• 検索結果がありません。

Ⅱ. 研究目的 Ⅲ. 用語の定義 1. 経験 (experience) 修士論文作成過程 (master's thesis conducting process) Ⅳ. 研究方法 研究対象 データ収集

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Ⅱ. 研究目的 Ⅲ. 用語の定義 1. 経験 (experience) 修士論文作成過程 (master's thesis conducting process) Ⅳ. 研究方法 研究対象 データ収集"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

KEY WORDS:Experiences,Graduate students,Master thesis

Ⅰ.緒 言

1979年,わが国初の大学院看護学研究科博士前期課 程(以下,修士課程とする)が千葉大学に誕生した。以 降,看護学研究科修士課程は次々と開設され,2014年4 月現在,看護学研究科をもつ大学院数は64校であり,医 学研究科,保健学研究科などの看護学専攻を含めると看 護系大学院数は152校に及ぶ1)。1999年,大学院看護学 研究科修士課程が数校であった当時,看護系大学院看護 学研究科に在籍する学生の修士論文作成過程の学習経験 を概念化した研究2)(以下,先行研究とする)が発表さ れた。この研究は,修士課程の主要な学習課題の一つで ある修士論文作成に焦点を当て,その過程を通して大学 院生(以下,学生とする)がどのような学習経験をして いるのか,その全容を質的帰納的に解明した。結果は, 学生が次のような学習経験をしていることを明らかにし た。学生は,修士論文作成過程を通して,研究と専門領 域に関する知識を修得し,研究,看護への理解を深めて いた。また,研究に必要な対人関係技能や研究者として の態度を修得していた。一方,研究テーマを焦点化する ことができない,研究方法を十分理解することができな い,考察を書くことができないなどの問題に遭遇し,研 究進行を停滞させていた。学生は,その克服に向け,努 力したり,資源を活用したりしていた。 それから17年が経過し,看護系大学院は量的にも質的 にも充実してきた。大学院入学資格が改正され,大学院 は,大学卒業者だけでなく,大学評価・学位授与機構に よる学士授与者3)や指定された専修学校の専門課程修 了者3)などに門戸を開いた。これにより,看護系大学 院に在籍する学生の背景は多様化4),5)した。 また,大学院教育の在り方が検討され,教育内容や教 育体制が整備されてきた6),7)。修士課程修了者に求め られる研究能力とは,専攻分野に通ずる研究能力8) ある。学生は,修士論文作成過程を通して,専攻分野に 関する知識を深めるとともに,専攻分野の研究成果を産 出できる研究能力を修得する必要がある。学生が修士論 文作成過程を通して修得する研究能力には,論述能力, 計画立案能力,問題解決能力,分析能力がある9) さらに,昨今,研究者の不正行為が表面化し,大きな 社会問題となっている。大学院生を含む看護学研究に携 わる看護職者も例外なくその渦中におり,高い倫理的感 受性や質の高い倫理的行動が求められている。 このような現状に照らし,多様な背景をもつ看護学研 究科の学生が修士論文作成過程を通して,どのような経 受理:平成27年3月31日 Accepted : 8. 20. 2015.

  原 著

大学院看護学研究科修士課程に在籍する学生の

修士論文作成過程の経験に関する研究

金 谷 悦 子

(千葉大学大学院看護学研究科 博士後期課程)

舟 島 なをみ

(千葉大学大学院看護学研究科)       

望 月 美知代

(千葉大学大学院看護学研究科)        本研究の目的は,大学院看護学研究科修士課程に在籍する学生の修士論文作成過程の経験を表す概念を創出し,その特徴 を明らかにすることである。看護概念創出法を用い,半構造化面接により大学院看護学研究科修士課程修了生20名からデー タを収集した。分析の結果,大学院看護学研究科修士課程に在籍する学生の修士論文作成過程の経験を表す20概念が創出さ れた。20概念とは,【修了要件充足に向けた授業履修と論文完成に向けた個別指導受理】【論文完成に向けた文献検索と閲読 の反復】【倫理規範遵守による研究進行と進行優先による倫理規範侵犯】【指導過剰への抵抗と指導過剰からの脱却】【指導 実現不可による指導の無視と指導撤回に向けた教員との議論】【学生間の支援授受】【緊張を伴う論文発表と発表への問題指 摘受理】【論文完成過程進行による研究と看護への理解深化】【論文完成への達成感と不全感の感知】などであった。考察の 結果,11概念が新たに着目された。それらはその特徴によって3つに分類された。研究上の倫理規範に抵触する経験,修士 論文作成過程上の問題に直面する経験,指導教員との相互行為に関わる経験である。

