オルプロリクス
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静注用 250
オルプロリクス
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静注用 500
オルプロリクス
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静注用 1000
オルプロリクス
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静注用 2000
オルプロリクス
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静注用 3000
第
2 部(モジュール 2):CTD の概要(サマリー)
2.6.6 毒性試験の概要文
バイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社
目次
1. まとめ ... 6 2. 単回投与毒性試験 ... 9 3. 反復投与毒性試験 ... 10 3.1 ラット予備試験 ... 10 3.2 サル予備試験 ... 10 3.3 ラット4 週間投与試験及び 4 週間回復試験 ... 11 3.4 サル5 週間投与試験及び 4 週間回復試験 ... 13 3.5 サル27 週間投与試験及び 4 週間回復試験 ... 15 4. 遺伝毒性試験 ... 20 4.1 Alefacept の細菌を用いた復帰突然変異試験 ... 21 4.2 Alefacept のヒト末梢血リンパ球を用いる in vitro 染色体異常試験... 21 5. がん原性試験 ... 22 6. 生殖発生毒性試験 ... 23 7. 局所刺激性試験 ... 23 7.1 ウサギ局所刺激性試験 ... 23 8. その他の毒性試験 ... 24 8.1 NZW ウサギを用いた Wessler うっ血血栓症モデルによる血栓形成能の検討 (凍結液剤) ... 24 8.2 NZW ウサギを用いた Wessler うっ血血栓症モデルによる血栓形成能の検討 (凍結乾燥剤) ... 26 9. 考察及び結論 ... 27 10. 引用文献 ... 29表一覧
表 1 rFIXFc の毒性試験プログラム ... 7 表 2 ラット 4 週間投与試験の試験デザイン ... 11 表 3 サル 5 週間投与試験の試験デザイン ... 13 表 4 サル 5 週間投与毒性試験における平均プロトロンビン時間(秒) ... 14 表 5 サル 5 週間投与試験での抗 rFIXFc 抗体出現頻度(雌雄合算値) ... 15 表 6 サル 27 週間投与試験の試験デザイン ... 16 表 7 サル 27 週間投与試験での抗 rFIXFc 抗体出現頻度 ... 17 表 8 サル 27 週間投与試験における FIX 活性(改変 aPTT 法) ... 19 表 9 サル 27 週間投与試験における投与 1 時間後の rFIXFc 濃度及び投与された FIX 活 性の比較 ... 20 表 10 ウサギ局所刺激性試験の試験デザイン ... 24 表 11 ウサギうっ血血栓症モデルの試験デザイン(凍結液剤) ... 25 表 12 個体別及び平均血栓形成スコア(凍結液剤) ... 25 表 13 ウサギうっ血血栓症モデルの試験デザイン(凍結乾燥剤) ... 26 表 14 個体別及び平均血栓形成スコア(凍結乾燥剤) ... 27図一覧
略号一覧
略号 日本語 英語
aPTT 活性化部分トロンボプラスチン時間 Activated partial thromboplastin time AUC 濃度‐時間曲線下面積 Area under the concentration - time
curve AUC0-24 0 から 24 時間までの血中濃度-時間
曲線下面積
AUC from time zero to 24 hr AUClast 最終測定時点までの濃度‐時間曲線
下面積
AUC to the last observed time point BeneFIX® ベネフィクス® recombinant human FIX; rFIX
CH 重鎖定常領域 Constant heavy chain
Cmax 最高血漿中濃度 Maximum plasma concentration
Cmin 最小血漿中濃度 Minimum plasma concentration
DNA デオキシリボ核酸 Deoxyribonucleic acid
Fc 免疫グロブリン定常領域 Immunoglobulin Constant Region FcRn Neonatal Fc 受容体 Neonatal Fc receptor
FIX 血液凝固第IX 因子 Factor IX
GLP 医薬品の安全性に関する非臨床試験
の実施の基準
Good laboratory practice
IgG1 免疫グロブリンG1 Immunoglobulin gamma subclass 1
IU 国際単位 International unit
IV 静脈内投与 Intravenous administration rFIXFc 遺伝子組換え血液凝固第IX 因子 Fc
融合タンパク質
Recombinant coagulation Factor IX Fc fusion protein
NOAEL 無毒性量 No-observed-adverse-effect-level NZW ウサギ ニュージーランド白色ウサギ New Zealand White rabbits
PK 薬物動態 Pharmacokinetics
PT プロトロンビン時間 Prothrombin time PV 静脈周囲投与 Perivenous administration SD ラット Sprague Dawley ラット Sprague Dawley rats t1/2 消失半減期 Elimination half-life
1. まとめ
rFIXFc(遺伝子組換え血液凝固第 IX 因子 Fc 融合タンパク質、開発コード番号 BIIB029)の血 友病 B の治療のための長期投与の安全性を検討するために毒性試験プログラムを計画した。 rFIXFc の毒性は Sprague Dawley(SD)ラット及びカニクイザルの 2 種の動物種を用いて評価し た。さらに局所刺激性及び血栓形成能の検討にはニュージーランド白色(NZW)ウサギを使用 した(表 1)。ラット及びサルで実施したそれぞれ 4 週間及び 27 週間までの反復投与毒性試験は 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(GLP)に準拠して実施した。rFIXFc を用いた 単回投与毒性試験は実施していない。rFIXFc の作用機序(血液凝固因子の補充)からみて小児患 者に特異的な毒性は懸念されないことから新生児を用いた毒性試験は実施していない。 他の血液凝固第IX 因子(FIX)製剤と同様、生殖発生毒性試験は実施しなかった。男性及び女 性生殖器は、ラット及びサル反復投与毒性試験で評価した。その結果、被験物質に関連した所見 は観察されなかった。 がん原性試験は実施しなかった。重要性に基づく評価(weight-of-evidence)での結果から、 rFIXFc のがん原性リスクは低い。“「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評 価」について”(平成24 年 3 月 23 日付、薬食審査発 0323 第 1 号、以下、ICH ガイドライン S6 (R1) とする)に従い、rFIXFc は DNA に作用しないと考えられるため rFIXFc の遺伝毒性試験は 実施しなかった。しかし、過去に実施した他の Fc 融合タンパク質 alefacept(Amevive®、開発コ ード番号 BG9273)の遺伝毒性試験では、この種の薬剤では遺伝毒性が認められておらず、当該 試験を本申請に含めた。 毒性試験の投与経路は臨床投与経路に準じて静脈内投与とした。ラット及びサルを用いて雌雄 動物で GLP 試験を実施した。毒性試験の最高用量は臨床試験における定期補充療法での最高用 量(100 IU/kg)の 10 倍、急性出血及び周術期の補充療法での最高用量(150 IU/kg)の 6.7 倍に 相当する 1000 IU/kg とし、ラット及びサル GLP 反復投与毒性試験には凍結液剤を使用した。こ れらの試験に使用した rFIXFc 製剤は臨床試験及び市販予定の製剤と類似である(毒性試験に使 用したロットの比活性:約 60 IU/mg)。GLP 毒性試験完了後に rFIXFc の凍結乾燥剤が開発され、 ウサギ局所刺激性試験及び血栓形成能試験で凍結液剤との比較試験を実施した。 rFIXFc の作用機序研究(血液凝固因子補充)、遺伝子組換え血液凝固第Ⅸ因子製剤 BeneFIX®、 [ベネフィクス®、ノナコグアルファ(遺伝子組換え)]と比較して rFIXFc の血漿中からの緩徐 な消失[Neonatal Fc 受容体(FcRn)への結合]及び背景値の使用の観点から、適切な動物種と してラット及びサルを選択した。局所刺激性及び血栓形成能試験には通常ウサギが使用されてい る。
