結核年報2012（1）結核発生動向速報・外国生まれ結核Tuberculosis Annual Report 2012 ─ (1) Summary of Tuberculosis Notification Statistics and Foreign-born Tuberculosis Patients結核研究所疫学情報センターTuberculosis Surveillance Center (TSC), RIT, JATA619-625

(1)

＊ ★ 人口10万対率

Rate per 100,000

全結核

All forms of tuberculosis

喀痰塗抹陽性肺結核 Sputum-smear positive pulmonary tuberculosis 1000 100 10 1 年 Year 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 12 62 塗抹陽性肺結核 Smear positive pulmonary tuberculosis ＊届出結核患者定義の変更，1998年 New criteria applied for notification in 1998 ★結核緊急事態宣言，1999年 “Tuberculosis emergency”declared in 1999 16.7 in 2012 6.5 in 2012 図1 人口10万対年間新結核患者登録数の年次推移，1962∼ 2012年

Fig. 1 Annual trend of tuberculosis notiﬁ cation rate (all forms, spu-tum-smear positive pulmonary tuberculosis) per 100,000 population in Japan, 1962_2012

結核年報 2012（1）結核発生動向速報・外国生まれ結核

結核研究所疫学情報センター

キーワーズ：結核，人口 10 万対登録者数，潜在性結核感染症，出生国，職業 はじめに 結核研究所疫学情報センターは，結核登録者情報調査から，わが国の結核患者の登録状況を集計・解析し，「結核の統計」として毎年発表している。2011 年度分は「結核の統計」の概要を 4 回に分けて紹介しているが，2012 年度分についても同様に，（1）結核発生動向速報・外国生まれ結核，（2）小児結核・高齢者結核，（3）患者発見・診断時病状，（4）治療・治療成績，にまとめて報告する予定である。今回は，このうち（1）について報告する。なお，新登録結核患者数には，潜在性結核感染症（Latent Tuberculosis Infection, LTBI）患者は含めない。

わが国では，1998 年以降，結核発生動向調査項目に患者の国籍情報（日本国籍か外国国籍か）が追加され，以後外国人結核患者の発生動向分析が可能となった。2007 年からは入国時期（ 5 年以内か否か）と国籍も追加され，より詳しい分析が可能となった。「結核に関する特定感染症予防指針」1)_{に準じた結核発病ハイリスク対策の一} 環として，2012 年以降は，それまでの国籍情報についての入力項目が出生国（日本生まれ・外国生まれ）に変更され，外国生まれの場合，入国時期と出生国名の情報が入力されるようになっている。 結核患者発生動向 （ 1 ）人口 10 万対年間新結核患者登録者数（新登録率）の年次推移（図 1 ）図 1 に，全結核と喀痰塗抹陽性肺結核の人口 10 万対年間新結核患者登録者数年次推移を示す。2012 年の人口 10 万対新全結核患者登録者数は 16.7（患者数 21,283 人）で，前年 17.7（患者数 22,681 人）からの減少率は 6.0% であった。人口 10 万対新全結核患者登録者数が 20 未満となった 2007 年以降では比較的大きな減少率を示したが， 2010 年から 2011 年での減少率は 2.3% で小さく，過去 2 年間の平均年間減少率は約 4 % である。人口 10 万対喀痰塗抹陽性肺結核（初回治療＋再治療）患者登録者数は，2000 年以降人口 10 万対全結核患者登録者数と同様に減少している。2011 年から 2012 年の登録率は 6.8（患者数 8,654 人）から 6.5（患者数 8,237）になり，減少率は 4.6% であった。（ 2 ）新登録結核患者数・率の性・年齢分布（図 2・表 1 ）図 2 は，性・ 5 歳年齢階層別の新登録結核患者数の分公益財団法人結核予防会結核研究所連絡先：疫学情報センター，公益財団法人結核予防会結核研究所，〒 204 _ 8533 東京都清瀬市松山 3 _ 1 _ 24 （E-mail : tbsur@jata.or.jp）

(2)

図2 新登録結核患者数の年齢分布，性別，2002年・2012年 Fig. 2 Age distribution of newly notiﬁ ed tuberculosis patients by sex in Japan, in 2002 and in 2012 患者数 Number of patients 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 患者数 Number of patients 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 0_ 0_ 5_ 10_15_20_25_30_35_40_45_50_55_60_65_70_75_80_85_90＋ 5_ 10_15_20_25_30_35_40_45_50_55_60_65_70_75_80_85_90＋ 2012年年齢 Age group 年齢 Age group 男 Male 女 Female 男 Male 女 Female 2002年表1 新登録結核患者数（全結核，初回治療・再治療別，肺結核・肺外結核別），年齢階層別， 2010 ∼ 2012 年 Table 1

