沖 ノ鳥 島 にお け る サ ンゴ片,砂 の移動 過 程 に関 す る研 究
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(2) 1097. 沖 ノ鳥島 にお け るサ ンゴ片,砂 の移動 過程 に関 す る研 究 砂 が 堆 積 して い る 中央 部 で は ノ ル が散 在 して い る状 態 と. 流 砂 量 公 式 を 用 い て 計 算 した.サ. な って い る.礁 外 縁 沖 側 で は,急. qy(添 字x,yは. 斜 面 上 水 深5〜60m程. 度 の 水 深 帯 で サ ン ゴが 生 育 し て い る(写 真‑1左 参 照).. そ れ ぞ れx軸,y軸. ン ゴ片,砂. の 掃 流 量qx,. 方 向 を 示 す)は 以 下 の式. を 用 い た.. こ の こ とか ら,礁 外 縁 沖 側 か らの礁 内 へ のサ ン ゴ片 供 給. (1). は あ る もの と推 測 さ れ る. 3. フ ラ グ メ ン ー テ ー シ ョ ン 及 び 砂 の 移 動 計 算. (2). 波 浪 に よ る サ ン ゴ の 破 壊 過 程 に 関 し て はMadin・ Connolly(2006)が,サ. ン ゴ に働 く流 体 力 を評 価 し,サ. ン. ゴ群 体 に 働 く曲 げ モ ー メ ン トと サ ン ゴ群 体 の 曲 げ 強 度 か. (3). らサ ン ゴ の耐 波 性 を 検 討 して い る.こ の よ うに フ ラ グ メ ンテ ー シ ョン過 程 を把 握 す るに は,サ ン ゴの種 類 別形 態 ・ 規 模 分 布 ・強 度 特 性 等 詳 細 な情 報 が 必 要 で あ る.流 動 に. こ こ で,u,v;x,y方. よ るサ ンゴ片 の剥 離,移 動 を モ デ ル 化 す る に は上 記 情 報. cf;底. が 不 可 欠 で あ る が,そ. 粒 径 で あ る.. の よ うな 情 報 は今 の と こ ろ な い.. これ ま で の観 察 結 果 等 か ら見 て,礁 外 沖側 斜 面 の水 深 5〜10mの. 領 域 で サ ン ゴ 片 が 生 成 さ れ,こ. の水深 帯か ら. サ ン ゴ片 が礁 内 外 に供 給 さ れ る も の と仮 定 した.そ. の輸. 面 摩 擦 係 数,s;底. き て い る サ ン ゴ の 比 重),Ds=4cmと. 力 加 速 度,Ds;. し た.砂. は αb=3.5,Ψc=0,s=2.7,Ds=1.4mm(底 と し た.サ. うサ ー フ ビー ト及 び海 浜 流 に よ り,サ. Bruno(1998)の. につい て. 質 分 析 結 果). ン ゴ片 の 大 き さ に つ い て は 情 報 が な い の で, 研 究 及 び サ ン ゴ片 の 堆 積 写 真 等 を 参 考 と. し た.. ち 上 が り,移 動 す る もの と考 え た. 流 動 場 の計 算 に は,修 正 ブ シ ネ ス ク方 程 式 を用 い た. 平 山 ら(1998)に. 質 比 重,g;重. ー ル ズ 数,. サ ン ゴ 片 に つ い て は,αb=12,Ψc=0.05,s=1.6(生. 送 外 力 は 台風 等 に よ る波 浪 と し た.波 動 流 及 び そ れ に 伴 ン ゴ片 が 島 内 に 打. 向 瞬 間 流 速,Ψ;シ. こ の 掃 流 量 を 用 い て 以 下 の 式 か ら 地 形 変 化 量 を 計 算 し た.. よ る 非 線 形 波 浪 モ デ ル(NOWT‑PARI. ver4.6c3)を ベ ー ス と し,計 算 の 安 定 性,精. 