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平成 29 年度 築堤盛土等に用いる高含水比粘性土の改良工法について 江別太遊水地における回転式破砕混合工法の実用化に向けて 札幌開発建設部江別河川事務所調査課 中村亮太渡辺雅裕山中誠也 江別太遊水地整備では 遊水地内掘削土である高含水比の粘性土を堤防の盛土材として利用している 粒度調整や含水比低下

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平成29年度

築堤盛土等に用いる高含水比粘性土の

改良工法について

―江別太遊水地における回転式破砕混合工法の

実用化に向けて―

札幌開発建設部 江別河川事務所 調査課 ○中村 亮太 渡辺 雅裕 山中 誠也 江別太遊水地整備では、遊水地内掘削土である高含水比の粘性土を堤防の盛土材として利用 している。粒度調整や含水比低下を図るため、砂と攪拌することにより品質を確保してきた。 しかし、膨大な砂の確保が必要であるため、粘性土と固化材による回転式破砕混合工法の現地 試験を実施した。本論は回転式破砕混合工法でさらなる改善点がないか検証し、堤防の盛土材 確保としての当工法の有用性について報告する。 キーワード:設計・施工、リサイクル (2 ) 江別太遊水地の特徴 1. はじめに 江別太遊水地では、遊水地内掘削土を堤防の盛土材と (1) 千歳川遊水地事業について して使用しているが、泥炭や高含水比の粘性土が多く分 千歳川は、支笏湖に源を発し、千歳市街を抜けると流 布しているため、そのまま盛土材としては使用できない。 域の宅地や農地が大多数を占める低平地に入る。河床勾 そのため、掘削基面高以下まで掘削し泥炭を埋め戻すこ 配が 1/7000 程度の緩やかな流れとなり、沿川に広がる広 とで、より多くの粘性土を確保し、確保した粘性土の含 大な農地を流下し、江別市街において石狩川に合流する 水比低下、粒度調整を図るため砂と攪拌させて安定した 幹川流路延長 108km、流域面積 1244km2 の石狩川の 1 次 盛土材料とすることで堤防の盛土材として利用している。 支川である。 そのため、洪水時には緩やかな河床勾配により石狩川 本工法は膨大な砂が必要となるが、周辺の河道掘削に 本川の高い水位の影響を長時間、また 42km という長い よる砂の確保が困難なため、購入砂やダンプの運搬によ 区間にわたって受けるという特性を有している。 るコストの増大、地域への負荷等の課題がある。それら そこで千歳川の治水対策として、河道掘削、堤防の整 の課題解決のため、砂を必要とせず、高含水比粘性土を 備などを進めると共に、洪水時の水位上昇を抑えるため、 そのまま利用できる回転式破砕混合工法により、盛土材 流域 4 市 2 町の千歳川本支川の地先において概ね 5 千万 確保が可能な回転式破砕混合工法について今年度試験施 m3の容量の遊水地群の整備を進めている(図-1.1)。 工を行った。 2. 回転式破砕混合工法(セメント固化材)効果 高含水比の粘性土をセメントと攪拌する場合では、セ メントの水和反応によって強度が発現するため、曝気に より含水比を下げる必要性は基本的にはないが、強度発 現を待つため、7 日から 28 日程度養生させる必要があ る。よって、従来の曝気期間より養生期間が短ければ、 工期短縮、置土ヤードが縮小などの施工性向上が期待で きる。 なお、養生後の安定処理土はバックホウで破砕するこ とによって、その後の固化や施工後の安定処理土の変形 図-1.1 千歳川遊水地群 による亀裂を生じる危険性を低減している。