Number of newly notiﬁ

ed tuberculosis patients (all forms, new and re-treatment, pul

monary and extra-pulmonary), by age group, in Japan, 2010

_ 2012 年齢階層 Age group 新登録全結核患者数 Tuberculosis notiﬁ cations, all forms (*1) 新全結核患者登録率（罹患率） Tuberculosis notiﬁ cation rates, all forms (*2) 初回治療結核 New tuberculosis 再治療結核 Retreatment tuberculosis 肺結核 Pulmonary tuberculosis 肺外結核 Extra-pulmonary tuberculosis 肺結核 Pulmonary tuberculosis

肺外結核 Extra- pulmonary _tuberculosis

喀痰塗抹陽性肺結核 Sputum-smear positive 喀痰塗抹陰性肺結核 Sputum-smear negative 菌検査結果不明

Bacteriological test results

unknown 喀痰塗抹 _{陽性肺結核} Sputum-smear positive 喀痰塗抹陰性肺結核 Sputum-smear negative 菌検査結果不明

Bacteriological test results

unknown その他菌陽性肺結核 Other bacteriologically positive 喀痰塗抹陰性・他肺結核

Other sputum- smear negative

その他菌陽性

肺結核

Other bacteriologically

positive

喀痰塗抹陰性・他肺結核 Other sputum- smear negative

2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 201 0 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 2011 2012 2010 20 11 2012 2010 2011 2012 総数 Total 23,261 22,681 21,283 18.2 17.7 16.7 8,237 7,937 7,663 5,866 5,363 5,350 2,5 44 2,619 2,132 220 249 193 4,632 4,826 4,609 782 717 574 412 408 336 237 204 162 30 22 22 301 336 242 0 _ 14 15 _ 19 20 _ 29 30 _ 39 40 _ 49 50 _ 59 60 _ 69 70 _ 79 80 _ 89 90＋ 89 ₂₅₁ 1,536 1,921 1,764 2,171 3,610 5,000 5,623 1,296 84 ₁₅₇ 1,417 1,718 1,820 2,049 3,232 4,875 5,897 1,432 63 ₁₆₅ 1,288 1,528 1,600 1,795 3,012 4,595 5,753 1,484 0.5 4.2 _10.9 _10.7 _10.6 _13.4 _19.9 _38.8 _82.6 _91.8 0.5 2.6 _10.4 9.6 _10.5 _12.8 _17.5 _36.6 _82.8 _99.1 0.4 2.7 9.7 8.9 9.1 _11.5 _16.3 _33.7 _77.6 _97.1 7 ₅₈ 374 567 568 784 1,262 1,800 2,271 546 5 ₄₂ 347 494 592 771 1,134 1,649 2,286 617 4 ₃₈ 320 423 514 631 1,083 1,657 2,339 654 15 73 ₅₀₀ ₅₄₀ ₄₈₆ ₅₈₅ ₈₆₃ 1,173 1,301 330 12 49 ₄₂₆ ₄₂₇ ₄₄₂ ₄₇₂ ₇₀₉ 1,125 1,361 340 4 ₄₀ 387 439 428 462 742 1,082 1,400 366 33 71 ₃₄₆ ₃₉₆ ₂₈₅ ₂₈₂ ₃₈₆ ₄₀₅ ₂₉₇ 43 32 35 ₃₅₈ ₄₀₈ ₃₂₃ ₂₉₆ ₄₀₂ ₄₀₂ ₃₀₂ 61 30 46 ₃₀₄ ₃₁₀ ₂₄₄ ₂₃₉ ₃₀₆ ₃₃₃ ₂₆₁ 59 6 6 ₂₉ ₃₀ ₂₅ ₁₈ ₃₅ ₄₁ ₂₈ 2 9 8 ₃₃ ₂₇ ₂₄ ₃₈ ₃₄ ₄₀ ₃₅ 1 6 4 ₂₃ ₁₉ ₂₂ ₂₃ ₃₈ ₃₃ ₂₃ 2 24 30 ₂₀₉ ₂₉₆ ₂₇₆ ₃₃₅ ₇₅₉ 1,161 1,241 301 22 15 ₁₈₉ ₂₇₀ ₃₃₈ ₃₄₄ ₆₈₅ 1,254 1,375 334 16 23 ₁₈₈ ₂₅₈ ₂₈₆ ₃₂₃ ₆₄₄ 1,163 1,357 351 0 2 ₁₅ ₂₉ ₄₈ ₇₅ 127 194 250 42 0 3 ₁₃ ₂₆ ₃₃ ₄₈ 107 168 278 41 1 2 ₁₇ ₂₅ ₄₁ ₄₉ ₇₈ 144 193 24 0 3 ₂₀ ₁₅ ₂₇ ₃₃ ₆₂ 107 128 17 0 0 ₁₈ ₂₀ ₂₅ ₃₅ ₆₅ 103 120 22 0 5 ₁₈ ₁₉ ₂₈ ₂₈ ₅₅ ₈₀ ₈₇ ₁₆ 2 2 ₂₁ ₁₇ ₁₈ ₃₅ ₅₉ ₄₆ ₃₄ 3 3 2 ₁₄ ₁₂ ₁₄ ₂₅ ₄₇ ₅₂ ₃₀ 5 1 4 ₁₆ ₁₄ ₁₃ ₂₁ ₃₃ ₂₇ ₂₈ 5 1 2 6 3 5 2 4 4 3 0 0 2 3 1 4 3 3 5 0 1 0 2 2 2 1 3 5 5 2 0 1 4 ₁₆ ₂₈ ₂₆ ₂₂ ₅₃ ₆₉ ₇₀ ₁₂ 1 1 ₁₆ ₃₃ ₂₅ ₁₇ ₄₆ ₇₇ 110 10 1 1 ₁₃ ₁₉ ₂₃ ₁₆ ₂₈ ₇₁ ₆₃ 7 *1 : “ All forms

