アジア地域での我が国造船技術の 活 用 方 策 に 関 す る 調 査
２００7 年 ３ 月
社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会
助 成
は じ め に
ア ジ ア 諸 国 は か つ て 無 い 高 度 経 済 成 長 に 向 か っ て お り 、 こ の 著 し い 経 済 成 長 の 基 盤 を 支 え る た め に は 、 早 急 な イ ン フ ラ 整 備 を す る こ と が 急 務 と な っ て い る 。
島 嶼 国 家 で あ る フ ィ リ ピ ン 、 イ ン ド ネ シ ア 、 長 い 海 岸 線 を 持 つ マ レ ー シ ア 、 ベ ト ナ ム 、 タ イ 、 ミ ャ ン マ ー な ど 多 く の 東 南 ア ジ ア 諸 国 は 、 経 済 、 生 活 を 語 る 上 に お い て 海 が 欠 か せ な い 国 家 で あ る 。 ま た 、 イ ン ド 、 ス リ ラ ン カ な ど の 南 ア ジ ア 諸 国 も 、 物 資 輸 送 に 間 し て は 海 上 輸 送 に 大 き く 依 存 し て い る 。 こ れ ら の 国 々 に お い て 、 今 後 の イ ン フ ラ 整 備 の 中 心 地 域 は 、 海 上 輸 送 を 増 進 さ せ る た め の 沿 岸 域 と な る こ と が 予 想 さ れ る 。 ま た 、 こ れ ら の 国 の 中 に は ベ ト ナ ム や イ ン ド ネ シ ア な ど の よ う に 石 油 ・ ガ ス 産 出 国 で あ っ て 、 そ の 輸 送 能 力 向 上 を 急 務 と し て い る 国 も あ る 。
し か し な が ら 、 こ れ ら の 国 々 の 多 く は 海 運 、 造 船 産 業 が 発 展 途 上 で あ り 、 物 資 、 旅 客 輸 送 を 行 う 安 全 性 の 高 い 旅 客 船 、 ロ ー ル オ ン ・ ロ ー ル オ フ 船 、 海 上 安 全 確 保 も 担 う 多 目 的 船 、 万 一 の 災 害 に 備 え た 十 分 な 能 力 を 有 す る 消 防 船 、 輸 送 効 率 の 高 い 大 型 タ ン カ ー な ど 、 高 機 能 、 大 型 船 舶 の 設 計 、 施 行 管 理 能 力 を 有 し て い な い 。 こ れ ら の 分 野 に お い て わ が 国 の 持 つ 造 船 技 術 を 生 か し た 船 舶 供 給 あ る い は 船 舶 設 計 な ど に お け る 技 術 協 力 が 必 要 と さ れ て い る 。
ま た 、 ２ ０ ０ ４ 年 12 月 、 イ ン ド ネ シ ア 西 部 ス マ ト ラ 島 北 西 部 に お い て マ グ ニ チ ュ ー ド 9.3 の 大 地 震 （ ス マ ト ラ 沖 地 震 ） が 発 生 、 未 曾 有 の 大 津 波 を 引 き 起 こ し イ ン ド ネ シ ア の み な ら ず イ ン ド 洋 沿 岸 の イ ン ド 、 ス リ ラ ン カ 、 タ イ 、 マ レ ー シ ア 等 に お い て 壊 滅 的 被 害 を 与 え た 。 こ れ ら 地 域 に お い て は 耐 地 震 、 耐 津 波 に 関 す る 関 心 が 急 激 に 高 ま っ て き た 。 こ の よ う な 中 、 こ れ ら の 国 々 が 今 後 沿 岸 に お け る 施 設 建 設 を 考 え る 上 に お い て 、 大 型 浮 体 式 海 洋 構 造 物 の 技 術 が 各 国 の 関 心 を 引 く も の と 考 え ら れ る 。
本 調 査 は 、 こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え 、 東 南 ア ジ ア 、 南 ア ジ ア に お い て わ が 国 の 持 つ 造 船 技 術 を 必 要 と す る 船 舶 需 要 、 当 該 国 の 海 上 イ ン フ ラ 整 備 に 関 す る わ が 国 の 支 援 方 策 、 大 型 海 上 浮 体 施 設 に 関 す る 各 国 へ の 情 報 提 供 及 び 需 要 に 関 す る 調 査 を 行 う こ と に よ り 、 わ が 国 造 船 業 界 の 需 要 創 出 を 図 る と と も に 、 わ が 国 の 造 船 に 関 す る 高 度 技 術 の ア ジ ア に お け る 実 用 化 、 当 該 国 と の 造 船 技 術 を 通 じ た 国 際 協 力 の 基 盤 作 り を 図 る こ と を 目 的 と し た も の で あ る 。
ジ ェ ト ロ ・ シ ン ガ ポ ー ル ・ セ ン タ ー 船 舶 部
（ 社 団 法 人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会 共 同 事 務 所 ） デ ィ レ ク タ ー 田 中 信 行
目 次
インド編 ... 1
1． イ ン ド 海 運 産 業 の 現 況. . . 3
1 . 1 概 要. . . 3
1 . 2 イ ン ド に お け る 海 運 関 連 の 政 府 機 関 お よ び 海 運 振 興 政 策 . . . 4
1 . 2 . 1 海 運 関 連 の 政 府 機 関 . . . 4
1 . 2 . 2 海 運 政 策. . . 5
1 . 2 . 3 国 家 海 事 開 発 計 画 . . . 6
1 . 2 . 4 セ ツ サ ム ド ラ ム 水 路 プ ロ ジ ェ ク ト. . . 11
1 . 3 商 船 隊 の 規 模. . . 1 2 1 . 4 海 上 輸 送 の 現 況 と 見 通 し. . . 1 6 1 . 5 主 な 海 運 会 社. . . 1 9 1 . 5 . 1 シ ッ ピ ン グ ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン ・ オ ブ ・ イ ン デ ィ ア( S C I ) . . . 1 9 1 . 5 . 2 グ レ ー ト ・ イ ー ス タ ン ・ シ ッ ピ ン グ( G r e a t E a s t e r n S h i p p i n g ) . . . 2 0 1 . 5 . 3 メ ル カ ト ー ル ・ ラ イ ン ズ( M e r c a t o r L i n e s ) . . . 2 1 1 . 5 . 4 エ ッ サ ー ・ シ ッ ピ ン グ( E s s a r S h i p p i n g ) . . . 2 1 1 . 5 . 5 バ ル ン ・ シ ッ ピ ン グ( Va r u n S h i p p i n g ) . . . 2 2 1 . 6 港 湾 の 状 況. . . 2 2 1 . 6 . 1 概 要 . . . 2 2 1 . 6 . 2 主 要 港 の 概 要. . . 2 6 1 . 6 . 3 N M D P に よ る 主 要 港 の 拡 張 計 画. . . 3 1 2 . イ ン ド の 造 船 業 の 現 状 . . . 3 8 2 . 1 造 船 業 の 概 要. . . 3 8 2 . 1 . 1 イ ン ド 造 船 業 の 現 状 . . . 3 8 2 . 1 . 2 造 船 産 業 に 関 す る 政 策 、 振 興 策 . . . 4 2 2 . 1 . 3 造 船 業 界 の 今 後 の 見 通 し. . . 4 3 2 . 2 主 要 造 船 所 の 概 要 . . . 4 4 2 . 2 . 1 政 府 系 造 船 所. . . 4 4 2 . 2 . 2 民 間 造 船 所. . . 4 6 3 . 我 が 国 造 船 技 術 の 活 用 方 策 に つ い て . . . 5 1
スリランカ編 ... 53
1 . ス リ ラ ン カ の 海 運 産 業 の 現 状. . . 5 5 1 . 1 ス リ ラ ン カ に お け る 海 運 関 連 政 府 機 関. . . 5 5 1 . 2 海 事 関 連 業 界 団 体 . . . 5 6 1 . 3 ス リ ラ ン カ に お け る 海 運 振 興 政 策 . . . 5 8
1 . 4 商 船 隊 の 規 模 と 登 録 船 舶 デ ー タ . . . 5 9 1 . 5 海 上 輸 送 の 現 状 と 見 通 し. . . 6 1 1 . 6 主 要 な 船 会 社. . . 6 2 1 . 7 主 要 港 湾 の 現 状. . . 6 8 2 . ス リ ラ ン カ の 造 船 業 . . . 7 9 2 . 1 ス リ ラ ン カ の 造 船 関 連 政 府 機 関. . . 7 9 2 . 2 ス リ ラ ン カ の 造 船 振 興 策 . . . 8 0 2 . 3 ス リ ラ ン カ 造 船 業 の 現 状 . . . 8 1 2 . 4 主 要 造 船 所 の 概 要 . . . 8 2 2 . 5 造 船 産 業 の ポ テ ン シ ャ ル. . . 8 5 3 . 我 が 国 造 船 技 術 の 活 用 方 策 に つ い て . . . 8 6
タイ編 ... 87
１ ． タ イ 海 運 産 業 の 現 況 . . . 8 9 1 . 1 タ イ に お け る 海 運 関 連 の 政 府 機 関 お よ び 海 運 振 興 政 策. . . 8 9 1 . 1 . 1 タ イ に お け る 海 運 関 連 の 政 府 機 関. . . 8 9 1 . 1 . 2 タ イ の 海 運 振 興 政 策 . . . 9 0 1 . 3 商 船 隊 の 規 模. . . 9 1 1 . 4 海 上 輸 送 の 現 況 と 見 通 し. . . 9 3 1 . 5 主 な 海 運 会 社. . . 9 5 1 . 5 . 1 プ レ シ ャ ス ・ シ ッ ピ ン グ 株 式 会 社 （P S L） . . . 9 5 1 . 5 . 2 ト ー レ セ ン ・ タ イ ・ エ ー ジ ェ ン シ ー ズ( T TA ) . . . 9 5 1 . 5 . 3 ユ ニ タ イ ・ シ ッ ピ ン グ ・ ラ イ ン 株 式 会 社 . . . 9 6 1 . 5 . 4 ジ ュ タ ・ マ リ タ イ ム 株 式 会 社 . . . 9 6 1 . 5 . 5 リ ー ジ ョ ナ ル ・ コ ン テ イ ナ ー ・ ラ イ ン ズ 株 式 会 社. . . 9 7 1 . 6 港 湾 の 状 況. . . 9 8 1 . 6 . 1 概 要 . . . 9 8 1 . 6 . 2 主 要 港 の 概 要. . . 9 9 1 . 6 . 3 港 湾 開 発 計 画. . . 1 0 7 2 . タ イ の 造 船 業 の 現 状 . . . 11 2 2 . 1 造 船 業 の 概 要. . . 11 2 2 . 1 . 1 タ イ 造 船 業 の 現 状 . . . 11 2 2 . 1 . 2 造 船 産 業 に 関 す る 政 策 、 振 興 策 . . . 11 3 2 . 1 . 3 造 船 業 界 の 今 後 の 見 通 し. . . 11 5 2 . 2 主 要 造 船 所 の 概 要 . . . 11 5 3 . 我 が 国 造 船 技 術 の 活 用 方 策 に つ い て . . . 11 9
