1.はじめに
行動体力は、思春期から大学生時代(青年 期)にかけて最も発達し、その後は加齢の影 響を受け低下する傾向にあるとされている。
従って、この時期の積極的な身体活動は、そ の後の人生における体力の基盤となり、行動 体力の維持・向上のみならず健康寿命にも大 きく影響を及ぼす可能性があると考えられ る。しかしながら、現在の若年者の体力・運動 能力は、体力水準が最も高かった1985年と比 較して依然と低い値であり、なかでも特に大 学生の運動能力の低下を問題視している1), 2)。 その原因の一つとして身体活動量の減少が挙 げられる。この身体活動の減少は、行動体力 の低下および肥満症や生活習慣病のリスクと
も密接に関係していると報告3)されており、
日常生活における身体活動は、行動体力や健 康維持および生活習慣病の予防の観点から重 要な要素であると考えられる。以上の背景か ら大学生において現在の体力水準を把握する ことは極めて重要な要因になると考えられ る。
そこで、前回では 2016 年度に入学した本 学の経営学部生を対象に体力測定の結果と全 国値を比較・検討し、現在の体力水準および 運動実施調査について報告4)した。本稿では、
前回に引き続き 2017 年度および 2018 年度に 実施した体力測定をまとめ、体力水準および 運動実態を全国値と合わせて比較・検討した。
研究論文
神奈川大学経営学部生の体力に関する報告(2)
後 藤 篤 志 韓 一 栄 石 濱 慎 司 嶋 谷 誠 司
アブストラクト:
本稿では、本学経営学部の 1 年生を対象に前回に引き続き 2017 年度および 2018 年度に実施 した体力測定をまとめ、体力水準および運動実態を全国値と合わせて比較・検討した。測定は、
身体的特徴として「身長」、「体重」、「体脂肪率」の3項目の測定を行った。また、体力測定と して「握力」、「上体起こし」、「長座体前屈」、「反復横とび」、「立ち幅とび」、「50m走」、「ハン ドボール投げ」、「持久走(男子:1500m、女子:1000m)」の計8項目の測定を実施した。さら に、日常生活における運動状況を把握するため、アンケート調査を実施した。その結果、男子 においては、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、立ち幅とび、持久走の6項目で全 国値を下回る結果を示した。一方、女子では、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とびの 4項目で全国値を下回る結果を示した。アンケートによる運動状況の結果では、2018年におい て0~1回/週が男子で54.1%、女子で70.7%の割合を示した。以上の結果を踏まえ、教員と学 生が体力に関する情報を共有する取り組みを長期的に授業へ反映することが必要であると考え られる。
表 1.対象者の身体的特徴
男子
全国 2016年(n=319) 2017年(n=365) 2018年(n=400)
年 齢 ( 才 ) 18 18.4± 0.8 18.5± 0.9 18.3±0.6 身 長 (cm) 171.5±5.4 171.4± 6.0 171.6± 5.0 171.4±6.0 体 重 ( k g ) 61.6±7.9 64.8±11.1* 64.4±10.4 63.2±9.2 体脂肪率 ( % ) 17.0± 5.6*** 15.9± 5.5†† 15.1±5.2‡
女子
全国 2016年(n=173) 2017年(n=170) 2018年(n=199)
年 齢 ( 才 ) 18 18.2± 0.5 18.4± 0.8 18.5±1.1 身 長 (cm) 158.7±5.4 158.2± 5.7 157.9± 5.1 158.4±5.9 体 重 ( k g ) 51.1±5.9 53.1± 7.4* 51.9± 6.8 51.3±6.9 体脂肪率 ( % ) 28.6± 5.5*** 26.3± 5.4††† 25.7±5.4 平均±標準偏差
vs 2018 *: p<0.05, ***: p<0.001, vs 2016 ††: p<0.01, †††:p<0.001, vs 2017 ‡: p<0.05
2.方法 1 )対象者
対象者は、本大学の 2016、2017、2018 年度 に入学した経営学部に所属する1年生のうち 健康科学を履修している男女 1,626 名(2016 年度:男子 319 名、女子 173 名、2017 年度:
男子365名、女子170名、2018年度:男子400 名、女子199名)を対象とした。また、体力 水準を比較するため、文科省が行った平成 27年度の年齢別体力・運動能力調査結果(以 下、全国平均値)を引用した。被験者の身体 的特徴は、表1に示した。