表 1 rFIXFcの毒性試験プログラム 試験の種類及び期間 (試験番号) 動物種 投与量(IU/kg) (投与経路) 被験物質 GLP 予備試験 週2 回、5 又は 7 週間投与 (N-FIX-003) SD ラット 25 及び 100 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 否 週1 回、8 週間 (N-FIX-002A) カニクイザル 25、100 及び 500 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 否 反復投与毒性試験 4 日ごと、4 週間 +4 週間回復 (N102010) SD ラット 0、50、200 及び 1000 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 適 週1 回、5 週間 +4 週間回復 (N102011) (R-FIX-026)a カニクイザル 0、50、200 及び 1000 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 適 週1 回、27 週間 +4 週間回復 (N102015) カニクイザル 0、50、200 及び 1000 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 適 局所刺激性試験 単回投与 (ASL00018) NZW ウサギ 198(IV 及び PV) 110(IV 及び PV) rFIXFc (凍結液剤) (凍結乾燥剤) 適 その他の毒性試験 血栓形成能 単回投与 (N102013) NZW ウサギ 0、50、200 及び 987 (IV) rFIXFc (凍結液剤) 適 (N102018-B) NZW ウサギ 0、50、200 及び 1000 (IV) rFIXFc (凍結乾燥剤) 適 IV:静脈内投与、PV:静脈周囲投与、SD:Sprague Dawley 、NZW:ニュージーランド白色
a:N102011 試験の追加確認試験[高濃度 rFIXFc 及び BeneFIX の in vitro プロトロンビン時間(PT)の比較]であ
り、非GLP 試験。
1.1
反復投与毒性試験1.1.1
非GLP予備試験 予備試験は、ラット(試験番号 N-FIX-003)及びサル(試験番号 N-FIX-002A)を用いて rFIXFc 反復投与後の忍容性及び抗 rFIXFc 抗体産生について検討した。これらの試験は非 GLP で 実施した。ラットへの週 2 回 7 週間静脈内投与及びサルへの週 1 回 8 週間静脈内投与のいずれに ついても、忍容性は良好であった。いずれの試験(ラット及びサル)でも抗 rFIXFc 抗体産生が 認められた。低用量の 25 IU/kg 群のサル 1 匹に早期死亡が認められた(試験第 21 日)。当該動 物の死因は特定できなかったが、100 及び 500 IU/kg 群の動物での反復投与後の忍容性は良好であった。さらに 50、200 及び 1000 IU/kg の rFIXFc を 27 週間反復投与した GLP 試験(試験番号 N102015)の忍容性も良好であったことから、当該動物の早期死亡は投薬に関連しないと考えら れた。 これら 2 つの予備試験からラット及びサル反復投与毒性試験の適切な投与頻度を選択した。血 漿からの消失半減期(t1/2)はそれぞれラットで約 1 日、サルで約 2~3 日であったことから、ラ ットでは 4 日ごと、サルでは週 1 回の投与間隔とした。これらの投与頻度を採用することで、す べての反復投与毒性試験の動物は最小血漿中濃度(Cmin)と最高血漿中濃度(Cmax)間の rFIXFc 濃度で持続的に曝露された。
1.1.2
反復投与毒性試験 rFIXFc の反復投与毒性試験は、GLP に準拠してラット 4 週間並びにサル 5 週間及び 27 週間の 3 試験を実施した(試験番号 N102010、N102011 及び N102015)。これらの試験では、一般状態 観察、体重及び摂餌量測定、眼科的検査、血液学的検査、血液生化学的検査、凝固系検査、免疫 学的検査(抗 rFIXFc 抗体検査)並びに剖検、臓器重量測定及び病理組織学的検査を実施した。 サルの試験では併せて心電図(ECG)を評価した。 いずれの試験でも毒性学的に意義ある局所及び全身性所見は観察されなかった。rFIXFc 投与に 関連した臨床症状として、27 週間投与試験の高用量群(1000 IU/kg)の雄 2 匹に軽度かつ一過性 の過敏反応が観察された。投与後数時間に顔面、耳、鼻及び陰嚢に赤色斑が観察された(試験第 29 日から発現)が投与後 4 日以内に消失した。最後の所見は、試験第 121 日に 1 匹に観察された。 本所見の発現は当該動物の抗rFIXFc 抗体産生に一致した。 体重、摂餌量及び眼科的検査に rFIXFc 投与による影響はみられなかった。血液学的検査、血 液生化学的検査及び凝固系検査では、ラット及びサルのいずれの動物種にも rFIXFc 投与による 影響はなかった。剖検、臓器重量及び病理組織学的検査にも投薬の影響は観察されなかった。 ラット及びサルのいずれの動物種でも反復投与毒性試験で抗 rFIXFc 抗体が検出された。いず れの動物種も抗体反応は用量関連性(頻度及び最終測定時の抗体価の上昇)がみられた。これら 3 試験の抗体は clearing(消失を早める)抗体であり、試験第 1 日の薬物動態(PK)プロファイ ルと比較して試験の後半では rFIXFc の消失を早めた。ラット及びサルのいずれの動物種でも、 抗体産生後の平均AUC は試験第 1 日と比較して低値であったが、用量依存性は保持された。 サル 5 週間投与試験では、抗体産生はみられたが毒性学的に意義ある所見は認められず、より 長期投与での忍容性が示唆された。そこで 27 週間投与試験を実施した。27 週間試験では、抗 rFIXFc 抗体と内因性 FIX との交差反応性は示唆されなかった。また、ラット及びサルのいずれ にも投薬に関連した病理組織学的変化は認められず、抗原-抗体複合体形成による臓器毒性は観 察されなかった。 被験物質はラット及びサルにとって異物(rFIXFc は介在配列なしでヒト FIX 単分子にヒト IgG1の Fc ドメインを融合)であることから、両動物種で抗 rFIXFc 抗体産生が予測された。しか し、抗 rFIXFc 抗体産生はみられたが、投与は投与期間中の曝露を維持するに十分な頻度であり、 反復投与試験でrFIXFc の毒性は適切に評価された。1.2
局所刺激性 3 つの反復投与毒性試験での静脈内投与部位の剖検及び病理組織学的検査所見から局所刺激性 を評価した(試験番号 N102010、N102011 及び N102015)。さらに凍結液剤及び凍結乾燥剤の両 rFIXFc 製剤を NZW ウサギに静脈内及び静脈周囲に投与し、単回投与局所刺激性試験を実施した (試験番号 ASL00018)。対照動物又は対照の投与部位と比較した病理組織学的検査では、 rFIXFc 投与による局所反応の悪化は観察されず、局所刺激性は認められなかった。すべての投与 群で静脈内(ラット、サル及びウサギ)又は静脈周囲(ウサギ)で出血又は炎症の頻度及び重症 度は類似した。1.3
血栓形成能 臨床使用では比較的粗精製である血漿由来FIX製剤で血栓形成作用が認められる[1、2]。し たがって、rFIXFcの血栓形成能を 2 つのNZWウサギを用いたWesslerうっ血性血栓症モデルで検 討した(試験番号N102013 及びN102018-B)。生理食塩液及び溶媒対照に加え、BeneFIX及び陽 性対照(Profinine® SD、血漿由来非活性型FIX複合体濃縮製剤で、プロトロンビン、第X因子及び 低濃度第VII因子を含む)も検討した。 1 つ目の試験(試験番号 N102013)では、50、200 及び 987 IU/kg の rFIXFc(凍結液剤)を生理 食塩液及び溶媒対照並びに BeneFIX(198 IU/kg)及び陽性対照(Profilnine SD、216 IU/kg)と比 較した。rFIXFc 群の血栓形成スコアは生理食塩液群、溶媒対照群及び BeneFIX 群と同程度であ った。全ての血栓形成スコアは陽性対照群のスコアより低値であった。2 つ目の試験(試験番号 N102018-B)では、50、200 及び 1000 IU/kg の rFIXFc(凍結乾燥剤) を生理食塩液及び溶媒対照並びに BeneFIX(991 IU/kg)及び陽性対照(Profilnine SD、198 IU/kg) と比較した。rFIXFc のウサギでの平均血栓形成能は溶媒と同程度であり、陽性対照及び BeneFIX より低値であった。
