教員の担当区分と時程編成からみた施設一体型小中一貫校の利用実態
石本 一貴 1. 研究の背景と目的 近年、小・中学校間の連携・接続や従来の 6・3 制の 義務教育の在り方を見直す教育的背景や、少子化や財 政難、校舎の老朽化による学校統廃合を行う社会的背 景から、様々な自治体で施設一体型の小中一貫・連携 校の整備が進められている。そのような中、文部科学 省では小中連携教育を「小・中学校が互いに情報交換 や交流を行うことを通じて、小学校教育から中学校教 育への円滑な接続を目指す様々な教育」、小中一貫教育 を「小・中学校が目指す子供像を共有し、9 年間を通じ た教育課程を編成し、系統的な教育を目指す教育」と定 義付け、1) 小中一貫教育等の実態調査を行った。そして、 平成 28 年度に学校教育法の一部改正により小中一貫教 育を目的とする義務教育学校が制度化され、2) 児童生徒 が一つの学校に通うという特質を生かして、柔軟な教 育課程編成を設ける動きが今後進むと考えられる。 一方で、これらの教育課程編成に基づく教育を実現 するためには、現場で活躍する教員が自身の能力を発 揮するための空間整備も重要な観点である。特に、一 貫校では校務分掌や授業形態が複雑なため、教員の担 当学級や担当教科などの担当区分に応じて、一日の活 動に合わせた執務空間を計画する必要がある。そこで 本研究では、全国の施設一体型小中一貫校を対象に学 校運営や施設整備の動向および教員の担当区分別の執 務空間の利用実態を分析することで、今後の施設計画 の指針となる知見を得ることを目的とする。 2. 研究方法 2-1. 調査対象 本研究では、文部科学省より義務教育の連続性・系 統性を意図した『義務教育の改革案』3)が発表された平成 16 年度以降に、雑誌および HP で公開されている新築の 施設一体型小中一貫校の中から 34 校を対象とした。 2-2. 調査方法 調査では、まず、一貫校の執務空間の特徴を考察す るために、図面から空間構成を分析した。次に、教員 の活動内容を捉えるために、学校運営とそれに関わる 執務を把握した。最後に、執務空間の利用実態を考察 するために、アンケート調査が可能な 9 校の教員を担 31-1 表 1. 調査方法 図 1. 学年区分と教科担任制の開始学年・通常時程編成の関係 当学級の有無、担当教科の有無で分類し、一日の活動 内容と利用空間の特徴を分析した。(表 1)。 3. 小中一貫校の執務に関わる運営上の特徴 3-1. 教育課程編成 一貫校の最大の特徴は、9 年間の教育課程編成とそ れに応じた学年区分が設定されていることである。学 年区分と教科担任制の開始学年・通常時程編成の関係 をみると、それぞれの区分は必ずしも一致せず、今 後の動向を把握する必要がある。現状では 34 校中 23 校が教科担任制の開始学年が 5 年一部・7 年全部と約 7 割を占めているのに対し、通常時程編成は 4・5 型が 14 校、6・3 型が 17 校の大きく 2 つの型に分かれている。 また、教科担任制の開始学年と通常時程編成の組み合 わせが 10 通りあり、各自治体で円滑な学校運営を模 索している段階といえる。(図 1)。 ซ ᩍ⛉ᢸ௵ไࡢ㛤ጞᏛᖺ ᖺ㒊 ᖺ㒊 ᖺ୍㒊 ᖺ㒊 ᖺ୍㒊 ᖺ㒊 ᖺ୍㒊 ᖺ㒊 ࣭ ᆺ ࣭ ᆺ ࣭࣭ ᆺࡢᰯᩘ ࣭ ᆺࡢᰯᩘ ࣭ ᆺࡢᰯᩘ ィ ィ ㏻ᖖ⛬⦅ᡂ ࣭࣭ ᆺ 1 3-2. 教科担任制の実施状況 教科担任である教員を学級担任・級外に分類し、担 当教科、平均担当学級数、担当学年の特徴を捉えた(図 2)。まず、担当教科の割合は、学級担任・級外ともに 主要 5 教科が約 7 割、副教科が約 3 割であることが明 らかになった。また、主要 5 教科の平均担当学級数が 3 ~ 4 学級であることから、学年 2 学級以下の学校規 模では学年間の普通教室(以下 CR)を移動して授業を 行うことが想定される。