• 検索結果がありません。

2 章東海道新幹線の現状とリニア開業後の可能性の可能性 2-1 東海道新幹線の現状新幹線三河安城駅の利用実態に関する調査を実施する前に東海道新幹線の現状について確認しておく 東海道新幹線は 1964( 昭和 39) 年 10 月 1 日に開業し 2014( 平成 26) 年には開業 50 周年を迎え

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2 章東海道新幹線の現状とリニア開業後の可能性の可能性 2-1 東海道新幹線の現状新幹線三河安城駅の利用実態に関する調査を実施する前に東海道新幹線の現状について確認しておく 東海道新幹線は 1964( 昭和 39) 年 10 月 1 日に開業し 2014( 平成 26) 年には開業 50 周年を迎え"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

新幹線三河安城駅の利用実態に関する研究

伴野 裕樹 1 1 1 1章章章 章 研究の背景と目的研究の背景と目的 研究の背景と目的研究の背景と目的 リニア中央新幹線(以下、リニアという)は、東京・ 大阪間を約1時間で結び、東京・名古屋・大阪の三大 都市圏があたかも一つの都市のように機能する巨大都 市圏の形成をもたらす。このうち2027(平成39)年 に予定されている東京・名古屋間の開業は、現在の新 幹線「のぞみ」での約1時間35分から40分へと移動 時間の大幅な短縮が図られることとなり、安城市は、 東京と1時間圏域となる。 首都圏との時間距離が格段に近くなることに伴い、 活動範囲の広域化によるビジネスや観光等の交流の拡 大といったプラスの影響が期待される一方で、企業の 支店や営業所の撤退、消費・文化活動等が首都圏へ流 出するストロー現象といったマイナス面での影響につ いても念頭に入れて置かなければならない。また、愛 知県内においてもリニア開業を見据えた名古屋駅周辺 の再開発などとともに名古屋の求心力が大きく高まる ことが予想され、首都圏のみならず、名古屋へのスト ロー現象についても懸念される。このように、プラス、 マイナス、様々な影響が予想されるが、安城市のさら なる発展に向けてはリニア開業を活かした地域づくり を進めていくことが求められる。 安城市へのリニア開業効果の波及という視点におい ては西三河地域の玄関口であり、リニアの駅が設置さ れる名古屋駅と約 10 分で結ばれている東海道新幹線 三河安城駅(以下、新幹線三河安城駅という)に着目 した取り組みが重要であると考えられる。しかし、取 組みを検討する上で問題が二点ある。 一点目は、現在の新幹線三河安城駅の乗降人数が不 明なことである。新幹線三河安城駅は1988(昭和63) 年3月13日に在来線の東海道線三河安城駅と同日に開 業した。開業年の昭和63年から平成11年までは「新 幹線」、「在来線」それぞれの乗降人数が東海旅客鉄 道(株)から公表されていたが、平成12年以降は「新 幹線」、「在来線」を合せた三河安城駅としての乗車 人数が公表されている。そのため、現在の「新幹線」 の乗降人数は不明となっている。 二点目は、新幹線三河安城駅の乗降者の利用状況が 不明なことである。乗降者の行先や目的、交通手段と いった利用状況に着目した調査はこれまでに行われて いない。 そこで、本研究では、新幹線三河安城駅の乗降人数 や利用状況などの利用実態を明らかにし、リニア開業 を見据えた新幹線三河安城駅を活かした地域づくりへ の課題と取り組みについて検討していく。

(2)

2 2 2 2章章章章 東海道新幹線の現状とリニア開業後東海道新幹線の現状とリニア開業後の可能性東海道新幹線の現状とリニア開業後東海道新幹線の現状とリニア開業後の可能性の可能性の可能性 2 2 2 2-1-1-1-1 東海道新幹線の現状東海道新幹線の現状東海道新幹線の現状東海道新幹線の現状 新幹線三河安城駅の利用実態に関する調査を実施す る前に東海道新幹線の現状について確認しておく。 東海道新幹線は1964(昭和39)年10月1日に開業 し、2014(平成26)年には開業50周年を迎えた。開 業時は「東京」、「新横浜」、「小田原」、「熱海」、 「静岡」、「掛川」、「浜松」、「豊橋」、「名古屋」、 「米原」、「京都」、「新大阪」の12駅であったが、 1966(昭和41)年4月25日に「三島」(静岡県三島 市)、1988(昭和63)年3月13日に「新富士」(静 岡県富士市)、「掛川」(静岡県掛川市)、「三河安 城」(愛知県安城市)の3駅、2003(平成15)年10 月1日には「品川」(東京都港区)が開業し、現在は 17駅となっている(図2-1)。 <図2-1>東海道新幹線路線図 (出典)東海旅客鉄道(株)HP「JR東海の路線図」を基に作成 開業当時のダイヤは「名古屋」と「京都」のみに途 中停車し、東京・新大阪間を直通する「ひかり」が14 往復、同区間を全駅停車する「こだま」が12往復設定 されており、東京・新大阪間の所要時間は「ひかり」 で4時間、「こだま」で5時間であった(これは、開業 時における暫定的なダイヤであり、翌年の1965(昭和 40)年10月1日に「ひかり」3時間10分、「こだま」 4時間10分に改められた)。1992(平成4)年3月14 日に「のぞみ」が運行を開始すると東海道新幹線のさ らなる高速化が進んだ。「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」 の列車本数の推移について国鉄から東海旅客鉄道(株) へ民営化した後の昭和62年から平成26年までの1日 あたりの列車本数の推移をみると(図2-2)、「のぞみ」 運行開始前の平成3年では「ひかり」が187本(69.0%)、 「こだま」が84本(31.0%)と「ひかり」が中心の運 行形態であった。しかし、品川駅の開業を契機に「の ぞみ」の本数が増加すると、平成15年には「のぞみ」 が101本(36.9%)、「ひかり」が93本(33.9%)、「こ だま」が80本(29.2%)と「のぞみ」が「ひかり」の 列車本数を上回った。以降も「のぞみ」の列車本数は 増加し続けており、直近の平成26年では、「のぞみ」 が201本(57.6%)、「ひかり」が65本(18.6%)、「こ だま」が83本(23.8%)と「のぞみ」が半数以上を占 めている。このように東海道新幹線は「ひかり」を中 心とした運行形態から「のぞみ」を中心とした運行形 態へと移行していることがわかる。 <図2-2>東海道新幹線の列車本数の推移(1日あたり) (出典)東海旅客鉄道(株)「ファクトシート2015」を基に作成 (備考)臨時列車を含む運転本数の実数 次に東海道新幹線の輸送人員(定期、定期外)につ いて昭和62年から平成26年までの推移をみると(図 2-3)、「定期」、「定期外」を合せた輸送人員は、昭和 62年の1億200万人から増減を繰り返しながら、平成 26年には1億5,700万人へと1.5倍に増加している。 「定期」、「定期外」それぞれの輸送人員についてみる と、平成26年では「定期」が1,400万人(8.9%)、「定 期外」が1億4,300万人(91.1%)となっており、「定 期外」の利用者が非常に多くを占めている。 一方、東海旅客鉄道(株)の営業路線における平成 26年の在来線の輸送人員は、「定期」が2億5,700万 人(65.7%)、「定期外」が1億3,400万人(34.3%) と「定期」の利用者が中心であり、「定期外」での利用 者が中心の新幹線とは異なる利用傾向が確認できる。 こうした新幹線と在来線の違いについて、駅の乗車 人数という視点で比較をしてみると(図2-4)、平成26 年度の東海道新幹線駅の1日あたりの乗車人数は「東 京」が93,000人と最も多く、次いで「新大阪」が74,000 人となっている(「名古屋」は新幹線、在来線を合せた 集計のため除外)。一方、在来線は、「金山」が63,000 人と最も多く、新幹線駅の「京都」(35,000人)の1.8 倍、「品川」(33,000人)の1.9倍の乗車人数となって

(3)