2 )体力測定の手順
体力測定は、室内項目と室外項目に分け、
先に室内項目を体育館で実施し、1 週間後に 室外項目を陸上競技場で実施した。体力測定 にあたっては、測定の目的や実施方法につい て十分に説明を行った。また、すべての測定 において測定の前に十分な準備運動を実施 し、体調不良や測定に参加ができない対象者 については、後日に実施した。
3 )測定項目および測定方法
身体的特徴は、「身長」、「体重」、「体脂肪率」
の3項目の測定を行った。身長は、健康診断 の際に行った身長の結果を参考に記入した。
また、体重および体脂肪率は、デュアル周波 数体組成計DC-320((株)タニタ製)を用いて 実施した。また、室内項目の体力測定は、上 肢筋力の評価として「握力」、筋持久力の評 価として「上体起こし」、柔軟性の評価として
「長座体前屈」、敏捷性の評価として「反復横 とび」、瞬発力の評価として「立ち幅とび」
を実施し、室外項目の体力測定は、パワー・
走能力の評価として「50m 走」、投力の評価 として「ハンドボール投げ」、全身持久力の 評価として「男子:1500m走、女子:1000m 走」の計8項目の測定を実施した。すべての 体力測定は、文部科学省の「新体力テスト実 施要項」5)を参考に実施した。なお、現在の 運動習慣についてはアンケート調査を実施し た。
4 )分析方法
すべての測定値は、平均値±標準偏差で示 した。怪我などで一部の体力測定が不可能
だった対象者のデータを除き、すべての対象 者を対象として分析を行った。なお、2016、
2017、2018年度における3群の差については、
post-hoc検定を用いて行い、すべての統計処 理における有意水準は5%未満とした。
3.結果
1 )身体的特徴について
全国および3群の対象者における身体的特 徴は、表1に示した。男子の身長は、全国平 均値で 171.5 ± 5.4cm を示した。なお、本学 では 2016 年で 171.4 ± 6.0cm、2017 年で 171.6
± 5.0cm、2018 年で 171.4 ± 6.0cm を示し、3 群の間に有意な差は認められなかった。女子 の身長は、全国平均値で 158.7 ± 5.4cm を示 した。なお、本学では2016年で158.2±5.7cm、
2017年で157.9±5.1cm、2018年で158.4±5.9 を示し、3群の間に有意な差は認められなかっ た。
男子の体重は、全国平均値で 61.6 ± 7.9kg を示した。なお、本学では 2016 年で 64.8 ± 11.1kg、2017 年 で 66.4 ± 10.4kg、2018 年 で 63.2 ± 9.2kg を示し、2016 年と比較して 2018 年が有意に低い値を示した(p<0.05)。女子 の体重は、全国平均値で 51.1 ± 5.9kg を示し た。なお、本学では 2016 年で 53.1 ± 7.4kg、
2017年で51.9±6.8kg、2018年で51.3±6.9kg を示し、男子と同様に2016年と比較して2018 年が有意に低い値を示した(p<0.05)。
男子の体脂肪率は、2016 年で 17.0 ± 5.6%、
2017 年で 15.9 ± 5.5%、2018 年で 15.1 ± 5.2%
を示し、2016 年と比較して 2017 年、2018 年 が有意に低い値を示した(それぞれp<0.01、
p<0.001)。また、2017年と比較して2018年 が有意に低い値を示した(p<0.01)。女子の 体脂肪率は、2016年で28.6±5.5%、2017年で 26.3±5.4%、2018年で25.7±5.4%を示し、男 子と同様に 2016 年と比較して 2017 年、2018 年が有意に低い値を示した(それぞれ p < 0.001)。一方、2017 年と 2018 年の間には有
意な差は認められなかった。
2 )体力測定項目および運動習慣のアンケー トについて
全国および3群の対象者における体力測定 は、表2に示した。また、アンケートによる 現在の運動状況については図 1 および図 2 に 示した。
①握力
男子の握力は、全国平均値で 42.6 ± 6.4kg を示した。なお、本学では 2016 年で 41.4 ± 8.6kg、2017 年で 41.4 ± 7.9kg、2018 年で 40.7
± 7.1kg を示し、3 群の間に有意な差は認め られなかったが、全国平均値と比較して3群 とも低い傾向がみられた。女子の握力は、全 国平均値で 26.6 ± 4.3kg を示した。なお、本 学では 2016 年で 25.1 ± 4.7kg、2017 年で 25.2