度 向上 の た. め に,移 流 項 に2次 精 度 の 風 上 差 分(Donnar‑Cell法)を. (4). 用. い た.砕 波 に よ る拡 散 項 は佐 藤 ・Kabiling(1994)と 同 様. な お,サ. ン ゴ片 の 場 合 に は空 隙 率 λを0と し,砂 の 場. と した が,計 算 の不 安 定 性 回 避 の た め に,差 分 近 似 の 際. 合 に は0.4と した.堆 積 厚 が 無 い場 合 に は掃 流 量 を0と し. に現 れ る項 の一 部 の み を 次 の 時 刻 の 値(未 知 数)と し,. た.サ. そ れ に よ り発 生 す る流 量 の不 整 合 を 後 か ら補 正 す るSSI. 評 価 は不 可 能 で あ る が,礁 内 の ど の範 囲 まで 輸 送 さ れ る. (Symmetrical Semi‑Implicit)法 を 適 用 し た.な お,造 波 境. か を評 価 出 来 る も の と した.. ン ゴ片 に関 して は この よ うな取 り扱 いで は量 的 な. 界 背 後 及 びそ の反 対 側 境 界 に は,ス ポ ン ジ層 を設 置 し,さ. 沖 ノ鳥 島 沖 側 で は 図‑1,沖. らに 両 境 界 端 に放 射 条 件 を 設 定 し,計 算 領 域 内へ の 再 反. 行 っ た 深 浅 測 量 を も と に,5mメ. 射 を極 力 防 止 した.入 射 波 沿 いの 境 界 は完 全 反 射 と した.. 作 成 し,こ れ を波 浪 及 び サ ンゴ片,砂. サ ン ゴ片 の移 動 は砂 礫 と同様 と し,大 型 水 槽 で グ ラベ ル移 動 に関 す る水 理 模 型実 験 及 び数 値 計 算 を 行 った Pedrozoら(2006)が. 用 い た掃 流 砂 量 公 式 を単 純 化 した も. の を 用 い た.礁 内 の 砂 の移 動 で は,図‑2を. 参 考 と して 砂. の 堆 積 領 域 を 設 定 し,佐 藤 ・Kabiling(1994)が 用 い た 掃. ノ鳥 島 周 辺 で は,国 交 省 が ッ シ ュ の水 深 デ ー タ を 移 動 の計 算 に 用 い. た. 国交 省 が 行 っ て い る観 測 結 果 を参 考 に年 に数 回 程 度 来 襲 す る有 義 波 高,周. 期(一 方 向 不 規 則 波)を,5m,15秒. と し,東,西,南,北. それ ぞ れ の 方 向 か ら,有 義 波 相 当. で500波 分 約2.1時 間 作 用 させ た(図‑3参 照).計 上,沖. 側 で の 最 大 水 深 を40mと. 変 化 の 計 算 と も に,空. 算 の都 合. して い る.流 動 場,地. 間 分 解 能,差. 形. 分 時 間 は5m,0.19. 秒 と した. サ ンゴ礁 内 の 地 形 は,先 に 述 べ た よ うに ノル や 岩 盤 地 形 に よ り複 雑 で あ る.し た が って,本 計 算 の 空 間 分 解 能 及 び計 算 手 法 に よ り,局 所 的 な 流 れ,サ き を評 価 す る こ と は困 難 で あ るが,こ. ン ゴ片 ・砂 の 動. こで は沖 ノ鳥 島 に. お け る全 体 的 ・平 均 的 な現 象 を 把 握 す る こ と を 目 的 と し 写 真‑1. 礁 外 緑 水 深5mの. サ ン ゴ(左)礁. 内 の ノ ル(右). て,本 計 算 に よ る検 討 を 行 っ た..