浮体施設の概略設計 ... 121
1 . 緒 言. . . 1 2 3 1 - 1 メ ガ フ ロ ー ト の 特 徴 . . . 1 2 3 1 - 2 浮 体 構 造 物 の 例. . . 1 2 8 2 . イ ン ド 洋 沿 岸 諸 国 に お け る 洋 上 型 防 災 基 地 の 必 要 性 調 査. . . 1 3 2 2 - 1 地 震 ・ 津 波 の 被 害 . . . 1 3 2 2 - 2 防 災 対 策 と 洋 上 型 防 災 基 地 の 必 要 性. . . 1 4 1 3 . メ ガ フ ロ ー ト 防 災 基 地 の ケ ー ス ス タ デ ィ. . . 1 4 6 3 - 1 通 常 時 の 係 留 場 所 の 選 定. . . 1 4 6 3 - 2 メ ガ フ ロ ー ト 防 災 基 地 の 概 念 設 計 . . . 1 5 1 3 - 3 ま と め . . . 1 5 8 ４. お わ り に. . . 1 5 9
別 添 資 料
イ ン ド
1 ) 海 運 局 の 組 織 図 · · · 1 6 5 2 ) S C I 社 の 所 有 船 舶 リ ス ト· · · 1 6 6 3 ) グ レ ー ト ・ イ ー ス タ ン ・ シ ッ ピ ン グ 社 の 所 有 船 舶 リ ス ト· · · 1 6 8 4 ) メ ル カ ト ー ル ・ ラ イ ン ズ 社 の 所 有 船 舶 リ ス ト· · · 1 6 9 5 ) バ ル ン ・ シ ッ ピ ン グ 社 の 所 有 船 舶 リ ス ト · · · 1 7 0
ス リ ラ ン カ
1 ) 商 船 局 登 録 船 舶 リ ス ト · · · 1 7 3
タ イ
1 ) プ レ シ ャ ス ・ シ ッ ピ ン グ 株 式 会 社 （P S L） 保 有 船 舶 リ ス ト· · · 1 7 7 2 ) ト ー レ セ ン ・ タ イ ・ エ ー ジ ェ ン シ ー ズ( T TA ) 保 有 船 舶 リ ス ト· · · 1 7 8 3 ) リ ー ジ ョ ナ ル ・ コ ン テ イ ナ ー ・ ラ イ ン ズ 株 式 会 社 保 有 船 舶 リ ス ト · · · 1 7 9
イ ン ド 編
白
1 ． イ ン ド 海 運 産 業 の 現 況
1 . 1 概 要
イ ン ド は7 , 5 1 7キ ロ メ ー ト ル の 海 岸 線 を 持 ち 、1 2の 主 要 港 湾 と1 8 5の 中 小 港 湾 を 持 つ 海 運 国 で あ る 。 対 外 貿 易 の う ち 、 数 量 ベ ー ス で は9 5％ 、 金 額 ベ ー ス で は7 0％ が 海 運 に よ る も の と な っ て い る 。 し か し 、 イ ン ド の 海 運 業 界 は 振 る わ な い 。1 9 8 7年 度 に は 国 内 輸 送 を 含 む 海 上 輸 送 全 体 の40 . 7％ を イ ン ド の 海 運 業 界 が 占 め て い た が 、 こ こ 数 年 、 そ の シ ェ ア は3 0か ら3 2％ に 落 ち 込 ん で い る 。 対 外 貿 易 だ け に 限 る と 、 イ ン ド の 海 運 業 の シ ェ ア は1 4％ 程 度 に 過 ぎ な い 。1
貿 易 量 の 伸 び か ら 見 て も 、 イ ン ド の 海 運 業 界 が 経 済 成 長 の 波 に の れ て い な い こ と が わ か る 。 イ ン ド の 貿 易 量 は 、1 9 8 1 - 8 2年 度 の2 3 8億7 , 6 8 0万 米 ド ル か ら2 0 0 5 - 0 6年 度 に は 2 , 4 5 1億3 , 1 4 0万 米 ド ル と 、1 0倍 以 上 、 年 平 均 に し て1 0％ 以 上 の 伸 び を 示 し た 。 し か し 、 イ ン ド 商 船 隊 の 伸 び は 、1 9 8 1年 の5 8 8万G Tか ら2 0 0 6年 の8 5 8万G Tと2倍 に も 満 た な い 。 特 に 、 貿 易 量 が 年 平 均 成 長 率2 0 . 9 %の 伸 び を 示 し た2 0 0 1年 度 ～2 0 0 5年 度 の ほ ぼ 同 時 期 に あ た る2 0 0 1年 ～2 0 0 6年 も 、 総 ト ン 数 の 年 平 均 成 長 率 は4 . 3 %に と ど ま っ て い る 。
表 1 貿 易 量 と 商 船 隊 規 模 の 伸 び 率 の 比 較
単 位 ：1 0 0万 米 ド ル 、1 0 0万G T、 ％ 年度 2000-01 2002-03 2003-04 2004-05 2005-06 － ＣＡＧＲ5年間 貿易額（100万米ドル）
対前年比伸び率
95,240.0 0.15％
114,151.5 19.84％
141,991.7 24.41％
195,053.6 37.37％
245,131.4
25.68％ － 26.7％
年 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ＣＡＧＲ6年間
商船隊規模（100万ＧＴ）
対前年比伸び率
6.95 0.29％
6.21 -10.65％
6.62 6.60％
7.70 16.31％
8.29 7.66％
8.58 3.50％
3.6％
出 所 ： イ ン ド 中 央 銀 行 お よ び 船 主 協 会 デ ー タ よ り 作 成
イ ン ド の 海 運 産 業 が 伸 び 悩 ん で い る 背 景 に は 、1 2種 類 に も 及 び 複 雑 で 高 率 な 税 制 が あ る 。 業 界 の 長 年 の 要 請 に 応 じ 、 イ ン ド 政 府 は2 0 0 4年 度 か ら ト ン 税 を 導 入 し 、 こ れ に よ り 海 運 会 社 の 実 質 課 税 負 担 は2％ 程 度 に 軽 減 さ れ た が2、 一 方 、 政 府 は サ ー ビ ス 税 や 付 加 給 付 税 を 新 た に 導 入 し た 。 こ う し た 税 制 度 に よ り 、 イ ン ド の 海 運 会 社 は 外 国 船 舶 に 対 し て 価 格 競 争 力 が 劣 る 状 況 が 続 い て い る 。
ま た 、 イ ン ド の 海 運 産 業 の う ち 、 沿 岸 輸 送 は あ ま り 発 達 し て い な い 。 イ ン ド で は 、 沿 岸 輸 送 は イ ン ド 籍 船 を 優 先 し て 利 用 す る こ と に な っ て い る3。 そ の た め 、 外 国 の 船 会 社 は 、 イ ン ド の 沿 岸 を 回 っ て 貨 物 を 集 め る の で は な く 、 イ ン ド の 各 港 か ら ス リ ラ ン カ の コ
1 I C R A S e c t o r A n a l y s i s “ S h i p p i n g a n d P o r t s ” , I C R A 2 0 0 6年
2 そ れ ま で 海 運 会 社 は 一 般 の 企 業 と 同 様 、 利 益 に 対 し て 一 定 の 法 人 所 得 税 （3 3％ ） を 課 さ れ て い た 。 海 運 業 界 に お い て は 、 諸 外 国 で 、 法 人 所 得 税 で は な く 保 有 船 舶 の 総 ト ン 数 に 応 じ て 課 さ れ る ト ン 税 の 導 入 が す す ん で い る 。 デ ロ イ ト ・ ト ウ シ ュ ・ ト ー マ ツ の レ ポ ー ト に よ る と 、 ト ン 税 を 取 り 入 れ て い る 国 は 、 ド イ ツ 、 オ ラ ン ダ 、 イ ギ リ ス 、 ベ ル ギ ー 、 デ ン マ ー ク 、 ギ リ シ ャ 、 ア イ ル ラ ン ド 、 イ タ リ ア 、 ノ ル ウ ェ イ 、 ラ ト ビ ア 、 米 国 、 中 国 、 韓 国 な ど 。 ま た 、2 0 0 6 年 9月4日 付 の H i n d u B u s i n e s s L i n e 紙 に よ る と 、 世 界 の 9 0％ 程 度 の 商 船 隊 は 、 法 人 所 得 税 で は な く ト ン 税 を 納 税 し て お り 、 実 質 税 率 は 1 - 2％ 程 度 に な る と 報 道 さ れ て い る 。
3 た だ し 、 利 用 で き る イ ン ド 籍 船 が な い 場 合 は 外 国 船 舶 を 使 っ て も よ い こ と に な っ て い る 。
ロ ン ボ 港 に 貨 物 を 集 約 し て 長 期 航 路 に の せ る 方 法 を と っ て お り 、 コ ロ ン ボ 港 は イ ン ド の 貨 物 の 一 大 積 み 替 え 港 と な っ て い る 。 海 運 局 港 湾 部 の 話 に よ る と 、 主 要 港 の う ち コ ン テ ナ 貨 物 が 多 い ニ ュ ー ム ン バ イ のJ N P T港 で は 直 接 、 貨 物 向 け 地 に 輸 出 さ れ る 割 合 が 7 5％ 程 度 を 占 め て い る が 、 そ れ 以 外 は コ ロ ン ボ 港 な ど で 積 み 替 え ら れ る こ と が 多 い 。 沿 岸 輸 送 が 行 わ れ て い る の は 、 石 炭 の 産 地 が 立 地 す る 東 部 の 海 岸 線 に お け る 石 炭 輸 送 く ら い で あ る 。
1 . 2 イ ン ド に お け る 海 運 関 連 の 政 府 機 関 お よ び 海 運 振 興 政 策
1 . 2 . 1 海 運 関 連 の 政 府 機 関
イ ン ド で は 、 海 運 道 路 輸 送 高 速 道 路 省(M i n i s t r y o f S h i p pi n g, Ro a d Tra n s po r t a n d H i g h w a y s )の 海 運 局( De p a r tm e n t o f Sh i pp i n g )が 海 運 （ 沿 岸 輸 送 を 含 む ）、 内 陸 水 運 、 港 湾 、 造 船 を 管 轄 し て い る 。
海 運 局 は 長 官 を ト ッ プ に 海 運 局 長 、 港 湾 局 長 、 港 湾 開 発 顧 問 、 雇 船 本 部 長 な ど が そ れ ぞ れ の 職 務 に あ た っ て い る 。 交 通 調 査 部 で は 政 策 の 策 定 、 交 通 の コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン 、 経 済 統 計 分 析 を 行 い 、 海 運 局 の 各 部 署 を サ ポ ー ト し て い る 。
さ ら に 、 海 運 局 に は 、 次 の 自 治 権 を 持 つ 関 連 機 関 が 所 属 し て い る 。
＜ 付 属 機 関 ＞
