ガ
ス 燃 料 に つ い て
ガスとは、一般的に「気体」の総称として用いられます。ここでは主に燃料と して使われる、「都市ガス」と「LPガス」について記述します。ガ
ス 燃 料 の 種 類
都 市 ガ ス 天然ガスを精製して冷却液化した「LNG」(液化天然ガス)が原料。 -162℃まで冷却すると液化し、体積が1/600になり、タンカーなど で運搬、輸入されます。ガス種の記号は「13A」という表記をします。 主成分は、 メタン 89.6%・エタン 5.62%・プロパン 3.43%(東京ガス資料) ガス事業者によって成分組成に違いがあります。地域によっては「12A」 昔は「5C」「6B」というガス種もありました。供給は、地中などに埋設 された共同配管で各家庭に送られ、ガスメータを経て使用されます。 記号の A、B、C、はガスの燃焼性を表示しています。 A ・・・ 天然ガス系の燃焼速度が遅いガスグループ B ・・・ 製造ガス系の燃焼速度が中間のガスグループ C ・・・ 製造ガス系の燃焼速度が速いガスグループ 記号の前にある数字 5、6、12、13、はガスの指標です。 そのガスの「総発熱量」(工学単位 kcal/㎥)を、比重の平方根で割った 「ウォッベインデックス:WI」を1000で割った値の近似値。 最近では都市ガスといえば「13A」が標準です。(地域では確認が必要) 標準供給圧力は 2.0kPa(最大) L P ガ ス 石油系炭化水素が原料。LPガス「LPG」とは液化石油ガスの略称、液化 しやすいガスの総称でもあります。規格は「JIS」と「液化石油ガス法」 一般家庭を対象とした「液化石油ガス法」で規格されるLPガスは、成分の 違いで「い号」「ろ号」「は号」の3種類に分類されます。 一般家庭用は、「い号液化石油ガス」(JISでは1種1号に相当) 主成分は、 プロパン80%以上・エタン5%以下(日本LPガス協会資料)プロパンガスは、圧力を加えると液化して、体積が1/250になります。 沸点は-42℃なので、寒冷地においても、それ以上の温度で気化します。 供給は、液化した状態のものをボンベに貯蔵して各家庭に運搬されます。 重量と容量の換算「産気率」は次の通り プロパンの産気率 = 1.99kg/㎥ ⇔ 0.502 ㎥/kg(10℃ 1気圧) LPガスの産気率 = 2.18kg/㎥ ⇔ 0.458 ㎥/kg(10℃ 1気圧) 貯蔵ボンベの容量は一般的に2kg、5kg、8kg、10kg、20kg、 50kg用とあります。8kgまでは室内でも使用が可能。それ以上は屋外 に設置します。通常は2本設置して、2経路自動切り替え器を用います。 ボンベの充填圧力は、1.53 MPa 以下(40℃) 温度変化時の内圧は、15℃ → 0.637 MPa / 0℃ → 0.382 MPa(参考値) ボンベ周辺の温度が下がれば、内圧が下がり、ガスの出が鈍る事があります。 燃焼器で使う場合は、一般的に圧力調整器(レギュレータ)で 2.8kPa まで 減圧して使用します。減圧能力は5kg/h 、保温温度は40℃以下の環境。 標準供給圧力は 2.8kPa(最大) ガ ス の 比 較 (総発熱量) (標準供給圧力) (比重) 13A・・・ 46 MJ/㎥(11000 kcal/㎥)・・・ 2.0 kPa・・・ 0.64 LPG・・・ 99 MJ/㎥(24000 kcal/㎥)・・・ 2.8 kPa・・・ 1.55 LPガスは、都市ガスの2.18倍の発熱量があり供給圧力も高くなります。 ・都市ガスの比重は、空気(比重1)より軽い(1> 0.64:業者で格差有) ・LPガスの比重は、空気(比重1)より重い(1< 1.55:業者で格差有) ガス漏れ警報機を設置する場合 ・都市ガスは ⇒ 配管・元栓より上部 ・LPガスは ⇒ 配管・元栓より下部 それでは、都市ガス「13A」の数字[13]を計算してみます。 総発熱量は「MJ/㎥」ですが、算出は工学単位「kcal/㎥」を用います。 ( 11000 ÷ √0.64 )÷ 1000 = 13.75 (参)10750kcal の時 = 13.4 どちらのガスも、本来は無色無臭ですが、ガス漏れ時に気付くように空気中 の混入比率が1/1000でも感知できるように臭いを付けています。 使用料金は、一般的に( 都市ガス < LPガス )
