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準共有状態にある株式の議決権行使

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準共有状態にある株式の議決権行使

著者 岩淵 重広

雑誌名 同志社法學

巻 67

号 7

ページ 2953‑2977

発行年 2016‑01‑31

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015633

(2)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一〇五二九五三

使

最 高 裁 平 成 二 七 年 二 月 一 九 日 判 決 ( 平 成 二 五 年 ( 受 ) 第 六 五 〇 号 、 株 主 総 会 決 議 取 消 請 求 事 件 ) 民 集 六 九 巻 一 号 二 五 頁    

           

【 事 案 の 概 要 】 ( 一 )  事 案 の 経 過

  Y社(被告、被控訴人、上告人)は、青果物の販売を業とする特例有限会社である。同社の資本金は三〇〇万円であり、発行済株式総数は三〇〇〇株であった。同社の株主はA(二〇〇〇株)とその妻であるC(一〇〇〇株)であった。

  平成一九年九月二〇日にAが死亡したので、Aの所有していたY社株式をAの妹であるX(原告、控訴人、被上告人)とBが、法定相続分に応じ各二分の一ずつの割合で共同相続した。遺産分割は未了であるため、Aの所有していた二〇

( )

(3)

(    )同志社法学 六七巻七号一〇六準共有状態にある株式の議決権行使二九五四

〇〇株は、XとBの間で準共有状態となっている(以下、上記二〇〇〇株を﹁本件準共有株式﹂という)。

  Y社は、平成二二年一一月九日に、Xに対してY社臨時株主総会(以下﹁本件総会﹂という)を開催する旨を通知した。本件総会は、同月一一日に開催され、Bが本件準共有株式の全部についての議決権を行使(以下﹁本件議決権行使﹂という)した。一〇〇〇株を有するCも、本件総会において、その議決権を行使した。

  他方、Xは、本件総会に先立ち招集通知を受けたが、同月一一日、Y社に対して、本件総会には都合により出席できないことと本件総会を開催しても無効であることを伝え、本件総会には出席しなかった。

  本件総会においては、BとCの議決権の行使によって、①Dを取締役に選任する旨の決議、②Dを代表取締役に選任する旨の決議、ならびに、③本店の所在地を変更する旨の定款変更の決議および本店を移転する旨の決議が成立した(以下、上記各決議を﹁本件各決議﹂という)。Bが本件準共有株式の議決権のすべてを行使するにあたっては、会社法一〇六条本文が定める権利行使者の指定および会社への通知はなされていなかったが、Y社は本件総会において、その議決権の行使に同意した。

  Xは、本件総会において成立した本件各決議に会社法八三一条一項一号の取消事由があると主張し、決議取消の訴えを提起した。Xは、議決権の行使およびその委任が管理行為である以上、準共有者であるBが単独でこれを行うことはできないなどと主張した。

( 二 )  原 々 審 と 原 審 の 判 断

  原々審(横浜地川崎支判平成二四年六月二二日民集六九巻一号三八頁)は、会社法一〇六条ただし書に基づく会社の同意がなされていることから、Bの議決権行使が適法であるとし、その他の主張も認めず、Xの請求を棄却した。

(4)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一〇七二九五五   原審(東京高判平成二四年一一月二八日民集六九巻一号四七頁)は、﹁準共有状態にある株式の議決権の行使について権利行使者の指定及び会社への通知を要件として定めた会社法一〇六条本文が、当該要件からみれば準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られた上で権利行使が行われることを想定していると解し得ることからすれば、同法同条ただし書きについても、その前提として、準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られている場合にのみ、権利行使者の指定及び通知の手続を欠いていても、会社の同意を要件として、権利行使を認めたものと解することが相当である﹂とし、本件ではY社の同意があるからといって、Bが適法に議決権を行使することはできないとし、原々審判決を取消し、Xの請求を認めた。これを受けて、Y社が上告受理申立てをした。

【 判 旨 】 上 告 棄 却

お文び及定指くづ基に定の本知条六〇一法社会ていつに通規をの欠合場たれさ使行が利権にて当いたままい該式につ株 用定の適る除が排されの規あ文本条同るでめ定の別るとこ特をす定株るす属に有共、とる式うとそたものめ解される。 式たしを意同該当が社場照株、とすらに言文のそ、には合会はの、関に法方の使行の利権すてつに式株るす属に有共い こするたとに同意し使当行を利権該が社会式株、合場しはいだれこ、てっあでのるて、定規と。﹄いなでり限のこした﹃ 二同設を)しだた条四六法め﹄(た定の別特﹃るす対に定け書も会、は書しだた条六の一法社〇、るとでされ解。その上 とに属有共、はれこ、ろこきるいてし定規と。﹄いなでるす式株てるす関に有共の法民、規い行つ権利のの使の方法に 、称名は又名氏の者のそ株し対に社会式、め定を人通をつ知てがとこるす使行を利権のいし者に式株該当、ばれけな一   ﹁る式に有共の者の上以二が株す、﹃は文本条六〇一法社属るす式使行を利権のていつに株と該当、は者有共、はき会

(5)

(    )同志社法学 六七巻七号一〇八準共有状態にある株式の議決権行使二九五六

いて、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は、適法となるものではないと解するのが相当である。

  そして、共有に属する株式についての議決権の行使は、当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り、株式の管理に関する行為として、民法二五二条本文により、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられるものと解するのが相当である。

  これを本件についてみると、本件議決権行使は会社法一〇六条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたままされたものであるところ、本件議決権行使の対象となった議案は、①取締役の選任、②代表取締役の選任並びに③本店の所在地を変更する旨の定款の変更及び本店の移転であり、これらが可決されることにより直ちに本件準共有株式が処分され、又はその内容が変更されるなどの特段の事情は認められないから、本件議決権行使は、本件準共有株式の管理に関する行為として、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられるものというべきである。

  そして、前記事実関係によれば、本件議決権行使をしたBは本件準共有株式について二分の一の持分を有するにすぎず、また、残余の二分の一の持分を有するXが本件議決権行使に同意していないことは明らかである。そうすると、本件議決権行使は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決せられているものとはいえず、民法の共有に関する規定に従ったものではないから、Y社がこれに同意しても、適法となるものではない。

  以上によれば、本件議決権行使が不適法なものとなる結果、本件各決議は、決議の方法が法令に違反するものとして、取り消されるべきものである。これと結論を同じくする原審の判断は、是認することができる。﹂

