5 日本常民文化研究所年報 2014
日本常民文化研究所の『年報』
創刊号の刊行によせて
神奈川大学日本常民文化研究所は、1921年に渋沢敬三によって創設された「アチックミューゼ アム」を前身とし、㈶日本常民文化研究所時代を経て、1982年に神奈川大学に移管され現在に至っ ています。戦後間もなく行われた漁業制度資料調査による史・資料25万点を含む膨大な資料を所 蔵し、また、民具研究を中心に長年にわたり「常民」、すなわち庶民の生活文化に関する多方面の 調査、研究を行ってきました。その実績が評価をうけ文部科学省の21世紀COEプログラムに採 択され、「人類文化研究のための非文字資料の体系化」(2003-2007年度)の拠点となり、その後、
事業は本研究所に付置された非文字資料研究センターに引き継がれています。さらに、2009年度 には国際常民文化研究機構として文部科学省から「平成21年度人文学及び社会科学における共同 研究拠点の整備の推進事業」の新たな共同研究拠点に認定され、5年間にわたる事業を推進してま いりました。この事業も5年間の活動を計画通り終え、2014年度から新たに同じ機構名で事業を 推進しています。
この2つの事業については、それぞれ1年間の活動内容をまとめた『年報』を公刊してまいりま したが、今後は機構の『年報』の事業内容と本研究所の『要覧』の活動報告部分を一元化し、所員 をはじめ各研究員の研究活動や研究所の動向を発信する新媒体としての『年報』を刊行することに なりました。本書はその第1号にあたる2014年度の『年報』です。ところで、所員や各研究員の 研究論文については、研究所の紀要『歴史と民俗』が毎年発行されていますので、これまで通りそ の中で発表することになります。また、機構の継続事業では、主に外部の研究者を対象にした2件 の共同研究(共同研究〈一般〉と共同研究〈奨励〉)が進められていますが、その成果はいずれも 単独の刊行物で出版することにいたします。したがって、新『年報』は、基本的には各種論文は掲 載せず、水産総合研究センターの受託事業などを含む研究所と機構で実施した1年間の事業内容の 掲載が中心となります。ただし、今回の新『年報』には、機構採択から5年間の期間中に研究され た成果論文を例外的に1件収載しています。このほか、『年報』を編集、刊行する年に研究所で取 り組んでいる共同研究、各種研究会、常民文化研究講座、国際学術交流などの実施内容の一部を経 過報告の形で掲載する方針も採用しました。
現在、研究所では、所員を主体とした3課題の共同研究の推進、創設100周年記念事業へ向けて の取り組み、博物館開設の準備、国際学術交流の促進など、将来を見据えたさまざまな事業を展開 しています。こうした事業を遂行する過程で『年報』により事業内容を公表、発信していきたいと 思います。今後、より一層内容の充実した『年報』を作成するためにも、多くの方々にご一読いた だき、忌憚ないご意見、ご助言を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。
2016年3月7日
神奈川大学日本常民文化研究所所長 国際常民文化研究機構運営委員長 田上 繁