副教科は主要 5 教科よりも平 均担当学級数が多いが、特別教室で授業を行うことが ㄪᰝ᪉ἲ ㄪᰝᖺ᭶ ㄪᰝᑐ㇟ ㄪᰝෆᐜ ࣭ࢫࢡ࣮࣓ࣝࢽࢸ ࠉࠗ࡞ᅜタ୍యᆺᑠ୰Ꮫᰯ୍ぴ⾲㸦බ❧㸧࠘ ࣭ྛᏛᰯࡢ࣮࣒࣮࣍࣌ࢪ ࣭タྎᖒ࠾ࡼࡧᏛᰯせぴ ㄪᰝᑐ㇟ࡢ㑅ᐃ ✵㛫ᵓᡂࡢᢕᥱ ㈨ᩱㄪᰝ ࣭ㄪᰝᑐ㇟ᰯ ᰯࡢᏛᰯせぴ࠾ࡼࡧᣦᑟィ⏬᭩ Ꮫᰯ㐠Ⴀ࠾ࡼࡧࡑࢀ 㛵ࢃࡿᇳົࡢᢕᥱ ㈨ᩱㄪᰝղ ࣭ྛᏛᰯࡢ⟶⌮⫋࠾ࡼࡧᩍ⫱ጤဨ ࣄࣜࣥࢢㄪᰝ ࣥࢣ࣮ࢺㄪᰝ ᇳົ✵㛫ࡢ⏝ᐇែࡢ ᢕᥱ㸦ᅇ⋡ 㸣㸧 ࣭ㄪᰝྍ⬟࡞ᑐ㇟ᰯ ᰯࡢᩍဨ ͤᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ࢆ᭷ࡍࡿ୍㈏ᰯࢆྵࢇ࡛࠸࡞࠸図 2. 教科担任の実施状況 図 3. 職員室・教師コーナー・CR の配置関係 多いため、教室間の移動による時間的な負担は少ない と考えられる。次に、担当学年をみると、級外は学級 担任と比べ、教科指導を行う学年に偏りがない。一貫 教育の利点である 6 年生以下への教科担任制の適用は 級外の教科担任によって主に行われているといえる。 4. 小中一貫校の執務空間の特徴 4-1. 職員室と CR の配置関係 一貫校では 9 学年分の CR が計画されるため、一般的 な小・中学校と比べ必然的に施設規模が大きくなる傾 向にある。そのため、大規模な施設を管理する目的も あり、教師コーナーが設けられる事例がある。そこで、 教員が多様な執務を行う職員室・教師コーナーと CR の配置関係から執務空間の分析を行った(図 3)。 職員室と CR の配置関係をみると、職員室に近い階 ᅄศ⠊ᅖ &5 ࡢศᕸ ᭱ᑠ್ ୰ኸ್ ᖹᆒ್ ್᭱ እࢀ್ ್ ್ &5 ᩘ ᅄศ⠊ᅖ ᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ࡢศᕸ ᭱ᑠ್ ᖹᆒ್ ୰ኸ್ ್᭱ ್ ್ ᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ᩘ ⫋ဨᐊ &5ࡢ㓄⨨㛵ಀ ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 ⫋ဨᐊࡢ㓄⨨㛵ಀ ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 &5ࡢ㓄⨨㛵ಀ ⫋ဨᐊ &5ࡢ㓄⨨㛵ಀ Ꮫᰯつᶍ ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 ⫋ဨᐊࡢ㓄⨨㛵ಀ ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 &5ࡢ㓄⨨㛵ಀ ⫋ဨᐊ &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊ &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊ &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ⫋ဨᐊ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ⫋ဨᐊ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 ⫋ဨᐊࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 ⫋ဨᐊࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 ⫋ဨᐊࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ⫋ဨᐊᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ᩍᖌࢥ勖ࢼ勖 &5ࡢ㝵ᩘᕪ 㝵 ᩍᖌࢥ࣮ࢼ࣮ &5 ࡢỈᖹ㊥㞳 P ୍㒊ᩍ⛉ᢸ௵ไࡀ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿᏛ⣭ Ꮫ⣭ᢸ௵ไࡀ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿᏛ⣭ ᩍ⛉ᢸ௵ไࡀ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿᏛ⣭ ᅄศ⠊ᅖ &5 ࡢศᕸ ᭱ᑠ್ ᖹᆒ್ ୰ኸ್ ್᭱ እࢀ್ ್ ್ &5 ᩘ ซ Ꮫ⣭௨ୖ 㹼 Ꮫ⣭ 㹼 Ꮫ⣭ 㹼 Ꮫ⣭ Ꮫ⣭ᮍ‶ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᖺ ᢸᙜᏛᖺ ᢸᙜᩍ⛉ ᅇ⟅⪅ᩘ Ꮫ⣭ᢸ௵ ே ⣭እ ே せ ᩍ⛉ࡢᣦᑟࡀ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿᏛ⣭ᩘ ᩍ⛉ࡢᣦᑟࡀ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿᏛ⣭ᩘ ซ ᖹᆒᢸᙜᏛ⣭ᩘ せ ᩍ⛉ ࣭ Ꮫ⣭ Ꮫ⣭ᢸ௵ ⣭እ Ꮫ⣭ᢸ௵ ⣭እ ᩍ⛉ ࣭ Ꮫ⣭ せ ᩍ⛉ ࣭ Ꮫ⣭ ᩍ⛉ ࣭ Ꮫ⣭ 㸣 には学級担任制が行われている CR が、遠い階には教 科担任制が行われているCRが配置されている。これは、 安全面を考慮して、職員室と低学年の CR は低層階に、 管理面の問題が比較的少ない高学年の CR は高層階に 配置されるためだと考えられる。 次に、四分位範囲の分布をみると、教科担任制、一 部教科担任制、学級担任制の順に職員室と CR の水平 距離が大きいところに位置している。つまり、階数差 だけでなく水平距離も高学年ほど職員室から遠い位置 に CR が配置される傾向があり、学校規模が大きいほ どそれが顕著になっている。そのため、大規模校で執 務を行う教科担任は、授業間の休み時間に CR と職員 室間を往復する負担が大きいといえる。 さらに、学級数が極端に少ない箱ひげ図を除いて四 分位範囲の長さを比較すると、一部教科担任制・教科 担任制が行われている学級は学級担任制が行われてい る CR と比べて学校規模による長さのばらつきが大き い。これは、学年区分と教科担任制・通常時程編成の 区分が一致しないことと関係しており、中学年部と高 学年部の CR 群は 4・5 年生間、6・7 年生間、7・8 年生 間のいずれかで区切られ、配置の仕方も様々なためで ある。それに対し、低学年部の CR 群は、学年 2 学級以 上の学校規模になると 2・3 年生間で区切って異なる 階に配置されることが多く、長さのばらつきが少ない。 4-2. 職員室と教師コーナーの配置関係 教師コーナー数をみると、学校規模が大きく、教科 31-2
図 4. 授業場所と教材置場の利用実態 図 5. 授業時間外の執務における利用空間 担任制が行われている CR に対して主に計画されてい る。これは、職員室以外に多様な執務を行う拠点を持 たない教科担任が、職員室と CR 間を何度も往復する 必要がなくなることを意図していると考えられる。学 年 3 ~ 4 学級の学校規模では、中央値が階数差 1 以上、 水平距離約 50m から分布している。 4-3. 教師コーナーと CR の配置関係 いずれの教師コーナーも CR と同じ階に位置してい るが、水平距離のばらつきが大きい。これは、教師コー ナーが単学年または複数学年に対して 1 ヶ所計画され るためである。教師コーナーは職員室と CR 間の距離 が遠いことによる執務の行いにくさを補う目的も兼ね るため、執務内容に合わせた適切な配置が求められる。 5. 