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J. Japan Soc. Hydrol. and Water Resour.Vol. 29, No.1, 2016 CO 2 CO 2 CO 2 CO 2 / CO 2 CO 2 Ⅱ. 都市接地層とフラックス観測 1. 市気候の時空間スケール Oke 2006a 表 1 m m 3 3 CFD N

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解 説

Vol. 29, No.1, Jan 2016 pp. 57 - 67

都市におけるフラックス観測

  渦相関法を用いた地表面フラックスに関する研究は平原・海上・森林といったフィールドにおいて先行して行わ れてきたが,1990年代以降,都市域においても渦相関法を用いたフラックスの観測事例が増えてきた.フラックス観 測データの蓄積により都市−大気間のエネルギー収支の定量的な把握が進んでいるが,一方,都市における熱収支 は裸地や植生におけるそれとは異なる取り扱いが必要であることも明らかになっている.本稿では都市接地層で行 われるフラックス観測について,適切な観測サイトの選定方法,観測高度の設定,観測を行う際に留意すべき事項, 熱収支の考え方について解説する.また熱収支・CO2フラックスの時間・季節変化の特徴,発生/吸収源などについ て,これまで得られている知見を,著者らの研究を中心にまとめた.最後に,都市版のフラックスネットとして立 ち上げられたUrban Flux Networkについて紹介しながら,近年の研究動向などを解説する.

キーワード:フラックス計測,都市境界層,熱収支,CO2

森脇 亮

1) 1) 愛媛大学大学院 理工学研究科 (〒790-8577 愛媛県松山市文京町3番)

Ⅰ.はじめに

都市におけるヒートアイランド現象,それによる ヒートアイランド循環,都市風下での降水強化など の都市特有の気候(例えば,Landsberg, 1981)は, 都市化による地表面改変によって誘発される.この 因果関係を解明することを目的として,都市の地表 面熱収支に関する研究が1980年代に北米を中心に行 われ始めた.例えば,Cleugh et al.(1986)はカナダ の都市域と郊外における熱収支の違いを実測により 明らかにし,都市では郊外に比べて顕熱フラックス が大きくなることを指摘している.渦相関法を用い た地表面フラックスに関する研究は平原・海上・森 林といったフィールドにおいて先行して行われてき たが,1990年代以降,都市域においても渦相関法を用 いたフラックスの観測事例が増えてきた.Grimmond et al.(2005)は,北アメリカの諸都市において渦相 関法によって算定された熱収支の実測データを整理 し,都市構造や立地条件と熱収支の因果関係に関し て考察を行っている.また近年では,ヨーロッパで もBUBBLE,ESCOMPTEなどのタワーを使った観測 キャンペーンが行われ,その成果はそれぞれRotach et al.(2005),Grimmond et al.(2004)で報告されて

いる.日本では,琵琶湖プロジェクト(例えば,田 中ら,1998),銀座における計測例(神田ら,1997a), 世田谷における計測例(神田ら,2000),代々木にお ける計測例(Hirano et al., 2015)などがあり,長期 連続の観測事例としては,東京久が原の住宅街のタ ワー観測プロジェクト(例えば,Moriwaki et al., 2004)がある. フラックス観測データの蓄積により都市−大気間 のエネルギー収支の定量的な把握が進んでおり,ま たこれらの観測データは気象シミュレーションにお ける都市陸面モデルや都市パラメタリゼーションの 検証データとしても使用されている.一方,研究の 進展により都市における熱収支が裸地や植生におけ る熱収支とは異なる取り扱いが必要であることも明 らかになっている.例えば,建物群で構成される都 市キャノピーの近傍では従来のモニン−オブコフ相 似則が一部適用できないこと(Moriwaki et al., 2006a), 都市キャノピーの熱収支は建物の3次元構造,材質, 建物高さの分布,植生や土壌の有無に大きく支配さ れること(Loridan et al., 2012),また人工排熱/潜熱 の影響を考慮に入れる必要があること(Ichinose et al., 1999; Moriwaki et al., 2008)などが指摘されている. 解説シリーズ「都市気象学の体系化に向けた最近の研究から」

