(東女医大誌 第45巻 第4号頁 348〜360 昭和50年4月)
先天性心疾患に伴う脊柱側轡ならびに
Marfan症候群を主とした
中胚葉性先天異常について
東京女子医科大学整形外科教室(主任 森崎直木教授)
藤本輝世子
フジ モト テル ヨ コ
(受付 昭和50年1月23日)
Scoliosis and Mesodemal Ab軌ormalities(Mai■藤y Marfangs Syndrome)
in Conge㎡ねl Heart Disease Teruyoko FUJ亘MOTO, M.D.
Department of Orthopaedic Surgery(Director:Pro£Naoki MORISAKI)
Tokyo Women s Medical College
There has Iong bccn the impression that the incidence of scoliosis is higher in congenital heart diseasc patiellts than in nQrmal su厨ects. To veri専this assumptioll and to elucidate the characteristics of this scoliosis, the chest X−rays of 3678 paticnts were compared with those of the almost s㎜e number of normal su切ccts. The author rhcn examined congenital heart disease patients and con.
firmed the presence of scoliosis and mesodermal abnormalities.
1) The incidencc of scoliosis in congenital heart diseasc patients is l 8.7%compared with L9%
in the control suhiects・
2) The incidence of scoliosis is癒irly same among the non−cyanotic, cyanotic group of congenital h.eart discase and also their sub−groups.
3) Thc characteristics of this scoliosis are gcnerally the samc耳s those of idiopathic scoliosis.
Howcver, there三s not much dlf琵rcIlce between males and飴males.
4)Even in patients without typical Mar髭m,s syndrome, if the metacarpal index is higher than normal, bonc age is always higher than chronological age,
5)Patients with congenital hcart disease also have various other mesodermal abnormalities, viz.,
clinodactylia, arachnodactylia, hare lip, malR)rmations of the spine etc.
目 次
第1章 緒言
第2章 胸部X線像からみた脊柱側湾 第1節 調査対象並びに方法
第2節 結果
第1項 脊柱側蛮の発生頻度
第2項 先天性心疾患の種類別発生頻度 第3項 性別発生頻度
第4項 脊柱側湾の早牛発生頻度 第5項 脊柱側蛮の程度と年令の関係
第3章直接検診からみた脊柱側蛮とMarfan症候群 を主とした中胚葉性先天異常
第1節 調査対象並びに方法 第2節 糸r畳言果
第1項 脊柱側育について 第2項 中胚葉性先天異常について 三)先天性心疾患に合併する奇形及び変形 ii)先天性心疾患と骨年令
ili)脊柱側面とMetacarpal Index iv)Metacarpal Indexと骨年令・暦年令 第4章 考按
第5章結語
参考文献
第1章 緒 言
Marfan症候群において先天性心疾患と脊柱門 灯とが合併しうる事は古くから知られているとこ ろである.しかし先天性心疾患々老一般について も脊柱側湾をみる事がしぼしぼあり,特に年長児 では高度の側蛮に遭遇する事がある,しかるに先 天性心疾患と脊柱甲州との関係についての詳細な 実態は,欧米において二,三の報告を散見するの みで,わが国における報告は殆ど皆無といって良 い.心臓外科の進歩につれてやがてこの脊柱側湾 の治療が問題となる事が充分予想されるので,先 天性心疾患に伴う脊柱側蛮の実態を把握しておく 事は意義ある事:と考えた.
この目的のために,先天性心疾患々者の胸部X 線写真を検討し,脊柱二二の発生頻度,側蛮の性 格,心疾患との関係等を検討し,その特徴を明ら かにしえたので,更にこの中から一部の患老を直 接検診し,胸部X線写真からえられた結果を再検 討すると共に,合併する他の奇形についても調査 し,更にMarfan症候群との関連性を追求するた めに,Metacarpal Index,骨年齢についても検討 を加えた.
第2章 胸部X線写真からみた脊柱側湾 第1節 調査対象並びに方法
昭和30年5月より昭和37年7月まで(A群)および昭 和39年5月より昭和40年2月まで(B群)の間に,東京
女子医科大学附属心臓血圧研究所を受診した先天性心疾 患々者それぞれ3809例(A群)と1232例(B群),計5041 例の胸部X線写真より,次に述べるものを除外し,脊柱 側蛮を判定する事が可能な3678例(A・B群)の胸部X 線写真を選び検討を行なった,
胸部X線写真は心臓または肺臓を撮影する目的で撮ら れており,1)脊柱が不鮮明なもの(906例),2)両胸 鎖関節の非対称からみて斜位に撮られていると思われる
もの(231例),3)点状面取の脊柱の先天性奇形を伴 っておりそれだけで側蛮の原因となる可能性のあるもの
(正0例),4)肺結核のもの(9例),5)心臓の手術を 受けたもの(93例),6)Neuro且bromatosis(1例)や,
poliomyelitis(2例), Hemiplegia(1例)と診断され たもの等計1363例を調査対象から除外しなければならな かった.
したがって実際の調査対象はA・B両群を合せて3678 例で,その年令構成は3ヵ月より53才までであった.性 別は男性1761例,女性1917例であった.