・ 海 運 総 裁 部 、 ム ン バ イ( Di re c to r a te G e n e r a l o f S h i p pi n g, M u m b a i )
・ ア ン ダ マ ン 及 び ラ ク シ ャ ド ウ ィ ー プ 港 湾 部 、 ブ レ ア 港(Andaman & Lakshadweep H a r b o u r Wo r ks , P o r t Bl a i r )
・ 灯 台 及 び 灯 台 船 総 裁 部 、 ニ ュ ー デ リ ー( D i re c t o r a te G e n e ra l o f L i g h t h o u s e s &
L i g h t s h i p s , N e w d e l h i )
・ 中 小 港 鑑 定 機 構 、 ム ン バ イ( M i n o r P o r ts S u r ve y O r g a n i s a ti o n , M u m b a i )
＜ 自 治 組 織 ＞
・ コ ル カ タ ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ パ ラ デ ィ プ ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ チ ェ ン ナ イ ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ ツ チ コ リ ン ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ コ ー チ ン ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ ニ ュ ー マ ン ガ ロ ー ル ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ マ ー ル ム ガ オ ー ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ ム ン バ イ ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ カ ン ド ラ ー ・ ポ ー ト ・ ト ラ ス ト
・ 内 陸 水 運 庁 、 ノ イ ダ
・ 主 要 港 料 金 庁 、 ム ン バ イ
・ 船 員 積 立 基 金 機 構 、 ム ン バ イ
＜ 団 体 ・ 組 合 ＞
・ 国 立 港 湾 管 理 院 、 チ ェ ン ナ イ
・ イ ン ド 港 湾 管 理 院 、 コ ル カ タ
・ 国 立 船 舶 設 計 研 究 セ ン タ ー 、 ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム
・ イ ン ド 港 湾 協 会
・ 船 員 福 祉 基 金 団 体
＜ 政 府 系 企 業 ＞
・ イ ン ド 海 運 公 社 、 ム ン バ イ
・ ヒ ン ド ゥ ス タ ン 造 船 所 、 ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム
・ コ ー チ ン 造 船 所 、 コ ー チ ン
・ 中 央 内 陸 水 運 公 社 、 コ ル カ タ
・ イ ン ド 浚 渫 公 社 、 ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム
・ フ ー リ ー ・ ド ッ ク ＆ ポ ー ツ エ ン ジ ニ ア 公 社 、 コ ル カ タ
・ エ ノ ー ル 港 株 式 会 社
・ セ ツ サ ム ド ラ ム 公 社
な お 、 海 運 局 の 組 織 図 は 別 添 １ の と お り で あ る 。
1 . 2 . 2 海 運 政 策
( 1 ) ト ラ ン ス チ ャ ー ト 制 度
イ ン ド 政 府 は 中 央 政 府 、 州 政 府 お よ び 政 府 系 企 業 が 輸 入 す る 貨 物 は す べ て F O B ベ ー ス で 、 輸 出 貨 物 は CI F ベ ー ス で 契 約 し 、 輸 送 は 、 海 運 局 の 雇 船 部 門 が 船 会 社 に 振 り 分 け る ト ラ ン ス チ ャ ー ト （Tra n s c h a r t）4制 度 を 導 入 し て い る 。 ト ラ ン ス チ ャ ー ト 制 度 は 、 政 府 貨 物 の 輸 送 手 段 の 確 保 の 必 要 性 か ら 、1 9 5 7 年 に 閣 議 で 決 め ら れ た 制 度 で 、 イ ン ド 籍 船 の 確 保 が 可 能 で あ れ ば 、 イ ン ド 籍 船 を 優 先 に 雇 船 し 、 イ ン ド 籍 船 が な け れ ば 外 国 籍 船 を 利 用 す る こ と に な っ て い る 。F O B で 輸 入 契 約 を 行 い F O B で 輸 出 契 約 を 行 う こ と に よ り 、 ト ラ ン ス チ ャ ー ト 制 度 は 、 イ ン ド 籍 船 を 最 大 限 に 活 用 し 、 ま た 外 貨 の 流 出 を 防 ぐ こ と が 目 的 で あ っ た 。
し か し 2 0 0 1 年 に こ の 制 度 の 見 直 し が 行 わ れ 、 輸 入 貨 物 に つ い て は こ れ ま で ど お り ト ラ ン ス チ ャ ー ト 制 度 に よ り 海 運 局 雇 船 部 が 一 括 し て 雇 船 手 配 を 行 う こ と を 継 続 す る こ と と な っ た が 、 輸 出 に つ い て は 各 政 府 機 関 、 州 政 府 、 政 府 系 企 業 に 任 さ れ る こ と に な っ た 。 さ ら に2 0 0 5年 に は 、 国 営 の イ ン ド 石 油 会 社 に 対 し て ト ラ ン ス チ ャ ー ト を 通 さ ず に 独 自 に 輸 入 船 舶 の 手 配 を 認 め る こ と が 閣 議 で 決 定 し た 。 ま た 、2 0 0 6年 に は 当 初 イ ン ド 籍 船 に よ る 輸 送 を 条 件 で 入 札 を 行 っ て い た 国 営LN G会 社 のPe t ro n e t L N G社 の 雇 船 契 約 に 対 し て 、 政 府 が 突 然 入 札 休 止 を 命 じ た 。 外 国 籍 船 を 使 用 し て も よ い と い う 条 件 で 、 再 度 入 札 が 行 わ れ 、 最 終 的 に は イ ン ド 籍 船 を 使 わ な い 条 件 で 応 札 し た イ ン ド 国 営 船 会 社 の S C I , 大 阪 商 船 三 井 、 日 本 郵 船 、 川 崎 汽 船 の コ ン ソ ー シ ア ム が 受 注 し た 。 こ う し て 近 年 、 ト ラ ン ス チ ャ ー ト に よ る イ ン ド 籍 船 優 遇 政 策 が 形 骸 化 し て い る 。 こ の 背 景 に は 、 イ ン ド 国 内 の 高 率 で 多 種 類 の 税 制 の 影 響 で 、 イ ン ド 船 会 社 の 価 格 競 争 力 が 低 い こ と が 挙 げ ら れ
4 海 運 局 雇 船 部 門 の 電 信 ア ド レ ス が Tr a n s c h a r t で あ っ た た め 、 海 運 業 界 で 制 度 そ の も の を Tr a n s c h a r tを 呼 ぶ よ う に な っ た 。
る 。 ま た 、 イ ン ド の 船 会 社 が 政 府 貨 物 の 輸 送 に 必 要 な 船 舶 を 十 分 に 有 し て い な い こ と も 背 景 の １ つ で あ る 。2 0 0 4年 に ト ラ ン ス チ ャ ー ト が 手 配 し た 貨 物 は6 , 6 4 4万 ト ン と な っ た が 、 そ の う ち イ ン ド 籍 船 が 輸 送 し た の は2,412万 ト ン で 全 体 の36.3％ に と ど ま っ た 。5 ( 2 ) 税 制
海 運 業 界 は 政 府 に 対 し て 外 国 の 海 運 会 社 と 同 じ 土 俵 で 競 争 で き る よ う 、 税 制 の 合 理 化 、 税 率 の 低 減 を 求 め て き た 。 政 府 は こ う し た 産 業 界 の 要 求 に な か な か 応 え て こ な か っ た が 、 よ う や く2 0 0 4年 度 に ト ン 税 を 導 入 し た 。 こ れ に よ り 、 そ れ ま で は 海 運 業 は 他 の 業 界 と 同 様 、 課 税 対 象 利 益 に 対 し て 法 人 税 （ 税 率 は3 0 - 3 5 %程 度 ）」 を 支 払 っ て い た が 、 ト ン 税 の 導 入 に よ り 海 運 会 社 に 対 す る 課 税 は 実 質2％ 程 度 と な っ た 。
し か し 、 ト ン 税 以 外 に も イ ン ド の 海 運 会 社 は 対 外 債 務 の 利 息 に 対 す る 源 泉 徴 収 税 ( wi t h h o l d i n g t a x o n e x t e r n a l c o m m e r c i a l b o r ro w i n g s - E C Bs ) , 外 国 の 船 主 に 対 し て 支 払 う 雇 船 料 に 対 す る 源 泉 徴 収 税( o n c h a r t e r h i r e p a i d t o f o r e i gn s h i p o wn e r s )、 船 員 の 旅 費 や 宿 泊 費 に 対 す る 付 加 給 付 税( f r i n g e b e n e f i t t a x )、 キ ャ ピ タ ル ゲ イ ン 税 、 サ ー ビ ス 税6、 船 員 税 、 配 当 金 分 配 税(D i vi de n d di s t ri b u ti o n t a x ) な ど 全 部 で1 2種 類 も の 税 金 が 課 さ れ て い る 。 そ の た め 、 イ ン ド の 船 会 社 の 価 格 競 争 力 は ま だ 低 い 。 こ れ ら の 税 制 の 中 に は 、 ト ン 税 導 入 後 に 導 入 さ れ た も の も あ り 、 海 運 業 界 は 「 ト ン 税 の 導 入 に よ る メ リ ッ ト が 新 し い 税 制 導 入 で 一 掃 さ れ る ば か り で な く 、 ト ン 税 導 入 以 前 よ り 厳 し い 状 況 」 と 見 直 し を 求 め て い る 。
1 . 2 . 3 国 家 海 事 開 発 計 画
