1bit 量子化信号を用いた多チャンネル再生システム
Multi-channel Audio Play System with Single-bit Quantized signal
5114E005-7
久世 大 指導教員 及川 靖広 教授KUZE Dai Prof. OIKAWA Yasuhiro
概要:高次アンビソニックスや波面合成法など
3
次元音場再生のシミュレーションにて高度に音場を制御可能である ことが明らかになっているが,高い周波数での波面制御が可能な多チャンネルシステムを構築するとなると,従来の 再生システムの方式では規模が肥大化する等の理由から現実的でない.そこで本研究では,シンプルかつ小規模で拡 張が容易な多チャンネル再生システムを目指し,1bit
量子化信号を用いた多チャンネル音場再生システム提案,構築 及び測定を行った.従来の再生システムと比較し小規模ながらも音場再現システムとして使用可能であるシステムを 実現した.キーワード:三次元音場再現,
FPGA
,CPLD
,スピーカアレイKeywords: 3D Sound Field Reproduction , Field Programmable Gate Array, Complex Programmable Logic Device, Loud Speaker Array
1.
は じ め に近年,臨場感やリアリティを高める目的で音場を
3
次 元に制御する研究が盛んに行われている.高次アンビソ ニックスや波面合成法など様々な手法が提案されており、シミュレーションにて高精度で音場が再現できることが 明らかになっている
[1]
.しかしこれらの手法を実現する 多チャンネルシステムを作製するとなると,従来の再生 システムでは規模が肥大化する等の理由から現実的でな い.そこで本研究では,小規模で拡張が容易な多チャン ネル再生システムを目指し,1bit
量子化信号を用いた多 チャンネル再生システム提案,構築及び測定を行った.2. 1bit
量子化信号マルチビット信号をスピーカから再生するには,数 ビットのデジタル信号をアナログ信号の振幅に相当する 電圧に変換する必要がある.それに対し
1bit
量子化信号 は二値の密度や濃淡で信号の強度などを表現する.1bit
であることからマルチビットに比べ,量子化誤差が大き いものの非常に高い周波数で量子化を行うことで十分なSNR
を確保できる[2]
.2
値で表現することは,いわばデジタル信号のままス ピーカに出力できることを意味する.したがってDAC
の必要もなく,ノイズや減衰により乱れた信号の復元や 増幅もバッファIC
のみで行うことが可能である.1bit
量子化信号を再生するには高い速度でデータ転送 が必要となるが、小谷野らによりFPGA
とSSD
を用い たシステムにて200MHz
サンプリングでのデータの記 録・再生が実現されており,当該システムがマルチチャ ンネル再生に適用可能であると考える[3]
FPGA
CPLD
CMOS SSD
Speakers
図
–1:
提案システムの外観3. 1bit
量子化信号を用いた多チャンネル再生 システム3. 1
システム概要今回提案する多チャンネル再生システムと,その概要 をそれぞれ図―
1
,図―2
に示す.本システムは以下の順 序で処理を行う.STEP 1 SSD
からSATA
規格を用いて192 ch
の1bit
信号をFPGA
に読み出す.STEP 2 192 ch
の1bit
信号を24 ch
毎に分配し,24 ch
分の1bit
信号をFPGA
から8
台のCPLD
にそれぞれLAN
ケーブルを通じて伝送する.STEP 3
各CPLD
は受け取った24 ch
の1bit
信号を 各チャンネルに分配し,出力する.STEP 4 CPLD
から出力された1bit
信号を接続され たCMOS
バッファで増幅し各スピーカを駆動する.3. 2 1bit
信号のシリアルパラレル変換192ch
分の1bit
信号が順番に配列されているデータ をFPGA
(EXPARTAN-6TG
)がSSD
から1bit
ずつ読 み出し読み出し,パラレルに変換する.本システムは各 方位にスピーカが広範囲に散在している状況を想定してSSD 㸯ELW ࢹ࣮ࢱࢆ
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図
–2:
提案システムの概要おり,パラレル変換した
1bit
信号をFPGA
から直接ス ピーカに伝送するとなると,離れたスピーカ群への信号 の長距離伝送に伴うノイズ混入や信号の減衰は免れない.またスピーカ数と同数のケーブルを伸ばすこととなる.