1.4
毒性の要約 rFIXFc を薬理活性の認められる動物種であるラット及びサルに反復投与したときの毒性を検討 した。いずれの動物種でも抗体産生は認められたが、最高 1000 IU/kg まで毒性所見は認められな かった。ラット、サル及びウサギに局所刺激性はなく、ウサギに血栓形成作用の増強はみられな かった。2. 単回投与毒性試験
血液凝固因子の補充療法としての作用機序に基づき、選択された用量範囲で急性毒性は懸念さ れないため、rFIXFc の単回投与毒性試験は実施していない。ラット 4 週間(3.3 項)並びにサル5 週間及び 27 週間(3.4 及び 3.5 項)反復投与毒性試験で初回投与後の毒性を評価した。初回投 与後の唯一の所見として、サル 5 週間反復投与毒性試験でプロトロンビン時間の一過性の延長が 認められた。この変動について検討した結果、この一過性の延長は高濃度のrFIXFc が PT 検査に 用いた in vitro 測定法に干渉したことによるアーチファクトであったと判断した(試験番号 R-FIX-026)。その他(一般状態、体重等)には、初回投与後、投薬に関連した影響は認められな かった。これらの試験では、1000 IU/kg まで rFIXFc に起因した死亡は観察されなかった。
3. 反復投与毒性試験
rFIXFc をラット及びサルに反復投与し、毒性を評価した。非 GLP 予備試験では、これらの動 物種にrFIXFc を反復投与し、忍容性及び抗 rFIXFc 抗体産生を評価した。これら非 GLP 予備試験 の結果に基づきラット 4 週間反復投与試験並びにサル 5 週間及び 27 週間反復投与試験をいずれ もGLP 下で実施した。 予備試験には異なる2 種類のクローン細胞(6B6c28 細胞及び 13.1c40 細胞)を用いて製造した rFIXFc を使用した。各クローン細胞で製造された rFIXFc は静脈内投与後の PK に相違はなく (2.6.4.3.1.2.2項)、GLP 試験及び臨床試験のための rFIXFc の製造には 13.1c40 細胞を使用した。3.1
ラット予備試験 (試験番号N-FIX-003、添付資料4.2.3.2.1、参考資料) SD ラットに rFIXFc を週 2 回 5 週間又は 7 週間投与し、抗 rFIXFc 抗体産生を検討した。 6B6c28 クロ―ン細胞で製造した rFIXFc(比活性:47.7 IU/mg)は 1 群 6 匹のラットに 0.5 又は 2 mg/kg(25 又は 100 IU/kg)の用量で週 2 回 7 週間反復静脈内投与した。また、13.1c40 クローン 細胞で製造した rFIXFc(比活性:50.0 IU/mg)を 5 匹のラットに 2 mg/kg(100 IU/kg)の用量で 週2 回 5 週間静脈内投与した。PK 評価はいずれの試験でも初回及び最終投与後に実施した。 いずれのクローン細胞で製造した rFIXFc も、投与終了までにラットに抗体を産生した。PK パ ラメーターは7 週間投与後、抗体産生の影響を受けた。一方、5 週間投与試験(13.1c40 クローン 細胞)での抗体産生は弱く、5 週間投与後の PK への影響は軽微であった。 以上のとおり、本試験により、ラット反復投与毒性試験での rFIXFc の用量設定及び投与頻度 に関する十分な情報が得られた。3.2
サル予備試験 (試験番号N-FIX-002A、添付資料4.2.3.2.2、参考資料) サルにrFIXFc を反復投与し、抗 rFIXFc 抗体産生を検討した。6B6c28 クロ―ン細胞で製造した rFIXFc(比活性:47.7~56.4 IU/mg)を 0.5、2 又は 10 mg/kg(25、100 又は 500 IU/kg)の用量で 1 群 2 又は 3 匹のカニクイザルに週 1 回 8 週間反復静脈内投与した。同様に 13.1c40 クローン細胞 で製造した rFIXFc(比活性:50.0 又は 62.7 IU/mg)を 3 匹のサルに 2 mg/kg(100 IU/kg)の用量で週 1 回 8 週間反復静脈内投与した。さらに、単回投与後の PK パラメーターを測定するために 4 匹のサルに 13.1c40 クローン細胞で製造した rFIXFc を 2 mg/kg(100 IU/kg)の用量で投与した。 初回投与後の血漿中 rFIXFc 濃度推移は二相性を示した。Cmax(投与 0.25 時間後測定値)及び AUC は投与量(IU/kg)に対し、用量比例性を示した。t1/2は約 49 時間(15 匹の個別値範囲: 36.5~62.0 時間)であった。 8 週間の rFIXFc 投与で 11 匹中 4 匹に抗 rFIXFc 抗体産生を認めた。抗体陽性動物での最終投与 後(試験第 49 日)の rFIXFc の消失は、より速やかであった。抗体陽性動物では、FIX 凝固活性 [凝固一段法による aPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)活性測定]の低下が、最終投 与後に認められた。しかし、内因性FIX 凝固活性(週 1 回投与前に測定)には影響はみられなか った。 低用量群(25 IU/kg)の 1 匹が試験第 21 日に死亡した。しかし、中間及び高用量群を含む他の 全ての動物では rFIXFc の 8 週間投与に対する忍容性は良好であったことから、死因は不明であ ったが、rFIXFc の影響とは考えられなかった。 以上のとおり、本試験により、サル反復投与 GLP 毒性試験での rFIXFc の用量設定及び投与頻 度に関する十分な情報が得られた。
3.3
ラット4 週間投与試験及び 4 週間回復試験 (試験番号N102010、添付資料4.2.3.2.3、評価資料) 1 群あたり雌雄各 10 匹の SD ラット(投与開始時週齢:10~11 週齢、平均体重:雄 353~358 g、 雌242~246 g)に rFIXFc を 4 週間投与し、全身及び局所毒性を検討した。 rFIXFc を 4 日ごとに 50、200 及び 1000 IU/kg の用量で 4 週間(試験第 1、5、9、13、17、21、 25 及び 29 日)計 8 回静脈内投与した。rFIXFc の比活性は 59.7 IU/mg、rFIXFc のバルク製剤の活 性は364 IU/mL であった。溶媒には 10 mmol/L リン酸ナトリウム、150 mmol/L 塩化ナトリウム及 び0.1%ポリソルベート 80 からなる pH 8.0 の緩衝液を使用した。投与容量は 2.7 mL/kg とした。 対照群には溶媒を投与した。対照群及び高用量群には雌雄各 5 匹を追加し、4 週間の回復性試験 を実施した。投与終了後屠殺動物は、最終投与翌日(試験第 30 日)に剖検し、回復動物は投与 終了 1 ヵ月後(試験第 57 日)に剖検した。さらに、トキシコキネティクス(TK)評価及び抗 rFIXFc 抗体測定のため各群雌雄 15 匹を追加した(表 2)。 表 2 ラット 4 週間投与試験の試験デザイン 投 与 量 (IU/kg) 動 物 数 a (雄/雌) 投 与 終 了 後 (SD30 ) 屠殺動物数(雄/雌) 回復期間終了後(SD57) 屠殺動物数(雄/雌) 0(対照) 15/15 10/10 5/5 50 10/10 10/10 ‐ 200 10/10 10/10 ‐ 1000 15/15 10/10 5/5 a:サテライト動物(各群雌雄 15 匹ずつ)を TK 及び抗 rFIXFc 抗体評価のために追加 ‐:該当せず、SD:試験日一般状態観察、体重、摂餌量、眼科的検査、臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査及び 凝固系検査)、抗 rFIXFc 抗体測定、剖検、臓器重量及び病理組織学的検査を実施し、毒性を評 価した。また、局所刺激性の評価のため、肉眼及び検鏡的に投与部位を観察した。TK 評価のた め初回投与後(試験第 1 日)及び最終投与後(試験第 29 日)の投与前並びに投与 0.25、1、8、 24、48、72、96、120 及び 144 時間後に採血した(3 匹/測定時点/群)。抗 rFIXFc 抗体測定の ための血液試料は試験第 1、17 及び 29 日の投与前並びに回復動物屠殺時(試験第 57 日)に採取 した。 一般状態、体重、摂餌量、眼科的検査、血液学的検査、血液生化学的検査、凝固系検査、臓器 重量、剖検及び病理組織学的検査に投薬の影響は観察されなかった。投与部位(尾静脈)に rFIXFc の影響は認められず、病理組織学的に線維化、炎症及び出血は対照群と投薬群で同程度で あった。 