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一方,渦相関法による熱収支研究の進展に伴って, CO2フラックスの報告事例も増加してきた.周知の とおりCO2は気候変動を引き起こす温室効果ガスの 一つである.都市域からのCO2発生量は化石燃料の 消費に関するインベントリデータをもとに算出する ことが可能であるが,実際の都市空間では,そこに 存在している人間の呼吸,植生の光合成と呼吸,土 壌の呼吸などの影響も同時に受けるため,大きい誤 差を伴う場合がある.そのため,渦相関法によって 直接計測されるCO2フラックスと都市の形態,交通 量,人口密度,発生源/吸収源の非一様性の関係性 を明らかにし,都市におけるCO2の発生源や吸収源 の寄与を定量的に把握することが重要となる. 本稿では都市接地層で行われるフラックス観測に ついて,観測を行う際に留意すべき事項,熱収支・ CO2フラックスについてこれまで得られている知見, 近年の研究動向などを解説する.

Ⅱ.都市接地層とフラックス観測

1.市気候の時空間スケール 都市構造が地表―大気間の熱・物質輸送に及ぼす 影響を議論する際の時空間スケールとして,Oke (2006a)は表−1のような都市スケールの分類を提 案している.このうち,建物・キャニオン・街区ス ケールは,建物近傍や建物間の風速や気温の空間分 布を扱うものであり,水平スケールでは数m∼数百 mのマイクロスケールを指す.このスケールでは3 次元的な都市の構造(建物の形状や配置,植生,道 路,庭,オープンスペースなど)の影響を直接的に 考慮に入れるアプローチが取られ,数値シミュレー ションでは3次元のCFDが適用される.次に,地域 (Neighborhood)スケールは水平スケールでいうと一 般に数百∼数kmとなり,例えば住宅地域のように 同様の大きさと形状の住宅が一様に広がっているよ うな地域のスケールを指す.タワーを用いた渦相関 法によるフラックス観測によって得られるデータ は,このようなスケールをもつ地域の代表値である. さらに大きいスケールは,都市そのものや都市との 周辺部を含む領域を対象とするスケールである.気 象スケールではメソスケールとなる.このスケール で議論されるのは,都市化によるヒートアイランド 現象や集中豪雨などのような現象であり,気象モデ ルによるアプローチにおいては,都市の効果は粗度 や熱容量などの熱物理パラメータを用いた都市陸面 モデルとして表現される. 2.都市接地層の構造とフラックスの観測高度 植生キャノピーと同様に,建物,樹木,その他の 物体などから構成される集合体は,「都市キャノ ピー」と呼ばれている.地域スケールで見た場合, 都市キャノピー内外の接地層(Surface Layer)は, 乱流構造の特徴から3つの層に分けることが出来る (図−1).地表面から屋根面までの最下層には建物 や地物の影響を直接的に受けるキャノピー層(Urban Canopy Layer,以下UCL)があり,その上には個々 の建物や地物の影響が及ぶラフネス層(Roughness Sublayer,以下RSL),地物に直接起因する乱れが blendされる高さ(blending height)より上ではイナー シャル層(Inertial Sublayer,以下ISL)が続いてい る.UCLあるいはRSLでの観測では,建物によって 固定化された流れの存在によってフラックスや乱流 の計測値に大きな偏りが生じ,都市キャノピーを代 表する観測結果が得られない.したがって,都市 都市スケール 水平スケール 特徴 Orlanskiの 気象スケール 建物 Building キャニオン Canyon 街区 Block 地域 Neighborhood 都市 City 都市域 Urban region 10 x 10 m 30 x 40 m 500 x 500 m 5 x 5 km 25 x 25 km 100 x 100 km 個々の建物 建物群と道路 街区,工場 オフィス街, 住宅地域,工 業地域等 都市 都市とその周 辺領域 Micro g Micro b Micro a Meso g (Local) zMeso b Meso a 表−1 都市スケールの分類(Oke(2006a)を改変) Table 1 Classification of scales in urban climate. Modified

from Oke (2006a).