いる。「京都」、「品川」と同程度の乗車人数の在来線駅 は「刈谷」(32,000人)であり、「のぞみ」が停車する 東海道新幹線の主要駅であっても、在来線駅と比べる と乗車人数が非常に少ないことがわかる。つまり、新 幹線は長距離移動としての輸送力はあるが、大量輸送 という点においては在来線と比べて格段に小さいとい える。 <図2-3>東海道新幹線の輸送人員の推移 (出典)東海旅客鉄道(株)「ファクトシート2015」を基に作成 <図2-4>東海旅客鉄道(株)の営業路線駅における1 日あたりの乗車人数(平成26年度) (出典)東海旅客鉄道(株)「ファクトシート2015」を基に作成 (備考)東京、品川、京都、新大阪は新幹線のみの人数 新幹線は長距離移動としての輸送力を持つ交通手段 であるが、どのような目的で利用されているのだろう か。(株)ジェイアール東海エージェンシーが2013年 10 月に実施した「新幹線ユーザープロファイル調査 2013」によると、東海道新幹線を1ヶ月1回以上利用 している人の利用目的は(図2-5)、「出張・ビジネス」 が64.8%と最も多く、ビジネス目的が中心となってい る。また、「観光旅行」が10.8%と「出張・ビジネス」 に次いで多くなっており、新幹線駅の乗降人数には、 企業の立地や地域の観光資源等が影響していると考え られる。一方、「通勤・通学」は0.9%と非常に低い割 合となっており、在来線とは異なる利用傾向が改めて 確認できる。 <図2-5>東海道新幹線の利用目的 (出典)(株)ジェイアール東海エージェンシー「新幹線ユーザープ ロファイル調査2013」を基に作成 (備考)調査対象は東海道新幹線を1ヶ月1回以上利用している人 2-2 2-22-2 2-2 リニア開業後の可能性リニア開業後の可能性リニア開業後の可能性リニア開業後の可能性 次に、リニア開業後の東海道新幹線の可能性につい て整理を行う。 リニア開業後は現在「のぞみ」が担っている旅客輸 送ニーズの多くがリニアに移転することによる「ひか り」、「こだま」の運行本数、停車回数の増加といっ た「のぞみ」中心の運行形態から「ひかり」、「こだ ま」を中心とした運行形態への転換が東海旅客鉄道(株) から示唆されており1 、現在「のぞみ」が停車しない 駅のポテンシャルの拡大が期待される。 図2-6は、「三島」、「静岡」、「浜松」、「豊橋」 の各駅からリニアの駅が設置される「品川」までの「ひ かり」、「こだま」それぞれの到達時間とその差を示 したものである。「ひかり」、「こだま」の到達時間 の差は「三島」8分、「静岡」16分、「浜松」22分、 「豊橋」47 分となっており、「品川」に近い駅では、 到達時間にそれほど大きな差がみられないものの、離 れるにつれてその差は大きくなる。豊橋駅は現在、「こ だま」が概ね30分に1本(上り31本/日、下り32 本/日)、「ひかり」が概ね2時間に1本(上り9本 /日、下り9本/日)停車する「こだま」を中心とし た運行状況であるが、リニア開業後に「ひかり」の運 行本数が増加すれば、東京方面への移動利便性が大き く向上することとなり、利用者の増加が期待される。 1 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員 会「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計 画の決定について」答申(平成23年5月12日)より。

(4)

こうした東海道新幹線の運行形態の転換は、新幹線 三河安城駅のポテンシャルの拡大にも大きく寄与する と考えられる。新幹線三河安城は、現在「こだま」が 概ね30分に1本(上り31本/日、下り32本/日) 停車するが、リニア開業後に「こだま」の運行本数が 増加すれば、名古屋駅や豊橋駅での乗換利便性が高ま るとともに静岡県など東海道新幹線沿線地域への移動 利便性も大きく向上する。さらに、「ひかり」が停車 した場合を想定すると、新幹線三河安城駅から豊橋駅 までは13分、豊橋駅・品川駅間は76分であるため、 新幹線三河安城駅から品川駅までの到達時間は約 90 分となり、「こだま」での146分から56分の大幅な 時間短縮となり、東京方面への移動利便性が格段に向 上することとなる。 このようにリニア開業は、東海道新幹線各駅のポテ ンシャルの拡大に大きく寄与する可能性がある。 <図2-6>品川駅までのひかり、こだまの到達時間 (出典)東海旅客鉄道(株)「東海道・山陽新幹線の時刻表」を基に 作成 (備考)各駅から品川駅までの最速到達時間(乗換無) 3 3 3 3章章章章 乗降者数乗降者数調査乗降者数乗降者数調査調査調査 3 3 3 3-1-1-1 -1 調査概要調査概要調査概要調査概要 三河安城駅は開業年の昭和63年から平成11年まで 「新幹線」、「在来線」それぞれの乗降人数が東海旅 客鉄道(株)から公表されていたが、平成12年以降は 「新幹線」、「在来線」を合せた乗車人数が公表され ている。そこで、現在の新幹線三河安城駅の乗降人数 を把握することを目的として乗降者数調査を実施した。 調査概要について以下に示す。 調査は平成27年9月11日(金)、12日(土)、 13日(日)、14日(月)、16日(水)の5日間、新 幹線三河安城駅コンコース内にて実施した(図3-1)。 調査対象は調査期間中の始発から終電までの「上り」 (東京方面)、「下り」(新大阪方面)すべての発着 便の新幹線乗降者である。なお、調査の実施は公益社 団法人安城市シルバー人材センターへ委託した。 <図3-1>乗降者数調査の様子 (出典)筆者撮影 3 3 3 3-2-2-2-2 調査結果調査結果調査結果調査結果 調査結果については、次のとおりである。 3 3 3 3----2222-1-1-1-1 調査日別の乗降人数調査日別の乗降人数調査日別の乗降人数調査日別の乗降人数 調査日別の乗降人数をみると(図3-2)、9/11(金) が3,497人と最も多く、9/12(土)が2,723人と最も 少なくなった。また、調査期間中(5日間)の1日の 平均乗降人数は3,021人となった。平日(月・水・金) と土・休日(日)の1日の平均乗降人数を比べると、 平日(月・水・金)は3,176人、土・休日(日)は2,788 人となり、平日(月・水・金)の方が土・休日(日) と比べて多くなった。 <図3-2>調査日別の乗降人数

(5)

3 3 3 3---2-22-2--2-2 22 「上り」「上り」「上り」「上り」、、、、「下り」の割合「下り」の割合「下り」の割合「下り」の割合 調査日別の乗降人数全体に占める「上り」、「下り」 の割合を見ると(図3-3)、9/13(日)以外は「下り」 方が高い割合となっている。ただし、「上り」と「下 り」の割合にそれほど大きな差はなく、ほぼ半々の割 合となっている。 <図3-3>「上り」、「下り」の割合 3 3 3 3---2-22-2--3-3 33 「上り」「上り」「上り」「上り」、、、、「下り」の乗降人数「下り」の乗降人数「下り」の乗降人数「下り」の乗降人数 「上り」について乗車人数と降車人数をみると(図 3-4)、すべての調査日において乗車人数の方が降車人 数と比べて多くなっている。 乗車人数は9/11(金)が956人と最も多く、次いで 9/16(水)が763人となっている。9/14(月)が734 人と最も少ないが、9/16(水)、9/12(土)、9/13(日) とそれほど大きな差はない。一方、降車人数は9/11(金) が750人と最も多く、次いで9/16(水)が736人とな っている。9/12(土)が580人と最も少なくなってい る。 <図3-4>「上り」の乗降人数 次に、「下り」について乗車人数と降車人数をみると (図 3-5)、9/16(水)、9/11(金)、9/12(土)は乗車 人数の方が多く、9/14(月)、9/13(日)は降車人数の 方が多くなっている。 乗車人数は9/11(金)が914人と最も多く、次いで 9/16(水)が830人となっている。9/13(日)が605 人と最も少ない。一方、降車人数は9/11(金)が877 人と最も多く、次いで、9/14(月)が855人となって いる。9/12(土)が690人と最も少なくなっている。 <図3-5>「下り」の乗降人数 3 3 3 3----2-42-42-42-4 「上り」「上り」「上り」「上り」、、、、「下り」の時間帯別乗降人数「下り」の時間帯別乗降人数「下り」の時間帯別乗降人数「下り」の時間帯別乗降人数 「上り」、「下り」の乗降人数について「7:00~ 12:00」、「12:00~17:00」、「17:00~23:00」 の三つの時間帯別にみていく。 まず、「7:00~12:00」の時間帯における乗車人 数と降車人数をみると(図3-6、3-7)、「上り」、「下 り」ともに乗車人数が降車人数と比べて非常に多くな っている。 乗車人数は「上り」では9/12(土)が466人と最も 多く、次いで9/11(金)が449人となっている。一方、 「下り」では9/11(金)が424人と最も多く、次いで 9/12(土)が419人となっている。 降車人数は「上り」では9/14(月)が225人と最も 多く、次いで9/16(水)が216人となっている。9/13 (日)が88人と最も少なく、9/14(月)の半数以下と なっている。一方、「下り」では9/14(月)が199人 と最も多く、次いで9/11(金)が178人となっている。 9/13(日)が94人と最も少なく、9/14(月)の半数以 下となっている。「上り」、「下り」ともに(土)・ 休日(日)が平日(月・水・金)と比べて少なくなっ ており、平日(月・水・金)と土・休日(日)で違い がみられる。

(6)