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(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一〇九二九五七

【 研 究 】

一 . 本 判 決 の 意 義

  会社法一〇六条は、本文で、﹁株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。﹂と定め、ただし書で、﹁ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。﹂と定める。

  本判決は、会社法一〇六条ただし書の解釈として、﹁共有に属する株式について会社法一〇六条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は、適法となるものではないと解するのが相当である﹂こと、および﹁共有に属する株式についての議決権の行使は、当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り、株式の管理に関する行為として、民法二五二条本文により、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられるものと解するのが相当である﹂ことを判示したものである。本判決は、会社法制定以来議論のあった会社法一〇六条ただし書の解釈について、最高裁の立場を示した点に意義を有する。

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(    )同志社法学 六七巻七号一一〇準共有状態にある株式の議決権行使二九五八

二 . 本 判 決 以 前 の 判 例 の 立 場 と 会 社 法 一 〇 六 条 た だ し 書 の 制 定

a . 本 判 決 以 前 の 判 例

  共同相続された株式が共同相続人間で当然に分割されることはなく、遺産分割協議の対象になるというのが判例の立場である

)1

。本判決もこれを前提とする。遺産分割協議が完了するまでの間は、株式は準共有状態となり、各相続人は法定相続分に応じた持分を有する(民法八九八条・八九九条)。

  平成一七年改正前商法(以下、﹁旧商法﹂という)下においては、二〇三条二項が準共有状態にある株式の権利行使について定めていた。同項は、各準共有者が個々に権利を行使することで会社に生じうる混乱を回避するための規定であり、会社の事務処理の便宜のための規定であるとされていた

)2

。同項は権利行使者を定めることが株主の権利を行使するために必要であると規定するのみであったので、権利行使者の指定がどのようになされるべきかや、権利行使者が準共有者間の取り決めに反して権利を行使した場合に、その権利行使が会社との関係で適法なものとされるのかといった点については、解釈に委ねられていた。

  権利行使者の指定について、最判平成九年一月二八日判時一五九九号一三九頁(以下、﹁平成九年判決﹂という)は、その性質が管理行為であるとし、準共有者の持分の過半数をもって決するとした。この立場は、最判平成一一年一二月一四日判時一六九九号一五六頁(以下、﹁平成一一年判決﹂という)でも踏襲されており、判例の立場は固まったと解されている 3

。もっとも、その後の下級審裁判例は、準共有者全員の参加や協議がなされた上で、権利行使者の指定がされることを要求していた 4

。指定された権利行使者は、会社との関係においてのみ権利行使ができると解されている。ここでいう権利行使には、不存在確認の訴えの提訴権などを含むすべての株主権が含まれる 5

(8)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一一一二九五九   権利行使者による権利行使が準共有者間の取り決めに反していた場合の権利行使の効力について判示したのが最判昭和五三年四月一四日民集三二巻三号六〇一頁(以下、﹁昭和五三年判決﹂という)である。同判決は、権利行使者が自己の判断に基づき議決権を行使できると述べ、内部的な取り決めに反していたことによって、その権利行使が違法になることはないと判示した。これは、会社との関係では、準共有者間の意見の相違を理由に権利行使が違法であることを主張できないという意味であって 6

、権利行使者が自由に権利を行使できる権限を有しているという意味ではない 7

。つまり、権利行使者が指定されている場合でも、準共有株式についての権利行使は、準共有株主が共有のルールに基づいてどのように行使するのかを決定するが、権利行使者がそれに従わなかったとしても、会社との関係では、権利行使者の権利行使は有効であるということである。昭和五三年判決の射程は、会社が内部的な取り決めの違反について悪意の場合にも及ぶと考えられている 8

  権利行使者の指定および通知を欠く場合に、準共有状態にある株式についての権利行使が一切認められてこなかったわけではない。旧商法二〇三条二項が会社の便宜のための規定である以上、会社側からその便宜を放棄して準共有者全員に権利を行使させることは問題ないと考えられたからである 9

。問題は、どのような要件のもとでそれを認めるのかである。これについて判示したのが、平成一一年判決であり、﹁共有者全員が議決権を共同して行使する場合﹂にのみ、準共有者による議決権の行使を会社の側から認めることができ、適法な議決権行使になるとした。

  以上が旧商法下における判例の立場であり、本判決との関係で重要なのは、①原則として権利行使者のみが会社との関係で準共有株式についての権利を行使でき、かつその権利行使は、自己の判断で行え、準共有者間の取り決めに反したことは会社との関係で主張できないというルール(以下、これを﹁ルール①﹂という)と、②権利行使者が指定されていない場合には、﹁共有者全員が議決権を共同して行使する場合﹂という要件のもとで会社は議決権の行使を認める

(9)

(    )同志社法学 六七巻七号一一二準共有状態にある株式の議決権行使二九六〇

ことができ、その場合にのみ適法な議決権行使になるというルール(以下、これを﹁ルール②﹂という)の二つである。

b . 会 社 法 一 〇 六 条 た だ し 書 の 制 定

  会社法の制定に伴って、旧商法二〇三条二項の内容は、会社法一〇六条本文に定められ ₁₀

、さらに﹁ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。﹂というただし書が追加された。しかし、ただし書は、﹁会社法制の現代化に関する要綱試案﹂における検討事項には含まれておらず、また、法制審議会会社法部会(現代化関係)においても議論された様子がなかったことから、その趣旨は不明確であった。

  立案担当者による同条ただし書の説明は、次のようなものである。ただし書は、権利行使者の通知がない場合であっても、株式会社が自らのリスクにおいて準共有者の一人に権利行使を認めることができる規定である(ルール②を変更したとの立場)。準共有株式についての議決権行使は共有物の管理行為にあたるので、通常は、準共有者全員で協議したうえ、共有持分の過半数で、どのように行使するかを決定する。会社は、このような協議等がなされたかどうかを確認すべきであるが、それを怠った場合には準共有者に対して損害賠償責任を負うだけであり、議決権行使自体には瑕疵がなく、決議取消事由には該当しない ₁₁

  学説は、以上の立案担当者の見解や旧商法下での議論を踏まえて、ルール②が同条ただし書によって変更されたかどうか ₁₂

、そして、ただし書に基づいて権利を行使するにはどのような手続が必要か、という二点を議論していた。後者の点については、ⅰ会社が自らのリスクで準共有者の一人に権利を適法に行使させることができ、それは会社との関係で常に有効であり取消事由にならないとの見解 ₁₃