図−1 都市境界層の分類(Oke,2006b) Fig. 1 Vertical and horizontal scales in urban boundary

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キャノピーを代表する観測結果を得るにはblending 高さより上のISLにおけるフラックスや乱流特性の 理解が望まれる.都市域における乱流フラックスの 観測事例が少ないのは,このISL内での観測が困難 であることに起因している.都市域は建物群で構成 されるため他の地表面に比べて粗度が極端に大き く,建物の3次元的な影響範囲が及ぶRSLの範囲も 大きい特徴がある.そのため,森林キャノピーと比 べてもさらに厳しい条件となる.都市キャノピーの 場合,ISLの存在下限であるBlending高さは建物高 さの1.5∼5.0倍(Grimmond et al., 1999; Roth, 2000) であり,十分に高所での観測が必要となる.一方, ISLの上限であるSurface Layerの厚さは大気境界層 の底部約10 %であるとされている.日中の大気境 界層高度は1,000∼2,000 m程度であることからISL の上限は100∼200 m程度になる.高い建物が存在 するような都市ではISL自体が存在しないケースも 考えられる(図−2). さらに接地層の厚さは内部境界層の発達とも密接 に関連している.内部境界層内の乱れや熱的特性は 風が吹掃する過程で地表面になじみながら発達して いくので,もしこの範囲内で土地利用が大きく変わ ることがあれば,そのフラックス計測値も影響を受 ける.内部境界層の発達率は粗度や大気安定度に依 存するが,フェッチ(風上距離)の1/10∼1/100の オーダーとされている.そのため,10 m以上の層が 発達するには数100 m程度の均一な都市キャノピー が必要とされる.以上のように都市のISLの存在高 度は限られており,その層内で測定を行わなければ ならないこと,またISLの発達のためには広範囲に 渡って均一な建物高さと配列が維持されている都市 が必要なこと,更に理想的な都市があったとしても 近隣住民の協力がなければ観測が行えないことな ど,様々な制約条件が都市域における観測を困難な ものにしている. 3.タワーを用いたフラックス観測手法 前節で示したようなフラックス観測の諸条件をク リアするためには,均一な都市キャノピーで構成さ れる地域(例えば住宅街)を選定し,その上空(建 物高さの1.5∼5.0倍の高さ)で観測を行う必要があ る.数日間の集中観測であれば高所作業車やクレー ン車を用いる方法が取りうるが,季節変化を含めた 長期間の都市−大気間の熱・物質輸送を明らかにす るにはタワーを観測プラットフォームとして選択す ることになる.この場合,送電用の鉄塔や携帯電話 の鉄塔などが候補として挙げられるが,電磁波によ るノイズやタワーによる流れ場の乱れによるフラッ クス観測誤差が問題となるため,フラックス観測用 のスリムなタワーの導入が望ましい.このようなフ ラックス観測上の注意点は,森林におけるフラック ス観測と同様である. 図−3 は東京都久が原の住宅街に筆者らが設置し た都市フラックス観測用のタワーである.平均建物 高さ(7.3 m)の約4倍の高さにおいて,超音波風速 温度計とオープンパスガスアナライザーが設置され 渦相関法によるフラックス計測が行われた.タワー による流れ場の乱れを最小限に抑えるために水平方 向に張り出したブームの先端に計測装置が設置され ている.日射計・赤外放射計も同様にブームの先端 に設置された.このタワーには気温やCO2・H2O濃 度の鉛直分布を計測するための装置も取り付けら れ,UCLからISLにかけての熱・物質輸送の特徴や モニン−オブコフ相似則の適用性についての研究が 行われた(Kanda et al., 2005; Moriwaki et al., 2006a, Moriwaki et al., 2006b). 計測機器のキャリブレーション,渦相関法による フラックス算出の際の傾度補正や密度補正,欠損 データの処理などは一般的なフラックス観測に用い られる手法と同様である.参考資料として,森林総 合 研 究 所 フ ラ ッ ク ス 観 測 ネ ッ ト ワ ー ク(FFPRI FluxNet)(2011)がまとめたタワーフラックス観測 図−2  地表面性状によるISL(inertial sublayer)の存在 範囲の違い(Rotach,1999).ziは大気境界層厚さ Fig. 2 Surface-specific different depth of inertial sublayer

(ISL). Adapted from Rotach (1999).zi refers to the height of planetary boundary layer.

