ポ ス ト55年体 制 と選 挙 参加

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ポ ス ト55年体 制 と選 挙 参加

〜無党派層の意識 と行動 を中心 に〜

山 本 孝 之

1研 究 の 目 的

55年 体 制 が終 焉 を迎 え 、 ポ ス ト55年体 制 に移 っ て か ら10年 が経 と う と して い る。 その 間 、 社 会 は情 報 化 や 都 市 化 が さ らに進 行 し、人 々の意識 は大 きな 変 化 を見 せ た 。 だ が 、 政 治 は 中央 にお い て は変 わ る気 配 を見 せ つ つ 、依 然 変 わ らな い 面 を見 る こ とが で き、 地 方 で は55年 体 制 の 下 で は考 え られ な か っ た よ うな 変 化 が起 き るよ うに な っ て い る。 た だ 、 中 央 、 地 方 間 わ ず に この10年 間 で選 挙 は大 きな 変化 を 見せ て い る こ とは 変 わ りな い 。 そ の 選 挙 の 変 化 に よ っ て地 方 で は劇 的 に 、 中央 で は徐 々 に政 治 に 変 化 が起 きつ つ あ る こ とは 確 か で あ る。 この よ うに政 治 に変 化 を もた らす の は政 治 の 力 で は な く選 挙 で あ る と言 え る。 そ こで 私 は選 挙 に注 目 を し、有 権 者 を取 り巻 く社 会環 境 や 意 識 の 変 化 に よ って 選 挙 参 加 が 変 化 を し、 その 結 果 政 治 へ どの よ うな変 化 を 与え た の か を研 究 しよ う と思 うC,つ ま り有 権 者の 側 か ら政 治 を 見 る こ と で55年 体 制 の38年 とポ ス ト55年体 制 の10年 の 変 化 を明 らか に して い こ う とす るの が この 研 究 で あ る。

H研 究 の 方 法

文献 研 究 を 中心 と し、 その 時 々の 新 聞 や世 論 調 査 、 また ウ ェブ サ イ トな ど の 情 報 も活 用 しな が ら研 究 を進 め て い く。 さ らに 、若 者 の政 治 意 識 や選 挙参 加 につ い て の 詳 細 な情 報 を得 る ため に奈 良 人 学 の 学 生 な ど を対 象 と した調 査

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も行 い 、 そ の 分析 も行 った 。 この 調 査 は政 治 社 会 学 を受 講 す る学 生 や 私 が 学 部 時 代 に 所 属 した 課 外 活動 の 文化 会 文芸 部 、 さ らに 現 在 所 属 す る社 会 学 研 究 科 修 士課 程 の 学 生 に 調 査 した物 で あ り、 詳 細 は 本 文に よ る もの で あ る。

㎜ 研 究 の 要 約 155年 体 制 の 選 挙 参 加

有権 者 の選 挙 参加 か ら見 る と55年 体 制 は初 期 、 前期 、 中期 、 後 期 の4つ に 分 け る こ とが で き る と爵 え る。 そ れ ぞ れ の 期 間 の 移 行 は 社 会 の 変 化 と密 接 に 関 わ りあ って い る。 つ ま り、初 期 か ら前 期 へ の 変 化 は 高 度 経 済 成 長 期 の 大 規 模 な 人 口 移 動 に 起 因 し、 前 期 か ら中 期 は 日本 列 島 改 造 論 に よ る地 方振 興 策 と 都 市圏 の 拡 大で あ り、 中期 か ら後 期 は振 興 策 の 結 果 と して の 地 方 の 都 市化 が それ ぞれ 起 因 して い る、,これ ら社 会 の 変 化 に よ って 近 代 化 の 道 を突 き進 ん だ こ と は周 知 で あ る が 、1司時 に社 会 に生 き る 人間 、有 権 者 の政 治 意 識 や意 識 自 体 が 大 き く変 化 を させ たの で あ る。そ れ ら をい か に 選 挙 参 加 させ て 取 り込 み 、

