93
「東アジア環海⽣態系」における循環社会構造の変容
-稲作⽂化に考察を寄せる研究枠組みの整理-
⿓世祥(富⼭⼤学経済学部)
平成
21
年度からスターとした「『地域⽣活学』の創出のための学際的共同研究」(富⼭⼤学地域⽣活研究会)において、私は、「富⼭地域を東アジア圏域に位置づけて、「⾃
然-⼈間-経済社会」関係の共通価値、地域循環圏を調査し、調和型循環社会の構築 を考究する」というテーマを担当している。初年度の中間研究報告では、循環社会の フラクタル構造と⼈間-⽣態系の協働体をキーワードに本研究の主視点、これまで観 察できた主論点、及びこれからの課題などの研究枠組みを整理しておいた。本稿は⼆
年度⽬の中間研究報告として、前年度に提⽰した研究枠組みを稲作⽂化に寄せて具現 化するものである。
1.
東アジア地域について東アジア(Eastern Asia)とは国連では地理学的にユーラシア⼤陸の東部にあたる アジア地域の⼀準地域アジアの⼀部を指す、「China(中国)、China, Hong Kong
Special Administrative Region(中国・⾹港特別⾏政区)、China, Macao Special Administrative Region
(中国・マカオ特別⾏政区)、Democratic People's Republic of Korea
(朝鮮⺠主主義⼈⺠共和国)、Japan
(⽇本)、Mongolia
(モンゴル)」、Republic
of Korea(韓国)を含む地域のことである
13。これは東アジアに関する最も狭義的な理解となる。この意味の東アジアは北東アジア、東北アジア、極東などと呼ばれる場 合もある。
ただ、地理学的ではなく、特に経済学的には呼ばれる北東アジア、東北アジア、極 東、環⽇本海などの範囲についての理解は上記の東アジアを意味しなく、論者によっ て様々であり、⼤別して次の3つに分けられる14。第1は、狭義的理解である。構成 地域は、⽇本の⽇本海沿海地⽅、韓国・北朝鮮の東海地⽅、ロシアのシベリア極東地
13
http://unstats.un.org/unsd/methods/m49/m49regin.htm#asia
14 龍世祥『循環社会論-環境産業と自然欲望をキーワードに-』晃洋書房、2002 年 6 月、p.146。
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域等と、⽇本海を海上運送に⾄る最短距離とする中国内陸部の吉林省・⿊⻯江省及び ロシアのアムール州である。いわば「環⽇本海圏」ともいわれて、この場合、中国の 東北部全体を環⽇本海地域に⼊れるべきとの主張もある。第2は、中間的理解である。
⽇本・韓国・北朝鮮・ロシア極東地域・中国東北部・モンゴルを指している。第3は、
広義的理解である。北東アジア地域を環⽇本海経済圏、環⻩海経済圏と北⽅経済圏と いう3つの地⽅経済圏から構成された準広域経済圏として理解する⾒解もあれば、中 国の東北だけではなく、⻄北、華北をも包括する広域経済圏として考える観点もある。
⼀⽅、北東アジアに対照して東南アジアの範囲に関する理解は国連の地理学的定義
15に⼀致している。つまり、
South-Eastern Asia(東南アジア)とは、Brunei Darussalam(ブルネイダルサラーム国)、Cambodia(カンボジア)、Indonesia(イ
ンドネシア)、Lao People's Democratic Republic
(ラオス⼈⺠⺠主共和国)、Malaysia
(マレーシア)、
Myanmar
(ミャンマー)、Philippines
(フィリピン)、Singapore
(シ ンガポール)、Thailand(タイ)、Timor-Leste(東ティモール)、Viet Nam(ヴェト ナム)の諸国から構成される地域のことである。国連の準地域定義の以外には、このような⼀義的な東南アジアに多義的な北東アジ アを加えてなる地域を東アジアとみなす場合が多い。つまり、北東アジアに関するい 理解はど、東アジアに関する理解は多義的である。流⾏っている「東アジア共同体」
の構図には、上記の理解が強く働いて「アセアン+3」や、「3+アセアン」や、「ア セアン+6」などが構想されている16。これは、当該地域の⼈々の⽣活を取り巻く「経 済的⽣態系」、「政治的⽣態系」と「安全保障的⽣態系」が多様的、多重的なものであ ることを語っている。これらに対して、本稿はその「⾃然的⽣態系」の視点から東ア ジアの⽣活環境を考察することに当たる。
2.