(3) 1098. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 場 合 に移 動 量 が 大 き くな る もの と推 察 され る. 砂 の移 動 状 況 を そ れ ぞ れ の 図 か ら比 較 す る.ま ず,全 体 に 言 え る こ と は,来 襲 波 高 が 高 い の に 比 して,砂. の移. 動 量 が 少 な い.こ れ は,砂 の 堆 積 して い る領 域 が 礁 中 央 部 で,水 高,平. 深 が3m以 上 と な って い る こ と,礁 中 央 部 の 波. 均 流 速 が小 さ い こ とに よ る も の と考 え られ る.特. 徴 的 な の は,砂 移 動 が 波 向 き と反 対 方 向 に もか な りの量 移 動 して い る こ とで あ る.こ れ は,大 き な 波 高 が 来 襲 し た場 合 に島 縁 辺 部 が 干 出 状 態 とな って 発 生 す る礁 外 へ の 強 い 流 れ,サ. ー フ ビ ー トに よ る流 れ 及 び先 に述 べ た波 向. き側 礁 嶺 部 に発 生 す る沖 側 へ の平 均 流 等 に よ り礁 外 側 へ の砂 の輸 送 が お き る こ と に よ る もの と考 え られ る.な お, 南 方 向 か ら の波 向 きに 関 して は,台 風 来 襲 前 後 に お け る. 図‑3. 沖 ノ鳥 島 来 襲 有 義 波 高 ・周 期 分 布(2004/6〜2005/6). 4. 計 算 結 果 及 び 考 察. 図‑4,5,6,7に 速,サ. 沖 ノ鳥 島 の 波 高 分 布,水. ン ゴ片 堆 積 厚,砂. れ ぞ れ東,西,北,南. 位 ・平 均 流. 面 変 化 分 布 を 示 す.波. 向 きが そ. と な っ て い る.島 の沖 側 の 波 高 は,. 2.5m以 上 で 等 高 線 表 示 して い な い.な. お,平. 均 流 速 は,. ブ シ ネ ス ク波 動 方 程 式 に よ って 計 算 され る線 流 量 を 時 間 平 均 し,セ ッ トア ップ を 含 め た平 均 水 深 で 除 す る こ と に よ って 求 め た.瞬 間 の線 流 量 を そ の と きの 全 水 深 で 除 し た 流 速 の 時 間 平 均 と は異 な るが,両 者 を 比 較 した と こ ろ, 差 異 が 少 な か っ た の で,前 者 を掲 載 した. 沖 側 外 縁 部 で 波 高8mを 越 す 波 高 と な っ て い る が,礁 嶺 部 で の砕 波 減 衰 に よ り,ほ とん ど の場 合,礁. 内部 で は. 波 高 は概 ね1〜1.5m程 度 と小 さ い.た. だ し,波 向 きが 南. (図‑7)の 場 合 は,礁. 度 と 高 くな って い. る.こ. 内 で も波 高2m程. の原 因 は,南 側 の礁 嶺 部 の 幅 が 北 側 に比 較 して小. さ い こ と,礁 嶺 背 後 で 水 深 が 大 き い こ と に よ る も の と考 え られ る.平 均 水 位 は,来 襲 方 向 の 礁 嶺 側 で 高 くな って い る.礁 内 の平 均 水 位 も波 高 分布 と同 様 に波 向 きが 南 の 場 合 に 高 くな って い る こ と が わ か る.平 均 流 は波 向 き に 対 応 した 流 れ が形 成 され て い る が,平 均 水 位 の 高 い礁 嶺 部 で は 沖 側 へ 流 出 す る流 れ が 生 じて い る.波 向 きが 南 の 場 合 に はや は り礁 内 の 流 れ が 他 の場 合 よ り大 き くな る. サ ン ゴ片 の 堆 積 分 布 状 況 を そ れ ぞ れ の 図 か ら比 較 す る. 波 向 き が 南 北 の場 合 に は,礁 内へ の 移 動 量 が 大 き く,礁 中 央 部 近 く まで 到 達 して い るが,量. は 少 な い.波 向 きが. 東 西 の場 合 に は波 向 き側 領 域 で 移 動 量 が 多 い が,そ れ 以 外 は少 な い.以 上 か ら,サ. ンゴ片 は激 浪 来 襲 時 に お い て. も礁 中 央 ま で は到 達 す る こ と は少 な い もの と考 え られ る. しか しな が ら,小 さ い ノ ル が 存 在 す る礁 嶺 背 後 領 域 に ま で は到 達 す る 可 能 性 が あ る.ま た,南 北 方 向 の波 向 きの. 図‑4. 波 高,水 位 ・平 均 流速,サ (波向 き東). ンゴ片堆 積 厚,砂 面 変化.