(2)

験をしているのか,改めて全容を解明する必要が生じて いる。文献検討の結果,国内の大学院看護学研究科の修 士論文作成過程に関する研究は,修士論文に採用した研 究方法などの特性10),修士論文と課題研究を比較した特 徴11)を明らかにしていた。一方,海外の研究は,修士 論文作成過程の経験と指導過程の経験9),修士課程の研 究遂行過程の実態12)を明らかにしていた。しかし,先 行研究2)以降,学生の修士論文作成過程の経験を質的 帰納的に明らかにした研究は存在しなかった。 以上を背景とする本研究の目的は,大学院看護学研究 科修士課程に在籍する学生の修士論文作成過程の経験 の総体を明らかにすることである。本研究の先行研究2) は,データの飽和化を確認している。本研究は,先行研 究のデータを基盤とし,現状を反映した新たなデータを 加え,2次分析を試みる。 本研究の成果は,現在,修士論文作成に取り組んでい る学生が,修士論文作成の全過程を知るとともに,直面 する問題を予測し,それを回避する手段を知るための資 料となる。また,自己の置かれている状況を客観的に理 解し,その後の目標設定や方向性を明確にするための基 礎資料となる。

Ⅱ.研究目的

大学院看護学研究科に在籍する学生の修士論文作成過 程の経験を表す概念を創出し,その特徴を考察すること を通して,修士課程に在籍する学生の円滑な修士論文作 成に向けた基礎資料とする。

Ⅲ.用語の定義

1.経験(experience) 経験とは,主体としての人間が関わった過去の事実を 主体の側からみた内容13)であり,人間と環境との関連 の仕方やその成果の総体14)を意味する。

2.修士論文作成過程(master's thesis conducting process) 修士論文作成過程とは,大学院修士課程に入学し,修 士論文作成のための研究テーマ探索から当該大学院の行 う修士課程の審査及び試験に合格するまでを指し,論文 発表会を含むものとする。

Ⅳ.研究方法

研究方法論には看護概念創出法15)を用いた。本研究 は,先行研究のオリジナルデータに新たなデータを追加 した2次分析16),17)であり,オリジナルデータ収集時と 同じ持続比較のための問い,データ収集法,分析方法を 適用18)した。 1.研究対象 対象者は,大学院看護学研究科の修士論文作成を修了 要件とする課程に2年間在籍して修了し,博士課程に進 学していない者とした。また,経験を想起しやすい修了 後3年以内の者とした。 2.データ収集 対象者の探索には,ネットワークサンプリングを用い た。データ収集法には半構造化面接法を用い,時間的経 緯に沿った修士論文作成過程の経験に関する質問を行っ た(表1)。オリジナルデータの収集期間は,1997年6 月から9月であった。質問項目別回答の概要に持続比較 のための問い「この学生の経験は,修士論文作成という 視点からみるとどのような経験か」をかけ,その問いに 対する回答内容を比較しながら進めた。16名の対象者の 面接終了時に新たな性質の回答内容が出現しないこと, すなわち面接内容の飽和化を確認し,面接を終了した。 また,追加データの収集期間は,2014年6月から10月で あった。4名の対象者の面接終了時に対象者計20名の面 接内容の飽和化を確認したため,面接を終了した。 3.データ分析 データ分析は,持続比較のための問いをかけながら コード化,カテゴリ化を行った。 4.倫理的配慮 日本看護教育学学会研究倫理指針19),20)に基づき,対 象者に次のような倫理的配慮を行った。まず,研究協力 依頼の際,研究対象者に研究目的,方法,研究参加によ り不利益を受けない権利,対象者の自己決定の権利,プ ライバシーの権利,尊厳の権利の保障,個人情報の取り 扱いについて説明した。次に,研究者はその内容を記載 した誓約書に署名するとともに,研究対象者より同意書 表1 質問項目 問1.看護基礎教育課程を卒業されてから今日までの経緯を 簡単にお話しください。 問2.大学院への入学動機についてお話しください。 問3.修士論文となった研究テーマが決定したのはいつです か,お話しください。 問4.入学されてから研究テーマが決定するまでいかがでし たか。 問5.データ収集とデータ分析が終わったのはいつですか。 問6.そのデータ収集とデータ分析期間はいかがでしたか。 問7.その後は,論文提出までいかがでしたか。 問8.論文の審査,論文の発表の段階においてはいかがでし たか。 問9.今現在,この過程を振り返ってみてどのように思われ ますか。