<図3-6>7:00~12:00の「上り」乗降人数 <図3-7>7:00~12:00の「下り」乗降人数 次に、「12:00~17:00」の時間帯における乗車人 数と降車人数をみると(図3-8、3-9)、「下り」の9/14 (月)は降車人数が231人、乗車人数が130人と大き な差があるが、それ以外では乗車人数と降車人数に大 きな差はみられない。また、乗車人数、降車人数とも に200人前後となっており、「7:00~12:00」の時間 帯と比べて乗車人数が非常に少なく、後述する「17: 00~23:00」の時間帯と比べて降車人数が非常に少な くなっている。 <図3-8>12:00~17:00の「上り」乗降人数 <図3-9>12:00~17:00の「下り」乗降人数 最後に、「17:00~23:00」の時間帯における乗車 人数と降車人数をみると(図3-10、3-11)、「上り」、「下 り」ともに降車人数が乗車人数と比べて非常に多くな っており、「7:00~12:00」の時間帯と逆の状況とな っている。 乗車人数は「上り」では9/11(金)が287人と最も 多く、次いで9/16(水)が172人となっている。9/12 (土)が125人と最も少なく、9/11(金)の半数以下 となっている。一方、「下り」では 9/11(金)が 258 人と最も多く、次いで9/16(水)が218人となってい る。9/12(土)が110人と最も少なく、9/11(金)の 半数以下となっている。(土)・休日(日)が平日(月・ 水・金)と比べて少なくなっており、平日(月・水・ 金)と土・休日(日)で違いがみられる。 降車人数は「上り」では9/13(日)が420人と最も 多く、次いで9/11(金)が334人となっている。一方、 「下り」では9/13(日)が584人と最も多く、次いで 9/11(金)が487人となっている。また、すべての調 査日において「下り」の方が「上り」と比べて多くな っている。 <図3-10>17:00~23:00の「上り」乗降人数

(7)

<図3-11>17:00~23:00の「下り」乗降人数 3 3 3 3--2-5--2-52-5 2-5 「上り」「上り」「上り」「上り」、、、、「下り」の発着便別乗降人数「下り」の発着便別乗降人数「下り」の発着便別乗降人数「下り」の発着便別乗降人数 「上り」について発着便別の乗車人数をみると(図 3-12、3-13、3-14、3-15、3-16)、7時台~8時台の乗 車人数が他の時間帯と比べて非常に多い。その中でも 9/12(土)以外は始発(7:02 発)の乗車人数が最も 多くなっている。9/12(土)は8:16発の便が最も多 くなっているが、他の調査日においては始発(7:02 発)に次いで乗車人数が多くなっている。この便は三 河安城駅を8:16発、豊橋駅に8:34着となり、豊橋 駅での8:47発の「ひかり」へ乗換がしやすい便であ るため、乗車人数が多くなっていると考えられる。 豊橋駅での「ひかり」乗換がしやすい便は8:16発 以降、2 時間おきに発車しており、東京駅への到着が 「こだま」と比べて早い2ことから駅構内において豊橋 駅での「ひかり」乗換がPRされている(図 3-17)。 また、三河安城駅を21:07発、22:03発の便は三島 駅止まり、22:27発の便は静岡駅止まり(その他の便 はすべて東京駅止まり)のため、他の便と比べて乗車 人数が少なくなっていると考えられる。 次に降車人数をみると、乗車人数のように突出して 人数が多い便はみられないものの、17 時台~22 時台 の夕方から夜にかけての便で多くなっている。特に 9/12(土)、9/13(日)はその傾向が顕著である。 また、三河安城駅に7:02着の便は東京方面、新大 阪方面ともに名古屋駅経由での到着が可能な便がない 3ため、名古屋駅からの乗車であると考えられる。 2 三河安城駅7:44発の便は東京駅に10:17着。三河安城 駅8:16発、豊橋駅での「ひかり」乗換の便は東京駅に10: 10着となり、豊橋駅「ひかり」乗換の方が東京駅への到着が 早い。 3 東京駅から名古屋駅を経由して三河安城駅に到着する最初 の便は8:16着の便。新大阪駅からは7:44着の便。 <図3-12>9/14(月)「上り」発着便別乗降人数 <図3-13>9/16(水)「上り」発着便別乗降人数 <図3-14>9/11(金)「上り」発着便別乗降人数 <図3-15>9/12(土)「上り」発着便別乗降人数 <図3-16>9/13(日)「上り」発着便別乗降人数

(8)

<図3-17>豊橋駅での「ひかり」乗換案内表示 (出典)筆者撮影 「下り」について発着便別の乗車人数をみると(図 3-18、3-19、3-20、3-21、3-22)、「上り」と同様に 7 時台~8 時台の乗車人数が他の時間帯と比べて多くな っている。最も乗車人数の多い便は9/14(月)と9/16 (水)は7:39発、9/11(金)と9/13(日)は7:00 発(始発)、9/12(土)は9:35発の便となっている。 次に降車人数をみると、17 時台~22 時台の夕方か ら夜にかけての便で多くなっている。「上り」では9/12 (土)と9/13(日)が他の調査日と比べてこの傾向が 顕著であったが、「下り」ではすべての調査日において この傾向が顕著にみられる。また、三河安城駅に7時 台に到着する便は静岡駅を発車、8 時台に到着する便 は三島駅を発車(以降、すべて東京駅発車)の便であ るため、7時台~8時台に到着する便の降車は豊橋・静 岡方面からの乗車であると考えられる。 <図3-18>9/14(月)「下り」発着便別乗降人数 <図3-19>9/16(水)「下り」発着便別乗降人数 <図3-20>9/11(金)「下り」発着便別乗降人数 <図3-21>9/12(土)「下り」発着便別乗降人数 <図3-22>9/13(日)「下り」発着便別乗降人数

(9)

3-2-6 3-2-6 3-2-6 3-2-6 「上り」「上り」「上り」「上り」、、、、「下り」「下り」「下り」「下り」の平日の平日の平日の平日(水)(水)(水)(水)、、、、休日休日休日休日(日)(日)(日)(日) 別乗降人数 別乗降人数 別乗降人数 別乗降人数 「上り」について平日(水)と休日(日)の乗車人 数をみると(図3-23)、概ね同じ傾向であり、7時台 ~8時台の乗車人数が他の便と比べて多くなっている。 平日と休日で最も差が大きい便は 16:07 発の便でそ の差は33人となっている。 一方、降車人数を見ると(図3-24)、午前中は平日 の方が休日と比べて多く、夕方から夜にかけては休日 の方が多い傾向がみられる。平日と休日で最も差が大 きい便は9:44着の便でその差は32人となっている。 <図3-23>「上り」平日(水)、休日(日)乗車人数 <図3-24>「上り」平日(水)、休日(日)降車人数 次に「下り」について平日(水)と休日(日)の乗 車人数をみると(図 3-25)、概ね同じ傾向であるが、 平日の方が全体的に多くなっている。平日と休日で最 も差が大きい便は7:39発の便でその差は36人とな っている。 一方、降車人数を見ると(図3-26)、午前中は平日 の方が休日と比べて多く、夕方から夜にかけては休日 の方が多い傾向がみられる。平日と休日で最も差が大 きい便は21:35着、22:35着の便でその差はそれぞ れ38人となっている。 <図3-25>「下り」平日(水)、休日(日)乗車人数 <図3-26>「下り」平日(水)、休日(日)降車人数 3 3 3 3-3-3-3-3 調査結果のポイント調査結果のポイント調査結果のポイント調査結果のポイント 乗降者数調査の結果、調査期間中(5日間)の1日 の平均乗降人数は3,021人となった。これは5日間の 平均値であるが、平均的な乗降人数が見込まれる9月 中旬に調査を実施しており、通年の乗降人数と大きく 乖離することは考えにくい。そのため、本調査結果を 通年の1日の平均乗降人数と想定すると、新幹線三河 安城駅の乗降人数は開業当時と比べて増加しているの だろうか。 三河安城駅の乗降人数について東海旅客鉄道(株) から公表されている開業年の昭和63年から平成11年 までの「新幹線」、「在来線」それぞれの1日の平均 乗降人数の推移をみると(図3-27)、「新幹線」の乗 降人数は昭和63年の2,749人から増減を繰り返しなが ら平成11年の3,458人へと増加している。 乗降者数調査の結果から現在の「新幹線」の1日の 平均乗降人数を3,021人と想定すると、「新幹線」の 乗降人数は、開業年の昭和63年から平成11年までと 比べて増加しておらず、同程度もしくはやや減少して いるといえる。 一方、「在来線」の乗降人数はどうだろうか。本研 究において「在来線」の乗降者数調査は実施していな いため、東海旅客鉄道(株)から公表されている「新 幹線」、「在来線」を合わせた1日の平均乗車人数か ら推定を行う。東海旅客鉄道(株)から公表されてい る平成 26 年の「新幹線」、「在来線」を合わせた 1 日の平均乗車人数は6,059人となっている。これは乗