” include new and retreatment tuberculosis patients.

*2 : 人口 10 万対率

Rate per 100,000 population.

布を，2002 年と 2012 年で比較したものである。2002 年に比較的はっきりとしていた成人若年層での山は 2012 年においては低くなり，高齢者層の山はより高齢の年齢層へと移動する傾向となっている。表 1 に，新登録全結核患者数および人口 10 万対新全結核登録者数，初回治療・再治療結核患者数，肺結核・肺外結核患者数について，年齢階層別に過去 3 年間分を示す。小児（15 歳未満）の新登録全結核患者数は 2006 年以降 100 人を下回っており，2012 年は 63 人となった。一方，結核患者での高齢化傾向はさらに進み，60 歳以上が 69.7%（前年 68.1%），70 歳以上が 55.6%（前年 53.8%），80 歳以上が 34.0%（前年 32.3%）を占めるようになっている。2010 年から 2012 年までの年齢階層別人口 10 万対新全結核患者登録者数では，各年齢階層でおおむね減少傾向を示した。初回治療結核患者のうち，より感染性の強い喀痰塗抹陽性肺結核患者数の年齢階層別推移では，80 歳以上の年齢層で増加傾向を認めている。2010 年から 2012 年までの再治療結核でも，おおむね各年齢階層において減少傾向を示した。（ 3 ）新登録潜在性結核感染症（LTBI）登録者数（表 2） 2012 年の新登録潜在性結核感染症者数は，2010 年 4,930 人から 2011 年 10,046 人に著増したが，2012 年は 8,771 人に減少傾向を認めた。2011 年の LTBI 登録者数増加の要因については，2012 年に実施された全国保健所調査により，「2010 年のクォンティフェロン（QFT）検査年齢制限撤廃による検査実施数の増加」「予算措置・

(3)

表 2 新登録潜在性結核感染症登録者数，性･年齢階層別，2010∼2012 年

Table 2 Newly notiﬁ ed latent tuberculosis infection (LTBI) patients, by sex and age group, in Japan, from 2010 to 2012 年齢 Age group 2010 年 2011 年 2012 年総数 Total 性Sex 割合 (％) 女/男 Ratio of F/M 総数 Total 性Sex 割合 (％) 女/男 Ratio of F/M 総数 Total 性Sex 割合 (％) 女/男 Ratio of F/M 男