(3)

に署名を得た。研究者は,上記の内容を遵守した。 また,本研究は,先行研究の2次分析である。質的研 究の2次分析の際,オリジナルデータ提供者に再度研究 協力への意思を確認する必要性が生じる。しかし,2次 分析を実施したこれまでの国内研究を確認した結果,オ リジナルデータ提供者へ再度説明し,同意を得たと記述 された研究は存在しなかった。 そこで本研究は,2次分析の際,オリジナルデータ提 供者への再説明,再同意を確認する必要があるか否かの 判定要件を文献18),21),22)に基づき,次のように設定した。 ①2次分析によりオリジナルデータ提供者に何ら不利益 が生じないことを保障できる。②オリジナルデータ提供 者が同意した研究のための問いと2次分析の研究のため の問いが合致している。③オリジナルデータを収集した 研究者が2次分析の研究に参与している。④上記①から ③が満たせない場合は,オリジナルデータ提供者に研究 の主旨を再説明,再同意を得る。 本研究は,2次分析に際し,以下のことを確認した。 ①オリジナルデータ提供者16名に対して何ら不利益が生 じないことを保障できる。②オリジナルデータ提供者が 同意した研究のための問いと2次分析の研究のための問 いが合致している。③オリジナルデータを収集した研究 者が共同研究者である。本研究は,①から③を充足して おり,オリジナルデータ提供者16名に対し,2次分析の 際,再説明,再同意を得ていない。また,本研究は千葉 大学大学院看護学研究科倫理審査委員会より承認を得た。 5.信用性の確保 本研究の信用性は,看護概念創出法の信用性確保のた めの4つの基準23),すなわち確実性,置換性,信頼性, 確証性の基準を充足することにより確保された。

Ⅴ.結 果

1.対象者の特性 対象者は,関東地方にある5大学院看護学研究科に在 籍する女性20名であった。年齢は26歳から52歳であり, 平均年齢は39.9歳であった。卒業した看護基礎教育課程 は,大学14名,短期大学2名,専修学校4名であった。 このうち,短期大学を卒業した2名は,看護系大学への 編入学により看護学学士を取得し,専門学校を卒業した 4名中3名は,心理学,経済学といった看護学以外の学 士を取得していた。入学前の職業は,臨床看護師14名, 教員4名,保健師1名,無職1名であった。看護基礎教 育修了から大学院入学までの期間は,2年から21年であ り,平均7年であった。 2.大学院看護学研究科に在籍する学生の修士論文作成 過程の経験 2次分析の結果,392コードは,251サブカテゴリ, 126カテゴリを形成し,さらに20コアカテゴリ,すなわ ち,大学院看護学研究科に在籍する学生の修士論文作成 過程の経験を表す20概念を創出した。結果は,多様な背 景をもつ学生が20概念により表される経験をしているこ とを明らかにした。以下【】は概念を示す。 【1.修了要件充足に向けた授業履修と論文完成に向け た個別指導受理】 この概念は,学生が修士課程の修了要件を満たすため に必要な授業を履修するとともに,修士論文完成に向 け,指導教員より授業以外に個別に指導を受けるという 経験を表す。学生は,修士課程修了に必要な単位を修得 するために授業を履修していた。この授業に加え,学生 は,研究テーマの焦点化方法,分析方法,論述方法,審 査や発表の準備など修士論文の完成に向け指導教員より 個別に指導を受けていた。 【2.論文完成に向けた文献検索と閲読の反復】 この概念は,学生が論文を完成させるためにその過程 を通して文献検索と閲読を繰り返すという経験を表す。 学生は,まず研究テーマを決定するために,次に研究方 法を探索するために,さらに考察を執筆するために文献 を検索し,検索した文献を閲読していた。学生は,論文 作成過程を通して繰り返し何度も文献検索を行い多数の 文献を閲読していた。 【3.論文完成に向けた計画立案と実行】 この概念は,学生が修士論文完成に向けて研究計画書 を立案しそれに基づき研究を進行するという経験を表 す。学生は,研究テーマを焦点化したり研究方法を決定 したりするために多数の文献を読んだり,指導教員の専 門性を考慮したり,自己の研究能力を査定したり,興味 のある領域の看護実践活動に参加したりするなどして研 究計画を立案していた。また,学生は,立案した計画に 沿って研究を進めていた。 【4.審査通過難航と難航予測に反する通過円滑】 この概念は,学生が論文審査を受験し,通過に困難を きたす一方,困難であると予測していた審査を円滑に通 過できたという経験を表す。学生は,論文の完成に向 け,倫理審査,研究計画審査,論文審査など数種類の審 査を受験し,審査委員から,大幅な修正が必要であると の指摘を受けることもあった。一方,審査委員からいく つか問題を指摘されるものの,予測とは裏腹に審査を円 滑に通過できることもあった。

