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<報告>大学における教授法と教育システムの開発(8) : インターネットを初修外国語の学習に活用する 利用統計を見る

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全文

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(8) : インターネットを初修外国語の学習に活用す

著者

森 彰

著者別名

Mori Akira

雑誌名

経営論集

49

ページ

271-288

発行年

1999-03-31

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005603/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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( 報 告) 経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 )

大学における教授法と教育システムの開発(8)

- イ ン タ ー ネ ッ ト を 初 修 外 国 語 の 学 習 に 活 用 す る 森 彰 は じめに ! 外 国ホ ー ムペ ージの利 用2 初修 外国 語 の体得 と利 用3 イタ リ ア語の 自学 : ケ ース・ スタ ディ ー \4 初 修外 国 語で のホ ー ムペ ージ利 用 の実験 お わりに 資 料 セント ラル・ クイ ーンズラ ンド大学 調査報告 書 瑶 イ ン タ ー ネ ッ ト を 初 修 外 国 語 の 学 習 に 活 用 す る 271 は じ め に 論者 は、95 年 度 は交換 研 究員 とし て 、 ヨ ーロ ッパ に1 年 間 滞 在し た。そ こで は 、 マ ル チ・ リン ガル な コ ミュニ ケ ーショ ンが普 通 と なっ てい る社 会を 見る こ とが 出来た 。そ うし た 経 験を 踏 ま えて、 帰国 後 の96 年 度に 担 当し た外 国 商学 書講 読( 英I ) におい て、 ハイテ クを 活 用 す る とい う新しい 実 験を 試 みた。 さら に、97 年度 に は 、 マ ー ケテ ィン グ・ リサ ーチ論 で の タ ー 声、ペ ーパ ー( 以下 論 文 と 言 う) の質を 向上 さ せ るた めに 、外 国 語 の ホ ー ムペ ージを 利 用す る実 験を し た。97 年 、98年 の2 年 間に わた り、 東 洋大 学 国際 交 流 セ ンタ ーの 副所 長を 勤 め、 海 外 英 語 セ ミナ ーや 交 換留 学生 の 派遣 お よび受け 入 れ等 の実 態を 目 の当 た りに し た。現 実 の国 際交 流 活 動 とい うフ ィル タ ーを 通し て ではあ る が、東 洋 大学 に おけ る語 学 教育 が抱え てい る多 く の問題 点を 知 る事 とな った。 さら に同 セン タ ーの所長 であ る 浦 田教 授 よ り、英 語 教 育に 関す る多 く の アドバ イ スを 得 た1. こ れら2 つ の実験 、お よび 役 職経 験を 踏 まえ、 効 率的 かつ 効果 的 な、 外国 語を 修得 し 活 用 する た め の新 しい 教授法を 生 み出 せた。 本 論 では 、 初 修外 国語を 修 得し そ れを活 用 す るた め の新 しい 教 授 法に 論 点を 絞 って 論述 し たい。 こ の 教授 法 の 内容 は 極め て簡 単であ る。 ・ 学 生が 関 心を 持 ってい る 領域 の知 識 を、 まず は 日本語 で 仕 入 れ さ せ る 。 学 生 は 自 分 が 関 心 を 持 っ てい る 事柄 に関 し て勉 学 する こ とが 単 位 の取得 に 関 係す ると なる と、驚 くほ ど 深 く研 究 す る。 か くし て 、 語学 以前 に必 要 な、 高度 な コン テン ツを 学生 は 身に 付け るこ とに な る。 ・ 同 時並 行 的に 、 初修 外国 語 の基 礎を 数 時 間( お お むね10時 間以 内) で教 授 す る。 後 述 す る よう

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に 、細か い 文法を 教 え込 む より も、 基礎 だけ を 教え て、 あ とは時 間を 掛け た 自学 に 任 す方 が効 果が あ がる。 ・ つぎ に、 イ ン タ ーネ ットを 使 っ て、 学 生が 関心を 持 って い る領域 のデ ータを 、 学 習す る外 国語 の ホ ームペ ージから 探さ せ る。 キ ー ワード`で検索 し た多 数の ホ ー ムペ ー ジ の うち 、 適 切 な ホ ー ム ペ ージを 探し 出 すだけ で も、外 国語 の修 得に 大い に役 立つ。多 分、そ の ために 辞 書を100 回 以上 引く こ とにな る。 ・ 探 し 出し たデ ータを 教 材 とし て、毎 週 、2頁 以上 を 日本 語 もし くは英 語 に 翻 訳 さ せ、提 出さ せる。 ここ で教員 は 添 削し てはい け な い。 質 問 に 答え るだけ であ る。 年25週 で50頁 も の量 が 翻訳 さ れる。 ・ 翻訳 の困 難な 個所 は 翻訳 ソフ トを 使 わ せる。 イ ソ タ ーネ ッ斗 のブ ラ ウザ ーに も無 料 の翻訳 ソフ ト はあ るし 、 大学 なら よ り高 度 な 翻訳 ソフト を 揃え るこ とも 出来 るだ ろ う。 翻 訳 で きな い で、勉 学 の意欲を 失 な わせ る よ りは、 支 援 シ ステ ムを 使 って で も、 目標を完 遂 さ せた 方 が 良い 。 ・ 年 度 の終 わ りに は 、学 生 が 自 分 自身 で 自分 の翻訳を 修 正 する。 こ の時 、年 度 の 最初 に 翻訳し た ものは ほ とん ど翻 訳し 直し に な る。 とい うことは 、学 生 の学力 は初 心 者を 指 導 で き る位 に なった こ とを 意 味す る。 ・ 原文 と日本 語 の対 訳文 書 を ハ ードカ バ ー製本 し て1 つ の作 品を 作 る。 1 外 国 ホ ー ム ペ ー ジ の 利 用 初 修外 国 語 の新 し い 教授 法 の 開発 に 先 立ち 、96 年 度 の外国 商学 書 講読 (英I) で得ら れた英語 教育 の新 七 い 教授法を 説 明す る2 本 学 の経 営学 部で も1 年 次と2 年 次 と で 週2 回 以 上 の語 学 お よ び、 語学 関 連 の授業 があ っ た /1 、2 年 次に 語学 科 目を 履 修し たに も 関わ らず 、1 年 生 よ りも3 年 生 の方 が 英 語 の学 力 が低 い 場 合 が多 い3 こ うし た実 態を 何と か改 善す べ く、経 営 学 部らし い 教育方 法を 開発 す るた めに 、英 語 の 学 習に 関 し て新し い 実験を 試 みた。 受 講生 が 関心を 持 っ てい る テ ーマに 関す る 日本 語 の資 料を 何らか の 方 法4で 入 手 さぞ 、 講 義 時 間 以 外 の時 間帯 で 勉強 さ せる。 関 心 領域 とし て、 学 生 の趣味 を 選択さ せ た ときに は、 こ れ までに得 て い た知 識 に 加え新 しい 知 識 が 入手 でき る。学生 はさ らに 趣味5に関 する 勉 強を 自発 的に す す め、そ れ まで の断 片的 な知 識を 体 系化 す る よ うに な る。 関 心領 域に 関す る 体系的 な知 識 が 日本 語を 使 って得 ら れ た段 階 で、イ ン タ ーネ ヅトを 使 っ て、 英語 情 報を 探さ せ る。 主 な 情報 源 は 英語 のホ ームペ ージ で あ る。 新 たに得 ら れた英 語 の 情報 の うち 内 容的に 重 要な 部分を 日本語 に 翻訳 さ せ、 英語 と日本 語 の対訳 本を 年 度 の後半 に 作成 さ せた6。 原則 とし て、毎 週2 頁 程度 ずつ 翻訳 を 提 出 さ せた。は じめの うちは 、1 週 間に2 頁 の翻 訳 は で きなか った よ うだが 、提 出 の回数を 重 ね るに 連 れて 、2 頁 の翻訳 作業 は 困 難で はな く なっ て き たム こ の 間、 論者 ( 担当 教員) は 質問 に は答 え る が、 添 削指 導はし な

