1
平成28年度
第1回食の安全・安心基礎講座
神奈川県衛生研究所理化学部
生活化学・放射能グループ
ー放射能の基礎知識と
衛生研究所における
放射性物質検査についてー
放射能と放射線
「放射能」と「放射線」。最近よく耳にしますが、同じ意味? 違う意味?
「放射能」、「放射線」はよく光と比較して解説されます。
出典:資源エネルギー庁「原子力2010」
懐中電灯
放射性物質
光を出す能力
放射線を出す能力
(放射能)
※
光の強さを表す単位
[カンデラ(cd)]
放射能の強さを表す単位
[ベクレル(Bq)]
明るさを表す単位
[ルクス(lx)]
放射線によってどれだけ人に影響があるのかを表す単位
[シーベルト(Sv)]
※放射能を持つ物質(放射性物質)のこと指して「放射能」と呼ぶ場合もあります。
2
3
放射線の種類
アルファ線
(陽子2,
中性子2)
ベータ線
(電子)
ガンマ線
(電磁波)
すべての物質は原子(元素)からできています
中性子線
図:文部科学省:放射線等に関する副読本、解説編【教師用】
放射線を放出して
別の原子核(原子、
放射性物質)に
ウラン、プルトニウム
ストロンチウム-90
トリチウム
ヨウ素-131
セシウム-137
例えば、
Cs-137はベータ線とガンマ線を放出し、Ba-137
○不安定な原子は原子核の中性子の数が違います
放射線の特徴
紙
アルミニウム
などの薄い
金属
鉛や
厚い鉄の板
水や
コンクリート
アルファ線
ベータ線
ガンマ線
エックス線
中性子線
アルファ線
ヘリウムの原子核でプラスの電荷を持ち、透過性は弱く、紙一枚
で止められます。
ベータ線
電子の流れで、アルミニウムのような薄い金属板で止められま
す。
ガンマ線
エックス線
波長の短い電磁波で、鉛や厚い鉄の板で止められます。
中性子線
電気的に中性で、核分裂によって放出されます。水などで止めら
れます。
放射線が物質の中を通り抜ける力は放射線の種類によって異なる
4
図:中部電力HP
実は、自然界にも様々な放射線が存在しています。
宇宙からも、大地からも微量ながら放射線を浴びています。
また、大気中や食品中の自然の放射能を取り込みつつ生活しています。
13
大地等
年間線量の
世界平均
2.4ミリシーベルト
食物
宇宙線
吸入
1.26
0.48
(日本)
年間線量の
日本平均
2.1ミリシーベルト
0.29
0.48
0.39
0.99
(日本)
0.33
(日本)
0.30
(日本)
【放射能豆知識】
自然放射線
出典:原子力安全研究会、新版生活環境放射線(国民線量の算定)(2011)
14
自然放射線線源別1人あたりの年間被ばく線量
(mSv)
宇宙線
0.39
出典:原子力安全研究会、新版生活環境放射線(国民線量の算定)(2011)
世界
2.4
日本
2.1
英国
2.23
米国
3.11
宇宙線
0.30
宇宙線
0.33
宇宙線
0.33
0.21
大地
0.48
大地
大地
0.33
大地
0.38
経口摂取
0.29
経口摂取
0.99
経口摂取
0.29
経口摂取
0.25
吸入摂取
1.26
吸入摂取
0.48
吸入摂取
2.28
吸入摂取
1.30
15
日本人の自然放射線による
1人あたりの年間実効線量
出典:原子力安全研究会、新版生活環境放射線(国民線量の算定)(2011)
内 訳
実効線量
(mSv/年)
宇宙線
0.3
大地放射線
0.33
222
Rn
0.37
220
Rn
0.09
喫煙(
210
Pb,
210
Po)
0.01
その他
0.006
主に
210
Pb,
210
Po
0.8
3
H
0.0000082
14
C
0.01
40
K
0.18
合計
2.1
外部被ばく
内部被ばく
吸入摂取
経口摂取
線 源
いわしの丸干し
Po-210濃度
120Bq/kg
16
放射線による人体への影響と身の回りの放射線被ばく
mSv
7000
死亡
4000
一時的脱毛
500
造血系の機能低下
が
ん
死
亡
の
増
加
2.1
自然放射線(年間、日本)
10