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マニュアル(http://www2.ffpri.affrc.go.jp/labs/flux/ manual_j.html)やAubinet et al.(2012)による渦相関 法によるフラックス計測の教科書などが挙げられる. 4.ソースエリア(フットプリント)の評価 前節で述べたように,十分な高度でフラックス観 測を行うことにより都市キャノピーを代表する観測 結果を得ることが望ましいが,理想的な観測条件を 満たしたとしても,実際には完全に均一な都市キャ ノピーは存在しないので,フラックスの計測値を解 釈する場合にはフラックスに影響を与えるソースエ リア(フットプリント)を詳細に検討しておく必要 がある(図−4). 日射計や赤外放射計などの放射センサーは設置場 所の直下を中心とした円がソースエリアとなり,そ の半径rは例えば以下のように与えられる(Schmid et al., 1991). (1) ここで,z1はセンサーの設置高さ,Fは計測値への 寄与率であり,通常は50 %,90 %などを与えてソー スエリアが評価される. 一方,顕熱や潜熱フラックスは渦相関法によって 得られるため,そのソースエリアは計測地点の風上 側に存在し,風向によって場所も変わる.形状は楕 円の形(フットプリント)となり,その大きさは計 測高度,地表面粗度,大気安定度によって変化する. タワー周辺の土地利用が方角によって大きく変わる ような場合には,フットプリントを考慮に入れてフ ラックス計測値を吟味する必要がある.フットプリ ントモデルの詳細については割愛するが,Schmid (2002)やKljun et al.(2004)が参考になる.ただし, これらのモデルはISLでの計測が前提となっている ので注意が必要である.計測高度が低くRSLやUCL 図−3  都市フラックス観測のためのタワー(a:気温計,b:超音波風速温度計,c:渦相関法によるフラックス計 測装置,右図はCO2・H2O濃度鉛直分布計測のための多点切り替えフローシステム)

Fig. 3 Tower for urban flux measurement (a, thermometer; b, sonic anemometer; c, instruments for eddy covariance measurement) and multi-flow system for vertical CO2/H2O concentration profiles.

図−4  ソースエリア(フットプリント)の概念図(Oke, 2006b)

点線が放射測定に対するソースエリア,破線が 乱流フラックスに対するソースエリアを示す. Fig. 4 Conceptual presentation of source areas contributing

to sensors for radiation and turbulent fluxes or concentrations. Adapted from Oke (2006b).

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であった場合,建物などの複雑な3次元形状により フットプリントは大きく影響を受ける.このことか らもISLでの観測が望まれる. 5.都市の気象学的分類 都市−大気間のエネルギー・物質輸送に影響を与 える因子として,都市の構造(建物の高さ,建物の 間隔,道路幅など),地表面被覆(建物用地,舗装, 植生,土壌,水面),材質(建物素材,自然の素材), 人工活動(人工排熱,水蒸気,汚染物質などの放出) などが挙げられるが,それらは計測対象となる都市 キャノピーによって千差万別である.Oke(2006b) はそれらの要素を取り入れた都市の分類方法として Urban Climate Zone(以下UCZ)を提案している.

UCZは粗度,建物の縦横比,不浸透面の被覆率の大

きさで分類されており,これらの因子は都市キャノ ピーでの流れのパターン,日向日陰分布,蒸発や浸 透 に 関 わ る パ ラ メ ー タ と な っ て い る.Stewart et al.(2009) お よ びStewart(2009) はOke(2006b) のUCZをさらに発展させて,Local Climate Zone(以 下LCZ)を提案している(表−2).LCZは100 m∼ 10 km程度の水平スケールに渡って気温分布などの 微気象が一様であると見なせるような領域として定 義されており,建蔽率,建物の縦横比(H/W),天 空率(SVF),建物高さ,人工排熱,地物の熱特性に 基づいて分類されたものである.これまでは研究例 の少なさから,世界の多様な都市での研究事例が 「都市」という一つのカテゴリとしてひとくくりに 位置づけられてきたが,近年は観測対象エリアの表 現にこの分類が用いられるようになっている.今後 はLCZのような分類に基づいて,都市形態の違いに よる比較研究が行われていくべきだろう.

Ⅲ.都市の地表面熱収支

1.熱収支の考え方 都市地表面における熱収支を議論する上で問題と なるのが「地表」の定義である.都市キャノピーは 多様な形状の建物が多様な配列で並ぶことで構成さ れているため,どこを地表と定義するかが大きな問 題である.そこで森林キャノピーでの熱収支の取り 扱いと同様に,建物群を都市キャノピー層と捉えて 熱収支を取り扱うのが一般的である(図−5).都市 キャノピー層での熱収支式は次式のように表せる. (2) ここで,Qは正味放射量,Q Aは都市キャノピー内 空気中に放出される人工排熱,QHは顕熱フラック ス,QEは潜熱フラックス,Qsは地物及び空気中に蓄 えられる貯熱量である. 正味放射量は放射計によって,顕熱・潜熱フラッ クスは渦相関法を用いて計測され,それぞれのソー スエリア(フットプリント)の影響範囲を反映した 値となる.地物への貯熱量は熱流計によって原理的 表−2 都市の気候学的分類(Stewart (2009)を改変)

