「「ジェンダー」と「ハラスメント」」の紹介

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2020 年度 は 新型 コロナウイルスの 感染拡大 に よって 、今 もなお 日常 のさまざまな 局面 でこれま でとは 異 なる 対応 が 強 いられています 。 とりわけ 図書館 の 一時的 な 閉館 や 制限 つきでの 開館 は 、改 めて 大学 における 研究 や 学習 の 根幹 が 書物 によっ て 支 えられていることに 気 づかされる 機会 となり ました 。 ジェンダー ・ セクシュアリティ 関連 の 書 籍 を 多数所蔵 しているジェンダーフォーラムで も 、普段 であれば 立教 の 学生 の 方々 や 時 には 他大 学 の 学生 が 本 を 探 しに 来所 され 、 ジェンダーなど に 関 する 身近 な 話 をするきっかけになっていまし た 。 ところが 今年度 は 、 コロナの 影響 により 、 そ れが 叶 わない 状況 が 長 く 続 いています 。

こうしたゆっくりと 書架 を 巡 ることが 難 しい 状 態 を 踏 まえ 、2020 年10 月26 日(月) より 、大学 図書館 の 主催 および 人権・ ハラスメント 対策 セ ンターとの 共催 で 、企画展示「「 ジェンダー 」 と

「 ハラスメント 」」 を 実施 しました (12月下旬 まで は 池袋図書館、2021年1 月 からは 新座図書館 にて 展示)。 この 展示 では 、 ジェンダーやセクシュア リティ 、 ハラスメントに 関 して 、初学者 への 手引 きとなるように 、入門書 やフォーラム 所員・運営 委員 のお 勧 めの 一冊 を 紹介 しました 。 また 、WEB 上 でも 下記 に 挙 げる 書籍 のリストやフォーラムの 活動 を 紹介 するポスターを 公開 しています 。

昨年 の 公開講演会 で 上野千鶴子先生 が 仰 ってい たように 、本 を 読 み 、学 ぶことは 、単 に 知識 を 吸 収 するだけに 留 まらず 、 まだ 言葉 にできていない  図書紹介

図書館企画展示

「「ジェンダー」と「ハラスメント」」の紹介

片岡 佑介

ジェンダーフォーラム教育研究嘱託

自分 の 中 のモヤモヤした 感情 や 体験 を 、言語化 し て 把握 できるようにする 行為 だといえます 。特 に ジェンダーやセクシュアリティのような 日常生活 と 切 っても 切 り 離 せないにもかかわらず 、 うまく 言 い 表 すことのできない 事態 に 直面 することの 多 い 領域 にとって 、読書 はとても 重要 な 実践 ではな いでしょうか 。近年、 ジェンダーやセクシュア リティに 関 する 分野 で 、読書 をテーマにした 本 が 次々 と 刊行 されています 。例 えば 、原 ミナ 汰

/土肥 いつき 編著『 にじ 色 の 本棚:LGBT ブック ガイド 』(三一書房、2016) や 、柳原恵『〈化

け が い

外〉

のフェミニズム :岩手・麗 ら 舎読書会 の 〈 おな ご 〉 たち 』( ドメス 出版、2018)、 あるいは 北村紗 衣『 シェイクスピア 劇 を 楽 しんだ 女性 たち :近世 の 観劇 と 読書』(白水社、2018) などの 本 は 、読 書 という 行為 が 個人的 なものであると 同時 に 、 ほ かの 人 たちと 共 に 読 み 、楽 しみ 、語 り 合 うことを 通 じてコミュニティを 生 み 出 すものでもあるとい うこと 、 そしてただ 一方的 に 情報 を 得 るだけでな く 、時 にあるテクストの 既存 の 解釈 をゆさぶり 、 新 たな 読 みの 地平 を 切 り 開 くスリリングな 体験 で もあることを 気 づかせてくれます 。

来年度 がどのような 状況 になるのか 、今 はまだ

予断 を 許 さない 事態 が 続 いていますが 、今年 の

フォーラムのイベントで 活用 したさまざまなオン

ラインツールなども 駆使 しつつ 、来年度 は 本 を 通

じたフォーラムでの 交流 が 再 び 活発 になることを

願 ってやみません 。

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立教大学ジェンダーフォーラム年報 第22号(2020)

ジェンダーフォーラム推薦書

▍  イ ・ ミンギョン 『私 たちにはことばが 必要 だ ― フェミニストは 黙 らない 』 すんみ /小山内園子訳、 タ バブックス 、2018年

▍  上野千鶴子『女 ぎらい ― ニッポンのミソジニー 』紀伊国屋書店、2010 年/朝日新聞出版社、2018年

(文庫版)

▍  小倉千加子『草 むらにハイヒール ―内 から 外 への 欲求』 いそっぷ 社、2020年

▍  加藤秀一『 はじめてのジェンダー 論』有斐閣、2017年

▍  金子雅臣『壊 れる 男 たち ― セクハラはなぜ 繰 り 返 されるのか 』岩波書店、2006年

▍  北村紗衣『 お 砂糖 とスパイスと 爆発的 な 何 か ―不真面目 な 批評家 によるフェミニスト 批評入門』書肆 侃侃房、2019年

▍  サドカー 、 マイラ & デイヴィッド 『「女 の 子」 は 学校 で 作 られる 』川合 あさ 子訳、時事通信社、1996年

▍  スコット 、 ジョーン ・W.『増補新版  ジェンダーと 歴史学』荻野美穂訳、平凡社、2004年

▍  スタール 、 ステファニー 『読書 する 女 たち ― フェミニズムの 名著 は 私 の 人生 をどう 変 えたか 』伊達尚 美訳、 イースト ・ プレス 、2020年