大地からの自然放射線
(年間、イランのラムサール)
CT検査
5 - 30
0.19
東京~ニューヨーク
航空機旅行(往復)
胸部撮影
0.06
1000
10000
10
100
0.1
1
胃のX線検査
間接撮影
0.6
放射線治療
人工放射線(医療)
胃のX線検査
3.9-4.7
1.0
一般公衆の線量限度 (年間、日本)
50
放射線作業従事者の線量限度
(年間、日本)
文部科学省:放射線等に関する副読本、解説編【教師用】
わかりやすい放射線とがんのリスク(がんのリスクの大きさ) 国立がん研究センター
17
放射線と生活習慣によって
がんになる相対リスク比較
放射線は広島長崎の瞬間的な被ばくに基づくデータ
種類
がんになるリスク
放射線1000~2000ミリシ-ベルト
1.8倍
喫煙、大量飲酒(毎日3合以上)
1.6倍
放射線500~1000ミリシ-ベルト
1.4倍
痩せすぎ
1.29倍
肥満
1.22倍
放射線200~500ミリシ-ベルト
1.19倍
運動不足
1.15~1.19倍
塩分のとりすぎ
1.11~1.15倍
放射線100~200ミリシ-ベルト
1.08倍
野菜不足
1.06倍
18
福島第一原発事故では、大気中に放
出された放射性物質は雲のようなかた
まり(放射性プルーム)となって風に
乗って関東地方に流れてきました。
放射性プルームが到達したとき、放射
性物質は空気中のちりなどに付着して
地面に舞い降りました。
また、雨が降ると、雨粒が空気中に漂
う放射性物質を取り込んで、地面に多く
の放射性物質を落としました。
こうして地面に降り注いだ放射性物質
が畑の野菜などに付着しました。また、
雨水が集まる水たまりや排水溝に放射
性物質がたまり、高い放射線量が検出
されました
。
福島第一原発事故の結果、神奈川県では・・・
19
食品の放射能検査
• 葉菜類(ホウレンソウなど)
• 牛乳(生乳)
• キノコ(しいたけ)
• 茶葉(生葉・荒茶など)
• 淡水魚(アユなど)
• 肉類(牛・豚)
• その他(県産牧草・飼料用トウモロコシ・稲わら等)
事故直後の平成23年 県内で生産された食品等
平成24年度からは流通食品も含めて
平成24年度から対象とした食品
• 牛乳(原乳)
• キノコ(生シイタケ、乾シイタケ
*1
)
• タケノコ
• その他(牧草・飼料用トウモロコシ・稲わら等)
*1
*1 平成24年度のみ
引き続き県内で生産された食品等
• 県内広域流通食品
(味噌、漬物、ミネラルウォーター類 等)
• 県内広域大量製造食品
(食肉製品、乳製品、清涼飲料水 等)
20
平成23年度放射能検査の結果
放射性ヨウ素
(暫定規制値)
放射性セシウム
(暫定規制値)
放射性ヨウ素
(暫定規制値)
放射性セシウム
(暫定規制値)
ほうれん草 3 670~1700 (2000)0.18~230 (500) たけのこ 4 <30 (2000) 12~29 (500)
しいたけ 20 <30 (2000) <20~150 (500) 茶葉(生葉) 19 <40 (規制値なし) <40~780 (500) 4
乾しいたけ 5 <30 (2000) <20~930 (500) 2 茶葉(荒茶) 10 <40 (規制値なし) 360~1330 (500) 6
コマツナ 3 <30 (2000) <20 (500) 茶葉(製茶) 2 <40 (規制値なし) <40 (500)
ダイコン 1 - (2000) <0.16 (500) 茶(枝・幹・根) 4 <40 (規制値なし)<10 (規制値なし)
原乳 77 <1~11 (300) <1~2.3 (200)
牛肉 26 <30 (規制値なし) <20~1400 (500) 3
豚肉 12 <30 (規制値なし) <20 (500) 堆肥・剪定枝チップ 2 340 ~420 (400) 1
鮎 6 <30 (2000) <20~198 (500) ほだ木・原木 3 19~1400(150) 2
ワカサギ 1 <30 (2000) 71 (500) 蛇口水 287 <0.5~9.9 (300) <0.4 (200)