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には計測可能ではあるが,実際の都市キャノピーで は計測箇所の局所性に大きく影響を受けてしまうた め都市キャノピーを代表する計測データの取得は困 難である.そのため,都市域における熱収支観測で は,地物への貯熱量は熱収支式の残差項として求め られるのが一般的である. 上記の熱収支式の中で大きなウェイトを占めるの は,一般にQ,Q H,QE,Qsであるが,人口密度の 高い住宅地や商業地域,工業地域では人工排熱QA の値が他の項を凌駕するほど大きくなることがあ る.例えば,Ichinose et al.(1999)は東京の都心で は人工排熱が数百W m-2にもなることを報告してい る.また妹尾ら(2004),Moriwaki et al.(2008)は, 地域冷暖房システムが導入されている商業地域で は,冷却塔からの水分蒸発による人工潜熱が大きく なることを指摘している. 2.熱収支の特徴 ここからは,II章3節で紹介した東京久が原の住 宅街におけるタワー観測から得られた知見を中心に して,都市境界層における熱収支,CO2収支の特徴 について解説する. 図−6 は東京久が原で観測された夏季(7 月)と冬 季(12月)における晴天日の熱収支の時間変化パ ターンである.潜熱に比べて顕熱が大きくなること は,地表面が建築物や道路舗装など保水性の小さい 人工物で被覆されている都市域の熱収支の特徴とい える.ただしこのような地表面でも夏期日中には 200 W m-2に及ぶ大きな潜熱が放出されている.潜熱 の発生源については次節で述べる.次に夜間に着目 する.夜間の顕熱の値は負にならず,このことは日 中に都市の地物に蓄えられた熱量が夜間も大気を暖 め続けていることを示している.冬季における潜熱 の値は日中においても十数W m-2であり夏季に比べ て極端に小さい.顕熱と潜熱の比であるボーエン比 (Bo=QH/QE)は,夏期が1.5程度であるのに対し冬季 は5程度である.冬季は温度が低くなるため,潜熱 フラックスが出にくい環境となる. 3.都市植生のオアシス効果 前節で述べた夏季日中の200 W m-2にも及ぶ大き な潜熱フラックスの発生源として,庭木などの都市 植生,裸地などの土壌面が挙げられる.この住宅街 では緑被面積と裸地面積の合計は約30 %である. 観測された潜熱フラックス200 W m-2がこれらの蒸 発源に起因したと仮定すると局所的には600 W m-2 を超えるような大きな潜熱フラックスが庭木などか ら放出されていた計算となる.つまり単位面積あた りの庭木ではQと同等かそれ以上の潜熱が放出さ れていることになる.都市内のオアシス的存在であ る「明治神宮の森」における熱収支の実測例(神田 ら,1997b)でも夏季の潜熱はQのせいぜい7割程度 であることからこの蒸発量は極めて大きい.庭木は 図−5  都 市 キ ャ ノ ピ ー に お け る 熱 収 支 の 概 念 図 (Feigenwinter et al.(2012)を改変).

Fig. 5 Conceptual diagrams portraying the urban energy balance. Modified from Feigenwinter et al. (2012).

図−6  東京久が原で観測された夏季(7月)と冬季(12 月)における晴天日の熱収支変化パターン  (Moriwaki et al., 2004を改変)

Fig. 6 Mean hourly surface energy fluxes for sunny days in Kugahara, Tokyo: (a) July and (b) December. Modified from Moriwaki et al. (2004).

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群落ではなく主に単木として住宅街に点在し,高温 乾燥化した大気に曝される.一般にこのような環境 下では植物体内と外界との水蒸気圧差(飽差)が大 きくなるため植物は水分を失いやすい.つまり高い オアシス効果によって庭木から大量の潜熱が大気に 放出されたと考えられる.Hagishima et al.(2007) はポット植生の配置密度を変えて屋外蒸発実験を行 い,植生の間隔を大きくした場合は密な植生の場合 に比べて1.5倍程度の蒸発促進が見られることを報 告している.点在する植生のオアシス効果の実証と して興味深い.今後,都市植生のオアシス効果をさ らに詳細に評価していくためには,植生配置の粗密 だけでなく,放射・風環境・涵養条件・建物による 日向・日陰分布なども考慮する必要がある. 4.熱収支の年間収支 表−3 は熱収支・CO2フラックスの年間収支(森 脇・神田,2005)である.比較のため,森林の計測 によって得られた年間積算値も合わせて示してい る.森林のデータはFLUXNETの観測点の一つであ り,本対象地域とほぼ同緯度にある落葉広葉樹林 (Oak Ridge, USA,35º57’N)の観測データ(Wilson et al., 2000; Baldocchi et al., 2001b)であり,年間のQ