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大学 に おけ る 教授 法 と 教 育 シ ス テ ム の開 発C8 ) 273 かっ た。 提 出 され た 翻訳文 書 の良い と ころを 紹介 し、 教室 にい る 学 生に 回覧 し、 お 互い に よい 点を 取 り入れ る よ うに 指導 し ただけ であ る。10週 間程 度 の期 間に 、 平均 的 に は、2 頁 ×10週 =20頁 以上 の翻訳 が 出来 上 が っ た。完 成 された 翻訳 は、厚 さ が5 ミリ から10 ミV 近い 成果 物 と な り、大 学 の製 本 機を 借用 し て製 本 さ せ た。 要 す るに 、学 生 が 関心 を抱 いてい る テ ーマで、語学 お よび コソ テ ソ デ に 関す る 基礎 的 な勉 学 の指 導を し、 つい で、 勉 学成 果 が形に なる よ うに す れば 、学 生 は 自発 的 に学 習 する こ とが 確認 で きた。 外 国 語の 授業 、 と りわけ 英 語 の授業 で、こ うした方 式 を 採用 し て い る ケ ースを 聞 い たこ とが ない8 2 初 修 外 国 語 の 体 得 と 利 用 (1) 大学 にお け る初 修 外国語 の教育 これ から の 日本 人 は 、研 究対象 とし た り、交 流を 持 と うとし た 国 の言語 を 使 うこ と の重 要 性を 認 識す る 必要 があ る だ ろ う。世 界には多 数 の 言語 があ り、複数 の外 国語 の基礎9を 大 学時 代に 修得 す る こと が望 まし い10。し かし な がら、本 学 の経営 学部 に あ って も、初 修外 国 語に 関し て は、外 国語 自体 の勉 強を 目的 とす る 教育 が一 般的 であ り、初 修外 国 語を 使っ て経 営 学や 外 国 の実 態を 学ば せ る教育 は 、皆 無 に近 い とい える。 さらに、 第2 外国 語 とし て1 つ の外 国 語 の履 修を 義務 づけ てい る≒ こ れま でに 、 初 修外 国 語を学 生時 代に 活用 す る機会 が少 なか っ た 原因 はい くつ か あ る。 そ の うち、 最 大 の原 因 と思 わ れ る3 つ を示 す。 第1 の原 因 とし ては 、初 修外 国語を 教育 す る担 当者 が 経営 もし く は経営 学 の専 門家 ではな く、 主 とし て、 語 学 もし くは文 学 の専門 家 であ った こ とが挙 げ ら れ る。 こ うし た専 門家 が 初修 外国 語を 担 当す れば 、 初修 外 国語 教育 の 目的 が 初修外 国語 の 使用 で ぱ な く、 初修 外国 語 自体 の 学習に な るこ と は自 明 の理 であ ろ う。 第2 の原因 と し て は、 文 法な どの テキ ストや 入門 書 は充 実 し てい る が、 リーデ ィ ン グ教材 は、文 学 も の、時 事 もの、 会 話 も の、な ど限ら れ た領 域で 種類 も少 な か った。 経 営や 経営 学 に関 す る教 材 は 皆無 であ っ た か もし れ ない。 こ うし た環 境 の中 に あ って は、 初 修 外国 語 の授業 は 、 初修外 国 語 の 知 識 を 教 授す る だけ に 留 ま ってし まい、 初 修外国 語を 勉学 や生 活 で 活用 す るた め の 教 育 町こは な ら なか っ た。 第3 の原 因 は、 初 修 外 国語を 担当 してい る語学 の 教員 の多 くは パ ソ コンを 所 有 せ ず 、イ ン タ ー ネ ット も使 って い た い こ とが多 か った。そ の結果 、 カ セ ット テ ープ とビ デ オ以外 の情報 シ ステ ムを 使 っ た教 授法 に は 不案 内 で、大学 の教室 の中 で の教育 を 中心 に し た 教授 法が 採用 さ れてい る。 状況 は一 変 し た。 まず 、 第 \の原 因に関 し ては、 語 学 教員 の学 部へ の 分属 が進 み つつあ る こ とが 挙げ ら れ る。 そ の 結果 、 語 学教員 の人 事、 カ リキ ュ ラ ム編成 の 責 任が 学 部に任 さ れ る ように なっ て

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きた。 第2 の原 因 に関 して は、 初 修外 国語 の教 材 は、 無 限に 入 手 で き る よう に な っ た 。 イ ン タ-ネ ット を 活 用す る と、 自分 の 勉学や 研 究に役 立 つ外 国 語 の資 料 はい くら で も簡 単に 人 手 で き る13よ うに なう た。 そ うし た資 料を 初 修外 国語 の 教材 と して 活用 す る こと も出来 る。 第3 の原 因に 関 し て は 、 オフ キ ャ ソパ ス教 育の イ ンフ ラが急 速に 進 ん でい る こ とが 挙げ られ る。 教 室で初 修 外 国語 め基 礎 の基 礎を 数 時 間学 べ ば、 々ル チ メデ ィア 教材を 活 用 し た 自学 も可能 とな っ た。 外 国語 で作 成 さ れ て いる ホ ー ムペ ージ の検索 の仕方 な り見方 や 読 み方 を 身に 付け れば、 外国 語 の ホ ー ムペ ージであ う て も楽し み なが ら読 め る よ うに なる こ とも判 明 し た。 ホ ー ムペ ージ が読め る よ うに な れば、 外 国語 で 書か れ た比 較的 簡 単 な経営 学 の資料 も読 める だろ う。 教 育を 支 援す る こと が 出来 る情 報 シス テ ム の発 展 の成 果を 語学 教育 に導 入し 、 高度 な教 育 サ ービ ス の提供 の実現 は教員 の責 務で あ る と考え ら れ る。 △ 犬 十 ・。 (2) 初 修 外 国語 を研 究に 活 用 する学 生y97 年 度 か らは 、3 年 生と4 年 生向け の科 目 であ る マ ー ケテ ィン グ・ リサ ーチ論 を 、論 者 は担 当 した。 イ ン タ ーネ ット のホ ー ムペ ージな どを 使 った ケー ス・ ス タデ ィ ー、 事例 収集 、 最新 実 態の 検 索 、 アイ デ ィア のネ タ探 し、 各種調 査 デ ータ の収 集 、な ど の技 法を 中心 テ ーマとし た 々 − ケテ ィン グ・ リサ ーチ論 を 講義 した14. 論文 を作 成す るに あ たっ て は、 海外 の事 例を 使用 す る こ と を 義 務 づ け た。 具 体的 に は 、外 国語 の ホ ー ムペ ージを 検索 し て、 重 要な 部分 は 翻訳 させ 論文 の中 で 資料 と し て 利用 さ せ た。 一 教員 が予 想 し た レベ ル より高 い レベ ルの 勉学 を し た ケ ースが 発生 した、 そ れ は、 論文 作成 に ド イ ツ語 の資料 を 利 用 した学 生 が発 生し た ので あ る。 こ の4 年 生 の学生 は、 前年 度に 「外 国経 営学 書講 読」 を 履修 し た。 そ の講 義 では、 ド イ ツ語 の知 識 が全 く 無い まま、6 回 ほ どド イ ツ語 の初 歩を 講義 さ れた 後に 、ド イ ツ語 の経 営学 書を 読 まさ れ た15. 卒論 の テ ーマ は「電 子 マネ ー」で あ=り、そ の1 つ の ケ ース とし て ド イ ツに おけ る電 子 マ ネ ーの 実 験 の 実 態16を イ ン タ ー ネ ット で 調 べ 、 ド イ ツ 語 の ホ ー ムペ ー ジ資料 を 日本 語に 翻 訳し てい た。 (3) 外 国 語 自学 の 可能性 の 検討 イ タ リア 語 の ホ ームペ ージ"を 検索し た学 生 もい た。こ の学生 は 、イ タ リ ア語 は全 くで きな い。イ タリ ア語 が で きな く、 人 の手助 け も なく、 イ タ リ アの ホ ー ムペ ージを 探し 出 せた。 作 業 自体 の程 度 は低 い が、 初 め て の試 み とい う意味 で は高 く 評 価で き る。 学生 に とっ て の次 の 目標は 、 自力 で 翻訳 す るこ とだ ろ う。 そ れがで き れば、 そ の学 生 は語 学 全般 に恐 れを 抱か な くな るだろ う。 学 生 にそ の 一 部 を 翻訳 す る よ う指 導し た。 残念 で はあ る が、 そ の学 生 はそ れ 以後 の講 義に は まっ た く出席 し な