東アジア海と「環東アジア海⽣態系」筆者は、環境経済学の視点から北東アジア地域の環境政策を考察する際に、⾃然中
⼼的な空間を強調する
Lands haft
論17と、⾃然的空間と⼈間的空間に介している空間15 注
1
を参照。16 東南アジア諸国連合(
ASEAN
:Association of South
‐East Asian Nations
)は、東南 アジア10
ヶ国の経済・社会・政治・安全保障・文化での地域協力機構。本部はインド ネシアのジャカルタに所在。インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレ ーシア(1967年8
月8
日加結成時盟)、ブルネイ(1984年1
月8
日加盟)、ベトナム(1995 年7
月28
日加盟)、ミャンマー、ラオス(1997年7
月23
日加盟)、カンボジア(1999 年4
月30
日加盟)が加盟国で、他に、オブザーバー・ステータスを持つ国として パ プアニューギニアがある。「3」は日中韓の略称で、「6」は日中韓、インド、オーストラリア、ニュージーラ ンドなど六カ国の略称である。
17 ドイツの地理学者のカロル(H. Carol)が提唱した地域(Lands chaft)論によると、地域
95
の公共性の指標を強調する
Region
論18とを共に受容し、ガバナンス論をも取り⼊れて いる循環社会的地域論で環⽇本海⽣態系の広がりから北東アジア地域の内包と外延を 整理すべきだと考えている19。⼀般的に⾔えば、国際地域の環境政策を理解する際に「国際地域⽣態系」の概念が 必要である。東アジアを理解する際に、当該地域の特徴から「環東アジア海⽣態系」
の概念を提起したい。「環東アジア海⽣態系」とは下記の「準環海⽣態系」、「環⽇本海
⽣態系」、「環渤海・⻩海⽣態系」、「環東中国海⽣態系」と「環南中国海⽣態系」など を含む連携海域の⽣態システムのことである。
例えば、対⾺海峡、関⾨海峡、津軽海峡、宗⾕海峡、間宮海峡(タタール海峡)に囲 まれる⽇本海の独特な海況は⽇本海⽣態系ならではののもっている閉鎖性、固有性、多 様性などを規定する重要な要素であると考えられる。他の準環海⽣態系もこの⽇本海⽣
態系のように、「海峡・外海」、「海湾・河川」、「蒸気・⾬雪」、「⼤気流動」、「⽣物⽣態」
などの中間⽣態系を通して広がっていって互いに連携して、1つの特有な国際的⽣態系 が東アジア海を囲んで形成する。このように時間性、空間性と社会性をもつ多重的な環 東アジア海⽣態系は、「東アジア地域」という国際社会の成り⽴てる⾃然的根拠でもあ れば、当該地域の諸課題、特に環境問題を考察する際の基本的視座でもある。
このように東アジア海を中⼼に形成してきた環東アジア海国際⽣態系は、地球⽣態系 に規定されると同時にその⽣物循環、物質循環、⼤気循環、⽔循環、エネルギー循環な どの地球環境循環に介⼊して⾃分⾃⾝の地域的固有性と多様性を強調し、保ちつつある。
とは地表圏(Geosphäre)を構成する気圏・生物圏・人類圏・水圏・岩圏を指す「さまざまな 要素からなる複合体」であるという。
中村和郎他『地域と景観』(地理学講座 第 4 巻)、古今書院、1991 年 6 月、pp.108。
水津一朗『地域の構造-行動空間の表層と深層-』大明堂、1982 年 6 月 30 日発行、pp.18 – 41。
18 アメリカやイギリスにおける地域(region)論ではアメリカの地理学者ダウエント・ホイッ トルセーの説が有名である。ホイットルセーによると地域とは「何らかの意味での一体性をも つ地表の広がり(範囲)」であるという。具体的には、複数の共通点を持ち、周辺とは区別さ れうる地表の一部分が地域である。
中村和郎他『地域と景観』(地理学講座 第 4 巻)、古今書院、1991 年 6 月、pp.110。
木内信蔵『地域概論-その理論と応用-』東京大学出版会、1968 年 2 月 29 日初版発行、1972 年 3 月 15 日第 3 刷、pp.82 – 93。
19 龍世祥(2002)、前掲文献、pp.146-59。
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3
20
環⽇本海⽣
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に発表された
環境・循環型 唱により 20
図
1 環