対照群としては,年令構成が類似した2才より80才ま での集団検診の胸部X線写真より,先に述べた除外基準 の他に心臓,肺臓の疾患を持つたものはすべて除き,
4079例で行なった.
性別は男性1676例,女性2373例であった.
脊柱の側弩はCobbら1)の方法により計測し,この方法 で5。〜10。のものを(十),10。〜200のものを(升),20。
以上のものを(惜)として,3段階に分類した.
本章第2節のうち第2項以下第5項までの分折は,A 群より判定可能な2715例のみを対象とした.
第2節 結 果
第1項脊柱側蛮の発生頻度(表1)
胸部x線写真より脊柱の側蛮を判定する事が可 能であった3678例(A・B群)よりの側湾の発生 頻度は18.7%,対照群4079例の温田の発生頻度は
1.9%で,先天性心疾患々者では側湾の発生頻度 は一般対照群の約10倍であった.その内訳けを側 蛮の程度によって(十),(耗),(冊)の3段階に 分類すると表1の通りであって,先天性心疾患 群,対照群共に高度の脊柱側湾になればなる程,
発生頻度が少なくなり,(枡)のものは対照群で は1例もなかったのに対し,先天性心疾患々老で ば19例0.5%に認められた.要するに先天性心疾 患の場合は対照群に比して発生頻度が著しく高い
表1 先天性心疾患と対照群に於ける 脊柱副脾の発生頻度
表2 先天性心疾患の疾患別による 側湾の発生頻度
先天性心疾患 (十)
(50〜100)
(井)
(100〜20。)
601/3678 16,3%
(柵)
(20。以上)
73/3678 1.9%
.f窃需79冒...
0.5%
計三[61辮1...
66/4049 1.7%
10/4049 0.2%
0/4049 0影一一
76/4049
ユ.9%一.
非 チ ア ノ
ゼ 群
だけでなく,高度の側蛮がみられた.
第2項先天性心疾患の種類と発生頻度との関
係4)(表2)
先天性心疾患を大きく分けると,非チアノーゼ 群とチアノーゼ群になり,各々に表2に上げたよ うな疾患群が含まれる.この分類に従って先天性 心疾患2715例を分類し,各々について(+)およ び(升)以上の側湾の頻度を調査した結果(表
2),先天性心疾患の細かい疾患別の症例数は疾患 によりかなりの差があるが,どの疾患でも対照群
より明らかに高く,側蛮の頻度は10%〜20%の問 にあった.
また大きく各疾患を非チアノーゼ群とチアノー ギ群に分けた場合には,側湾の頻度は非チアノー ゼ群15.8%,チアノーゼ群152%で,殆ど差は認 められなかった..Xに(+)と(十ト)以上のそれ ぞれについてみても, (十)の側湾は非チアノー ゼ群12.6%,チアノーゼ群IL5%で,(十)以⊥二 は非チアノーゼ群は3..2%,チアノーゼ群は3.3
%であり,側湾の程度は両群の間で側蛮の程度を
(十),(什)以上に分けても,その頻度に差はみ
チノ . 【 ゼ ア群
VSD 1218例
ASD
533PDA
197NCCHD PS
計
126 91 2165例
TIF 282例
CCHD PT
計 其 他
28 71 381例 169例
十 ・H一以上 計
10.7落 16.1 13.2 13.5 15.4 12.6%
11.3%
10.7 12.7 11.5%
7.1男 合 計 2715例i12.1%
2.5%
3.4
13.巨%
19.5 4.6 17.8 5.6 19.1 4.4 19.8 3.2タ6i 15.8%
3.9%1 15.2%
0 10.7
4.2 3.7%
3.6%
3.3%:
16.9 15.2%
10.7%
15,4%
VSD……心室中隔欠損症 ASD……心房中隔欠損症 PDA……ボ六曜ー管開存症 PS……肺動脈狭窄症
NCCHD… 非チアノーゼ性先天心疾患 T/F……ファP一四徴症
PT……大血管転位症
CCHD・・一チアノーゼ性先天心疾患
其他……位置異常,心膜奇形,心肥大,心内膜疾患 られなかった.
第3項性別による側蛮の発生頻度4)(表3)
性別では(十),(升),(柑)いずれの段階の側 袴も女性に発生頻度が高く,この傾向は対照群に ついても同様であった.しかも側蛮の程度の強い もの程,女性に発生する頻度が高くなる傾向がみ られた.殊に先天性心疾患で(冊)の準準では男 性0.3%に対して,女性は0.8%であり,女性で は3倍近い高率に認められた.