、ⅱ同条ただし書は平成一一年判決のルールを実定法化したものであり、準共有者の全員一致がある場合に限り議決権行使を認めるという見解 ₁₄

、ⅲ議決権の行使は管理行為なので、その過半数

(10)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一一三二九六一 の同意があれば準共有株式の全部についての議決権行使が認められるとする見解 ₁₅

、ⅳ持分価格に応じた議決権行使を認めるとの見解 ₁₆

があった。

三 . 本 判 決 と 原 審 の 相 違

  本判決で問題になったのは、会社法一〇六条ただし書の解釈であり、具体的に言えば、A同条本文の定める権利行使者の指定および通知の手続を欠く場合に、同条ただし書に定める会社の同意のみで、準共有状態にある株式についての議決権の行使が適法なものとなるのか、また、B同意のみでは適法な議決権行使にならないとして、さらにどのような手続が必要となるのかという点である。

  本判決は、AとBの点について、次のように判示した。すなわち、﹁共有に属する株式について会社法一〇六条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は、適法となるものではないと解するのが相当である﹂。

  以上は、Aについて、⒜会社の同意だけでは権利行使が適法とされることがないことと、Bについて、⒝準共有株式についての権利を適法に行使するためには会社の同意に加えて民法の共有のルール(民法二四九条以下)に従わなければならないことを判示したものである。

  このうち、Aについての本判決と原審の解釈は、会社の同意だけでは権利行使ができないという点で一致する。立案担当者は、会社が同意すれば会社との関係では議決権行使に瑕疵がないとしていたが、両判決ともにそのような解釈を

(11)

(    )同志社法学 六七巻七号一一四準共有状態にある株式の議決権行使二九六二

とらなかった。学説においても立案担当者の見解には批判があった ₁₇

。準共有株式の権利行使について、誰に、どのように行使させるべきかは準共有者間で決定すべき問題であるので、会社の同意さえあれば、準共有株式についての権利を行使できると解するのは妥当でないといえる。したがって、本判決において、会社の同意のみでは同意が与えられた準共有者の議決権行使が法的に有効なものにならないという解釈がとられたことは、望ましいものであるといえる。

  他方で、本判決と原審の解釈は、Bの点において異なる。原審は、﹁権利行使者の指定及び会社への通知を要件として定めた会社法一〇六条本文が、⋮⋮準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られた上で権利行使が行われることを想定していると解し得ることからすれば、同法ただし書きについても 444444444444、⋮⋮準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られている場合にのみ、権利行使者の指定及び通知の手続を欠いていても、会社の同意を要件として、権利行使を認めたものと解する⋮⋮(傍点筆者)﹂と判示した。原審は、会社法一〇六条本文との関係から、同条ただし書に定める会社の同意のみでは適法な権利行使にならないとの解釈を示したものである ₁₈

  これに対して、本判決は、準共有株式についての権利を適法に行使するために、会社の同意に加えて民法の共有のルールに従わなければならないとした。これは、会社の同意に会社法一〇六条本文の適用を排除する効果を認めるものである。つまり、本判決の解釈は、準共有株式の権利行使に際して、会社の同意があったならば、民法二六四条ただし書の﹁特別の定め﹂にあたる会社法一〇六条本文の適用が排除され、民法二六四条本文が適用されるというものである。民法二六四条本文が適用される結果、準共有者による権利行使が適法なものとなるかは民法の共有の規定に従っているかどうかによって決まる。

  以上より、両判決のBの点に関する違いは、会社の同意だけでは適法な議決権行使にならないことにつき、会社法一

(12)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一一五二九六三 〇六条本文を根拠とするか、あるいは民法の共有のルールを根拠とするかという点によるものであるといえる。つまり、両判決は、何を根拠にして、どういった手続を必要とするのかという点で異なる。

四 . 権 利 行 使 者 の 指 定 お よ び 通 知 が な い 場 合 の 議 決 権 行 使

  三で見た⒝という解釈は、二.aで見た平成一一年判決の示したルール②を変更するものである ₁₉

。平成一一年判決は、準共有者全員が株主総会に出席した上でなされた取締役の選任決議において、準共有株式の議決権の行使につき、準共有者の一名が反対したことから、適法な議決権行使はなかったと判断したものである。これと同一の事案を前提にしたとき、本判決の下では、適法な議決権行使であったと評価されることになる。なぜなら、本判決は、権利行使者の指定および通知(以下、﹁権利行使者の指定﹂という)を欠く場合の取締役の選任決議に関する準共有株式の議決権行使について、会社の同意に加えて、準共有者の全員一致ではなく、準共有者の持分の過半数による決定があれば足りるとしているからである。

  さらに、本判決は、管理行為とされる議決権の行使が過半数で決せられるものと述べるのみで、それが準共有者の全員参加の上でなされることを明示的に要求していない。このことから、管理行為とされる議決権の行使に際して、準共有者が全員参加した上でなされなければならないのかどうかが問題になる(以下、準共有者の全員参加や、準共有者全員によって協議がなされることを指して﹁協議等﹂という)。協議等の要否は、たとえば、準共有株式の持分の過半数を有する多数派が、管理行為である決議事項について、準共有株式の議決権を一方的に行使した場合などに、その議決権の行使が有効なものであるかどうかという形で問題となる。

(13)

(    )同志社法学 六七巻七号一一六準共有状態にある株式の議決権行使二九六四

  協議等の要否は、三で見たBの点についての違い、すなわち、会社法一〇六条本文を根拠とするか、あるいは民法の共有のルールを根拠とするかという違いから理解することができる。原審は、﹁⋮⋮準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られている場合にのみ、権利行使者の指定および通知の手続を欠いていても、会社の同意を要件として、権利行使を認めた⋮⋮﹂と判示し、準共有者間での﹁協議﹂を要求した。原審が﹁協議﹂を要求したのは、下級審裁判例において準共有者間の協議等が要求されていた同条本文の解釈との関係をもって、同条ただし書の解釈論を展開したからである。

  このような原審に対して、本判決は、﹁議決権の行使は、⋮⋮各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられる⋮⋮﹂としか述べていない。これは、本判決が、会社法一〇六条ただし書の会社の同意が同条本文の適用を排除する効果を有するとし、会社の同意があった場合には民法の共有の規定に従うとしたことによるものである。民法の共有のルールにおいては管理行為を行う上で協議等は必要とされていない ₂₀