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コ ー ン 指 数 qc ( kN / m 2) コ ー ン 指 数 qc ( kN / m 2) 土 固 セメント配合量 (kg/m3) セメント配合量 (kg/m3) 回転式破砕混合工法 粘性 化材 本体 図-2.1 回転式破砕混合工法のメカニズム また、図-2.1に示しているプラント内でインパクトチ 表-3.2 室内配合試験結果 ェーンが高速回転することにより攪拌させる工法となっ ており、従来のスタビライザー等に比べ、本工法ではよ り均一に攪拌することが可能となり、セメント混合量の 低減、盛土材の均一性に期待できる。 3. 今年度実施状況 平成 23∼25 年と他の千歳川遊水地において、回転式 破砕混合工法について試験施工が行われ、施工性やコス ト面などを考慮し、課題を改善してきた。 そこで当事務所においても、これらの成果を参考にし つつ、江別太遊水地で発生する粘性土を利用して、本格 運用していくために今年度試験施工を行い、適応性やさ らなる改善点等について検証を行った。下記に、今年度 破砕前 1600 試験施工の結果をまとめる。 σ7日破砕前 1400 目標強度qc≧400 (1) 室内試験による最適配合量 1200 固化破砕(粘性土をセメント安定処理し、バックホウ 1000 で崩したもの)までの養生日数は7日とし、目標強度qc 800 ≧400kN/m2を満足するセメント最適配合量を検討した。 600 養生日数7日とした理由は、7日までの強度増加率が大き 400 いためである。掘削土は表-3.1に示すような含水比概ね 200 45%程度の均一な粘性土である。 0 室内配合試験は、セメント量を10kg単位で変化させ、 20 30 40 50 60 70 80 傾向を確認した。固化破砕前は、セメント量40kg/m3で qc=400kN/m2以上の強度発現が見られた。固化破砕後は、 固化破砕直後 1600 セメント量40kg/m3ではqc=400kN/m2が出なかったが、セ σ7破砕直後 1400 メント量50kg/m3ではqc=400kN/m2以上の強度発現が見ら 目標強度qc≧400 れた。以上の結果から、室内配合試験での最適配合量は 1200 固化破砕前と後でqc=400kN/m2を満たす50kg/m3とした。 1000 40∼50kg/m3の間でqc=400kN/m2の強度が発現しているた 800 最適配合量 50kg め、現地ではセメント量45 kg/m3,50 kg/m3,55kg/m3の3パタ 600 ーンに分けて試験を行った(表-3.2、図-3.1)。 400 表-3.1 掘削土 200 0 20 30 40 50 60 70 80 図-3.1 セメント最適配合量

Ryouta Nakamura, Masahiro Watanabe, Seiya Yamanaka

改良 対象土 + 改良材 破砕前 養生日数 破砕後 養生日数 累計 養生日数 配合量 試料名 含水比 コーン指数 (日) (日) (日) (kg/m3) W(%) qc(kN/m2) 粘土 P- 1 + 河川堤防 盛土用 安定処理材 ETR3 7 破砕前 -30 T30- σ7 42.4 272 40 T40- σ7 41.9 414 50 T50- σ7 41.2 1040 60 T60- σ7 40.8 1546以上 70 T70- σ7 39.7 1546以上 7 破砕直後 30 T30- σ7+0 42.2 173 40 T40- σ7+0 41.7 259 50 T50- σ7+0 40.9 577 60 T60- σ7+0 40.5 1086 70 T70- σ7+0 39.5 1546以上