注 記 ) 採用の数値については、ガス事業者によって成分組成に違いがあるため、値 が異なります。ここではガス協会が採用する一般的な数値に習っています。 実際、東京ガスなどは「13A」の総発熱量を「45 MJ/㎥」(10750 kcal/㎥) の数値を提示しています。他に小数点第2位以下は丸めています。 LPガスも、家庭用はプロパン含有率が95%以上。圧力調整器によっては バルブを全開にしても 2.6~2.7kPa位にしかならない場合もあります。 都市ガスの共同配管では、周辺の使用量が増せば圧力が少し下がります。
ガ ス 燃 料 の 互 換 性
一般家庭で使用されるガス燃料の種類は、都市ガスとLPガスの2種類あり ます。前述の通り発熱量が2倍以上違うので、ガス燃焼器の持っている火力 (発熱量)は、格差がつかないようにバーナーノズル等で整合されています。 燃焼器を使用する前には指定されるガス種が、都市ガス用かLPガス用かを 確認して下さい。 ガスの発熱量「E」は次の式で求められます。 E = Q・H ここに Q:ガス流量(㎥/h) H:総発熱量(kcal/㎥) ガスの流量「Q」は次の式で求められます。(ブンゼン式バーナーの場合) Q ={ 0.00351・d²・α・√P/ρ }・バーナー本数 ここに d:ノズル径(mm) α:流量係数 P:ガス圧(Pa) ρ:ガスの比重 ブンゼン式のバーナーノズル径は、(焙煎機マイスターの場合) ・都市ガス(13A)・・・0.8mm ・LPガス(LPG)・・・0.6mm計 算 事 例(比較参照) 弊社のコーヒー焙煎機、マイスター5で「5kg焙煎」を行なう場合 焙煎機の設置条件 電気式クリーナーやアフターバーナーの接続が無い、自然排気。 共通仕様 ・流量係数 0.85(仮定) ・バーナー本数 9 本(ノズルの数) 都市ガス(13A)の仕様 ・ノズル径 : 0.8mm ・ガ ス 圧 : 1.0 kPa(1000 Pa)で設定 Q ={ 0.00351 × 0.8² × 0.85 × √1000/0.64 }× 9 = 0.679 ㎥ (10750) E = 0.679 ㎥ × 11000 kcal/㎥(13Aの総発熱量) = 7472 kcal (7299 kcal) LPガス(LPG)の仕様 ・ノズル径 : 0.6mm ・ガ ス 圧 : 1.5 kPa(1500 Pa)実際に実施している冬季火力 Q ={ 0.00351 × 0.6² × 0.85 × √1500/1.55 }× 9 = 0.3007 ㎥ E = 0.3007 ㎥ × 24000 kcal/㎥(LPGの総発熱量) = 7217 kcal 上記の通り、マイスター5で「5kg焙煎」をする時の都市ガスとLPガス との互換性は、都市ガス 13A / 1.0 kPa ⇔ LPガス / 1.5 kPa ・13A仕様の設定 = 1.0 kPa 比率 : 最大ガス圧力 2.0 kPaの 50%のガス圧力 / 発熱量は約 70% ・LPG仕様の設定 = 1.5 kPa 比率 : 最大ガス圧力 2.8 kPaの 54%のガス圧力 / 発熱量は約 73% 個々の現場では、排気筒の高さや設置環境が違ったりするので、単純に計算 通りにはなりませんが、この計算式で適正火力を見つける目安が解ります。
流量係数とは 圧縮性の相違やノズルとコックなどの圧力損失を含めた「補正係数」です。 その時のガス圧や、コックの種類形状によってすべて違った値になります。 一般的に 0.7~0.9 程度を見ます。ここでは便宜上、同じ値にしました。 ガスの噴出流量は、計算式が示すように、ノズル径の2乗に比例します。 コーヒー焙煎機「マイスター5」の火力性能 生豆5kg、フルバッチの焙煎をしても、「都市ガス仕様」及び「LPガス 仕様」それぞれ最大ガス供給圧力の約50%のガス圧力、約70%の発熱量 で焙煎できる事を実証しています。 ガス消費量(出力)の表示は 1時間当たりにガスをどのくらい使用するかを数値化したものです。 kW(キロワット)で表示されます。1kW = 860 kcal 換算 LPガスの場合 : 24000kcal/㎥ ÷ 860 = 27.9kW 「27.9kW」表示のLPガス燃焼器は、1時間に最大1㎥のガスを消費す る事を意味しています。 理 論 燃 焼 「LPガス1㎥」を完全燃焼させるには、36㎥の空気が必要です。 「都市ガス1㎥」を完全燃焼させるには、14㎥の空気が必要です。
ガス圧の単位
単位記号「Pa」(パスカル)とし 「kPa」(キロパスカル)又は、 「MPa」(メガパスカル)を使用する。 平成6年以前は「mmAq」(ミリメートルアクア)という水柱の単位で表 示をしていましたが、平成5年に新計量法が施行され、平成11年、計量単 位が国際単位系「SI」に移行してからは「Pa」で統一されています。ガスの接続と安全