自党 の 勢 力 を強 め て い くか が 各政 党 を悩 ま し続 け て ゆ く。

また55年 体 制 は イデ オ ロギ ー 対 、1.̲1がそ の背 景 に あ る と され るが 、 有 権 者 を 選 挙 参 加 させ る た め の動 きに イデ オ ロギ ー は 余 り表 立 って 現 れ る こ とは な か った 。 時 代 が 進 み 、 近 代 化 を遂 げ て い くに 連 れ て 地 方 は 地 元 振 興 、 都 市 は環 境 良 化 と 言 った 現 世 利 益 的 な もの の 保 証 に よ って 有 権 者 を政 治 参 加 させ て い たの で あ る。

しか し、 後 期 に な る と現‑世利 益 を声 高 に叫 ん で 選 挙 参 加 を呼 び か け て も思 うよ うに有 権 者 が選 挙 参 加 を 果 た さな い よ うに な って き た。 度 重 な る政 治 ス キ ャ ンダル や 事件 を背 景 に政 治 不 信 が 巻 き起 こ っ た結 果 と 言 え る 。 そ して そ れ は既 成 政 党 不信 に な り、 大 量の 無 党 派 層 を生 み 出 し、結 果55年 体 制 を終 焉

させ る の で あ る 。

ポ ス ト55年体 制 に お い て選 挙 は 団体 戦 か ら個 人 戦 とな り、 選 挙 参 加 を促 す ア プ ロー チ は ます ます 困 難 に な った 。 た だ そ れ に よ って 新 た な 政 治 の 流 れ が

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で き つ つ あ る の だ 。

2無 党 派 層 の 選 挙 参 加

無 党 派 層 自体 は 、55年 体 制 期 に も存 在 は した が そ れ は政 治 的無 関心 層 とみ な され た。 しか し、70年 代 に高 度 経 済 成 長 後 の 都 市化 と総 中流 化 で政 治 に 関 心 の あ る無 党 派 層 が 都 市 部 で 増 加 す る よ うに な っ た。 そ して ポ ス ト55年体 制 期 に は地 方 が 都 市 化 し、社 会 党 が 大 転 換 を 見 せ る よ うに な る と、 都 市 規 模 、 職 業 に 関 わ らず 無 党 派 層 が 増 加 、 「第 一 党 」 とな る よ うに な っ た 。

この 大 勢 を占 め る無 党派 層 は政 党側 か らの 選 挙 参 加 の ア プ ロ ーチ が ない だ け で は な く、労 働 組 合 や 各種 組 織 に も距 離 を置 い て い るた め に 、 ど こか らの 選 挙参 加 の ア プ ロ ー チ も受 けず 、選 挙 参 加 す る か ど うか を個 人 の 判 断 で下 す 。 そ の判 断 基 準 は 自 分 に 関 わ る課 題 が選 挙 の遡 上 に 登 っ て い るか とそ の 選 挙 が 面 白 い か ど うかで あ る。

前 者 は55年 体 制 期 の 現 世 利 益 的 な性 格 を残 し、後 者 は選 挙 戦 が 白熱 して い た りマ ス コ ミが 多 く取 り上 げ た り 、 あ る い は魅 力 的 な候 補 者 が現 れ た時 に有 権 者 は 「面 白 い 」 と感 じる よ うに な っ て既 成 政 党 や 既 成 勢 力 に と っ て逆 風 、 新 興 勢 力 に は順 風 とな って 吹 き荒 れ るの だ 。

逆 に 一 度 選 挙 が つ ま らな い と見 る と選 挙 参 加 の 誘 い を受 けぬ 無 党 派 層 は選 挙 に 行 か ず 、 大量 の棄 権 者 を 出 して投 票 率 を押 し下 げ て し ま うの で あ る。

この無 党 派 層 の 多 くを20代 、30代 の若 者 が 占 め て い る。彼 らは現 在 、個 人 の判 断 で選 挙 参 加 をす る か ど うか を決 定 し、 さ らに投 票 行 動 も決 め る。 この 姿 が理 想 的 な有 権 者 と言 え 、21世 紀 型 の 新 た な政 治 を実 現 す る原 動 力 とな り

え る。

3若 者 の 選 挙 参 加

若 者 が 選 挙 参 加 に消 極 的 な理 由 と して 、 若 者 が 政 治 に無 関 心 に な っ た こ と や 日本 の 選 挙 は ネ ッ トワー ク選 挙 で あ り、 多 くが 無 党 派 層 で あ る若 者 は ま だ