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大学 におけ る教授法 と教育 システ ムの開発(8) 275 く な った。 学 生 に無 理な 勉学を 指導 し たの か と不 安に な り、論 者 自身で 、イ タ リ ア語 が 自学 で き る か ど うか実 験 し た。そ れ はで きた。 そ の詳 細 は次 項に 示 す。 し さら に、 新 しい 発 見をし た。 初修 外国 語 の テ キスト とし ては 、 イン タ ーネット のホ ームペ ージが 適切 であ るこ と が判 明し た。英 語以 外 の言 語 で作成 さ れてい る ホ ー ムペ ージ の多 くは英 語 版を 用 意 し て い る18.上 記 のイ タ リア語の ホ ー ムペ ージに も英 語 版 はあ っ た。た だし、後述 す る よ うに 、正 確 な英 語 では な か った。 外 国の ホー ムペ ージ では 、学 生 一 人一 人 の関 心に 合っ た、 手 作 りの 、 初修 外 国 語 と英 語 の対 訳 の、 テ キスト が提供 さ れ てい る と考 え るこ と が出来 る。 初 修外 国 語 のわ から ない 部 分 は、 英 語版 の対 応 する 部分を 読 めば 内容 が 理 解で き るだ ろ う。 ここ では、英 語を 実 際に 活 用 す る 場 も発 生 す る。 言い換 え るなら 、 日本語 で 初 修外 国 語を 学 ぶ のでは な く、英 語 を 使 って初 修外 国 語を 学 ぶ新 し い 方式 が確 立 できる だろ うレ マ ルチ リ ンガ ル能 力19の修得 はこ れか ら の 日本 人に 不可 欠な 要件 であ る と考え ら れ る 。 外 国 語 は 教 わ って身 に つ く もので は ない 。 自学 自習 が重 要 な 要 件 とな っ てい る。 そ うし た 意味 で、 一 人 で外 国語 を 学 ぶた め の ノウ ハウ の開発 も必要 と な るだ ろ う。 ノ ウハ ウ開発 のた め の第 一 歩 が、 次 の ケー ス ・ スタデ ィ ーであ る。 3 イ タ リ ア 語 の 自 学 : ケ ー ス ・ ス タ デ ィ ー 学 生 が探 し 出し て来 た イ タリア語 の資 料を 、 イ タ リ ア語を 全 く知 らない 論 者が 、果 たし て 理 解で きる か ど うか の実 験を した 。ここで 使用 し た資 料 は 、“Botta&B" とい うイ タ リ アのフ ァ ッショ ソ メ ¬ヵ − の ホ ー ムペ ージで あっ た。 こ のホ ームペ ージ の最初 の 部分 ぱ次に 示 す通 りであ る 。 Daunaesperienzaditregenerazionicometessutaiprimaeconfezionistipoi,nasceBot-ta&B",negoziocuneesecheproponeabbigliamentodialtaqualitaconlevetrinechesi affaccianoalleportedelcentrostorico,difrontealiagrandePiazzaGalimberti,sottoiporticidi corsoNizza. ト イ タ リ ア語を 自学す る ために 、つ ぎ の2 冊 の本 を 購 入し た。 浦 一 章 『 イ タ リア語 早わか り』三 修 社、1997 年。 『伊 和 中 辞典 』 小学 館。 最初 に、1 時 間 程かけ て『イ タ リア語 早 わか り』 の重 要そ うな ところ を 拾い 読 みし た。 つい で、 上 記し た イ タ リ ア語 の文 章 の単 語を すべ て辞 書 で 引い て 、 翻訳 し てみ た。40 分 程度 で大 体 の 概要 は 理 解で きた 。

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イ タ リア語 を、対 応 する と思 わ れる英 語 も し くは 日本語 もし くは フ ラン ス語 と に置 き換 え た。 括 弧 内は 日本 語 もし くは フ ラン ス語 の対 応 す る 単語 で あ る。 単語を 置 き換 えた だけ であ る の で、 翻 訳

さ れて はい ない が、 こ の商店 の歴 史 と立 地 場 所を 説 明し てい るこ とは理 解で き る。

From (De )one(une)experienceof (de )three(trois)generationsas (comme)tissueatfirst (premier )and (et)

仕 立 てafter, 生 ま れ る (nait)"BottaandB", 商 店 ク ー ネ オ のwhich (que )proposes

服ofhigh (haut)quality(qualite)withthe (le) シa ウ イ ン ド ーwhich (que )itself 見 せ

るatthe (ale ) 門(porte)ofthecentre 歴 史 的 な ,infrontofthegrand (広 い ) 広 場 ガ リ ソ ベ ル チ,under (sous)the 入 り 口of 大 通 り ニ ッ ツ ア ( ニ こ ス ).

イ タ リ ア語 は自学 で1 時 間学 んだ だけ で 、 さら に 会 社 の概要 やイ タ リ アの地 理 も知 ら ない 論 者が 直 訳 する と次 の ように なっ た。 最初 は 服 地屋、次は 仕立 て 屋と して 、3 世 代 の経 験 から 、BottaandB は クーネ オに 生 ま れ た。こ の店は ショ ーウイン ド ーに 高 品質 な服 を 飾 っ てい る。 この店 は ニ ース大 通 りの入 り 口に あ る大 きな ガ リ ソペ ル チ広場 に 面し た歴 史的 な中 心 地 へ の入 り口に あ る。 辞 書引 きで苦 労 した 内容 は、 次 の もの であ る 。 クーネ オ、 ガ リソ ベルチ 、 ニ ッ ツア、 な どが固 有 名 詞 であ るこ とが わから な か った。 学 生 が提 出 し たイ タ リ ア語 のプ リント で は、 イ タ リ ア語 特有 の 文 字 (た とえ ば、a ) が ?マ ー クとな って い た ので 、疑 問 文 であ る と勘違い し て し ま った。 ブ ラウ ザ ーの表 示 文字を 欧 米に し てお かな い と、 ア クサ ソと か ウ ムラ ウト とい っ た記 号 が使 え ない か ら で あ った 。 イ タ リ ア語を 理解 する にあ た って 、役 立 っ た のぱ 次 の事 柄 であ る。 イ タリ ア語 の単 語を す べ て英 語に 置 き 換え れ ば、全 体像 は 理解 可 能 であ る。 イ タ リア語 と同 じ ラテ ン語族 に含 まれ てい るフ ラ ン ス語 の 基 礎的 な知 識を 持つ と楽 で あ る。 単 語、 形 容 詞 のか か り方、 代名 動 詞、名 詞 の 性、 な ど、 フ ラ ンス 語 と多 く の類似 性 があ る。 こ の よ うな点 は 、語 学 の 専門家 に と っては 常識 の様 で あ るだろ う。 に もか か わら ず、 こ うした 常識 が語 学 の教育 に 生 か され てい る のだ ろ うか20 英 語版 で のホ ー ムペ ージは次 の よ うに な って い る。 こ の英 語 は、 かな り不 正確 で 、多 分、 英語 が 不得 意 なイ タ リ ア人 が 書い た もの と考 えら れ る。 もし く は、 翻訳 ソフト で機 械的 に 翻 訳し た も のに 全 く手 を 入 れて い ない のか もし れな い。 こ の程 度 の英 語 で 乱 堂 々 とホ ームペ ージに 掲載 し てい る。

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大学 に お け る 教 授 法 と 教 育 シ ス テ ムの 開 発(8) 277 Botta&Bbecame,fromane χperienceofthreegenerationsfirstofallinqualityofclothmillandthanastailor's.OurCompanyestablishedin1900,havehisseatinthehistoricalcenterofCuneo,acityinthenorth −westsideItaly.TheshowroomisinthefrontofthePiazzaGalimbertisquareallarcadelongoftheNizzastreet. 近 頃 の検 索 エン ジンに は 翻 訳機 能 が 付属 す るよ うにな っ た。 この 翻訳 ソフト を 初 修 外 国語 の勉 学 に 取 り入れ るこ と も必要 だ と 論 者 は 信 じ て い る≒ よ く 知 ら れ て い るAltaVista^'が そ の 一 つ で あ る。 同 ソフト に は、 ドイ ツ語、 イ タ リ ア語、 ポルト ガル 語、 スペ イ ン語、 フ ラン ス 語 の グル ープ と 英 語 と の双方 向 の翻訳 機能 があ る。 英語 ←− →ド イ ツ語 イ タ リ ア語 ポル ト ガ ル語 スペ イ ン語 フ ラン ス語 文 字 列を 翻訳 す るだげ では な く、HTML の まま翻 訳し 、 画面 のイ メ ー ジを 崩 さ ず に 、 結果を 表 示 し て くれ る。 こ の機能 を 使 って イ タ リ ア語 から英 語に 翻 訳し た結果 が次 の英 文 で あ る。 Fromaexperienceofthreegenerationsliketessutaibeforeandconfezionistithen,itisBotta &B",cuneesestorethatproposesapparelwiththedisplaywindowsthatshowoneselftothe doorsofthehistoricalcenter,offoreheadtogreatPiazzaGalimberti,undertheporchesof Nizzacourse. 正 しい 英語 に は翻 訳 され てい ない が、 細 かい 表現 の 誤 りを 無 視す れば 、 論 者 が先 に示 し た、 単語 を 置 き換え た だけ の資 料 よりは 良い 。 現 在 のAltaVistaに 付属 して い る翻 訳 ソフ ト の 機 能 は 、 十 分 と は言 えな い。 た とえ ば、 文 章 が長 く な る と、 翻訳 が正 確に で きな くな る。 辞 書 の 単 語 の数 が少 な いら し く、tessutaiやconfezionistiの よ うに 、イ タ リ ア語 の ままに な って い る 単語 も多 い。前 後 の単 語 の内 容で訳 語 を選 ん でい な い よ うでgrande をgreat と訳 す。showsoneself の よ うに 、代 名 動詞 が 文 法的 に 直訳 さ れて い る。 専 門的 に 評価 す る と、そ の他に も多 く の問 題点 が あ るだ ろ う。 し かし、 初 修外 国語 学 習 の諸段 階 で、 自分 では ほ と ん ど翻訳 で きない 学 生に と って は、 翻訳 ソフ トは 「溺れ た時 の藁 上 以上 に役 に 立つ だ ろ う。 現 時 点 の翻 訳 ソフ トの機 能 が足 りな い とし て も、 今 の よ うな ス