イ ン ド 政 府 は イ ン ド の 輸 出 額 を2 0 0 8年 度 ま で に1 , 5 0 0億 米 ド ル （2 0 0 5年 度 は1 , 0 3 0 億 米 ド ル ） を 達 成 す る こ と を 目 標 と し て い る 。 そ の た め に は 、 海 運 を 含 め た 海 事 産 業 の 育 成 が 欠 か せ な い 。 そ の た め 、 海 運 局 は2 0 1 1年 度 ま で の 目 標 と 戦 略 を 定 め た 国 家 海 事 開 発 計 画( N a ti o n a l M a r i ti m e D e ve l o p m e n t P r o g r a m m e – N M D P )を2 0 0 5年1 2月 に 発 表 し た 。 こ の 計 画 に よ る と 、3 8 7の プ ロ ジ ェ ク ト に1兆 ル ピ ー を 投 じ る こ と に な っ て い る 。 そ の う ち 、1 1 1の プ ロ ジ ェ ク ト は 海 運 、 沿 岸 輸 送 、 内 陸 水 運 、 造 船 な ど 向 け で 総 額4 , 4 5 3 . 5億 ル ピ ー 、2 7 6の プ ロ ジ ェ ク ト は 港 湾 向 け で 総 額5 , 5 8 0 . 3億 ル ピ ー を 見 込 ん で い る 。 こ の 中 に は 民 間 資 本 の 導 入 も 含 ま れ て お り 、 海 運 、 沿 岸 輸 送 、 内 陸 水 運 、 造 船 向 け に は1 , 3 7 7 . 5億 ル ピ ー 、 港 湾 プ ロ ジ ェ ク ト 向 け に は3 , 4 5 0 . 5億 ル ピ ー の 民 間 投 資 を 見 込 ん で お り 、 港 湾 プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 の6 0％ 以 上 を 民 間 資 本 で 賄 う と い う 計 画 に な っ て い る 。 そ の た め 、B O T方 式 の コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル 開 発 な ど に 対 し て 積 極 的 な 民 間 企 業 の 参 入 を 呼 び か け て い る 。
5 2 0 0 5 年1月 2 4日 付 け B u s i n e s s L i n e “ R e c o r d c a r g o h a n d l i n g b y Tr a n s c h a r t i n 2 0 0 4 ”
6 ト ン 税 導 入 後 に 導 入 さ れ た 税 制 。 イ ン ド 籍 船 が 外 国 の 港 で 貨 物 を 積 み 。 外 国 の 別 の 港 で 積 荷 を お ろ す 場 合 、 外 国 の 港 湾 で 受 け た サ ー ビ ス に 対 し て 、 新 た に 1 0 . 3％ の サ ー ビ ス 税 が 課 さ れ る 。 し か も 、 外 国 の 港 で 課 さ れ る 港 湾 税 に 対 し て も 、 イ ン ド で サ ー ビ ス 税 が 課 さ れ る 。
表 2 国 家 海 事 開 発 計 画 の 内 訳
海 運 ・ 内 陸 水 運 ・ 造 船 単 位 ：1 0 0 万 ル ピ ー 分 野 プロジェクト数 コ ス ト 総 額 政 府 予 算 補 正 予 算 民 間 資 本 船 舶 調 達 7 6 隻 1 5 0 , 0 0 0 N i l 1 5 0 , 0 0 0 N i l 海 事 ト レ ー ニ ン グ 2 7 , 0 0 0 7 , 0 0 0 N i l N i l 沿 岸 輸 送 2 1 0 5 , 0 0 0 1 0 , 0 0 0 1 5 , 0 0 0 8 0 , 0 0 0
航 海 支 援 1 0 6 , 4 0 0 6 , 4 0 0 N i l N i l
造 船 6 7 1 , 9 5 0 3 2 , 3 5 0 9 , 6 0 0 3 0 , 0 0 0
内 陸 水 運 1 5 1 0 5 , 0 0 0 8 2 , 0 0 0 N i l 2 3 , 0 0 0 合 計 111 4 4 5 , 3 5 0 1 3 7 , 7 5 0 1 7 4 , 6 0 0 1 3 3 , 0 0 0
港 湾
分 野 プロジェクト数 コ ス ト 総 額 政 府 予 算 内 部 資 金 民 間 投 資 そ の 他 水 路( C h a n n e l )、
バ ー ス の 深 化
2 5 6 3 , 0 4 0 2 7 , 3 1 0 . 0 3 3 , 4 0 0 . 0 1 , 8 5 0 . 0 4 8 0 . 0
バ ー ス や 桟 橋 の 建 設/再 建
7 6 3 2 5 , 6 3 5 . 7 5 , 6 3 0 . 0 3 8 , 6 7 3 . 3 2 8 0 , 8 3 2 . 4 5 0 0 . 0
機 器 の 調 達 5 2 2 6 , 3 2 8 . 7 0 . 0 1 4 , 2 7 8 . 7 1 0 , 7 5 0 . 0 1 , 3 0 0 . 0 鉄 道 及 び 道 路 へ の
接 続 の た め の 建 設
4 5 5 9 , 5 6 4 . 9 9 0 0 . 0 2 2 , 3 2 2 . 4 0 . 0 3 6 , 3 4 2 . 5
そ の 他 7 8 8 3 , 4 6 8 . 0 2 , 2 5 0 . 0 2 9 , 0 4 1 . 0 5 1 , 6 2 1 . 0 5 5 6 . 0 合 計 2 7 6 5 5 8 , 0 3 7 . 3 3 6 , 0 9 0 . 0 1 3 7 , 7 1 5 . 4 3 4 5 , 0 5 3 . 4 3 9 1 7 . 8 5 出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
( 1 )N M D P の 海 運 分 野 の プ ロ ジ ェ ク ト
① 船 舶 調 達
N M D P の 船 舶 調 達 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 イ ン ド 最 大 の 海 運 会 社 で あ る 国 営 の シ ッ ピ ン グ ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン ・ オ ブ ・ イ ン デ ィ ア 社( S C I )が 7 6 隻 の 船 を 新 規 に 調 達 し 、 イ ン ド 商 船 隊 の 拡 大 を は か る こ と に な っ て い る 。S C I で は 、 船 舶 購 入 に か か る 費 用 の 2 0％ は 自 己 資 金 で 、8 0％ は 融 資 で 賄 う こ と に し て お り 、 政 府 予 算 は 投 入 し な い 計 画 で あ る 。 購 入 予 定 船 舶 の 内 訳 は 以 下 の 通 り 。
表 3 船 舶 購 入 計 画 リ ス ト
単 位 ：1 0 0 万 ル ピ ー 資 金 調 達 方 法
購 入 船 舶 隻 数 予 定 コ ス ト
自 己 資 金 融 資 V L C C タ ン カ ー 2 5 , 8 0 0 . 0 0 1 , 1 6 0 . 0 0 4 , 6 4 0 . 0 0 ケ ー プ ・ サ イ ズ 型 バ ル ク キ ャ リ ア 2 5 , 6 3 0 . 0 0 1 , 1 2 6 . 0 0 4 , 5 0 4 . 0 0 V L C C タ ン カ ー 2 9 , 2 4 0 . 0 0 1 , 8 4 8 . 0 0 7 , 3 9 2 . 0 0 ハ ン デ ィ ー マ ク ス バ ル ク キ ャ リ ア 6 7 , 9 2 0 . 0 0 1 , 5 8 4 . 0 0 6 , 3 3 6 . 0 0 4 , 3 0 0 T E U セ ル 構 造 コ ン テ ナ 船 2 5 , 1 9 0 . 0 0 1 , 0 3 8 . 0 0 4 , 1 5 2 . 0 0 L R - I プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー 6 1 0 , 8 2 0 . 0 0 2 , 1 6 4 . 0 0 8 , 6 5 6 . 0 0 ア フ ラ マ ク ス タ ン カ ー 4 1 0 , 1 9 0 . 0 0 2 , 0 3 8 . 0 0 8 , 1 5 2 . 0 0 パ ナ マ ク ス バ ル ク 船 4 6 , 3 3 0 . 0 0 1 , 2 6 6 . 0 0 5 , 0 6 4 . 0 0 5 , 0 0 0 T E U セ ル 構 造 コ ン テ ナ 船 2 6 , 1 6 0 . 0 0 1 , 2 3 2 . 0 0 4 , 9 2 8 . 0 0 L R - I I 石 油/プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー 2 5 , 3 0 0 . 0 0 1 , 0 6 0 . 0 0 4 , 2 4 0 . 0 0 M R プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー 2 3 , 7 8 0 . 0 0 75 6 . 0 0 3 , 0 2 4 . 0 0 オ フ シ ョ ア サ プ ラ イ 船 5 3 , 6 4 0 . 0 0 72 8 . 0 0 2 , 9 1 2 . 0 0 ケ ー プ ・ サ イ ズ 型 バ ル ク キ ャ リ ア 2 5 , 6 3 0 . 0 0 1 , 1 3 0 . 0 0 4 , 5 1 0 . 0 0 M R は し け/プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー/ 2 3 , 7 8 0 . 0 0 76 0 . 0 0 3 , 0 3 0 . 0 0 ケ ミ カ ル 輸 送 船 4 7 , 9 2 0 . 0 0 1 , 5 8 0 . 0 0 6 , 3 4 0 . 0 0 L P G 輸 送 船 2 4 , 4 9 0 . 0 0 90 0 . 0 0 3 , 5 9 0 . 0 0 V L C C タ ン カ ー 2 1 0 , 5 6 0 . 0 0 2 , 11 0 . 0 0 8 , 4 5 0 . 0 0 ケ ミ カ ル 輸 送 船 4 6 , 1 6 0 . 0 0 1 , 2 3 0 . 0 0 4 , 9 3 0 . 0 0 ハ ン デ ィ ー マ ク ス バ ル ク キ ャ リ ア 4 5 , 6 3 0 . 0 0 1 , 1 3 0 . 0 0 4 , 5 1 0 . 0 0 ス エ ズ マ ク ス タ ン カ ー 2 6 , 5 1 0 . 0 0 1 , 3 0 0 . 0 0 5 , 2 1 0 . 0 0 パ ナ マ ク ス バ ル ク キ ャ リ ア 4 6 , 1 6 0 . 0 0 1 , 2 3 0 . 0 0 4 , 9 3 0 . 0 0 ハ ン デ ィ ー サ イ ズ バ ル ク キ ャ リ ア 4 3 , 8 7 0 . 0 0 77 0 . 0 0 3 , 1 0 0 . 0 0 5 0 0 0 T E U コ ン テ ナ 船 2 6 , 1 6 0 . 0 0 1 , 2 3 0 . 0 0 4 , 9 3 0 . 0 0 オ フ シ ョ ア サ プ ラ イ 船 5 3 , 1 2 0 . 0 0 6 2 0 . 0 0 2 , 5 0 0 . 0 0 合 計 7 6 1 5 0 , 0 0 0 . 0 0 3 0 , 0 0 0 . 0 0 1 2 0 , 0 0 0 . 0 0 出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