Male Female女 Male男 Female女 Male男 Female女

総数 Total 0 _ 4 5 _ 9 10 _ 14 15 _ 19 20 _ 24 25 _ 29 30 _ 34 35 _ 39 40 _ 44 45 _ 49 50 _ 54 55 _ 59 60 _ 64 65 _ 69 70＋ 4,930 370 160 162 244 397 462 519 534 519 479 349 290 194 115 136 2,206 182 86 87 139 176 189 223 212 213 193 146 140 101 59 60 2,724 188 74 75 105 221 273 296 322 306 286 203 150 93 56 76 100 7.5 3.2 3.3 4.9 8.1 9.4 10.5 10.8 10.5 9.7 7.1 5.9 3.9 2.3 2.8 1.2 1.0 0.9 0.9 0.8 1.3 1.4 1.3 1.5 1.4 1.5 1.4 1.1 0.9 0.9 1.3 10,046 542 182 233 327 864 1,080 1,084 1,152 989 923 773 683 577 269 368 3,966 251 92 97 165 257 379 408 448 374 325 278 289 279 134 190 6,080 291 90 136 162 607 701 676 704 615 598 495 394 298 135 178 100 5.4 1.8 2.3 3.3 8.6 10.8 10.8 11.5 9.8 9.2 7.7 6.8 5.7 2.7 3.7 1.5 1.2 1.0 1.4 1.0 2.4 1.8 1.7 1.6 1.6 1.8 1.8 1.4 1.1 1.0 0.9 8,771 499 219 177 276 753 879 876 893 913 768 701 621 549 256 391 3,470 230 116 90 129 211 305 311 350 315 308 251 261 256 153 184 5,301 269 103 87 147 542 574 565 543 598 460 450 360 293 103 207 100 5.7 2.5 2.0 3.1 8.6 10.0 10.0 10.2 10.4 8.8 8.0 7.1 6.3 2.9 4.5 1.5 1.2 0.9 1.0 1.1 2.6 1.9 1.8 1.6 1.9 1.5 1.8 1.4 1.1 0.7 1.1 Ratio of F/M : Ratio of female patients to male patients

％ : proportion 検査実施体制の整備等による QFT 検査実施指数の増加」「QFT 検査の第 2 世代から第 3 世代への移行に伴う陽性結果者や判定保留結果者およびそれらの割合の増加」等が関与していることが示された2)_{。女性の男性に対する} 比が高い傾向は 2012 年も継続し，1.5 であった。2012 年の LTBI 登録患者における看護師･保健師が，全体の 23.2%（2,036 人）を占めていることが，女性 ⁄男性比が高い原因の一つと考えられる。2012 年の 50 歳以上における LTBI 登録者数は，前年と比較して男女共に減少傾向にあるが，全体の中で占める割合は増加傾向を示し， 2011 年は男性 29.5%・女性 24.7%，2012 年は男性 31.8%・女性 26.7% であった。（ 4 ）肺外結核（表 3 ）肺外結核の部位で最も多いのは結核性胸膜炎，次いで他のリンパ節結核であるのは 2011 年と同様であった。重症の肺外結核である結核性髄膜炎は年間 150 人前後，粟粒結核は年間 600 人前後，脊椎結核は年間 250 人前後で推移しており，目立った減少傾向は認められない。気管支結核は 2007 年以降増加傾向にあったが，2012 年は減少に転じた。 外国生まれ結核 （ 1 ）外国生まれ新登録結核患者数の年次推移と性・年齢階層別分布（図 3 ・表 4 ）外国籍結核患者（1998 年∼2011 年），もしくは外国生まれの新登録結核患者数（2012 年）は，1998 年の 739 人以降徐々に増加しており，2012 年は 1,069 人であった。国籍・出生国不明を除いた全患者に占める外国生まれ結核患者の割合も増加傾向にある（1998 年 2.1%，2012 年 5.2%）。性別では，2012 年の外国生まれ結核患者の女性 ⁄ 男性比は 1.3 であった。また年齢階層別では，1998 年以降，外国生まれ患者に占める 20 歳代の割合が最も高い状態で推移しており，2012 年にはその割合は 43.8%（1,069 人中 468 人）であった（表に示さず）。20 歳代新登録結核患者数（出生国不明を除く）のうち外国生まれ患者数の占める割合も増加を続け，2012 年は 37.0%（1,265 人中 468 人）に達した。（ 2 ）入国時期別・国別外国生まれ患者数（図 4・表 5 ） 2012 年の入国時期別外国生まれ患者割合を見ると，最近 5 年以内に入国した人の割合が全年齢層で 37.4% であるが，10 歳代では 66.7%，20 歳代では 57.9% と過半数を占めた。一方，30 歳代では 27.0%，40 歳代では 9.9% であった。2012 年の国別外国生まれ患者数は，中国（294 人，27.5%）とフィリピン（290 人，27.1%）とで約半数を占め，次いで韓国，ベトナム，インドネシアと続いた。入国時期別の分析では，最近 5 年以内に入国した患者は，中国（159 人，39.8%）が多かったが，5 年以上前に入国または入国時期不明の患者ではフィリピン（227 人， 33.9%）が多かった。（ 3 ）職業分類別・年齢階層別外国生まれ患者数（表 6 ）職業分類別外国生まれ新登録結核患者総数で，最も高い割合を占めたのは「他常用勤労者（296 人，28%）」，次いで「無職・その他（222 人，21%）」「生徒・学生（215 人， 20%）」であった。男女別でも，「他常用勤労者」がそれ