(4)

【5.緊張を伴う論文発表と発表への問題指摘受理】 この概念は,学生が緊張しながら論文を発表し,そし て,発表への問題を指摘されるという経験を表す。学生 は,失敗を恐れ,心を張り詰めながら学内の発表会に臨 み論文を発表していた。また,発表に関する質問に答え るとともに,問題を指摘されて,聴衆の面前でそれを受 け入れざるを得ないこともあった。 【6.計画遵守難航予測による難航回避に向けた周到な 準備】 この概念は,学生が研究計画を遂行することが困難で あると予測したとき,それを避けるために周到な準備を するという経験を表す。学生は,研究計画の遂行を阻む 問題を予測し,それを避けるために周到な準備をすると いう経験をしていた。学生が行った準備とは,円滑な データ収集に向けた質問紙の内容の検討,円滑なインタ ビューに向けたガイドラインの作成,論文提出期限の厳 守に向けた執筆順序の変更などであった。 【7.計画遵守不可による計画変更と進行遅延による遅 延の挽回】 この概念は,学生が計画を実行できなかったとき,そ の計画を変更する一方,計画の進行が遅れたとき,その 遅れを取り戻そうとするという経験を表す。学生は,研 究計画に基づき研究を進めようと思っていたにもかかわ らず,研究対象者の同意を得られなかったり,金銭的な 問題が生じたりしたことにより予定したデータ収集方法 が不可能になり計画を変更していた。そのような場合, 研究計画の進行は一時的に遅れ,学生は,データ収集と 分析を同時に行うなどしてその遅れを取り戻そうとして いた。 【8.研究進行に向けた懸命努力と計画の曖昧さによる 研究進行難航】 この概念は,学生が研究を進行させるために一生懸命 努力する一方,研究計画に曖昧な部分を残したまま研究 を進め,その進行を難航させるという経験を表す。学生 は,研究の円滑な進行に向け,精一杯の努力をしてい た。一方,研究に関する知識や理解が乏しいまま計画を 立案し研究を開始したため,目的が曖昧なままデータ収 集をしたり,分析方法が曖昧なまま分析をしたりして研 究の進行に困難を来すこともあった。 【9.阻害要因発生による計画進行停滞と阻害要因排除 に向けた工夫】 この概念は,学生が研究進行を阻害する問題に直面し たとき,研究進行を停滞させるとともに,工夫しながら それらを排除するという経験を表す。研究進行を阻害す る要因とは,データ数の不足,研究方法の理解困難,分 析困難,コンピュータの不調などであった。これらによ り研究は一時的に停滞するものの,学生は,対象者の選 定条件を拡大したり,遠方へのデータ収集を試みたり, 研究方法を再度学習したりするなどして計画が進行する ように工夫していた。 【10.倫理規範遵守による研究進行と進行優先による倫 理規範侵犯】 この概念は,学生が倫理規範を守りながら研究を進め る一方,研究遂行を優先するあまりにその規範を犯して しまうという経験を表す。学生は,審査を通過した倫理 的配慮の方法を適用し,研究対象から同意を得たり,守 秘義務を果たすためにデータを暗号化したりして倫理規 範を守っていた。一方,データ収集を優先し,研究対象 者から協力への辞退を受けることを恐れ,事前に承諾を 得ることなく,データを収集してしまうこともあった。 【11.独力での問題解決不可による指導要請と獲得】 この概念は,学生が研究の進行中に生じた問題に対し て単独による解決が困難なとき,指導教員へ指導を要請 し,それを獲得するという経験を表す。学生の単独によ る解決が困難な問題とは,データ収集開始後のデータ収 集方法の変更,分析終了間際の誤り発見,論文提出期限 間際の考察論述不可,論文発表用の原稿作成不可などで あった。学生は,これらの問題を解決できないと判断し たとき,指導教員に依頼し指導を受けていた。 【12.指導機会喪失による論文完成過程停滞と停滞打破 に向けた不本意な指導受け入れ】 この概念は,指導を受ける機会を失った学生が論文執 筆や発表準備を停滞させる一方,それを打破するため に,納得のいかない指導を受け入れるという経験を表 す。学生は,期日までに教員に課題を提出できなかった り,自己の努力不足を自覚し教員への指導要請を躊躇し たりしたとき指導を受ける機会を逃し,論文執筆を停滞 させていた。その一方,学生は,論文執筆が停滞した場 合,それを打ち破るために,納得のいかない教員指導を 全面的に受け入れていた。 【13.指導過剰への抵抗と指導過剰からの脱却】 この概念は,学生が指導教員から過剰な指導を受ける ことへ抵抗を示すとともに,そこから抜け出そうとする 経験を表す。学生は,教員が研究進行状態を頻繁に確認 したり,研究への取り組みを無理強いしたりするとき, その指導を過剰だと感じていた。学生は,このような指 導を受けたとき,嫌悪感,圧迫感,憤慨,反抗,拒絶と いった感情を呈していた。そして,このような指導から 抜け出すために独力で研究を進行しようとしたり,教員 への指導要請を躊躇したりしていた。