表3 性別よりみた脊柱側湾の発生頻度と程度
先天性心疾患群 対 照 群
側湾の程度 、 男1299
「…. ? ! 1416
計 12715例 男1676 女2373
1
計4049例十 8.8% ! 8.9% 8.8%
L2% L9% L7%
{…%
3.0% 2.7%帯 計
0.1% 0.4%
.一.1一一.一.一
〇.896 0.3%
11。5% 12.7%
0.6%
12.0%
0% 0%
0.2%
0%
1.3% 2.3% L9タ6
表4 脊柱側蛮と年令の関係 程 度l
i.一一
.\
̲i+
先天性心疾患群 対 照 群
年 令 帯 計 十 冊 計
0〜5才(1737)
6〜13才
(1058)
3.0%
6.4
14才以上
(1022)
?・7%L..o%
2.2
3.7%
0.1 8.7
12.4 3.5 0.8 16.7
0.1%
0.1
0.8
o%⊥一
〇.1
o%L』二1%
1.2
0 0
0.2
2.0
第4項脊柱側蛮の程度と年令の関係4)(表4)
先天性心疾患群では,年齢が長ずるにつれ側齊 の頻度は高くなり,程度の強いものがみられた.
第5項脊柱側蛮の型別分類4)(図1)
このグループにみられた側湾のタイプは,胸部 X線写真の範囲では単純なCカーブが主で,その 他にSカーブも多少みられた.大多数を占めるC 型側糸を頂椎別に例数をヒストグラムで示すと図 1のようになる.すなわち第6〜第8胸椎を頂椎 とする右凸の側蛮が最も多くみられた.
(江口)
臨上
72 52 27 11 6 16 図l C型側湾の型と頂椎の位置
第3節小山
1) 先天性心疾患々者に脊柱側殉が発生する頻 度は,胸部X線写真より判定する限り明らかに一一 般人口より高くほぼ10倍であった.
2)先天性心疾患の種類との関係は,非チアノ ーゼ群,チアノーゼ群の間に側育の発生頻度の差 はみられなかった.また心疾患の種類別にみても 発生頻度に大差はなかった.
3)性別との関係は,先天性心疾患群でも対照 群でも女性に多く,殊に高度の側蛮は女性に多か
った.
4)年齢との関係は,年長児になるにつれて程 度の強いものが出現する傾向がみられた.
5)脊柱二二の型別特徴では,第6〜8胸椎を 頂椎とする右凸C型のものが多くみられた.
この3),4),5)の結果から,先天性心疾患判 者にみられる側湾は,特発性側蛮症(idiopathic SCOliosis)の特徴と類似している.
第3章 直接検診からみた脊柱側蛮並びにMa・
rfan症候群を主とした中胚葉性先天異常について 第1節調査目的
第2章において,脊柱側蛮の検索に用いた胸部X線写 真では背腹方向の撮影であり,斜位と思われるものはす べて除外したとはいえ,脊柱当直が強調されてみえるロ「
能性もないとはいえない.そこでA手中の胸部X線写真 より側頭が300以上と判定されたもののうち,呼び出し に応じて来院したもの46例について,脊柱のX線写真
(立位・腹背方向)を撮り胸部X線写真によるものと⊥.ヒ 冠した.表5にみる如く側脈の程度が減少したもの10 例,増強したもの7例,変化のないもの29例で,胸部X 線写真による判定には大きな誤まりがあるとはξえられ なかった.また一方,この46例の中には明らかにMarfan 症候群と思われるものが含まれていた,またMarfan症 候群とは断定できないまでも,手足の指がやや長いもの があり,これらの点も考慮してB群を検診する事にし た,実施に当つ⊂は居住地区の地埋的条件で制約もあっ たが,胸部X線写真よりの結果との比較を行うと共に,
Marfan症候群,更に中胚葉性先天異常を検索するため に,1)先天性心疾患に合併する奇形および変形,2)
先天性心疾患と骨年令,3)先天性心疾患とMetacarpal Index,4)Metacarpal Indexと骨年令・暦年令,の四 点を検討した.
第2節 調査対象並びに方法
表5 胸部X線写真よりの側沓の判定と脊柱X線写真よりの判定との比較 例数
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
!9
20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
氏名
性別1.1.
F.S.
H.G.
K.H.
S.E。
K,H.
S.M.
Y.S.
S.M.
S.N、
Y.T。
K.H.
Y.S.
S.T.
δ
♀ δ
♀
♀
♀ δ ε
♀
♀ ε δ
♀ ε
年令
K.H.
Y.H.
M.K.
1.E。
8 15 11 15 28 21 10 5 20 6 28 27 8 19
δ ε δ
♀
28 21 22 12
胸部x線馴醸
9♂升
gz昔
9∠升 9γ十 S冊 7γ卦 7γ升 4γ昔 2γ什 8γ升 4」骨 7γ升 8γ卦 8γ朴
u.T,1δ
N.T.
Y.T.
S.M.
K.R.
S.K.
A.T.
δ
♀ δ
♀
♀
♀
γ什 S冊 7γ升 7γ升
21. 7γ升
24 35 17 26 22 39
8γ升 2γ什 8γ軒 8γ冊 8γ升
〉
〉
〉
〉
〉
〉
〉
〉
〉
〉
脊柱X三二
M.U.
K.H.
T.H.
K.K.
S.H.
♀ ε ε
♀
♀
31 N.M. δ
32 S.A. ♀
33 34
1.K。. ♀
U.M.
H.S.