▍  千田有紀/中西祐子/青山薫『 ジェンダー 論 をつかむ 』有斐閣、2013年

▍  ソルニット 、 レベッカ 『説教 したがる 男 たち 』 ハーン 小路恭子訳、左右社、2018年

▍  竹信三恵子『家事労働 ハラスメント ―生 きづらさの 根 にあるもの 』岩波書店、2013年

▍  バトラー 、 ジュディス 『 ジェンダー ・ トラブル ― フェミニズムとアイデンティティの 撹乱』竹村和子 訳、青土社、1999年

▍  一橋大学社会学部佐藤文香 ゼミ 生一同著、佐藤文香監修『 ジェンダーについて 大学生 が 真剣 に 考 えてみ た ― あなたがあなたらしくいられるための 29問』明石書店、2019 年

▍  平山亮『介護 する 息子 たち ―男性性 の 死角 とケアのジェンダー 分析』勁草書房、2017年

▍  堀江有里『 レズビアン ・ アイデンティティーズ 』洛北出版、2015年

▍  マッケン 、 ハンナほか 著『 フェミニズム 大図鑑』最所篤子/福井久美子訳、三省堂、2020年

▍  森山至貴『LGBT を 読 みとく ― クィア ・ スタディーズ 入門』筑摩書房、2017年 過去のジェンダーフォーラム事務局スタッフによる著書

▍  黒岩裕市『 ゲイの 可視化 を 読 む ―現代文学 に 描 かれる 〈性 の 多様性〉?』晃洋書房、2016年

▍  嶽本新奈『「 からゆきさん 」―海外〈出稼 ぎ 〉女性 の 近代』共栄書房、2015年

▍  中村江里『戦争 とトラウマ ―不可視化 された 日本兵 の 戦争神経症』吉川弘文館、2018年 小説・絵本

▍  村田沙耶香『消滅世界』河出書房新社、2015年

▍  フレミング 、 ジャッキー 『問題 だらけの 女性 たち 』松田青子訳、河出書房新社、2018年

▍  ブーレグレーン 、 サッサ 『北欧 に 学 ぶ 小 さなフェミニストの 本』枇谷玲子訳、岩崎書店、2018年 映画

▍  エプスタイン 、 ロブ / フリードマン 、 ジェフリー 『 セルロイド ・ クローゼット 』(1995)

▍  松井久子『何 を 怖 れる ― フェミニズムを 生 きた 女 たち 』(2014)

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  図書館企画展示 「「ジェンダー」と「ハラスメント」」の紹介 片岡佑介

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書評

▍  堀江有里『 レズビアン ・ アイデンティティーズ 』洛北出版、2015年

   社会学、 レズビアン ・ スタディーズとクィア 神学 の 専門家 である 堀江 は 、「 レズビアン 」 としての 理解 にアイデンティティ ・ ポリティクスというメスを 刺 し 、自分 の 中 に 隠 されていた 未完 の 可能性 を 発見 し 、肯定 していく 。

  ゾンターク 、 ミラ ( ジェンダーフォーラム 副所長/文学部 キリスト 教学科教授)

▍  金子雅臣『壊 れる 男 たち ― セクハラはなぜ 繰 り 返 されるのか 』岩波書店、2006 年

   「 なぜセクハラは 無 くならないのか ?」 と 少 しでも 疑問 に 思 ったことがある 方 はぜひ 本書 を 読 んでみて ください !「加害者 の 言 い 分」 を 読 み 進 めると 「男 が 悪 い 、女 が 悪 い 」 では 片付 けられない 根本的 な 社 会問題 が 見 えてきます 。

  金儒振( ジェンダーフォーラム 運営委員/国際 センター )

▍  一橋大学社会学部佐藤文香 ゼミ 生一同著、佐藤文香監修『 ジェンダーについて 大学生 が 真剣 に 考 えてみ た ― あなたがあなたらしくいられるための 29問』明石書店、2019年

   ジェンダー 論 を 学 んでいるけれど 、友人 たちからの 疑問 にすっきりと 答 えられないもやもやを 抱 えてい る 学生 たちが 、皆 で 話 し 合 ってどう 答 えたらよいかを 真剣 に 考 えて 書 いた 本 です 。 ホップ ・ ステップ ・ ジャンプと 三段階 で 解説 されているので 、 ジェンダー 論 が 初 めての 人 にも 、 すでに 学 んでいる 人 にも 役 に 立 ちます 。

  横山美和( ジェンダーフォーラム 事務局)

▍  スコット 、 ジョーン ・W.『増補新版  ジェンダーと 歴史学』荻野美穂訳、平凡社、2004年

   ジェンダーを 「肉体的差異 に 意味 を 付与 する 知」 と 定義 づけ 、 セックス / ジェンダーの 二分法 を 見直 し 新 たなジェンダー 概念 を 提示 しました 。 バトラーと 合 わせて 読 みたいですね 。

  横山美和( ジェンダーフォーラム 事務局)

▍  平山亮『介護 する 息子 たち ―男性性 の 死角 とケアのジェンダー 分析』勁草書房、2017年

   一見、介護 の 専門書 のようですが 、介護 を 通 じて 「息子 としての 男性」、 すなわち 男性 の 自立/自律 に 隠 された 無自覚 な 依存 の 問題 を 抉 り 出 しています 。近年、大注目 の 男性学 の 研究者 である 著者 の 言葉 に 、時折 ギクッとしながら 頁 を 捲 りました 。

  片岡佑介( ジェンダーフォーラム 事務局)

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