QH,QEはそれぞれ 2.36,1.35,0.90 GJ m-2である.都 市域では潜熱に比べて大きい顕熱が放出されている ことが特徴的であり,森林とは対照的である.妹尾 ら(2004),Moriwaki et al.(2008)による人工排熱 データベースを用いて算出した人工排熱QAの年間積 算値は0.49 GJ m-2である.年間の熱収支ではQ s=DQ=0 となるため,熱収支はQ+Q A=QH+QEとなるはずで あるが,実際にはQ+Q A>QH+QEとなっている.こ れは「インバランス問題」あるいは「熱収支のク ロージャー問題」としてよく知られており,点計測 によるフラックス評価には避けられない問題となっ ている(例えば,神田ら(2002)).インバランスの 割合(Q+Q A)/(QH+QE)は約0.8であり,他の報告例

(例えば,Wilson et al., 2002; Lee, 1998; Kanda et al., 2004)と同程度である.また,木内(2003)は家庭 での給湯などを通して水圏へ流出する熱量が都市域 で発生する人工排熱の1割程度にも達することを指 摘している.熱収支式を満たさないエネルギーの一 部は水圏へ流出していることも考えられる. 5.熱収支からみた気候学的特徴 表−3 に示された熱収支の年間積算データから, 都市地表面が有するいくつかの気候学的特徴を見い だせる. まず,日射量に対するQの比(Q/S down)は住宅 街において0.50であり,この値は森林での値0.56に 比べると少し小さい値である.都市のQ/S downが小 さいという結果は,短波放射の反射率(アルベド) が大きいこと,都市の表面では森林に比べて温度が 高くなり多くの長波放射エネルギーを大気に放出さ せていることが原因になっていると考えられる.

放射乾燥度 RDI = Rn/LP (Radiative Dryness Index, Budyko (1974))は陸面の湿り具合を示す気候学的指 標としてよく用いられている.LPは降水量Pを蒸発 させるのに必要な熱量,RDI < 1のとき降水は土壌 を湿った状態に保ち続ける.住宅街で得られた RDI は 0.56であり,湿潤な気候条件下にこの地域が存在 することを意味している.ところが,年間の蒸発量 228 mmと降雨量1,362 mmから計算される蒸発・降 水比(E/P)は0.21であり,森林の値(0.39)と比べ て半分程度である.これは湿潤な気候にあっても, 蒸発が小さいことを意味している.(3)で述べたよ うな植生のオアシス効果を考慮したとしても,湿潤 面の少ない都市域では蒸発が相対的に小さく降水の 大部分が流出してしまうことを意味している.地表 面の不浸透化と下水道システムの発達が進む都市域 の気候学特徴を示す興味深い結果である.

Ⅳ.都市のCO

2

フラックス

近年世界的な問題になっている地球温暖化では温 住宅街 (森脇・神田, 2005) 落葉広葉樹林 (Wilson et al.(2000), Baldocchi et al. (2001b)) 降水量 P(mm) 気温(℃) % 実測データの取得率 日射量 Sdown(GJ m-2) 正味放射量 Q(GJ m-2 顕熱 QH(GJ m-2) 潜熱 QE(GJ m-2) 蒸発量(mm) CO2 フラックス(gC m-2) 人工排熱 QA(GJ m-2) Q/ S down 放射乾燥度 RDI = Q/ LP 蒸発量 / 降水量 1,722 16.0 at 29 m 71 % 4.69 2.36 1.35 0.90 369.5 3,352 0.49 0.50 0.56 0.21 1,454 14.9 78 % 5.43 3.04 1.05 1.39 567.2 -460 to -620 ---0.56 0.84 0.39 表−3  熱収支・CO2フラックスの年間収支(森脇ら, 2005を改変)