(4)

表 4 新登録全結核患者の発生動向年次推移，国籍または出生国別，性別，1998∼2012 年

Table 4 Annual trend of newly notiﬁ ed tuberculosis patients by nationality or country of origin, and by sex, from 1998 to 2012

暦年 Year 新登録全結核患者数 Number of newly notiﬁ ed tuber-culosis patients, all forms 日本生まれ Born in Japan 外国籍もしくは外国生まれ Foreign nationalities or foreign-borns (*1) 国籍または出生国不明 Unknown nationalities or country of origin 外国生まれ割合 (%) Proportion of foreign-borns (％) (*2) 性 Sex (*3) _（比）女 ⁄男 Ratio of Females to Males 男 Male 女 Female 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 41,033 43,818 39,384 35,489 32,828 31,638 29,736 28,319 26,384 25,311 24,760 24,170 23,261 22,681 21,283 34,382 37,094 33,720 30,305 28,667 27,665 26,205 25,247 23,505 23,451 23,163 22,808 21,976 21,372 19,555 739 821 837 866 824 906 931 923 920 842 945 938 952 921 1,069 5,912 5,903 4,827 4,318 3,337 3,067 2,600 2,149 1,959 1,018 652 424 333 388 659 2.1 2.2 2.4 2.8 2.8 3.2 3.4 3.5 3.8 3.5 3.9 4.0 4.2 4.1 5.2 365 415 436 442 411 433 479 438 444 364 416 414 424 416 474 374 406 401 424 413 473 452 485 476 478 529 524 528 505 595 1.0 1.0 0.9 1.0 1.0 1.1 0.9 1.1 1.1 1.3 1.3 1.3 1.2 1.2 1.3 *1 : 2011 年までは外国籍結核患者数，2012 年は外国生まれ結核患者数。

Number of tuberculosis patients with foreign nationalities until 2011, number of foreign-born patients afterwards.

*2 : 2011 年までは外国籍患者割合，2012 年は外国生まれ患者割合（国籍または出生国不明を除く）。

Proportion of tuberculosis patients with foreign nationalities until 2011, proportion of foreign-born patients afterwards, excluding those of unknown nationality or country of origin.

*3 : 外国籍または外国生まれにおける性別。

Sex distribution among foreign nationalities or foreign-borns.

表 3 新登録結核患者数，結核病類別，性・年齢階層別，1998∼2012 年

Table 3 Newly notiﬁ ed tuberculosis patients by affected organ, sex and age group, in Japan, from 1998 to 2012 性・年齢 2012 年 Sex, Age group, in 2012 全結核 Tuberculosis notiﬁ cations, all forms 肺結核 Pulmonary

