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12 C 核及び 16 O 核の 標的原子核破砕反応の研究

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Academic year: 2021

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12 C 核及び 16 O 核の 標的原子核破砕反応の研究

Study of proton-induced target nuclear fragmentation reaction of 12 C nuclei and 16 O nuclei in human body

for in-vivo dosimetry in proton therapy

Doctoral Dissertation

13RA002Z

松下 慶一郎

Department of Physics, School of Science Rikkyo University

Nishi-Ikebukuro 3-34-1, Toshimaku, Tokyo 171-8501, Japan 2015

(2)

目次

1 序論 2

1.1 がんとは . . . 2

1.2 がんと放射線療法 . . . 2

1.3 光子線治療 . . . 4

1.4 陽子線治療 . . . 5

1.4.1 陽子線治療の特性 . . . 5

1.4.2 陽子線治療の高精度化の課題 . . . 7

2 陽子線照射領域の測定 9 2.1 原子核破砕反応 . . . 9

2.2 β+崩壊と消滅ガンマ線の放出. . . 10

2.3 標的原子核破砕を利用した照射領域測定の原理 . . . 10

2.4 Beam On-Line PET System . . . 11

2.4.1 陽電子放出型断層装置(Positron Emission Tomography:PET) . . . 11

2.4.2 Beam On-Line PET system mounted on a rotating gantry port : BOLPs-RGp . . . . 12

3 陽子線治療におけるin-vivo dosimetry 15 3.1 in-vivo dosimetryへの課題 . . . 17

3.1.1 人体組織の個別化 . . . 17

3.1.2 反応断面積情報 . . . 17

3.2 本研究の目的. . . 20

3.3 測定が必要な断面積情報 . . . 21

4 生成反応断面積測定実験 25 4.1 断面積の取得方法 . . . 25

4.2 消滅ガンマ線測定機器 . . . 26

4.2.1 PETBlankデータ測定及び絶対値校正 . . . 28

4.3 測定対象核種及びターゲット . . . 33

4.4 Activity測定実験 . . . 34

4.4.1 測定ビームコース . . . 34

4.4.2 陽子線ビームの入射エネルギーの決定 . . . 34

4.4.3 ビームモニタの校正 . . . 38

4.4.4 setup 1での測定方法 . . . 38

4.4.5 setup 2での測定方法 . . . 41

4.5 ポリエチレンターゲットでのActivity測定 . . . 43

4.5.1 setup 1のビーム条件 . . . 43

4.5.2 setup 1での測定 . . . 43

4.5.3 setup 1での測定結果 . . . 45

(3)