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そ れ が 未成 熟 で あ るた め に 、 ネ ッ トワー クか らの 選 挙 参 加 の アプ ロー チ が な い こ とが 従 来 言わ れ て きた 。 しか し、私 は 学 生 を調 査 す る こ とで そ れ だ けで は な い と考 えた 。 そ もそ も、 若 者 が 政 党 を支 持 し ない 理 由 は政 党 へ の 失望 感 も あ るが 、 テ レ ビ を意 識 した政 治 の 影 響 で 、 政 党 を支 持 す る もの と は考 えず に政 治 を盛 り上 げ る一 つ の 集 ま りの よ う に しか 考 えて い な い と見 られ る。

政 党 を支 持 しな い若 者 だ が 、選 挙 に対 して興 味 も関 心 もあ り、選 挙 参 加 に も積 極 的 な面 が 見 られ た。 しか し、棄 権 に対 して それ ほ ど抵 抗 感 は な く、棄 権 を選 択 す る こ とへ の歯 止 め は薄 い と 見 られ た 。つ ま り選 挙 参 加 に消 極 的 と

言 うよ り も棄権 を 回避 す る こ と に消 極 的 で あ る と い え る 。

そ ん な政 党 を 支持 せ ず 、棄 権 回避 に消 極 的 な若 者 だ が 、 選 挙 参 加 に消 極 的 に な る理 由 で 大 きい と思 わ れ るの は現 状 へ の 不 満 が 少 な い こ とで あ る と調 査 の 結 果 、 私 は 考 えた 。 若 者 は モ ラ トリア ム 期 間 の 中 で 、 政 治 が 関 わ って く る よ うな 問 題 に 関 わ る こ とが 少 な い 存 在 で あ り、政 治 や社 会へ の不 満 は少 な い 。 そ れ に よ って 政 治 が ど うな ろ う と関 係 な く、 政 治 に は スキ ャ ン ダル な どへ の 興 味 は あ って も参 加 す る まで はい か な く な るの で あ る。 この 不 満 の な い若 者 は社 会 の 近 代 化 に よ る高 学 歴 化 が 影 響 して い る もの で あ り、若 者 が選 挙 参 加 を させ る よ うにす るの は容 易 な こ とで は ない 。

IV研 究 の 考 察 と ま と め

55年 体 制 は功 罪 並 存す る政 治 体 制 で あ っ た 。 しか しそ れ を維 持 しよ う との 功 の 部 分 を強 調 した 結 果 、逆 に そ れ が55年 体 制 の終 焉 を 早 め る よ うに な り 、 55年 体 制 のパ ラ ドッ クス が生 じた 。 そ れ に よ っ て55年 体 制 が終 わ り、 新 た に 突 入 した ポ ス ト55年 体 制 だ が10年 経 った現 在 も新 た な政 治 体 制 は 見 えて こな い 。 イデ オ ロギ ー 対 立 は もは や 社 会 を規 定 す るほ どの 現 実味 も説 得 力 も な く な り、 総 保守 化 に よ って 相 違 点 が 見 出 せ な い で い る。 しか し、 新 た な政 治 体 制 の 軸 とな る もの は 表 れ て い る。 そ れ は 無 党 派 層 で あ り 、そ の 無 党 派 層 が 頼 る メ デ ィア 、 特 に テ レ ビの存 在 で あ る。 そ の 中 に 組 織 ネ ッ トワ ー ク は な く、

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ほ と ん ど有 権 者本 人 が判 断 を下 す よ うに な り、個 人 戦 の へ と変 貌 しつ つ あ る 選 挙 に お い て 大 き な 力 を発 揮 して い る 。

これ に よ っ て 日本 は新 た な政 治 体 制 を 目指 す よ うに徐 々 に 変 化 を 見 せ よ う と して い る。55年 体 制 の 罪 を抱 え た ま まの そ の影 を断 ち切 る こ とが 出来 る の は この よ う な有 権 者 で あ り、 その 有 権 者 の 多数 を 占 め る若 者 で あ る 。

メ デ ィア 、若 者 、 無 党 派 層 。 この 三者 が今 後 の 選 挙 で は大 きな役 割 を果 た し、 これ か ら も注 目 を要 す る要 素 で も あ る。

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