授業時間内の執務における利用空間 教員の担当区分別に、授業場所と教材置場の利用実 態を示す(図 4)。まず、教科担任でない学級担任の授 業場所をみると、9 割以上が週 15 コマ以上の授業を CR で行っており、他の教員と比べて多目的室や図書室な ど様々な場所を利用している。また、教材置場の利用 は職員室以外に CR と教材室の利用が特に高い。その ため、学級担任制が行われている CR 周辺は、授業や 収納に特化した空間にする必要があると考えられる。 次に、教科担任の授業場所をみると、副教科の担当 教科に偏りがあることを留意すべきだが、各教科の内 容に応じた空間が利用されている。しかし、CR は利 用人数に対する利用頻度が多いと答えた割合が、主 要 5 教科・副教科ともに学級担任の方が高い。これ ಖㆤ⪅ ࡢ┦ㄯ Ꮫ⩦ᣦᑟ ⏕άᣦᑟ ༳ๅ ᩍᮦ࣭ ᩥ᭩సᡂ ヨ㦂࣭ ㏻▱⾲సᡂ ㄢ㢟ࡢ᥇Ⅼ ᪥ㄅࡢグධ ᤵᴗ㌿ ㏆᥋Ꮫᖺ Ꮫᖺ㆟ ᤵᴗ◊✲ ົศᤸ㆟ ࡑࡢࡢᰯ ࡢ༠㆟ 37$ ┦ㄯ࣭᠓ㄯ ᩍဨྠኈࡢ య ㆟ య⫋ဨ ㆟ ఇᜥ ᰯ㛗ᐊ ⫋ဨᐊ ㆟ᐊ ᛂ᥋ᐊ ఇ᠁ᐊ ᬑ㏻ᩍᐊ ከ┠ⓗᐊ ✵ࡁᩍᐊ ≉ูᩍᐊ ࣭‽ഛᐊ ᅗ᭩ᐊ ┦ㄯᐊ ࣮࣡ࢡ ࢫ࣮࣌ࢫ ࡑࡢ ༳ๅᐊ ͤయࡢ⏝ࡀ ᮍ‶ࡢ ᐊྡࡣࡑࡢࡋ࡚㞟ィ ซ 1 ᅇ⟅ேᩘ 1 ⏝✵㛫 ಶே࡛⾜࠺άື 」ᩘே࡛⾜࠺άື は、学級担任を兼任している教科担任は、道徳や総合 科目などの各学級で行われる授業も担当しているため だと考えられる。また、教材置場をみると、主要 5 教 科・副教科ともに学級担任の CR と職員室の利用が高く、 担当教科に加えて学級運営に必要な教材を収納してい ると考えられる。一方で、級外は教材置場の利用が全 体的に低く、主要 5 教科の教科担任は教材室、副教科 の教科担任は特別教室と特別教科準備室の利用が学級 担任より若干多いにとどまる。 ⏝✵㛫 ᩍဨࡢᢸᙜ༊ศ Ꮫ⣭ᢸ௵ ⣭እ せ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ ᩍ⛉ᢸ௵ ࡛࡞࠸ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ せ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ ᬑ㏻ᩍᐊ ≉ูᩍᐊ ᩍ⛉ᩍᐊ ከ┠ⓗᐊ ࣃࢯࢥࣥᐊ ᅗ᭩ᐊ ⫋ဨᐊ ᩍᮦᐊ ࡑࡢ ࣮࣡ࢡ ࢫ࣮࣌ࢫ ᑡேᩘᩍᐊ ࣭Ꮫ⩦ᐊ ≉ูᩍ⛉ ‽ഛᐊ ᬑ㏻ᩍᐊ య⫱㤋࣭ 㐠ືሙ 㐌 ࢥ࣐௨ୖ ᤵᴗ㢖ᗘ ซ ᩍᮦ⨨ሙ ୖ ᤵᴗ㢖ᗘ ୗ ᩍᮦ⨨ሙ 㐌 㹼 ࢥ࣐ 㐌 㹼 ࢥ࣐ 㐌 㹼 ࢥ࣐ 㐌 ࢥ࣐ᮍ‶ ࡞ࡋ ⏝ࡋ࡚࠸ࡿ ⏝ࡋ࡚࠸࡞࠸ 1 1 1 1 1 31-3
図 6. 主要 6 空間の利用実態 謝辞 調査にあたり各学校及び教育委員会の方々に多大なるご協力をいただきました。 ここに記して感謝いたします。 ○参考文献 1) 小中一貫教育等についての実態調査の結果 2014 年 文部科学省 2) 小中一貫教育制度の導入に係る学校教育法等の一部を改正する法律について(通知) 2015 年 文部科学省 3) 義務教育の改革案 2004 年 文部科学省 6. 授業時間外の執務における利用空間 6-1. 執務内容と利用空間 授業時間外の執務と利用空間を示す(図 5)。まず、 利用空間をみるとほぼ全教員が職員室を利用している が、PTA との協議、学習指導、生活指導、保護者との 相談は他の執務と比べて行われていない。これらの執 務は教員以外が関わる内容であり、周囲の視線や騒音 を遮る方が望ましい場合が多いためだと考えられる。 次に、CR は職員室に続いて利用があり、学習指導、 生活指導、授業転換、課題の採点など、主に児童・生 徒が学校にいる時間帯の執務が行われている。