② 海 事 ト レ ー ニ ン グ
ト レ ー ニ ン グ 分 野 で は 、 イ ン ド 海 事 大 学 の 設 立 、 ト レ ー ニ ン グ 用 船 舶 の 調 達 が N M D P で 計 画 さ れ て い る 。 予 算 総 額 は 、7 0 億 ル ピ ー 。
表 4 海 事 ト レ ー ニ ン グ 計 画 予 算
単 位 ：1 0 0 万 ル ピ ー
N o . プ ロ ジ ェ ク ト 名 プ ロ ジ ェ ク ト 数 予 算 措 置
1 イ ン ド 海 事 大 学 の 設 立 1 3 , 0 0 0 . 0 0
2 ト レ ー ニ ン グ 船 舶 の 調 達 1 4 , 0 0 0 . 0 0
合 計 2 7 , 0 0 0 . 0 0
出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
現 在 、 ム ン バ イ に あ る イ ン ド 海 事 院( I n d i a n I n s ti t u t e o f M a r i t i m e S t u di e s – I I M S )と チ ェ ン ナ イ に あ る 国 立 港 湾 管 理 院( I n di a n I n s t i t u te o f Po r t M a n a ge m e n t – N I P M )の 傘 下 に あ る ４ つ の 政 府 系 教 育 機 関 も イ ン ド 海 事 大 学 の キ ャ ン パ ス と な り 、 イ ン ド 海 事 大 学 は 合 計 ５ つ の キ ャ ン パ ス を 持 つ こ と に な る 。 イ ン ド 海 事 大 学 の 本 部 は チ
ェ ン ナ イ に 設 置 さ れ る 予 定 で あ る 。
③ 沿 岸 輸 送
沿 岸 輸 送 の 振 興 に つ い て は 、 沿 岸 輸 送 船 調 達 ロ ー ン を 提 供 す る た め の 沿 岸 輸 送 開 発 基 金( Co a s t a l S h i p pi n g De v e l o p m e n t F u n d )、 沿 岸 輸 送 イ ン フ ラ 、 特 に 沿 岸 輸 送 の 発 展 を 担 う と 考 え ら れ る 港 湾 の 開 発 す る た め の 中 央 支 援 ス キ ー ム( Ce n t ra l l y S po n s o r e d S c h e m e )が 導 入 さ れ る 計 画 で あ る 。 中 央 支 援 ス キ ー ム で は 、 港 湾 の 開 発 コ ス ト の 3 3％ を 上 限 に 中 央 政 府 の 補 助 金 を 供 与 す る も の で 、 残 り の 6 7％ は 州 政 府 が 負 担 す る こ と に な る 。 開 発 対 象 と し て 候 補 に 挙 が っ て い る 港 湾 は 、 オ リ ッ サ 州 ゴ パ ル プ ー ル 港 、 ケ ラ ラ 州 ア ジ カ ル 港 、 カ ル ナ タ カ 州 マ ル ペ 港 、 マ ハ ラ シ ュ ト ラ 州 ダ ラ ム タ ー ル 港 、 グ ジ ャ ラ ー ト 州 マ グ ダ ラ 港 、 タ ミ ー ル ナ ド ゥ 州 ク ダ ロ ー ル 港 、 ア ン ド ラ プ ラ デ シ ュ 州 ガ ン ガ ヴ ァ ラ ム 港 で あ る 。
表 5 沿 岸 輸 送 向 け 予 算
単 位 ：1 0 0万 ル ピ ー 資 金 調 達 方 法
N o . ス キ ー ム の 名 称
予 算 措 置 金 融 機 関 民 間 投 資 州 政 府 1 . 沿 岸 輸 送 開 発 基 金
( C S D F ) 5 , 0 0 0 . 0 0 1 5 , 0 0 0 . 0 0 8 0 , 0 0 0 . 0 0 N i l 2 . 中 央 支 援 ス キ ー ム
( C S S ) 5 , 0 0 0 . 0 0 N i l N i l 1 0 , 0 0 0 . 0 0 出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
④ そ の 他
こ の 他 、 航 海 支 援 の 分 野 で は 灯 台 の 近 代 化 や 自 動 化 、 レ ー ダ ー ス テ ー シ ョ ン の 設 置 、 船 舶 自 動 認 識 シ ス テ ム の 導 入 な ど が 計 画 さ れ て い る 。 内 陸 水 運 の 分 野 で は イ ン フ ラ を 中 心 に 開 発 が 計 画 さ れ て い る が 、 そ の 多 く は 州 政 府 負 担 、 ま た 内 陸 水 運 向 け の 船 舶 調 達 は 民 間 投 資 に よ っ て 担 う こ と と な っ て い る 。 造 船 分 野 で は 、 国 際 規 模 の 造 船 所 ２ ヶ 所 の 設 立 、 既 存 の 政 府 系 造 船 所 の 設 備 増 強 ・ 近 代 化 が 計 画 さ れ て い る 。 造 船 分 野 の N M D P の 詳 細 は 、 造 船 の 項 で 詳 述 す る 。
( 2 )N M D P の 港 湾 分 野 の プ ロ ジ ェ ク ト
イ ン ド の す べ て の 港 湾 の 貨 物 取 扱 量 は 2 0 0 4 - 0 5 年 度 に 3 億 8 , 3 7 5 万 ト ン に 達 し 、 処 理 能 力 の 上 限 3 億 9 , 7 5 0 万 ト ン に 限 り な く 近 づ い て い る 。 好 調 な 経 済 成 長 と 共 に 、 貿 易 量 は 飛 躍 的 に 拡 大 す る こ と が 見 込 ま れ て お り 、 処 理 能 力 の 増 大 が 必 要 と な っ て い る 。 既 に ほ と ん ど の 港 で フ ル 稼 働 に 近 い 状 態 が 続 い て い る が 、 効 率 が 極 め て 悪 く 、 船 混 み が 日 常 的 に 発 生 し て い る 。 入 港 を 待 つ た め に 沖 合 い に 停 泊 し て か ら 、 貨 物 の 積 み 下 ろ し を 完 了 す る ま で の 日 数( Tu r n a r o u n d Ti m e )は 、 主 要 1 2 港 で は 2 日 か ら 4 . 5 日 か か っ て い る 。7
7 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト 2 0 0 5－2 0 0 6
N M D P で は 、 主 要 港 の 処 理 能 力 を 大 幅 に 改 善 す る こ と を 掲 げ て い る が 、 海 運 局 で は 具 体 的 な 計 画 の 策 定 に あ た り 、2 0 1 3 - 1 4 年 度 に 必 要 な 処 理 能 力 を 試 算 し た 。 そ の 試 算 に よ る と 、2 0 1 3 - 1 4 年 度 の 貨 物 取 扱 量 は イ ン ド の 全 港 で 9 億 6 , 1 5 5 万 ト ン と な り 、 そ の う ち 7 3％ の 7 億 0 , 5 8 4 万 ト ン が 主 要 1 2 港 で 取 り 扱 う こ と に な る 。 ス ム ー ズ に 貨 物 を 処 理 す る た め に は 、 実 際 の 貨 物 取 扱 量 よ り 3 0％ 多 い 処 理 能 力 が 必 要 と 仮 定 す る と 、 主 要 1 2 港 に お け る 2 0 1 3 - 1 4 年 度 の 処 理 能 力 は 、9 億 1 , 7 5 9 万 ト ン を 目 標 と し な け れ ば な ら な い 。2 0 0 4 - 0 5 年 度 の 処 理 能 力 が 3 億 9 , 7 5 0 万 ト ン な の で 、5 億 2 , 8 0 9 万 ト ン の 処 理 能 力 を 追 加 し な け れ ば な ら な い 計 算 に な る 。 特 に 、 コ ン テ ナ 貨 物 は 大 き な 増 加 が 見 込 ま れ る た め 、 コ ン テ ナ 処 理 能 力 は 現 在 の 4 , 8 3 0 万 ト ン か ら 5 倍 近 い 2 億 3 , 5 5 6 万 ト ン に 増 や す 必 要 が あ る 。 タ イ プ 別 の 貨 物 量 の 予 想 値 、 お よ び 主 要 1 2 港 の 目 標 処 理 能 力 は 以 下 の 通 り 。
表 6 タ イ プ 別 貨 物 量 の 予 想 値
単 位 ：1 0 0 万 ト ン 、1 0 0 万 T E U 貨 物 タ イ プ
2 0 0 3 - 0 4 年 度 の 全 港 に お け る 貨 物
取 扱 量
2 0 1 3 - 1 4 年 度 の 予 想 貨
物 量
平 均 年 伸 び 率( C A G R )
2 0 1 3 - 1 4 年 度 の 主 要 1 2 港 の 予 想 貨
物 量
2 0 1 3 - 1 4 年 度 に 主 要 1 2 港 が 全 貨 物 量 に
占 め る 割 合 石 油 ・ 精 製 品 1 8 2 . 4 5 2 9 0 . 0 0 4 . 7 4 % 1 9 1 . 2 6 6 %
コ ン テ ナ ( T E U s )
5 1 . 0 0 ( 3 . 9 0 )
2 5 1 . 4 0 ( 2 0 . 9 5 )
1 7 . 3 0 % ( 1 8 . 3 1 % )
1 8 1 . 2 0 ( 1 5 . 1 0 )
7 2 %
鉄 鋼 7 1 . 3 5 1 3 1 . 5 0 6 . 4 3 % 9 7 . 5 0 7 4 %
石 炭 5 7 . 8 4 1 3 5 . 9 0 8 . 8 0 % 1 0 9 . 9 0 8 1 % そ の 他 の 貨 物 9 5 . 5 7 1 5 2 . 7 5 4 . 8 0 % 1 2 6 . 0 4 8 3 %
合 計 4 5 8 . 2 1 9 6 1 . 5 5 7 . 6 9 % 7 0 5 . 8 4 7 3 % 出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
表 7 主 要 1 2 港 の 目 標 処 理 能 力 お よ び 必 要 な 追 加 処 理 能 力
単 位 ：1 0 0 万 ト ン 、1 0 0 万 T E U 貨 物 タ イ プ
2 0 0 4 - 0 5 年 度 の 主 要 12 港 に お け る 貨 物
取 扱 量
2 0 0 4 - 0 5 年 度 の 主 要 12 港 に お け る 処 理
能 力 量
2 0 1 3 - 1 4 年 度 の 主 要 12 港 に お け る 予 想 貨
物 量
2 0 1 3 - 1 4 年 度 に 必 要 と さ れ る 処 理 能 力 量
2 0 1 3－1 4 年 度 ま で に 必 要 な 追 加 処 理
能 力 量
石 油 ・ 精 製 品 1 2 6 . 4 4 1 5 7 . 3 5 1 9 1 . 2 2 4 8 . 5 6 9 3 . 7 1 コ ン テ ナ
( T E U s )
5 4 . 7 6 ( 4 . 2 3 )
