[特集:廃棄物研究(II)]廃棄物処分場から発生する揮発性有機化合物の簡易測定法の検討
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(2) 廃棄物処分場から発生する揮発性有機化合物の簡易測定法の検討 13mm. Glass Shelter Tube. 表1. Teflon Cap. O-Ring. Porous Polymer Tube. 82mm. 1 9 1. GC/MS 分析条件. Agilent 6 8 9 0 Agilent 5 9 7 3 2 4 関東化学 ENV―6 (6 0m×0. 2 5mm×1. 8mm) オーブン 4 0℃ (5min) −1 0℃/min−2 5 0℃ 注入量 1µL (スプリットレス) 検出 SIM GC MS カラム. Absorbent. て抽出を行った。抽出後,上清を試験溶液として 1µl をガスクロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 装 置(GC/ (保管時) . 図1. (曝露時). パッシブサンプラーの構造. MS)に注入した。GC/MS による分析条件を表 1 に 示す。 VOC 標 準 原 液(室 内 環 境 測 定 用 VOCs 混 合 液. であったり,瞬間的な濃度を測定するには適する. 1000µg/ml. が長時間の平均濃度を測定する場合に難点があ. た標準液による検量線を用いて試験溶液中の測定. る。. 対象物質重量を求め,サンプラーへの捕集量を算. 関東化学製) を段階的に濃度調整し. 本研究では,特殊な装置を必要としない曝露採. 出した。捕集量から空気中濃度への換算は!式を. 取器(パッシブサンプラー)を用いた簡易測定法に. 用いて行い,a (Uptake Rate)はサンプラーの取り. より,埋立て処分場周辺の環境濃度測定への適用. 扱い説明書に記載された値を用いた。測定対象物. を試みた。. 質を表 2 に示す。 C = M/(a・t) ………………………!. 2.. 実験方法. C :空気中濃度(ppb). 2.1 パッシブサンプラーによる VOC の測定. M :捕集量(ng). 2.1.1. a :Uptake Rate (ng ppb−1 h−1). パッシブサンプラー. サンプラーは,室内環境測定用に開発された溶 (シグマア 媒抽出型 VOC―SD パッシブサンプラー ルドリッチジャパンスペルコ事業部製) を用いた。. t :捕集時間(hr) 2.1.3. 検出下限値. 未使用のサンプラー5本を用いて操作ブランク. 本サンプラーは,ポーラスポリマー製の拡散フィ. を求め,標準偏差×3を検出下限値とした。操作. ルター内に炭素系多孔性吸着剤が充填されてお. ブランクの検出されない物質は,測定物質ごとに. り,外気の濃度に比例した量の化学物質を捕集す. 装置の S/N×3を検出下限値とした。. ることにより,気中濃度を求めることが出来るも のである(図 1)。 サンプラーは支柱に吊り下げた状態で処分場周 辺に設置し,6∼1 0時間曝露捕集を行った。捕集 後は冷暗所で保存した後,定量分析に供した。 2.1.2. VOC の分析. なお,捕集時間を6時間と仮定した場合の検出 下限値(ppb)を,表 2 に示してある。 2.2 調 査 地 点. 調査は,平成5年度に埋立てが終了した一般廃 棄物最終処分場を対象として行った。平成15年10 月に埋立て物の試掘調査作業が行われた際,その. 試料を捕集し冷暗所に保存していたサンプラー. 前日と当日,ガス抜き管に隣接する位置1 8カ所. を室温に戻した後,サンプラーのテフロンキャッ. (図 2,△)に,パッシブサンプラーを6∼1 0時間. プをはずして中の吸着剤を試験管に取り出し,二. 設置した。なお,試掘を行ったピット2カ所 (図. 硫化炭素1ml を加えた。さらに,内部標準溶液. 2,○)の空気をダイヤフラムポンプを用いてテ. (ト ル エ ン―d8 100µg/ml メ タ ノ ー ル 溶 液)1µl. ドラーバッグ(20L) に採取 し,その 中 に サ ン プ. を加えて栓をし,室温で1時間緩やかに振とうし. ラーを6∼10時間設置することにより,定量測定. Vol. 29. No. 4(2004). ─3.
(3) 1 9 2. 特 集 / 廃 棄 物 研 究(Ⅱ) 表2. 測定対象物質. 定量用 確認用 イオン イオン. 化学物質名 脂肪族系化合物. ヘキサン 2, 4―ジメチルペンタン ヘプタン オクタン ノナン デカン ウンデカン. 芳香族系化合物. 検出下限値* (ppb). 5 7 4 3 4 3 4 3 4 3 4 3 4 3. 5 6 5 7 4 1 5 7 5 7 5 7 5 7. 0. 1 5 0. 1 2 0. 2 7 0. 2 1 0. 1 7 2. 5 0 1. 4 1. ベンゼン トルエン エチルベンゼン m, p―キシレン o―キシレン スチレン 1, 3, 5―トリメチルベンゼン 1, 2, 4―トリメチルベンゼン 1, 2, 3―トリメチルベンゼン. 7 8 9 1 9 1 9 1 9 1 1 0 4 1 0 5 1 0 5 1 0 5. 7 7 9 2 1 0 6 1 0 6 1 0 6 1 0 3 1 2 0 1 2 0 1 2 0. 0. 5 7 0. 1 8 0. 5 5 0. 3 0 0. 2 1 0. 5 8 0. 2 1 0. 2 2 0. 2 3. 有機塩素系化合物. クロロホルム 1, 2―ジクロロエタン 1, 1, 1―トリクロロエタン 四塩化炭素 1, 2―ジクロロプロパン トリクロロエチレン テトラクロロエチレン クロロジブロモメタン p―ジクロロベンゼン. 8 3 6 2 9 7 1 1 7 6 3 1 3 0 1 6 6 1 2 7 1 4 6. 8 5 6 4 9 9 1 1 9 6 2 1 3 2 1 6 4 1 2 9 1 4 8. 0. 2 3 0. 1 1 0. 0 7 0. 1 5 0. 0 9 0. 0 5 0. 1 0 0. 0 7 0. 2 2. エステル類. 酢酸エチル 酢酸ブチル. 6 1 4 3. 4 3 5 6. 0. 8 7 0. 3 7. ケトン類. メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン. 4 3 4 3. 5 8 5 8. 0. 4 4 0. 1 4. アルコール類. 1―ブタノール. 5 6. 4 3. 0. 3 8. テルペン類. α―ピネン リモネン. 9 3 6 8. 6 9 6 7. 0. 1 7 0. 1 3. *6時間捕集の場合. は困難だが参考値として目的物質の捕集を行っ. 示す。午前中までは風速1m/s 未満の微風であっ. た。. たが,午後から風速が増して2∼4m/s の弱風と. 2.3 気 象 測 定. 試掘当日,埋立て処分場における風速および風 向をデジタル風向風速計で,気温,気圧および湿 度を温湿度記録計で測定した。. なった。 3.2 VOC 濃度. 表 4 に,試掘前日の処分場内1 8地点における VOC 濃度測定結果 (最少,最大,平均値) を示す。 また,表 5 に,同様に試掘当日の測定結果およ. 3.. 結果および考察. 3.1 気 象 測 定. 処分場試掘当日の風速等気象条件を,表 3 に 4─. び試掘ピット内空気の測定結果を示す。 試掘前日の測定で平均値が高濃度に検出された 物 質 は,脂 肪 族 化 合 物 で は ヘ キ サ ン (0. 9ppb), 全国環境研会誌.
(4) 廃棄物処分場から発生する揮発性有機化合物の簡易測定法の検討. 1 9 3. サンプラー設置地点 試掘ピット. 図2. 埋立て処分場調査地点. 表4. 試掘前日の VOC 濃度測定結果. 最小値 最大値 平均値 (ppb)(ppb)(ppb) ヘキサン 0. 7 1. 1 0. 9 2, 4―ジメチルペンタン 0. 7 0. 7 0. 7 ヘプタン 0. 9 1. 0 0. 9 オクタン ND 0. 4 0. 2 ノナン 0. 4 0. 6 0. 5 デカン ND 2. 6 0. 4 ウンデカン ND ND ND 1. 2 0. 7 ND ベンゼン 8. 0 6. 3 5. 0 トルエン 2. 6 2. 0 1. 6 エチルベンゼン 5. 4 4. 3 3. 4 m, p―キシレン 0. 9 0. 7 o―キシレン 0. 6 ND ND スチレン ND ND 0. 3 0. 3 1, 3, 5―トリメチルベンゼン 0. 9 1. 4 1. 1 1, 2, 4―トリメチルベンゼン ND 0. 2 ND 1, 2, 3―トリメチルベンゼン 0. 4 0. 4 クロロホルム ND ND 0. 1 1, 2―ジクロロエタン ND ND ND ND 1, 1, 1―トリクロロエタン 0. 4 0. 4 0. 4 四塩化炭素 ND ND ND 1, 2―ジクロロプロパン 0. 4 0. 5 0. 3 トリクロロエチレン ND ND ND テトラクロロエチレン ND ND ND クロロジブロモメタン 0. 3 0. 4 0. 3 p―ジクロロベンゼン 酢酸エチル ND 2. 6 ND 酢酸ブチル 0. 7 1. 3 0. 9 メチルエチルケトン 0. 5 3. 4 1. 2 メチルイソブチルケトン 0. 6 0. 9 0. 7 1―ブタノール ND ND ND α―ピネン 0. 2 0. 4 0. 3 リモネン ND ND ND ND:検出下限値未満 測定物質. 表3. 試掘当日の気象測定結果. 測定時刻. 風向. 9 : 3 0 9 : 4 5 1 0 : 0 0 1 0 : 1 5 1 0 : 3 0 1 0 : 4 5 1 1 : 0 0 1 1 : 1 5 1 1 : 3 0 1 1 : 4 5 1 2 : 0 0 1 2 : 1 5 1 2 : 3 0 1 2 : 4 5 1 3 : 0 0 1 3 : 1 5 1 3 : 3 0 1 3 : 4 5 1 4 : 0 0 1 4 : 1 5 1 4 : 3 0 1 4 : 4 5 1 5 : 0 0 1 5 : 1 5. N NNW NNW NNW NNW NNW NNW NE S NE NE NE ENE N S ESE SSE SE S S S S S S. Vol. 29. 風速 気温 気圧 湿度 (m/S) (℃) (Pa) (%) 0. 3 0. 3 0. 3 0. 7 0. 2 0. 1 0. 7 0. 3 0. 2 0. 6 0. 7 0. 6 0. 7 0. 3 1. 2 0. 9 2. 5 3. 5 4 2. 8 4. 5 4. 1 3 3. No. 4(2004). 2 0 2 0 2 0 2 0 2 0 1 9 1 9 1 9 1 9 1 9 1 9 1 9 1 9 1 9 2 1 2 2 2 1 2 1 2 3 2 3 2 1 2 1 2 1 2 1. 1 0 3 5 1 0 3 5 1 0 3 6 1 0 3 6 1 0 3 5 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 4 1 0 3 3 1 0 3 3 1 0 3 3 1 0 3 3 1 0 3 3 1 0 3 3 1 0 3 3. 5 5 5 5 5 5 6 2 6 2 6 6 6 3 5 8 6 4 6 3 6 3 6 4 6 5 6 5 6 8 6 9 7 1 7 0 6 8 6 8 7 1 7 1 7 2 7 3. ─5.
(5) 1 9 4. 特 集 / 廃 棄 物 研 究(Ⅱ) 表5. 測定物質. 試掘当日の VOC 濃度測定結果. 最小値 最大値 平均値 ピット① ピット② (ppb) (ppb) (ppb) (ppb) (ppb). ヘキサン 2, 4―ジメチルペンタン ヘプタン オクタン ノナン デカン ウンデカン. 1. 0 ND 2. 1 0. 3 ND ND ND. 1. 4 ND 2. 2 0. 6 ND 6. 6 ND. 1. 2 ND 2. 1 0. 5 ND 3. 3 ND. 9. 8 1. 9 8. 0 3. 5 3. 9 5. 2 2. 1. 3. 5 1. 7 2. 4 0. 8 1. 0 6. 3 ND. ベンゼン トルエン エチルベンゼン m, p―キシレン o―キシレン スチレン 1, 3, 5―トリメチルベンゼン 1, 2, 4―トリメチルベンゼン 1, 2, 3―トリメチルベンゼン. ND 2. 7 0. 6 1. 2 ND ND ND ND ND. ND 4. 6 1. 0 2. 0 0. 3 ND 0. 4 0. 3 ND. ND 3. 6 0. 8 1. 6 ND ND ND 0. 2 ND. 1. 4 0. 9 1. 1 2. 8 0. 6 ND 0. 5 1. 8 0. 5. 2. 2 6. 6 ND 1. 2 0. 2 ND ND ND ND. クロロホルム 1, 2―ジクロロエタン 1, 1, 1―トリクロロエタン 四塩化炭素 1, 2―ジクロロプロパン トリクロロエチレン テトラクロロエチレン クロロジブロモメタン p―ジクロロベンゼン. ND ND ND ND ND ND ND ND ND. 0. 5 0. 3 ND ND ND ND ND ND 0. 5. ND ND ND ND ND ND ND ND ND. ND ND ND ND ND ND ND ND 2. 4. ND ND ND ND ND ND ND ND 1. 3. 酢酸エチル 酢酸ブチル. ND ND. 1. 3 ND. ND ND. ND ND. ND ND. 1. 3 0. 3. 2. 5 0. 6. 1. 9 0. 4. 1. 2 1. 3. 1. 2 0. 5. 1―ブタノール. ND. ND. ND. ND. ND. α―ピネン リモネン. ND ND. ND ND. ND ND. 3. 1 0. 8. ND ND. メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン. ND:検出下限値未満. ヘプタン(0. 9ppb) ,2, 4―ジメチルペンタン (0. 7. ピット①ではヘキサン(9. 8ppb),ヘプタン (8. 0. ppb)で あ り,芳 香 族 化 合 物 で は ト ル エ ン(6. 3. ppb),デカン(5. 2ppb)の濃度が高かった。. (4. 3ppb),エチルベンゼン ppb),m,p―キシレン (2. 0ppb)であった。. 図 3 に脂肪族化合物,図 4 に芳香族化合物の 主な物質の測定結果を示す。脂肪族化合物は前日. 試掘当日の測定では,脂肪族化合物はデカン. に比べて当日の濃度が高く,とくにピット内の濃. (3. 3ppb),ヘ プ タ ン(2. 1ppb),ヘ キ サ ン(1. 2. 度が高く検出されたことから,試掘によって放散. ppb)であり, 芳香族化合物はトルエン(3. 6ppb),. 量が多くなることが予想されたが,濃度レベルか. (1. 6ppb),エ チ ル ベ ン ゼ ン(0. 8 m,p―キ シ レ ン. ら周辺への影響は小さいものと推察された。芳香. ppb)が高濃度に検出された。. 族化合物は,前日に比べ当日の濃度が低く,ピッ. また,ピット内の濃度は脂肪族化合物が高く, 6─. ト内の濃度も前日と大きな差は見られなかった。 全国環境研会誌.
(6) 廃棄物処分場から発生する揮発性有機化合物の簡易測定法の検討. 図 3 脂肪族化合物測定結果 エラーバーは,標準偏差を示す。. 正確な原因は不明だが,当日の風による周辺の濃 度の希釈や化合物の種類による放散量の違いなど が原因になると考えられた。 4.. ま. と. め. 廃棄物埋立て処分場を対象に,パッシブサンプ ラーを用いて処分場から揮発する VOC 濃度の簡 易測定への適用を試みたところ,脂肪族化合物な どについて ppb オーダーでの濃度測定を行うこ とができた。廃棄物の埋立て処分に伴う環境負荷 モニタリングを行うための簡易サンプリング手法 として,本法は有用な方法と考えられた。 ―参 考 文 献― 1) 田中信寿,石井一英:埋立処分場における揮発性有 機化合物の挙動.廃棄物学会誌,6,2 4―3 3,1 9 9 5 2) Zou S. C., et al.: Characterization of ambient volatile. Vol. 29. No. 4(2004). 1 9 5. 図 4 芳香族化合物測定結果 エラーバーは,標準偏差を示す。. organic compounds at a landfill site in Guangzhou, South China. Chemosphere,5 1,1 0 1 5―1 0 2 2,2 0 0 3 3) Kerfoot H. B., et al.: The use of isotopes to identify landfill gas effects on groundwater, J. Environ. Monit., 5,8 9 6―9 0 1,2 0 0 3 4) Eganhouse R. P., et al.: Natural attenuation of volatile organic compounds(VOCs)in the leachate plume of a municipal landfill: using alkylbenzenes as process probes, Ground Water,3 9,1 9 2―2 0 2,2 0 0 1 5) Deloraine A., et al.: Case-control assessment of the short-term health effects of an industrial toxic waste landfill, Environ Res.,6 8,1 2 4―1 3 2,1 9 9 5 6) 森田昌敏ら:廃棄物埋立処分場における有害物質の 挙動解明に関する研究 (平 成1 0∼1 2年 度 国 立 環 境 研究所特別研究報告書) ,2 0 0 1 7) 森田昌敏ら:廃棄物埋立処分に起因する有害物質曝 露量 の 評 価 手 法 に 関 す る 研 究 (平 成6∼9年 度 国 立環境研究所特別研究報告書) ,1 9 9 8 8) Termonia A., Termonia M.: Characterisation and onsite monitoring of odorous organic compounds in the environment of a landfill site, Int. J. Environ. Anal. Chem.,7 3,4 3―5 7,1 9 9 9. ─7.
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