特に、 生活指導は CR 以外にも様々な空間が利用されており、 周囲の視線や音がない空間も必要としていると考えら れる。また、突発的な出来事に対応できるよう児童・ 生徒を見守る必要があるため、机上で執務を行う場合 も短時間から行える執務に限られていると考えられる。 さらに、執務内容をみると、20% 前後の教員が保護 者との相談で職員室、会議室、普通教室、相談室など 様々な空間を利用している。これは、適宜場所を探し て利用していると考えられ、専用の空間を設けるか他 の空間と兼用を想定して計画し、機能分化を図る必要 がある。また、複数人で行う活動は、職員室、会議室、 多目的室の順に利用が高く、授業時間外に利用が集中 すると考えられるため、複数室用意する必要がある。 6-2. 教員の担当区分からみた主要空間の利用実態 前述の執務空間のうち、全教員の 3 割以上が利用し ている 6 空間と各空間の利用者を抽出し、教員の担当 区分別に利用している時間帯を分析した(図 6)。まず、 職員室は全体的な利用が多いが、掃除時間の利用は相 対的に少ない。これは、掃除時間は見回りを行ってい るためであり、他の空間でも同様のことがいえる。 次に、複数人で行う活動で利用が多い会議室と多目 的室は、放課後の利用に集中している。一方で、管理 職による会議室の利用や授業時の多目的室の利用を考 慮しても、放課後以外の利用が少ない。そのため、会 議室と多目的室は面積や機能を必要最低限とするか、 他の用途と兼用することを選択する必要がある。 さらに、印刷室は全体的な利用が多く、様々な備品 を配置するため、従来通り専用の空間として独立させ る必要がある。一方で、短時間の利用に適した小さな プリンターを職員室で利用する実態もあり、教員机の 島ごとに印刷コーナーを計画する必要がある。 また、CR は教科担任でない学級担任が職員室を上 回る利用を放課後以外に行っており、作業に特化した 空間にする必要があると考えられる。一方で、副教科 31-4 の教科担任は級外よりも学級担任の利用が多く、休み 時間に授業場所と CR を往復している可能性がある。 さらに、相談室の利用は管理職が最も高く、アンケー トの回答では複数人の活動による利用がみられた。会 議室の利用率が低いことを考慮し、職員室内の管理職 の座席と会議室を近接配置させるべきだと考える。 7. まとめ 以上から、本研究では以下のことが明らかになった。 まず、一貫校の学校運営の特徴から、1) 学年区分と 教科担任制の開始学年・通常時程編成の区分は必ずし も一致しておらず、各学校の教育課程編成に合わせた 計画が必要であること。2)6 年生以下への教科担任制 の適用は級外の教科担任によって主に行われているこ と。また、空間構成の分析から、3) 高学年の CR は職 員室から遠い位置に配置される傾向があり、学校規模 が大きいほど配置も様々であること。執務空間の利用 実態から、4) 学級担任制が行われている CR 周辺の空 間は、授業、収納、作業に特化する必要があること。5) 教員以外が関わる執務は視線や音を遮断できる専用の 空間を設ける必要があること。6) 会議や打ち合わせ を行う空間は放課後以外の利用率を考慮し、面積、機 能、配置を十分に検討する必要があること。今後は、 学校運営と執務空間の利用状況の経年的な調査を行う ことで、より詳細な分析を行う必要があると考える。 せ ᩍ⛉ ࡢᩍ⛉ᢸ௵ ᩍ⛉ᢸ௵ ࡛࡞࠸ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ ⟶⌮⫋ Ꮫ⣭ᢸ௵ ⣭እ ᩍ⛉ࡢ ᩍ⛉ᢸ௵ ᬑ㏻ᩍᐊ ከ┠ⓗᐊ ┦ㄯᐊ ㆟ᐊ ༳ๅᐊ せ ᩍ⛉ ࡢᩍ⛉ᢸ௵ ᩍဨࡢᢸᙜ༊ศ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ᮅ๓ 㺃 ศఇࡳ ୰ఇࡳ ఇࡳ ᤲ㝖㛫 ᨺㄢᚋ ⫋ဨᐊ ⏝✵㛫