。そのため、本判決の理屈では、管理行為となる議決権行使が有効とされるために、協議等が必要であるとはいえないことになる ₂₁

  もっとも、以上の検討は、本判決以降に出されるであろう下級審裁判例において、協議等が要求されることを否定するものではない。二.aで見たように、平成九年判決が明示的に協議等を要求しなかったにもかかわらず、同判決以降の下級審裁判例が権利行使者の指定に際して明示的に協議等を要求したのと同じことが、会社法一〇六条ただし書の解釈にもあてはまる可能性はある。そこで、以下では、ただし書の場合に協議等を要求すべき理由があるのかどうかを検討する。検討に際しては、権利行使者の指定の場面で協議等が要求された裁判例をもとに、協議等が必要とされた理由を確認した上で、その理由が、権利行使者の指定のない場合にもあてはまるのかどうかをみる。

  権利行使者の指定の場面で協議等を要求する理由を述べるものとして、大阪地判平成九年四月三〇日判時一六〇八号

(14)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一一七二九六五 一四四頁がある ₂₂

。同判決は、昭和五三年判決のルール①を前提とした場合に、権利行使者による権利行使は、準共有者の利害に大きな影響を与えるものであることを協議等を要求する理由としてあげる。ルール①を前提としたときには、準共有間の取り決めに関係なく、権利行使者の権利行使は会社との関係では有効なものとなる。それゆえ、権利行使者の指定が過半数持分権者の意向のみでなされると、事実上、多数派がいかなる権利行使をも行うことができてしまい、少数持分権者の利益が害される可能性がある。このような事態を防ぐために、協議等が要求されるのである。

  しかしながら、権利行使者の指定がある場合に少数持分権者に保護を与えるべきという以上の議論は、昭和五三年判決のルール①を前提とするものである。それゆえ、権利行使者の指定がなされていない場合には、ルール①は妥当しないので、権利行使者の指定がない場合に、同一の理由から、協議等を要求することは難しい。

  上記のような理由以外にも、大阪高判平成二〇年一一月二八日判時二〇三七号一三七頁(以下、﹁大阪高裁平成二〇年判決﹂という)が、﹁共同相続人による株式の準共有状態は、共同相続人間において遺産分割協議や家庭裁判所での調停が成立するまでの、あるいはこれが成立しない場合でも早晩なされる遺産分割審判が確定するまでの、一時的ないし暫定的状態にすぎないのであるから、その間における権利行使者の指定及びこれに基づく議決権の行使には、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた制度の趣旨を濫用あるいは悪用するものであってはならない﹂と判示した。同判決は、遺産共有の暫定性を理由に共同相続人間でしかるべき協議を行うことを必要としたものである。

  大阪高裁平成二〇年判決は、共同相続人による株式の準共有が暫定的な状態であることを理由にしかるべき協議を要求したわけであるが、同判決の解決は、その事案によるところが大きい。同判決では、経営に関与していなかった過半数持分権者が会社の経営を混乱に陥れることを目的としていたことが認定されている点、少数持分権者である経営者に有利な遺産分割審判が出ていた点、および、遺産分割審判が係属中であった点が重要であり、こういった事情も踏まえ

(15)

(    )同志社法学 六七巻七号一一八準共有状態にある株式の議決権行使二九六六

て、同判決は、しかるべき協議をしていないことを権利濫用と評価したといえる。つまり、同判決にいう遺産共有の暫定性とは、上で挙げたような事情を前提にするものであって、相続によって株式について準共有状態が生じた場合すべてにあてはまるものではない。

  このように考えると、同判決は、﹁真実協議をして権利者を決めていれば、権利行使をすることが認められることを前提にしているように理解することができよう ₂₃

﹂というような形で理解されるべきものではない。つまり、同判決は、協議等を欠くことが、直ちに権利濫用になるとしているわけでなく、権利濫用と評価する上での一事情に過ぎないと考えているといえる ₂₄

。これは、協議等を要求する下級審裁判例が、協議等を欠いたことを理由に、権利行使者の指定の効力を一律に否定するわけでもないことにも一致するものである ₂₅

  ここまでの検討から、裁判所は、権利行使者の指定における協議等を次のように理解していると考えることができる。すなわち、裁判所は、権利行使者の指定において協議等を経ない指定を一律に無効とするわけではない。しかし、権利行使者が、ルール①によって、会社との関係では少数持分権者の意向と関係なく準共有株式の全てについての権利を行使できるので、このことに鑑みて、裁判所は、少数持分権者にも権利行使者の指定に参加させる機会を与えるよう努力すべきとして協議等を要求することがある。これは、会社の便宜のためという趣旨から、権利行使者の権利行使を会社との関係で常に有効とすることとのバランスを、権利行使者の指定の場面において協議等を要求することで、はかってきたものであるといえる。以上のことからすると、権利行使者の指定がない場合では、管理行為とされた権利行使において協議等を欠くことを権利行使者の指定の場面と同じように考えることはできないといえる。なぜなら、権利行使者の指定という管理行為と、権利行使者の指定がない場合の管理行為とでは、多数派が一方的に決めてしまうことで少数持分権者が被る不利益の可能性および程度は異なるといえるからである。権利行使者の指定がない場合には、準共有株

(16)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一一九二九六七 式の権利行使ごとに変更行為か管理行為かという区別がなされており、この点で大きな違いがある。このような違いを踏まえると、権利行使者の指定のない場合の管理行為においては、共有者間で協議等を行う必要はほとんどないように思われる。

五 . 特 段 の 事 情

  本判決は、﹁共有に属する株式についての議決権の行使は、当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り、株式の管理に関する行為として、民法二五二条本文により、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられるものと解するのが相当である﹂とした。この判示は、準共有株式の議決権の全部か一部かを問わずに議決権の行使それ自体を管理行為としているので、二.bにおいて見たⅳの立場は否定されたといえる。

  本判決は、﹁特段の事情﹂がない限り、議決権の行使が原則として管理行為にあたるとしており、また明示こそしていないが、本判決は特段の事情にあたる場合を変更行為とするようである。ここでいう特段の事情は﹁当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになるなど﹂という基準で判断される。この判示が﹁など﹂としていることからすれば、二つの事情は例示である。つまり、﹁当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになる﹂といえる決議事項と、これに相当するほどの決議事項が、特段の事情に該当し、全員一致が要求される。問題は、何が特段の事情にあたる決議事項かという点であって、この点がなお問題として残っている。