(10)

車のみの人数であるため、2 倍をして乗降人数を算出 すると、平成26年の「新幹線」、「在来線」を合わせ た1日の平均乗降人数は12,118人となる。乗降者数調 査の結果から平成 26 年の「新幹線」の乗降人数を約 3,000人(≒3,021人)と想定すると、平成26年の「在 来線」の乗降人数は12,118人から3,000人を差引いた 約9,100人と推定される。開業年の昭和63年から平成 11年までの「在来線」の1日の平均乗降人数の推移を みると(図3-27)、昭和63年の2,068人から「新幹 線」を上回るペースで増加し、平成3年には3,742人 と新幹線の乗降人数を上回り、平成11年には5,308人 へと大きく増加している。平成 26 年の乗降人数を約 9,100 人と想定すると、「在来線」の乗降人数は開業 当時から大きく増加していると考えられる。このよう に開業時は「新幹線」の乗降人数の方が多かったもの の、数年で「在来線」が上回り、その差は大きく広が っている。 「在来線」の乗降人数が開業当時から大きく増加し ていることが明らかとなったが、どのような利用者が 増えているのだろうか。開業年の昭和 63 年から平成 26年までの三河安城駅(新幹線、在来線を合せた)の 「定期」、「定期外」、の乗車人数(年間)と定期率の推 移をみると(図3-28)、昭和63年では「定期」が140,036 人、「定期外」が568,140人と「定期外」の方が非常に 多かった。その後、「定期外」は増加傾向にあり、平成 7年には100万人を超えたものの、以降は増減を繰り 返し、平成26年では1,099,433人となっている。 一方、「定期」の乗車人数は昭和63年から右肩上が りに増加し、平成26年には1,112,035人となり、「定 期外」の乗車人数を上回った。そのため、定期率は昭 和63年では19.8%であったが、平成26年には50.3% と大きく増加している。前章で述べたように「新幹線」 における「定期」での利用者は非常に少ないため、こ の「定期」の乗車人数の大幅な増加は「在来線」の利 用者であると考えられる。 <図3-27>三河安城駅(新幹線、在来線)の1日の平均乗降人数の推移 (出典)安城の統計を基に作成 <図3-28>三河安城駅の「定期」、「定期外」の年間乗車人数の推移 (出典)安城の統計を基に作成 (備考)S63からH12までは乗降人数が公表されているため、乗降人数÷2で乗車人数を計算。

(11)

4 4 4 4章章章章 利用状況利用状況調査利用状況利用状況調査調査調査 4 4 4 4-1-1-1-1 調査概要調査概要調査概要調査概要 新幹線三河安城駅における乗降者の行先や目的、駅 まで(から)の交通手段などの利用状況を把握するこ とを目的として利用状況調査を実施した。調査概要に ついて以下に示す。 調査は平成27年11月11日(水)、15日(日)の 2 日間、新幹線三河安城駅コンコース内(待合室、喫 煙室を含む)及び改札外にて実施した(図4-1)。調査 対象は調査期間中の午前7時から午後5時までの「上 り」(東京方面)、「下り」(新大阪方面)すべての 発着便の新幹線乗降者(高校生以上)である。調査対 象者に対し、調査票を用いて任意で聴き取りを行った。 調査に使用した調査票は付録に掲載する。なお、調査 の実施は(株)サーベイリサーチセンターへ委託した。 <図4-1>利用状況調査の様子 (出典)筆者撮影 有効回答数は2日間で957人となった。有効回答数 について平日、休日別、乗降別の調査数をみると(表 4-1)、平日では乗車が357人、降車が137人で合計は 494人となった。一方、休日では乗車が342人、降車 が121人で合計は463人となっており、平日、休日と もに同程度の調査数が得られた。また、平日、休日別、 乗降別の割合をみると、平日では乗車が72.3%、降車 が27.7%、休日では乗車が73.9%、降車が26.1%とな った。乗降者数調査の結果(午前7時から午後5時ま で)では、平日(水)が乗車59.9%、降車40.1%、休 日(日)が乗車67.9%、降車32.1%となっており、本 調査の有効回答数は、乗車の割合に偏りがあるものの、 概ね実態に近い結果が得られたと考えられる。 <表4-1>平日、休日別、乗降別の調査数と割合 なお、調査結果の回答の比率(%)は小数点以下第 2 位を四捨五入して算出したため、合計が 100%にな らない場合がある。また、回答の比率(%)は、その 設問の回答者数を基数として算出しているため、複数 回答の設問では合計が100%を超える場合がある。 4 44 4----2222 回答者の属性回答者の属性回答者の属性回答者の属性 回答者の属性は次のとおりである。 回答者の性別について平日、休日別、乗降別の割合 をみると(表 4-2)、平日では「男性」が 72.2%、「女 性」が 27.8%と「男性」が非常に多くを占めている。 一方、休日では「男性」が 45.4%、「女性」が54.6% と「女性」の割合の方が高くなっており、平日、休日 で違いがみられる。また、乗降別にみると、乗車、降 車ともに「男性」の割合が高くなっている。 <表4-2>性別の平日、休日別、乗降別の割合 次に、回答者の年齢について平日、休日別、乗降別 にみると(表 4-3)、平日では「40 歳代」が 25.7%と 最も多く、次いで「50歳代」が24.5%となっている。 一方、休日では「50歳代」が24.4%と最も多く、次い で「40歳代」が22.5%となっている。また、乗降別に みると、乗車では「50歳代」が24.7%と最も多く、次 いで「40歳代」が24.2%となっている。一方、降車で は「40歳代」が24.0%と最も多く、次いで「50歳代」 が23.6%となっている。 乗車 降車 合計 乗車 降車 合計 平日 357 137 494 72.3 27.7 100.0 休日 342 121 463 73.9 26.1 100.0 合計 699 258 957 - - -調査数(人) 構成比(%) 男性 女性 合計(%) 平日 72.2 27.8 100.0 休日 45.4 54.6 100.0 乗車 56.0 44.0 100.0 降車 67.8 32.2 100.0

(12)

<表4-3>年齢別の割合(平日、休日別、乗降別) 最後に、回答者の居住地についてみると(図 4-2)、 「県内」が65.8%、「県内」が34.2%となっており、 愛知県内の居住者が6割強を占めた。 「県内」と回答した人の市町村についてみると(図 4-3)、「安城市」が33.2%と最も多く、次いで「西尾市」 が14.8%となっている。図4-4に示すように「安城市」 に隣接する7市(豊田市、岡崎市、西尾市、碧南市、 高浜市、刈谷市、知立市)を合せると「県内」居住者 の90.4%となり、西三河地域の居住者が非常に多くを 占めた。このように「安城市」を中心に隣接する7市 の居住者が新幹線三河安城駅を利用していることがわ かる。 一方、「県外」と回答した人の都道府県をみると(図 4-5)、「東京都」が19.9%と最も多く、次いで「神奈川 県」が 15.5%となっている。「東京都」、「神奈川県」、 「 埼 玉 県 」、「 千 葉 県 」 を 合 わ せ た 東 京 圏4の 割 合 が 42.3%と「県外」居住者の4割を占めた。また、「その 他」(2.0%以下は「その他」に分類)が20.6%と高い 割合となっており、様々な都道府県からの利用がある ことがわかる。 <図4-2>回答者の居住地の割合 (備考)「海外」と回答した人(4人)は「県外」に分類 4 平成25年度「首都圏整備に関する年次報告」(平成26年 <図4-3>居住地の割合(県内・市町村別) (備考)2.0%以下は「その他」に分類 <図4-4>居住地の割合(県内・市町村別) (備考)2.0%以上の自治体を色塗り <図4-5>居住地の割合(県外・都道府県別) (備考)2.0%以下は「その他」に分類 平日 休日 乗車 降車 ~20歳代 7.5 14.0 10.6 10.9 30歳代 20.4 13.8 16.6 19.0 40歳代 25.7 22.5 24.2 24.0 50歳代 24.5 24.4 24.7 23.6 60歳代 16.2 16.2 16.5 15.5 70歳代 5.7 9.1 7.4 7.0 合計( %) 100.0 100.0 100.0 100.0

(13)