TK プロファイルに明らかな性差はなかったことから、TK の用量反応性は雌雄合算で評価した。 高用量群の投与 120 及び 144 時間後の血漿中濃度は他の用量群と異なり、投与 96 時間後より高 値で、生物学的な妥当性がないため評価から除外した。試験第 1 日の Cmax(雌雄合算値)はほぼ 用量比例性を示した。AUClastは 50 及び 200 IU/kg の間ではほぼ用量比例性を示したが、 1000 IU/kg は投与量比を下回った。t1/2は雌雄いずれも全ての用量群で約1 日であった(群別平均 値は24~44 時間)。 試験期間中、抗 rFIXFc 抗体は用量依存的に産生された。抗 rFIXFc 抗体は試験第 17 日で全て の用量群で認められ、1000 IU/kg 群でより高頻度であった。抗 rFIXFc 抗体陽性動物の頻度は試験 第29 及び 57 日で増加し、試験終了時までに 50、200 及び 1000 IU/kg 群でそれぞれ 24 匹中 10 匹、 13 匹及び 17 匹が陽性を示した。終了時の抗体価も、50 及び 200 IU/kg 群でそれぞれ最高 10,000 及び20,000 であったのに対し、1000 IU/kg 群では>80,000 であり、より高値であった。 これらの抗体は、最終投与後(試験第29 日)の 1000 IU/kg 群では clearing 作用を示したが、50 及び 200 IU/kg の TK プロファイルには、抗体産生による顕著な影響はみられなかった。初回投 与後の TK 結果と比較して、1000 IU/kg の t1/2は、雌雄でそれぞれ 16.0 及び 17.5 時間に短縮し、 AUClastは約 25%(雄)及び 50%(雌)低下した。40 匹の抗体陽性動物の大多数(37 匹)は、 rFIXFc の Fc 部分に特異的な抗体反応を示した。本試験では投与終了時及び回復期間終了時に aPTT 活性を測定したのみであり、内因性 FIX 又は rFIXFc に対する抗体の中和活性は測定しなか った。
以上のとおり、rFIXFc はラットへの 4 日ごと 4 週間投与で、全投薬群で用量依存的に抗 rFIXFc 抗体産生を認めたが、全身性及び局所毒性を示さず、無毒性量(NOAEL)は 1000 IU/kg であった。
3.4
サル5 週間投与試験及び 4 週間回復試験 (試験番号N102011、添付資料4.2.3.2.4、評価資料) (試験番号R-FIX-026、添付資料4.2.3.2.5、参考資料) 1 群あたり雌雄各 3 匹のカニクイザル(投与開始時年齢:2~4 歳、平均体重:雄約 3 kg、雌約 2.6 kg)に rFIXFc を 5 週間投与し、全身及び局所毒性を検討した。 rFIXFc は 50、200 及び 1000 IU/kg の用量で週 1 回 5 週間(試験第 1、8、15、22 及び 30 日)計 5 回静脈内投与した。rFIXFc の比活性は 58.8 IU/mg、rFIXFc のバルク製剤の活性は 470 IU/mL で あった。溶媒には 10 mmol/L リン酸ナトリウム、150 mmol/L 塩化ナトリウム及び 0.1%ポリソル ベート 80 からなる pH 8.0 の緩衝液を使用した。投与容量は 2.1 mL/kg とした。対照群には溶媒 を投与した。対照群及び高用量群には雌雄各 2 匹を追加し、4 週間の回復性試験を実施した。投 与終了後屠殺動物は、最終投与翌日(試験第 31 日)に剖検し、回復動物は投与終了 1 ヵ月後 (試験第58 日)に剖検した(表 3)。 表 3 サル 5 週間投与試験の試験デザイン 投 与 量 (IU/kg) 動 物 数 (雄/雌) 投 与 終 了 後 (SD31 ) 屠殺動物数(雄/雌) 回復期間終了後(SD58) 屠殺動物数(雄/雌) 0(対照) 5/5 3/3 2/2 50 3/3 3/3 ‐ 200 3/3 3/3 ‐ 1000 5/5 3/3 2/2 ‐:該当せず、SD:試験日 一般状態観察、体重、摂餌量、眼科的検査、ECG、臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検 査及び凝固系検査)、抗 rFIXFc 抗体測定、剖検、臓器重量及び病理組織学的検査を実施し、毒 性を評価した。また、局所刺激性の評価のため、肉眼及び検鏡的に投与部位を観察した。 TK 評価のため初回投与後(試験第 1 日)の投与前並びに投与 0.25、1、8、24、48、72、96、 120 及び 168 時間後に採血した。また、最終投与後(試験第 30 日)については、最終投与後剖検 動物は投与前並びに投与 0.25、1、8 及び 24 時間後に、回復動物は投与前並びに投与 0.25、1、8、 24、48、72、96、120 及び 168 時間後にそれぞれ採血した。抗 rFIXFc 抗体及び凝固分析(aPTT 及び PT)のための血液試料は、試験第 1、15 及び 30 日のそれぞれ投与前並びに試験第 58 日 (回復動物のみ)に採取した。さらに aPTT 及び PT 測定のための試料を試験第 1、15 及び 30 日 の投与1 時間後にも採血した。 週 1 回で 5 回静脈内投与したときの rFIXFc の忍容性は良好であった。一般状態、体重、摂餌 量、眼科的検査、ECG、血液学的検査、血液生化学的検査、臓器重量、剖検及び病理組織学的検 査に rFIXFc の全身及び局所への影響は観察されなかった。投与部位の検鏡学的所見(炎症及び 出血)は対照群と投薬群で同程度であった。 唯一、rFIXFc の投与に関連した所見として、凝固系検査で試験第 1、15 及び 30 日の投与 1 時 間後の測定で、一過性のプロトロンビン時間(PT)の延長が観察された(表 4)。表 4 サル 5 週間投与毒性試験における平均プロトロンビン時間(秒) 投与量(IU/kg) 試験第1 日 試験第15 日 試験第30 日 試験第58 日 投与前 投与 1 時間後 投与前 投与 1 時間後 投与前 投与 1 時間後 雄 0(溶媒対照) 10.1 10.3 9.7 10.1 10.1 10.3 10.2 50 9.8 10.6 9.7 10.3 10.1 10.3 NAa 200 10.0 11.2 9.8 11.7* 10.4 11.5 NAa 1000 10.2 15.7* 10.0 16.3* 10.4 15.3* 10.7 雌 0(溶媒対照) 10.1 10.3 9.6 9.7 10.0 9.9 10.1 50 9.8 10.3 9.5 10.1 9.9 10.1 NAa 200 10.3 11.7 10.0 11.3 10.4 11.2* NAa 1000 10.3 15.1* 10.0 14.2* 10.3 14.5* 11.6 平均値、a:回復動物なし * :溶媒対照に対して有意差あり(p ≤ 0.05) NA:該当せず [試験番号N102011、Table 9 及び Table 10 より引用] PT の一過性の延長は、1000 IU/kg 群の試験第 1、15 及び 30 日の雌雄に観察された。PT への影 響に蓄積性はなく、回復動物の試験第 58 日の測定を含め、次の測定までに試験開始前の値に回 復した。 この一過性の延長が高濃度の rFIXFc の影響かどうかを検討するために追加の試験(試験番号 R-FIX-026)を実施し、in vitro で PT を測定した。正常ヒト血漿に rFIXFc 又は BeneFIX を添加し、
in vitro で PT を測定した。その結果、いずれの物質も等モル量で同程度に PT を延長させ、サル 5
週間投与試験でのPT 延長と一致した。 aPTT に rFIXFc の影響はみられなかった。
試験第 1 日の初回投与後の Cmax及びAUC は雌雄ともに 50~1000 IU/kg でほぼ用量比例性を示 した。血漿中濃度推移は二相性を示し、サルでの終末相の t1/2は約 2 日であった(群別平均値は 36~58 時間)。
抗 rFIXFc 抗体は試験期間中、用量依存的に産生され、1000 IU/kg 投与動物の 10 匹中 9 匹に試 験第30 日(最終投与後)又は試験第 58 日(回復期間終了後)の試験終了時までに 400~3200 の 抗体価を認めた(表 5)。