(5)

【14.指導実現不可による指導の無視と指導撤回に向け た教員との議論】 この概念は,学生が教員の指導を実現できないと感じ たとき,その指導を無視する一方,その指導を撤回する ために指導教員と議論するという経験を表す。学生は, 指導教員から期間内に論文を修正するよう指導されてい たにもかかわらず修正しないまま提出したり,教員の助 言に従わず,自身のペースにより研究を進行させたりし ていた。一方,学生は,教員の指導を実現不可能だと感 じたとき,教員がそれを取り下げるよう,教員と意見を 戦わせることもあった。 【15.指導の適切さ確信による教員への信頼と確信不可 による教員への疑念】 この概念は,学生が指導を適切であると確信したと き,その教員を信頼する一方,指導を適切であると確信 できないとき,教員に疑念を抱くという経験を表す。学 生は,教員の助言により自身が直面する問題を解決でき たり,論文の精度が向上したりしたとき,指導の適切さ を確信し,その教員を信頼していた。一方,教員間の評 価が異なったり,論文発表直前に教員から大幅な原稿修 正を要請されたりしたとき,指導の適切さを確信でき ず,教員に疑念を抱いていた。 【16.独断での異なる指導者探索と報告是非への戸惑い】 この概念は,学生が指導に不満を感じたり,十分な指 導を受けていないと感じたりしたとき,独断で他の指導 者や専門家を探し指導を受け,その後,指導教員への報 告を迷うという経験を表す。学生は,指導を受けても問 題を解決できなかったり,指導を要請してもそれに応え てもらえなかったりしたとき,指導教員に相談すること なく他の指導者や専門家を探して,指導を受けることが あった。また,それを報告すべきかどうかを迷ってい た。 【17.教員評価に伴う論文完成懸念と確信生起の反復】 この概念は,学生が指導教員より研究進行に対する評 価を受けることを通して,論文を完成させることができ ないのではないかと心配したり,完成させることができ ると確信したりすることを繰り返すという経験を表す。 学生は,課題の提出期限が守れず指導教員から叱責を受 けたとき,自己の研究能力の低さを自覚し,論文を完成 させることができないのではないかと心配していた。そ の一方,研究態度の熱心さを褒められたとき,論文を完 成させることができると確信していた。学生は,教員の 評価により論文の完成を心配したり確信したりすること を繰り返していた。 【18.論文完成への達成感と不全感の感知】 この概念は,学生が論文を完成させたという達成感を 実感する一方,自己査定により完成度の高い論文ができ なかったと不全感を実感するという経験を表す。学生 は,論文が完成したことにより当初の疑問を解明できた という満足感,また一連の論文作成過程を遂行できたと いう達成感を実感していた。その一方,研究計画書が不 十分であったと後悔したり,自己の研究遂行能力の低さ を実感し論文作成に対する不全感を実感したりしてい た。 【19.学生間の支援授受】 この概念は,学生が研究を進めるために同級生や下級 生,上級生の支援を受けたり,支援を提供したりすると いう経験を表す。学生は,専門領域を越えて,同級生や 下級生,上級生と交流して,教員や研究方法を理解する ための情報や論文発表会に向けた発表内容に関する助言 を得たりしていた。一方,自己に余裕のあるときには, データの整理を手伝ったり,文献を貸与したりすると いった支援を提供していた。 【20.論文完成過程進行による研究と看護への理解深化】 この概念は,学生が論文作成過程を歩みながら研究お よび看護への理解を深めるという経験を表す。学生は, 論文の完成を目指し,研究方法,データ収集方法,分析 方法などを学習し研究の理解を深めていた。また,収集 した現象を理解するために看護に関する学習をしたり, 多数の研究対象者との出会いを通して人間を理解したり するなど看護への理解を深めていた。