4 4 4 4----333 3 調査結果調査結果調査結果調査結果 調査結果について調査項目Q1 からQ8 までの結果 の概要を以下に示す。 Q Q Q Q1111 本日、利用する(した)新幹線の発(着)時間を本日、利用する(した)新幹線の発(着)時間を本日、利用する(した)新幹線の発(着)時間を本日、利用する(した)新幹線の発(着)時間を 教えてください。 教えてください。 教えてください。 教えてください。 「本日、利用する(した)新幹線の発(着)時間」 は(図4-6)、「7~8時」が30.4%と最も多く、次いで 「9~10時」が25.2%、「15~17時」が16.0%となっ ており、午前中(7時~12時)の発着者の割合は約7 割(69.4%)となっている。 また、平日、休日別にみると(図 4-7)、平日は「7 ~8時」が29.6%と最も多く、次いで「9~10時」が 26.9%となっている。一方、休日は「7~8時」が31.3% と最も多く、次いで「9~10時」が23.3%となってい る。午前中(7時~12時)の発着者の割合は平日では 71.7%、休日では66.9%となっている。 <図4-6>本日、利用する(した)新幹線の発(着)の 時間 <図4-7>本日、利用する(した)新幹線の発(着)の 時間(平日・休日別) Q QQ Q2222 (乗車の場合)(乗車の場合)(乗車の場合)(乗車の場合)本日、本日、本日、本日、最終的に降りる新幹線駅最終的に降りる新幹線駅最終的に降りる新幹線駅最終的に降りる新幹線駅(到(到(到(到 着駅)はどこですか?(降車の場合)本日、最初に乗 着駅)はどこですか?(降車の場合)本日、最初に乗着駅)はどこですか?(降車の場合)本日、最初に乗 着駅)はどこですか?(降車の場合)本日、最初に乗 った新幹線駅(出発駅)はどこですか?(乗換がある った新幹線駅(出発駅)はどこですか?(乗換があるった新幹線駅(出発駅)はどこですか?(乗換がある った新幹線駅(出発駅)はどこですか?(乗換がある 場合)乗換駅がある場合はそれについても教えてくだ 場合)乗換駅がある場合はそれについても教えてくだ場合)乗換駅がある場合はそれについても教えてくだ 場合)乗換駅がある場合はそれについても教えてくだ さい。 さい。さい。 さい。 「到着駅」では(図4-8)、「東京」が18.1%と最も 多く、次いで「京都」が 14.9%、「新大阪」が 11.3% となっている。一方、「出発駅」では(図4-9)、「東京」 が 15.6%と最も多く、次いで「京都」が12.8%、「名 古屋」が11.3%となっている。 「東京」、「京都」、「新大阪」、「名古屋」の4駅を合わ せると、到着駅では52.0%、出発駅では48.6%となり、 約半数を占める。また、「その他」(4.0%以下は「その 他」に分類)の割合が到着駅では34.3%、出発駅では 31.5%と高い割合となっており、様々な移動先がある ことがわかる。 <図4-8>到着駅の割合 (備考)不明・無回答を除いた割合。4.0%以下は「その他」に分類 <図4-9>出発駅の割合 (備考)不明・無回答を除いた割合。4.0%以下は「その他」に分類

(14)

「乗換駅」があると回答した人は(図4-10)、80人 で全体954人(無回答・不明除く)のうち 8.4%とな った。乗換駅では「名古屋」が61.3%と最も多く、次 いで「東京」が12.5%、「新大阪」が8.8%となってい る。乗換駅として最も多く挙げられた「名古屋」での 乗換の経路は、「三河安城」発「名古屋」経由「東京」 着が16.3%と最も多く、次いで「三河安城」発「名古 屋」経由「岡山」着が14.3%となっている。 <図4-10>乗換駅の割合 Q Q Q Q3333 本日の行先はどちらですか?本日の行先はどちらですか?本日の行先はどちらですか?本日の行先はどちらですか? 回答者の行先は(図 4-11)、「県内」が31.3%、「県 外」が68.7%となっており、愛知県外を行先とした利 用者が約7割を占める結果となった。また、平日、休 日別にみると(図 4-12)、平日、休日のいずれも「県 内」が約3割(平日32.4%、休日30.5%)、「県外」が 約7割(平日67.6%、休日69.5%)となった。 <図4-11>行先(県内・県外)の割合 <図4-12>行先(県内・県外)の平日、休日別割合 Q QQ Q33----133111 「県内」「県内」に○をつけた方にお聞きします。「県内」「県内」に○をつけた方にお聞きします。に○をつけた方にお聞きします。に○をつけた方にお聞きします。本日本日本日本日 の行先はどちらですか? の行先はどちらですか?の行先はどちらですか? の行先はどちらですか? 本日の行先を「県内」と回答した人の行先の市町村 について乗降別にみると、乗車では(図4-13)、「名古 屋市」が79.6%と最も多く、次いで「豊橋市」が16.3% となっている。一方、降車では(図 4-14)「安城市」 が 53.4%と最も多く、次いで「西尾市」が 9.6%とな っている。「安城市」と隣接する7市(豊田市、岡崎市、 西尾市、碧南市、高浜市、刈谷市、知立市)を合せる と96.2%となり、西三河地域の市が非常に多くを占め る結果となった。 <図4-13>県内の行先(市町村)の割合(乗車) <図4-14>県内の行先(市町村)の割合(降車) (備考)1.0%以下は「その他」に分類 Q QQ Q33----233222 「県外」「県外」に○をつけた方にお聞きします。「県外」「県外」に○をつけた方にお聞きします。に○をつけた方にお聞きします。に○をつけた方にお聞きします。本日本日本日本日 の行先はどちらですか? の行先はどちらですか?の行先はどちらですか? の行先はどちらですか? 本日の行先を「県外」と回答した人の行先の都道府 県についてみると(図4-15)、「東京都」が20.1%と最 も多く、次いで「静岡県」が15.2%、「京都府」が14.9% となっている。また、「その他」(2.0%以下は「その他」 に分類)の割合も19.2%と高い割合となっており、様々 な行先があることがわかる。

(15)

<図4-15>県外の行先(都道府県)の割合 (備考)2.0%以下は「その他」に分類 Q Q Q Q4444 行先での目的は何ですか?行先での目的は何ですか?行先での目的は何ですか?行先での目的は何ですか? 「行先での目的」について平日、休日別にみると(図 4-16)、平日では「業務・出張」が64.2%と最も多く、 次いで「観光・旅行」が 18.0%となっている。一方、 休日では「観光・旅行」が24.4%と最も多く、次いで 「その他」が18.8%となっており、平日と休日で行先 での目的が異なっている。乗降別にみると(図4-17)、 乗降いずれも「業務・出張」が最も多く、乗車で39.6%、 降車で45.7%となっている。また、乗車では「観光・ 旅行」が26.0%と「業務・出張」に次いで多くなって いるが、降車では「観光・旅行」は7.8%と乗車と比べ て18.2ポイントも低くなっている。同様に「レジャー」 についても乗車では7.3%、降車では3.1%と大きな差 がみられる。 また、性別にみると(図 4-18)、男性では「業務・ 出張」が62.4%と最も多く、次いで「観光・旅行」が 11.7%となっている。一方、女性では「観光・旅行」 が34.9%と最も多く、次いで「その他」が21.0%とな っており、男女で行先での目的が異なっている。 <図4-16>行先での目的(平日・休日別) <図4-17>行先での目的(乗降別) <図4-18>行先での目的(性別) 本日の行先(県内)で最も多く挙げられた「安城市」 について行先での目的とクロス集計した結果をみると (図4-19)、「業務・出張」が56.0%と最も多く、半数 以上を占めている。次いで「その他」が 13.4%、「観 光・旅行、レジャーの帰り」が 10.4%となっている。 「観光・旅行」、「レジャー」はともに4.5%と低い割合 となっている。 <図4-19>本日の行先(安城市)における目的

(16)