表 5 サル 5 週間投与試験での抗rFIXFc抗体出現頻度(雌雄合算値) 投与量(IU/kg) 抗体陽性動物数/観察動物数 試験第1 日 試験第15 日 試験第30 日 試験第58 日 全体 0(溶媒対照) 0/10 0/10 0/10 0/4 0/10 50 0/6 0/6 1/6 NAa 1/6 200 0/6 0/6 2/6 NAa 2/6 1000 0/10 1/10 6/10 4/4 9/10 a:回復動物なし NA:該当せず [試験番号N102011、Text Table 12 一部改変] 3 つの異なる分子(Fc、FIX 及び rFIXFc)及び陰性対照(ウシ血清アルブミン)を用いて競合 法により抗rFIXFc 抗体の特異性を評価した。抗 rFIXFc 抗体反応を示した投薬群の 12 匹中 4 匹は FIX 部位に、5 匹は Fc 部位にそれぞれ特異的に反応し、1 匹は FIX 及び Fc の両部位に反応した。 残る3 匹は試験の特異性の基準に合致せず、特異性を特定できなかった。 1000 IU/kg 群の動物の数匹では、最終投与後(試験第 30 日)抗体に clearing 作用を認めた。 AUC0-24比(試験第30 日/試験第 1 日)の個別値は高用量群の抗体陽性動物の 3 匹で 50%以上低 下した。しかし、その他の抗体陽性動物では、試験第 30 日の AUC に有意な低下は認められなか った。これらの抗体が、投与された rFIXFc 又は内因性の FIX に対する中和活性を有するかどう かは、本試験では直接評価しなかった。間接的な評価であるが、試験第 15 及び 30 日の投与前並 びに試験第58 日の剖検前の aPTT 値は正常範囲内であったことから、これらの抗体にサルの内因 性FIX に対する交差反応性はないことが示唆される。 以上のとおり、週 1 回で rFIXFc を 5 回静脈内投与したとき、雌雄カニクイザルに対する忍容 性は良好であった。全投薬群で用量依存的に抗 rFIXFc 抗体産生を認めたが、rFIXFc 投与に関連 した全身性及び局所性の毒性作用は認められなかった。したがって、本試験の NOAEL は最高用 量の1000 IU/kg であった。
3.5
サル27 週間投与試験及び 4 週間回復試験 (試験番号N102015、添付資料4.2.3.2.6、評価資料) 1 群あたり雌雄各 4 匹のカニクイザル(投与開始時年齢:2~4 歳、平均体重:雄約 2.5 kg、雌 約2.3 kg)に rFIXFc を 27 週間投与し、全身及び局所毒性を検討した。rFIXFc は 50、200 及び 1000 IU/kg の用量で週 1 回 27 週間静脈内投与した。rFIXFc の比活性は 58.3 IU/mg、rFIXFc のバルク製剤の活性は 315 IU/mL であった。溶媒には 10 mmol/L リン酸ナト リウム、150 mmol/L 塩化ナトリウム及び 0.1%ポリソルベート 20 からなる pH 7 の緩衝液を使用 した。投与容量は 3.2 mL/kg とした。対照群には溶媒を投与した。対照群及び高用量群には雌雄 各 2 匹を追加し、4 週間の回復性試験を実施した。投与終了後屠殺動物は、最終投与翌日(試験 第184 日)に剖検し、回復動物は投与終了 1 ヵ月後(試験第 212 日)に剖検した(表 6)。
表 6 サル 27 週間投与試験の試験デザイン 投 与 量 (IU/kg) 動 物 数 (雄/雌) 投 与 終 了 後 (SD184 ) 屠殺動物数(雄/雌) 回復期間終了後(SD212) 屠殺動物数(雄/雌) 0(対照) 6/6 4/4 2/2 50 4/4 4/4 ‐ 200 4/4 4/4 ‐ 1000 6/6 4/4 2/2 ‐:該当せず、SD:試験日 一般状態観察、体重、摂餌量、眼科的検査、ECG、臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検 査及び凝固系検査)、抗 rFIXFc 抗体測定、FIX 活性測定(改変 aPTT)、剖検、臓器重量及び病 理組織学的検査を実施し、毒性を評価した。また、局所刺激性の評価のため、肉眼及び検鏡的に 投与部位を観察した。 TK 評価のため、初回投与後(試験第 1 日)の投与前並びに投与 0.25、1、8、24、48、72、96、 120 及び 168 時間後に採血した。試験第 29 及び 92 日については、投与前並びに投与 0.25、1、8、 24 時間後に採血し、最終投与後(試験第 183 日)には、最終投与後剖検動物は投与前並びに投与 0.25、1、8 及び 24 時間後に、回復動物は投与前並びに投与 0.25、1、8、24、48、72、96、120 及 び 168 時間後にそれぞれ採血した。抗 rFIXFc 抗体、aPTT 及び FIX 活性測定(改変 aPTT)のた めの血液試料は、試験第 1、29、92 及び 183 日の投与前並びに試験第 212 日(回復動物のみ)に 採取した。さらに FIX 活性測定(改変 aPTT)のための試料を試験第 1、29、92 及び 183 日の投 与1 時間後にも採血した。サル 5 週間投与試験の 1000 IU/kg 投与群で、高い血漿中濃度のために 投与 1 時間後の PT 値に延長を認めたため、凝固系検査を含む臨床検査のための試料は、試験開 始前、試験第 86 日(試験第 85 日の投与翌日)、試験第 184 日(最終投与翌日)及び試験第 212 日(回復動物のみ)に採血した。 27 週間静脈内投与したときの rFIXFc の忍容性は良好であった。高用量群の雄 2 匹に rFIXFc 投 与に関連した軽度の過敏反応が観察され、顔面、耳、鼻及び陰嚢部位に斑点状の赤色化を認めた。 これらの所見は試験第 29 日及び試験第 57 日からそれぞれ出現し、最後に観察されたのは試験第 121 日(雄 1 匹のみ)であった。所見は概して投与後数時間以内に観察され、投与 4 日後までに 消失した。このパターンは抗 rFIXFc 抗体産生に対する軽度の過敏反応と一致しており、これら の所見が観察された2 匹では、いずれも試験第 29 日までに抗 rFIXFc 抗体の産生を認めた。 体重、摂餌量、ECG、眼科的検査、血液学的検査、血液生化学的検査、剖検、臓器重量及び病 理組織学的検査に rFIXFc の局所及び全身毒性は観察されなかった。rFIXFc は PT 及び aPTT に影 響しなかった。
病理組織学的検査で、投与部位に出血及び炎症が観察されたが、対照群及び投薬群の動物間に 差は認められなかった。
試験第 1 日の初回投与後の Cmax及びAUC は 50~1000 IU/kg の用量で雌雄ともにほぼ投与量に 比例した。血漿中 rFIXFc 濃度推移は二相性を示し、終末相の t1/2は約2 日であった(群別平均値 の範囲は46~60 時間)。
抗rFIXFc 抗体産生は、試験期間中投薬群の 28 匹中 18 匹に観察された(表 7)。これらの動物 のうち 12 匹は試験第 29 日までに抗体を認め、試験第 92 日までにさらに 6 匹に抗 rFIXFc 抗体反 応が陽性となった。試験第 92 日から投与終了後(試験第 183 日)までに新たに抗体を産生した 動物は観察されなかった。 表 7 サル 27 週間投与試験での抗rFIXFc抗体出現頻度 投与量(IU/kg) 抗体陽性動物数/観察動物数 試験第1 日 試験第29 日 試験第92 日 試験第183 日 試験第 212 日 0(溶媒対照) 0/12 0/12 1/12 1/12 0/4 50 0/8 1/8 3/8 3/8 NAa 200 0/8 2/8 4/8 4/8 NAa 1000 0/12 9/12 11/12 11/12 3/4 a:回復動物なし NA:該当せず [試験番号N102015、Text Table 13 一部改変] 3 つの異なる分子(Fc、FIX 及び rFIXFc)及び陰性対照(ウシ血清アルブミン)を用いて競合 法により抗 rFIXFc 抗体の特異性を評価した。抗 rFIXFc 抗体反応を示した投薬群の 18 匹中 12 匹 はFIX 部位に、2 匹は Fc 部位にそれぞれ特異的に反応し、残る 4 匹は FIX 及び Fc の両部位に反 応した。対照群の抗体陽性動物はFIX 部位に特異的に反応した。 これらの抗体の大半はclearing 抗体であり、投与された rFIXFc は試験第 1 日と比較して、試験 第 29、92 及び 183 日で循環血中から速やかに消失した。例として、高用量の抗体陽性雄動物 (動物番号403:FIX 部位に対する抗体)の試験第 1 日及び試験第 29 日の血漿中濃度推移を図 1 に示す。
図 1 動物番号 403(雄)の血漿中rFIXFc濃度(試験第 1 及び 29 日) [試験番号N102015、Appendix G の個別値より作図] 高用量(1000 IU/kg)群の 12 匹中 11 匹に抗 rFIXFc 抗体が認められ、抗体陰性であった雄 1 匹 (動物番号 406)及び弱い抗体反応を示した雌 1 匹(動物番号 413)を除き、ほぼすべての高用 量群の動物で試験第29、92 及び 183 日の rFIXFc 消失は速やかであった。 しかし、血漿中 FIX 活性(改変 aPTT 測定による)の投与前値は試験期間中、対照群及び高用 量群でほぼ一定であり、内因性FIX との交差反応性は認められなかった(表 8)。