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ピ ート で翻 訳 ソフ ト の 機能 が充 実し ていけ ば 、数年 の うち に無 料 ソフ ト で も 、十 分 安心 し て使え る よ うな ソフ トが 出 回 る可 能 性が 非 常に 高い と 思わ れる。 。 4 初 修 外 国 語 で の ホ ー ム ペ ー ジ 利 用 の 実 験98 年 度に は、 経 営 学部 の1 年 生 向け のフ ラ ン ス語 の ク ラスで 、 フ ラン ス 語 の 教員 が実 験し た。 年 度 の後 半 に、 学 生毎 に ホ ー ムペ ージか らフ ラ ンス語 の資 料を 探 し 出し 、毎 週1 パラ グラフ ずつ 翻 訳 させ23、対 訳 の レ ポ ート を 提 出 させ た。 ‥ 中 間結 果を 見 さ せて もら った 。30弱 の レポ ート の うち 、非 常 に 優 れ て い る レ ポ ート が2 割 程 度 あ っ た。 こ の2 割 とい うのは 、一 般 的に 本学 部 で よく勉 強す る学 生 の 割合 に 合 致 する。 ほ とん ど の レポ ートは ワ ープ ロで作 成 さ れ てtヽだ。し た が って、 イ ン タ ーネ ットか ら の デ ータを フ ァイルに ダ ウンロ ードし て 、 ワープ ロ で 加工 す るこ とは当 た り前に な って い る よ うであ る。 さら に 、対 訳 の文 書形 式 では 、 学生 が考 えた ので あろ う、 論 者 の 開発し た 方 式 と 異な った方 式を 採 用し てい る学 生 が か な りい た。 論 者 は、段 組方 式 もし くは 上下 分割 法式 を 採 用 してい た。 し かし こ の方式 は 実際 に 使 って み る と、 ワ ープ ロ の操作 の方 式 とな じ まな い面 が多 い。 学 生 は、1 行 のフ ランス語 文章 の下 に、 翻 訳 し た 日本 語 の文 章を 書 き込 んで お り、 ワ ープ ロを 使い こ な す ワ ープ ロ文 化 が 完全 に普 及 し てい る と 感じ たレ 問題 点 もあ っ た。 第1 の問 題 点 は、学 生 の計 画書 で、 毎週 異 な った 領 域 のフ ラ ン ス語 の翻訳を 計 画し てい る学 生 が多 く見 うけ ら れた こ とであ る24.第2 の問 題 点は 、担当 す る 教 員が 、添 削に 時間 が かか りすぎ て大変 だ √と 悲 鳴を 上げ てい たご と である。 学 生 の 自発 的な 継 続 的 な さらに 長時 間 の学 習だげ が 実力を 向上 さ せ る ので あ っ て、教 員 の丁 寧な 指導 は 副次 的 であ る と 言 う考 え方を 採用 す れ ば 問題 とは な ら ない だ ろ う。 こ うし た 問題 が 発生 す る の は、 イ マ ージ ョソ教 育25の基 本的 な 考え 方 が 理解 さ れ て い ない か ら で あ る。 イ マ“ ジ ョ ン教 育 は、 カナ ダ の ケペ ッ ク州 で のフ ラン ス語 教育 か ら 発生 し 、 オースト ラ リア で の英 語 教育 で 大幅 に採 用 さ れ てい る方 式 であ る。 論者 は、 学 部 の外 国 語 教育 の方式 と大量留 学へ の 道作 り のた めに 、98年 の11月 に オ ースト ラ リアの セ ント ラル ・ クイ ーン ズ ラ ンド 大学で 調査し た。 こ の結果 は報 告 書 とし て ま と めら れ てい る が、そ の一 部を 参 考資 料 と して 文 末 に 掲載 する。 お わ り に 学 生 が興 味を 持 っ てい る対 象 は、 英語 圏 だけ では ない。 ドイ ツや イ タリ ア とい っ た英語 圏以外 の ホ ーム^ − ジを 検索 し た 学 生 は、 初 修外 国語 を活 用 せざ るを え ない 。 学 生め こ うし た勉学を 観察 し てい た結 果、 初 修外 国 語 の テ キ スト とし てイ ン タ ーネ ット の外国 語 ホ ー ムペ ージ が適 切で あると判

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大学 におけ る教授法と教 育シ ステ ムの開発(8) 279 断 じ た。 外 国 語 ホ ー ムペ ージの活用 に よ り、 日 本語 で 初 修外 国語 を 学 ぶので はな く、英 語を 使 っ て 初 修外 国語 を 学 ぶ画 期的 な方式 が確 立 でき るだろ う。 以 上 の結 果 は97 年 度 の実 践が主 た る素 材と なっ て得 ら れ た。 次年 度 以降 に教 育面 での 研究 ・ 開 発す べ き事 柄 とし て は次 のも のが考 えら れ る。 ・ 大人 数に 対 し て も有 効と なる初 修外 国語 の具 体的 な 教 育方 法 の 開発 ・ 学部 教 育 とし て の初 修外 国語 のあ りかた と 教育方 法 の開発 ・1 ヶ月 で 使 え る よ うに なる初 修 外国語 の イ ンテ ソ シブ 教育 シ ス テ ムの開発 語学 教 育 の専 門家 であ る教員 や 教育 シ ステ ムを 運 用 し てい る 職員 との共同 研 究 の実 現 そ の 他 資 料 セ ン ト ラ ル ・ ク イ ー ン ズ ラ ン ド 大 学 調 査 報 告 書1998 年11 月12 日 よ り同22日 まで オ ースト ラ リ アめ セン ト ラル ・ クイ ーンズ ラン ド大 学( 以下CQU と略 記す る) を 訪 問し た。 訪問 の 目的 は3 つ あ り、 第1 は、 学 部学 生 の短期 お よび長 期 の大 量留 学 の可能 性 の調 査 で あ る。 第2 は、 私 の研 究領 域で あ る 流通 シ ス テ ムの研 究であ り、 第3 は、 春に 実施 さ れる [語 学 セ ミナ ー] の受 入 環 境の 視察 であ る。 ここ で は第1 の目的 に絞 って 調査 の結 果を 報告 す る。 Dooley 先 生Seniorlecturer^"inOperationsResearchSchoolofmanagement 先 生 はOR 、 品 質 管 理、 お よびロ ジ ステ ィ ックスを 担 当 して い る 教員で あ る。 こ の先生 と は、 主 とし て 流通 領 域 の情 報交 換 をし たが、 経営 学 部学 生 の専 門 科 目受 講 の可 能性に 関 し て も討 論 し た。 そ の結果 、 次に 示 す 実態 と 意見を知 る事が で きた。 ① ア ジ アから の留 学生 の多 くは 、readingは出来 て もhearingの 能力 は極 端に 欠け て い るこ とが多 い 。 した が って 、 日 本か ら の留学 生 も同じ で、 もし 計 画的 に 学 生を 送 り込 む のであ れば、 通 訳サ ー ビ スを 用 意 す るこ と が不 可欠 とな るだ ろ う。 そ の サ ービ スはCQU で 用 意する こ と も可能 であ る。 また は東 洋大 学 で 用 意し て もよい だろ う。 ② この 問題 は 基 本的 で あ り、留 学生 の英 語能力 の低 さ に講 義を あ わ せる こ とは で きないよ 日常 の 生活 で 得ら れ る英 語 能 力 は学 問に必 要 な英語 能力 とは 異 なる の で、 英語 ス クールに 在学 し て、 学問 に必 要 な英 語 の ス キルを 身に 付け るこ とも考 えら れ る。 ト ③ 経営 とか マ ーケテ ィン グの領域 は、 教 材 の準備 の 容易 性、 学 生 の 日常生 活で の体験 、楽 し める、