Q Q Q Q5555 QQQQ4444で「業務・出張」に○をつけた方にお聞きしで「業務・出張」に○をつけた方にお聞きしで「業務・出張」に○をつけた方にお聞きしで「業務・出張」に○をつけた方にお聞きし ます。あなたの普段の勤務地はどこですか。 ます。あなたの普段の勤務地はどこですか。 ます。あなたの普段の勤務地はどこですか。 ます。あなたの普段の勤務地はどこですか。 行先での目的を「業務・出張」と答えた人の普段の 勤務地についてみると(図4-20)、「県内」が46.1%、 「県外」が 53.9%となっており、「県外」の割合の方 が高くなっている。 <図4-20>行先での目的を「業務・出張」と回答した 人の普段の勤務地 (備考)「海外」と回答した3人は「県外」に分類 また、普段の勤務地を「県内」と回答した人の市町 村についてみると(図4-21)、「安城市」が26.8%と最 も多く、次いで「名古屋市」が20.1%、「刈谷市」17.9% となっている。一方、「県外」と回答した人の都道府県 についてみると(図4-22)、「東京都」が31.6%と最も 多く、次いで「大阪府」が13.6%、「神奈川県」が12.1% となっている。また、「その他」(2.0%以下は「その他」 に分類)の割合が18.9%と高い割合となっている。 <図4-21>普段の勤務地(県内・市町村別) (備考)2.0%以下は「その他」に分類 <図4-22>普段の勤務地(県外・都道府県別) (備考)2.0%以下は「その他」に分類 Q QQ Q6666 (乗車の場合)(乗車の場合)(乗車の場合)(乗車の場合)出発地から新幹線三河安城駅まで出発地から新幹線三河安城駅まで出発地から新幹線三河安城駅まで出発地から新幹線三河安城駅まで の交通手段を教えてください。(降車の場合)新幹線三 の交通手段を教えてください。の交通手段を教えてください。(降車の場合)(降車の場合)新幹線三新幹線三 の交通手段を教えてください。(降車の場合)新幹線三 河安城駅から主目的地までの交通手段を教えてくださ 河安城駅から主目的地までの交通手段を教えてくださ河安城駅から主目的地までの交通手段を教えてくださ 河安城駅から主目的地までの交通手段を教えてくださ い。 い。い。 い。 交通手段について乗降別にみると(図 4-23)、乗車 (出発地から新幹線三河安城駅までの交通手段)は「車 (自家用車)」が 48.1%と最も多く、次いで「車(送 迎)」が24.5%、「徒歩」が11.9%となっている。一方、 降車(新幹線三河安城駅から主目的地までの交通手段) では「車(自家用車)」が 31.4%と最も多く、次いで 「車(送迎)」が23.3%、「徒歩」が22.5%となってい る。「車(自家用車)」、「車(送迎)」を合せた割合は乗 車で7割(72.6%)、降車においても5割(54.7%)を 超え、「車」が交通手段の多くを占める結果となった。 また、交通手段として「鉄道」を挙げた割合は乗車6.9%、 降車 6.6%、「バス」を挙げた割合は乗車 0.6%、降車 1.6%とともに非常に低くなった。 乗降で違いがみられる項目としては「タクシー」が 乗車5.0%、降車11.2%と降車の方が6.2ポイント高く なっている。また、「徒歩」についても乗車11.9%、降 車22.5%と降車の方が10.6ポイント高くなっている。 <図4-23>交通手段(乗降別)

(17)

Q Q Q Q7777 QQQQ6666で「鉄道」に○をつけた方にお聞きします。で「鉄道」に○をつけた方にお聞きします。で「鉄道」に○をつけた方にお聞きします。で「鉄道」に○をつけた方にお聞きします。 (乗車の場合)出発地から三河安城駅までの鉄道経路 (乗車の場合)出発地から三河安城駅までの鉄道経路 (乗車の場合)出発地から三河安城駅までの鉄道経路 (乗車の場合)出発地から三河安城駅までの鉄道経路 を教えてください。(降車の場合) を教えてください。(降車の場合) を教えてください。(降車の場合) を教えてください。(降車の場合)三河安城駅から行先三河安城駅から行先三河安城駅から行先三河安城駅から行先 までの鉄道経路を教えてください。 までの鉄道経路を教えてください。 までの鉄道経路を教えてください。 までの鉄道経路を教えてください。 Q6で交通手段を「鉄道」と回答した人は乗車で6.9%、 降車で6.6%となっており、ともに非常に低い割合とな った。乗車(出発地から三河安城駅までの鉄道経路) についてみると(表4-4)、「刈谷」が 12件(26.7%) と最も多く、次いで「西岡崎」、「安城」、「東刈谷」、「岡 崎」がそれぞれ4件(8.9%)となっている。一方、「(降 車の場合)三河安城駅から行先までの鉄道経路」は(表 4-5)、「刈谷」が5件(31.3%)と最も多く、次いで「安 城」、「岡崎」がそれぞれ3件(18.8%)となっている。 <表4-4>出発地から三河安城駅までの鉄道経路 <表4-5>三河安城駅から行先までの鉄道経路 Q QQ Q8888 新幹線三河安城駅の利用頻度を教えてください。新幹線三河安城駅の利用頻度を教えてください。新幹線三河安城駅の利用頻度を教えてください。新幹線三河安城駅の利用頻度を教えてください。 新幹線三河安城駅の利用頻度は(図4-24)、「年に数 回」が46.9%と最も多く、次いで「月に数回」が27.2%、 「ほとんどない」が17.5%となっている。 行先での目的別にみると(表4-6)、ほぼ毎日では「通 勤・通学」が58.3%と最も多く、次いで「業務・出張」 が33.3%となっている。週2~3回では「業務・出張」 が82.2%とほとんどを占めている。月に数回では「業 務・出張」が63.1%と最も多く、次いで「観光・旅行」 が 13.5%となっている。年に数回では「業務・出張」 が28.7%と最も多く、次いで「観光・旅行」が28.5% となっている。ほとんどないでは「業務・出張」が31.7% と最も多く、次いで「観光・旅行」が23.4%となって いる。 <図4-24>新幹線三河安城駅の利用頻度 <表4-6>行先での目的別利用頻度 出発駅 乗換駅 到着駅 件数 構成比( %) 刈谷 - 12 26.7 西岡崎 - 4 8.9 安城 - 4 8.9 東刈谷 - 4 8.9 岡崎 - 4 8.9 野田新町 - 2 4.4 共和 - 2 4.4 中部国際空港 金山→刈谷 1 2.2 相見 - 1 2.2 名古屋 - 1 2.2 北新川 刈谷 1 2.2 大府 - 1 2.2 東岡崎 岡崎公園前→中岡崎→岡崎 1 2.2 逢妻 - 1 2.2 大府 - 1 2.2 吉浜 刈谷 1 2.2 名古屋 安城 1 2.2 野田新町 安城 1 2.2 末野原 岡崎 1 2.2 西尾 南安城 1 2.2 三河安城 出発駅 乗換駅 到着駅 件数 構成比( %) - 刈谷 5 31.3 - 岡崎 3 18.8 - 安城 3 18.8 - 西岡崎 1 6.3 - 逢妻 1 6.3 - 大府 1 6.3 刈谷 知立 1 6.3 刈谷 碧南 1 6.3 三河安城 ほぼ毎日 週2 ~3 回 月に数回 年に数回 ほとんどな い 通勤・ 通学 58.3 2.2 1.2 0.4 0.6 業務・ 出張 33.3 82.2 63.1 28.7 31.7 観光・ 旅行 - - 13.5 28.5 23.4 レ ジャー - 2.2 2.7 7.6 10.2 帰省 2.8 - 6.5 9.4 5.4 冠婚葬祭 - - 0.4 5.1 7.2 買い物 - 6.7 1.5 0.9 -観光・ 旅行、 レ ジャーの帰り - - 2.3 6.7 6.0 その他 5.6 6.7 8.8 13.8 16.2 (%)

(18)

4 4 4 4---4-444 調査結果のポイント調査結果のポイント調査結果のポイント調査結果のポイント 調査結果のポイントは次のとおりである。 4 4 4 4---4-444-1-1-1-1 居住地居住地居住地居住地 回答者の6割強(65.8%)を「県内」の居住者が占 めた。その内訳は「安城市」が33.2%と最も多く、隣 接する7市(豊田市、岡崎市、西尾市、碧南市、高浜 市、刈谷市、知立市)を合せると「県内」の9割(90.4%) となり、西三河地域の居住者が非常に多くを占める結 果となった。一方、「県外」の居住者は3割強(34.2%) となっており、その内訳は「東京都」が19.9%と最も 多く、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県) の割合が「県外」居住者の4割(42.3%)を占めた。 4 4 4 4---4-444-2-2-2-2 行先行先行先行先 回答者の行先は、「県内」が約3割(31.3%)、「県 外」が約7割(68.7%)となった。「県内」と回答し た人の行先の市町村について乗降別にみると、乗車で は、「名古屋市」が約8割(79.6%)と非常に多くを 占めた。一方、降車では「安城市」が53.4%と最も多 く、隣接する7市(豊田市、岡崎市、西尾市、碧南市、 高 浜 市 、 刈 谷 市 、 知 立 市 ) を 合 せ る と 9 割 を 超 え (96.2%)、「県内」への行先としては西三河地域の 市が非常に多くを占める結果となった。一方、「県外」 と回答した人の行先の都道府県は「東京都」が20.1% と最も多くなっており、次いで「静岡県」が 15.2%、 「京都府」が14.9%となった。調査日が紅葉シーズン ということもあり、「京都府」の割合が高くなってい ると考えられる。また、新幹線三河安城駅からの到着 駅、新幹線三河安城駅への出発駅についての質問では 「静岡県」の新幹線駅は上位に挙がらなかったものの、 静岡県内には複数の新幹線駅があることや「こだま」 が停車する駅が多いことから「東京都」に次いで高い 割合となっていると考えられる。 4 4 4 4---4-444-3-3-3-3 行先での目的行先での目的行先での目的行先での目的 行先での目的について平日、休日別にみると、平日 では「業務・出張」が最も多く、6割を超えた(64.2%)。 一方、休日では「観光・旅行」が 24.4%と最も多く、 なっており、平日はビジネス目的での利用、休日は観 光旅行目的での利用傾向が確認された。また、休日で は、「観光・旅行」に次いで「その他」が18.8%とな っており、観光旅行目的が多くを占めるものの、様々 な目的で利用されていることがわかる。 乗降別にみると、乗降いずれも「業務・出張」が最 も多くなった。また、乗車では「観光・旅行」26.0% と「業務・出張」に次いで高い割合となったが、降車 では「観光・旅行」は7.8%と乗車と比べて18.2ポイ ントも低くなっている。また、「レジャー」も同様に 乗車と比べて降車が低い割合となっており、観光旅行 目的での三河安城駅周辺地域への訪問に新幹線三河安 城駅が利用されていないことがわかる。 4 44 4----444-44-4-4-4 交通手段交通手段交通手段交通手段 出発地から新幹線三河安城駅までの交通手段、新幹 線三河安城駅から主目的地までの交通手段はともに 「車(自家用車)」が最も多く、次いで「車(送迎)」 となった。これらを合せると乗車では7割(72.6%)、 降車においても5割(54.7%)を超えた。このように 交通手段としては「車」が多くを占めていることが明 らかとなった。また、交通手段として「鉄道」を挙げ た割合は乗車6.9%、降車6.6%、「バス」を挙げた割 合は乗車0.6%、降車1.6%とともに非常に低くなった。 4 44 4----444-54-5-5-5 利用頻度利用頻度利用頻度利用頻度 新幹線三河安城駅の利用頻度は「年に数回」が46.9% と最も多く、次いで「月に数回」が27.2%、「ほとん どない」が17.5%となっている。「年に数回」、「ほ とんどない」を合せると6割(64.4%)を超えており、 新幹線三河安城駅が利用頻度の低い駅であることがわ わかる。また、行先での目的別にみると、ほぼ毎日で は「通勤・通学」が58.3%と最も多くなったが、それ 以外の利用頻度ではすべて「業務・出張」が最も多く なっている。また、利用頻度が少なくなるにつれて「業 務・出張」の割合が低くなり、「観光・旅行」や「レ ジャー」の割合が高くなった。