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型社会白書
01 年(平成
96
環東アジア海
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のとして認
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』(平成
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成 13 年)か海国際的⽣
⽣態系に連 いくが、こ
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⽣態系に⼤別 域にとって公 系である。線
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から構成した と⼈間社会、
態系」という される。
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⽅向性が いるが、
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2
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けて行わ
97
った東アジア海を中⼼に形成してきた環⽇本海地域⽣態系は、⼈類共通の地球⽣活基 盤を基礎に当該地域の⼈間社会にとって、地域的⽣活共通基盤として、下記のような 多様なサービスを提供している。ここではそれらを「環東アジア海⽣態系サービス」
ということにする。すなわち、⼀般的に、①供給サービス(Provisioning Services)は、
⽣態系の供給サービスが⾷料、燃料、⽊材、繊維、薬品、⽔など、⼈間の⽣活に重要 な資源を供給するサービスを指す。⼈間社会は、動物や植物を⾷べることによって⽣
命を維持し、⽪⾰や繊維を⽤いて⾐服を作り、⽊材や鉱物などやこれらを加⼯した⼯
業製品を使って建築物を作り、⽣活と⽣産を営む。②調整サービス(Regulating
Services)
は、森林があることによって気候が緩和されたり、洪⽔が起こりにくくなったり、⽔が浄化されたりといった、環境を制御するサービスのことを⾔いる。③⽂
化的サービス(Cultural Services) は、⼀般的に⽂化的サービスは精神的充⾜、美 的な楽しみ、宗教・社会制度の基盤、レクリエーションの機会などを与えるサービス のことを⾔うが、多くの地域固有の宗教や⽂化は、その地域に固有の⽣物相や⽣態系 と密接に関係している。④基盤サービス(Supporting Services) は、例えば、光合 成による酸素の⽣成、⼟壌形成、栄養循環、⽔循環などがこれに当たるが、このよう に、⽣態系が私たち⼈類に与えるサービスは⾮常に多様であり、それを⽀える⽣物多 様性は⼈類が存在していく上で不可⽋の基盤を提供していると⾔える。
また、環東アジア海⽣態系サービスに含まれる⼈間社会福利要素が主に次の
5
つに 分類される。⼈間安全保障側⾯の福利要素としては、⼀般的に個⼈の安全、資源利⽤の確実性、
⾃然災害からの安全確保、等々がある。例えば、⽇本海・⾥⼭・森・⾼⼭の⽣態系の
⼆酸化炭素の吸収による地球温暖化防⽌への寄与はもとより、洪⽔防⽌などの機能の 発揮により、地域住⺠の安全を保障している。
⼈間⽣活環境側⾯の福利要素としては、適切な⽣活条件、⼗分に栄養のある⾷糧、
住居、商品の⼊⼿の等々の⾯が⼀般的にあるが、例えば、環⽇本海⽣態系は固有性と して、⽇本海固有⽔資源、ホタルイカ、⽩えびなどの富⼭湾の「宝⽯」等などを他地 域の⽣態系に差別化して提供している供給サービスには当該地域の⽣活の量的確保と 質的向上につながる資源要素が含まれている。
⼈間健康維持側⾯の福利要素は通常に、体⼒、精神的な快適さ、清浄な空気および
⽔の等々に図られる。例えば、精神的な快適さに関連して、⽇本の伝統⾊の名前には、
れた、地球規模の生態系に関する総合的評価。95 ヵ国から 1,360 人の専門家が参加。
生態系が提供するサービスに着目して、それが人間の豊かな暮らし(human well-being)
にどのように関係しているか、生物多様性の損失がどのような影響を及ぼすかを明ら かにした。これにより、これまであまり関連が明確でなかった生物多様性と人間生活 との関係がわかりやすく示されている。生物多様性に関連する国際条約、各国政府、