ガスを安全に使用するには、ガスの法律に基づいて適正な接続をする必要が あります。末端ガス栓からガス燃焼器までの接続は「移動型燃焼器」と「固 定型燃焼器」に分類されます。移動型燃焼器 「家庭用コンロ」「炊飯器」「小型オーブン」「ガスストーブ」など 接続は、ガスコード又は、ガスソフトコードを用いて、ホースバンドや脱 着可能なコンセント式で接続されます。(消費量は15kW 以下) 固定型燃焼器 「厨房用コンロ」「給湯器」「大型オーブン」「業務用レンジ」など 接続は、強化ガスホース又は金属可とう管を用いて直接ネジ込みによって 接続されます。 液化石油ガス法では、平成 9 年4月より「固定型燃焼器」へのガス接続は、 直接ネジ込み式継ぎ手を用いた「金属可とう管」又は「強化ガスホース」で 接続することが法律で決まっています。 焙煎の容量が1kgを超える業務用焙煎機は、固定型燃焼器に属します。 ガス管の接続工事は、「ガス可とう管接続工事監督者」又は「液化石油ガス 整備士」の資格が必要です。 (東京ガス株式会社 資料より)
最近の末端ガス栓には「ヒューズコック」が付いたタイプが一般的になって います。これは、万が一接続ホースが外れた場合でも、一度に大量のガスが 噴出しないように、逆止弁が内蔵されたものです。 コーヒー焙煎機でも、ガスの消費量が少ない機種は問題ないのですが5k、 10kタイプになると、機器の暖気をする際に少し多めにガス圧を上げると、 このヒューズコックが作動して、途中で火が消えることがあります。 その場合は、焙煎機の使用条件などを説明して、ヒューズコックを外しても らって下さい。計算事例で示したように、容量上限(フルバッチ)の焙煎を してもガス圧力を全開で使用することはありません。 この辺りの施工は必ず「有資格者」の判断を仰ぎ、工事は専門業者の方にお 任せしましょう。やはり素人判断は危険です何より安全を優先して下さい。
その他の安全対策
無意味な改造はしない バーナーの本数を増やし、いたずらに火力を上げた機器では、ガスの消費量 が大きくなり、比例して燃焼で必要とされる空気量も想定より多くなります。 反対に、それを弱火にして使う場合には不完全燃焼になるリスクをより高め てしまいます。改造すればその使用条件も配慮する必要があります。 給気・換気の重要性 バーナー仕様の燃焼機器を「炭火」に改造する場合は、排気、換気、吸気に 十分配慮する必要があります。換気が悪ければ一酸化炭素中毒の危険性が高 くなり、狭い作業室では生命に関わる問題になります。測定機器の安全性 一般的な焙煎機に付属している、ガス圧を測るブルドン管圧力計には防爆性 があります。これをデジタル表示の圧力計や流量計に交換する場合は、必ず 「防爆仕様」か「可燃性ガス専用」である事を確認して下さい。 燃焼機器を防爆指定エリアで使う事などありません。しかし、デジタル表示 は電気回路そのものです。その中に可燃性ガスを通します。万が一、接続部 からガス漏れ等があれば最短距離で混合ガスに触れる事になり、想定外の事 が起きた場合の対応など、取り扱う上で最低限の知識や注意が必要です。 (何事もゼロリスクは有り得ません) 流量計には、圧力を表す規定が日本工業規格(JIS)にありません。従っ て、換算の数値が「絶対圧基準」のもや、標準状態が「101.325kPa、 0℃基準」のものなど、メーカーや機種で設定が違います。 いくら温度や気圧に比例した流量を測っても、機器の設定が0℃基準であれ ば、表示される流量は0℃に換算された値です。それを踏まえればブルドン 管圧力計の誤差と大差がない場合も考えられ、所詮は「ものさし」です。 更に、焙煎機のように熱の拡散が大きい機器では、無秩序に捨てられる熱の 割合が多く、結果的に焙煎に生かされない熱量まで測る図式になります。 しかし、そんなことは御構い無しで単に焙煎を熱量で管理したいという場合 は、質量流量計はとても便利です。使う場合は仕様と安全を確認して下さい。 要は、何が重要なのかという見極めです。 安易に目先のガスだけを流量で測定することなのか、機器の根本的な原因に 目を向け配慮することなのか、状況に応じた客観的な判断が問われます。 燃焼機器の改造は、稚拙な認識で方向性を誤れば、危険性だけを高くする場 合があります。トレードオフを踏まえた総合的な見識が必要です。 記)大和鉄工所 岡 崎 出展・参考資料 ・ガス燃料の理論と実際(財団法人 省エネルギーセンター発行) 吉田邦夫監修 仲町一郎/庄司富士夫 共著 ・東京ガス株式会社(WEBサイト) ・日本LPガス協会(WEBサイト) ・社団法人 日本ガス協会(WEBサイト)、その他 関連サイト