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コ ー ン 指 数 qc (k N/ m 2) 1.386 2.700 (2 ) 現場最適配合量、室内現場強度比、締固め回数 (3 ) 盛土材料品質管理 配合量 45kg/m3、50kg/m3、55kg/m3 の三配合について試 「道路・河川工事仕様書」(表-3.4)に示される盛土 験転圧を実施し、現場での最適配合量を検討した。 材料の品質管理手法としては砂質土の「締固め度」によ 室内配合試験結果によると、概ね 45kg/m3 は室内強度 る方法と、粘性土の「空気間隙率」と「飽和度」による qc≧400kN/m2(推定)、50kg/m3 は室内強度 qc≧600kN/m2、 方法がある。 55kg/m3 は室内強度 q c≧800kN/m2 に相当している(図- 現場密度試験の結果(表-3.5)、添加量 55kg/m3養生日 3.2)。 数 7 日のコンバインドローラーにおける結果は、飽和土 試験転圧の結果、現地で qc=400kN/m2 を満足するのは 86∼95%、空気間隙率 2∼8%と粘性土盛土の基準値を満 55kg/m3となり、室内現場強度比は 2:1 と推定される。 足しており、所定の盛土品質を満足したと判断される また、転圧回数については転圧回数が多くなるほど強 (表-3.5)。 度が低下する傾向がみられたため 4 回を最適と判定した。 締固め度に関しては概ね 80∼95%の範囲であり、場合 これは粘性土のオーバーコンパクションや転圧によるセ によっては締固め度 90%を超えるが大半が締固め度 85% メント結合の破壊が影響していると考えられる(表- 程度と基準値を満足しない(表-3.5)。元々粘性土であ 3.3)。 るため、セメント安定処理をしたとしても、締固め度は 基準値を満たしづらい材料である。また、今回の試験施 1600 工では粒度構成が変わるほどのセメント量を投入してい 室内 現場 1400 目標強度qc≧400 ないことも要因である。 1200 したがって、今回の地内掘削粘性土を目標強度 1000 qc=400kN/m2 でセメント安定処理した材料に関しては、 800 粘性土盛土の基準を適用することが妥当であると考えら 600 れ、「空気間隙率」と「飽和度」による管理を標準とす 400 る。 200 なお、締固め度に関しては含水比を低下させることで 0 20 30 40 50 60 70 80 90%以上とすることが可能であることが示唆されるが、 セメント配合量 (kg/m3) 図-3.2 固化破砕土(7 日養生)強度 粘性土盛土の品質基準を満足する材料を曝気乾燥させ砂 表-3.3 転圧回数比較 質土の基準で管理することは不効率といえることから、 転圧 転圧 養生 転圧後 1 2 3 平均 最大 最小 現実的な方法ではないと考えられる。 添加量 深度 前後 回数 日数 日数 qc qc qc qc qc qc (kg/m3) (回) (日) (日) (m) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) 0.1 266 295 309 表-3.4 河川土工における品質管理手法 4 0.2 410 338 309 347 410 266 0.3 395 395 410 C 0.1 280 309 309 (コンバイ 45 ンドロー 6 7 0 0.2 309 295 309 315 366 280 0.3 366 338 323 ラー) 0.1 280 295 295 8 0.2 295 309 295 312 366 280 0.3 366 366 309 転圧 転圧 養生 転圧後 1 2 3 平均 最大 最小 添加量 深度 前後 回数 日数 日数 qc qc qc qc qc qc (kg/m3) (回) (日) (日) (m) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) 0.1 280 323 323 4 0.2 309 352 323 349 424 280 0.3 381 424 424 C 表-3.5 添加量 55kg/m3養生日数 7 日、コンバインドロ 0.1 323 352 338 (コンバイ 50 6 7 0 0.2 338 309 381 355 438 309 ーラーの品質管理結果 ンドロー 0.3 352 438 366 ラー) 含水比 乾燥密度 最大乾燥密度 土粒子密度 締固め度 飽和度 空気間隙率 0.1 266 280 309 8 0.2 295 280 309 314 438 266 w (%) ρd(g/cm3) ρdmax(g/cm3) ρs(g/cm3) S r(%) Va(%) 0.3 438 323 323 11月2日 43.2 1.192 86.0 92.2 4.4 11月2日 44.0 1.191 85.9 93.8 3.5 転圧 転圧 養生 転圧後 1 2 3 平均 最大 最小 11月8日 44.6 1.183 85.4 93.9 3.4 添加量 深度 前後 回数 日数 日数 qc qc qc qc qc qc 11月14日 45.8 1.163 83.9 93.6 3.7 11月14日 46.4 1.148 82.8 92.7 4.2 (kg/m3) (回) (日) (日) (m) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) 10月28日 33.2 1.324 95.5 86.3 7.0 0.1 539 438 453 4 0.2 453 410 410 454 539 410 0.3 424 438 525 C 0.1 424 410 410 (コンバイ 55 ンドロー 6 7 0 0.2 410 582 424 447 582 410 0.3 410 539 410 ラー) 0.1 381 467 438 8 0.2 410 395 410 464 611 381 0.3 553 510 611