(19)

5 5 5 5章章章 章 新幹線三河安城駅を活かした地域づくりへの課題と取り組み新幹線三河安城駅を活かした地域づくりへの課題と取り組み新幹線三河安城駅を活かした地域づくりへの課題と取り組み新幹線三河安城駅を活かした地域づくりへの課題と取り組み 5-1 5-1 5-1 5-1 利用実態利用実態に関する考察利用実態利用実態に関する考察に関する考察に関する考察 乗降者数調査、利用状況調査から明らかとなった利 用実態からみえてくる課題について考察する。 乗降者数調査の結果、三河安城駅の乗降人数は「在 来線」が「定期」の利用者を中心に大きく増加してい ることが明らかとなった。その要因としては駅周辺の まちの発展により、通勤・通学を中心とした利用者が 増加したことが考えられる。 三河安城駅周辺は、1986(昭和61)年から20年間 にわたって 118.44ha を対象とした土地区画整理事業 が行われ、現在、駅周辺にはマンションを中心とした 住宅や企業の事業所等が立地している。こうした駅周 辺のまちの発展に伴い、三河安城地域の人口、世帯数 は開業当時の昭和62年の人口17,613人、世帯数4,785 から平成27年の人口30,092人、世帯数12,263へと 人口が1.7倍、世帯数が2.6倍に増加している(図5-1)。 つまり、こうしたまちの発展が「在来線」の乗降人数 の大幅な増加に結び付いているといえる。しかし、一 方でこれまでの駅周辺のまちの発展は「新幹線」の乗 降人数の増加には繋がっていないことが示唆される。 <図5-1>三河安城地域の人口・世帯数の推移 (出典)住民基本台帳(各年10.1)を基に作成 (備考)S62~H17(二本木町、二本木新町、美園町、緑町、箕輪 町、井杭山町、篠目町)H22、H27(二本木町、二本木新町、美園町、 緑町、箕輪町、井杭山町、篠目町、三河安城町、三河安城本町、三河 安城東町、三河安城南町) こうした駅周辺のまちの発展と「新幹線」、「在来 線」の乗降人数の関係は他の新幹線駅においてもみら れるのだろうか。そこで、三河安城駅と同様に名古屋 駅に隣接し、土地区画整理事業により駅周辺の整備が 行われた東海道新幹線岐阜羽島駅(以下、岐阜羽島駅 という)とそのアクセス駅である名古屋鉄道新羽島駅 (以下、新羽島駅という)の平成11年から平成25年 までの1日の平均乗降人数の推移をみると(図5-2)、 岐阜羽島駅は平成11年の6,474人から増減を繰り返し ながらも6,000人以上で推移していたが、平成21年に 大きく落ち込み、平成25年では5,636人となっている。 全体の傾向としては減少傾向にある。一方、新羽島駅 は平成11年の1,679人から増加傾向にあり、平成25 年では2,403人へと1.4倍に増加している。 <図5-2>岐阜羽島駅、新羽島駅の1日の平均乗降人 数の推移 (出典)羽島市統計書を基に作成 (備考)乗車人数×2で乗降人数を計算 岐阜羽島駅は 1964(昭和 39)年の開業当時、単独 の新幹線駅であったが、1982(昭和57)年に新羽島駅 が隣接部に開業し、岐阜市内から鉄道によるアクセス が可能となった。名鉄岐阜駅から新羽島駅までの所要 時間は約30分(名鉄笠松駅での乗換が必要)であるが、 岐阜市内から名古屋駅までは JR 東海道本線の新快速 で20分、名鉄の快速特急で28分(乗換無)と所要時 間が短い。そのため、岐阜市内から東京・大阪方面へ 移動する際にはJRや名鉄を利用し、名古屋駅で新幹 線に乗車した方が新羽島駅を経由して岐阜羽島駅を利 用するよりも利便性が高い。そうしたことから新羽島 駅は岐阜市内から岐阜羽島駅へのアクセス路線として の利用よりも新羽島駅から岐阜市内や沿線地域への通 勤・通学路線として利用される傾向にある5。また、岐 阜羽島駅、新羽島駅周辺は土地区画整理事業により、 良好な住環境の整備がなされ、駅周辺の福寿町や江吉 良町の人口は羽島市全体と比べて大きく増加する傾向 にある(図5-3)。このように岐阜羽島駅は三河安城駅 と同様に「新幹線」の乗降人数は減少傾向にあるもの の、新幹線駅へのアクセス駅の乗降人数は増加傾向に ある。その要因としては駅周辺の区画整理事業により、 良好な住環境が整備されたことで人口が増加し、通 5 平成26年の名鉄新羽島駅乗降者の定期率は72.4%となっ ている。羽島市統計書より。

(20)

勤・通学を中心とした利用者が増加したことであると 考えられる。こうした視点でみると、新幹線駅の開業 は、アクセス駅の設置、開業に伴う区画整理事業の実 施による住環境の整備といった駅周辺のまちの発展に 寄与する様々な効果があったといえる。しかし、一方 で新幹線駅を活かした地域づくりを検討していく場合 には、これまでのまちの発展とは異なるアプローチで の取組みが必要であることが示唆される。 <図5-3>羽島市、福寿町、江吉良町の人口の推移 (出典)羽島市統計書を基に作成 (備考)住民基本台帳(各年10.1)。平成7年を100とした指数 では、新幹線駅の乗降人数にはどのような要因が影 響しているのだろうか。2 章で述べたように新幹線駅 の乗降人数には企業の立地や地域の観光資源などが影 響していると想定されるが、三河安城駅と岐阜羽島駅 においてはそれらに加えて名古屋駅の存在が大きく影 響をしていると考えられる。 東海道新幹線の路線図(図 2-1)に示したように三 河安城駅、岐阜羽島駅はともに名古屋駅に隣接してい る。岐阜羽島駅は岐阜県唯一の新幹線駅であるが、先 述したように岐阜県の中心地である岐阜市内からはJ Rや名鉄を利用し、名古屋駅で新幹線に乗車した方が 新羽島駅を経由して岐阜羽島駅を利用するよりも利便 性が高い。そのため、岐阜県内唯一の新幹線でありな がら、岐阜市内を中心に県内の新幹線利用者の多くが 名古屋駅を利用していると考えられる。 三河安城駅においても駅の立地する安城市内から名 古屋駅までは JR東海道本線安城駅での特別快速乗車 で23分、名鉄新安城駅での特急乗車で25分とアクセ ス利便性は高い。また、隣接市の刈谷市や知立市にお いてもそれぞれ在来線、名鉄の利用により名古屋駅ま で約20分でアクセスできる。平成25年に三菱UFJ リサーチ&コンサルティング(愛知県委託)が公表し た「リニア中央新幹線影響等調査業務報告書」による と(図5-4)、愛知県内から東京方面への移動における 新幹線駅の地域別利用率は「名古屋市」、「尾張地域」、 「海部地域」、「知多地域」といった西側の地域では、 98~99%とほぼ全ての人が「名古屋駅」の利用となっ ている。一方、「東三河地域」、「新城・設楽地域」 といった東側の地域では「豊橋駅」の割合が96~97% と非常に高い割合となっている。また、その間に位置 する「豊田地域」では「名古屋駅」の利用が81%と非 常に高く、次いで「三河安城駅」が 12%、「豊橋駅」 が 7%となっている。そして、三河安城駅が立地する 「西三河地域」では「名古屋駅」の利用が46%と最も 多く、次いで「三河安城駅」が28%、「豊橋駅」が26% となっている。このように愛知県内には三つの新幹線 駅があり、西側の地域では「名古屋駅」、東側の地域 では「豊橋駅」が利用割合のほとんどを占め、中間に 位置する西三河地域、豊田地域においては「名古屋駅」 の利用割合が最も高くなっている。三河安城駅が立地 する西三河地域においても「名古屋駅」の利用が約半 数、「豊橋駅」の利用についても3割弱を占めており、 新幹線駅が立地しているのにもかかわらず、新幹線利 用者の多くが「名古屋駅」、「豊橋駅」に分散してい る。 <図5-4>愛知県内から東京方面への移動における新 幹線駅の地域別利用率 (出典)「リニア中央新幹線影響等調査業務報告書」三菱UFJリサ ーチ&コンサルティング(愛知県委託)を基に作成 リニア開業後は「名古屋駅」でのリニア乗車の需要 が高まり、「名古屋駅」を利用する割合が一層高まる ことが予想される。また、リニア開業後の東海道新幹 線は「ひかり」、「こだま」を中心とした運行形態へ の転換が東海旅客鉄道(株)から示唆されており、「豊 橋駅」の「ひかり」の運行本数が増加されれば、東京 方面への移動利便性は大きく向上し、新幹線利用者の さらなる分散が懸念される。

