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レール締結装置の性能照査に用いる荷重条件の算定 法に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

レール締結装置の性能照査に用いる荷重条件の算定 法に関する研究

弟子丸, 将

https://doi.org/10.15017/2534435

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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(様式2)

氏 名 :弟子丸 将

論 文 名 :レール締結装置の性能照査に用いる荷重条件の算定法に関する研究 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

鉄道構造物等設計標準 軌道構造に準拠した日本のレール締結装置の設計では,疲労破壊に関する 安全性と電気絶縁に関する使用性の二つの要求性能を設定し照査を行っている.このうち,疲労破 壊に関する安全性の照査は,レール締結装置の使用区分に応じて定まる変動係数と静的輪重で定ま る作用の特性値の乗算により設計作用を算定し,設計作用に対して得られる応答値と限界値の比較 により性能を照査することとしている.ここで,設計作用に対する応答値は,レール締結装置一組 もしくは試験軌道に対して二方向から行う載荷試験によって算定する.このうち,締結装置一組に 対する載荷試験の荷重条件は,弾性支承上の梁理論と過去に提案されたレール小返り理論を用いて 締結装置に作用する分散荷重とレール小返り角を算定し,力のつり合い条件に試験用レールの形状 を考慮して決定してきた.しかし,本手法では,締結装置周りの各種ばね特性を線形と仮定してお り,非線形性の影響が強く変位量が大きくなる低弾性支持のレール締結装置を対象とした場合,レ ール小返り角の解と載荷試験で得られる結果に乖離が生じる問題が指摘されていた.そのため,従 来手法の精度を向上させるレール小返り角および荷重分散の算定法として,複数のレール締結装置 から構成され,締結装置周りの各種ばね特性を非線形で設定できる FEM レール小返り解析モデル が提案された.しかし,この解析モデルの比較的剛に支持するバラスト軌道用レール締結装置のば ね特性を適用した場合の妥当性は検証されているが,低弾性支持の締結装置のばね特性を適用した 場合については未検証で,レール締結装置一般を対象に,本モデルを汎用的に使用可能か検討され ていなかった.

また,作用の特性値に変動輪重係数を乗じて求まる設計作用の鉛直成分に対し,締結装置一組に 作用する鉛直方向の分散荷重(レール圧力)を算定する際,従来手法とレール小返り解析モデルに よる方法のどちらも,レール圧力は全てのまくらぎが均一かつ適正に支持された状態が仮定されて きた.しかし,実際の軌道においては,まくらぎが適正に支持されていない場合も存在し,現実の 軌道支持状態と計算上の仮定との相違が無視できず,適正支持状態と比較して大きなレール圧力が 生じる可能性がある.

そこで本研究では,低弾性支持のレール締結装置の特性を設定したレール小返りモデルを用いた 解析を実施し,解析と同じ条件を設定した室内試験で得た応答値との比較により解析モデルの妥当 性を確認した.また,締結装置一組に対する二方向載荷試験の荷重条件を,従来手法と当該解析モ デルによる手法の二通りで算定し,それぞれの荷重条件で実施した二方向載荷試験の応答値と試験 軌道に直接的に設計作用を載荷して得た応答値を比較・検証し,当該解析モデルを適用した結果の 方が試験軌道で得られた結果に近いことが認められ,締結装置の性能照査において本解析モデルを 荷重条件の算定に用いることが妥当であることを確認した.

また,レール小返り解析モデルのレール支承体下ばね特性に,任意の軌道支持状態を考慮するた

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めの改良を行い,室内試験の結果を用いて改良モデルの妥当性を確認した.さらに,この改良モデ ルを用いて様々な軌道支持状態を条件としたパラメトリックスタディを実施し,締結装置一組に作 用する分散荷重の鉛直成分(レール圧力)に対する軌道支持状態の影響を検証した.その上で,軌 道支持状態に関する実測値を改良モデルに適用したケーススタディで,実軌道上で生じるレール圧 力を推定し,適正支持された軌道支持条件下のレール圧力との比となるレール圧力比を算定し,こ れらの結果に基づいた軌道支持状態を考慮したレール圧力の割増方法について検証を行った.

第1章では,現在行われているレール締結装置の設計および性能照査について概略を説明し,レ ール小返り角や分散荷重算定法の精度や設計作用算定に用いる変動係数に関する課題等,本研究の 背景と目的について述べた.

第2章では,論文に用いた鉄道軌道分野の専門用語や略語について技術的背景を含めて概説した。

第3章では,日本のレール締結装置の基本となる性能や機能および分類などの基本事項や組立部 材であるレール締結装置の構成材料について説明した.さらに,鉄道システム黎明期から今日に至 るまでの日本のレール締結装置の変遷に関して技術的な側面から説明した.

第4章では,日本のレール締結装置の性能照査として,疲労破壊に関する安全性および電気絶縁 に関する使用性の照査を目的に実施される各種性能確認試験の目的と方法を説明した.その際,比 較として,レール締結装置の性能確認試験の国際規格原案となっている欧州規格の概要について説 明し,性能確認試験に関する日欧の相違点について整理している.さらに,疲労破壊に関する安全 性の照査手順について説明し,現在,締結装置の性能照査法に関して課題に挙げられている点につ いて整理した.

第5章では,過去に提案したレール小返り解析モデルの汎用性を検証した内容と結果について述 べている.具体的には,低弾性支持の締結装置の特性を与えたレール小返り解析モデルに設計作用 を載荷する解析と,同締結装置で構成された試験軌道に解析と同じ作用を載荷する試験を実施し,

レール小返り角を比較して解析モデルの妥当性を確認した.さらに,従来手法と解析モデルの両方 で二方向載荷の荷重条件を算定し,この条件を適用した締結装置一組の載荷試験の応答値と試験軌 道に直接的に設計作用を載荷して得た応答値を比較した.その結果,解析モデルで算定した荷重条 件を適用した載荷試験による応答値は,試験軌道の載荷試験で得られた応答値により近い結果とな り,解析モデルを用いて決定した荷重条件を適用して応答値を算定することが妥当であること確認 した.これらの結果より,種々のレール支持ばね特性に対応した任意条件下のレール締結装置を対 象に,レール小返り解析モデルを二方向載荷試験の荷重条件算定に用いることが可能であることが 明らかとなった.

第6章では,レール小返り解析モデルの支承体下ばね特性に,軌道支持状態を考慮した改良方法 を提案し,まくらぎの浮きの分布や浮き量といった浮きまくらぎの状態を想定した載荷解析を実施 した.さらに,解析と同じ軌道条件を設定した試験軌道による実験を実施し,まくらぎの鉛直変位 を比較することで改良モデルの妥当性を確認した上で,本改良モデルによる軌道支持状態を条件と するパラメトリックスタディでレール圧力と浮きの分布や浮き量等の軌道支持状態の関係を検証し た.さらに,まくらぎ浮き量に関する実測値を解析モデルに反映して設計作用を載荷する解析を行 い,各まくらぎに生じるレール圧力やレール圧力比を算定した.その結果,発生確率が非常に小さ い特異なデータを除けば,レール圧力比の最大値と静止輪重に対する輪重変動の増加割合を乗じて 得られる見かけ上の変動輪重係数は,現行の変動輪重係数に対して安全側となり,浮きまくらぎが 存在する軌道支持状態においても,変動輪重係数は現行の値に包含されることが分かった.

第7章では,本研究で得られた結論を記し,今後の展望について述べ,本論文の結論とした.

参照

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