水 素 エ ネ ル ギ ー システム Vo1.34,No.3 (2009) 特 集
日光市の
水素エネルギ一社会実現促進に向けての取り組み
地方都市における活動と課題
井ノ上俊宏
日光水素エネルギー社会促進協議会・日光市産業部 321-1292日光市今市本町1番地The Action o
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Nikko Hydrogen Energy Promotion Committee
Toshihiro IN 0 UENikko Local Gaverment Office 1 Imaichihontyou,Nikko City 321-1292
In rural areas, fuel cell and fuel cell vehicle are still not familiar to the citizen. When holding Hydrogen and fuel cell educations in such areas, it is important to avoid their misunderstanding about these technologies. Therefore, it is necessary that they understand objectives of hydrogen society, basic mechanism of fuel cells and characteristics of hydrogen before experiencing fuel cell vehicle rides.
Key words: hydrogen, fuel cell, not familiar, fuel cell vehicle rides 緒 言 小論は、人口が 10万人にも満たず、年間予算も400億 円前後としづ地方都市において、自治体と企業が協力し て、最先端科学技術の啓発に、 2006年度から取り組んで 来た実績を基礎としている。 これまでの3年間の経験知として、地方都市における 水素や燃料電池に対する見方は、概してストレートでは ない。技術に対する期待や明るい将来への期待などプラ スの面よりも、新しいものであるが故の不安や、未知な もの・なじみのなかったものに対する漠然とした恐怖な どのマイナス面が勝り、さらに、まだまだ価格も高く時 間的にもインフラの充実面からもすぐには利用できな い状況の中では、ややもすれば偏見やひがみ・ねたみに 似た感情が否定的にからまってくる場合が多い。 こうした、日常的にはなじみのない物質を活用する先 端的な技術を一般女官象に啓発を進めていくには、それが 必要となる社会背景や、それが切り開く未来、さらには、 人類が今日の豊かな暮らしを築くために歩んできた歴 史まで広がる一定の知見などを、ひとまとめにして相手 に手渡すような仕掛けが必要ではないか一一新しい技 術が開発され、一般に普及していく一連の流れの中で、 この分野は現在、このような段階にあるのではなし1かと 感じている。 したがって、単なる展示や試乗という長くても数分の 時間の中で説明できる知識は限られていることを考え ると、燃料電池や水素というものがもっと一般化した段 階では不要となることを前提として、当分の間は、まず、 許される限りの時間を確保し社会背景から説き起こし た必要性の説明や、ひとつひとつの不安・恐怖を解消す る一定の知識を提供したうえで、その後、実際の燃料電 池自動車の展示や試乗にうつる手法が有効であると考 える。 2. 日光市という地域の特性 現在の日光市は2006年3月20日に今市・日光・藤原・ 栗山・足尾の5市町村が合併して誕生した。この合併の 結果、日光市は、人口9万人余りにすぎないが面積は 1449.87 k
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となり全国3番目に広い自治体となった。広水 素 エ ネ ル ギ ー シ ステムVo1.34,No.3 (2009) 大な市域の87%が森林で、市内には日光国立公園、世界 遺産:日光の社寺、ラムサール条約登録湿地ソト田代原、 ギネスブックに世界一長い並木道として登録された日 光杉並木街道などを有し、内外から年間約12∞万人の観 光客が集まる地域でもある。市内には多くの観光スポッ トが広く点在している一方、平野部から25∞m級の山岳 部まで起伏に富み、いろは坂をはじめとする市内道路の 標高差は1600mを超えている。 こうした日光地域においては地域住民や観光客の移 動に「車Jは不可欠であるが、 化石燃料を使用する自動車 は二酸化炭素・窒素酸化物・黒煙などの排出により環境 に対する負荷が極めて大きいことも一方の現実であり、 観光客等から、坂道を登る大型パス等が吐き出す排気ガ スや悪臭について否定的な意見や改善を求める意見も 多く聞かれる。 また、日光市は全国でも有数の多雨地帯であり、関東 、1/野の最上流部に位置していることから首都圏の水が めのひとつともなっている。こうした立地条件からも、 環境負荷の少ない移動手段が求められている地域であ る。 3. 日光市における水素・燃料電池の啓発 厳しい財政状況の中、小さな地方自治体が特定の分野 の啓発に投入できる予算は限られる。まして、現在の最 先端科学技術についての研究者がこの地域にいたわけ でもなく、地域社会に水素や燃料電池を渇望している雰 凶気があったわけで、もない。事実、地域の大手事業所の 頁任者からは、技術に対する認識や将来見通しについて 面罵され協力や推進を否定されるなど、決して平坦な道 のりで、はなかった。しかし市長の「金はなくても、夢のあ ることをやろうJとし、う方針の下、未来のエネルギーの啓 発を通して、日光市とわが国の産業人材の育成に取り組 んできたものである。 2C胤年8月、日光市は「環境負荷の少なし1水素とし、うエ ネノレギーJに着目し、<人の暮らしと良好な自然環境が持 続的に共生していくことのできる地域社会>の早期実 現を目指して、内外企業に呼びかけ「日光水素エネルギー 社会促進協議会J(以下「協議会Jとしづ。)を立ち上げ、 水素や燃料電池自動車の啓発に着手した。 人の暮らしにエネルギーが必要で、あり、人の移動に自 動車が欠かせないとしても、豊かな緑と清澄な水を守り、 よりよい状態で後世に引き継いでし、くためには、「持続的 特 集 に共生していくことのできる社会システム」の構築と、そ れを支える科学技術が必要である。こうした観点から、 水しか排出せず自然エネルギーとの組み合わせで繰り 返し何度で、も使える水素エネルギーと燃料電池・燃料電 池自動車の普及促進について、行政と民間企業が協力し て取り組み、あるべき姿の一日も早い実現を目指したも のである。 この協議会では、(1)啓発.(2)インフラ ・(3)活用という 3つの分野で取り組みがなされた。特に、啓発について は、①一般市民・観光客対象の 「燃料電池自動車展示・ 試乗イベントJと、②中学3年生実像の科学教室「水素 と燃料電池の力Jが企画され実行されてきた。
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啓発 一般市民・観光客対象の「燃料電池自動車展示・試乗 イベント」は、最初に冴I
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ポスター撮影とタイアップ して2C肪年10月に市民等約2万4C別人が参加するイベン トに各社の燃料電池自動車が参加して市内運動公園で 開催され、 280人以上が試乗し、新聞各紙にも大きく取 り上げられた。<
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試乗イベント> 以後、日光市内では、 2∞6'""2∞8年の3ヵ年かけて市 内全中学校17校で科学教室を開催し15∞人を超える生 徒が参加した。このほか、市内のイベントでFα7展示・ 試乗会を開催し、これまでに述べ1
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万人あまりにFCV
を 見て触れる機会を提供してきた。 また、市外では、 2∞6年11月にEVS-22(横浜市:パシ フィコ横浜)にてブースを出展し、2∞9年6月にとちぎ 県民の日イベント(宇都宮市:県庁前広場)においては、 日光市Fα7の展示・試乗会を開催している。 これらの展示・試乗イベントを開催して強く感じるこ とは、当然といえば当然のことであるが、企画者の期待 するとおりには、試乗者が反応してくれないことである。 いくつかの原因が考えられるが、その主なものとして は、第1に、他の目的でイベント会場に来場した者にと って、燃料電池自動車や水素エネルギーというものは、水素エネルギーシステム Vo1.34,No.3 (2009) どうでもいいことに過ぎない、ということ。第2に、何 かを学ぶために会場に来たわけではないため、情報を真 撃に受け取るように心が準備されていない、ということ が推察される。 一般的なイベントでは、主催者はく人寄せパンダ>と し て の 僻リを燃料電池自動車に期待する場合がある。主 催者としては、目新しさや昨年の開催内容との差別化の ために、燃料電池自動車を売りものにしようとする。し かし主催者と来場者には微妙な意図のずれがあり、来場 者のほんとうの目的は無キ湘己布される大根や景品、試飲 の牛乳だ、ったりする。 く地方都市での既設イベントでの状況> ・試乗者 1印名 (試乗時間約7分(約1.5km)) .試乗者の見糖、:筆者の確認結果による。 関係ない 乗りたかった 危ないのでは? こうした場合、水素・燃料電池という「一般にはなじみ の薄しリしかも「最先端科学技術
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こかかる啓発等につい ては、単なる試乗や展示だけでは、技術や製品開発の社 会背景や趣旨・意義を正確に伝えることができない。こ れでは誤解・曲解を与えるのみで偏見を誘発する温床と なる等、逆効果の面も否定できない。 他方、啓発のもう一つの柱として企画した、中学3年 生対象の科学教室「水素と燃料電、池の力」は、2
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8年の3年間で、市内の17中学校をすべてで開催し、 3年生等1500人余りに、水素や燃料電池について学ぶ機 会を樹共することができた。 この科学教宅の特徴は、日光市で使用中の理科の教科 主にく水素><燃料電池> <燃料電池自動車>につい て既に記載されていることから、協議会と日光市教育委 員会で調整を重ね、日光市校長会・日光市理科部会の賛 同・協力を得て正式な理科の授業として位置づけ、多く の知識を与えることよりも実際にく感じる>く触れる >く考える>という部分に重点を置き、実験を中心に構 成したことにある。 この実験では、まず、水素を爆合のレベルで、爆発させ る。水素は大きなエネルギーを持つことと、扱いを間違 えると危険となりかねないことを、最初に伝えるためで ある。 次に、純粋水素と混合水素の燃え方の違いを参力11した 特 集 生徒ひとりひとりが手に持って実験する。時間がかかっ ても、水素は扱いを間違えば危険な場合もあるが、ライ ターに使われているガスなどと同じで、管理して取り扱 えば危険ではないこと、水素が持つ大きなエネルギーを うまく活用することですばらしい可能性があることを 感じてもらう。 これらに続く水素の性質や通常の自動車の排気ガス の性質確認、燃料電池による発電などの一連の実験を通 して、水以外排出せず大きなエネルギーを持ち、繰り返 し{吏える水素を安全に使いこなすことで、自然や環境と もっとよい関係を築くことができるかもしれないこと を考えるきっかけを間共する。私たちの歴史が、人の命 を奪し、かねなし¥I刃物Jや「火」を安全に使いこなす知恵、を 身につけて、今の便利な暮らしを手に入れてきたことと 同じように、これまでなじみのなかった水素というもの の特性を学び安全に活用することの意味と可能性を考 えてもらうためである。 この科学教宅の構成上、教育委員会と協議して留意し た点は「生徒が既に学んでいる単語で説明を行うjことで ある。例えば、物理・化学としづ単語は中学生は朝交で 学んでいないから、 化学的・物理的特J性などの言葉では 伝わらない。こうした「相手が受け取ることのできる単語 で伝える」ことに代表されるきめ細かし酒白書、が、ひとりひ とりの生徒と最先端科学技術をつないでくれたと信じ ている。 学校側でも、科学教室開催前の理科の授業において、 担当教員から関連する水の電気分解・電池等の事項につ いて必要に応じ解説を、また、開催後の授業では復習と 補足の説明を行うなど、全面的に協力してくれた。 科学教空当日は、 ①理科室での科学教室の授業(50分) ②開催校卒業生を中心とした今市工業高校 (同校はワー ルド、エコノムーブ全国大会において、平成17""'加年度まで4 年間連続で全国優勝を続けている)に進学した先輩の活躍水素エネルギーシステム Vo1.34,NO.3 (2009) の紹介と同校科学クラブの電気自動車の試乗(50分) ③日産自動車の全面的協力による燃料電池自動車の実 車解説と試乗 を一連の授業として実施し、最後に学習成果の評価とし て記述式問題を含むテストを実施する。 15∞人余りの受講生徒の答案はすべて記録しである が、その最後に設けた自由記載欄には、生徒たちの率直 な感想、が並んでいる。「わけわかんねー」としづ感想も一 例あったのは事実で、あるOしかしその一方で「前から燃料 電池に関心があり、楽しみにしていたJi将来こうした分 野の研究をしたしリ等の感想も数多く存在する。さらに、 企画者としてうれしかったのは、「これまで理科や数学に 興味がなかったが、今日の授業で、科・学ってすご、いと思っ た。教科書を読んでみようと思う Ji学校の勉強は生活と 関わりがあるんだと感じたJ等の感想である。 今を生きるわれわれ大人は、明日を担う子ども達に何 をしてやれるだろうかと悩むところから出発した科学 教室で、あったが、科学や先端技術lこ
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齢、興味や関心をも っきっかけを提供することができたとしたら、それは大 きな収穫である。 3.2 インフラ 協議会の取り組みの二つ目は、燃料電池自動車が走行 するために欠かせない、水素ステーションの地方部にお けるあり方の検討である。 水素ステーションの整備・運営に当たりもっとも困難 な要素は、本来こうしたインフラは民間企業において自 立的に採算を確保して整備され運営されていくべきで あるが、燃料電池自動車が一台もない状況においては、 水素ステーションを先行的に整備しでも採算がとれる はずもなく民間企業だけに委ねるのは困難、というとこ ろにある。 これは協議会において最も議論を重ねたところである。 関係者の話では、ガソリンスタンドは1万台以上の顧 客を抱えてはじめて運営が成り立つとしづ。水素ステー ションも少なくない数の燃料電池自動車の導入と同時 に稼動させることが理想であるが、そもそもそんなこと は、大企業の大規模事業所が並んでし1るような都市でな ければ困難を極める。 一方、固定客の見込めない状況では、燃料電池自動車 の台数増加が確蔀句されていない状況では、併設による人 件費節約等をどんなに工夫したとしても運営上の赤字 は避けられず、企業が負担できる限度を超えてしまう。 他方、地方公共団体としては、「政府は小さくあるべきj 特 集 「民間にできるものは民間に委ねるべき Jとし、う議論や昨 今の経済状況の中では、高温な理念だけを根拠に大きな 役割を担うことは困難であり、ましてや、元来民間事業 であり市内企業や市民がただちに直接使用するとは考 えられないものに対して市民の税金を大量に際限なく 投入することは困難である。 こうしたこう着状態の中、 2008年7月、協議会に参加│ している企業から燃料電池自動車のリース提供、水素ス テーションの設備・水素・運用予算についての英断があ ったO 各社において大きな負担を負うことになる判断で あり、これがなければ日光市としても公用車への燃料電 池自動車の導入を進めることができなかったO 各社にお いて世の中を前に進めようという視点からの判断がで きる人達に協議会メンバーをお願いしていたことが功 を奏した瞬間で、あったO こうして2008年12月1日、 1地方都市の簡易な水素ステ ーションの開所式と燃料電池自動車1台のリース導入 式が聞かれた。この簡素な式典に、経済産業省木省と環 境省関東地方環境事務所、 FCGJ.J
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ENAA . NEDO の全国団体、関係する 7社を超える企業から取締役執行 役員等の本社幹部が参集してくれたことをみても、関係 者の期待の高さや今後の責任の重さが感じられるもの で、あった。 しかしながら、水素カードノレとの圧力差による充填と いう簡易な水素ステーションでは、燃料電池自動車の走 行距離にも自ずと限界があり、早い段階での木格的な 冴fFC水素ステーションの開設が待たれていたところで ある。 こうした中、 2009年6月29日に、かねてENAAが公募 していた地方実証事業に協議会からの提案が採択され、 2009年中にも、 JHFC水素ステーションが運用開始され る運びとなっている。 3.3 活用 協議会の3つ目の取り組みは、日光地域における燃料 電池自動車の活用のあり方についての検討である。 四 FC水素ステーション整備運用のめどが立った現在、 具体的に、昨今の理科離れ・ものづくり離れの方向を転 換し地域のものづくり産業を支える人材の育成や、国際 観光地である日光において燃料電池自動車を活用した 新たな産業の開発と育成について、いくつかの試みを協 議会として行うことを予定している。 たとえば、国や関係機関の支援を契機として、燃料電 池自動車の普及に向けた啓発活動に引き続き取り組ん水 素 エ ネ ル ギ ー シ ス テ ム Vo1.34,NO.3 (2009) でいくとともに、水素ステーションと燃料電池自動車の 普及をさらに促進するため、 ・日光市内に豊富な水資源を活用した小規模水力発電に よる水電解水素で、燃料電池自動車を走らせるという
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包フリーシステム」構想、 -燃料電池自動車を活用した新たな産業の開発 ・ガソリンスタンドと同じようなセルフ充填方式による 水素ステーションの運営に向けた検討 ・近い将来に想定されている水素ステーションの全国展 開に向けた段階的な整備運営形態 等についての取り組みを検討している。 燃料電池自動車の本格的な普及においては、燃料電池 自動車を「何に使うことが最も効果的であるのか」という 問いに答えることこそが課題であり、全国でさまざまな 答えがいずれ成立してくるものと思われるが、日光にお いても、本市らしし、使い方を提案していきたいと考えて し、る。逆に言えば、 1年半ほどの聞にこの答えを生み出 すことができなければ、日光において燃料電池自動車の 展開は終息するものといってよし¥かもしれない。 4 日光市公用車への燃料電池自動車の導入 前項と前後するが、 2∞8年12月1日、日光市は日産自 動車株式会社からX-TrailFα11台のリース導入を受ける ことができた。 日光市公用車 この日は、先に述べたとおり、先の見通しが立たず判 断が困難な中、多くの関係者が将来の目標を見据えてた くさんの英断を積み上げ、それぞれの関係者を説得して いくという、長い道のりの先にあったもので、ある。 この日、日光市公用車として導入された燃料電池自動 車{世出lFα7は、 2∞9年8月3日現在、有害な排気ガスを 一切出さないという特性を生かして日光市民駅伝大会 での審判長車としての公務や、市内開催イベントでの説 明付試乗会、理科教育関係者への説明と試乗等で、走行 距離は4C削ikmを越え、度ゆO人を超える市民等が実際に 見学し、 7∞人を越える市民等が試乗した。 特 集 この間、急坂で知られる九、ろは坂Jの登坂走行や極寒 期の奥日光走行、横須賀市の研究所までの長E
間住走行な どがあり、試乗会では九、ろは坂で、さーっと追い越して いったJr
戦場ヶ原で、見かけた」等の声も多数聞かれたと ころである。 しかし今後の展開については、予断を許さない状況に ある。昨年来の経済情勢の影響は日光においても色濃く 出てきている。将来のために布石を打つことは大切であ るが、それにかけられるお金となるとまた別の判断がで ることもありうる。5
難しさ これまで述べてきたとおり、新しいエネルギーや新し い科学技術を私たちの暮らしに導入していくことは、重 要なことであるが、さまざまな難しさも伴っている。 技術・情報・これらを有する人材、樹寸の確保、予算 の確保、関係者の役割分担、関係法令の整理と規制緩和、 関係者の意思決定に必要な情報の提供と世論の醸成、 等々、地方都市でままならないことは、まさに枚挙に暇 がない。 しかし方向としては、これらの困難を契機として、相 互の状況を好転させアクセラレイトしていくという「好 循環の構築」を日光においては目指していきたい。 この鍵となるのは理解者であり、理解者の増にもっと もコアとなる要素は、「啓発Jと「実績Jであると考える。 6. 啓発のあるべき方向 一定の見識を有すると期待されるステークホルダー に対する啓発とは異なり、 一般市民に対する啓発活動に おいては、 3で述べてきたとおり、水素・燃料電池とい う「一般にはなじみの薄しリしかも「最先端科学技術」にか かる啓発等については、少なくとも、次の要素をきちん と伝えることが不可欠であると考える。 ①社会背景や必要性についての世界的な動き ② 素 材・技術に関する一定の基礎知識 (水素の特性・燃料電池の持つ力と効果) ③安全な取り扱いに関する知識 ④ メーカー倶JI・法制度側の危険回避の取り組みに ついての情報 ⑤絶対安全はないこと、だからこそ@⑪が重要で あること水素エネルギーシステム Vol.34, N 0.3 (2009) これらの知識を <相手が「学ぼうJとし1う気持ちになれる場所>で、 く「学ぶjとしづ気持ちになった状態>で、 <理解することのできることば>を用いて、 くこの人なら話を聞いてみようと思える人>から、丁 寧に手渡し、その上で、試乗等の体験活動につなげてくこ とが必要ではなし功、 上記状態を整えるには、<場所><仕掛け>く見かけ >は極めて重要な要素であると考える。 これらを総合すると、科学教室のような形での啓発は 今後も極めて有効であると考えられる。このため、協議 会においては、科学教室は今年度も継続することとし、 さらに一般のイベントでの啓発においても一定の時間 をとって、必要な知識を提供したうえで燃料電池自動車 の体験試乗の機会を提供していくこととしたい。 試みとして、 2∞9年8月2日に市内大規模小売盾舗で行 われた夏祭りにおいて、説明を聞いてくれた方に日光市