4 8 . 3 0 ( 4 . 1 3 )
1 8 1 . 2 0 ( 1 5 . 1 0 )
2 3 5 . 5 6 ( 1 9 . 6 3 )
1 8 6 . 0 1 ( 1 5 . 5 )
鉄 鋼 7 6 . 2 0 5 1 . 0 0 9 7 . 5 0 1 2 6 . 7 5 7 5 . 7 5 石 炭 5 2 . 7 9 4 4 . 2 1 0 9 . 9 0 1 4 2 . 8 7 9 8 . 6 7 そ の 他 の 貨 物 7 3 . 5 6 9 2 . 5 5 1 2 6 . 0 4 1 6 3 . 8 5 7 3 . 9 5
合 計 3 8 3 . 7 5 3 9 7 . 5 7 0 5 . 8 4 9 1 7 . 5 9 5 2 8 . 0 9 出 所 ： 海 運 局 ウ ェ ブ サ イ ト
上 記 の よ う な マ ク ロ レ ベ ル の 貨 物 処 理 能 力 の 予 測 値 か ら 、 各 主 要 港 で は2 0 1 3 - 1 4年 度 ま で に 拡 張 計 画 を 策 定 し た 。 各 港 湾 の 計 画 の 詳 細 に つ い て は 、 港 湾 の 項 で 詳 述 す る 。
1 . 2 . 4 セ ツ サ ム ド ラ ム 水 路 プ ロ ジ ェ ク ト
( S e th u s a m u d r a m S h i p Ch a n n e l P r o j e c t )
イ ン ド の 沿 岸 輸 送 が 発 達 し て こ な か っ た こ と 、 ま た イ ン ド の 貨 物 の 多 く が コ ロ ン ボ 港 で 積 み 替 え ら れ て い る こ と の 背 景 に は 、 イ ン ド と ス リ ラ ン カ 間 の 海 峡 の 水 深 が3メ ー ト ル 程 度 と 浅 く 、 船 が 航 行 で き な い た め 、 イ ン ド の 西 海 岸 と 東 海 岸 の 間 を 航 行 す る に は ス リ ラ ン カ の 沖 合 い を 通 ら な け れ ば な ら な い と い う 事 情 も あ る 。 イ ン ド で は1 9世 紀 か ら こ の 海 峡 の 浚 渫 の 検 討 が 重 ね ら れ て き た が 、 よ う や く 浚 渫 プ ロ ジ ェ ク ト が 始 動 し た 。
総 額2 4 2億7 , 4 0 0万 ル ピ ー に 及 ぶ プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 母 体 と し て 、 中 央 政 府 、 ツ チ コ リ ン 港 、 チ ェ ン ナ イ 港 、 エ ノ ー ル 港 、 ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム 港 、 パ ラ デ ィ プ 港 、 及 び 政 府 系 企 業2社 （S C I と イ ン ド 浚 渫 公 社 ―D re d g i n g C o rp o r a ti o n o f I n d i a） が 出 資 す る セ ツ サ ム ド ラ ム ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン が2 0 0 4年6月 に 設 立 さ れ た 。
プ ロ ジ ェ ク ト 経 費 の う ち 、9 7億1 , 0 0 0万 ル ピ ー は 出 資 金 （ 上 場 に よ る 市 場 か ら の 調 達 を 含 む ） で 賄 わ れ 、 残 り は 借 入 金 で 賄 う 計 画 と な っ て い る 。
イ ン ド 浚 渫 公 社 は2 0 0 5年7月 に 浚 渫 工 事 を 開 始 し 、2 0 0 6年3月 ま で に 約3 5 4万 平 方 メ ー ト ル が 浚 渫 さ れ た 。
図 1 セ ツ サ ム ド ラ ム 水 路 プ ロ ジ ェ ク ト
出 所 ： セ ツ サ ム ド ラ ム ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン ウ ェ ブ サ イ ト h t t p : / / w w w . s e t h u s a m u d r a m . g o v . i n
1 . 3 商 船 隊 の 規 模
イ ン ド の 商 船 隊 の 規 模 は 、1 9 9 3年 ま で は6 0 0万G T前 後 で あ っ た が 、1 9 9 3年 に7 0 0万 G Tに 達 し た 。 そ の 後1 0年 程 度 は7 0 0万G T前 後 で 推 移 し た が 、2 0 0 4年 以 降 、 急 速 に 増 え 、2 0 0 6年7月1日 現 在 で は8 5 8万G Tに 達 し た 。
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000
1981/4/
1 1986/
4/1 1991/4/1
1996/4/1 1997/4/1
1998/
4/1 1999/
4/1 2000/4/1
2001/4/1 2002/
4/1 2003/
4/1 2004/4/1
2005/
4/1 2005/
12/31 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000
隻数 G.R.T.
図 2 イ ン ド 商 船 隊 規 模 の 推 移
単 位 ： 隻 数 、1 , 0 0 0 G R T
出 所 ： 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト2 0 0 5 - 2 0 0 6よ り 作 成
こ の う ち 、9割 の7 4 8万G Tは 外 航 船 で 沿 岸 に 従 事 し て い る 船 舶 は 残 り の1割 に 過 ぎ な い 。 こ の こ と は 、 イ ン ド の 国 内 輸 送 で は 、 陸 上 輸 送 が 主 流 で 、 海 上 輸 送 が あ ま り 使 わ れ て い な い こ と を 示 し て い る 。
外航, 7,481,790GT
90%
沿岸, 804,612GT 10%
沿岸 外航
図 3 イ ン ド 商 船 隊 の 沿 岸 と 外 航 の 割 合 （2 0 0 5 年 1 2 月 3 1 日 現 在 ）
出 所 ： 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト2 0 0 5 - 2 0 0 6
隻 数 千 G R T
実 際 、 イ ン ド 船 主 協 会( I n d i a n N a ti o n a l S h i p o wn e r s’ As s o c i a t i o n : I N S A )の 事 務 局 長 に よ る と 、 イ ン ド で は 沿 岸 輸 送 は 複 雑 な 税 体 系 な ど に よ り 、 利 益 の 出 な い ビ ジ ネ ス で 、 参 入 す る 企 業 が 少 な い と い う 。 ま た 、 従 来 、 イ ン ド で は 鉄 道 輸 送 に は 政 府 か ら 補 助 金 が 供 与 さ れ て お り 、 荷 主 か ら み る と 鉄 道 輸 送 の ほ う が コ ス ト 安 だ っ た た め 荷 主 が 沿 岸 輸 送 を 好 ま な い 、 な ど の 事 情 も あ っ た と も い う 。 そ の た め 、 コ ン テ ナ 輸 送 で は 、 前 述 の よ う に イ ン ド の 各 港 か ら の 貨 物 は コ ロ ン ボ 港 で 積 み 替 え ら れ 、 コ ロ ン ボ が 積 み 替 え 拠 点 と な っ て い る 。 現 在 、 沿 岸 輸 送 さ れ て い る の は 石 炭 が 主 で 、 北 東 部 の ビ ハ ー ル 州 、 マ デ ィ ヤ ・ プ ラ デ シ ュ 州 、 オ リ ッ サ 州 な ど の 炭 田 か ら 、 南 部 に 輸 送 さ れ る 場 合 が 主 だ と い う 。 ま た 、 沿 岸 輸 送 に 対 す る カ ボ タ ー ジ ュ 制 度 は 一 応 あ る が 、 イ ン ド 籍 船 の 運 航 が な い ル ー ト や 、 イ ン ド の 船 会 社 が 反 対 し な け れ ば 、 外 国 の 船 会 社 も 運 航 で き る こ と に な っ て い る 。
な お 、 沿 岸 輸 送 を 行 う 船 会 社 が 加 盟 し て い る 団 体 と し て 、I N S A で は な く 、 沿 岸 協 議 会( Co a s t a l Co n f e re n ce )が あ る 。 沿 岸 協 議 会 の 会 長 は 国 営 船 会 社 の S C I で あ る 。 し か し 、 イ ン ド の 沿 岸 輸 送 は S C I な ど を 除 い て は 、 ”U n o r g a n i z e d s e c t o r ”と 呼 ば れ る 多 く の 零 細 企 業 に よ っ て 運 航 さ れ て お り 、 石 炭 輸 送 に 従 事 し て い る と こ ろ が 多 い 。 離 島 へ の 乗 客 輸 送 を 行 っ て い る と こ ろ も あ る と の こ と で あ る 。
な お 、 外 航 船 の 中 で は 、 石 油 タ ン カ ー が 最 も 多 く 、 全 体 の3 7 . 3％ を 占 め 、 続 い て バ ラ 積 み 船 が3 0 . 0％ 、 プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー が2 3 . 6％ と な っ て い る 。 コ ン テ ナ 船 は 全 体 の 1 . 6％ と 少 な い 。
表 8 外 航 船 の タ イ プ 別 外 航 船 の 割 合 （2 0 0 5 年 1 2 月 3 1 日 現 在 ） N o . 船 舶 の タ イ プ 隻 数 G . R . T . D . W . T
G R T ベ ー ス で 全 体 に 占
め る 割 合 1 バ ラ 積 み ラ イ ナ ー ( D R Y
C A R G O L I N E R ） 4 4 3 , 5 5 7 6 0 , 5 6 3 0 . 6 % 2 セ ル 構 造 コ ン テ ナ 船 9 1 2 2 , 4 4 0 1 5 8 , 7 8 5 1 . 6 % 3 バ ラ 積 み 船 ( D R Y C A R G O
B U L K C A R R I E R ) 8 9 2 , 2 2 8 , 2 1 9 3 , 8 1 3 , 8 7 9 3 0 . 0 % 4 鉄 鉱 石 ・ 石 油 バ ル クキ ャリ ア 2 9 4 , 9 5 5 1 6 9 , 2 5 7 1 . 3 % 5 石 油 タ ン カ ー 4 5 2 , 7 6 7 , 2 0 6 5 , 0 0 2 , 2 8 7 3 7 . 3 % 6 プ ロ ダ ク ト タ ン カ ー 5 3 1 , 7 5 6 , 0 4 3 3 , 0 8 1 , 6 9 0 2 3 . 6 %