±4.9kg、2018年で24.2±4.4kgを示し、2017 年と比較して 2018 年が有意に低い値を示し た(p<0.01)。一方、全国平均値と比較して 3群とも低い傾向がみられた。
②上体起こし
男子の上体起こしは、全国平均値で31.7±
5.1回/30秒を示した。なお、本学では2016年 で 30.2 ± 5.4 回 /30 秒、2017 年で 30.4 ± 6.1 回 /30 秒、2018 年で 30.7 ± 6.3 回 /30 秒を示し、
3 群の間に有意な差は認められなかったが、
全国平均値と比較して3群とも低い傾向がみ られた。女子の上体起こしは、全国平均値で 24.5±5.2回/30秒を示した。なお、本学では 2016 年 で 23.2 ± 6.3 回 /30 秒、2017 年 で 23.5
± 5.9 回 /30 秒、2018 年で 23.3 ± 6.0 回 /30 秒 を示し、3群の間に有意な差は認められなかっ たが、男子と同様に全国平均値と比較して 3 群とも低い傾向がみられた。
③長座体前屈
男子の長座体前屈は、全国平均値で49.5±
10.6cm を示した。なお、本学では 2016 年で
表 2.対象者の体力測定結果
男子
全国 2016年(n=319)2017年(n=365)2018年(n=400)
握 力( kg ) 42.6± 6.4 41.4± 8.6 41.4± 7.9 40.7± 7.1 上 体 起 こ し(回/30秒) 31.7± 5.1 30.2± 5.4 30.4± 6.1 30.7± 6.3 長 座 体 前 屈( cm ) 49.5±10.6 47.2±11.2 46.9±10.5 46.7±11.5 反 復 横 と び(回/20秒) 59.4± 5.8 56.1± 7.7* 55.5± 7.6 57.3± 7.6‡‡‡
立 ち 幅 と び( cm ) 231.8±20.9 229.2±30.8 226.7±29.2 227.9±33.7 5 0 m 走( 秒 ) 7.3± 0.5 7.4± 0.5* 7.4± 0.6 7.2± 0.6 ハンドボール投げ( m ) 26.3± 5.5 28.2± 6.2 26.9± 6.1†† 27.8± 5.3‡
持 久 走( 秒 ) 387.7±48.9 402.7±68.5 398.0±62.2 397.4±74.2 女子
全国 2016年(n=173)2017年(n=170)2018年(n=199)
握 力( kg ) 26.6± 4.3 25.1± 4.7 25.2± 4.9 24.2± 4.4‡
上 体 起 こ し(回/30秒) 24.5± 5.2 23.2± 6.3 23.5± 5.9 23.3± 6.0 長 座 体 前 屈( cm ) 48.7± 9.1 47.6±10.6 46.1± 9.6 46.5±11.0 反 復 横 と び(回/20秒) 49.5± 5.4 47.8± 5.9 46.3± 6.2† 47.0± 7.1 立 ち 幅 と び( cm ) 174.2±21.0 174.8±22.3 170.0±24.8 171.4±23.7 5 0 m 走( 秒 ) 9.1± 0.8 8.9± 0.8* 9.0± 0.8 8.7± 0.8‡‡
ハンドボール投げ( m ) 14.1± 3.9 15.0± 4.0 15.1± 4.2 15.0± 4.6 持 久 走( 秒 ) 310.9±37.1 308.4±44.5 309.2±48.9 311.5±53.6 平均±標準偏差
vs 2018 *: p<0.05, vs 2016† : p<0.05, †† :p<0.01, vs 2017 ‡ : p<0.05, ‡‡ : p<0.01, ‡‡‡ : p<0.001 47.2 ± 11.2cm、2017 年で 46.9 ± 10.5cm、2018
年で46.7±11.5cmを示し、3群の間に有意な 差は認められなかったが、全国平均値と比較 して3群とも低い傾向がみられた。女子の長 座体前屈は、全国平均値で 48.7 ± 9.1cm を示 した。なお、本学では2016年で47.6±10.6cm、
2017 年で 46.1 ± 9.6cm、2017 年で 46.5 ± 11.0 cm を示し、3 群の間に有意な差は認められ なかったが、男子と同様に全国平均値と比較 して3群とも低い傾向がみられた。
④反復横とび
男子の反復横とびは、全国平均値で59.4±
5.8回/20秒を示した。なお、本学では2016年 で 56.1 ± 7.7 回 /20 秒、2017 年で 55.5 ± 7.6 回 /20 秒、2018 年で 57.3 ± 7.6 回 /20 秒を示し、