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とい っ た面 で、 比 較的 容易 に教 育 の方 法を 作 り出す こ とが 出来 る。 ④ 最 も効果 的 な ス タイル は、 日豪 の学生 の グル ープを 作 り教 育す る方式 であ る。 た とえ ば、 前 半 ば 日 本で 勉学 し 、後 半は オ ースト ラ リ アで勉 学 する とい った方 式 であ る。 なお 、CQU の経 営 学 部 で の 日本 語 の受 講生 は数 人 である が、 イ マ ージ ョソ 教 育 セ ンタ ーに は80名 ほ どが い る。 ⑤ 私(森 ) か ら、 バデ ィーシ ステ ム( 日豪 の学 生 力社 名 ずつ チ ームを 組 む シ ステ ム) を つ くり、 イ ン タ ーネ ット で共 同研 究す る方式 を 提案 し たが 、 反 応は な か った。 ⑥ 英 語 の学力 を 付け る には コ ミット メン ト が重 要 で あ り、学 生 が魅力 を 感じ る物 との コ ンビ ネ ー シ ョ ンが不 可欠 であ る。 この コン ビ ネ ーシ ョ ンは 、 場所 、 レ クレ ーショ ソ、そ の 他多 く の ものが 考 え ら れ る。 ⑦ 日本 の学 生 を受 け 入 れるた めに は、 日 本語 教 育 部門 の 協力 も必要 か も知 れ ない 。い ず れに し て も、TOEFL の一 定 の成 績は 不可欠 とな る。 ⑧ 教育 期間 は3 ヶ月 程度 が必 要 となる。2 週 間 と か3 週 間程 度 のカ リキ ュラ ムも考え る こ とは 出 来 る が、 協同 研 究的 な もの は難し い だろ う。 ⑨ な お、 専 門科 目の ロジ ステ ィ ッ クス の コ ース ガイ ド は(UnitProfile) は24 頁 に 渡 る資 料 で あ る。 そ の見 本 は 私(森 ) が持 っ てい ます ので 、 興味 があ る方 は お問い 合 わせ くだ さい 。 TonyErben 先 生DirectorandSeniorLecturerCenterforStudiesinImmersionTeacherEducation ‥FacultyofEducationDougWyer 氏HeadofSchoolProfessional&WorkplaceEducationFacultyofEducation&CreativeArts イ マ ー ジ ョ ン 教 育 の 専 門 家 で あ る 両 氏 の 話 を 聞 い た 。 ① 最 初 は 聞 く 力 を 付 け る と こ ろ か ら 始 め る 。 ② 汎 用 的 な 英 語 力 で は な く 、特 定 の 領 域 の 仕 事 (professionalarea )に 従 事 し な が ら 英 語 を 学 ぶ 方 式 が 有 効 で あ る 。 た と え ば 、3 ヶ月 も し く は6 ヶ月 、 も し く は1 年 間 をK マ ー ト 等 の 職 場 で 働 き な が ら 英 語 を 学 ぶ 。 こ の 間 、 教 員 が 適 切 に 指 導 す る 体 制 とな っ て い る。 た と え ば 、 週 の う ち の1 日 は 大 学 で 学 び4 日 は 職 場 で 働 く 形 が 典 型 的 で あ る 。 こ の た め に は 、workingoccupationa トtrainingvisa が 活 用 で き る 。Vocational ( 職 業 場 の )EducationTraining な の で 、 給 料 ぱ 得 ら れ な い 。

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大 学 に お け る 教 授 法 と 教 育 シ ス テ ム の 開 発(8) 281 ③ ロ ッ クハ ンプ ト ンだけ でなく、CQU の分 校 があ る 地方 の キ ャンパ スで もこ の種 の 教育 は なさ れ てい る。 ラ ム酒 の生産 工場、 石油 基地 、 商 業 施設 、 牛 の牧 場な ど、 オ ースト ラ リ アの社 会 を 理解 す る のに役 立 つ 研修 場所 も用 意され てい る。 ④ 英 語学 力 が低 い学 生 のた めのイ マ ージ ョ ン教 育 も 用意 さ れてい る。 そ れは 、 イ ン タ ーン シ ップ、 教 室 で の授 業 、 イソ テソ シブ教育 、 レギ ュラ ー教 育、 な どを 適 切に 組 み合わ せ る方 式 で あ る。 小売 で の場 合 は 、 最初 の1 ヶ月 はバ ッ クヤ ードで の作業 とな る が、順 次、 売 り場、 レジ 、 … … と職 場を 加え て 、 最終 的 には ア シス タント ・マ ネ ジ ャ ーの下 で 働 くrepeatprogram が提供 さ れて い る。 ⑤ 職 場 で は、 ロ ーカノい マ ネジ ャ ーが責 任 持 っ て対 処し て くれ る。 しかし 、 ト レ ーニ ン グフ ィ ー は要 求 さ れて い ない。 場 合に よって は、 アル バイ ト 代を 払 っ てく れる こと もあ る。 大 学 と し ては、 最 初に 学 生 の要望を 聞き、 そ れか ら、 会 社に 交 渉 し てい る。 DavidChapman 先 生LecturerinJapaneseCenterforStudiesinImmersionTeacherEducationFacultyofEducation 大変 に 日 本語 の う まい 先 生であ っ た。 食 事を し な がら の 話し 合っ たた め、 メモを 取 れ なか っ た。 後か ら 思い 出し な がら メモを 作っ た ので、 資 料 と して は 十 分で はない 。 ①StudySkill を重 視し た 教育を して い る。 具 体 的に は 、 考え る方 法、PC の使い 方 、図 書 館 の利 用 方 法、 レ ポ ート の作 り方27、 プレ ゼ ンテ ーシ3 ン の仕 方 、 などで あ る。 ② 費 用 は 学 生が 負担 す るこ とが原 則で あ る。 ③ と くに お もし ろい 企画 はEnglishintheOutback であ る。CarnarvonGeorge ( カ ー ナ ー ボ ン ゴ ーシ ュ) 国 立 公 園で キ ャンプを し、 アウト ド ア ー・ レ クレ ーシ ョンを楽 し み なが ら英 語 を 勉 学 す る とい う内容 に な ってい る。 観光 客が 行か な い 、 日本 人 が居 ない 、 ところ で の サバ イ バル 英 語 のト レ ーニ ン グ とな る。 オ ースト ラリ ア人 と のバ デ ィ ーを 組 む システ ムとなっ てい る の で、1 対1 の英 語 学 習 が出 来 る。 アボ リジュ の生活を も体 験 で き、 場 合に よって は、虫 を 食べ るこ と もあ る。 ToshioIkeda 先 生LectureCenterforstudiesinImmersionTeacherEducationFacultyofEducation イ マ ージ ョ ソ 教育 の説 明ビ デオを 見な が ら、 イ マ ージ ョソ 教育 の概 要を 説明 し て もら っ た。

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① イマ ージ ョソ 教育に 関 す る資 料 な ど ニ 静 岡県沼 津市 の加藤学 園 では 小 学 校か ら の イ マ ージョ ソ英 語を 実施し てい る。 両 親 向け のパ ン フ レ ット や シ ソポジ ュー ムの資 料 が 提 供 され てい る。 また、 明 海 大 学 の 佐 々木 文 彦 先 生 ( 日 本 語 学 科) は 本学 (CQU ) のイ マ ージ ョ ソ 教育 に詳 し い。 ② イ マ ージ ョン 教育 の効果 に 関 し て ・ 当 初 の成果 は 少ない が 、時 間 が たつ に 連 れ て高い 点を 取 る ように なる。 ・ イ マ ージ ョン 教育 の原 形 は仏 語 の 教育方 法 とし て カナダ の ケベ ッ ク州 で 開 発さ れ た が、 英 語 と 仏 語 とが 半 々で教育 す る よ りも仏 語 だけ で 教 育 する方 が 効果 があ った。 ・ 七 かし な がら、 大学 で イ マ ージ ョ ソ教 育を 実 施 する ときに は、 す べてを 英 語 です る の では、 効 果 は 高 く ならな い だろ う。 講義 は 日 本語 で 行 な うが、 テ キ スト は英 語 とす る。 そ し て 、 チ ュ ート リ アル と か ゼ ミは 英 語だけ に す るの が好 ましい だろ う。 ・ 多 民族 国家 であ る オ ースト ラリ ア では、 第2 言語 ( 日本 での 外国 語に あ た る) は 日 、 独、英 、 伊 、 ス ペ イン、 ラ テン、 な ど9 つ の 言語 が 提供 さ れ てい る。し かし な がら 、 日 本 では 大 学受 験 の制 約 があ るた めに 実 現は不 可 能だ ろ う。 ∇ オー ス トラ リアの 広大 な土 地 ロ ック ハンプ ト ンから タ ウ ソズ ヴ ィル ま で、 約800 キ むを レン タカ ーで移 動 す る と話 し た ところ 、 幾 つ か の アドバ イ スを 受け た。「 オ ース ト ラ リア は国上 が 日本 の20倍で 、人 口は1800 万 人 くら い し か 居 ないト 状況 で のサ バイ バル ・ テイフ スタ イルを 教 えら れ た。1) ガ ソ リンは フル タ ソ クに し て 出 かけ る こ と。 犬2) 飲 み水 と食 料を十 分 に 積ん で行 くこ と。 高 速 道路 沿い は、 レ スト ラン も ホ テル も 無い 、無 人 地 帯 で、 夜 に なる とガ ソ リン ス タン ド も300 キ ロの 間に2 軒 にな って 七 ま う( 昼 で も9 軒 し か な か っ た)。300 キロを 一気 に突 っ走 る の が オ ース ト ラ リア流 らし い。3 ) レ ン タカ ーは携 帯電 話 付 きで ない と危険 。 故 障し た とき の連 絡が でき ない と、 生 死に つ なが る。4 ) 夕 方 から 夜 にかけ 七は カ ンガ ル ーが 活躍 す る 時間 帯 で、 高速 道路を 横 切 る ので 、 ぶつ か らない よ うに 気を 付け るこ と。 ぶつ か っ た と きに は、 運 転者 の方 の 命が あぶ ない。 実 際 に走 っ て みると 、 ワラビ の死体 が300 キロ の間 に4 つ も あ った。 ノ オ ー スト ラ リアで は、 高速 道 路 とい っ て も、 高架 で は な く、 両 側に フ ェン ス もな く 、 日本 での 地 方 の県 道( 片 側1車線 、両 側2 車 線 で 、1 メ ータ ーくら い の路 肩が 付い た ア スフ ァルト 舗 装 の道路) 程度 で あ る。制 限 速度 は100 キ ロ/ 時 で、 と ころ に よって は110 キロ/ 時も あ る。 力j ラ とヘ リコ プ タ ーを 使 って の取 り締 ま り のた め、 ほ と ん ど の車 は5 キ ロ オ ーバ ー以下 で走 り、 一 部 の車 は10キ ロ