(17)

(    )同志社法学 六七巻七号一二〇準共有状態にある株式の議決権行使二九六八

  本判決は、取締役の選任、代表取締役の選任および本店所在地等に関する定款変更についての議決権行使が﹁直ちに株式を処分し、株式の内容を変更することなど﹂にはあたらないとした。民法学説上、管理行為か変更行為かは、もっぱら共有物に与える事実上・法律上の影響から判断される ₂₆

。それゆえ、ここでも、議決権行使によって成立する決議事項が、株式自体に与える影響から判断されることになる。しかし、株式の性質上、管理行為か変更行為かを、共有物に与える影響の有無のみから判断することは困難である ₂₇

。なぜなら、事実上・法律上の影響を含むとする以上、何らかの決議がなされれば、株式に影響があったと評価する余地はあるからである。

  このような問題があったので、本判決は、﹁直ちに﹂という語を用いていると考えられる。このような語が用いられたことで、株式に与える影響を判断する上では、その決議事項から直接的に株式を処分したり、その内容を変更する可能性があることが必要となる。﹁直ちに﹂という表現は、考慮すべき影響の範囲を制限するものであるといえる ₂₈

  以上のことからすれば、本判決が、取締役の選任、代表取締役の選任および本店所在地等に関する定款変更についての議決権行使を管理行為としたのは、それらの行為が、会社経営に影響を与えるとはいえるが、直接的に株式自体に影響を及ぼすものではないからである ₂₉

。それらの行為によって、株式自体の内容が変更されるわけでもなく、処分されるわけでもない。また、株式についての権利が事実上影響を受ける可能性もあるが、あくまで可能性にとどまるものであり、直接的に影響を受けることはないといえる。

  本判決が以上のような理屈であるとすれば、変更行為となるかどうかは、株式自体に、直接的な影響を及ぼす決議事項かどうかによって判断されることになる。これにあてはまる決議事項として指摘されているのは、たとえば、会社の解散、事業譲渡、組織再編、キャッシュ・アウトである ₃₀

。この他にも、募集株式の発行等によって株式の価値が希釈化する場合や支配権が変動する場合には、株式自体に事実上の影響があるといえるので、この場合の株主総会決議につい

(18)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一二一二九六九 ての議決権行使も変更行為といえるだろう。

六 . 特 別 の 定 め の 意 義 と 本 判 決 と 昭 和 五 三 年 判 決 の 関 係

  本判決は、三で見たように、会社の同意が会社法一〇六条本文の適用を排除するという解釈を示したものである。このことから、本判決は、同条ただし書の解釈を示したのみであって、同条本文の解釈について変更する趣旨はないといえる ₃₁

。このことから、二.aで見た権利行使者の指定がある場合に関する判例の立場は維持されていることも分かる。

  以上の理解を前提にしたとき、本判決以降の会社法一〇六条本文による場合(以下の(ア)の部分)と同条ただし書による場合(以下の(イ)の部分)の議決権の行使は、どういった点で異なるのか。結論を先に示せば、準共有者間の内部的な取り決めを欠く場合に、その議決権行使が有効なものとなるかどうかという点で異なることが分かる。詳しくいうと、(ア)権利行使者の指定がある場合には、権利行使者による権利行使は会社との関係で有効と扱われる一方、(イ)権利行使者の指定がない場合には、その権利行使に際して、準共有株式の持分につき過半数の同意がなければ有効にならない。(イ)においては、持分の過半数の同意を複数の準共有者から得た場合には、会社は、そのような同意が実際にあったのかを確認する必要がある。このような確認が必要なのは、本判決によって、権利行使者の指定を欠く場合は、民法の共有のルールに従っていない権利行使が、会社の主観的態様を問わず、会社との関係で不適法なものになるとされたからである。言い換えれば、(イ)では、会社は、内部関係を理由にその権利行使が有効でないことを主張される可能性がある。

  以上の(ア)と(イ)の比較から、どちらの手続によるかで、準共有者間の内部的な取り決めに反した場合において、

(19)

(    )同志社法学 六七巻七号一二二準共有状態にある株式の議決権行使二九七〇

議決権行使が適法になるかどうかという点が異なることが分かった。この違いから、会社法一〇六条本文は、権利行使者による権利行使において、準共有者間の内部的な取り決めに反したことを会社に対抗できない規定であるといえる。同条本文は、この意味で、民法の共有のルールに関する特別の定め(民法二六四条ただし書)なのであり、会社の事務処理の便宜のために設けられた規定であるといえる。

  先例との抵触を避ける形で、本判決を理解すれば以上のようになる ₃₂

。しかし、上に示した理解では、変更行為とされる決議事項が問題になった場合において、権利行使者が指定されているか否かによって、会社との関係で、その議決権の行使が有効となるために必要な準共有者の同意の要件は実質的に異なることになる。権利行使者が指定された場合においては、変更行為とされる決議事項については、準共有者の持分の過半数によって指定された権利行使者が、自己の判断で権利を行使しても、会社との関係では有効となる。つまり、権利行使者を指定すれば、会社との関係では、事実上、準共有者の持分の過半数の同意で変更行為を行えることになる。一方で、権利行使者が指定されていない場合は、準共有者の全員一致が必要となる。この相違は、ルール①から生じるものであり、どちらの手続によるかで、変更行為となる議決権行使が会社との関係で有効とされるために、必要な準共有者の同意の要件が異なることになる。このような帰結を不当なものと考えるかは、立場が分かれるところかもしれない。

  会社法一〇六条本文が会社の便宜の規定であることからすれば、このような帰結は当然の帰結であると考えることになる。同条本文は、会社の便宜のために権利行使者による権利行使において、準共有者間の内部的な取り決めに反したことを会社に対抗できないだけである。権利行使者が指定されている場合でも、その権利行使において、準共有株主が共有のルールに基づいてそれを決定し権利行使者がその決定に従わなければならないことには変わりない。会社法一〇六条の趣旨からすれば、このような解釈になるといえ、先に示したのもこの立場である。

