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Python による数理最適化入門 【書評】

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Academic year: 2021

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【書評】

久保幹雄 監修,並木 誠 著 実践Pythonライブラリーシリーズ

Python による数理最適化入門

朝倉書店 208頁 2018年 定価3,200円+税 ISBN978-4-254-12895-6

本書は,Python言語を用いることで数理最適化の 理論とアルゴリズムを解説するものである.まえがき に,「Python言語は理解するためのアクセサリーであ る」と述べられているように単なるPythonのマニュ アル本とは一線を画す内容となっている.

第1章「Python概要」では,Pythonのインストー ル方法・基本文法・データ構造・各種ライブラリなど が簡潔にまとめられている.

第2章「Pythonによる線形最適化」では,線形最 適化問題における双対性理論,アルゴリズムおよび応 用例が説明されている.双対問題の説明では,(最大 化の)線形最適化問題の最適値が得られたときにその 最適値が本当に正しいのかという問いから,最適値の 上界を最小化する問題として双対問題が導入される.

唐突に双対問題が導入される書籍も多い中で,この導 入は初学者にとって非常にわかりやすいのではないだ ろうか.アルゴリズムとしては,改訂単体法と内点法 の概要が述べられ,それぞれのアルゴリズムがどのよ うな点列を生成しているのかを,主実行可能性,双対 実行可能性,相補スラック性の観点から簡潔に解説さ れている.

第3章「Pythonによる整数線形最適化問題」では,

まず計算困難な問題例としてナップサック問題を挙げ,

これに対する貪欲法に基づく近似解法と厳密解法であ る分枝限定法が解説されている.その後,ビンパッキ ング問題を題材に列生成法が説明される.列生成法に おいて,2章で解説された双対定理,改訂単体法,

ナップサック問題が重要な役割を果たすことが理解で きるだろう.

第4章「Pythonによるグラフ最適化」では,まず グラフとそれに関連するいくつかの定義が与えられ,

その後基本的なグラフアルゴリズムが解説される.具 体的には,グラフ走査アルゴリズム(最小全域木問 題),ダイクストラ法(最短経路問題),増加路法(最 大流問題,最小カット問題)などである.いずれの説 明においても,グラフ上の解の性質(特徴付け)を与 え,それがアルゴリズム設計にどのように利用されて いるかが簡潔にまとめられている.

第5章「Pythonによる非線形最適化」では,制約 なし非線形最適化と制約条件の下での非線形最適化に 関するいくつかの最適化手法がコンパクトにまとめら れている.

本書の特徴として,いずれの章でもきちんと数理的 な概念を定義し,求めたい解の特徴付けを与え,それ がアルゴリズム設計に応用される様を垣間見ることが できる点が挙げられる.もう一つの特徴としては,こ れまでの入門書では詳しく説明されることの少なかっ た手法にも詳細な説明がある点である.具体的には,

線形最適化問題に対する内点法における予測子・修正 子法の各ステップにおける性質,規模の大きな整数線 形最適化問題に対する列生成法,グラフの彩色数に関 するいくつかの結果などである.これらの特徴から,

本書は,初学者だけでなく数理最適化に馴染みのある 読者にとっても,大変有益なものとなるのではないだ ろうか.

最後に,まえがきに書かれた著者からのメッセージ で締めたいと思う.「多少効率が悪くても一度自前で アルゴリズムを実装してみる.その方がより深い理解 につながる.本書の読者にもそのような体験をしてほ しいと思う.自身の教育のためなら何度でも車輪を発 明してよいのである.

伊豆永洋一(筑波大学)

参照

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