表 8 サル 27 週間投与試験におけるFIX活性(改変aPTT法) 試験日 FIX 活性(%)a 0(溶媒対照群) 高用量群 雄 雌 雄 雌 投与前 投与 1 時間後 投与前 投与 1 時間後 投与前 投与 1 時間後 投与前 投与 1 時間後 試験第 1 日 97 (14.3) (10.8) 84 (6.1) 94 (10.5) 82 (7.5) 95 (93.0) 1440 (19.1) 106 (125) 1340 試験第 29 日 89 (7.3) (11.8) 77 (8.4) 86 (7.7) 72 (32.5) 57 (253) 1280 (19.0) 66 (152) 1350 試験第 92 日 64 (4.1) (4.4) 73 (5.4) 68 17.4) 90 (18.0) 79 (253) 1075 (23.8) 80 (316) 895 試験第 183 日 90 (17.8) (10.9) 76 (11.2) 90 (12.1) 86 (28.8) 123 (371) 718 (26.3) 101 (597) 499 試験第 212 日 84 (8.5) NA b 90 (8.5) NA b 90 (4.2) NA b 111 (21.2) NA b a:平均値(標準偏差)、b:回復期間中投与なし NA:該当せず [試験番号N102015、Text Table 16 一部改変] 週1 回 27 週間投与後の、投与前の FIX 活性は高用量群(試験第 183 日で雄 123%及び雌 101%) 及び溶媒対照群(それぞれ 90%及び 90%)で差を認めなかった。1 ヵ月の回復期間終了後の FIX 活性も高用量群(90%及び 111%)と溶媒対照群(84%及び 90%)とで類似していた。これらの 結果は、抗 rFIXFc 抗体は内因性 FIX と交差反応性を示さず、内因性 FIX 濃度を減少させないこ とを示唆している。 試験第183 日の投与 1 時間後の FIX 活性が、雌雄ともに低下した(雄で試験第 1 日の 1440%に 対し 718%、雌で試験第 1 日の 1340%に対し 499%)ことから、抗 rFIXFc 抗体の一部は中和抗体 であり、投与したrFIXFc 活性を低下させることが示された。 全ての測定時点での全ての動物の投与1 時間後の rFIXFc 濃度(μg/mL)はほぼ一定であった。 図 1 に示すとおり、投与 8 時間後には速やかな消失がみられた。しかし、投与された FIX 活性は 抗体陽性動物の数例では投与 1 時間後に低下し、抗体の中和能力が示唆された。数例の値を表 9 に示す。 動物番号 406 の雄は、抗体陰性で試験第 1、29、92 及び 183 日の投与 1 時間後の rFIXFc 濃度 及び FIX 活性はほぼ一定であった。動物番号 413 の雌は、弱い抗体反応(抗体価:100 及び 200) を示し、試験期間中 rFIXFc 濃度及び FIX 活性のいずれも低下しなかった。一方、動物番号 403 の雄は試験第 29 日までに抗体を産生し、その後の試験期間中、軽度の FIX 活性低下を認めた (試験第 1 日の 1380%に対し、690%~1020%)。動物番号 414 の雌では強い抗体反応(試験第 183 日の抗体価:6400 以上)を認め、投与 1 時間後の rFIXFc 濃度はほぼ一定(170~294 μg/mL) であったが、FIX 活性は試験第 1 日が 1350%であったのに対し、試験第 183 日には 78%に低下し た。
表 9 サル 27 週間投与試験における投与 1 時間後の rFIXFc濃度及び投与されたFIX活性の比較 動物番号a (性別) 試験日 抗体価 投与1 時間後 rFIXFc 濃度(μg/mL) FIX 活性 #406(雄) 試験第1 日 陰性 173 1290% 試験第29 日 陰性 188 1440% 試験第92 日 陰性 193 1470% 試験第183 日 陰性 176 1230% #413(雌) 試験第1 日 陰性 74 1320% 試験第29 日 陰性 168 1530% 試験第92 日 100 195 1350% 試験第183 日 200 238 1560% #403(雄) 試験第1 日 陰性 174 1380% 試験第29 日 6400 120 780% 試験第92 日 3200 180 1020% 試験第183 日 3200 160 690% #414(雌) 試験第1 日 陰性 189 1350% 試験第29 日 800 170 1230% 試験第92 日 > 1600 223 750% 試験第183 日 > 6400 294 78% a:いずれも 1000 IU/kg 群
[試験番号N102015、Appendix D、Appendix E 及び Appendix F の個別値より作成]
抗 rFIXFc 抗体は rFIXFc 投与群のサル(低、中間及び高用量群合算で)28 匹中 18 匹に産生し た。これらの抗体は clearing 抗体であり、投与された rFIXFc は試験第 29、92 及び 183 日には、 試験第1 日と比較して血中から速やかに消失した。これらの抗体の一部は試験第 29、92 及び 183 日の投与1 時間後の FIX 活性を低下させたことからを中和能力も有することが示された。投薬群 及び対照群で投与前及び試験終了後のFIX 活性に差はみられず、抗体陽性動物に内因性 FIX 活性 に対する交差反応性及び阻害は認められなかった。 以上のとおり、週 1 回で 27 回 rFIXFc を静脈内投与したとき、全投薬群で用量依存的に抗 rFIXFc 抗体産生を認めたが、1000 IU/kg まで雌雄カニクイザルに対する忍容性は良好であった。 高用量群の雄 2 匹に軽度の過敏反応が観察されたが、本所見は抗 rFIXFc 抗体産生に関連し、投 与期間終了前に消失した。rFIXFc 投与に関連した全身性及び局所性の毒性作用は観察されなかっ た。したがって、本試験のNOAEL は最高用量の 1000 IU/kg と判断した。
4. 遺伝毒性試験
ICHガイドラインS6 (R1) では、“複合タンパク製剤内に有機性の結合分子が存在する”バイオテクノロジー応用医薬品の遺伝毒性の必要性が論じられている。rFIXFcはリンカーが介在しない Fc部位を融合させた天然のFIXコード配列からなる分子であり[3]、特別な懸念には該当しない。 Fc融合タンパク質(abatacept、alefacept、etanercept)では、遺伝毒性試験が実施されているが、 いずれの試験結果も陰性であり、高分子遺伝子組換えタンパク質に対する予測に一致した[4]。
ICH ガイドライン S6 (R1) に基づき、rFIXFc は DNA に相互作用する機序は報告されていない ことから、これまで rFIXFc の遺伝毒性試験は実施していない。しかし、他の Fc 融合タンパク質 である alefacept の遺伝毒性試験成績が rFIXFc の遺伝毒性の評価に有用と考え、本 CTD に含めた。 Alefacept の Fc 部分は rFIXFc の Fc 部分と同一で、いずれも CH2 及び CH3 ドメイン及びヒンジ部 を含んでおり、アミノ酸配列が同一である。Alefacept の遺伝毒性は細菌を用いた復帰突然変異試 験及び in vitro 染色体異常試験で評価した。いずれも陰性であり、代謝活性化系の有無にかかわ らず alefacept は変異原性及び染色体異常誘発性を示さなかった。これらの結果は rFIXFc を含む Fc 融合タンパク質が遺伝毒性を持たないことを裏付けるものである。
4.1
Alefaceptの細菌を用いた復帰突然変異試験 (試験番号P9273-95-04、添付資料4.2.3.3.1.1、参考資料) Alefacept の細菌を用いた復帰突然変異試験を実施した。Salmonella typhimurium の 4 変異株 (TA1535, TA1537, TA98 及び TA100)並びに Escherichia coli の 1 変異株(WP2 uvrA)を使用し た。S9 存在下及び非存在下についてプレート法で試験した。被験物質濃度は、10、50、100、 500 及び 1000 μg/plate とし、最高濃度は実施可能な最高濃度とした。 Alefacept に変異株に対する変異原性は観察されず、プレートあたりの復帰突然変異コロニー数 は溶媒対照の値と同様であった。このように、Alefacept は本復帰突然変異試験で陰性であった。4.2