NGO、一般市民等に対し、政策・意志決定に役立つ総合的な情報を提供するとともに、
生態系サービスの価値の考慮、保護区設定の強化、横断的取組や普及広報活動の充実、
損なわれた生態系の回復などによる思い切った政策の転換を促している。
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21
「朱鷺(とき これも多様な 境が⽂化を育 様々な花を観
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1 木村広夫
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図2
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⾃由側⾯の福 などに寄与す で、⽉がゆら 世界観の奥深 古事記』、『⽇
穂国」(『古事 に)」(『⽇本 ジア⼈にとっ 環東アジア海
「日本人と稲
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2 環東アジ
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98
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99
ビス、経済的サービスと⽣命的サービスに分けて整理でき、当該地域潜在している共 通価値の本源であると考えられる。その⼀つとして、例えば、われわれが共有してい る「⼋百万⽂化」、「稲作⽂明」などには環東アジア海地域⽣態系という⼟台があった。
⼀⽅で、東アジアに対照して、夏季に⾬が少ない⻄アジアに広がっている環⻄アジア
⽣態系は、草原牧業と⼩⻨農業の⽂明の基盤となり、森を切り開きの⾃然観を⽣んだ。
つまり、環東アジア海の広い地域で、アジアモンスーン(季節⾵)と称される気流 循環が⾒られる。逆に東アジアはその気候がモンスーンによる⽀配を受けるためモン スーンアジア22と総称される。また、⽇本や中国の海南島などが典型的であるが、環 東アジア海の地域は⼭林、奥⼭、川、⼭中、平地、海との絶妙な⽣態バランスを保っ ている。⼀⽅、この地域には、農村⼈⼝が多く,その⼤部分は⽶作にかかわり,⽶作
⽂化をもつという共通点がある。いずれにせよ、この様な東アジアの環海⽣態系の複 合的、独特的なサービスは稲作⽂化(Rice-farming Culture)を⽣んでいて、育って いると考えられる。
4. 稲作⽂化を⼟台とする東アジア循環社会の変容
地域の地理的相違を問わず、原始社会においては、分業は共同体内分業と共同体間 の分業があるが、⼈間社会の⾃然依存という性質に制約される「⾃然的分業」である。
共同体内の「⾃然的分業」が性別的分業であり、東アジアでは今においても「男外⼥
内」で記憶されている。なお、共同体間の「⾃然的分業」は環東アジア海⽣態系にお いて「⼭・川」、「原・川」、「川・海」に⼤別できる⾃然資源に依存して狩猟と動物の 半馴化、採集と植物の半栽培、漁撈と⽔⽣物の半養殖などの⽣業に主に分かれてせい りつしていた。これも、東アジアに共通に記憶している揚⼦江中・下流域を中⼼とす る稲作⽂化圏と⻩河中・下流域を中⼼とする雑穀⽂化圏と東北地⽅の遼寧省⻄部を中
⼼とする採集狩猟漁労が卓越する⽂化圏の原始的起源でもある。経済学的には、この
⾃然的分業と共同体の共有財余剰がスミスの⾔う分業の原理となる「交換性向」と「利
⼰⼼」の形成根拠であろうかに注⽬したい。環境経済学的には、この「⾃然的分業」
は持続性、公平性と効率性という循環型分業の基本条件を満たすことに興味深い。⼈
間の⽣産と消費は同義的に⾏われると同時にそれも⾃然にとって破壊にならなく分解 的活動でもある。つまり、⼈間は⾃然の⼀部として消費・⽣産・分解の活動を同時に
22 モンスーンアジアでは、冬季の北風・北西風・西風と、夏季の南風・南東風・東風に特徴付 けられる。華南や南シナ海では、5 月頃に南西風が吹き始めるとともに、雨季が始まる。この ころ、東南アジアの赤道上の熱帯収束帯は弱まり、華南付近にもう 1 つの収束帯が形成される。
これに向かって風が吹き込むことで、南西風が起こる。華南付近の収束帯は 7 月~8 月までの 間にどんどん北上していく。
100