(20)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一二三二九七一   他方で、もし、このような帰結を不当であると考えるのであれば、ルール①の妥当する範囲を、管理行為に関する場面に限定することも一つの考え方となる。昭和五三年判決で問題となった議決権行使が取締役の選任という管理行為に関するものであったことを理由に、その判示が管理行為の場面にのみ妥当すると解すれば、上で見たような違いは解消されることになる ₃₃

。権利行使者が会社との関係で権利を行使できるだけであり、準共有株式の処分を行う権限を有しないと解されていたことを前提にすれば ₃₄

、準共有株式を事実上処分することになる合併や株式交換に関する議決権行使が、準共有者全員の同意なく、権利行使者によって行われた場合に、それを法的に有効なものとして取り扱う理由はないといえるので ₃₅

、このような立場をとることも考えられるのかもしれない ₃₆

七 . 原 告 適 格

  最後に、原告適格について検討する。判例は、権利行使者が指定および通知されていない場合には、特段の事情のない限り、準共有株主に監督是正権の原告適格が認められないとしてきた ₃₇

。本判決でも、権利行使者の指定はなされていないので、原則としてXは、株主総会決議取消の訴えの原告適格を有さないはずであり、従来の判断枠組みに従うならば、特段の事情にあたるかどうかが問題になる。

  この特段の事情の判断枠組みは、定足数の充足の有無が一応の基準となり、共同相続人の準共有に係る株式の発行済株式総数における割合によって訴訟上の信義則違反を判断するものである ₃₈

。この判断枠組みに従えば、本事案で問題となった決議事項について、株主総会決議取消の訴えを提起しようとすると、発行済株式における準共有株式の割合が三分の二以上であることが必要となる ₃₉

。本件では、発行済株式における準共有株式の割合は、ちょうど三分の二であり、

(21)

(    )同志社法学 六七巻七号一二四準共有状態にある株式の議決権行使二九七二

原告適格が認められる事案であったといえる。

  もっとも、以上の判断枠組みを、会社が会社法一〇六条ただし書に基づいて同意を与え、準共有者に議決権を行使させた場合にまで用いる必要はないと考えることもできる。なぜなら、準共有者による議決権行使に会社が同意するということが次のような意味を持つと考えられるからである。すなわち、同条ただし書に基づき、準共有者が議決権を行使することに会社が同意するということは、同条本文の適用を排除するということである。同条本文の適用を排除するとは、権利行使者に権利を行使させることで、会社の事務処理の便宜に資するという同条の効果を放棄するということである。六で見たように、会社の事務処理の便宜に資するとは、内部的な取り決めに反したことを会社との関係で主張させないことであったが、これを放棄することは、準共有者間の取り決めがないなどの瑕疵が同意を与えた議決権行使にある場合に、それが追及されることを意味する。というのも、内部的な取り決めに反したことを会社との関係で主張できないということを放棄することは、会社が内部的な取り決めを欠くことを理由に訴えられるリスクを引き受けていることも含むと考えられるからである。

  以上のように考えることができるならば、会社の同意によって準共有者の一部に議決権を行使させた本判決のような事案においては、従来の判断枠組みで審査すべき理由はないといえる。準共有者の一部の議決権の行使について会社が同意した事案では、上のような理屈でその同意は決議取消の訴えについての同意であるともいえるので、原告適格は、共有のルールに従って判断すれば良いと考える。共有のルール上、監督是正権は、保存行為(民法二五二条ただし書)としての性格を持つと考えられるので、準共有者が単独で行えると解して良いと考える ₄₀

1の民集六八巻二号一七三頁。判例立五場に反対して、当然分割説を主日二) 二最判昭和四五年一月二二日民集四月巻一号一頁、最判平成二六年二張

(22)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一二五二九七三 するものとして、出口正義﹁株式の共同相続と商法二〇三条二項の適用に関する一考察﹂筑波法政一二号(一九八九年)六七頁。(

( 八︺。子昭津米︹頁一五)年六 2論、版注釈会社法(三)﹄(有斐閣一﹃九法社会﹃宏井今=郎一健隅大新表上一巻︹第三版︺﹄(有斐閣、一九九年代)三三四頁、上) 克郎ほか編集柳

3片号。頁〇〇一)年〇〇〇二(九木) 一一リュジ﹂批判﹁彦晴七

( 大二成平判高阪、年頁八三号五四二〇一判三。頁七三一号七〇一二時判日八二月一 4日一決高京東、頁四四一号八〇六時成判日〇三月四年九成平判地阪大平一金平判一一三六号二二頁、東) 地決成三一七年一一月一一日金三月九年京

( 年達﹄(商事法務、二〇一四点)四。照参頁二二~頁一四二 け訟にお有る株式共社訴、会﹁之裕作神照参頁六四の者会原社到の論理るかかに判裁~告﹃編かほ之裕作神﹂格適四一度成四)年二九九一(四年二 5一一六五、頁年最判平成三九号四巻一最判平成二年二四月月日民集四二) 一篠平篇事民解判最﹂解判﹁美勝原、九たま。頁一四一号九八一時判日三

6榎三。頁八七一)年二八九一(度年五本) 昭篇事民解判最﹂解判﹁博恭和

7岩九判批﹂リマークス一七号(一九弘八年)一〇六~一〇七頁参照。﹁雅原一紳作﹁判批﹂法協九六巻二号(九) 七九年)二二八~二三〇頁、前田

(有一一〇二、閣斐法)社会るえ考で例年﹄(一亘二注掲前・神︺、作田︹五二注頁中〇 こ無使がる効であ利行が権はに合場の意悪社をと史対多事か﹃ほは靖藤伊。いが抗のもるす解とるきで、会時抗い、近できないとうも。これに対して対 8総員社、は頁七九一一)年九七﹂一の龍田節﹁判批民(商八〇巻一号会) 議うに合場の意悪が社会、らか由理い決とるすに雑複を事きつに使行権態

( 七行使の決定方法﹂商事二〇三決号(二〇一五年)二六頁。権議式株の 5社二四四頁、青竹正一﹁会)の利行使の同意と共同相続権 9) 上柳ほか・前掲注(

2)五二頁︹米津昭子︺。

( 三。︺)朗二淳森︹頁六三~五 10二八法(二)﹄(中央経済社、二〇〇年会)法商旧も文本条六〇一法社会社説〇(三条二項と同様の趣旨とされる酒解巻俊雄=龍田節編) 代表﹃逐条集