Ⅵ.考 察

本研究は,多様な背景をもつ大学院看護学研究科に在 籍する学生の修士論文作成過程の経験の総体を明らかに した。本研究により創出された20概念を先行研究2) 概念と比較した結果,20概念中11概念【1】【2】【3】 【4】【5】【6】【7】【17】【18】【19】【20】が先行研究 の結果と類似していた。類似していた経験とは,次のと おりである。学生は,指導教員より個別に指導を受けな がら,修士論文完成に向け,研究計画を立案しその計画 に沿って実施していた。また,学生は,多数の文献を閲 読し,研究と看護への理解を深めながら研究を進行させ ていた。一方,研究計画の遂行が困難であるとき,また は困難を予測したとき,それを回避するために準備した り,計画を変更したりするなどしていた。さらに,学生 は,自己評価や他者評価を通して,論文を完成させたと いう達成感を実感する一方,完成度の高い論文ができな かったことに不全感を感じていた。

(6)

これらの概念は,学生が研究計画から発表までの一連 の研究過程を計画に沿って進行させるために学習を深 め,紆余曲折しながらも研究を遂行し,修士論文を完成 させていることを示す。  20概念中9概念【8】【9】【10】【11】【12】【13】【14】 【15】【16】は新たに創出された概念であった。これら9 概念を内容の類似性により,3つに大別した。以下,こ れらの特徴について考察する。 1.研究上の倫理規範に抵触する経験 概念【10.倫理規範遵守による研究進行と進行優先に よる倫理規範侵犯】は,研究上の倫理規範に抵触する経 験である。 本概念は,学生が倫理規範を守りながら研究を進める 一方,研究遂行を優先するあまりにその規範を犯してし まうという経験を表す。修士論文作成の際に生じる倫理 的問題は,データ収集の段階に生じやすい24)。それは, 次の理由による。質的研究の場合,学生自身が測定用具 となるため,参加観察やインタビューは,学生単独で実 施する。また,質的研究のデータ収集は,量的研究に比 べ流動的であり,何をデータとして収集するべきかとい う判断を現地で行う25)。そのため,想定外の状況が生じ た場合,学生はそれに対する自己決定を行わなければな らない。再計画を行うためには豊かな創造力を必要とす る25)が,学生は,研究の初学者であり,研究者として 倫理的に判断したり,行動したりすることが難しい場合 がある。このことは,想定外の状況に倫理的に対応する ために,学生が日頃から研究に対する倫理的感受性を高 めておく必要があることを示す。 また,研究者には研究活動を誠実に行う責務があり, 研究者自らが研究倫理規範を確立する必要がある26)。自 己の研究倫理規範を確立するためには,まず,自己の倫 理的行動を客観的に査定し,改善・調整すること,すな わち自己評価27)が不可欠である。 この概念は,学生が研究上の倫理規範に抵触する可能 性を示す。これを回避するためには,学生が日頃から研 究に対する倫理的感受性を高める努力をするとともに, 自己の研究倫理を確立するために,自己の行動が倫理的 であるか否かを自己評価する必要があることを示す。 2.修士論文作成過程上の問題に直面する経験 次の3概念【8.研究進行に向けた懸命努力と計画の 曖昧さによる研究進行難航】【9.阻害要因発生による 計画進行停滞と阻害要因排除に向けた工夫】【11.独力 での問題解決不可による指導要請と獲得】は,修士論文 作成過程上の問題に直面する経験である。 概念【8】【9】は,学生が研究進行上,難航したり, 停滞したり,遅延したりするという経験を表す。学生は, 研究に対する知識や理解が乏しいまま計画を立案し,目 的や分析方法が曖昧なまま研究を進めていた。知識不足 は研究進行を妨げる阻害要因となる。研究の初学者であ る学生は,修士論文作成過程を通して計画立案能力や分 析能力を修得していく9)。学生は,研究に必要な知識や 技術のどの部分が不足しているのかを自己査定し,不足 部分を補うための学習計画を立案し,実行することによ り,これらの能力の修得を促進することができる。 概念【11】は,学生が研究進行中に生じた問題に対し て独力による解決が困難なとき,指導教員へ指導を要請 し,それを獲得するという経験を表す。学生が独力によ る解決が困難である問題とは,データ収集開始後のデー タ収集方法の変更や分析終了間際の誤りの発見などで あった。これらは,研究の信頼性に関わる問題であり, 研究者の倫理的な判断を伴う。このようなとき,学生は 教員に相談し意志決定をしていた。また,学生は,論文 提出期限間際に考察を論述することができない,論文発 表の原稿を作成することができないなどといった問題に 直面したときにも教員に支援を求めていた。研究の初学 者である学生は,修士論文作成過程を通して,問題解決 能力や論述能力を修得していく9)。学生は,自己判断や 自己解決できない問題が生じたとき,指導教員へ支援を 要請し,研究を進めていた。 これらの概念は,学生が修士論文作成過程上,様々な 問題に直面する可能性を示す。これを解決するために は,学生が知識や技術の不足による研究の停滞や遅延に 対し,学習計画を立案し自ら努力する一方,解決不可能 な問題に対し,教員へ支援を要請しながら研究を進めて いく必要があることを示す。 3.指導教員との相互行為に関わる経験 次の5概念【12.指導機会喪失による論文完成過程停 滞と停滞打破に向けた不本意な指導受け入れ】【13.指 導過剰への抵抗と指導過剰からの脱却】【14.指導実現 不可による指導の無視と指導撤回に向けた教員との議 論】【15.指導の適切さ確信による教員への信頼と確信 不可による教員への疑念】【16.独断での異なる指導者 探索と報告是非への戸惑い】は,指導教員との相互行為 に関わる経験である。 概念【12】【13】【14】【15】【16】は,教員の指導に対 し,学生が納得のいかない指導を受け入れたり,指導を 受けることに抵抗を示したり,指導を無視したり,教員 の指導力を疑ったりするという経験を表す。学生が受け 入れられない指導とは,過剰な指導,実現不可能な指 導,適切であると確信できない指導などであった。学生