2018 年と比較して 2016 年、2017 年が有意に 低い値を示した(それぞれ、p < 0.05、p < 0.001)。一方、全国平均値と比較して3群とも 低い傾向がみられた。女子の反復横とびは、
全国平均値で49.5±5.4回/20秒を示した。な お、 本 学 で は 2016 年 で 47.8 ± 5.9 回 /20 秒、
2017 年で 46.3±6.2 回 /20 秒、2018 年で 47.0±
7.1 回 /20 秒を示し、2016 年と比較して 2017 年が有意に低い値を示した(p<0.05)。一方、
男子と同様に全国平均値と比較して3群とも 低い傾向がみられた。
⑤立ち幅とび
男子の立ち幅とびは、全国平均値で 231.8
± 20.9cm を示した。なお、本学では 2016 年 で 229.2 ± 30.8cm、2017 年で 226.7 ± 29.2cm、
44.7%
34.9%
6.6% 11.2%
53.7%
30.5%
7.9% 7.9% 0〜1回/週
2〜3回/週 4〜5回/週 6〜7回/週
n=304 2016年男子
n=365 2017年男子
n=377 2018年男子
54.1%
30.2%
7.4% 8.2%
0〜1回/週 2〜3回/週 4〜5回/週 6〜7回/週
n=107 2016年女子
n=170 2017年女子
n=184 2018年女子 62.4%
20.6%
6.5% 10.6%
71.2%
12.9%
10.0%
5.9%
70.7%
16.8%
4.9% 7.6%
図1.男子における現在の運動状況について
図2.女子における現在の運動状況について 2018 年で 227.9 ± 33.7cm を示し、3 群の間に
有意な差は認められなかったが、全国平均値 と比較して3群とも低い傾向がみられた。女 子の立ち幅とびは、全国平均値で174.2±21.0 cmを示した。なお、本学では2016年で174.8
±22.3cm、2017年で170.1±24.8cm、2018年 で171.4±23.7cmを示し、3群の間に有意な差 は認められなかったが、2017 年と 2018 年が 全国平均値と比較して低い傾向がみられた。
⑥ 50m 走
男子の50m走は、全国平均値で7.3±0.5秒 を示した。なお、本学では2016年で7.4±0.5 秒、2017 年で 7.4 ± 0.6 秒、2018 年で 7.2 ± 0.6 秒を示し、2016 年と比較して 2018 年が有意 に早い値を示した(p < 0.05)。一方、2016 年と 2017 年は全国平均値と比較して遅い傾
向がみられた。女子の 50m 走は、全国平均 値で 9.1 ± 0.8 秒を示した。なお、本学では 2016 年で 8.9 ± 0.8 秒、2017 年で 9.0 ± 0.8 秒、
2018 年で 8.7 ± 0.8 秒を示し、2018 年と比較 して 2016 年、2017 年が有意に遅い値を示し た(それぞれ、p < 0.05、p < 0.01)。一方、
全国平均値と比較して3群とも早い傾向がみ られた。
⑦ハンドボール投げ
男子のハンドボール投げは、全国平均値で 26.3±5.5mを示した。なお、本学では2016年 で 28.2 ± 6.2m、2017 年 で 26.9 ± 6.1m、2018 年で 27.8 ± 5.3m を示し、2016 年と比較して 2017年が有意に低く(p<0.01)、2017年と比 較して2018年が有意に高い値を示した(p<
0.05)。一方、全国平均値と比較して3群とも
※構成比は、 小数点以下第2位を四捨五入しているため、 合計しても必ずしも100%とはならない
高い傾向がみられた。女子のハンドボール投 げは、全国平均値で14.1±3.9mを示した。な お、本学では 2016 年で 15.0 ± 4.0m、2017 年 で15.1±4.2m、2018年で15.0±4.6mを示し、
3 群の間に有意な差は認められなかったが、
全国平均値と比較して3群とも高い傾向がみ られた。
⑧持久走
男子の 1500m 走は、全国平均値で 387.7 ± 48.9 秒を示した。なお、本学では 2016 年で 402.7±68.5秒、2017年で398.0±62.2秒、2018 年で397.4±74.2秒を示し、3群の間に有意な 差は認められなかったが、全国平均値と比 較して3群とも遅い傾向がみられた。女子の 1000m 走は、全国平均値で 310.9 ± 37.1 秒を 示した。なお、本学では2016年で308.4±44.5 秒、2017年で309.2±48.9秒、2018年で311.5