Table 3 Annual heat balance and flux of CO2. Modified from

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室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)の発生・ 吸収量の見積もりが大きな問題になっている.都市 域からの放出については燃料消費から原単位法によ り見積もる方法が取られているが,実際の都市では 植生による吸収なども考えられるため,現地におい てこの発生量を直接モニタリングすることは極めて 重要である. 1.CO2フラックスの日変化と季節変化 図−7 は東京久が原で得られた夏季と冬季の CO2 フラックスの時間変化パターンである.CO2フラッ クスは1日を通して常に正(地表から大気に向けて 輸送)である.CO2フラックスは季節によって差が みられ,全般的に夏季より冬季の方が大きい.夏季 はCO2フラックスの時間変化には大きな変化が見ら れないが,冬季は朝8時ころと16∼23時ころにピー クが見られる.冬季の時間変化は家庭や交通部門か ら排出されるCO2排出量の増減パターンと似た変化 を示している.Christen(2014)は平日と休日のCO2 フラックスの時間変化を比較しており,平日のCO2 フラックスのみに,朝と夕刻のピークが顕著に見ら れることを指摘しており興味深い. 2.CO2フラックスの年間収支 CO2フラックスの年間積算値(表−3)は,3,352 gC m-2 yr-1であり,住宅地域はCO 2の発生源になって いることが分かる.同緯度の落葉広葉樹林ではフ ラックスの値が負(つまりCO2の吸収源となってお り,その量は-450 to -620 gC m-2 yr-1である(Baldocchi et al., 2001b).両者の大きさを比較すると,本地域 で発生したCO2を森林に吸収させるためには,約6 倍の面積の森林が必要であるという結果が得られ る.商業地域や工業地域ではもっと多くのCO2が排 出されていることは自明である. 3.CO2フラックスに対する各構成要素の寄与と その評価 住宅街のCO2フラックスに対して,その変化の原 因となる発生源・吸収源は何だろうか.表−4に, 観測で得られたCO2フラックスの年間積算値と,都 市キャノピーを構成する各要素(庭木,人工材料, 自動車,家庭における燃料消費,人間の呼気)の寄 与度の検討結果をまとめた.推定方法の詳細につい ては,Moriwaki et al.(2004),森脇ら(2005)を参 照されたい. CO2の主要な発生源は,自動車交通,家庭におけ る燃料消費,人体の呼気である.植生・土壌は吸収 源として作用するがその値は小さく,都市域のCO2 フラックスは人為起源のCO2発生に強く影響を受け ている.CO2フラックスは冬に大きく夏に小さくな ることは先述の通りだが,交通量や人体からの排出 は年間を通じてほとんど変化しないため,この季節 変化は説明できない.これを説明しうるのは,植生 によるCO2吸収と家庭からの排出である.冬季は家 庭では暖房や給湯用に化石燃料の直接消費(ガスや 灯油)が多くなるためCO2の排出量が多くなる.一 方,夏季は化石燃料の消費が少なくなることに加え, 植生の光合成が活発となりその結果夏季のCO2フ ラックスは小さくなる.東京久が原の住宅街では緑 被率が20 %程度であるため,光合成によるCO2の吸 収は他の発生に打ち消されCO2フラックスは負には ならないが,植生の多い都市では夏季日中のCO2フ 図−7  夏季と冬季のCO2フラックスの時間変化パター ン(Moriwaki et al., 2004)

Fig. 7 Diurnal course of CO2 flux in summer and winter.

Adapted from Moriwaki et al. (2004).

CO2フラックス(gC m-2) 実測に基づく積算値 植生・土壌 アスファルト・コンクリート 自動車交通量 家庭における燃料消費 人体   寄与度の合計 3,352 -110 -1 2,838 2,442 849 6,018 表−4  年間のCO2フラックスに対する各構成要素の寄 与(森脇ら(2005)を改変)

Table 4 Estimated source contributions to CO2 flux. Modified

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ラックスが負になることが観測されている(例えば, Crawford et al.(2011)).