(  11澤四二〇〇六年)九務二~四九三頁。、法哲説ほか編﹃論点解相事新・会社法﹄() 商 12酒と解するものとして、巻し=龍田編集代表・前掲注た更) た学説上、会社法一〇六条だ変し書が平成一一年判決を(

(藤注掲前・かほ 10郎)伊二淳森︹頁二四︺、

一︺﹄三六)年七〇〇二、務事商(上、︹論理の法業企﹃念記暦還生先頁法奥ー〇二島社論評本日﹄(Ⅰ法社会ル、タ新ン孝ほか編﹃康基メ法コン本 公非﹁道正、野大てし会と開﹂社と準組合法理江頭憲治郎ものる六頭どな︺郎治憲江一︹頁八す二)年。方一を解とたし認確決で判年一一成平、二 8一て亘中田)︹照参も八三注せ二わ合(頁江六二一~頁五︺、)頭系〇二、規法一第﹄(法社会体憲点論﹃著編人直村中=郎治一

(23)

(    )同志社法学 六七巻七号一二六準共有状態にある株式の議決権行使二九七四

〇年)一八九頁︹鳥山恭一︺、山下友信編﹃会社法コンメンタール(三)﹄(商事法務、二〇一三年)三八頁︹上村達男︺など。(

13) 酒巻=龍田編集代表・前掲注(

( 当としている点で立案担者なの見解とやや異なる。い 10配と会、は解見のこ、もっのも︺。朗二淳森︹頁二四社支関)係に不当な影響を及すき場合には会社が同意でぼ 14) 大野・前掲注(

(行しと則原を使権処決議るけおにて分総ほ注掲前・編か島行奥)、るす解と為会 12〇正系大法社会﹃表代集編人口三門=郎治憲頭江、頁三六第巻八晶年)七三~七四)︹岡正︺(﹄(岡は、株主〇二、院書林青頁

( る判審原﹁宗孝林)、め﹂認も使行の権決議批早じ年。どな頁〇九一)四法一〇二(号四巻九八た応決議格価の分持はてし関に使行権に 12一八九頁︹は鳥山恭一︺(鳥山)、趣旨を確認したしつつも、と

15稲行本文⒟のような形での議決権使葉も認める)。伊藤ほか・前掲注は稲葉済威雄﹃会社法の解明﹄(中央経社) 、二〇一〇年)三三二頁(なお、

( )。るあでうよす 族および同締会社の取譲役渡合業事や併選(頁六二一)年五一のて任れ解と為行理管はていつに外以そに、がるすと為行更変は二いつ〇、山信(社 8こするものがあれで説る(田とで①が︺亘中田︹頁七二一~五二一中)こ青︺﹄版四第︹法社会新﹃一正竹)。のいなはでけわるいてし持支を解見 16) 伊藤ほか・前掲注(

( 、相と続相同共の式株﹁彦田山頁株〇一一)年四七九一(号四五五続泰主九。どの頁七九一~六九一)年四な九法一株権﹂早主六巻四号九( 認のもるめ行を使権決議しと﹁て、田中啓一判批﹂ジュリじた応わ注どな)照参六頁に四てせ合(頁三がある。分持てしと論結、で説学の下法商旧 Watch8~︺(すと要必を意同の社会亘一中田)、一二︹六頁七二る)藤解)年四一〇二(号五説例原判・新﹂批判審原﹁雄俊九 17) 伊藤ほか・前掲注(

( 貴﹂批判審原﹁仁藤ュ加、てとのもるすジしリ年一。どな七〇一)頁四四〇二(号六六一 決権行使となとらないしたなこ議会法適でみの意同の社、もていおにとについい支を断判なうよのこの審原。持な調て否定的な論のものは見当たら 実社側に事指上権利行使者、会とりをの認めること可な能する結果と定の権い限評批例判の審。たいてしと﹂原なしをえ認める等にく、相当とはい てしっとにら自てが関に項事議決、社都好の合者、を使行権決議に有の共準るす有を見意会て使がい決権の行について見意一いおに合致場ないてし に共ついて、準に有者中の一に株式さるれの同意るえあばあ、準共有状態よ名の共ることは、準有解者間にいて議すおと使議決るの行権が有効にな たように、説ほとんどの学でが見。b.二、に様同るすといなき立で、た案か支社会﹁も決判審原、たま。っな担いてし持支を解見なうよの者当持 8てはを解見の者当担案立、︺一亘中田︹五三注頁五二一、﹁部しデと﹂のもるす認容をーターのクな法合非るよに者有共)

( 場の法社会、は立内の審原。るす摘枠でをあ。るえいもとるで解場立たっ図を決指 18た九も頁〇一一)年四一〇二(号六原四一リュジ﹂批判審原﹁悠村梅、審だとし書についての解釈が同) 本文整の合的な解釈であること条六〇一条 19) 青竹・前掲注(

8成。もっとも、福島は、平一六一年判決の理解が全て否定頁))批二六頁、福島洋尚﹁本件判﹂年金判一四七〇号(二〇一五さ

(24)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一二七二九七五 れたとは考えない立場である。(

( いを為行理管に由自ばれてうし意同がのもの上以数行こ過な。るとを場立ういといはと要必う行を議協、きでが半 20、系一第(︺﹄版二第︹二法民例判体規点論﹃編郎太新藤加=久善見能法、疑平問が残る) 述べつつも、は野︺。二之裕野平︹頁三三三)年三一〇と 21頁五年)一二三と〇福島・前掲注一二) 習山田泰弘﹁演﹂(法教四一七号(

( 求しと果結のとこたし要、を致員全、ばれすらかて一全だ員。かうろなはでけかた必参し加が要になると に決、提本判一は、全員致をを前る解理なよのそ、は島福。あでう求要うししな表のそ、は決判年一一成平、現かでしいしただけとあと解するる。 議有者全員がを決権共同し﹁て共平の島求使する。福は決、成一一年判行をす参よるするとのもたれさ求要が加解員有全場﹂、共合者と全員一致の あでからに明も者権こるととを同意の前提して要持分のに統もの加参全が一思で意、提前を解理派と員な一数少の他さ容内のが統れ意、りたいて思 いること必要とであるするし。て有力努が者有共準るすを分持の数たまが、た容を精緻化しもののであるの福内と一はは島、本判決原判決の意思統 前る決定の共提として、準有よ山にい要全であるとう決。田は、多数者と員あが半過うよる得を意同、はいる、がこるいてし意同を使行の権決議必 19と共六頁などは、私見として、準有こ全員が参加した上でなされる)