δ
♀
5 9
!2
22 9
9γ卦 γ卦
81升
7γ井
井
22 6γ升.
1616γ升
35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
13
A.Y.
0.Y.
1.G.
!3
26
♀
♀ δ
!6
13 13
冊
S.K.
A.M.
U.H.
U.H.
A.S.
N.T.
Y.A.
A.K.
8γ廿 8γ冊
♀
♀
♀ δ
♀ ε
♀ ε
7γ卦 6γ卦 10γ升
13 7γ什
11 19 15 23 35 15 12
9γ升 8γ升 7γ升 7γ什 6γ廿 6γ冊 8γ冊
11γ十 12γ十 11」6Q
6γ十 4γ8Q 7γ5。以下 7γ十 6γ十 7γ8。
8♂±
4♂1708γ5Q
7γ16Q 7γ160 7γ2G。
6γ120
4Z 30。
7γ15Q 6γ12。
7γ13Q 8γ11。
6γ12Q 3γ12。
7γ22012Z300 7γ110
10γ39Q 8.9γ20。
3」13Q 11γ15Q
3γ1109♂120
3♂21Q 9γ14Q
8γ33QL2」370 6γ16Q
6γ11。
<
<
<
<
〈
<
<
4」43Q 10γ2go 7γ/80 7γ28。
7γ13。
6γ18。
10γ180 4γ!5。
8γ28Q
212408γi70
3」2508う〆110 3」帯7γ220 5γ26Q 5γ65Q 12♂920 7γ270L上♂570
先天性心疾患冠者1232例(B群)の胸部X線写真よ り,地理的に検診可能な122例について検討を加えた.
年令は満4才より39才に亘っており,性別では男性53 例,女性69例であった.脊柱のX線写真は患者を立位と
し,脊柱全体を撮影しうる長いカセッテを使用して,腹 背方向より第8胸椎を中心として脊柱全体撮影(Ganzen−
aufnahme)を行なった.
脊柱側育の程度は前章におけると同様に,三段階に分 類した.
Metacarpal Indexについては, Sinclair14》らの方法に 従ったが,その詳細については後述する.
骨年令については右手の手背・手掌方向のX線写真よ り,中沢覇の評価基準に従って測定した.
患者の診察に当っては,心疾患の種類,心・肺機能 障害の程度,下肢三差,皮膚の変化,(Neuro丘broma,
caf6 au lait等)および合併している様々な先天性奇形 についても注意を払った.
第3節 結 果
第1項脊柱側湾について
直接検診しえたものは122例と胸部X線よりの 症例に比べれば少数ではあったが,胸部x線写真 で検討したと全く同様に,1)脊柱側湾の発生頻 度,2)先天性心疾患の種類と側蛮の程度(表
表8 側湾の程度と年令
\ 程 度
、\・\
年 令 \\
3〜5才 6〜13才 14才以上
十 19
十 52 2 5
2.6%
6 3.1%
8 4.2%
13 2.5%
17 3.2%
22 4.2%
0
0%
00%
21.0%
計 73 18 5.1%
23 6.3%
32 9.4%
石
1 匹 I h l l h l し
左
} 聖 l
?■ 1 v I I 1 9 1 亀 1 9 P 1 1 1 【 1 P 1 1 1 」 1 l I l l 匹 ■ ε l I
?1 鵬 匹 臨 1 ■ l l
。 匹 馳 } 1 1 1 ■ 1
l l I
?I I h l 駈
D3
@4
@5
@6
@7
@8
@9
P0
P112L1 2 3 1 1 8 P 1 1 P 」 1
1 , I
? 顧 h I I
, l l
?1 電 h I I
, 緊 齢 P ■ l h l I
図2 C型側湾の頂椎の位置 表9 合併奇形および変形 表6 先天性心疾患の種類と側蛮の程度
程 度 \ 、〜
種 類 \
非チアノーゼ群
チアノーゼ群
十19
11 5.2%
8 4.2%
升以上 54 32 5.9%
22 4.0%
計 73 43 11.1%
30 8.2%
表7 性別よりみた脊柱側蛮の発生頻度と程度
ぱ
十十
男
27 女
46 8
2.9%
19 7.0%
0 0 %
11 2.4%
33 7.1%
2 0.4%
73計
前胸部突出 46 第五指蛮指 22 色 素 斑 13 ば ち 指 11 く も 指 9 肩甲骨位置異常 7 兎 唇 4 両眼隔離 3 日蓋形成不全 2 先天性股関節脱臼 1
椎体奇形
短 頚 漏 斗 胸 全内臓転位症 指節癒合症 異所骨形成 胸骨癒合不全
筋性斜頚
先天性難聴 其 他
3 2 2 1 1 1 1 1 1 37 19
5.3%
52 14,1%
2 0.4%
6),3)性別による発生頻度の差(表7),4)脊 柱劇論と年齢の関係(表8),5) 脊柱側奢の型 騎分類(図2)を調査したところ,胸部x線写真
(A群)の結果と脊柱X線写真の結果は,それ程
かけ離れてはいなかった.したがって前に述べた 胸部x線写真による側蛮の成績の判定は妥当なも のと考えられる.