(21)

5-2 5-2 5-2 5-2 リニア開業を見据えたリニア開業を見据えた新幹線三河安城駅を活リニア開業を見据えたリニア開業を見据えた新幹線三河安城駅を活新幹線三河安城駅を活新幹線三河安城駅を活 かした地域づくりへの課題と取り組み かした地域づくりへの課題と取り組み かした地域づくりへの課題と取り組み かした地域づくりへの課題と取り組み 以上の考察を踏まえて、リニア開業を見据えた新幹 線三河安城駅を活かした地域づくりへの課題としては 次の二点が挙げられる。 一点目はこれまでの三河安城駅周辺のまちの発展が 「在来線」の乗降人数の大幅な増加に結び付いている 一方で「新幹線」の乗降人数の増加には繋がっていな いことである。現在、三河安城駅周辺はマンションを 中心とした住宅や企業の事業所等が立地し、三河安城 地域の人口、世帯数はともに増加している。そのため、 今後も「在来線」の乗降人数の増加は期待されるもの の、新幹線三河安城駅を活かした地域づくりという視 点においては大きな課題であるといえる。 二点目はリニア開業に伴い、利便性が大きく高まる 名古屋駅や豊橋駅へ新幹線利用者のさらなる分散が懸 念されることである。リニア開業後は、リニア乗車の 需要が高まり、名古屋駅の利用が一層高まることが予 想される。また、リニア開業後の東海道新幹線は「の ぞみ」を中心とした運行形態から「ひかり」、「こだ ま」を中心とした運行形態への転換が東海旅客鉄道(株) から示唆されており、豊橋駅の「ひかり」が増発され れば、東京方面への移動利便性が大きく向上し、豊橋 駅の利用が高まることも予想される。 これらの課題に対する取組みを進めていくにあたっ ては、駅が立地する安城市のみならず、利用圏域であ る西三河地域の自治体がそれぞれの役割を果たしてい くとともに連携していくことが重要である。 これまでに述べたように東海道新幹線全体、新幹線 三河安城駅の利用目的はビジネス目的が中心となって いる。そのため、安城市の取組みとしては、「三河安 城駅周辺におけるビジネス交流の拡大」が挙げられる。 リニア開業により、安城市は東京と1時間圏内となり、 首都圏とのビジネス交流の拡大が期待される。また、 リニア開業後の運行形態の転換により「ひかり」、「こ だま」の運行本数が増加すれば、静岡県など東海道新 幹線沿線地域へのアクセス利便性が高まり、これらの 地域とのビジネス交流の拡大についても期待される。 こうしたポテンシャルの拡大を活かし、西三河地域の 強みである自動車産業を中心としたモノづくり産業の さらなる集積を進めるとともに新幹線利用の多い業種 でありながらこれまで本市に集積していない情報・通 信などの都市型産業の駅周辺への誘致を通じて、三河 安城駅周辺のビジネス交流の拡大を図っていくことが 考えられる。 また、観光旅行目的での三河安城駅周辺地域への訪 問に新幹線三河安城駅が利用されていないことが明ら かとなった。そのため、西三河地域の自治体が連携し た取組みとしては、「西三河地域の観光資源を活かし た魅力の創出・発信」が挙げられる。西三河地域には、 文化、歴史、自然、産業観光といった魅力的な観光資 源が数多くあり、これらの観光資源を活かした三河安 城駅を起点としたテーマ性のある周遊観光ルートの設 定や駅構内を利用した観光情報発信の強化、イベント の開催などに取組むことでこの地域への観光誘客を図 っていくことが考えられる。 以上、課題と取組みについて述べた。リニアが開業 すれば、新幹線三河安城駅の乗降人数が増加し、地域 が活性化するという発想に立つのではなく、開業を見 据え、戦略的に新幹線三河安城駅を活かした地域づく りを進めていくことが重要である。

(22)

参考文献 参考文献 参考文献 参考文献・資料・資料・資料・資料一覧一覧一覧一覧 1) 安城市『安城の統計』1989~2015. 2) 安城市『かなった西三河の夢 東海道新幹線三河 安城駅開業記念誌』1989. 3) (株)ジェイアール東海エージェンシー「JR TOKAI MEDIA GUIDE 2015」2015

https://www.jrta.co.jp/(2015年7月24日閲覧). 4) 国土交通省「超電導リニアによる中央新幹線の実 現について」 2010 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tetsudo01 _sg_000067.html(2015年7月24日閲覧). 5) 東海道東海旅客鉄道(株)「ファクトシート2015」 2015 http://company.jrcentral.co.jp/ir/factsheets/inde x.html(2015年12月22日閲覧). 6) 東海道東海旅客鉄道(株)「JR東海の路線図」 http://railway.jr-central.co.jp/route-map/(2016 年2月5日閲覧). 7) 東海道東海旅客鉄道(株)「東海道・山陽新幹線の 時刻表」http://railway.jr-central.co.jp/jikoku/ (2016年2月5日閲覧). 8) 羽島市『羽島市統計書』1996~2015. 9) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(愛知県 委託)「リニア中央新幹線影響等調査業務報告書」 2013 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/chiiki/00000617 11.html(2015年7月24日閲覧). 伴野 伴野 伴野 伴野 裕樹裕樹裕樹裕樹 2008年安城市役所に入庁。市税徴収業務、土木事業に係る公共用地の取得業務を経て、2013年より安城市みら い創造研究所に担当職員として庁内公募にて採用される。本年度は、当研究のほかに若手職員を対象とした勉強 会「みそ研ゼミ」を担当。

参照

関連したドキュメント

今後の取り組みは、計画期間(2021~2040 年度)の 20 年間のうち、前半(2021~2029

(4) 「舶用品に関する海外調査」では、オランダ及びギリシャにおける救命艇の整備の現状に ついて、IMBVbv 社(ロッテルダム)、Benemar 社(アテネ)、Safety

東京都環境局では、平成 23 年 3 月の東日本大震災を契機とし、その後平成 24 年 4 月に出された都 の新たな被害想定を踏まえ、

 PMBについて,床⾯露出時,現在の線量率に加え,⼀階開⼝部で14 mSv/h,⼀階廊下で0.7 μSv/h上昇。現在の開⼝部における線量率の実測値は11

線量は線量限度に対し大きく余裕のある状況である。更に、眼の水晶体の等価線量限度について ICRP の声明 45 を自主的に取り入れ、 2018 年 4 月からの自主管理として

鉄道 ・JR 宇都宮線(東北本線) 、高崎線 ・JR 湘南新宿ライン.. ・JR 埼京線 ・JR 京浜東北線

2 環境保全の見地からより遮音効果のあるアーチ形、もしくは高さのある遮音効果のある

「都民ファーストでつくる「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン~」(平成 28年12月 東京都)では、「3つのシティ(セーフ