( 要えられる必与がるとする。あ 重って極めて﹂要手続であるにとが者有共準の分持と定指の者使行利こなをに行使者の選定参権加する機会理利をて者しに、準共有由員が原則全と ﹂え機会を与をること要する得る及し右し者に対し、選加定び通知に参と七た一。権、﹁頁八三号五四二一判金日も一決月たま東京地、平一一年一成 が参加してこするとができ者、有共準全に仮りあできべいすなく事と知有共準の他いなし加参もな情少、もていおに合場るあがを通及定選右てしび を対定及び社に知する通のは、選権者使行利分、とるす案勘とこるす持会の全とはできず、準る共有者準参加こがすのて有の一共部者者みによっの と使するこきがでる⋮⋮をな行基利判、も、自己の断権にづき社員のど行右共き有を係関な接密と害利の者有準権の分持が知通び及定選の者使利で 22と一︹⋮⋮、﹁は頁四四一号八〇六時和判日〇三月四年九成平判地阪大昭五るはあが違相の見意に間者有共準者三使行利権たれさ定選︺、は決判年) 

23﹁一。頁七五二号九八三タ原) ﹂トンメコ名匿審判

( 九争の営経、は島宮。るあで頁六)に年一一〇二(号〇一巻四八研法い発批な。るすと由理をとこいなめ望ど議展協な的質実はで面場なうよるす﹂ 24) い、らかとこいなれさなが議協てつ律に定指の者使行利権の式株続相一に﹁る司島宮、はのす呈を問疑にとこす違価評と用濫利権やとこるすと法判

。いなはで案事るす関 と等がなく者も権利行使協議由、らかどな選理ういといたがえのし定もに使行権決議にもと案事両、とをっも。るあでのもたとと効有考る異が果な 25、六号二二頁地東京一決平成三金一一東京高決平成三判年九月三日七一) 年、結の定選もてえ与を会機の加参は一頁八三号五四二一判金日一一月一

(25)

(    )同志社法学 六七巻七号一二八準共有状態にある株式の議決権行使二九七六

( 四。︺)健井川︹照参頁二五 26な〇注釈民法(七)﹄(有斐閣、二〇七新年)的律法、は数多の説学法民版﹃変含更も民法二五一条の﹁変更﹂にむ編としている(川島) 宜=川井健武 27) 榎本・前掲注(

6)一七五頁。

( 。るえいとのも 為た。管理行為か変更行とかをしといな見断為行更変っもをとこのこ判てす、るるす共とみ組枠断判の決判本通は点で考上慮すべき影響を限定する 有株式の全る株式に占め割共、会、準成構主株の社はのすぼ及、各を合以株外影、しとのもるよに情事の﹂為主行定指の者使行利権等思意の響な大重に し重大性から、て果指定行為のの権結性じ生らか使行権決議の者使行るが質議営経の社会が果結の使行権決、﹁変てし対に張主のとるなと為行更利 28、指昭判地京東たしと為行理管を定の六者使行利権、は断判なうよのこ和〇はに決判同。るあでのもるれら見も頁年五四一号〇六一一時判日四月六) 

()七七号二〇一五年(四頁、青竹・前掲注 Watch行こたしと為行理管を使件権決議のていつに議決各をと孝批本説解例判・新﹂批判件﹁判宗が林、てしと解見るす本決で趣本。かうろあ判旨 29要判析例の分事︹上︺﹂商係二重度関法社会七年六二成平﹁哉徹下山〇) 四いなうよのこ、がるす調強を語うと号﹂にち直﹁も頁五)年五〇二(一

( 。の地在所店本は竹青たまう款いときべす討検を地余る定変とい。ういといなれきい言とな更はで為行更変もていつにす為分処はていつに行 8会締役社設置会、取らは解見のはれこ。頁五二で)な任)項三条九四三法(選いの等役締取表代合場の 30) 福島・前掲注(

19)六~七頁。 31) 福島・前掲注(

19)七頁。

( めといなきで張主に社会を反違りう取な的部内、は決判年三五和昭い決も合の。うろあでいならに題問は性なな五整ので、昭和三年判決との に指をとこるなの題問が性合整す摘、るでのにうよたみa。.二、しかし間とす決ことが求められるという本判の①解釈と昭和五三年判決のルールる 32弥〇個、は頁三)年五一〇二(号の永八四一リュジ﹂批判件本﹁生真々) 議者決で数半過い従に格価の分持の有案準きつに使行権決議のていつに共 33) 福島・前掲注(

19七も。照参てせわあ五頁)注の献文同、一 34) 上柳ほか・前掲注(

2)五一頁︹米津昭子︺。

35) 神作・前掲注(

( け。るあで 5もすルール①の対象から除外るみことができるだ。頁四四二をのっでとも、本文のような理由は為、株式の処分に相当す)行る 36) 福島・前掲注(

。さ当を使行権決議るれ解にと為行更変るあの違相然な見がういと﹂うよれらめ求討し検ていつにか否かる得の 19共・合場るいてれさなが知通定あ指の者使行利権、﹁は頁七でっ有た)間で意、が者使行利権れてさ知通・定指んたっい、も者

(26)

(    )準共有状態にある株式の議決権行使同志社法学 六七巻七号一二九二九七七 (

37旧九五頁、最判平成三年二月一日一判時一三八九号一四一頁。六一商成法下の判例として、最判平二) 年一二月四日民集四四巻九号 38一九二年)一九三~九一四頁、篠原・前掲注九() 法大杉謙一﹁判批﹂学号協会雑誌一〇九巻五(

5四を。るいてし用引解四)の杉大も頁八見

( 一する準有株式の割合が二分の共以要上。るさ求れがでこるあと なければ取代表締め役が定定の段別に款、おな。選のて任い対に式株済行発、はなつ(に)項三条九四三法社会るに上とこるれさ求要がとこるあで 39お任選の役て締取もてしとたい数れ定定款によって足らびが引き下げよ) 定準以二の分三、が合割の式株有共る款す対に式株済行発はいつに更変て 40) 伊藤ほか・前掲注(

8)一二六頁注三八︹田中亘︺。

※脱稿後、中村信男﹁本件判批﹂法律のひろば六八九号(二〇一五年)五三頁に接した。

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