第2項中胚葉性先天異常について
1)先天性心疾患に合併する奇形並びに変形
(表9)
合併する奇形並びに変形は,前胸部突出(pre・
cardial valging),第五指揮指が最も多く,次いで
17 15 骨 ムIG
5 4 1
非チアノーゼ群
17 15 骨 10葺 令
5 4 1
1
45
チアノーゼ群
10 15 17
暦鐸令
1 45 10 15 17 田螺令
図3 非チアノーゼ群およびチアノーゼ群にお ける骨年令と暦年令の分布状態
2) 先天性心疾患と骨年齢(図3)
各症例について骨年齢と暦年齢の闘係を図3に 点で表わした.斜線上に点があれぽ暦年齢と骨年 齢が一致した場合を表わしている.
非チアノーゼ群では8歳以下は骨年齢が暦年齢 を明らかに上廻っているが,年長児に移行するに 従い,骨年齢は暦年齢よりもむしろ遅延する傾向 が認められた.チアノーゼ群では年齢にかかわら ず骨年齢が暦年齢をやや上廻っている例が比較的 多く認められた.
噸 数 27一
19−
2
9_指
例 数 28一
卜1et(1cQr pGし Inde×
(中手骨指数〕
色素斑,ばち指,くも指(趾)が数多く認められ,
肩甲骨高位,兎唇,両眼隔離,椎体奇形,短頚,
漏斗胸も少数例認められた.
も
、込
、
、。
靭
財ノ
q
20−
3
指10一 4 6
℃Oo
り印
N・…α・p・・1・d・x一普
8 1G 12. 書旨数
図4 Metacarpal Indexの模式図 b
4 6 8 10 12 茅旨数 例
数 19−
4一 拍_指
例 数 28一
19−
5
10一指4 6 8 10 12 指孜
46810τ2主旨数
アンダーラインは正常値(5.4〜7.9)
図5 非チアノーゼ群におけるMetacarpal Index (第2・3・4・5指別)
例 数 5一
2−
1一
例 数 6一
2
指
才 3_3 指
1一
qcα叩Qしlndex
(中手骨指数)
指数
4 6 8 10 12 14 旨数
例 数 5一
才 3−4 指
1一
例 数 6一
4 6 8 10 12 本旨数
る.図5,6の如く,非チアノーゼ群,チアノー ゼ群に分け,Metacarpal Indexを第2,3,
4,5指別に検討すると,Metacarpal Indexが正 常範囲より高いものは,第2指では非チアノーゼ 群38例(35.2%),チアノーゼ群7例(36.8%),第
3指では非チアノーゼ群27例(25.0%),チアノー ゼ群4例(21.0%),第4指では非チアノーゼ群45 例(41.6%),チアノーゼ群11例(36.8%)で,非 チアノーゼ群,チアノーゼ三共に第2,3,4指 は正常範囲より高値を示し,中手骨の長い傾向が みられ,Marfan症候群における中手骨の形態を とっている.第五指はほぼ正常範囲の分布を示 し,また正常範囲以下のMetacarpal Indexも少 数例みられた.次に側蛮の程度と各症例の第2,
3,4,5指のMetacarpal Indexの平均値との 関係を示すと,図7,8の如くMetacarpal Index
53一
指
1一
46810121旨数
アンダーラインは正常値(5.4〜7.9)
図6 チアノーゼ群におけるMetacarpal Index (第2・3・4・5指別)
3).先.天性心疾患とMetacarpal Indexの関係 並びにlf柱側湾とMetacarpal Indexの関係.
Metacarpal Indexに一:)いてはSinclair14)らの
方法に従って,纂2,3,4,5指の中手骨長径 と横径との比を測定し(図4),その平均値をもつ てMetacarpal Indexとした.
先天性心疾患とMetacarpal Indexの関係をグ ラフに表わしたものが図5,6である.横軸は Metacarpal Index,縦軸はその二三を示す.
横軸の下に引いた線は正常範囲を示めしてい
登,!
1;1.蒸
範牛 囲 一_一.↓.・
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図7
50 10。 159 2α
側奪の程度
非チアノーゼ群における側蛮症と Metacar−
pal Index
矢印内は正常範囲(5,4〜7.9)
数l loト
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譜19
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正 常 範 囲
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L
0 5 10 側蛮の程〔豆
図8 チアノーゼ群における側湾症とMetacarpal Index
矢印内は正常範囲(5・4〜7・9)
表10先天性心疾患における高Metacarpal Index例の骨年令と暦年令 氏 名
1.M.
H.K.
H。Y.
S.M.
H.S.
Y.K.
F.H.
N.Y.
N.R.
F.M.
S.S.