± 53.6 秒を示し、3 群の間に有意な差は認め られなかった。一方、全国平均値と比較して 3群とも大きな差はみられなかった。
⑨アンケートによる現在の運動状況について 男子の健康科学の授業を除いた現在の運動 状況(回/週)を図1に示した。2016年では、
「0-1回/週」が44.7%、「2-3回/週」が34.9%、
「4-5回/週」が6.6%、「6-7回/週」が11.2%を 示した。2017年では、「0-1回/週」が53.7%、
「2-3 回 / 週」が 30.5%、「4-5 回 / 週」が 7.9%、
「6-7 回 / 週」が 7.9% を示した。2018 年では、
「0-1回/週」が54.1%、「2-3回/週」が30.2%、
「4-5 回 / 週」が 7.4%、「6-7 回 / 週」が 8.2% を 示し、3群ともに「0-1回/週」が最も多い割 合を示した。
女子の現在の運動状況(回 / 週)を図 2 に 示した。2016年では、「0-1回/週」が62.4%、
「2-3 回 / 週」が 20.6%、「4-5 回 / 週」が 6.5%、
「6-7回/週」が10.6%を示した。2017年では、
「0-1回/週」が71.2%、「2-3回/週」が12.9%、
「4-5回/週」が5.9%、「6-7回/週」が10.0%を 示した。2018年では、「0-1回/週」が70.7%、
「2-3 回 / 週」が 16.8%、「4-5 回 / 週」が 4.9%、
「6-7 回 / 週」が 7.6% を示し、男子と同様に 3 群とも「0-1回/週」が最も多い割合を示した。
4.まとめ
本稿では、本学経営学部に所属する1年生 を対象に体力測定を行い、2016 年から 2018 年までの3年間における体力水準および運動 実態を比較・検討した。まず、身体的特徴に おける3群の体脂肪率の差をみると、男女と もに肥満判定基準(男子:25%未満、女子:
30%未満)の正常範囲であるが、2016 年が 最も高い値を示し、その後、減少する傾向が みられた(表1)。近年、メタボリックシンド ロームおよび肥満における健康被害や病気な どが話題になっており、国や関連団体による 様々な対策が議論されている。一方、若年女 性においては、肥満とは逆の方向である「低 体重」・「やせ型」の増加がみられ話題になっ ている。国民栄養調査によると女性における 肥満の年次推移では、昭和から平成にかけて
「やせ型」が増えていく傾向があると報告し6)、 その背景には、テレビやCMなどのモデル体 型を好む女性が多く、容姿・ファッションの ために「やせたい」という願望が一つの要因 であると指摘されている。この「やせ願望」
は、無理な減量行動の誘因となり、栄養素不 足は、貧血や骨粗鬆症などのリスクを高める 要因にもつながる7)。以上の背景から、本学 の学生において肥満がもたらす悪影響のみな らず、やせ型におけるリスクや予防について も積極的な指導が必要であると考えられる。
一方、体力測定の結果をみると、男女とも に毎年異なる特徴がみられる。例えば、パ ワー・走能力を評価する 50m 走の結果をみ ると、男子において2016年および2017年は、
全国と比較して遅い結果を示したが、2018年 のみ全国値を上回る結果を示した。また、女 子においては、すべての年で全国値より早い 値を示したが、特に2018年は全国および2016
年、2017年と比較して大きく上回る結果を示 した。しかしながら、3 年ともにすべての項 目において全国値を下回る結果も多くみられ る。男子においては、握力、上体起こし、長 座体前屈、反復横とび、立ち幅とび、持久走 の6項目で全国値を下回る結果を示した。ま た、女子では、握力、上体起こし、長座体前 屈、反復横とびの4項目で全国値を下回る結 果を示した。以上の体力測定の結果は、アン ケートよる運動状況の結果でも表れており、
特に 2018 年の運動状況では、0 ~ 1 回 / 週が 男子で 54.1%、女子で 70.7%の割合を示して いる(図 1、2)。運動時間と行動体力の間に は正の相関関係があり、さらに、行動体力の 低下は健康寿命や生活習慣病のリスクと密接 な関係3)があることを考えると大学生におけ る定期的な運動習慣の確立は、彼らの今後の 人生において極めて重要な要素の一つになる だろう。以上のことから、今後も本学部では 体力測定を実施し、行動体力の特徴や運動状 況について早期に把握すること、そして教員 同士および教員と学生が情報を共有(体力測 定および運動状況に関するフィードバック)
する取り組みを長期的に授業へ反映すること が必要であると考えられる。
5.参考文献
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