Ⅴ.おわりに

本解説では都市接地層で行われるフラックス観測 について,観測を行う際に留意すべき事項,熱収 支・CO2フラックスについてこれまで得られている 知見などを,著者らが行ってきた研究を中心に解説 した.しかし,著者らの研究だけでなく,他の関連 研究の事例を横断的にレビューすることで都市域の 熱収支・CO2フラックスの概要がつかめるはずであ る.参考になるレビュー文献としては,Roth(2000) による都市における乱流研究のレビュー,Arnfield (2003)による都市気候研究のレビュー,Grimmond (2006)による都市気象の計測に関するレビュー, Grimmond et al.(2009)による熱収支やCO2フラッ ク ス 観 測 の レ ビ ュ ー が 挙 げ ら れ る. 近 年 で は, Feigenwinter et al.(2012)によって渦相関法を用い た都市フラックス計測の教科書が参考になる.渦相 関法はCO2以外の温室効果ガスであるCH4やN2Oの フラックス計測にも用いられるようになっており (Gioli et al., 2012; Famulari et al., 2010),都市域にお ける発生量の実測データが蓄積されるようになって いる(Christen, 2014). さて,もう一つ都市フラックスに関する最近の動 向について述べる.植生などの各種陸上生態系では, 地球温暖化などのグローバル気候変化に対し,地表 との相互作用を解明し,地表から大気へのインパク トを評価するために,世界各地でフラックスをモニ タリングするためのネットワーク(Fluxnet)が構築 さ れ, そ の デ ー タ が 公 開 さ れ て い る( 例 え ば, Baldocchi et al., 2001a).都市域についても観測事例 の増加とともにフラックスネットを構築しようとい う機運が高まり,2004年に開催されたフラックス ネットワークショップにおいて,Fluxnetの新たな一 分野としてUrban Flux Networkが立ち上げられた (Grimmond et al., 2012).現在の活動としては,世界 中の都市におけるフラックス観測の情報がWEB上 で公開され(http://www.geog.ubc.ca/urbanflux/,参照: 2015/06/11),研究者が自己申告によってサイト情報 を登録できるようになっている(図−8).現在では 30地点程度が登録されている. 現在のところ都市フラックスネットワークの情報 は主にCO2フラックスの比較研究に用いられてい る.例えばVelasco et al.(2010)やChristen(2014) はUrban flux network に登録された観測サイトにおけ

るCO2フラックスの情報をまとめ,CO2フラックス の日量が2(4)節で示したような都市分類(LCZ) に対応して変化していることなどを報告している. 図−8 に示すようにフラックス観測サイト多くは ヨーロッパや北米に集中しておりアジアでは数地点 に過ぎない.今後,アジア・アフリカ・南アメリカ などの都市を中心にフラックス観測サイトの充実化 が図られ,都市の熱収支や温暖化ガス排出について 新たな知見が蓄積されていくことが望まれる. 引用文献

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図−8  Urban Flux Networkのウェブサイトに登録されて いる観測サイト(http://www.geog.ubc.ca/urbanflux/) Fig. 8 Web site of Urban Flux Network (http://www.geog.

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(受付:2015年6月14日,受理:2015年10月10日) この論文への討議・コメントを,2016年7月末日 まで受け付けます.

Flux Measurements Over Urban Areas

Ryo MORIWAKI 1)

1) Department of Civil and Environmental Engineering, Graduate School of Science and Engineering, Ehime University (Bunkyo-cho 3, Matsuyama, Ehime 750-8577, Japan)

Numerous research projects examining urban surface flux have been conducted during the last two decades. Direct measurements of surface flux using the eddy covariance method facilitated the advancement of quantitative elucidation of the heat balance and CO2 exchange between urban surfaces and the atmosphere. Results show that the

heat balance in cities has unique features differing from those of bare ground, vegetation, and forests. This report addresses the following topics: selection of an appropriate observation site for the flux measurement over urban areas, recommendation of instrumentation height in the urban surface layer, and the “surface” concept in cities. Moreover, fundamental examination is made of urban heat balance and CO2 flux in Tokyo, obtained mainly based on the author’s

experiments. Some recent research trends of flux measurements over urban areas are described, with introduction of the “Urban Flux Network,” launched as a flux community network.

Fig. 3   Tower for urban flux measurement  (a, thermometer; b, sonic anemometer; c, instruments for eddy covariance  measurement) and multi-flow system for vertical CO 2 /H 2 O concentration profiles.
Table 2  Classification of urban climate field sites by  ‘Local Climate Zones’ . Modified from Stewart (2009).
Fig. 5   Conceptual diagrams portraying the urban energy  balance. Modified from Feigenwinter et al
Table 3   Annual heat balance and flux of CO 2 . Modified from
+2

参照

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