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大学に おけ る教 授法 と教育 システ ムの開 発(8) 283 オ ーバ ーで 走 ってい る。 そ れ以上 の スピ ードで走 る 車はほ と ん ど無 い。 こ の高 速 道 路 は町 の真 ん中 を 突 っ切 っ てお り、 生活 道路 とな っ てい る。 こ の 区 間は、60 キ ロ/ 時 とな ってい る。 日本 や イ ギ リス と同じ よ うに 、 車は 左 側通 行 と な ってい る。 し たが って、 日本 で 運転 を 十 分し て い れば 、違 和感無 し に運転 は 出来 る。 Bartlett先 生AssistantvicechancellorFoundationProfessorofEducation 学長 で副 総長 補 佐28の先 生 であ る。CQU 全 体 め戦略 を お 聞きし た。さら に、東 洋大 学 国 際交 流 セ ン タ ーの現 状を 報告 し た。 ① 移転 計 画。 経営 、情 報、 芸術、 な どの一 部 の 学 部を市 内の中 心 部に移 転 する こ とに な った。 産 学協 同 で ビ ジ ネス の活性化 を ねら って い る。 ② 教 育 学部 は長 期的 な 関係 の樹立 を 得 意 とし てい る。1 つ の 領域か ら提 携を ぱ じ め、 順 次 提携 の 範 囲を 広げ て い る。 現在は 、宮 城教 育 大 学、HangYangUni. (Seoul)、中 国 の大 学 な ど と、MOU (MemoramdumofUnderstanding ) を 交 わし て い る。 ③ と り わけ 、DistantEducation のエ キ ス パ ート も 揃っ てお り、東 洋大 学で も導 入 する こ と は可 能 で あ る。(し か し、 今回 の調 査で、 そ の教 育 の内 容を 見 る こと はで きな かっ た。) バ ーバ ラ先 生 日本 語 の イ マ ージ3 ン教 育を 担当 し て い る。 ① 高 等 学校 まで の日本 語 教育で は、 学 校 内に 小 さ な 日本 の社会 を作 りだ し、 す べて の 活動 で は 日 本語 を 使 う よ うに し てい る。 日本 語を 勉 強す る のでは な く、 日本 語 で勉強 す るこ とを 目的 とし てい る。 こ うし た 事が 出来 る のは、 大学29の 入試 の 合否 は、 高 等学 校 の成 績で 決 まるか らで あ る。 ② 日 本語 を 専攻 してい る大学3 年 生 の研 究 報 告を 聞 く。 研 究 タイト ルは 「 日本 の多 様 性 に 関し て 一方 言 の側面 か ら ー」 であ った。 研 究 の 内容 や 構成 に 若干 の問題 点はあ る が、 複 数 冊 の参 考 書( 日 本 語 の文 献卜 を 利 用し、 す べて 日本 語 で記 述 し 口頭 報告 し てい る。 質 問に 対し て も 日本 語 で 適切 に 答 えら れてい た。 Pullyn氏DirectorCQUInternational 外 国 人 へ の英 語教 育を 担当 して い る組 織 の責 任 者 であ る。

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① 小 人数 から 中人 数用 の 教室 を い くつ か 持 って いる。 勉 学に は非 常に 良い 雰 囲気 で あ った。 ② オフ キ ャソ パ ス教育 を重 視 し てい る。 教室 の中 で の教 育に は限 界が多 く、 実 際 の 社会 生 活 の中 で英 語 が学 べる ように し てい る。 ③ も っと も代表 的 な コ ースは、preparatoryコ ースで、5 週 間 コ ースで あ る。 オこ ス ト ラ リアで主 流 と なっ てい る英 語検 定試 験IELTS(speaking とwritingが含 まれ る)で 評 価 す る。大 学 で必要 と す るス コ ア ーは6.0以 上 と言 わ れ てい る。TOEFL に 換算 す ると550程 度 で あ る。 この成 績 を基 準に し て学 生 の英語 力 を引 き上 げ て い る。 ④ これ よ りもレ ベル の低 い コ ース も用 意 さ れ てい る。 ⑤CarnarvonGeoge コ ース もお もしろ い。 観光業 者 が手 配す る が、教 員 が引 率す る。 学 生の英 語 力 に 応 じて コースを 設定 す る。2 ∼6 週 間 を考 え てい る。 ア ウト バッ クで は、 イ ンフ ォ ーマ ルな 指 導 に 加え て、 教員 抜 き のサ バイ バ ル 生活 を経 験 さ せる。 費用 は通 常 の英 語 教育 コース よりは30% 位 は 高 くな る が、多 く の経 験を 積 み、 学 力増 進 が図ら れ る。 ⑥ この6 月 にCQU を卒 業 し た 日本 人 の水 上 さ んも昼 食に 招 かれて い た。 き れい な英 語 を 話し、 大人 の中に 入 って も、対 等に 話 す と ころ に び っ くりし た。これ が、「大人 に なっ て帰 っ て く る」と言 うこ とだな 、 と、感 心 した。 ⑦ こ の4 月 に 九州 女学 院 ( 高校 )30を卒 業 し、CQU の語 学 ス ク ール に入 校 し 、 こ の9 月 から 大学 に 入 学し たYoshiOGATA さ ん の話 を 聞 い た。 語学 学 校の特 色 を次 の よ うに 捉 え て い た。 ・ 長い エ ッ セイ とか リサ ーチ レポ ート を 書 かさ れ る。1500words か ら3000words の ボ リ ュ ー ムで あ る。 ・ ユ ニ ットプ ロフ ァイ ルに も 記載 さ れ てい る締 め切 り日 が厳 格に 守ら れ てい る。 提 出前 は 、毎 日3 時間 程度 は 勉強 さ せら れ る。 ・ 教員 は非 常にフ レン ド リ ーであ る。 ・ 放課 後 は アル バイ トを し てい る人 が多 い。 オ ースト ラ リ アでは 高校を 卒業 す ると 大人 と みなさ れ、 授業 料 を 自分で 稼 ぐ もの も多 い。 オ ー スト ラ リア人 は、 アルバ イト と勉 学 のけ じ めを 付け るの は 得 意 な よ うだ。 ・ 現在 はMrs.LindaFizgerald 先 生 の レ クチ ャ ーとチ ュ ート リア ル(お の お の週1 回 )を 履 修 し て い るが 、2 科 目 の履修 だけ で も大変 。 ⑧ 英 語 の先 生以 外 が英 語を 使 うこ とPullyn 氏 と話 し合 って い た と ころに 、Yoshi が入 って きた。 お 互い に 日本 人で あ る と は 知 ら ない で、英 語 で 話し てい た が、途 中 で 、お 互 いに 相 手 が日 本人 であ ること が分 か った 。「先 生は 何を教え ら れてい るの です か ?」。「マ ー ケテ ィン グ」。づ え ーI √英 語 の先生 でな い のに 英 語 を 使え るのです

