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日本甲殻類学会
Symposium Report
Carcinological Society of Japan
Cancer 28: 43–44 (2019)
日本甲殻類学会・東海大学海洋学部共催公開シンポジウム
「駿河湾におけるサクラエビの資源生物学」開催報告
土井 航
1
・吉川 尚
2
・鈴木伸洋
2
日本甲殻類学会と東海大学海洋学部は,
2018年
10月21日,東海大学海洋学部8号館にて,駿河湾
の代表的な水産資源であるサクラエビを題材にした
シンポジウムを共催しました(企画者:鈴木伸洋・
土井 航).シンポジウムの開催時間には,2018年
度の総会が終了した後の午後の時間をあてました.
サクラエビには水産業関係者だけでなく,静岡県
民,市民も高い関心をいだいております.そこで,
事前登録不要の公開シンポジウムとして,東海大学
海洋学部を通じた広報活動も行いました(図
1).
シンポジウムの参加人数は会員17名のほか,漁
業者や仲買人,研究者ら59名の合計76名でした.
計5演題の内容は,資源量推定に関するものが2題,
栄養生態学が
1題,成熟・産卵が2題でした.演者
は本報の著者らと小林憲一氏(静岡県水産技術研究
所)のほか,同大海洋学部の学生(飯塚貴之氏)・
海洋学研究科の院生(見崎日向子氏)です.最後に
本報第3著者の鈴木と同学部石川智士教授をコー
ディネーターとして,今後のサクラエビ漁業のあり
方を考える「総合討論」を行いました(図
2).資
源量の推定結果と資源保護(産卵親エビ)の効果を
中心に活発な質疑・意見交換がなされました.シン
ポジウムの内容について,
NHK静岡放送局と静岡
新聞の取材を受け,当日の様子が静岡県内の夕方の
ニュース等で紹介されました.開催にあたり,朝倉
彰会長,田中克彦大会実行委員長をはじめとする多
くの方々にご助力賜りました.
1
鹿児島大学水産学部
〒890–0056 鹿児島県鹿児島市下荒田4–50–20
Faculty of Fisheries, Kagoshima University, 4–50–20
Shimoarata, Kagoshima 890–0056, Japan
E-mail: doiw@fish.kagoshima-u.ac.jp
2 東海大学海洋学部
〒424–8610 静岡県静岡市清水区折戸3–20–1
School of Marine Science and Technology, Tokai
Univer-sity, 3–20–1 Orido, Shimizu, Shizuoka 424–0885, Japan
図1. シンポジウムのチラシ(作成:吉川 尚).
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Cancer 28 (2019)
土井 航・吉川 尚・鈴木伸洋
企画趣旨:サクラエビは日本国内では駿河湾でのみ
漁獲される同湾の象徴的な水産資源である.本種を
対象にした漁業は1894年に始まっており,利用の
歴史は比較的新しい.その研究の基礎は中沢毅一に
よってつくられ,その後,東京海洋大学名誉教授の
大森 信博士,静岡県水産試験場(現 静岡県水産
技術センター)の歴代の担当者によって,分類,発
生,成長,産卵,漁場形成などの生物学,水産学上
の重要な知見が明らかにされてきた.また,駿河湾
のサクラエビ漁業には,水揚げした漁獲物の代金を
平等に配分するプール制が自主的に導入されてお
り,資源管理型漁業の成功例として知られている.
本種の漁獲量は大きな年変動を示し,好漁,不漁を
繰り返してきたが,近年は歴史的に低い水準で推移
しており,中でも2018年の春漁は記録的な不漁と
なった.静岡県桜えび漁業組合は,漁獲圧を低減さ
せるため,さらなる自主規制を検討しているが,サ
クラエビの資源動態のメカニズムが明らかでないこ
とから,試行錯誤的に規制せざるをえない.そのた
め,サクラエビの資源量を推定するとともに,資源
の変動要因を明らかにすること,そしてそれらの科
学的根拠に基づいた合理的な資源管理が求められ
る.本種の漁獲量の低迷は,漁業者,水産加工業者
はもとより,静岡県民,静岡市民にとっても重大な
関心事である.そこで,東海大学清水キャンパスで
開催される第56回日本甲殻類学会に合わせて,一
般公開のシンポジウムを開催し,東海大学と静岡県
によって行われているサクラエビの資源学,生態学
に関する研究を紹介するとともに,産官学が連携し
てサクラエビ漁業の種々の問題に取り組む契機とし
たい.
プログラム
企画趣旨説明 土井 航(鹿児島大水産)
サ ク ラ エ ビ の 漁 獲 量 とVPAによる資源量の推移
○飯塚貴之・福井 篤(東海大海洋)
資源量推定手法の開発について 小林憲一(静岡水
技研)
生化学マーカーを利用したサクラエビ
Lucensosergia
lucensの栄養生態多様性の解明
○見崎日向子(東海大院海洋)・吉川 尚・平塚聖
一(東海大海洋)・鷲山裕史・池田卓摩(静岡水技
研)・西川 淳(東海大海洋)
外部形態・組織観察によるサクラエビの成熟サイズ
の推定 土井 航(鹿児島大水産)・鈴木伸洋(東
海大海洋)
組織観察から見た駿河湾におけるサクラエビの産卵
生 態 と 漁 業 鈴 木 伸洋(東海 大海 洋)・土 井 航
(鹿児島大水産)・小林憲一(静岡水技研)
総合討論(今回のシンポジウムを踏まえて,今後の
サクラエビ漁業のあり方を考える) 鈴木伸洋・石
川智士(東海大海洋)