性 男 男 男 男 男 男 男 女 女 男 女
Metacarpal Index
10.17 8.85 8.85 8.82 8.58 8.40 8.27 8.24 8.10 8.09 8.09
骨年令・暦年令 年.月 年,月 11. 3> 9. 2
7. 6> 6. 11
7.10>7.4
7. 4>5. 9 8. 7> 6. 11 7. 2> 5. 10 17以上>16. 8 13, 0>12. 0
9. !>5. 6 9. 7>8. 7
9.6>う,6
年燃差
年.回 心 疾 患
2. 1 ヒチアフーゼ群
0. 7 チアノーゼ群
0. 6 非チアノーゼ群 1. 7
1. 8 2. 1 0. 2以上 1. 0
チアノーゼ群 非チアノーゼ群
〃
〃
〃
3. 7 〃
1. 0 〃
3. 0
の正常範囲を5.4〜7.9とすると,正常範囲を越 えた例は図7,8の如くで,非チアノーゼ群54例 中11例(20%),チアノーゼ群12例中4例(33%)
にみられた.またチアノーゼ群の中には少数なが ら,Metacarpal Indexの異常高値例をみた.
4)Metacarpal Indexと骨年齢・暦年齢の関 係(表10)
各疾患別にMetacarpal Indexの正常範囲の上 限である7.9以上のものについて検討してみると 表の如くで,Metacarpal Indexは8.9〜10.17 に亘っており,それぞれの骨年齢と暦年齢を比較
してみると,その年齢差は2ヵ月〜3年7ヵ月の 範囲であるが,すべての症例において骨年齢が暦 年齢を上廻っていた.
第4章 考 按
先天性心疾患に伴う脊柱側湾については表11の 如く,1951年Donzelot2)による報告が最初で,
表11 先天性心疾患における側二二の発生率
その後Wrightら3), Lukeら5)の報告があるが,
わが国においては本症についての研究論文は殆ど 皆無である.そこで著老4)は本邦における本症の 実態を知るべく,日本心臓血圧研究所を受診した 先天性心疾患々者を研究の対象として検討を行な
った.
従来一般人口からの側蛮の発生率については各 報告者の対照は一一般人,小中学生等さまざまであ
り,また症例数も異なり,糾弾の判定規準がまち まちではあるが,表12に示す如き数値が示されて
いる.
表12 一般人口よりみた側変症の発生頻度
報告者 対照者
Shands 著 者
一般人
〃
鈴木ら 小中学生
(千葉大)
島ら
(北 大)
Lukeら
症騰縢の瞬率
5。,・・611。・以上L9.
4,0795・以上11.9%
16,337 80以上0.72%
ノノ
少年少妥111・…轡準.・・43%
・,689.二三1三
鷹
(十)(升)
計
東 泉 女子医大
(1965)
Wnght
(1956)
601/3678 16.3%
92/3678 23/425 2.4タ6 5.5タ6 18.796 5.5タ6
Donzelot*
(1951)
Luke**
(1968)
72/623 73/3540 27.5% 、 2タ6
27,5% 2%
*Donzelot:(十)以上
**■uke:判定基準なし
ところで,著者は先天性心疾患二者の胸部x線 写真より側糸の判定可能な基準は前述の如く,か なり厳格なものとして検索を行なったが,表IIに 示す如く(十)の側湾は16.3%,(升)の側蛮は 2.4%であった.Wrightら8)の報告は対照例数が 少なく,しかも側湾については著者の(升)以上
の強いものを対象にしているが,発生率は5.5
%で,著者の発生頻度より高率になっている.
Donzelotら2)は著者の(十)以上の側蛮を対象と しているので27.5%という高率を示しているが,
著者の発生率も(十),(升)を合せれば18.7%と なる.要するに,外国例の方が先天性心疾患の際 の側蛮の発生頻度が高い.Lukeら5)の統計は著 者のそれに匹敵する症例数を扱っており,その発 生率は2%になっているが,判定規準を明記して いない.しかしこれらいずれの発生率を比べて も,先天性心疾患々老では一般人に比べて側蛮が 高率にみられる事は明らかである.
さてこれらの発生率を先天性心疾患の疾患別に 検討してみると,従来の報告は表正3の如くであ
り,著者の調査では非チアノーゼ群は15.8%,チ アノーゼ群は15.2%で大差なく,両群に差のない
表14 側蛮症と性別発生頻度
性別陣数 +
二戸 老
Lukeら 男 女 男:女
1299 1416
8.8タ6 2.4タ6
…巨・
0.3%
0.8
表13 先天性心疾患の疾患別発生頻度 先天性
心疾患 非チアノ ーゼ群
1 2
チアノ ーゼ群
著 老 WrightらDonzelotら 1
2715戦中 2165例 15.8%
2715例中 381例
15,2%
51例中 3例5.9%
146例中 8例
5,5%
117例中 17例
工4.5%
506例中 155例 30.6%
Lukeら
Potential cyanose
223例中 11例 4.9%
不明5例 20%
2690例中 22例 0.8%
850例中 51例 6%
点はWrightら3)の非チアノーゼ群5.9%,チア ノーゼ群5.5%と大差のない点では一致してい る.但し,非チアノーゼ群,チアノーゼ群の症 例数にはかなりの差がみられる.これに対して Donzel・tら2)やLukeら5)の≡報告では非チアノー ゼ群,チアノーゼ群両三には明らかな差がみら れる.すなわちDonzelotら2)は非チアノーゼ群 14.5%,チアノーゼ群30.6%と述べており,Luke
ら5)は非チアノーゼ群0.8%,チアノーゼ群6%
であったと報告している.Lukeら5)の統計は著 者の統計に匹敵するくらいの多数の母集団を対象 としているが,著者の結果と異なるのは,人種の
差によるのかも知れない.