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置 土 強 度 /破 砕 後 強 度 平 均 コ ー ン 指 数 qc (k N/ m 2) 置土強度/破砕後強度 4.0 3.0 養生日数3日(55kg/m3) 2.0 養生日数7日(55kg/m3) 養生日数10日(55kg/m3) 1.0 養生日数14日(55kg/m3) 養生日数28日(55kg/m3) 0.0 0 置土の養生日数 (日) 養生日数と破砕後の強度変化の関係 2000 1800 1600 1400 1200 1000 養生日数3日(55kg/m3) 800 養生日数7日(55kg/m3) 600 養生日数10日(55kg/m3) 400 養生日数14日(55kg/m3) 200 0 養生日数28日(55kg/m3) 0 盛土(破砕)後の経過日数 (日) 7 7 14 14 21 21 28 28 35 35 (4) 置土、破砕・盛土後の強度変化 ②破砕直後の盛土強度 ①置土期間と強度の関係 置土を掘削、運搬、敷均し、転圧した直後の強度(破 セメント安定処理後の置土(固化材添加後仮置きした 砕後強度)を以下に示す(図-3.5)。破砕後強度は概ね 土)の強度は養生日数の経過とともに増加する傾向が顕 置土の強度と比例しており、置土強度が増加している養 著であり、28 日強度と比較して 3 日で 34%、7 日で 60%、 生日数が長いものの方が破砕後強度の大きい傾向となっ 10 日で 65%、14 日で 77%程度の強度となっている(図- ている。また、置土強度と破砕後強度の関係は、置土/ 3.3)。7 日目までの強度の伸びが顕著であり、養生日数 破砕後=1.6∼2.7となっている(図-3.6)。 は 7 日以上とすることが転圧時の強度を確保する点で有 利であると考えられる。 また、置土強度を深度別(表-3.6)でみると、表面か ら 30cm の範囲の強度が深部よりも低い傾向が顕著であ る。今回の施工時期は 10 月であり、外気温が日中は概 ね15度以下、夜間は5度以下で氷点下となる日もあり、 降雨も多い時期であった。置土内に設置した温度計(図 -3.4)では、深度 0.9∼1.0m は反応熱などで概ね 16 度程 図-3.5 破砕前の置土養生日数と盛土直後の強度の関係 度が保たれており、表層の強度発現が出にくい原因は外 気温の影響である可能性がある。降雨や外気温の置土強 度に及ぼす影響については今後事例を積み重ね検討する 必要がある。 図-3.6 置土強度/破砕後強度 ③固化破砕土の盛土後(破砕後)の強度変化 破砕後の強度変化に関しては、置土養生日数 28 日で は盛土後 28 日時点の強度は盛土直後の 2.1 倍程度である が、置土養生日数 7 日では盛土後 28 日時点の強度は盛 図-3.3 養生日数と置土強度の関係 土直後の 2.5 程度となっている。これは、養生日数が長 表-3.6 深度別強度 いほど置土の時点で強度発現が生じているため、盛土後 養生日数 3 7 10 14 28 添加量 深度 qc qc qc qc qc の強度発現が小さくなるという事前の想定と一致してい (kg/m3) (m) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) (kN/m2) 0.1 221 464 415 515 558 る。 0.2 265 616 440 641 1186 0.3 354 731 644 831 1100 盛土後の強度増加は事前の養生日数によらず盛土直後 0.4 425 790 803 1101 1526 0.5 491 847 978 1192 1598 から7日までが大きく、その後徐々に緩やかになってい 55 転圧前 0.6 556 1041 1166 1360 1613 0.7 632 1079 1201 1458 1991 る。また養生日数が28日未満の盛土についても28日後の 0.8 694 1333 1309 1434 2040 盛土強度は概ねコーン指数1600kN/m2以下の範囲となっ 0.9 761 1239 1456 1595 1632 1.0 834 1250 1618 1808 2279 ており、一般的な土質材料の強度の範囲となっており、 平均 523 939 1003 1194 1552 今回のセメント配合量程度(目標強度qc≧400kN/m2)で は地盤改良体のように完全に固結するほどの改良とはな らないと判断される(図-3.7)。 図-3.4 攪拌土置土(10/16 製造)養生温度計時変化 図-3.7 養生日数と破砕後の強度変化の関係