7 貨 客 船 3 1 1 , 2 5 7 9 , 6 6 3 0 . 2 %
8 酸( A c i d )キ ャ リ ア 4 7 4 , 8 1 7 1 1 6 , 6 3 9 1 . 0 %
9 木 材 キ ャ リ ア 0 0 0 0 . 0 %
1 0 L P G キ ャ リ ア 1 4 2 8 3 , 9 0 3 3 4 1 , 8 9 4 3 . 8 % 1 1 サ プ ラ イ 船 7 1 1 , 5 2 9 1 5 , 7 3 7 0 . 2 %
1 2 R O - R O コ ン テ ナ 船 2 1 7 , 7 9 0 1 8 , 8 8 9 0 . 2 % 1 3 浚 渫 船 2 1 4 , 5 6 5 0 0 . 2 % 1 4 タ グ ボ ー ト 2 5 1 9 0 0 . 0 %
合 計 2 3 6 7 , 4 2 6 , 8 0 0 1 2 , 7 8 9 , 2 8 3 1 0 0 % 出 所 ： 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト2 0 0 5 - 2 0 0 6
一 方 、 イ ン ド の 商 船 隊 全 体 の 船 齢 を み る と 、2 0年 以 上 の 老 朽 化 し た 船 舶 が 全 体 の 半 分 を 占 め て い る 。
9.9% 14.4% 13.8% 11.6%
50.3%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
5年未満 5-9 年 10-14 年 15-19 年 20 年以上
商船隊全体に占める割合
図 4 イ ン ド 商 船 隊 の 船 齢( 2 0 0 6 年 7 月 1 日 現 在)
出 所 ： イ ン ド 船 主 協 会 ア ニ ュ ア ル レ ビ ュ ー2 0 0 5 - 2 0 0 6
ま た 、 前 述 の よ う に 、 イ ン ド の 商 船 隊 が 対 外 貿 易 の 海 上 輸 送 に 占 め る 割 合 は 年 々 減 少 し 、2 0 0 4 - 0 5年 度 に は1 3 . 7％ と な っ た 。
31.5%
22.4%
13.7%
13.8%
15.1%
17.0%
30.8%
31.4%
29.8%
27.8%
28.7%
33.6%
34.9%
36.7%
35.5%
35.8%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
1989- 90
1990- 91
1991- 92
1992- 93
1993- 94
1994- 95
1995- 96
1996- 97
1997- 98
1998- 99
1999- 00
2000- 01
2001- 02
2002- 03
2003- 04
2004- 05
図 5 イ ン ド 商 船 隊 が 対 外 貿 易 に 占 め る 割 合
出 所 ： イ ン ド 船 主 協 会 ア ニ ュ ア ル レ ビ ュ ー2 0 0 5 - 2 0 0 6
イ ン ド の 船 会 社 が 輸 送 す る 貨 物 の 特 徴 を み る と 、 石 油 ・ 精 製 品/そ の 他 の 液 体 及 び 製 品 の 降 荷 （ 即 ち 輸 入 ） が 多 く 、 全 体 の3 8 . 2％ と な っ て い る 。 一 般 貨 物 や バ ル ク 貨 物 は4
～6％ に と ど ま っ て い る 。 前 述 の よ う に 、 政 府 機 関 や 政 府 系 企 業 の 輸 入 貨 物 は 、 イ ン ド 籍 船 が 優 先 的 に 輸 送 す る こ と に な っ て い る が 、 こ れ ら の 輸 入 貨 物 は 石 油 やLP Gな ど が 多 い か ら で あ る 。
表 9 貨 物 の 種 類 別 の イ ン ド の 商 船 隊 が 輸 送 に 占 め る 割 合( 2 0 0 4 - 2 0 0 5 年 度 予 測 値) 単 位 ：1 , 0 0 0ト ン 、 ％ 貨 物 の 種 類 イ ン ド の 船 会 社 外 国 の 船 会 社 合 計
積 荷 3 , 1 4 7 ( 6 . 0 % ) 4 9 , 0 8 4 ( 9 4 . 0 % ) 5 2 , 2 3 1 一 般 貨 物
降 荷 4 , 7 3 3 ( 6 . 2 % ) 7 6 , 9 2 9 ( 9 4 . 2 % ) 8 1 , 6 6 2 合 計 7 , 8 8 0 ( 5 . 9 % ) 1 2 6 , 0 1 3 ( 9 4 . 1 % ) 1 3 3 , 8 9 3 積 荷 3 , 8 6 3 ( 4 . 0 % ) 9 2 , 4 4 7 ( 9 6 . 0 % ) 9 6 , 3 1 0 バ ル ク 貨 物
降 荷 3 , 6 3 5 ( 6 . 2 % ) 5 5 , 1 2 2 ( 9 3 . 8 % ) 5 8 , 7 5 7 合 計 7 , 4 9 8 ( 4 . 8 % ) 1 4 7 , 5 6 9 ( 9 5 . 2 % ) 1 5 5 , 0 6 7 積 荷 1 , 5 6 0 ( 9 . 9 % ) 1 4 , 1 9 9 ( 9 0 . 1 % ) 1 5 , 7 5 9 石 油 ・ 精 製 品/そ の
他 の 液 体 及 び 製 品 降 荷 3 6 , 2 2 7 ( 3 8 . 2 % ) 5 8 , 6 6 6 ( 6 1 . 8 % ) 9 4 , 8 9 3 合 計 3 7 , 7 8 7 ( 3 4 . 1 % ) 7 2 , 8 6 5 ( 6 5 . 9 % ) 1 1 0 , 6 5 2 積 荷 8 , 5 7 0 ( 5 . 2 % ) 1 5 5 , 7 3 0 ( 9 4 . 8 % ) 1 6 4 , 3 0 0 合 計
降 荷 4 4 , 5 9 5 ( 1 9 . 0 % ) 1 9 0 , 7 1 7 ( 8 1 . 0 % ) 2 3 5 , 3 1 2 合 計 5 3 , 1 6 5 ( 1 3 . 3 % ) 3 4 6 , 4 4 7 ( 8 6 . 7 % ) 3 9 9 , 6 1 2
出 所 ： 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト2 0 0 5 - 2 0 0 6 註 ： 前 述 の イ ン ド 船 主 協 会 ア ニ ュ ア ル レ ビ ュ ー で は 、 イ ン ド の 船 会 社 が 貨 物 全 体 の 輸 送 に 占 め る 割
合 は1 3 . 7％ と な っ て お り 、 海 運 局 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト の 数 字 と 若 干 異 な る 。
ま た 、 イ ン ド の 船 会 社 は1 8 0社 程 度 あ る が 、 イ ン ド 船 主 協 会( I N S A )の メ ン バ ー3 2社 だ け で 、 ト ン 数 ベ ー ス で イ ン ド 籍 船 全 体 の9割 以 上 を 保 有 し て い る 。2 0 0 6年7月1日 現 在 、I N S Aメ ン バ ー の 所 有 船 舶 の 総DW T数 は1 , 2 6 7万D W Tに 上 る 。 一 方 、2 0 0 5年1 2 月3 1位 現 在 の イ ン ド 籍 船 の 総D W T数 は1 , 3 6 3万D W Tで あ る 。I N S Aの メ ン バ ー の 中 で も 、 政 府 系 企 業 で あ るS CI ( S h i p pi n g C o r po ra ti o n o f I n di a )が4 8 8万DW TとI N S A メ ン バ ー の 総DW T数 の3 8 . 5％ を 占 め て い る 。 前 述 の よ う にI N S Aの メ ン バ ー 以 外 の 船 会 社 は 、 小 規 模 零 細 企 業 が 多 く 、 沿 岸 輸 送 や 離 島 へ の 乗 客 の 輸 送 に 従 事 し て い る 。
Apeejay Shipping, 1.9%, 24万
DWT
その他 11.8%
149万DWT India
Streamship、
2.0％ 25万 DWT Varun Shipping, 4.5% 57万
DWT Essar Shipping, 7.8% 99万
DWT Mercator Lines, 10.5%
133万DWT
Great Eastern Shipping, 23.0%, 292万
DWT
SCI, 38.5%
488万DWT
図 6 I N SA メ ン バ ー の 所 有 船 舶 規 模
出 所 ： イ ン ド 船 主 協 会 ア ニ ュ ア ル レ ビ ュ ー2 0 0 5 - 2 0 0 6
1 . 4 海 上 輸 送 の 現 況 と 見 通 し
イ ン ド の 対 外 貿 易 の 動 向 を み る と 、 イ ン ド が 経 済 危 機 に 陥 り 経 済 開 放 政 策 の 導 入 に 踏 み 切 る 契 機 と な っ た1 9 9 1 - 9 2年 度 に は 対 前 年 比 マ イ ナ ス1 1 . 7％ と な っ た 。 そ の 後 は 順 調 に 推 移 し 、1 9 9 8 - 9 9年 度 に 対 前 年 比 マ イ ナ ス1 . 2％ 、I Tバ ブ ル 崩 壊 の 影 響 を 受 け た 2 0 0 1 - 0 2年 度 は 対 前 年 比 マ イ ナ ス0 . 2％ と 振 る わ な か っ た が 、2 0 0 2 - 0 3年 度 以 降 、 対 前 年 比2 0％ 前 後 増 加 率 と い う 急 速 な ペ ー ス で 伸 び て い る 。
単 位 ： ％
図 7 イ ン ド の 対 外 貿 易 の 伸 び 率
出 所 ： イ ン ド 中 央 銀 行 デ ー タ よ り 作 成 -20%
-10%
0%
10%
20%
30%
40%
1982-83 1983-84 1984-85 1985-86 1986-87 1987-88 1988-89 1989-90 1990-91 1991-92 1992-93 1993-94 1994-95 1995-96 1996-97 1997-98 1998-99 1999-00 2000-01 2001-02 2002-03 2003-04 2004-05 2005-06
特 に 、2 0 0 5 - 0 6年 度 ま で の4年 間 の 年 平 均 成 長 率( C A G R )は 、 前 述 の よ う に2 0 . 9％ で あ っ た 。 同 時 期 、 輸 出 のC A G R 1 8 . 2％ に 対 し て 輸 入 のC A G Rは2 3 . 0％ と な っ て お り 、 輸 入 の 平 均 伸 び 率 が 輸 出 よ り も 高 く な っ て い る 。
表 1 0 2 0 0 1 - 0 2 年 度 ～2 0 0 5 - 0 6 年 度 の 輸 出 入 額 の 推 移
単 位 ：1 0 0万 米 ド ル 区 分 2 0 0 0 - 0 1 2 0 0 2 - 0 3 2 0 0 3 - 0 4 2 0 0 4 - 0 5 2 0 0 5 - 0 6 C A G R 輸 出 4 4 , 5 6 0 . 3 5 2 , 7 1 9 . 4 6 3 , 8 4 2 . 6 8 3 , 5 3 5 . 9 1 0 2 , 7 2 5 . 1 1 8 . 2 % 輸 入 5 0 , 5 3 6 . 5 6 1 , 4 1 2 . 1 7 8 , 1 4 9 . 1 1 1 1 , 5 1 7 . 4 1 4 2 , 4 1 6 . 3 2 3 . 0 %
出 所 ： イ ン ド 中 央 銀 行 デ ー タ よ り 作 成
品 目 別 で は2 0 0 3 - 0 4年 度 ま で の5年 間 の 数 字 に な る が 、 輸 出 で は 鉱 物 燃 料 ・ 潤 滑 油 の 伸 び が 最 も 大 き く 、 続 い て 化 学 品 、 機 械 ・ 輸 送 機 器 、 工 業 製 品 と な っ て お り 、 輸 入 で は 飲 料 ・ タ バ コ の 伸 び 率 が ト ッ プ で 続 い て 機 械 ・ 輸 送 機 器 、 動 植 物 油 ・ ワ ッ ク ス が 続 い て い る 。
表 11 品 目 別 輸 出 入 額 の 伸 び 率 の 推 移
単 位 ： ％
1999-00年度 2000-01年度 2001-02年度 2002-03年度 2003-04年度CAGR (5年間）
輸出 15.5% 23.9% 3.9% 21.8% 6.0% 13.9%
食品 -17.1% 10.1% 15.1% 28.9% -0.4% 6.2%
飲料及びタバコ 57.6% -15.4% -9.7% 20.1% -5.8% 6.4%
天然資源等 6.9% 33.9% 3.1% 31.8% -19.0% 9.5%
鉱物燃料・潤滑油等 -38.1% 1689.5% 32.6% 32.6% 1.4% 81.6%
動物植物油・油脂・ワックス 32.2% 0.7% -1.4% -23.6% 13.3% 2.6%
化学品及び関連品 24.6% 30.2% 12.5% 29.4% 6.7% 20.3%
工業製品 16.4% 54.6% 4.1% 14.1% 5.9% 17.8%
機械及び輸送機器 15.3% 46.8% 1.0% 13.6% 17.4% 17.9%
その他の工業製品 38.8% -17.9% -17.5% 35.0% 1.5% 5.2%
輸入 9.5% -1.0% 5.0% 9.4% 20.9% 8.5%
食品 -13.5% -56.0% 92.4% 11.4% 2.0% -3.6%
飲料及びタバコ -17.5% 36.5% 4.6% 58.9% 32.8% 20.0%
天然資源等 34.5% -8.2% 35.5% -5.8% 17.6% 13.2%
鉱物燃料・潤滑油等 1.5% -4.7% 8.8% 4.8% 9.5% 3.8%
動物植物油・油脂・ワックス -15.1% 93.2% -43.5% -4.2% 120.1% 14.3%
化学品及び関連品 12.7% -26.2% 7.0% -1.5% 67.9% 8.0%
工業製品 24.8% -21.0% 14.8% 27.4% 11.6% 10.0%
機械及び輸送機器 7.9% 3.6% 17.2% 31.2% 17.9% 15.2%
その他の工業製品 37.6% 35.1% -26.2% -24.4% -21.6% -4.0%
出 所 ：I C R A S e c t o r A n a l y s i s ” S h i p p i n g a n d P o r t s ” I C R A L i m i t e d 2 0 0 6年5月 発 行
前 述 の よ う に 、 商 務 省 は2 0 0 4年 か ら2 0 0 9年 ま で に 貿 易 量 を 倍 増 す る 目 標 を 発 表 し て い る 。 ま た 、I T産 業 な ど の サ ー ビ ス 業 投 資 が 先 行 し て い た イ ン ド で は あ る が 、 こ こ 数 年 、 輸 出 拠 点 も 視 野 に い れ た 製 造 業 投 資 も 伸 び て い る 。 例 え ば 自 動 車 産 業 だ け を み て も 、 ス ズ キ の 子 会 社 、 マ ル チ ウ ド ヨ グ 社 は ハ リ ヤ ナ 州 マ ネ サ ル に5 0 0億 ル ピ ー を 投 じ て 新 工 場 を 建 設 中 で あ る が 、 同 工 場 は 欧 州 向 け の 輸 出 拠 点 と す る 方 針 で あ る 。 ま た 、 同 工 場 で は デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン も 製 造 予 定 で 、 主 力 は 輸 出 向 け に な る 見 込 み だ 。 ホ ン ダ は2 0 0 6 年7月 に 今 後1 0年 間 で3 0 0億 ル ピ ー を 追 加 投 資 す る 計 画 を 発 表 し て い る 。 ま た 、 ヒ ュ ン
ダ イ ・ モ ー タ ー は2 0 0 8年 ま で に 生 産 能 力 を 現 在 の2倍 の6 0万 台 ま で 引 き 上 げ る た め 、2 件 目 の 工 場 建 設 を 計 画 中 で あ る 。 ヒ ュ ン ダ イ ・ モ ー タ ー は イ ン ド を 輸 出 製 造 拠 点 と 捉 え て お り 、 イ ン ド か ら の 自 動 車 輸 出 増 が 見 込 ま れ る 。 地 場 メ ー カ ー も 追 加 投 資 に 積 極 的 だ 。 タ タ ・ モ ー タ ー ズ は 今 後3～4年 で 約2 6億 米 ド ル を 投 資 し 、 ロ シ ア と 中 国 向 け に 完 成 車 を 輸 出 す る 計 画 。 フ ォ ル ク ス ワ ー ゲ ン は マ ハ ラ シ ュ ト ラ 州 に 、B M Wは タ ミ ー ル ナ ド ゥ 州 チ ェ ン ナ イ 郊 外 に 組 み 立 て 工 場 を 設 立 す る 。 こ う し た 大 型 投 資 に よ り 、 生 産 設 備 や 部 品 の 輸 入 、 完 成 車 の 輸 出 と い っ た 海 運 需 要 も 見 込 ま れ る 。
エ ネ ル ギ ー セ ク タ ー で は 石 油 精 製 能 力 の 拡 充 が 計 画 さ れ て い る 。 例 え ば ア ン ド ラ プ ラ デ シ ュ 州 の ヴ ィ シ ャ ー カ パ ト ナ ム を 石 油 精 製 産 業 ハ ブ に す る 計 画 に 合 わ せ て 、 国 営 の ヒ ン デ ゥ ス タ ン 石 油 公 社( Hi n d u s t a n Pe t ro l e u m Co r po r a ti o n L i m i t e d －H D P L )が 8 3 0億 ル ピ ー を 投 じ て2 0 1 0年 ま で に 年 産7 5 0万 ト ン か ら1 , 5 0 0万 ト ン に 生 産 能 力 を 拡 張 す る 計 画 で あ る8。 ま た 、 イ ン ド 石 油 公 社(I n d i a n O i l C o r po r a ti o n – I O C )も3 0 0億 ル ピ ー を 投 じ て ハ ル デ ィ ア 精 製 所 の 生 産 能 力 を 年 産6 0 0万 ト ン か ら7 5 0万 ト ン に 拡 張 す る 予 定 で あ る9。 こ う し た 石 油 精 製 能 力 の 拡 充 に よ り 、 タ ン カ ー 輸 送 の 需 要 の 増 加 が 見 込 ま れ る 。 ま た 、 イ ン ド 政 府 は 石 油 へ の 依 存 度 を 是 正 す る た め に 、L N Gの 利 用 拡 大 を 促 進 し て お り 、 エ ネ ル ギ ー 消 費 に 占 め るL N Gの 割 合 を 現 在 の8％ か ら2 5％ に 徐 々 に 引 き 上 げ る 計 画 で 、 オ マ ー ン や イ ラ ン な ど の 中 東 諸 国 と 輸 入 計 画 を 締 結 し て い る 。L N G 輸 入 が 予 定 ど お り 増 加 す れ ば 、L N Gタ ン カ ー の 需 要 増 も 見 込 ま れ る 。
バ ラ 積 み 貨 物 の 分 野 で は 、 イ ン ド は 鉄 鉱 石 の 主 要 輸 出 国 で 、 国 内 生 産 量 は2 0 0 2年 か ら2 0 0 7年 の 間 に4 1％ 増 産 さ れ る 予 定 で あ る 。 ま た 、 製 鉄 所 向 け の コ ー ク ス 用 炭 の 輸 入 増 も 見 込 ま れ 、 バ ル ク キ ャ リ ア の 需 要 も 増 大 す る と 考 え ら れ る1 0。
一 方 、 イ ン ド に お け る 製 造 業 投 資 の 増 大 に 伴 い 、 コ ン テ ナ 貨 物 量 の 増 加 も 予 想 さ れ る 。 イ ン ド 最 大 の コ ン テ ナ 港 、 ニ ュ ー ム ン バ イ の ジ ャ ヤ ワ ル ハ ル ・ ネ ル( J N P T )港 で は 、 コ ン テ ナ 取 扱 量 が2 0 0 1 - 0 2年 度 の1 5 7万T E Uか ら2 0 0 5 - 0 6年 度 に は2 6 7万T E Uと7 0％ の 伸 び を 示 し た 。J N T P港 で は2 0 0 6年1 1月 に 第 ３ タ ー ミ ナ ル を 開 設 し て い る が 、 コ ン テ ナ 貨 物 の さ ら な る 増 加 を 見 込 ん で 第4タ ー ミ ナ ル の 建 設 も 計 画 中 で あ る 。 し か し 、 コ ン テ ナ 貨 物 輸 送 に 占 め る イ ン ド 籍 船 の 割 合 は3～4％ と 低 い 。I N S Aに よ る と 、 コ ン テ ナ 船 ビ ジ ネ ス と タ ン カ ー ビ ジ ネ ス は 異 な る 性 質 の も の で 、 イ ン ド の 海 運 会 社 は 一 部 の 大 手 を 除 き 、 コ ン テ ナ 船 を 操 業 す る ノ ウ ハ ウ を あ ま り 持 っ て い な い と い う 。 イ ン ド の 海 運 会 社 で コ ン テ ナ に 参 入 し て い る の は 、 国 営 のS C I（ コ ン テ ナ 部 門 を 持 ち7～8隻 の コ ン テ ナ 船 を 運 航 ） と 、 フ ィ ー ダ ー サ ー ビ ス を 運 航 し て い るS h r e y a s S h i p p i n g & L o g i s ti c s 社 程 度 だ と の こ と で あ る 。 そ の た め 、 コ ン テ ナ 貨 物 が 増 加 し て も 、 イ ン ド の 海 運 会 社 の 間 で は そ れ ほ ど コ ン テ ナ 船 の 需 要 は 見 込 め な い 可 能 性 も あ る 。
8 T h e H i n d u 2 0 0 6 年8月 11 日
9 I O C社 プ レ ス リ リ ー ス 2 0 0 6 年1 2 月2 8 日
1 0 I C R A S e c t o r A n a l y s i s “ S h i p p i n g a n d P o r t s ” , I C R A , 2 0 0 6 年 版