(7)

は論文作成が停滞しているとき,それを打破するために 納得のいかない指導を受け入れていた。また,十分な指 導が得られていないと感じたとき,指導教員に相談しな いまま他の指導者を探すといった経験をしていた。多様 な背景をもつ学生は,価値観も多様である。そのため, 教員の指導に対し多様な反応を示していた。 学生は,修士論文作成に向け,教員の指導を個別に受 ける。その指導は,学生個々に応じて計画され,必要な 時期に必要な量が提供される。学生が実現不可能である と知覚した指導は,学生の学習不足により理解ができて いない可能性もある。 一方,本研究の対象者は,指導教員と円滑な相互行為 がとれないとき,その教員と議論していた。相互行為と は,「人間と人間のあいだの知覚とコミュニケーション のプロセスであり,目標を目指す言語的もしくは非言語 的行動という形で示される」28)。学生と教員が修士論文 完成という同じ目標に向かうためには,お互いを正しく 知覚し,コミュニケーションを通して,相互に理解を深 める必要がある。教員と学生はともに修士論文完成とい う共通の目標に向かっている。学生が教員の指導内容を 正確に理解できたとき,研究は円滑に進行する。 これらの概念は,修士論文完成に向け,学生と指導教 員との相互行為が不可欠であることを示す。研究を円滑 に進行させるためには,学生自身が学習を深め,教員の 指導内容を理解するとともに,教員に確認し,正確に理 解することが必要であることを示す。 以上,本研究により創出された20概念は,修士課程に 在籍する学生が,研究計画から発表までの一連の研究過 程を計画に沿って進行させるために学習を深め,紆余曲 折しながらも研究を遂行し,修士論文を完成させている ことを示した。また,新たに創出された9概念は,学生 が研究上の倫理規範に抵触したり,様々な問題に直面し たりしながら,修士論文完成に向け,教員との相互行為 を展開していることを示した。 新たに創出された9概念を3つに大別し,その特徴を 考察した結果,以下が示唆された。修士課程に在籍する 学生は,研究を倫理的に遂行するために自己評価しなが ら倫理的感受性を高める努力をする必要がある。また学 生は,研究を進行させるために学習計画を立案し実行す るとともに,解決困難な場合,教員に支援を要請する必 要がある。さらに学生は,円滑な修士論文作成に向け, 教員の指導内容を正確に理解するために努力する必要が ある。