(4) 沖 ノ鳥 島に おけ るサ ンゴ片,砂 の移動 過程 に関 す る研 究. 1099. 地 形 変 化 が 観 測 さ れ て お り,台 風 来 襲 後 の 東 小 島 周 辺 (図‑2下 段 図 中 に 位 置 を 示 す)の 砂 の 堆 積 形 状 は本 計 算 結 果 と ほ ぼ 同 様 で あ った.. 5. ま と め 修 正 ブ シネ ス ク波 動 方 程 式 及 び 砂 礫 移 動 モ デ ル に よ っ. 波 向 き別 に 沖 へ の砂 の 流 出 量 を図‑8に 示 す.こ ら,全 体 的 に 流 出量 は少 な い が,波. の図か. 向 きが 南 北 方 向 の ほ. て,沖. ノ鳥 島 に お け る サ ン ゴ片 及 び島 内 の砂 の 移 動 状 況. に つ いて 数 値 的 な 検 討 を行 った 結 果,以 下 の よ う な こ と. うが 流 出量 が 多 い こ とが わ か る.通 常 時 にお い て も,潮. が言 え る.. 汐,波 浪,海. (1)沖 ノ鳥 島 で の サ ン ゴ片 の移 動 量,砂 移 動 量 は,波. 浜 流 等 に よ り,島 内 の砂 は徐 々 に移 動 して. お り,沖 ノ鳥 島 で の 漂砂 現 象 に よ る地 形 変 化 は長 期 的 な 視 点 か ら検 討 す る必 要 が あ る と考 え られ る.こ の点 につ いて は 今 後 検 討 す る必 要 が あ る. 以 上,サ. ン ゴ片,砂. 向. きが 南 北 の場 合 に多 い. (2)サ ン ゴ片 の 移 動 量 は,小. さな ノ ル の 存 在 す る礁 嶺 背. 後 領 域 ま で が 多 く,礁 中央 部 は少 な い.. の 動 き は,東 西 に細 長 い とい う沖. ノ鳥 島 の 地 形 的 特 徴 を 良 く反 映 した結 果 と な った.. (3)島 外 へ の砂 の 流 出 は,東 西 に比 較 して 南 北 方 向 の 波 向 き の場 合 に 多 い. サ ンゴ片 の移 動 に関 して は,あ. くま で砂 礫 と して見 な. し た定 性 的 な 検 討 で あ り,定 量 的 な検 討 の た め に は先 に 述 べ た よ うに サ ン ゴ片 の発 生 ・移 動 過 程 を モ デ ル化 した. 図‑5. 波高,水 位 ・平 均 流速,サ (波向 き西). ン ゴ片堆 積 厚,砂 面変 化. 図‑6. 波 高,水 位 ・平 均 流 速,サ (波向 き北). ンゴ片 堆積 厚,砂 面 変 化.
(5) 1100. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 検 討 が 必 要 で あ り,今. 後 行 っ て い き た い.ま. た,島. 内 の. 砂 移 動 に よ る地 形 変 化 に つ い て は長 期 的 な検 討 が 必 要 で あ る.. 参. 考. 文. (財)国 土 技 術 研 究 セ ン タ ー(2002): pp.203. 佐 藤 慎 司 ・M.Kabiling(1994): 変 形 の 数 値 モ デ ル, 405. 水 産 庁 漁 港 漁 場 整 備 部,. 献 沖 ノ鳥 島 技 術 レ ポ ー ト,. 波打ち帯を含む三次元海浜. 海 岸 工 学 論 文 集,. 第41巻,. pp.401‑. 水 産 土 木 建 設 技 術 セ ン タ ー(2007):. 平 成18年 度 生 育 環 境 が 厳 しい 条 件 下 に お け る増 養 殖 技 術 開 発 調 査 委 託 事 業 報 告 書,. pp.181.. 中 山 哲 嚴 ・牧 野 弘 幸 ・新 井 雅 之 ・大 村 智 宏 ・小 林. 学 ・田 村. 仁 ・灘 岡 和 夫 ・佐 藤 勝 弘(2006): 港 内埋 没 対策 技術 と 地 形 変 化 予 測 モ デ ル の 開 発, 海 岸 工 学 論 文 集, 第53巻, pp.526‑530. 平 山 克 也 ・平 石 哲 也(2004): ブ シネス ク モデ ル によ る砕波 ・ 遡 上 計 算 法 と そ の 適 用 性, 海 岸 工 学 論 文 集, 第51巻, pp.11‑15. 平 山克 也 ・上 原 功 ・永 松 宏 一 ・平 石 哲 也(1998): 珊 瑚 礁 リー フ に お け る波 と 流 れ の 計 算 法 の 適 用 性, 海 岸 工 学 論 文 集, 第45巻,. pp.161‑165.. Pedrozo, A., D. J. Simmonds, A. K. Otta, A. J. Chadwick (2006): On the cross shore profile change of gravel beaches, Coastal Egineering, 53, pp.335-347. Madin, J. S., S. R. Connolly (2006): Ecological consequences of major hydrodynamic disturbances on coral reefs, nature, Vol.444, pp.477-480. Bruno, J. F. (1998): Fragmentation in Madracis mirabilis (Duchassaing and Michelotti): how common is size-specific fragment survivorship in corals?, Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, vol.230, pp.169-181.. 図‑7. 波 高,水. 位 ・平 均 流 速,サ. ン ゴ 片 堆 積 厚,砂. (波 向 き南). 図‑8. 波 向 き別 島外 へ の砂流 出量. 面変化.
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