⾏っている。ゆえに、筆者はこの時代の分業を「原始的循環型分業」と、この時代の 循環社会を「原始的調和型循環社会」(図
3
のⅠを参照)と呼ぶことにしている。農業型循環社会においては、⾃然的分業に基づいて、野⽣動物の家畜化、農事道具 の製造、農産物の加⼯と保存などの拡⼤により、農業の細分化、⼿⼯業の農業からの 分離が⾏われる。さらに都市の形成と拡⼤によって、この分業は都市と農村の間で進 められる。例えば、この時期では農村型「伝統的調和型循環社会」の側⾯の象徴とな る「稲⿂共作」、「稲鴨共作」など、農村・都市型「伝統的調和型循環社会」の側⾯の 象徴となる「江⼾モデル」23は稲作・漁撈⽂明を⼟台に構築され、東アジアに共有し ていた。その中に「伝統的循環型分業」が内蔵されているすなわち、⾃然⽣態系の「⽣
産・消費・分解」・「基盤」という形態で現れるサービス提供の相互関係が①循環社会 の経済・⼈間・⾃然の間に、②経済と⼈間の内部に、③「⽣産」、「消費」、「分解」の 過程の内部においても同形態で現れている。なお、このような循環的フラクタル構造 は⽣態系サービスの空間性から観て次元の違い循環地域においても、同様に現れる。
この構造のバランス関係は地域共⽣の度合いを判断できる基準にもなる。ところが、
もう⼀つの側⾯の象徴は環境破壊と貧困問題との悪循環システムがこの時代から機能 し始めていた。前者は「伝統的調和型循環社会」(図
3
のⅡを参照)であり、後者は「伝統的⾮調和型循環社会」と呼ぶ。
産業⾰命以降の現代的循環社会においては、都市化、⼯業化、情報化、サービス化、
国際化の潮流の中に、分業が激しく進んできた。企業内分業としては、⽣産過程と管 理過程の分離、企業経営のブロック化とそれに伴うネットワーク化、企業間分業とし ては、⼤企業中⼼の下請け体制の定型化、集積化とネットワーク化が進められる。社 会的分業の進展としては、極端的に産業構造の⾼度化と地域構造の⾼度化がこの時代 の特徴となる。江⼾時代までアジア地域の諸国に共有されていた「江⼾モデル」が産 業⾰命普及の度合いによって変容し始まる。⽇本では明治維新から
1960
年代の⾼度 成⻑期かけて、「江⼾モデル」が既に⽡解した。⽇本の現代的な循環型社会構築は、⼤量⽣産、⼤量廃棄の循環社会システムを前提にスタートしていた。稲作⽂明を⼟台に なる従来の社会分業は質的変容が⽣じ、農村・都市間、農村・農業内部における分解 的⽣産、分解的⽣活での循環連鎖が⽯油農業技術、あるいは農業⼯業化によって切断 された。これらの結果として、⾃然システム機能の劣化が深刻になっている。中国な どの東アジアの途上国においては⼯業化・都市化の圧縮的な進⾏に伴い、このような 傾向の社会分業が急激に進んでいる。この時代の社会を「現代的⾮調和型循環社会」
((図
3
のⅢを参照)と呼ぶ。勿論、東アジアにおけるこの悪循環社会の側⾯の拡⼤過程には先進国と途上国の協働システムが機能している。
23 平成 20 年度版『環境白書・循環型社会白書』。
ところ 社会構築 た。中国 れたこの スタート 術⽔準の これから る。なお る循環型 環境産業
⼾モデル にして期
ろが、
1990
年 築が、⼤量⽣国をはじめと の従来型の循 トしている。
の向上、国際 ら分解的⽣産 お、このよう 型国際分業形 業拡⼤と循環 ル」を地域づ 期待している
年代以降、⽇
⽣産、⼤量廃 とする後進的 循環社会の仕 なお、その 際資源の活⽤
産と環境産業 うな「江⼾モ 形成の⼀要因 環型分業は、
づくりの⽅法 る社会を「未
図
3 循
⽇本をはじめ 廃棄の現代的 的国と地域で 仕組みをバー のバージョン
⽤の側⾯から 業(第
0
次産 モデル」の歴 因となってい 東アジアに 法論として復 未来的循環社101
循環社会の変
めとする先 的循環社会シ では、産業化 ージョンア ンアップは規 ら⾏われてい 産業)の拡⼤
歴史的変容の いる。この国 に共有してい 復活させる主 社会」と呼ぶ 変容
進的国と地 システムを 化が遅れて ップして未 規模の拡⼤
いる。その
⼤を通じて の相違性は 国内と国際 いた、稲作 主アプロー ぶ。
地域では、未 前提にスタ いたことの 来的循環型
、市場⼿段 共通性とし
、質的変容 現実に東ア の⼆次元で
⽂明を⼟台 チとなろう
未来的循環型 タートしてい の陰で維持さ 型社会構築を 段の導⼊、技 して、分業は 容が⽣じてい アジアにおけ で展開される 台とする「江
。このよう 型 い さ を 技 は い け る 江 う