4.5.6 setup 2での測定結果 . . . 47

4.6 水ターゲットでのActivity測定. . . 49

4.6.1 ビーム条件 . . . 49

4.6.2 setup 1での測定 . . . 49

4.6.3 setup1での測定結果 . . . 49

4.6.4 setup 2での測定 . . . 49

4.6.5 setup2での測定結果 . . . 49

5 生成反応断面積の導出 53 5.1 断面積の導出方法 . . . 53

5.2 ポリエチレンターゲット . . . 53

5.2.1 setup1での入射粒子数及びポジトロン放出核生成量の導出 . . . 53

5.2.2 setup2でのポジトロン放出核生成量の導出 . . . 55

5.2.3 setup2での入射粒子数の見積もり . . . 55

5.2.4 ポリエチレンによるガンマ線の散乱補正 . . . 55

5.2.5 ポリエチレンターゲット中での、深さ-陽子線エネルギーへの変換 . . . 56

5.2.6 ポリエチレンターゲット中の陽子線Fluxの減少による系統誤差の見積もり . . . 57

5.2.7 12C(p, pn)11C反応の断面積の導出 . . . 58

5.2.8 12C(p, p2n)10C反応の断面積の導出 . . . 58

5.3 水ターゲット. . . 61

5.3.1 setup1での入射粒子数の導出. . . 61

5.3.2 setup1での測定Activity分布の分離及び生成量の導出 . . . 61

5.3.3 setup2でのActivityの分離及びポジトロン放出核生成量の導出 . . . 63

5.3.4 setup2での入射粒子数の導出. . . 64

5.3.5 水ターゲットによるガンマ線の散乱の影響 . . . 65

5.3.6 水ターゲット中での深さ-陽子線エネルギーへの変換. . . 65

5.3.7 水ターゲット中の陽子線Fluxの減少による系統誤差の見積もり . . . 67

5.3.8 16O(p, pn)15O反応の断面積の導出. . . 69

5.3.9 16O(p,2p2n)13N+16O(p,3p2n)11Cの断面積 . . . 69

6 考察 71 6.1 既存の測定データとの考察 . . . 71

6.2 水ターゲットにおけるポリエチレンの影響 . . . 72

6.3 低エネルギー領域の精度向上 . . . 72

6.4 16O(p,2p2n)13N+16O(p,3p2n)11C反応の分離 . . . 72

6.5 トリプルガンマを放出するポジトロン放出核 . . . 73

6.6 40Caの標的原子核破砕反応によるポジトロン放出核生成反応断面積の測定 . . . 74

6.7 照射領域可視化におけるブラッグピーク観測の可能性 . . . 76

(4)

7 まとめ 79

8 謝辞 81

9 Appendix 82

9.1 本研究で測定した断面積 . . . 82

(5)

序論では研究の背景として陽子線治療を紹介し、その照射領域可視化の必要性について述べ た。

近年がんの放射線治療の一つとして陽子線治療が広まりつつある。陽子線治療はブラッグピ ークを利用した高い線量集中性を持つがその反面腫瘍に対して正確に照射されなかった場合治 癒率の低下や重要臓器への障害が生じる可能性があるため、陽子線治療の優れた特性を最大限 利用するためには実際に患者体内に照射された領域を確認することが重要である。国立がん研 究センター東病院にて開発されたBeam ON-LINE PET System を用いて標的原子核破砕反応 により生成されるポジトロン放出核からの消滅ガンマ線を利用した陽子線治療における照射領 域の可視化の研究が行われていた。

第2章:陽子線照射領域の測定

第2章では照射領域を測定する原理を紹介した。

陽子線治療において、腫瘍に陽子線を照射すると入射陽子核と患者体内にある標的原子核が 原子核破砕反応を引き起こす。その反応により生成される原子核の中にはポジトロン放出核が 含まれる。この生成されたポジトロン放出核による消滅ガンマ線をPET(陽電子放出断層撮影:

Positron Emission Tomography)の原理で測定することで照射領域を観測する。国立がん研究 センター東病院では陽子線治療における患者体内での照射領域可視化のために照射室内のビー ムライン上にBeam ON-LINE PET System を設置し実臨床で使用されていた。

第3章:陽子線治療におけるin-vivo dosimetry

第3章では、治療精度を高めるためにはin-vivo dosimetryが不可欠であり、そのため必要な ポジトロン放出核の生成断面積測定が本研究での目的であることを述べた。

Beam ON-LINE PET Systemの現在の運用方法は初回の治療で取得される消滅ガンマ線

Activity 分布をリファレンスとし、日々の治療で測定されるActivity 分布画像の相違を比較す

ることで照射領域の位置を確認し照射精度を担保する手法を取っている。更なる陽子線治療の 高精度化のために、観測した照射領域画像の消滅ガンマのActivity 分布を用いて、計画された 線量分布の絶対的精度を検証することが必要である。そのためには治療計画で線量分布シミュ レーションと共にActivity分布をシミュレーション計算し、実際の治療で観測されるActivity 分布と比較を行うことで、また実測Activity分布から線量分布をシミュレーションすることで 照射線量分布精度を担保する、即ち実照射線量評価(in-vivo dosimetry)が必要不可欠である。シ ミュレーション計算を行うにあたっては人体を構成する原子核と陽子線との標的原子核破砕反 応により生成されるポジトロン放出核の生成反応断面積情報が必須となる。Activity 分布シミ

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ュレーションにおいて、反応率を示す断面積の値の精度は、in-vivo dosimetryの精度に直接影 響するため非常に重要である。しかし現在の精度が不十分な反応断面積情報の下に実施された