tuberculosis 肺外結核 Extra-pulmonary tuberculosis 肺 Lung 気管支 Bronchi 咽頭・喉頭 Pharyn- geal/La-ryngeal 粟粒 Miliary 胸膜炎 Pleural 膿胸 Empy-ema 肺門リンパ節 Hilar lymph node 他のリンパ節 Other lymph node 髄膜炎 Menin-ges 腸 Intes-tines 脊椎 Verte-brae 他の骨関節 Other joints/ bones 腎・尿路 Kidney/ Urinary tract 性器 Geni-tals 皮膚 Skins 眼 Eyes 耳 Ears 腹膜炎 Perito-neum 心膜炎 Pericar-dium 他の臓器 Other organs 総数Total 男Male 女Female 0 _ 14 15 _ 19 20 _ 29 30 _ 39 40 _ 49 50 _ 59 60 _ 69 70 _ 79 80 _ 89 90＋ 21,283 12,988 8,295 63 165 1,288 1,528 1,600 1,795 3,012 4,595 5,753 1,484 16,826 10,688 6,138 46 142 1,092 1,257 1,309 1,476 2,376 3,447 4,497 1,184 107 42 65 0 0 12 10 4 11 13 33 19 5 46 20 26 0 0 4 4 6 8 4 14 5 1 608 243 365 0 2 4 10 20 28 53 147 264 80 3,653 2,507 1,146 4 23 150 178 202 213 416 854 1,238 375 63 37 26 0 0 3 8 1 1 5 18 20 7 134 63 71 7 3 10 9 14 17 28 34 11 1 1,038 292 746 6 5 76 119 98 94 187 249 175 29 152 85 67 1 2 11 16 11 27 17 32 29 6 348 160 188 1 0 21 22 37 40 71 91 62 3 255 118 137 0 1 12 12 8 17 42 83 70 10 157 74 83 0 0 6 8 5 9 30 50 40 9 82 42 40 0 0 1 2 9 11 17 23 18 1 20 10 10 0 0 1 1 3 3 5 3 4 0 97 31 66 1 0 1 6 4 6 14 23 33 9 34 19 15 0 0 5 7 8 2 6 4 2 0 16 5 11 1 0 3 3 1 1 2 2 3 0 176 72 104 0 0 9 5 6 15 31 57 42 11 80 52 28 0 0 0 2 1 4 16 35 21 1 166 89 77 0 0 7 8 14 15 39 37 41 5 年Year 総数Total 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 41,033 43,818 39,384 35,489 32,828 31,638 29,736 28,319 26,384 25,311 24,760 24,170 23,261 22,681 21,283 33,981 36,190 32,338 28,868 26,472 25,478 23,829 22,655 20,856 20,264 19,780 19,278 18,735 17,969 16,826 − − − − − − − − − 108 117 121 127 129 107 − − − − − − − − − 31 43 36 53 57 46 505 603 597 642 626 639 617 585 616 602 570 604 598 695 608 5,125 5,586 5,108 4,840 4,666 4,539 4,491 4,338 4,192 4,134 4,001 3,940 3,959 3,929 3,653 251 221 202 162 152 142 125 115 97 75 78 63 48 52 63 136 143 123 102 84 83 70 88 79 57 68 73 74 70 134 1,469 1,538 1,432 1,368 1,269 1,341 1,293 1,151 1,191 1,186 1,194 1,221 1,158 1,199 1,038 154 163 158 177 188 149 160 180 127 153 171 162 138 156 152 335 345 356 275 323 276 299 296 263 328 292 321 330 317 348 385 334 319 276 299 268 275 233 248 232 273 241 239 250 255 328 300 272 274 222 223 220 201 231 190 170 182 159 145 157 227 179 181 172 148 144 112 130 112 108 121 100 88 83 82 78 96 72 72 66 47 53 37 40 34 34 23 35 22 20 100 94 123 104 100 87 95 98 109 92 92 121 97 89 97 12 13 16 11 19 15 13 11 9 19 13 26 29 27 34 25 28 38 25 29 28 30 33 24 18 29 22 12 21 16 − − − − − − − − − 92 144 168 154 173 176 − − − − − − − − − 61 80 88 76 89 80 692 684 656 619 544 570 564 536 554 281 181 179 171 187 166 注：結核病類は重複あり Note : Cases having multiple organs are counted independently.

(5)

表 5 外国生まれ結核患者数および割合，出生国別，入国時期別，2012 年

Table 5 Number and proportion of foreign-born tuberculosis patients by country of origin and time of entry to Japan, in 2012

総数Total 最近 5 年以内の入国_{Entered within 5 years} _{Entered more than 5 years ago, or unknown}5 年より前の入国 ⁄ 時期不明

総数Total 中国China フィリピンPhilippines 韓国Republic of Korea ベトナムVietnam インドネシアIndonesia ネパールNepal ブラジルBrazil タイThailand インドIndia ミャンマーMyanmar ペルーPeru 台湾Taiwan その他Others 国名不明Unknown 1,069 294 290 92 63 57 42 30 26 20 20 12 12 40 71 100％ 27.5 27.1 8.6 5.9 5.3 3.9 2.8 2.4 1.9 1.9 1.1 1.1 3.7 6.6 総数Total 中国China フィリピンPhilippines インドネシアIndonesia ベトナムVietnam ネパールNepal 韓国Republic of Korea ミャンマーMyanmar インドIndia タイThailand その他Others 国名不明Unknown 400 159 63 32 32 21 16 13 10 10 39 5 100％ 39.8 15.8 8.0 8.0 5.3 4.0 3.3 2.5 2.5 9.8 1.3 総数Total フィリピンPhilippines 中国China 韓国Republic of Korea ベトナムVietnam ブラジルBrazil インドネシアIndonesia ネパールNepal タイThailand インドIndia ペルーPeru その他Others 国名不明Unknown 669 227 135 76 31 25 25 21 16 10 10 58 35 100％ 33.9 20.2 11.4 4.6 3.7 3.7 3.1 2.4 1.5 1.5 8.7 5.2 国名：10 名以上患者発生届のあった国名を掲載 Only those nations with more than ten tuberculosis cases are listed.

図 3 新登録結核患者に占める外国生まれ結核患者割合の 推移，性別・特定年齢階層別，1998∼2012 年

Fig. 3 Annual trend of proportion of foreign-borns among newly notiﬁ ed tuberculosis patients, by age group, from 1998 to 2012 割合：国籍不明を除く In the proportion, the numerator excluded those whose nationalities are unknown.

