Title
Cancer chemopreventive effects and toxicological influences by
long-term administration of 24R, 25-dihydroxyvitamin D3, a
vitamin D3 derivative, in rats 1) Chemopreventive effects of
24R, 25-dihydroxyvitamin D3, a vitamin D3 derivative, on
glandular stomach carcinogenesis induced in rats by N- methyl-N'
-nitro-N-nitrosoguanidine and sodium chloride 2) Influences of
long-term administration of 24R, 25-dihydroxyvitamin D3, a
vitamin D3 derivative, in rats( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
池崎, 信一郎
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1214号
Issue Date
1999-09-08
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15058
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 池崎 信一郎(静岡県) 博 士(医学) 乙第 1214 号 平成11年 9 月 8 日 学位規則第4条第2項該当
Cancer chemopreventive effects and toxicologicaJinfIuences
bylong-term admini!tration of24F?,25-dihydroxyv[tamin D3,a Vitamin D3
derivative,jn rats
l)Chemopreventive effects of24R,25-dihydroxYVitamin D3,a Vitamin
D3derivative,On g‡andu[ar stomach carcinogenesisinducedin rats
bY N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine and sodium chlorjde
2)lnfIuences of]ong-term administration of24F?,25-dihYdroxYVitamin D3, a vitamin D3 derivative.in rats
審 査 委 員 (主査)教授 森 秀 樹 (副査)教授 植 松 俊 彦 教授 高 見 剛 論 文 内 容 の 要 旨 疫学的に,カルシウム及びどタミンDの摂取や内因性のどタミンDの増加により、胃腸管の腫瘍の発現が抑制 されることが示唆されている。実際に,ラット結腸に対してはカルシウムの摂取は腫瘍発現を抑制し,またラッ トの2段階発癌モデルのプロモーション期間中に塩化カルシウムを食餌性に与えることにより,用量相関性に腺 胃発癌を抑制することが報告されている。また,胃腸管からのカルシウムの取り込みに深く関与する活性型ビタ ミンDの1,25(OH)2D3は,マウスやラットに対して結腸,皮膚及び乳腺の腫瘍発現を抑制するものの,過度な 高カルシウム血症を惹起することが明らかにされている。一方,別の活性型ビタミンDである24凡25(OH)2D3 については,惹起される血中カルシウムの上昇の程度は1,25(OH)2D3に比して弱いことから,長期間の曝露に よる毒性発現の軽減が期待されるが,この活性型ビタミンDによる発癌に対する抑制作用及び長期投与の影響に ついては報告されていない。 今回,げっ歯類に対する胃発癌物質として知られているN-methyl-N'-nitro一Ⅳ-nitrosoguanidine(MNNG)と, ラットの腺胃発癌を増強するNaClを持続的に投与する発癌モデルを用いて,プロモーション期間中に24月, 25(OH)2D3を長期間投与することによる胃発癌に対する修飾効果及び毒性的影響について検討した。 研究材料と方法 6週齢の雄のWistarラット130匹を5群に分けて以下の処置を行った。第1∼3群(各群30匹)はMNNGを100ppm の濃度で飲料水に混じ,さらに10%NaCl含有の基礎食を8週間に亘って摂取させた。その後57週間に亘って24月, 25(OH)2D3を所定の濃度(1群;5.Oppm,2群;2.5ppm,3群;Oppm)に混じて自由に摂取させた。第4群(20匹) は,MNNG及びNaCl処置なしに57週間に亘って5.Oppmの24R,25(OH)2D,を摂取させた。第5群は無処置対照群 とした。動物試験期間中は,体重及び摂餌量を定期的に測定し,尿中へのカルシウム及びリンの排泄量を動物試 験の初期,中期及び後期の計3回測定した。動物試験終了後(65週),動物を屠殺剖検し,器官重量の測定(肺, 心臓,肝臓,副腎,腎臓t 大腿骨)及び血液生化学的検査を実施し,摘出臓器(器官重量測定賦器,甲状腺,上 皮小体,牌臓,胃及び腸管)を病理組織学的に検索した。 結果と考察 a)イニシエーション処置(MNNG及びNaCl)群(第1∼3群)は著しい休重増加抑制が実験初期にみられたが,動 物試験終了時までには回復した。24凡25(OH)2D3処置は体重増加に対し影響しなかった。
-83-b)尿中カルシウム排泄量は,検査を実施した3回とも24月,25(OH)2D3処置によって有意な増加を示し,一方 MNNG及びNaCl処置による変動はみられなかった。 c)24凡25(OH)2D3処置群(第4群)は,対照群(第5群)に比して血清中リン値は有意(p<0.05)に高かった。カルシ ウムを含むその他の血液生化学的パラメーターには,有意な変化はみられなかった。 d)24R,25(OH)2D3処置群(第4群)は,対照群(第5群)に比して副腎及び大腿骨の絶対重量の増加(p<0.01, p<0.05)と比重量の増加(p<0.01)がみられた。 e)腺胃における異型的過形成巣の出現頻度は,1群(21%)及び2群(38%)は,3群(66%)に比して有意(p<0.01, p<0.05)に低かった。腺癌の出現頻度は低く,また24月,25(OH)2D3処置に依存しなかったが,腺癌と異型的 過形成巣の合計の出現頻度においては,1群(24%)は3群(70%)に比して有意(p<0.01)に低下した。両増殖性 病変の発現頻度は胃休部及び幽門部とも24月,25(OH)2D3の処置により用量相関性に減少し,胃休部では有意 (p<0.01)に減少した。4及び5群では,腺癌及び異型的過形成巣はみられなかった。 f)腺胃における両増殖性病変の発現個数は,1群(0.31)及び2群(0.66)は,3群(1.21)に比して有意(p<0,01, p<0.05)に少なかった。1群(0.24)及び2群(0.59)の異型的過形成巣の発現個数についても,3群(1.14)に比して 有意(p<0.01,p<0.05)に少なかった。 g)24凡25(OH)2D3による組織学的影響としては、副腎髄質では過形成及び褐色細胞腫が,大腿骨では皮質骨の 肥厚がみられた。 以上の如く,24月,25(OH)2D。の処置は,腺胃の腫瘍及び前癌病変の発現に対して抑制効果が認められたもの の、副腎髄質に対しては増殖性病変を惹起した。しかしながら、生休内カルシウムの恒常性の変化と副腎髄質の クロム親和細胞の増殖性病変との相関性はラットに特異的に認められるものであり、ヒトでは明らかでないこと から,24月,25(OH)2D3はヒトの胃発癌に対する化学予防物質として有用である可能性が示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者 池崎信一郎はラットの腺胃発癌モデルを用いて,プロモーション期間中に活性型ビタミンDの24月, 25(OH)2D。を長期間投与することによって,24月,25(OH)2D3が胃発癌に対する化学予防物質として有効である 可能性を示した。本研究の成果は,腫瘍病理学の進歩に少なからず寄与するものと認められる。 [主論文公表誌]
Cancer chemopreventive effects and toxicologicalinfluences bylong-term administration of24R,25-dihydroxyvitamin D3,a Vitamin D3derivative,in rats
l)Chemopreventiveeffects of24R.25-dihydroxyvitamin D3,aVitamin D3derivative,On glandular
StOmaCh carcinogenesisinducedin rats by N-methyl-N'-nitro-ルnitrosoguanidine and sodium chloride
1996年6月発行 Cancer Research56(15):2767-2770
2)Influences oflong-term administration of24R,25-dihydroxyvitamin D3,avitamin D3derivative,
in rats
1999年5月発行 TheJournalof ToxicologicalSciences24(2):133-139