Activity 分布計算及び実照射線量計算結果は精度が高いとは言えない。そのためin-vivo

dosimetryの課題の1 つとしてポジトロン放出核の反応断面積情報の精度が不十分であること

が挙げられる。本研究の目的は標的原子核破砕反応によって生成されるポジトロン放出核の生 成反応断面積を新たに測定することである。

第4章:生成反応断面積測定実験

第4章では生成反応断面積の測定実験について紹介した。

本研究では放射線医学総合研究所の陽子線サイクロトロンにて人体を構成する原子核(炭素核、

酸素核、カルシウム核)を含む化合物をターゲットとし70 MeVの陽子線を照射したあとの陽子 線の深部方向の消滅ガンマ線Activity 分布及び生成ポジトロン放出核の崩壊曲線をBeam

ON-LINE PET System を用いて測定し新たに生成反応断面積情報を取得した。陽子線治療で

は最大250 MeV程度の陽子線が用いられるが本研究では低エネルギー領域の断面積取得を優先

し、エネルギーストラグリングの影響が少なくなる低エネルギー陽子線を用いた。

ターゲットにはポリエチレン及び水を用いた。水ターゲットは水の流動を無くすため質量パー セント濃度2%のゼラチンで固めたものを作成した。ターゲットは陽子線が停止するに十分な厚 みを持った(12 cm)物を用い、陽子線照射によりターゲット内で生成されたポジトロン放出核か らの消滅ガンマ線を検出することで生成反応断面積を取得する方法を用いた。これにより、タ ーゲット中での陽子線のエネルギー損失に伴う陽子線エネルギーによる生成ポジトロン放出核 の消滅ガンマ線Activity を計測でき、測定される崩壊曲線も利用することで、複数の反応チャ ンネルの断面積データを理論上1 回の照射で広いエネルギー範囲で効率良く取得することがで きる。

第5章:生成反応断面積の導出

第5章では測定結果から導出した生成反応断面積について述べた。

各ターゲットで測定された陽子線の深部方向に対する消滅ガンマ線Activity分布は近似的に 断面積のエネルギー依存性を表している。また、測定された崩壊曲線から各ターゲット内で生 成されたポジトロン放出核の生成量比を求めActivity分布を核種ごとに分離し、ビームの照射 時間、測定時間補正等を行うことで断面積の導出を行った。

ポリエチレン(炭素核)ターゲットの測定より得られた12C(p,X)11C反応の断面積は既存のデー タと比較しよく一致する結果となった。12C(p,X)10C反応の断面積は今回のエネルギー範囲では 世界初のデータを取得することが出来た。

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致する結果となった。また、水ターゲットでは16O(p,X)13N+16O(p,X)11C反応の断面積データも 取得することが出来た。

第6・7章:考察、まとめ

第6章では先行研究との比較を行い今後の研究の方向性について考察し、第7章ではまとめ を行った。

測定された断面積は先行研究データがあるものは既存の値と良く一致し、本研究の測定方法 の妥当性を示し新たな測定方法を確立することが出来た。また、その結果現在まで報告の無い 新たな断面積データも取得することが出来た。これにより今まで実験値が無いためシミュレー ション等計算ができなかった領域の計算が可能となった。陽子線治療で必要とされる精度のた めには今後更なる追加実験を行い、より高精度の測定を行い測定された断面積を用いてActivity シミュレーションを行うことが必要であると考えられる。

共に(p, pn) 反応である16O(p, pn)15O 反応は12C(p, pn)11C 反応にくらべ全体的に断面積が低 い結果となった。この傾向はNNDC に報告されているデータとも一致している。これは16O 核子間の結合力が強い魔法数核であるため破砕反応を生じさせるのに必要なエネルギーが大き いためであると考えられる。本研究では16O(p,X)13N+16O(p,X)11C反応を分離することが難しく 実効断面積を導出したが、測定時間を1〜2時間程度にすることで崩壊曲線を用いて分離するこ とができると考えられる。

取得することが出来た断面積はin-vivo dosimetry実現のために必要不可欠なデータであり、

陽子線治療の更なる高精度化に繋がる非常に有用なデータであると言え、国内外の陽子線治療 施設の増加傾向や国民のがん疾患率の上昇から見ても今後の陽子線治療へ大きく貢献できる理 学と医学が連携した成果であると言える。

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