図 4 外国生まれ結核患者の入国時期別割合，年齢階層 別，2012 年

Fig. 4 Proportion of foreign-born tuberculosis patients, by age group and time of entry to Japan, in 2012

｜ ■ ● 割合（%） Proportion (％) 40 30 20 10 0 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 20 _ 29 歳（yrs） 15 _ 19 歳（yrs） 30 _ 39 歳（yrs）女 Female 総数 All patients 男 Male 30.0 37.0 28.8 25.4 26.3 21.1 21.2 17.8 17.3 15.9 13.5 13.4 11.7 9.4 9.1 割合（%） Proportion (％) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 年齢 Age group Total 0− 10− 20− 30− 40− 50− 60− 70− 80− 90＋ 5 年より前の入 国／時期不明 Enteted more than 5 years ago, or unknown 最近 5 年以内の入国 Entered within 5 years ぞれ最多であった。「接客業」に分類される外国生まれ結核患者は 61 人（ 6 %）であった。年齢階層別では，15 ∼24 歳で「生徒・学生」，25∼39 歳では「他常用勤労者」が最も多く，40∼44 歳では「無職・その他」が最多であった。45∼49 歳では，再び「他常用勤労者」が最も多く， 50∼54 歳では「他常用勤労者」と「無職・その他」が同数，55 歳以上では「無職・その他」が最多であった。 おわりに わが国の新登録結核患者数は減少傾向にあるが，未だ年間 21,000 人以上の結核患者が発生しており，人口 10 万対全結核登録者数も 16.7 で，米国（同 3.4）の約 4.9 倍，ドイツ（同 4.3）の約 3.9 倍である。結核患者における高齢化はさらに進行し，結核患者の半数以上（55.6%）を 70 歳以上の高齢者が占めている。2011 年に前年から比較して著増した新登録潜在性結核感染患者数は，2012 年は減少傾向を認めた。わが国の外国生まれ新登録結核患者数とその割合は共に増加傾向にある。2011 年と比べ 2012 年の外国生まれ新登録結核患者数が増加した理由としては，国籍による情報が出生国による情報に変更されたことが主たる要因と考えられるが，個々の背景や地域別の動向については，

(6)

表 6 職業分類別外国生まれ結核患者数，性別・年齢階層別，2012 年 Table 6 Occupation of foreign-born tuberculosis patients by sex and age group, in Japan, in 2012 年齢 Age group 総数 Total 接客業 Service workers 医療職 Health care workers 教員・保育士 Teachers/ Nursery staff 乳幼児・児童 Infants/ Children 生徒・学生 Students 他常用勤労者 Other regular employees 他臨時雇・日雇 Other temporary/ day laborer 他自営・自由業 Other self-employed 家事従業者 House-wives 無職・その他 Unemployed /Others 不明 Unknown 総数Total 男Male 女Female 0 _ 14 15 _ 19 20 _ 24 25 _ 29 30 _ 34 35 _ 39 40 _ 44 45 _ 49 50 _ 54 55 _ 59 60＋ 1,069 474 595 7 42 262 206 151 86 110 71 35 28 71 61 ( 6) 19 ( 4) 42 ( 7) − − 6 ( 2) 12 ( 6) 14 ( 9) 7 ( 8) 12 (11) 5 ( 7) 1 ( 3) 3 (11) 1 ( 1) 17 (2) 2 (0.4) 15 (3) − − − 3 (1) 1 (1) 5 (6) 4 (4) 2 (3) − − 2 (3) 4 (0.4) 2 (0.4) 2 (0.3) − − − − − 2 (2) − − − 1 (4) 1 (1) 11 ( 1) 5 ( 1) 6 ( 1) 7 (100) 4 (10) − − − − − − − − − 215 (20) 134 (28) 81 (14) − 25 (60) 119 (45) 57 (28) 11 ( 7) 2 ( 2) 1 ( 1) − − − − 296 (28) 150 (32) 146 (25) − 5 (12) 85 (32) 76 (37) 47 (31) 27 (31) 21 (19) 22 (31) 9 (26) 1 ( 4) 3 ( 4) 117 (11) 55 (12) 62 (10) − 3 ( 7) 16 ( 6) 20 (10) 17 (11) 11 (13) 20 (18) 15 (21) 6 (17) 4 (14) 5 ( 7) 19 (2) 12 (3) 7 (1) − − 2 (1) 1 (0) − 2 (2) 2 (2) 3 (4) 3 (9) 2 (7) 4 (6) 65 ( 6) − 65 (11) − − 6 ( 2) 10 ( 5) 15 (10) 13 (15) 11 (10) 2 ( 3) 4 (11) 4 (14) − 222 (21) 84 (18) 138 (23) − 5 (12) 24 ( 9) 19 ( 9) 34 (23) 13 (15) 34 (31) 19 (27) 9 (26) 12 (43) 53 (75) 42 (4) 11 (2) 31 (5) − − 4 (2) 8 (4) 12 (8) 4 (5) 5 (5) 3 (4) 3 (9) 1 (4) 2 (3) (％) より詳しい検討が必要である。20 歳代においては，外国生まれの結核患者が 4 割弱を占めた。わが国で結核を発病した外国生まれ患者の出生国の多くは，世界保健機関の指定する結核高負担国である3)_{。国際化に伴って外国} 人留学生や労働者の増加が進む中4)_{，結核患者に占める} 外国生まれの患者割合は，他の先進国と同様に今後も増加していくことが予想される。外国生まれ結核患者は，治療途中で帰国となる事例も少なくなく5)_{，治療中断・} 脱落を防ぐためにも，今後さらなる対策支援の強化が求められる。 文献 1 ）厚生労働省：結核に関する特定感染症予防指針（平成 19 年厚生労働省告示 72 号）.（2013 年 11 月 7 日閲覧）. http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/ kenkou/kekkaku-kansenshou03/dl/zenbun.pdf 2 ）（公財）結核予防会結核研究所疫学情報センター：潜在性結核感染症新登録患者数増加の要因に関する全国保健所調査報告書. （2013 年 11 月 7 日閲覧）. http://www. jata.or.jp/rit/ekigaku/resist/survey/