これらの問題をスピーカの直前に
CPLD
を配置するこ とで解決する.またCPLD
(XC9572XL
)を用いること でチャンネル数の拡張も容易になる.具体的には,8
台 のCPLD
それぞれに24ch
分の1bit
信号をシリアル伝 送し,その信号を受信したCPLD
がこの信号をパラレ ルに変換する.また,24ch
分の1bit
信号は差動で伝送 し,レシーバ(DS90LV032A)
で復元することでノイズへ の耐性を高めた.この時,FPGA
とCPLD
に同時にク ロック,データ数が24bit
毎に循環することを指示する フレーム同期信号を別途伝送し,FPGA
との同期を図っ た.今回の1bit
信号のサンプリング周波数は4 MHz
と した.3. 3 1bit
信号の増幅1bit
信号はハイとローが繰り返される信号である.こ の性質から,CMOS
バッファ(CD74ACT240/244
)を 用いることで信号の振幅を増幅することが可能である.CPLD
からの出力電流が16 mA
と低いことから,1bit
信号をCMOS
バッファの複数の入力段に入力し,出力 信号を加算することでより大きな電流を得られる.また 反転バッファ,非反転バッファから出力される信号をそ れぞれスピーカのHot
とGND
に入力することで電位差 が倍増し,より大きなパワーでの駆動が可能となる.4.
測 定提案システムを用いてスピーカアレイの
24
チャンネ ルに同相の1 kHz
の正弦波(50 ms)
を入力し,同条件 で行ったシミュレーション結果との比較を行う。実験概 要と実測とシミュレーション結果の波面を図―3
,図―4
に示す.スピーカアレイに正対する各測定点ではほぼ同 相で音圧が変動し、正対面外では音圧が低くなるといっ た特徴が両信号に示されており、本システムが時間制御 も可能であることを示した.Buffer Master Hub
Host PC
SSD /$1&DEOH
Recording PC
䣏䣫䣥䣴䣱䣲䣪䣱䣰䣧
䢳䢢䣯 䢵䢢䣯
7ULJJHU
䣃䣯䣲
図
–3:
波面観測実験の概要0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4
y-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
X-coortdinate [m]
-1 -0.5 0 0.5 1
ᶒᴾᵛᴾᵐᵖᵎᴾ᷈ᶑ
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4
y-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
X-coortdinate [m]
-1 -0.5 0 0.5 1
ᶒᴾᵛᴾᵒᵐᵎᴾ᷈ᶑ
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 y-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
X-coortdinate [m]
-1 -0.5 0 0.5 1
ᶒᴾᵛᴾᵕᵎᵎᴾ᷈ᶑ
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
x-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4
y-coodinate [m]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
X-coortdinate [m]
-1 -0.5 0 0.5 1
ᶒᴾᵛᴾᵖᵒᵎᴾ᷈ᶑ
(a)ᴾᵐᵒᶁᶆӷႻỂᬝѣẲẺᨥỆᚇยẰủẺඬ᩿ (b)ᴾᵐᵒᶁᶆӷႻỂỉᬝѣửἉἱἷἾὊἚẲẺඬ᩿
図
–4:
実測波面とシミュレートした波面の比較5.
む す び本研究では,
1bit
量子化信号を用いた多チャンネル再 生システムの提案,構築を行った.また,同システムを用 いて波面合成を行い,三次元音場再生システムとして十 分使用可能であることを示した.今後は,実際に192ch
を使用し三次元音場の再現を試みる.参 考 文 献
[ 1 ] 西村竜一, アンビソニックス, 映像情報メディア学会誌,Vol.
68,No.8,pp.616–620,Aug,2014.
[ 2 ] 大賀 寿郎,山﨑芳男,金田 豊,音響システムとディジタル処理,
電子情報通信学会(編),(社)電子情報通信学会,東京,1995.
[ 3 ] 小谷野 雄史,今井 亮太,池田 雄介,及川 靖広,山﨑芳男, ディ
ザを用いた高速1bit直接量子化信号の記録と再生, 日本音響学会講 演論文集,pp.545-546, Sep. 2015.