ニジマス 1 <30 (2000) <20 (500) 海水 118 <10 (30) <10 (50)
ヒメマス 1 <30 (2000) 57 (500) 降下物 312 <4~9500Bq/m2
<4~3600Bq/m2
あさり 1 44 (2000) <20 (500) 大気浮遊じん 303 <0.2~40Bq/m3
<0.2~21Bq/m3
ヤマメ 3 <30 (2000) 27~37 (500) 空間放射線量率(1m高) 201
(平成24年3月31日検査分まで)
牧草
( トウモロコシ ・ 稲わら等) 10 <40 (70) <50~800 (300)
種類 検査数
含有量(Bq/kg) 規制値
超過
検体数 種類
検査数
含有量(Bq/kg) 規制値
超過
検体数
29
検査数放射性セシウム Bq/kg検査数放射性セシウム Bq/kg検査数放射性セシウム Bq/kg検査数放射性セシウム Bq/kg
一般食品* 1
116 ND* 2
118 ND* 2
102 ND~2.6 89 ND 100
牛肉 2 42~56 100
生しいたけ 4 5.5~39 12 4.3~72 22 ND~140 (超過1) 100
乾しいたけ 15 4.4~61 100
タケノコ 3 ND~7.7 7 ND~4.6 5 ND~16 5 ND~20 100
原乳、牛乳 51 ND 51 ND~0.36 55 ND~0.33 55 ND~0.28 50
乳児用食品* 1
1 ND 1 ND 1 ND 1 ND 50
飲料水
(茶飲料含む)* 1 12 ND~0.32 11 ND 22 ND 19 ND~3.4 10
上水
(原水、蛇口水) 6
Cs134 ND~0.31 mBq/ L
Cs137 ND~0.67 mBq/ L 6
Cs134 ND~0.37 mB q/ L
Cs137 0.30~0.75 mBq/ L 6
Cs134 ND~0.99 mBq/ L
Cs137 0.4 1 ~1.9 mBq/ L 7
Cs1 3 4 ND~1 .5 mBq/ L
Cs137 0.29~1 .9 mBq/L 10
食品* 3
4 Cs134 ND~0.0 40 Bq/kg
Cs137 ND~0.30 Bq/kg 4
Cs1 3 4 ND~0 .0 4 8 B q/ kg
Cs1 3 7 ND~0 .2 4 B q/ kg 4
Cs134 ND~0.074 Bq/kg
Cs137 ND~0.37 Bq/kg 4
Cs134 ND~0.06 0 Bq/kg
生
Cs137 ND~0 .17 Bq/kg生
100
牧草 2 ND 100
薪 2 13~27 40
合計 193 202 209 221
種類
平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度
基準値
平成24-27年度放射能検査の結果
30
*1 : 広域流通食品(みそ、こんにゃく、包装米飯、漬物、納豆、茶飲料、ジャム、ミネラルウォーター 他)
及び広域大量製造食品(食肉製品、清涼飲料水、乳飲料、粉ミルク 他)
*2 : ND: not detectedの略、不検出
*3 :マアジ、精米、ほうれんそう、だいこん
2016/3/31採取まで
0.00
0.10
0.20
0.30
0.40
0.50
0.60
1973
1978
1983
1988
1993
1998
2003
2008
2013
2018
魚介類中のCs-134、Cs-137濃度
Cs-137濃度
Bq/kg
生
調査年
<LOD
:県内産 Cs-137
:日本海産 Cs-137
:県内産 Cs-134
31
1.0E‐02
1.0E‐01
1.0E+00
1.0E+01
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
日常食からの放射性セシウム摂取量
調査年
<LOD
*厚労省の
調査結果
:神奈川県 Cs-137
:神奈川県 Cs-137*