次に側湾を性別について検討してみると表14の 如くで,側湾の程度に関係なくいずれも女性に発 生頻度が高く,側湾は女性に発生し易い傾向が解 った.Lukeら5)も2:1の割合で女性に発生し 易い事を記載している.
更に下闇を年齢について検討してみると表4の 如くで,14歳以上の年長児に程度の強い側湾が出 現しており,思春期になると脊柱側湾が急速に 増強するというLukeら5)の見解を裏書きしてい る.またWrightら3)も先天性の脊柱側蛮の発生 率は14歳以下では5.5%であるが,14歳以上のも のだけをとると実セこ19%に及ぶと指摘している.
この事は年少児の軽い側湾といえども軽視できな い事を示唆している.
側湾を一別に検討してみると先に述べた如く,
2種類の型(C型,S型)がみられ,第6から第 8胸椎を二三とする右下C型が最も多かった.
Wrightら3)は第8と第10および第9胸椎を平等と する右凸C型が多かった事を述べている.頂椎の 位置については著者とは必ずしも一致をみなかっ たが,右凸C型に多いとする点はLukeら5)と一 致している.右凸の側湾という事については,心 肥大に由来するというものもあるが,本研究中著 者は心疾患による心肥大が著明であるにも拘らず 脊柱側蛮が認められない症例にも遭遇しており,
必ずしも脊柱側蛮が心肥大によるとは言い難い.
以上,胸部x線写真より判定する限りでは,一 般人口に比べて先天性心疾患々者では脊柱側湾が 高率に発生している事は明らかである.
また性別では女性に多く,第6から第8胸椎を 頂椎とする右凸のC型山高が多い等特発性側蛮の 特徴と類似している.特発性側湾の実態調査にっ
いてはPonsetiら20)やJames18)19)の報告がある.
Ponsetiら20)は394例中330例は女性に出現し,
右脳のものは295例にみられたとしており,また James18)19)は180例中119例の女性に認めた事を 報告している.
しかし胸部x線写真よりの側湾判定では前述の 理由で不正確を伴う可能性があり,122例につい ては直接検診を行い,脊柱x線写:真を撮り検索を
してみた結果,性別では女性に多く出現してい た.年齢別では(什)以上についてみると14歳以 上のものに多く出現しており,年齢が長ずるにつ れて側湾が増強し,手馴では第7と第11,第8,
第9胸椎にピークを持つたC掌側湾が多くみられ る事が直接検診でもみられ,胸部x線写真よりの 判定がほぼ正しい事が証明された.
ところで,Marfan症候群が著老の症例に混入 しているのではないかという懸念については,充 分な検討が必要と思われる.そこでMarfan症 候群とはどの様な診断基準に基づいて診断されて いるかを改めて検討してみると,Wilnerら13)は Marfan症候群の診断基準として,筋骨格系,心 血管系,眼系,家族性の四症状のうち二症状を満 足するものをMarfan症候群としている.この基 準を形の如く解釈して,心疾患を有し,筋骨格系 異常として脊柱側弩だけでも良いとするならば,
著者の全症例はMarfan症候群に入ってしまう.
ところで,Marfan症候群の骨格異常として知ら れているものはくも指(趾),脊柱後湾,国国,頭 蓋変形,高口蓋,口蓋裂,漏斗胸,鳩胸,x脚,
反張膝,扁平足がある.しかし骨格異常のうち,
Marfan症候群の特徴的変化として用いられてい るものに,Metacarpal Indexと上半身・下半身 の比率の測定がある.しかしながら両者共日本人 の正常値が確立されていない.著者は他の研究者 同様Sinclairら14), Eldridgeら16)の指摘する如
く,Marfan症候群の診断基準として信愚性の高 いMetacarpal Indexの測定を試みた.
Metacarpal Indexを測定してみると (図5,
6)先天性心疾患では正常よりも高値へ偏位する ものも多くみられた.S量nclairら14)は正常人の上
限は7.9で,特にMarfan症候群ではすべて8,4 以一ヒを示した事を記載している.著者の測定結果 では著しく高値を示す例もあったが,低値のもの
もあった.Metacarpal Indexについては年齢と 共に変化する事が一Sinclairら14)によって指摘され ており,幼児の診断基準としては必ずしも適当と は言えないかも知れない.
そこで著者は骨年齢についても検討を試みた.
骨年齢については脊柱側蛮を伴う全症例について みると,8歳未満で骨年齢が暦年齢を上廻り,暦 年齢の進行に従い骨年齢が遅延する傾向がみられ たが,極端に遅延した例は僅かであった.ところ で,Metacarpal Indexの高いものだけを選んで 骨年齢と暦年齢の差をみると,例外なく骨年齢が 暦年齢を上廻っている事が明らかとなった.この 事はMarfan症候群の骨格異常にMetacarpal Indexと共に骨年齢の測定が有意義であると言え
る.