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置 土 の 含 水 比 w (% ) 盛 土 の 含 水 比 w (% ) 改良前粘土含水比46.7% 養生日数と置土の含水比の関係 60 養生日数3日(55kg/m3) 58 養生日数7日(55kg/m3) 56 養生日数10日(55kg/m3) 54 養生日数14日(55kg/m3) 52 養生日数 28日(55kg/m3) 50 平均含水比 48 46 44 42 40 0 置土の養生日数 (日) 盛土後の固化破砕土の含水比変化 60 養生日数3日(55kg/m3) 58 養生日数7日(55kg/m3) 56 養生日数10日(55kg/m3) 54 養生日数14日(55kg/m3) 52 養生日数28日(55kg/m3) 50 48 46 44 42 40 0 盛土後の経過日数 (日) 7 7 14 14 21 21 28 28 35 35 (5) 固化破砕土の含水比 その結果、締固め度は 84∼88%と基準値(90%以上) セメント安定処理後の置土の含水比変化および破砕後 を満足しないが、空気間隙率は 2.1∼2.8%と基準値(2% の盛土の含水比変化をまとめた(図-3.8、3.9)。セメン ≦Va≦10%)を満足する結果となり、品質管理上は問題 トとの反応により水分が一定量使われることで掘削時の ないと判断される。 粘土の含水比は若干低下することが想定されるが、長期 表-3.7 現場密度の測定結果(H26 施工箇所) 的に緩やかな低下傾向があるもののその低下量は数%に 満たない(改良前含水比 46.7%→置土 28 日後 46.0%)。 盛土後についても変動は小さく、セメントによる含水 比低下効果はほとんどないようである。 しかし、置土及び盛土時期は降雨が多く、気温が低く 日照時間の短い10月以降であり、一般的な攪拌土では含 水比が上昇しやすい時期であることから、含水比をほぼ 一定に保つことができていることは、粘土と同程度の難 透水性を有する固化破砕土のメリットである可能性があ る。 ② 固化破砕土の強度 固化破砕土は施工時点では目標強度コーン指数 qc=400kN/m2(ポータブルコーン試験)で作成されてい る。今回の調査ではオランダ式コーン貫入試験で強度を 求めているが、オランダ式コーン貫入試験(qcd)とポータ ブルコーン試験(qc)では、一般的に qc = 0.741qcd という関 図-3.8 養生日数と破砕後の強度変化の関係 係がある。より正確な qc 値を求めるため実測値から qc と qcd 値の関係を求めた。今回の実測値で得られた両者 の関係は、平均 qc = 0.944qcdという値になった(図-3.10、 図-3.11)。 深さ方向の強度分布をみると固化破砕土の箇所では、 平均qcd = 1025kN/m2となり、ポータブルコーン試験のqcで は968 kN/m2相当となる(図-3.12)。施工直後の実測強度 が残っていないため明確な比較はできないが、強度は増 加傾向であると推定されるが、強度発現により完全に固 結するほどの強度でもなく、一般的な土の強度の範囲内 で強度増加は収束している。 図-3.9 盛土後の固化破砕土の含水比変化 (6) 固化破砕土の長期強度について(晩翠遊水地周囲堤 盛土調査結果) 固化破砕土の長期強度を確認するため平成 26 年度に 施工された晩翠遊水地での固化破砕土の強度確認調査を 実施した。 ① 締固め度、飽和度・空気間隙率 盛土の品質管理に用いる締固め度、飽和度・空気間隙 率については、試掘により材料採取及び現場密度測定を 行い求めた(表-3.7)。 図-3.10 深さ方向における qc 値 qcd 値 箇所 SP1704CL 固化破砕土 試料番号(深さ) CT17BD03-Pit-1 (0.50m) (0.80m) 土粒子の密度 ρs (g/cm3) 2.569 締 固 め 試験方法 A-c 最大乾燥密度 ρdmax(g/cm3) 0.894 最適含水比 wopt (%) 60.6 現 場 密 度 含水比 w (%) 85.2 90.9 湿潤密度 ρt(g/cm3) 1.450 1.440 乾燥密度 ρd(g/cm3) 0.783 0.754 締固め度 Dc (%) 87.6 84.3 飽和度 Sr (%) 95.9 97.0 空気間隙率 Va (%) 2.8 2.1