:東京都 Cs-137*
:神奈川県 Cs-134 *
:東京都 Cs-134*
1986.4
チェルノブイリ事故
2008
調査終了
Cs-134・Cs-137摂取量
Bq/人・日
10
-1
10
1
10
0
32
○
◎
○
③
川崎
ポスト(5基)
線量計(3地点)
千鳥、浮島、殿町、
塩浜、大島
②
④
⑤
①
神奈川県内モニタリングポストの配置場所
①岸根高校
④相模川発電管理事務所
⑤小田原城北工業高校
③産業技術センター
②逗葉高校
横須賀
ポスト(8基)
線量計(2地点)
久里浜、舟倉、佐原、
浦賀、ハイランド、
日の出、西逸見、長沢
衛生研究所
1基設置
33
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 56 60 64 68 72 76 80 84 88 92 96 100 104 108 112 116 120 124 128 132 136 140
千鳥 浮島 殿町
塩浜 大島 久里浜
舟倉 佐原 浦賀
ハイランド 日の出町 西逸見
長沢 茅ヶ崎 横浜
逗子 海老名 相模原
小田原
空間放射線量率の推移(2005年1月~2016年4月)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
年
NaI線量率月平均値
(
nGy/h)
2011.3 福島原発事故
2009.3 久里浜移設
2007.9 千鳥移設
福島原発事故以前は、14局のうち比較的線量率が高かったのは茅ヶ崎であったが、
事故後は川崎市浮島が最も高くなり、県北東側への事故の影響が高いことが分かった。
2012年4月より運用開始の5局を含め、徐々に線量率が低下している。
2013
2014
2015
2016
34
福島原発事故由来の放射性物質から受ける
年間線量の推定(神奈川県茅ヶ崎市)
一般公衆の年被ばく線量限度(医療と自然放射線を除く)
1mSvを十分に下回ることを確認した。
35
線源
2011.1.1
-12.31
mSv/年
2012.1.1
-12.31
mSv/年
2013.1.1
-12.31
mSv/年
2014.1.1
-12.31
mSv/年
2015.1.1
-12.31
mSv/年
外部被ばく
0.10
*1 0.063
*1 0.038
*1 0.026
*1 0.020
*1
内部被ばく
(呼吸から)
< 0.03
< 0.000013
< 0.000007
< 0.000005
< 0.000003
内部被ばく
(飲料水から)
< 0.01
< 0.000033
< 0.000032 < 0.0000072 < 0.0000060
内部被ばく
(食事から)
0.0026
*2 0.0021
*3 0.0013
*4 0.0013
*5 0.0011
*6
総計
< 0.143
< 0.0652
< 0.0394
< 0.0274
< 0.0212
*1 1mGy/h=1mSv/hとして算出
*2 厚生労働省のホームページ 2011年実施 東京のデータを引用
*3 厚生労働省のホームページ 2012年9~10月調査分 神奈川県のデータを引用
*4 厚生労働省のホームページ 2013年2~3月調査分 神奈川県のデータを引用
*5 厚生労働省のホームページ 2014年9~10月調査分 神奈川県のデータを引用
*6 厚生労働省のホームページ 2015年2~3月調査分 神奈川県のデータを引用
• 人
の体が放射線を受けた時、その影響の度合いを
表す単位。放射線防護に用いる。
• ベクレル(Bq)×実効線量係数( Sv/ Bq )=シーベルト(Sv)
• 1シーベルト(Sv) = 1000ミリシーベルト(mSv)
1ミリシーベルト(mSv)=1000マイクロシーベルト(μSv)
1マイクロシーベルト(μSv)=1000ナノシーベルト(nSv)
• γ線の場合、緊急時については、
1グレイ(Gy) = 1シーベルト(Sv)で考えることとされています
36
放射能・放射線の単位 補足
シーベルト(
Sv)