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大学におけ る教授法と 教育 シ ステ ムの開 発(8) 285 かII !I 」。 こ の 会 話 で も 分 か る と お り 、 日 本 で は 英 語 を 使 う の は 普 通 で は な い と み な さ れ て い る よ うだ 。 そ う し た 意 味 で 、 高校 ま で の 英 語 を 根 本 的 に 直 す 必 要 が あ る か も し れ な い 。 そ の た め に 乱 大 学 入 試 の た め の 「 受 験 英 語 」 を 追 放 し て 「。実 用 英 語 」 に き り か え る こ と が 望 ま し い 。 そ の 後 の 英 語 で の 打 ち 合 わ せ の 中 で 「エ ガ リ テ 」 と い う 単 語 が 出 て き た 。 そ の 席 に い た 発 言 者 以 外 の 全 員 は ハ テ ナ ? と い う 顔 つ き を し た 。 私 は 前 後 の 関 係 か ら 、 平 等 を 意 味 す る フ ラ ン ス 語 のegalite と 理 解 し て 、[ そ れ はequality の フ ラ ン ス 語 で す ね ] と 言 っ た 。 こ こ で もYoshi は 「え ー!'! 、 な ん て フ ラ ン ス 語 の 先 生 で な い 先 生 が フ ラ ン ス 語 が 出 来 る の で す か!!!! ! 」 こ う し た 驚 き の 背 景 に は 、「 外 国 語 は 特 別 な も の で 、高 度 な 教 育 を 受 け 、多 大 の 努 力 を し な い と 身 に つ か な い も の で あ る」 と い う 考 え 方 が 存 在 し て い る よ う で あ る 。 語 学 を 特 別 視 し 、 特 権 と す る 考 え 方 が あ る 限 り 、 語 学 教 育 の 改 革 は 進 言な い か も し れ な い 。 注 1 浦 田誠親[ 改革期 に おけ る大 学の英語 教育を 考える一 目的設 定 とプ ログ ラ ム多 様化 のた めに]『東洋 』第34 巻第9 号、 東洋 大学 通 信教 育部、1997年。 浦 田誠親「英 語は す べて選 択 科目とす る提案一 意義あ る 教育 のため 高い 目標設定 をー 」『東洋 』第35巻 第12号、東 洋 大学 通 信教 育部 、1998年。2 森 彰 「大学 に おけ る教 授 法と 教育 シス テ ムの開 発(6) 大学 入学 時 の英 語の学 力 で経 営 学 を 学 ぶ た め の 技能一 ]『 経営 論集 』 第45号、1997年 。3 同資料 。英 語 教育を 取 り 巻く多 くの問題点 を検討 した。 実 際に 講義を 進 めて い る間で の学 生から の情 報に よる と、 次の状 況 も明 らか になっ た。 多 くの英 語 科 目で は受 講生 の全員 が彼ら の関心 とは関 係の無 い テキ ストを 使 ってい る。 さら に、 事前に 翻 訳を 割 り当 てら れ てい る。 しかも 、章節や 項もし くは頁 単 位では な く段 落 単 位 の よう で あ る 。受 講 生 は 数 ヶ月に1 回だけ 、1 週 間 の間に英 語の テキスト の[数 行] を翻 訳し て 授業 で発表 す る、 といっ た状況 が 発生 す る ようだ。4 こ こで、 大学 図 書 館の 検索 シ ステ ムや 図書 館に用 意し てあ る文献 検索 用 のCD-ROM を使 わせ た。 使い 方 の指 導は 図 書館に お願 い した 。また、 都心 にある代表 的 な大 型書 店( た とえば 、八 重洲ブ ックセ ンタ ー、 紀伊 国屋、 な ど) を紹 介 した。 こ うし た指 導は、学 生に 図書 館の シ ステ ムを 使 わ せた り、 都心 の大型 書店 に足を 運 ばせ るた めに は 不可 欠な ようであ る。5 経営学 部 の学 生 の場合 に は、 最初は学 生の関 心が高い 趣 味か ら始 めて 、つ いで、 そ の趣味 を取 り巻 く社会 環境、 産業 の実 態 、そ れを サ ービスし てい る企業 の実 態、 と行 っ た順 で、 徐 々に 経 営の領 域に 導い てい く こと が肝要 で ある。6 成 果物 の対 訳本 は 論者 の研 究 室に 大切に 保管 され てい る。7 経 営学 部の学 生 に対 す る語 学 教育で コンテ ンツを重 視する 、 とい った とき の コンテ ン ツとは一 体な んであ ろ うか。あ る英 語教 育 の専 門家に 、こ れから の英語 教育 の決め 手は 何 か聞 いた ところ 、「コン テント ペ ース ド」 であ ると 言 われた 。で は、その コン テン ツとは何 かと聞 く と、「経 営学 部 向け に は、環 境問 題を扱 った

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テキ ストを 使 ってい る」 とい う。 し かし、良 く考 える と、 環境 問題に 関心を 持 ってい る学 生少 ないだろ う。 また、 環境 問題 を とり上げ るこ とが経 営学 部の学 生に とっ て有益 であ る とはいえな い だろ う。 さらに 、英 語 の テキ ストだけ で環境 問題に関 する英 文を 読ん で、 環境 問題を 理 解する ことは出 来るだろ うか。 日本語 の本 でも10冊以 上 読破し なけ れ ば、 コンテ ンツは身 につ かな い とい うのに。 そし て、 環境 問題 の専門家 で ない 英 語の 教員 が、 はた した環 境問題を 講義 でき るの であろ うか。 こ う考 える と、「 コンテ ントペ ースト 」 とい う呪文 だけ が先 行し ている よ うであ る。8 論 者が 調べ た狭 い範 囲で はある が、必 修科 目とな ってい る英 語 で、半 年間 に20頁 以 上の資 料を 全 訳さ せる クラ スは見 当た らな かっ た。こ の科 目は 必修 科 目でな く、 自由 選択 科 目である。し た がっ て、英 語の力 を 付け た いと 願 ってい る学 生が履 修し てい る とも考え ら れる。 とは い え、必 修科 目で もない のに、 必修 科目 以上 の ホ ー ムワ ークを 課し ても学 生 が自発的に 勉学 した こ とは、 こ れから の教授 法 の開発に と って有益 な 実験 で あっ た と言え る。な お、97 年度 からは こ の方法 を踏 襲し て、 こ の科目お よび 同(ミ英n ) は兼任 講 師( 山 内清史 先 生) に担当 して もらった。9 ここ で 言 う「基 礎」 とは、4 コマから8 コマ程 度で 説 明で きる範 囲 の内容 である。1 年 もかけ て基礎を 勉 強さ せ るのは 、 学生 の勉学 意欲を 殺ぎか ねない。10 その嘆 矢 とし て、 多 言語を 紹介す る科 目を 設置 した 慶応 義塾 大学 湘 南藤沢 キ ャンパ スの ケースは 参考に な るだろ う。 関口一 郎 『慶 応 湘南 藤沢 キ ャン パス・外 国語教 育へ の挑 戦』三 修 社、1993年。11 平成8 年 度か ら の本学 経営学 部の新 しい カリキ ュラ ムで は、 商学 科 では、 第2 外 国 語さ え、必 修 から外 れ てし まっ た。 現 在は、平 成12 年度 カ リキ ュラ ムに は第2 外 国語を 復活 させ ようと、一 部 の教員 が努力 し てい る。そ し て、 こ の校正 の時 点 では、 復活 が決定 した。12 学 生 の関 心事は 多 様 である。 フ ランス語を 学ぶ 目的を 考 えて み よう。多 く の場 合は 、フ ラ ンス語 自体を学 んだ り、 経営学 の勉学 に使 うことを 目的 としてい る ので はない 。 フ ランス語 の勉強 で苦 労を したい ので は な く、 フ ラン ス語を 使 って楽 しい生 活を 送りたい はず で ある。 フ ラン スの文化 、社 会、 芸術、 な どに関心 があ り、 でき れば 、フ ラン スに 旅行 したい と考 えてい る のだろ う。 ワールド カ ップ 、 ツ ール ・ド ・フラ ン ス、 パリ ・ダ カ ール・ レ ース、 フ ランス ワイン 、コ ート ダジ ュ ール、 モナ コ、 ベル サイユ宮殿 、 オルセ ― ・ オ ラン ジ 十リ ー・ル ーブル美 術館 、印象 派、 ピ カソ、 ル ノワ ール、 シ ャガ ール、 等な どに関 心を 持っ て い るだろ う。し か しな がら、 この ように多 様な関 心 事に対 応し た、 初 修 外 国 語 向け の 教 材 は ほ と ん ど無 か った。13NetscapeCommunicator では次 の文字 が使え る ように なっ てい る。欧米(ド イ ツ語 やフ ラン ス語も含 まれ る)、冲 欧 、 日本 語、中 国 語、簡略 体中 国語、 韓国 語、 キ リル文 字、 ギリ シ ャ語、 ト ル コ語、な ど。14 森彰 「大 学 にお け る教授 法と教 育シ ステ ムの開発(7)− イン タ ーネ ット での情 報収 集を 活 用 し た論 文 作 成 の 手順一 」『経営論 集』 第47号、1998年。15 この 科 目の担 当 者は 専任 教員で あった 柿崎助 教授 七あ る。 氏お よび学生 (佐 藤光香 ) の説明に よれば、 テ キス ト とし ては 経営学 書 の一 部 分で、8 頁 のコピ ーが配布 さ れた。 経営学 の 専門知 識に 関する 説明 もあ り、1 年 間に 読め た のは6頁 程度だ った。 こ の授業を 受け た学 生 の うち一人 だけ とはい え、 初 修外 国 語 を 使 っ て卒業 論文 を 作 る努力 を した学 生かい るこ とは特 筆に 価す る と思 われ る。16 この学 生 が見 つけ 出し たド イ ツ語 の ホー ムペ ージのURL は、 次 の通 りであ る。http://home. トonline.de/home/06995530471-0001/einleit.htm

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大 学 に おけ る 教 授 法 と 教 育 シ ス テ ム の 開 発(8)

参 考 ま で に 、 こ の ホ ー ムペ ージ の 最初 の 部 分 の みを 紹 介 す る。Wasist “DigitalesGeld"?