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先行する他の遊水地における試験施工と比べ配合量は最 小 と な っ た 。 な お 、 室 内 配 合 試 験 で は 、 強 度 qc=400kN/m2 であったため、室内現場強度比は 2:1 であ ることが分かった。 次に品質管理方法としては、改良土の粒度構成を変化 968kN/m2(換算値) させる程の改良とはならないことと曝気をせずとも「空 気間隙率」と「飽和度」の管理基準値を満たす結果が得 られたことを考慮し、粘性土の品質管理方法である「空 気間隙率」と「飽和度」を適用することが施工性もあり、 1025kN/m2(実測値) 妥当であると判断した。 また、養生日数は、7 日までが強度増加率が高く、そ れ以降は緩やかに伸び続けるという傾向が見られた。そ のため、養生日数は 7 日以上とするのが望ましい。 平成 26 年度施工の晩翠遊水地でのボーリング結果よ 図-3.11 qc 値と qcd 値の関係 り、目標強度 400kN/m2の 2倍程度であることが分かり、 強度低下や固まりすぎるという傾向が見られなかったた め、長期的な盛土材料としても問題が無いと判断できる。 またアルカリ分の流出もなく、環境面についても盛土材 としての使用に問題がないと考えられる。 今後は、今年度施工箇所で低い気温では強度が出にく い傾向が見られたので、引き続き調査し対策を考える。 また、本試験施工についても長期的盛土安定性、アルカ リ分流出、植生等について引き続きモニタリングを行う と共に課題等がないか検討していく。さらに、コスト縮 減ができることや環境負荷が小さいことは確認できたが、 河川では実績が少ないことから、施工するための運用な 図-3.12 深さ方向における qcd 値の分布図 どを策定し、今後も盛土に対する実用性について検証し ③ アルカリ成分の流出 ていく必要がある。 ボーリング調査の結果、覆土35∼45cmの下にセメン トによるアルカリ性を呈する盛土が層厚2.2m確認された 参考文献 1) 大川 智, 八木 勝良, 青木 康治:回転式破砕混合工 (写真-3.1)。平成26年度に施工されたときの層厚と変 法による現地施工性確認試験について, 第 55 回北海道開発 化がなかったため、雨等によるアルカリ分の流出はない 技術研究発表会 と考えられる。 2) 大川 智,西川 幸裕,村舘 行男:回転式破砕混合工法 による遊水地掘削土(高含水比粘性土)を築堤盛土材料に 改良する現地試験施工について,第 56 回北海道開発技術 研究発表会 赤紫を呈する範囲 3)安田 昌弘, 西川 幸裕, 北畑 大輔:河川堤防に用い 深度 0.45∼2.65m る高含水比粘性土の改良工法について, 第 57 回北海道開発 技術研究発表会 4) 楠美 嘉和,高村 章,若林 英樹:河川堤防に用いる高 含水比粘性土の石灰安定処理について,第 54 回北海道開発 技術研究発表会 5) (財)土木研究センター, (独)土木研究所編著:建設発生土利用 技術マニュアル第 4版,p.26∼32,2013 年 12月 写真-3.1 フェノールフタレイン試薬噴霧後のコア状況 6)道路・河川工事仕様書 2-209 4.まとめ 今年度の試験施工と晩翠遊水地(平成 26 年度施工)で のボーリング結果により得られた知見を以下にまとめる。 江別太遊水地の粘性土では、目標強度 qc=400kN/m2 を 満たす固化破砕土の現場最適配合量は 55kg/m3 となり、

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