Ⅶ.結 論

1.本研究の結果は,多様な背景をもつ,大学院看護学 研究科に在籍する学生の修士論文作成過程の経験が, 20概念により表されることを明らかにした。 2.20概念のうち11概念は,先行研究の結果に類似して おり,9概念は,新たに創出された概念であった。 3.新たに創出された9概念は内容の類似性により3つ に大別された。 4.本研究の結果は,多様な背景をもつ,大学院看護学 研究科に在籍する学生の修士論文作成過程の経験を明 らかにした。しかし,個々に異なる学生の背景によ り,修士論文作成過程の経験にどのような差異が生じ ているかは解明しておらず,今後の課題である。

謝 辞

本研究に協力いただき,貴重なデータを提供してくだ さった看護職者の皆様に深く感謝申し上げる。なお,本 研究に関わる利益相反は存在しない。

引用文献

1) 日本看護協会出版会編:平成26年看護関係統計資料集,日 本看護協会出版会,196-199,2015. 2) 望月美知代,舟島なをみ:大学院看護学研究科修士課程に おける学生の学習経験に関する研究─修士論文作成過程に 焦点を当てて─,看護教育学研究,8(1),1-13,1999. 3) 市川須美子他編:平成27年版 教育小六法,学校教育法指 定規則 (大学卒業者と同等以上の学力があると認められる 者)第155条,学陽書房,182-183,2015. 4) 近藤由香,渋谷優子,坂井水生,大木友美,奥山貴弘:看 護系大学院修士課程学生の入学志望動機・目的とその関連 要因,日本看護研究学会雑誌,28(1),101-107,2005. 5) 金 壽子,志自岐康子,習田明裕,城生弘美,奥山則子, 大渕律子,川村佐和子:看護専門職の大学院教育の在り方 に関する研究─修士号または博士号取得者の学習ニーズと 環境整備,東京保健科学学会誌,5(4),208-216,2003. 6) 文部科学省:平成22年中央教育審議会 大学分科会医療系 WG (第2回)配付資料看護学分野,2,2010. Retrieved from http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/40/ siryo/__icsFiles/afieldfile/2010/09/08/1296930_05.pdf (2015年 6月10日) 7) 前掲書3),大学設置基準(成績評価基準等の明示等)第 25条の2,277. 8) 前掲書3),大学院設置基準(修士課程)第3条,289. 9) Jonathan Drennan and Marie Clarke: Coursework master’s

programmes: the student’s experience of research and research supervision, Studies in Higher Education, 34(5), 483-500, 2009.

(8)

10) 有森直子,的場典子,鈴木里利,松本直子,伊藤和弘,堀 内成子,横山美樹,及川郁子,白木和夫,菱沼典子,小澤 道子:聖路加看護大学大学院における学位論文の特性─開 設20年を振り返って─,聖路加看護大学紀要,29,59-72. 2003. 11) 高山暁美,中西伸子,山本裕子,中塘二三生,青山ヒフミ: 大阪府立看護大学院看護学研究科博士前期課程における学 位論文の研究方法に関する一考察,大阪府立大学看護学部 紀要,14(1),57-61,2008.

12) Fay L. Bower and Mae E. Timmons: A survey of a ways master’s level nursing students learn the research process, Journal of Nursing Education, 38(3), 128-132, 1999. 13) 見田宗介他編:社会学事典,「経験」の項,弘文堂,245, 1988. 14) 林 達夫他編:哲学辞典「経験」の項,平凡社,391,1997. 15) 舟島なをみ:質的研究への挑戦 第2版,医学書院,132-200. 2007. 16) Polit, D. F., Beck, C. T.; 近藤潤子監訳:看護研究 原理と方法 第2版,医学書院,268,2010. 17) 武田尚子:質的調査データの2次分析─イギリスの格差拡 大プロセスの分析視覚,ハーベスト社,214-216,2009. 18) Tracy Long-Sutehall, Magi Sque and Julia Addington-Hall:

Secondary analysis of qualitative data: a valuable method for exploring sensitive issues with an elusive population?, Journal of Research in Nursing, 16(4), 335-344, 2010.

19) 日本看護教育学学会:日本看護教育学学会倫理指針,看護 教育学研究,6(1),1997.

20) 日本看護教育学学会:日本看護教育学学会倫理指針,看護 教育学研究,23(1),2014.

21) Sally Thorne: Ethical and Representational Issues in Qualitative Secondary Analysis, