼㫅㪻㫃㫐䋨ⷫ䈚䉂䉇䈜䈇䋩㪄㫌㫅㪽㫉㫀㪼㫅㪻㫃㫐䋨ⷫ䈚䉂䈮䈒䈇䋩 㪎 䇭䇭䇭䇭䇭䇭䌬㫀㫂㪸㪹㫃㪼䋨ᅢ䈐䈭䋩㪄㪻㫀㫊㫃㫀㫂㪸㪹㫃㪼䋨ህ䈇䈭䋩 㪏 䇭䇭㫄㪸㫋㫌㫉㪼䋨ᄢੱ䈦䉀䈇䋩㪄㪺㪿㫀㫃㪻㫀㫊㪿䋨ሶଏ䈦䉀䈇䋩 㪐 䇭䇭䇭䇭䇭㫄㪸㫅㫃㫐䋨↵䈦䉀䈇䋩㪄㫎㫆㫄㪸㫅㫃㫐䋨ᅚ䈦䉀䈇䋩 㪈㪇 䇭㫇㫉㫆㪾㫉㪼㫊㫊㫀㫍㪼䋨ㅴᱠ⊛䈭䋩㪄㪺㫆㫅㫊㪼㫉㫍㪸㫋㫀㫍㪼䋨଻቞⊛䈭䋩 㪈㪈 䇭䇭㪺㫆㫄㪽㫆㫉㫋㪸㪹㫃㪼㩿ᔃ࿾䉋䈇㪀㪄㫌㫅㪺㫆㫄㪽㫆㫉㫋㪸㪹㫃㪼㩿ᔃ࿾䉒䉎䈇䋩 㪈㪉 䇭䇭㫊㫇㫆㫉㫋㫐䋨䉴䊘䊷䊁䉞䈭䋩㪄㪻㫉㪼㫊㫊㫐䋨䊄䊧䉾䉲䉞䈭䋩 㪈㪊 㪺㫆㫅㫊㫇㫀㪺㫌㫆㫌㫊䋨ੱ⋡䉕䈵䈒䋩㪄㫈㫌㫀㪼㫋䋨ੱ⋡䉕䈵䈎䈭䈇䋩

Table 2 Factor analysis of impression ratings㪫㪸㪹㫃㪼㩷㪉㩷㩷㪝㪸㪺㫋㫆㫉㩷㪸㫅㪸㫃㫐㫊㫀㫊㩷㫆㪽㩷㫀㫄㫇㫉㪼㫊㫊㫀㫆㫅㩷㫉㪸㫋㫀㫅㪾㫊㫀㫅㩷㩷㪜㫏㫇㪼㫉㫀㫄㪼㫅㫋㩷㪈 㪪㪺㪸㫃㪼㩷㪥㫆㪅 㪝㪸㪺㫋㫆㫉㩷㪈 㪝㪸㪺㫋㫆㫉㩷㪉 㪿㪉㪁 㪈 㪄㪇㪅㪉㪈㪉㪏 㪄㪇㪅㪍㪎㪉㪈 㪇㪅㪋㪐㪎㪇 㪉 㪄㪇㪅㪈㪉㪐㪌 㪇㪅㪏㪈㪏㪉 㪇㪅㪍㪏㪍㪉 㪊 㪇㪅㪏㪇㪌㪇 㪇㪅㪇㪏㪋㪐 㪇㪅㪍㪌㪌㪉 㪋 㪄㪇㪅㪋㪎㪎㪉 㪄㪇㪅㪈㪈㪈㪏 㪇㪅㪉㪋㪇㪉 㪌 㪇㪅㪈㪇㪌㪉 㪇㪅㪉㪇㪍㪌 㪇㪅㪇㪌㪊㪎 㪍 㪇㪅㪎㪇㪋㪎 㪇㪅㪈㪉㪍㪉 㪇㪅㪌㪈㪉㪌 㪎 㪇㪅㪏㪏㪊㪋 㪇㪅㪇㪊㪐㪊 㪇㪅㪎㪏㪈㪐 㪏 㪄㪇㪅㪉㪉㪇㪍 㪄㪇㪅㪍㪌㪈㪍 㪇㪅㪋㪎㪊㪉 㪐 㪇㪅㪈㪏㪋㪌 㪇㪅㪇㪎㪋㪈 㪇㪅㪇㪊㪐㪌 㪈㪇 㪇㪅㪊㪈㪏㪇 㪇㪅㪇㪎㪎㪋 㪇㪅㪈㪇㪎㪈 㪈㪈 㪇㪅㪎㪏㪌㪇 㪇㪅㪈㪍㪎㪌 㪇㪅㪍㪋㪋㪊 㪈㪉 㪇㪅㪇㪏㪎㪊 㪇㪅㪌㪌㪍㪐 㪇㪅㪊㪈㪎㪏 㪈㪊 㪄㪇㪅㪋㪉㪊㪊 㪄㪇㪅㪊㪌㪍㪎 㪇㪅㪊㪇㪍㪋 㪚㫆㫅㫋㫉㫀㪹㫌㫋㫀㫆㫅㩿㩼㪀 㪉㪋㪅㪎 㪈㪍㪅㪉 㪿㪉㪁㩷㫀㫊㩷㪺㫆㫄㫄㫌㫅㪸㫃㫀㫋㫐 㪫㪸㪹㫃㪼㪊㩷㩷㩷㪤㪼㪸㫅㩷㪸㫅㪻㩷㫊㫋㪸㫅㪻㪸㫉㪻㩷㪻㪼㫍㫀㪸㫋㫀㫆㫅㩷㫆㪽㩷㫅㫆㫍㪼㫃㫋㫐㩷㫀㫄㫇㫉㪼㫊㫊㫀㫆㫅㩷 㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㩷㫉㪸㫋㫀㫅㪾㩷㪽㫆㫉㩷㪼㪸㪺㪿㩷㪻㫉㪼㫊㫊㩷㫀㫅㩷㪜㫏㫇㪼㫉㫀㫄㪼㫅㫋㩷㪈 㪛㫉㪼㫊㫊 㪤㪼㪸㫅㩷 㪪㪛 㪘 㪍㪅㪇㪇 㪈㪅㪊㪈 㪙 㪍㪅㪋㪇 㪇㪅㪐㪐 㪚 㪍㪅㪊㪊 㪇㪅㪏㪉 㪛 㪍㪅㪉㪇 㪈㪅㪉㪍 㪜 㪍㪅㪇㪇 㪇㪅㪐㪊 㪝 㪍㪅㪍㪇 㪇㪅㪏㪊 㪞 㪌㪅㪐㪊 㪈㪅㪇㪊 㪟 㪌㪅㪍㪇 㪈㪅㪋㪇 㪠 㪌㪅㪍㪎 㪈㪅㪇㪌 㪡 㪌㪅㪍㪇 㪇㪅㪐㪐

Table 3 Mean and standard deviation of novelty impression

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93 (テューキーの HSD 検定)によりどの呈示回数条件 間に有意差が認められるのかを検討した結果,尺度 6 においては 20 回呈示条件と 30 回呈示条件間に 5%水 準で有意差が認められた.20 回をピークに,30 回で 親しみやすさが下がってきている.また尺度 7 におい ては,10 回呈示条件と 20 回呈示条件間,20 回呈示条 件と 40 回呈示条件間に 5%水準の有意差が認められ た.やはり 20 回呈示条件をピークに好感度が下がっ てきている.  最後に第 7 研究の実験 1 による 1 回,10 回,20 回 呈示と今回の 20 回呈示までの間に差があるのかどう かを分散分析により検定した.第 7 研究が 1 回,10 回, 20 回と呈示回数増加とともに好感度が上がるのに対 して,今回の実験では 10 回で一度好感度が下がり再 び 20 回でピークを示している.しかしながら,尺度 7 の「好きな」で 5%水準の有意差が認められただけ であった.つまり尺度 3「感じのよさ」,尺度 6「親し みやすさ」,尺度 11「心地よさ」は第 7 研究と有意差 が認められず,10 回条件で好感度が下がったものの, 差がなかったといえる. 3.実 験 2  実験 2 では,実験 1 の方法で,ランダムドットパ ターンを入れない場合について検討する.すなわち, 瞬間呈示ではありながらわずかに見える,という状態 でも単純接触効果が成り立つのかを検討することを目 的とする.具体的には,閾上(60∼90%)でありなが ら 100%見える状態を避け,瞬間呈示方法をとって実 験した.実験方法は,ランダムドットパターンを呈示 しないという条件を除けば,その他条件は実験 1 と同 様である.  3−1 方 法  刺激写真画像 第 7 研究,実験 1 と同一の,新奇な ファッションのイラスト画 10 枚の画像(Fig. 1)を 使用した.  被験者 被験者は 21∼28 歳の女子大学生の 15 名で あり,2002 年 7 月に個別実験を行った.  手続き 最初に個別に閾値を測定した.まずコン ピュータ画面にグレイ地が 15msec 呈示され,続いて 50msec の間グレイ地に白の 5 つの点を施した注視点 が呈示された.その後刺激画像である実験 1 と同様の 10 名 の 顔 写 真 を 10∼40msec で 5msec き ざ み(7 呈 示時間)に瞬間呈示した.被験者には呈示された顔写 真が誰だったか,わかった時点で報告してもらった. 呈示時間決定の基準は実験 1 と同じである.本実験で 呈示時間として確定した時間は,10msec の被験者が 3 名,15msec が 9 名,20msec が 3 名であった.  本実験も個別で行い,1 回,10 回,20 回,30 回, 40 回の呈示条件であり,実験 1 同様に刺激画像を組 み合わせて行った.刺激の呈示の仕方は,ランダム ドットパターンが無いことを除けば実験 1 と同様であ る(Fig. 2).まず 10 枚の画像をコンピュータ上に 1 枚ずつ映し,通覧してもらった後,改めてコンピュー タの画面上に映し,衣服の印象を 7 段階評定尺度の SD 法で評定してもらった.実験は最初グレイ地が 15msec あらわれ,すぐに 50msec の間グレイ地に白 㪇 㪅㪇 㪇 㪇 㪅㪌 㪇 㪈 㪅㪇 㪇 㪈 㪅㪌 㪇 㪉 㪅㪇 㪇 㪉 㪅㪌 㪇 㪊 㪅㪇 㪇 㪊 㪅㪌 㪇 㪋 㪅㪇 㪇 㪋 㪅㪌 㪇 㪈 㩷㪼㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㪈㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪉 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪊 㪇 㩷㪼㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪋㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪊㩿㪸㪾㫉㪼㪼㪸㪹㫃㪼㪀 㪍㩿㪽㫉㫀㪼㫅㪻㫃㫐㪀 㪎㩿䌬㫀㫂㪸㪹㫃㪼㪀 㪈㪈㩿㪺㫆㫄㪽㫆㫉㫋㪸㪹㫃㪼㪀

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Fig. 3 Means of favorability impression ratings under fi ve experimental conditions in Experiment 1

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94 で書いた数字があらわれる.被験者には数字をできる だけ早く読み上げる,というダミーの作業をしても らった.数字があらわれてからすぐに,個別で調べた 閾値の呈示時間で,ファッション画像を呈示した.こ れを 202 回繰り返し,202 枚の刺激画像すべてを見終 わった後で,もう一度 10 種類の衣服についての印象 を SD 法により評定してもらった.  最後に閾値の吟味をした.方法は,実験 1 と同様で あり,ランダムドットパターンが無い点のみが異なる. 吟味は 10 種類の図版全てについて行い,1 枚につき 10%と換算し,ファッション図版の弁別が 50%以上 であることを確認した.閾値の吟味においては 50% だったものが 1 名,60%が 6 名,70%が 1 名,80%が 4 名,90%が 3 名であり,瞬間呈示でありながら閾上 である,という条件での実験は成り立つといえる.  3−2 結 果  印象評定の結果は,7 段階尺度の各評定に 1 点∼7 点を与えて数値化した.Table 1 の 13 の尺度の中から, 好感度を測定している尺度を確定するために,第 1 回 目の評定結果を因子分析した.その結果,実験 1 と同 様に好感度を測定する尺度として,尺度 3,6,7,11 の 4 尺度を用いた.  また刺激図版がどのくらい新奇なものであったかに ついても,実験 1 と同様に A ∼ J までの 10 種類の, 尺度 4 の「珍しい−ありふれた」の第 1 回目の評定の 平均と標準偏差で検討し,その結果,全ての図版が新 奇な側に位置した.  各呈示条件の 4 つの好感度尺度の平均値は,グラフ にして Fig. 4 に示す.各好感度尺度項目を分散分析 した結果は,尺度 6 の親しみやすさ,尺度 11 の心地 よさ以外の,好感度尺度で有意差が認められた.すな わち,尺度 3 の感じのよさ( (4,56)=3.39, <0.05), 尺 度 7 の 好 き な( (4,56)=3.18, <0.05),4 尺 度 の合計( (4,56)=2.83, <0.05)である.  多重比較(テューキーの HSD 検定)によりどの呈 示回数条件間に有意差が認められるのかを検討した結 果,尺度 7 の好きなでは,1 回呈示条件と 30 回呈示 条件間に 5%水準で有意差が認められ,30 回呈示で好 感度が下がる結果となった.また 4 尺度合計において は,1 回呈示条件と 30 回呈示条件間に 5%水準の有意 差が認められた.やはり 30 回呈示条件で好感度が下 がる結果となった.  最後に第 7 研究の実験 2 による 1 回,10 回,20 回 呈示と今回の 20 回呈示までの間に差があるのかどう かを分散分析により検定した.実験 1 同様に第 7 研究 が 1 回,10 回,20 回と好感度が上がっていくのに対 して,今回の研究では 10 回で一度好感度が下がり再 び 20 回でピークとなっている.しかしながら,第 7 研究の結果との間に有意差は認められなかった. 4.実 験 3  実験 3 では,実験 1,実験 2 の実験と同様の呈示回 数で,瞬間的に映る画像をできるだけ意識させずに, 実験を行った.具体的には,11 分 25 秒間の動く映像 であるビデオテープの中に,一律に 33msec の長さで 刺激画像 202 枚をランダムに入れ込んだ(Fig. 2). 㪇 㪅㪇 㪇 㪇 㪅㪌 㪇 㪈 㪅㪇 㪇 㪈 㪅㪌 㪇 㪉 㪅㪇 㪇 㪉 㪅㪌 㪇 㪊 㪅㪇 㪇 㪊 㪅㪌 㪇 㪋 㪅㪇 㪇 㪋 㪅㪌 㪇 㪈 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㪈 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪉 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪊 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪋 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪊㩿㪸㪾㫉㪼㪼㪸㪹㫃㪼㪀 㪍㩿㪽㫉㫀㪼㫅㪻㫃㫐㪀 㪎㩿䌬㫀㫂㪸㪹㫃㪼㪀 㪈㪈㩿㪺㫆㫄㪽㫆㫉㫋㪸㪹㫃㪼㪀

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Fig. 4 Means of favorability impression ratings under fi ve experimental conditions in Experiment 2

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95  4−1 方 法  刺激写真画像 実験 1,実験 2 と同様,10 枚の新奇 なファッションのイラスト画(Fig. 1)を使用した.  被験者 被験者は,19∼27 歳の専門学校生男子 36 名,女子 16 名であり,実験は 2001 年 9 月に集合実験 により実施した.  手続き 実験は,まず 1 人 1 台となるようにコン ピュータの前に座ってもらい,10 枚の画像をコン ピュータ上に順に映し,通覧してもらった後,改めて コンピュータ画像を映し,衣服の印象を,実験 1,実 験 2 と同様の Table 1 に示す 13 形容語対,7 段階評 定尺度の SD 法で評定してもらった.次に,刺激画像 202 枚がランダムに入ったビデオテープを同じくコン ピュータの画面上に流し,11 分 25 秒間注視しても らった.その際,特定の記号がいくつ出てきたか,出 てきたキャラクターの色を答えるというビデオの内容 について後で質問する,というダミーの作業をしても らった.続いてビデオの内容についての質問と,再び 10 種類の刺激画像についての印象評定を,先の SD 評定と同様の評定用紙に記入してもらった.最後に, 今見たビデオテープの中に瞬間呈示されたと思う画像 を,刺激画像 10 種類,ダミー写真画像 5 種類の合計 15 枚の中から選んでもらった.これは,実験 1,2 の閾 値の吟味にあたる.この結果により 5 枚以上,すなわ ち 50%以上見えた,と答えた被験者は皆無であり,実 験 1 と同様に閾下実験として成り立つものと考えられる.  4−2 結 果  印象評定の結果は,7 段階尺度の各評定に 1 点∼7 点を与えて数値化した.用いた 13 の尺度の中から, 好感度を測定している尺度を確定するために,第 1 回 目の評定結果を因子分析した.その結果,13 形容詞 の SD 尺度のうち,実験 1,2 と同様に,感じのよさ, 親しみやすさ,好き,心地よさの 4 つの尺度を用いて 行った.  また刺激画像がどのくらい新奇なものであったか, についても実験 1,2 同様に A ∼ J までの 10 種類の, 第 1 回目の評定による,尺度 4 の「珍しい−ありふれ た」の平均値と標準偏差で検討した.結果は,全ての 画像が新奇な側に位置した.  次に,単純接触効果が出現したかどうかの結果を示 す.Fig. 5 に各呈示条件における尺度 3,6,7,11 お よび 4 尺度の合計値の平均値をグラフ化して示した (男女被験者の非加重平均値).  また好感度尺度項目(尺度 3,6,7,11,4 尺度の 合計値)に関する 2 元配置(A:呈示回数条件,B: 男女差)の分散分析をした結果,呈示回数条件の主効 果においては,すべての好感度尺度に有意差が認めら れた(尺度 3: (4,200)=4.09, <0.01;尺度 6: (4,200)=8.69, <0.01; 尺 度 7: (4,200)=10.64, <0.01;尺度 11: (4,200)=5.09, <0.01;4 尺度 の合計値: (4,200)=11.33, <0.01).  多重比較(テューキーの HSD 検定)によりどの呈 示回数条件間に有意差が認められるのかを検討した結 果,尺度 3 では 1 回と 10 回の間に 5%水準で,10 回 と 20 回の間に 1%水準で有意差が認められた.尺度 6 では 1 回と 10 回,10 回と 20 回,10 回と 40 回の間に Fig. 5 Means of favorability impression ratings under fi ve experimental conditions in Experiment 3

㪇 㪅㪇 㪇 㪇 㪅㪌 㪇 㪈 㪅㪇 㪇 㪈 㪅㪌 㪇 㪉 㪅㪇 㪇 㪉 㪅㪌 㪇 㪊 㪅㪇 㪇 㪊 㪅㪌 㪇 㪋 㪅㪇 㪇 㪋 㪅㪌 㪇 㪈 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㪈 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪉 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㪊 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㩷㪋 㪇 㩷㪼 㫏㫇㫆㫊㫌 㫉㪼 㫊 㪊㩿㪸㪾㫉㪼㪼㪸㪹㫃㪼㪀 㪍㩿㪽㫉㫀㪼㫅㪻㫃㫐㪀 㪎㩿䌬㫀㫂㪸㪹㫃㪼㪀 㪈㪈㩿㪺㫆㫄㪽㫆㫉㫋㪸㪹㫃㪼㪀

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96 1%水準で,10 回と 30 回,20 回と 30 回間に 5%水準 で有意差が認められた.尺度 7 では 1 回と 20 回,10 回と 20 回,20 回と 30 回,20 回と 40 回間は 1%水準 で,10 回と 30 回間に 5%水準で有意差が認められた. 尺度 11 では 1 回と 10 回,10 回と 20 回間に 1%水準 で,10 回と 40 回条件間に 5%水準で有意差が認めら れた.4 尺度の合計値では,1 回と 10 回,10 回と 20 回,20 回と 40 回間に 1%水準で,1 回と 30 回,10 回 と 30 回,20 回と 30 回間に 5%水準で有意差が認めら れた.いずれの尺度も呈示回数が 20 回でもっとも好 感度が高く,単純接触効果が出現している.しかし 20 回を越えると好感度が下がる結果となった.また 被験者の性別による有意差は尺度 6 の親しみやすさで のみ 5%水準で認められ,女子の方が高い値となった. 5.ラテン方格方式による吟味実験(実験 4)  実験 1∼3 までの閾下を中心とする単純接触効果の 実験を行ったが,刺激画像の要因と呈示回数の要因が 混合していた.刺激画像の要因が単純接触効果として あらわれたという可能性を除くために,ラテン方格方 式の実験計画を用いて,問題を検討した.具体的には, 実験 1 から実験 3 まで使用したファッション図版のう ち,予備実験において新奇性が 1 番目の B(平均値: 6.09),4 番目の I(平均値:5.67),5 番目の A(平均 値:5.41),8 番 目 の G( 平 均 値:5.25),10 番 目 の J (平均値:5.12)の 5 枚で画像,新奇性の差における 吟味実験を行った.  5−1 方 法  刺激写真画像 研究 5,実験 1,実験 2,実験 3 で 使用した 10 枚の新奇なファッションのイラスト画 (Fig. 1)のうち A,B,G,I,J の 5 枚により検討し た.  被験者 被験者は,22 歳の女子大生 10 名であり, 実験は 2003 年 11 月に個別実験で行った.  手続き 実験は,実験 1 同様にランダムドットパ ターンを入れて刺激画像が見えないように妨害する方 法をとった(Fig. 2).まずコンピュータの前に座っ てもらい,顔写真を使って,個人の閾値を測定した. それから,10 枚の画像をコンピュータ上に順に映し, 通覧してもらった後,改めてコンピュータ画像を映し, 衣 服 の 印 象 を, 実 験 1, 実 験 2, 実 験 3 と 同 様 の Table 1 に示す 13 形容語対,7 段階評定尺度の SD 法 で評定してもらった.次に各々の閾値により,Table 4 に示す枚数で被験者(各群 2 名)に呈示した.すな わち,5 枚の刺激画像うち 1 画像は 40 枚,1 画像は 30 枚,1 画像は 20 枚,1 画像は 10 枚,残り 1 画像は 1 枚の合計 101 枚の刺激写真を瞬間呈示した.続いて 再び 10 種類の刺激画像についての印象評定を,先の SD 評定と同様の評定用紙に記入してもらった.最後 に刺激画像の呈示時間が妥当であったかどうか閾値の 吟味をした.方法は,実験 1 と同様である.  5−2 結 果  印象評定の結果は,7 段階尺度の各評定に 1 点∼7 点を与えて数値化され,用いた 13 の尺度の中から, 好感度を測定している尺度を確定するために,第 1 回 目の評定結果を因子分析した.結果は,第 1 因子が評 価性因子であり,実験 1,2,3 と同様に,感じのよさ, 親しみやすさ,好き,心地よさの 4 つの尺度が好感度 尺度項目として該当した.  また刺激画像の新奇性については,尺度 4 の「珍し い−ありふれた」の評定の平均と標準偏差で検討した. 予備実験より新奇性が総じて高くなり,順位が若干変 わ っ た(G:8 番 目 → 3 番 目,I:4 番 目 → 10 番 目, J:10 番目→ 5 番目)が,5 枚全ての画像が新奇な側 に位置した.  次に画像により好感度に差があったのかどうかを検 討した.好感度の尺度のうち尺度 6 の親しみやすさの みに有意差( (4,36)=3.52, <0.05)が認められた. 多重比較(テューキーの HSD 検定)によりどの刺激 画像間に有意差が認められるのかを検討した結果,G と J の間に 5%水準で有意差が認められた.しかしな がら,その他の好感度尺度項目(尺度 3,7,11)に は有意差は認められなかったことから,使用した刺激 画像によって好感度が異なるために実験 1∼3 の結果 が得られたわけではないといえる. 6.総合的考察  本研究では,閾下で刺激対象を呈示することにより, 今まで最大 20 回までだった呈示回数条件を 40 回に増 やし,単純接触効果がどの呈示回数でもっとも出現し やすいかを検討した.  結果は,実験 1 と実験 3 の 2 つの実験において 20 Table 4  Allocation of subject's groups to

combination of fi ve exposure condition

㪫㪸㪹㫃㪼㪋㩷䇭㩷㪘㫃㫃㫆㪺㪸㫋㫀㫆㫅㩷㫆㪽㩷㫊㫌㪹㫁㪼㪺㫋㩾㫊㩷㪾㫉㫆㫌㫇㫊㩷㫋㫆㩷㪺㫆㫄㪹㫀㫅㪸㫋㫀㫆㫅㩷㫆㪽㩷㪽㫀㫍㪼㩷㪼㫏㫇㫆㫊㫌㫉㪼㩷㪺㫆㫅㪻㫀㫋㫀㫆㫅 㪞㫉㫆㫌㫇 㪘 㪙 㪞 㪠 㪡 㸇 㪉㪇㪼㫏㫇㫆㫊㫌㫉㪼㫊 㪋㪇 㪈㪇 㪊㪇 㪈 㸈 㪈㪇 㪊㪇 㪈 㪉㪇 㪋㪇 㸉 㪈 㪉㪇 㪋㪇 㪈㪇 㪊㪇 㸊 㪋㪇 㪈㪇 㪊㪇 㪈 㪉㪇 㸋 㪊㪇 㪈 㪉㪇 㪋㪇 㪈㪇 p089-098_11-02研究報文03_長田.indd 96 p089-098_11-02研究報文03_長田.indd 96 2007/10/12 13:51:592007/10/12 13:51:59

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97 回呈示条件で好感度がピークとなり,その後好感度は 下降していく傾向となった.  まず,第 7 研究と今回の研究の 1 回,10 回,20 回 までの呈示回数条件との分散分析をして有意差が生じ ているのか検定したが,実験 1,実験 2,実験 3 とも どの尺度にも有意差は認められなかった.20 回呈示 条件まで 3 呈示条件で実験した第 7 研究と,40 回呈 示条件までの 5 呈示条件で実験した本実験の 20 回呈 示条件までに実験条件において差が生じなかったこと を意味している.次に実験方法別にみると筆者らが 行った第 7 研究と同様に,全く実験を意識しない状態 (実験 3)はすべての好感度尺度項目に有意差が認め られ,もっとも単純接触効果が出現した.しかしなが ら,3 つの実験は共通して,好感度の変化を見ると, 1 回から 10 回でやや落ち込み,20 回でピークとなる. その後 30 回,40 回と好感度が下がっていく.Zajonc (1968)も 25 回までの呈示回数条件で行っており,呈 示回数の増加とともに好感度が増すことを論じたわけ であるが,衣服を対象とした場合,ほぼ 20 回前後で 好感度はピークとなることが明らかになった.このこ とから,20 回が単純接触効果の最適な接触回数であ ると考えられる.そして 30 回になると好感度は下 がっていく.  なお,実験 1 と実験 3 には 20 回呈示にはっきりと ピークがあらわれるのに対して,実験 2 においては 20 回においてはっきりとピークがあらわれなかった ことについても触れておきたい.筆者らの第 2 研究 (長田・小林,1995)においても,刺激対象に意識が 集中しすぎるとうまく効果があらわれないことがわ かっている.実験 2 においてもはっきり見えないにし ろ,刺激対象がわずかながらわかることにより,第 2 研究同様に効果がうまくあらわれなかったものと考え られる. 7.結 言  刺激対象を閾下呈示すると,単純接触効果が出現し やすいという傾向が,対象を衣服にした場合にも見ら れることが第 7 研究で明らかにされた.閾下実験以前 での第 6 研究までの実験においては,刺激対象の衣服 着用写真をじっくりとみてもらうために実験時間が長 くなり,被験者への負担も比較的大きくなってしまっ ていたが,瞬間呈示される閾下実験の方法は実験時間 も短く負担も軽くなることが予測された.そのため本 研究では今までの 20 回呈示条件から 40 回呈示条件に まで増やして実験した.衣服を対象にした場合,呈示 回数をどこまで増加しても好感度が増すのか,単純接 触効果がもっとも出現するのはどのくらいの呈示回数 条件のときなのかを検討することを目的として 3 つの 実験を行った.実験 1 は閾下(50%以下)で行い,実 験 2 は 100%はっきり見える状態を避けつつ,閾上 (60∼90%)でありながら瞬間呈示で行い,実験 3 は 閾下でありながら実験を全く意識しない状態で行った. 実験 1,2 は個別実験であり,20 代の女子被験者で行 い,実験 3 は集合実験で,20 代を中心とした男女被 験者で行った.  刺激画像は新奇なファッションのイラスト画であり, コンピュータの画面に映した.10 枚の画像を 1 回条 件としては A・C の 2 枚の画像を各 1 回の計 2 枚,10 回条件としては E・I の 2 枚を各 10 回の計 20 枚,20 回条件としては F・G の 2 枚を各 20 回の計 40 枚,30 回条件としては D・H の 2 枚を各 30 回の計 60 枚,40 回条件としては B・J の 2 枚を各 40 回の計 80 枚,合 計 202 枚の画像をランダムに入れ込んだものを実験 1, 2 は個人の閾値にあわせて瞬間呈示し,実験 3 では一 律 33msec の長さでビデオの中に混在させたものを見 せて行った.  結果は実験 1 と実験 3 において,呈示回数が 20 回 条件においてもっとも単純接触効果が出現し,30 回 を過ぎると好感度は下降していった.また実験を意識 しない実験 3 にもっとも単純接触効果が出現した.  最後にラテン方格方式により,得られた結果が特定 の刺激画像と呈示回数の組み合わせによるアーチファ クトであったかどうかを検討した.尺度 6 の親しみや すさのみに有意差が認められたものの,その他の好感 度尺度項目(尺度 3,7,11)には有意差は認められ なかったことから,使用した刺激画像は,アーチファ クトではなかったといえる.  なお,今後の課題として,マスク刺激が 50msec で あったことについて付言しておきたい.Wiens(2006) によれば,顔刺激を用いた backward masking 事態 でマスク刺激がターゲットをマスクする場合,マスク 刺激の呈示時間やターゲットとマスク刺激の onset の 時間差など,刺激の呈示時間条件の少しの違いがター ゲットの見えに大きく影響することがあり,特に, Esteves & Öhman (1993)によれば,SOA(ターゲッ トとマスク刺激の onset の時間差)が大きな影響力を 持つという.ここで用いられているマスク刺激は,今 回のようなランダムドットパターンではないが,刺激

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98 の時間条件の統制は,閾下知覚研究をする上で非常に 重要なことといえる.今回の実験では,マスク刺激や ターゲットの呈示時間やそれらの SOA が閾値に及ぼ す効果についての検討が十分に行われたとはいえな かった.今後の研究では,刺激の呈示時間条件に対す る検討をさらに進め,また,実験装置の改良を図るこ とで,さらに厳密な測定をめざしたい. 引用文献

Crandall, J. E., Montogomery, V. E., & Rees, W. W.(1973) Mere exposure versus familiarity with implications for response competition and expec-tancy arousal hypothesis.

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p089-098_11-02研究報文03_長田.indd 98

Fig. 3 Means of favorability impression ratings  under fi ve experimental conditions in Experiment 1
Fig. 4 Means of favorability impression ratings  under fi ve experimental conditions in Experiment 2

参照

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