3 ） World Health Organization : WHO report 2011 Global Tu-berculosis Control. WHO, Geneva, 2012, 9 16.

4 ）法務省出入国管理統計：11-00-06 国籍別入国外国人の在留資格. （2012 年 9 月 6 日閲覧）. http://www.e-stat.go. jp/SG1/estat/List.do?lid ＝ 000001089430 5 ）日本結核病学会国際交流委員会：在日外国人結核全国実態調査 2008 年─治療途中で帰国してしまったケースを中心に. 結核 . 2012 ; 87 : 591 597.

(7)

−−−−−−−−Report and Information−−−−−−−−

TUBERCULOSIS ANNUAL REPORT 2012

─ (1) Summary of Tuberculosis Notiﬁ cation Statistics and Foreign-born Tuberculosis Patients ─

Tuberculosis Surveillance Center (TSC), RIT, JATA

Abstract This brief summary report is the ﬁ rst of a series of

reports based on the Tuberculosis Annual Report 2012. It includes a summary of tuberculosis (TB) statistics, and an overview of foreign-born TB patients notiﬁ ed and registered in 2012 in Japan.

A total of 21,283 patients with all forms of TB were notifi ed in 2012, a rate of 16.7 per 100,000 population. Since 2000, the TB notifi cation rates continued to decline until 2012. A total of 8,237 sputum-smear positive pulmonary TB patients were notifi ed in 2012, a rate of 6.5 per 100,000 population. The number of patients with latent TB infection drastically increased from 4,930 in 2010 to 10,046 in 2011, and declined to 8,771 in 2012.

The number of foreign-born TB patients increased from 739 in 1998 to 1,069 in 2012. These patients accounted for 2.1％ of all new TB patients in 1998, and this percentage increased to 5.2％ in 2012. New foreign-born TB patients aged 20_29 years accounted for 37.0％ of all new TB patients of the same age group in 2012. Among the foreign-born TB patients, more than half were from China (27.5％) and the Philippines (27.1 ％). In most cases, foreign-born TB patients entered Japan within 5 years, including 66.7％ of those aged 10_19 years,

and 57.9％ of those aged 20_29 years. These foreign-born TB patients were largely regular employees (28％) other than service workers, health care workers, and teachers, followed by unemployed persons (21％) and students (20％).

With an increase in the number of immigrants in Japan, the proportion of foreign-born TB patients is also expected to increase, particularly that of young adults and those from countries with a high TB burden. Comprehensive programs are required to ensure that these patients adhere to their anti-TB treatment.

Key words: Tuberculosis, Notiﬁ cation rate, Latent

tubercu-losis infection, Country of origin, Occupation

Research Institute of Tuberculosis (RIT), Japan Anti-Tuber-culosis Association (JATA)

Correspondence to: Tuberculosis Surveillance Center (TSC), Research Institute of Tuberculosis (RIT), JATA, 3_1_24, Matsuyama, Kiyose-shi, Tokyo 204_8533 Japan.