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DigitalesGeldsindelektronischeWerteinheiten,dieinFormdigitalerDatengespeichertund

iibertragenwerdenkonnen.ManunterscheidetdasCybercash (Netzgeld )unddieprepaidCard (elektronischeGeldborse )。17http://www2.Ircser.it/botta/18 一 般 的 に ホ ー ム ペ ー ジ の 最 初 の頁 でEnglish を ク リ ッ クす る と 、 英 語 版 の ホ ー ム ペ ージ に 切 り 替 わ る 。 東 洋 大 学 の ホ ー ム ペ ージ で も そ う な っ て い る 。19 ヨ ー ロ ッ パ で は マ ル チ リ ン ガ ル が 当 た り 前 と な っ て い る 。 し か し な が ら 、 そ の 実 態 を 見 る と、 必 ず し も 異 な っ た 語 族 を マ ス タ ー し て い る わ け で は な い 。 た と え ば 、 フ ラ ン ス 人 の 場 合 、 母 国 語 の フ ラ ン ス 語 に 加 え て 、 英 語 が 出 来 る の は 当 た り前 。 ス ペ イ ン 語 、 ポ ル ト ガ ル 語 、 イ タ リ ア 語 、 ル ーマ ニ ア 語 、 で6 か 国 語 と 数 え ら れ る 。 し か し 、 英 語 以 外 は ラ テ ン 語 諸 語 であ る 。 日 本 人 が 考 え る 程 の マ ル チ リ ン ガ ル 能 力 で は な い と 言 え よ う。 評 価 す べ き点 は 、 彼 ら は そ うし た 諸 言 語 を 実 際 に 使 っ て い る と こ ろ だ ろ う。 多 言 語 を 活 用 し た 人 は 多 く あ る が 、 そ の 代 表 的 な 人 と し て 、 ト ロ ヤ の遺 跡 を 発 見 し た シ ュ リ ー マ ン と 、 日 本 の 博 物 学 者 で あ る 南 方 熊 楠 ( み な か た く ま ぐ す )、 と を 挙 げ る こ と が 出 来 るノ シ ュ リ ー マ ン 著 、 村 田 数 之 亮 訳 『 古 代 へ の 情 熱 一一 シ ュ リ ー マ ン 自 伝 』 岩 波 文 庫 、1954 年 。 桐 本 東 太 他 編 『 南方 熊 楠 を 知 る 事 典 』 講 談 社 、1993 年 。 鶴 見 和 子 『 南 方 熊 楠 』 講 談 社 、1998 年 。 松 居 竜 五 『 南 方 熊 楠 一 切 智 の 夢 』 朝 日 新 聞 社 、1997 年 。 南 紀 白 浜 に あ る 南 方 熊 楠 記 念 館 で は 、 南 方 の 遺 稿 な どを マ イ ク ロ フ ィ ル ム に 収 録 し つ つ あ り 、 数 年 以 内 に は イ ソ タ ー ネ ヅト で 、 資 料 を 公 開 す る 予 定 で あ る ( 同 記 念 館 館 長 談 )。20 外 国 語 を 学 ぶ と き に 、 英 語 → フ ラ ン ス 語 → ス ペ イ ン 語 → ポル ト ガ ル 語 → イ タ リ ア 語 → ル マ ニ ヤ 語 と い う順 番 で 学 と楽 で あ る と 考 え ら れ る。21 大 阪 の観 光 を す る に あ た っ て 、東 京 か ら 大 阪 ま で 歩 い て い く( 言 語 を 修 得 す る ) の は 無 意 味 だ ろ う。「 歩 い て い く と は こ う い く こ と だ 」 と、 数 十 キp 歩 か せ る ( 語 学 の 初 歩 を 学 ば せ る ) こ と は 不 可 欠 だ ろ う。 そ の 後 は 新 幹 線 で 大 阪 に 行 き ( 翻 訳 ソ フ ト な ど の支 援 シ ス テ ムを 活 用 す る )、 目 的 で あ る 「 大 阪 を 楽 し む 」 こ と が 出 来 れ ば よい と 思 う。 大 学 教員 と し て は 恥 ず か し い こ と か も し れ な い が 、 こ こ で 告 白 す る 。 論 者 は フ ラ ン スに 時 々 フ ラ ン ス語 で 手 紙 を 出 す 。 ま ず 、英 語 で 手 紙を 書 く 。つ い でAltaVista で フ ラ ン ス 語 に 翻 訳 す る 。ProofingTools と い う ソ フ ト で 、文 章 チ ェ ッ ク す る 。 そ し てE-mail を 出 す 。 か つ て 、ProofingTo01s で 修 正 し た 文 章 を 私 か 再 修 正 し て 出 し 、 文 末 に 添 削 し て 戻 し て も ら い た い と追 伸 を 付 け た 。 戻 っ て き た 添 削 結 果 は 、 赤 が 入 っ て い る の は 論 者 が 修 正 し た と こ ろ だ け だ っ た 。 とい う こ と は 、 フ ラ ン ス 語 の初 学 者 で あ る 論 者 の語 学 力 よ り、 翻 訳 ソ フ ト の 能 力 の 方 が 高 か っ た こ と を 意 味 す る 。22http://www.altavista.digital.com/23 論 者 は2 頁 ず つ を 主 張 し た が 、 フ ラ ン ス 語 の 教員 は 、 学 生 の 力 で は1 パ ラ グ ラ フ が 限 度 と い っ て 、 譲 ら な か った 。 フ ラ ン ス 語 の 教 員 は 正 確 に 翻 訳 す る こ と を 期 待 し て い る の に 対 し て 、 論 者 は 簡 単 な 文 章 を 大 量 に 翻 訳 す る こ と が 重 要 と 考 え て い る 、 そ の差 が 翻 訳 の量 に 反 映 さ れ た と 考 え ら れ る 。24 た とえ ば 、 第1 週 は フ ラ ン ス の フ ァ ッ シ3 ン 、 第2 週 は シ ャ ン ゼ リ ゼ 、 第3 週 は フ ラ ン ス ワイ ン 、 と 言 っ

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た 具合 である。 こ うし た テーマの 選択法式を 採用 する と、 いつ ま でも辞 書か ら離 れら れない。 次 のよ うな、 テ ーマ選択 が望 ましい。 ワイン→フ ラ ンスワイ ン→ ボルド ー→ メド ッ ク→シ ャト ー×× とい った ように、 範囲を 徐 々に狭 め、 内 容を徐 々に深 めてい くこ とが望 まし い。25 イマ ージa ソ(immersion) 教育 に関し ては、 海外 で多 くの 研究 と成果 が 見ら れ、 日本で も導 入 され て い る。下 記 の資料を 参 照 されたい。 『第2 回 バイ リンガ ル教 育国際 シン ポジ ウム報告 』加 藤学 園、1997年 。 『 英語 イ マ ージa ソParentHandbook 』加藤学 園。26 オ ース ト ラリ アでの 教員 の職位は 、 ・ プ ロフ ェ ッサ ー、 アソシェ イトプ ロフ ェッサ ー、 シニ ア講師 、 ジ ュニ アー講師、 講 師、 アシス タント講師 と なっ てい る ようであ る。 プ ロフ ェッサ ーは学 部に数 人 しか 居ない 。 あ とぱす べて 各種講 師とな ってい る らしい 。27 レフ ァ ラソ スの書 き方 、注 の付け方 な どは 、大学 に入 っ てく る前 に教 わっ ている の で、大学 では 教えては いない とのこ とで ある。 尚28 オ ースト ラ リアで はchancellor(総長) は名 誉職 で卒業式 に 卒業 証 書を 手 渡すだ け で、 副総 長 が 日 本で の 総長 とな ってお り、 副総 長補 佐が 日本での 副総長 の役 割を 果た し てい る。29 オ ースト ラ リアは2 つ のマ イナ ーな大 学を除 く と、す べて 国立 もし くは 公立 の大学 であ る。た だし、CQU は公 立で ある こ とは確 かだ が、国立 なの か州 立 なの かは 、教員 自体 もは っ き りと し てい ない よ うであ る。 両方の 性格を 持 っ てい るよ うである。30 九州 女学 院 は熊 本県 内に 大正15年に私 立の ミッ ション ス ク ール とし て設立 さ れた。英 語教 育 と音楽教育を 特 色とし た 高等学 校 で、県 内 の女子校 とし ては 高 く評 価さ れてい る。 オースト ラリ ア のアデレ ードに協定 校 があ り、毎 年2 名 が交 換留学 生とし てオ ースト ラリ アに 派遣 され てい る。 て1999 年1 月8 日 受 理 )

参照

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