この事を考慮すると,著者の症例にMarfan症 候群が混在している事は否定しえない.ところで Marfan症候群の性別発生について調べてみる
と表15の如くで,Weve9),高槻ら12), Radoslo),
Ross11)らの統計をみても,男女差は殆どない.
表15Marfan症候群に於ける性別発生件数 Weve
82例 高槻29三
女i男 女
40 42 11
男 18
Rados 204例 女 男 1・311・L
Ross 117例 女 61
男 56
したがって著者の調査対照にみられた脊柱側費 の大部分がMarfan症候群であるとは考えられな
い.
心疾患に合併する奇形および変形については,
一連の中胚葉性器官の奇形,変形の合併がみられ た.奇形,変形のうち,前胸部突出,第五指羽 指,ばち指,くも指(趾)が先天性心疾患々者に よくみられる事は知られているが,これらが特に 多い他は特定の奇形,変形と脊柱側湾との相関々 係は指摘しえなかった.
先天性心疾患に伴う脊柱側蛮の年齢的推移を個 人について追究する事は今回の研究では行わなか ったが,9歳で脊柱側湾が殆どなく,16歳で高度 の側蛮のためにHarringto聡18)の手術を受けている 症例の報告をみると,幼少児に三田が認められな
くとも脊柱の経時的な検診は是非とも必要と思わ
れる.
今回の研究で,先天性心疾患に伴う脊柱側蛮は 特発性脊柱側蛮に類似した特徴も備えている事が 分つたが,特発性脊柱側側の場合は10歳以上にな:
つて始めて側湾が出現すると言われており,この 点で先天性心疾患々者には特発性脊柱側湾が発生
し易いのだと結論するのは早計かも知れない.
著者は心手術症例を除外したが,Lukeら5)の 言う如く,心疾患手術時の進入経路と側湾がもし
も関係があるならぽ,将来手術法にも側湾を予防 するような進入経路の配慮が必要と思われる.し かし,今回の研究から手術が側弩の唯一の原因と は到底考えられない.また心疾患手術の後に脊柱 二二が増強し,そのために心肺機能が悪化し,折 角の心臓手術の効果を滅殺する事に対する配慮も 将来はすべきであろう.先天性心疾患が半椎等の 椎体奇形を合併している事がしばしばあり,この ような時は心臓手術に際し,側湾の増強に一層の 注意が払われなけれぽならないと思う.
第5章 結 語
著者は先天性心疾患々老の脊柱側蛮の実態調査 を行なって次の結論をえた.
(1)先天性心疾患々者における脊柱野蛮につ いて
1)側湾の発生率は一般人口の発生率に比して 明らかに高率であった.
2)先天性心疾患を大きく分けて,非チアノー ゼ群,チアノーゼ群に大別しても,その発生頻度 は殆ど同率であった.
3)性別による発生頻度は, (升),(冊)共に 女性に明らかに多く出現していた.
4)年齢と側湾の程度との関係は,年長児にな るにつれて程度の強いものが出現し,思春期頃か ら側蛮が増強するものと推定される.
5)側湾は単純なCカーブが主で,第6から第 8胸椎を頂椎とする右凸のものが最も多くみられ
た.
以上の3),4),5)点は特発性側蛮症の特徴と類 似している.
(H)Marfan症候群を含めた中胚葉性先天異 常について
1)合併する奇形および変形については,前胸 部突出,第5指羽指,色素斑,ぼち指が多く,其 他肩甲骨位置異常,兎唇,両眼隔離,椎体奇形,
漏斗胸等が少数ずつ認められた.
2)骨年齢については,非チアノーゼ群では8 歳以下は骨年齢が暦年齢を上廻り,年長児では骨 年齢は暦年齢よりも遅延する傾向がみられた.チ アノーゼ群では骨年齢が暦年齢を上廻っている例 が多かった.
3)Metacarpal Indexについては,非チア ノーゼ群,チアノーゼ群共に第2・3・4指は正 常範囲より高値を示すものが多く(128例),第
5指ではほぼ正常範囲を示した.側沓の程度と Metacarpal Indexについては,非チアノーゼ群 はチアノーゼ群の36.3%が正常範囲を越えてい
た.
4)Metacarpal Indexと骨年齢,暦年齢につ いては,MetacarpaI Index 7,9以上で比較検詞す ると,骨年齢と暦年齢の差は,例外なく骨年齢が 暦年齢を上廻っていた.
稿を終るにあたり,終始懇篤なるご指導とこ校閲を賜 った恩師森崎教授に謹んで感謝の意を捧げると共に,口 縄ご指導ご鞭睡を戴いた白須教授に篤く感謝致します.
なお心研より快く症例をご提供頂き,また懇切なご教示 を賜った名誉教授榊原任先生始め諸先生に心から謝意 を表します.
(本論文の要旨は,第37回ならびに第39回日本整形外 科学会総会において発表した.)
文 献
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