Alefaceptのヒト末梢血リンパ球を用いるin vitro染色体異常試験 (試験番号P9273-95-06、添付資料4.2.3.3.1.2、参考資料) Alefacept のヒト末梢血リンパ球を用いた in vitro 染色体異常試験を S9 の存在下及び非存在下で 実施した。S9 非存在下では、10、100 及び 500 μg/mL の濃度で検討した。これより高濃度の 1000 μg/mL は分裂指数が顕著に低下したため(対照の 26%)、染色体異常試験から除外した。 S9 存在下では、0.1、50 及び 500 μg/mL で検討した。これより高濃度の 1000 μg/mL は分裂指数が 低下したため(対照の47%)、染色体異常試験から除外した。 S9 非存在下、次の条件下で処理した。 ・被験物質に27 時間曝露(2 時間後に細胞収穫) ・被験物質に27 時間曝露(26 時間後に細胞収穫) ・被験物質に3 時間曝露(27 時間後に細胞収穫) ・被験物質に3 時間曝露(51 時間後に細胞収穫) Alefacept はこれら 4 つの条件下、陰性であった。 S9 存在下、次の 2 条件下で処理した。・被験物質に3 時間曝露(26 時間後に細胞収穫) ・被験物質に3 時間曝露(50 時間後に細胞収穫) Alefacept はこれら 2 つの条件下、陰性であった。
5. がん原性試験
ICH ガイドライン S6 (R1) に従い、重要性に基づく評価(weight-of-evidence)によって rFIXFc のがん原性リスクを評価した。評価には次を含めた。 ・rFIXFc の DNA との相互作用の可能性の評価 ・FIX 補充療法での臨床経験 ・rFIXFc の代謝 ・カニクイザルの長期反復投与試験成績 rFIXFc のような高分子遺伝子組換えタンパク質が、患者への投与後、遺伝子障害を引き起こす 可能性は無視できる[4]。遺伝毒性試験は、化合物が DNA と直接親電子的相互作用を示し、 DNA 付加体を形成する可能性を主に検出する。rFIXFc のような高分子タンパク質が直接 DNA に 作用し DNA 付加体を形成する作用は報告されていない。DNA 代謝や細胞増殖作用に対する変化 など間接的な変異原性作用も、血友病B 患者への補充療法及びセリンプロテアーゼとしての機能 を有するrFIXFc にはないとみられる。 rFIXFc は患者の循環血中で FIX 活性を示すため、がん原性リスクを示唆する機序を有さない。 補充療法は 40 年以上にわたり実施されており、当初ヒト血漿から純化された FIX 濃縮製剤が開 発され、後に、細胞培養上清から精製した遺伝子組換え FIX 製剤が開発された。これらの製剤に 患者でのがん原性及び変異原性は危惧されておらず、公表論文の調査でも実例は報告されてない。 rFIXFcはFIXを長時間作用型にすることを目的とした融合タンパク質で、ヒトFIXにヒトIgG1の Fcドメインを介在配列なしで融合させることにより循環血からのt1/2を延長させた。rFIXFcの FcRnへの結合が循環血からのt1/2の延長のために重要であり、rFIXFcはヒトを含めた数種の哺乳 類で他のFIX製剤と比較してt1/2が長いことが確認されている。rFIXFcのFcRnへの結合は細胞内異 化作用を阻止する[5]。循環血からのt1/2の延長以外、rFIXFcの異化の過程はその他のFIX製剤 と同じである。 毒性試験に rFIXFc が腫瘍誘発性に影響する可能性を示唆する所見はない。カニクイザル 27 週 間投与試験(3.5 項)では、病理組織学的検査で rFIXFc に起因した所見は認められず、投薬動物 に前がん病変又は過形成は観察されなかった。 以上のとおり、weight-of-evidence の手法による評価の結果、rFIXFc のがん原性リスクは低かっ た。完了した試験、rFIXFc の遺伝子配列情報及び公表論文からの情報により、適切に包括的にが ん原性リスクが評価されたと考えられる。
6. 生殖発生毒性試験
他のFIX 製剤(例えば BeneFIX)同様、rFIXFc の生殖発生毒性試験は実施しておらず、計画も していない。ラット4 週間投与試験(3.3 項)並びにサル 5 週間及び 27 週間投与試験(それぞれ 3.4 項及び 3.5 項)で、男性生殖器(精巣上体、前立腺、精嚢及び精巣)に投薬に関連した所見は 観察されていない。また、これらの試験で女性生殖器(卵巣、子宮及び膣)にも投薬に関連した 所見はみられていない。7. 局所刺激性試験
3 つの反復投与毒性試験(3.3、3.4 及び 3.5 項)の静脈内投与部位の剖検及び病理組織学的検査 から rFIXFc の局所刺激性を評価した。これらの試験では、対照動物の投与部位の病理組織学的 検査所見と比較して rFIXFc 投与による局所反応の増悪は観察されなかった。ラット及びサルの いずれの動物種でも、全ての群で出血及び炎症は同程度であった。 さらに、NZW ウサギで静脈内及び静脈周囲投与による局所刺激性試験を実施し、以下の成績 を得た。7.1
ウサギ局所刺激性試験 (試験番号ASL00018、添付資料4.2.3.6.1、評価資料) 1 群 10 匹の雄 NZW ウサギ(投与時週齢:18~19 週齢、体重:2.8~3.5 kg)を用いて凍結液剤 及び凍結乾燥剤の2 種類の rFIXFc 製剤の局所刺激性試験を実施した。第 1 群では、ウサギの左耳介に rFIXFc 凍結乾燥剤(活性 566 IU/mL)198 IU/kg を静脈内及び 静脈周囲投与し、右耳介に溶媒(35 mmol/L ヒスチジン、183 mmol/L マンニトール、49 mmol/L ショ糖、56 mmol/L 塩化ナトリウム、0.01%ポリソルベート 20 からなる pH 7.2 の緩衝液)を同様 に投与した(投与部位計4 ヵ所)。第 2 群では、rFIXFc 凍結液剤(活性 315 IU/mL)110 IU/kg 及 び陰性対照(注射用生理食塩液)を同様に投与した。投与容量は静脈内投与で 0.35 mL/kg、静脈 周囲投与で 0.15 mL/匹とした。半数の動物は試験第 4 日に屠殺し、残りの動物は試験第 14 日に 屠殺した(表 10)。
表 10 ウサギ局所刺激性試験の試験デザイン 群 動 物 数 (雄) 被験物質 投与部位 投 与 量 (IU/kg) 評 価 時 期 (動物数) 1 10 凍結乾燥剤の溶解剤 右耳 (IV 及び PV) 0 試験第4 日 (5) 試験第14 日 (5) 凍結乾燥剤 左耳 (IV 及び PV) 198 2 10 陰性対照 (生理食塩液) 右耳 (IV 及び PV) 0 試験第4 日 (5) 試験第14 日 (5) 凍結液剤 左耳 (IV 及び PV) 110 IV:静脈内投与、PV:静脈周囲投与 凍結液剤及び凍結乾燥剤のいずれの rFIXFc 製剤にも局所刺激性は認められなかった。溶媒対 照を含め、全ての投与部位の皮膚の炎症及び浮腫の頻度及び重症度は類似していた。
8. その他の毒性試験
rFIXFc の血栓形成能を 2 つのウサギ Wessler うっ血血栓症モデルで評価した。その結果、 rFIXFc 投与群の平均血栓形成スコアは凍結液剤、凍結乾燥剤のいずれも生理食塩液群及び溶媒対 照群と類似した。このようにWessler うっ血血栓症モデルの結果から rFIXFc の血栓形成リスクは 低いと判断される。8.1
NZWウサギを用いたWesslerうっ血血栓症モデルによる血栓形成能の検討(凍結液剤) (試験番号N102013、添付資料4.2.3.7.7.1、評価資料) rFIXFc 凍結液剤の血栓形成能をウサギ Wessler うっ血モデルで評価した。 1 群 6 匹の雄ウサギ(投与日月齢:4~5 ヵ月齢、体重:3.16~3.62 kg)を使用し、投与前にウ サギの耳翼辺縁静脈に静脈内投与用カテーテルを留置し、麻酔下、頚静脈部位(投与部位の耳翼 辺縁静脈の対側)を結紮のため外科的に露出させた。rFIXFc(比活性 58.8 IU/mg)は、50、200 及び 987 IU/kg の用量を約 15 秒かけて静脈内投与し た。陰性対照動物には生理食塩液及び溶媒(10 mmol/L リン酸ナトリウム、150 mmol/L 塩化ナト リウム及び 0.1%ポリソルベート 80 からなる pH 8.0 の緩衝液)を投与した。さらに、BeneFIX (198 IU/kg)及び陽性対照(Profilnine SD、216 IU/kg)をそれぞれ投与した。BeneFIX の投与容 量は1.8 mL/kg とし、その他は 2.1 mL/kg とした(表 11)。
表 11 ウサギうっ血血栓症モデルの試験デザイン(凍結液剤) 群 投 与 量 (IU/kg) 動物数 溶媒対照群 0 6 rFIXFc(低用量)群 50 6 rFIXFc(中間用量)群 200 6 rFIXFc(高用量)群 987 6 陽性対照(Profilnine SD)群 216 6 BeneFIX 群 198 6 生理食塩液群 0 6 投与開始 30 秒後に頚静脈露出部位を結紮した。結紮部位を投与開始 10 分間に摘出した。頚静 脈内容物を 3 mL の生理食塩液の入ったプラスチックシャーレに移し、血栓数を計数し、スコア 化した。 血栓形成のスコアは以下のとおり。 • 0 = 凝血槐なし • 1 = 肉眼で少数のフィブリンストランドを認める • 2 = 数個の小さな血栓を認める(1 個の大きな血栓を含んでもよい) • 3 = 2 個以上の大きな血栓を認める(数個の小さな血栓を含んでもよい) • 4 = 摘出部位の円柱形をした 1 個の血栓を認める 生理食塩液及び溶媒を投与したウサギのスコアの個別値は 0、1 又は 2 であり、血栓形成スコ アの平均値は1.2 及び 1.0 であった(表 12) 表 12 個体別及び平均血栓形成スコア(凍結液剤) 群 血栓形成スコア別発現動物数 平均スコア 0 1 2 3 4 生理食塩液 1 3 2 0 0 1.2 溶媒 3 0 3 0 0 1.0 rFIXFc 50 IU/kg 0 0 4 2 0 2.3 rFIXFc 200 IU/kg 1 2 3 0 0 1.3 rFIXFc 987 IU/kg 0 5 1 0 0 1.2 BeneFIX 198 IU/kg 0 0 6 0 0 2.0 Profilnine SD 216 IU/kg 0 0 1 3 2 3.2 [試験番号N102013、Text Table 8 引用] rFIXFc 投与群の血栓形成スコアは 0~3 の範囲であり、平均値は 50、200 及び 987 IU/kg 投与で それぞれ 2.3、1.3 及び 1.2 であった。血栓形成スコアは 2 が最も多かった(18 匹中 8 匹)。 BeneFIX 群の血栓形成スコアは全て 2 であった。陽性対照群(Profilnine SD 群)の血栓形成スコ
アは2~4 の範囲であり、平均値は 3.2 であった。 以上のとおり、rFIXFc 投与群の平均血栓形成スコアは軽度に溶媒対照群より高値であったが、 BeneFIX 群及び生理食塩液群の平均血栓形成スコアと同様であった。
8.2
NZWウサギを用いたWesslerうっ血血栓症モデルによる血栓形成能の検討(凍結乾燥剤) (試験番号N102018-B、添付資料4.2.3.7.7.2、評価資料) rFIXFc 凍結乾燥剤の血栓形成能をウサギ Wessler うっ血モデルで評価した。モデルの作成は先 の試験(8.1 項)と同様とした。 1 群 6 匹の雄ウサギ(投与日月齢:4~5 ヵ月齢、体重:3.3~3.6 kg)に 50、200 及び 1000 IU/kg の rFIXFc(比活性 65 IU/mg)を約 15 秒かけて静脈内投与した。陰性対照動物には生 理食塩液及び溶解液(35 mmol/L ヒスチジン、183 mmol/L マンニトール、49 mmol/L ショ糖、 56 mmol/L 塩化ナトリウム、0.01% ポリソルベート 20 からなる pH 7.2 の緩衝液)を投与した。さ らに、BeneFIX(991 IU/kg)及び陽性対照(Profilnine SD、198 IU/kg)及びをそれぞれ投与した。 BeneFIX の投与容量は 2.8 mL/kg、Profilnine SD は 1.8 mL/kg とし、その他は 2 mL/kg とした(表 13)。 表 13 ウサギうっ血血栓症モデルの試験デザイン(凍結乾燥剤) 群 投 与 量 (IU/kg) 動物数 生理食塩液群 0 6 溶解液群 0 6 rFIXFc(低用量)群 50 6 rFIXFc(中間用量)群 200 6 rFIXFc(高用量)群 1000 6 陽性対照(Profilnine SD)群 198 6 BeneFIX 群 991 6 生理食塩液群のウサギの血栓形成スコアは 0 であり、溶媒対照群の動物では個別値は 0、1 及 び2 であり、平均スコアは 1.2 であった(表 14)。表 14 個体別及び平均血栓形成スコア(凍結乾燥剤) 群 血栓形成スコア別発現動物数 平均スコア 0 1 2 3 4 生理食塩液 6 0 0 0 0 0 溶解液 2 1 3 0 0 1.2 rFIXFc 50 IU/kg 4 2 0 0 0 0.3 rFIXFc 200 IU/kg 2 2 2 0 0 1.0 rFIXFc 1000 IU/kg 2 2 2 0 0 1.0 BeneFIX 991 IU/kg 0 0 5 0 1 2.3 Profilnine SD 198 IU/kg 0 0 5 1 0 2.2 [試験番号N102018-B、Text Table 12 引用] rFIXFc 投与群の血栓形成スコアの範囲は 0~2 であり、平均値は 50、200 及び 1000 IU/kg 群で それぞれ 0.3、1.0 及び 1.0 であった。これらの値は陽性対照群の値(範囲:2~3、平均値:2.2) より低値であった。 991 IU/kg の BeneFIX 投与群のスコアの平均値は 2.3(6 匹中 5 匹が 2、1 匹が 4)であり、高値 であった。BeneFIX の投与量は、rFIXFc の高用量群の投与量(1000 IU/kg)に合わせた。
9. 考察及び結論
rFIXFc の毒性を SD ラット及びカニクイザルの 2 種類の動物種を用いて評価し、さらに NZW ウサギを用いて局所刺激性及び血栓形成能を検討した。ラット及びサルの反復投与毒性試験では それぞれ4 週間及び 27 週間まで rFIXFc を投与した(rFIXFc の単回急性毒性試験は実施しなかっ た)。rFIXFc はラット及びサルで FcRn に結合する。FcRn は rFIXFc の循環血からの t1/2を延長さ せる重要な受容体であり、ラット及びサルは反復投与毒性試験に使用する動物種として薬理学的 に適切である。また、血液凝固カスケード中の凝固因子の活性化は動物種間で十分に保持されて いる。 毒性試験の投与経路は、臨床投与経路に準じて静脈内投与とした。GLP 反復投与毒性試験には 凍結液剤を使用した。これらの毒性試験で使用した 3 種類のロットは純度(サイズ排除クロマト グ ラ フ ィ ー に よ り rFIXFc 単量体で 97%、99%及び 99.5%)及び比活性(58.3、58.8 及び 59.7 IU/mg)ともに同程度であった。ラット及びサルの t1/2(それぞれ約 1 日及び 2~3 日)を考 慮し、ラットで4 日ごと、サルで 1 週間ごとの投与間隔とした。これにより CminとCmaxの間での rFIXFc 濃度で持続的な曝露を確保した。GLP 反復投与毒性試験実施後、凍結乾燥剤が開発され た。物理的、生化学的及び非臨床試験で凍結乾燥剤と凍結液剤に相違はみられなかった。また、 ウサギ局所刺激性及び血栓形成能試験で、凍結乾燥剤は凍結液剤と同程度の作用を示した。 rFIXFc は反復投与毒性試験で、良好な忍容性が示され、局所刺激性はなく、血栓形成リスクを 示さなかった。 反復投与毒性試験で観察された主な所見は抗 rFIXFc 抗体産生に関連した。軽度かつ一過性の過敏反応がサル 27 週間投与試験の高用量群の雄 2 匹に観察されたが、試験終了前に消失した。 ラット及びサルの両動物種で、抗体産生が用量依存的に認められ、頻度及び抗体価が上昇した。 これらの抗体は clearing 抗体であり、全ての GLP 反復投与毒性試験で、初回投与後の TK プロフ ァイルと比較して試験後半では rFIXFc の消失が早まった。ラット及びサルのいずれの動物種で も、抗体産生後の AUC は試験第 1 日と比較して低値であったが、用量依存性は保持された。27 週間試験では、これらの抗体の内因性 FIX との交差反応性は示唆されなかった。ラット及びサル のいずれにも投薬に関連した病理組織学的変化は認められず、抗原-抗体複合体形成による臓器 毒性は観察されなかった。 ラット及びサルに対して rFIXFc は異種タンパク質であるため、抗 rFIXFc 抗体産生は予測され る。しかし、抗 rFIXFc 抗体産生はみられたが、いずれの動物種を用いた反復投与毒性試験でも 投与期間中の曝露は維持され、rFIXFc の毒性は適切に評価された。
rFIXFc は毒性試験に使用した最高用量の 1000 IU/kg でも、rFIXFc を補充療法として使用する のに十分な安全性を示した。これらの毒性試験結果から、rFIXFc の安全性は動物試験で適切に評 価され、非臨床毒性試験プログラムは rFIXFc の臨床上の安全性プロファイル及び承認申請を十 分サポートしていると判断される。
10. 引用文献
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3 Peters RT, Low SC, Kamphaus GD, Dumont JA, Amari JV, Lu Q, Zarbis-Papastoitsis G, Reidy TJ, Merricks EP, Nichols TC and Bitonti AJ. Prolonged activity of factor IX as a monomeric Fc fusion protein. Blood. 2010 Mar 11;115(10):2057-64.(添付資料4.3.11)
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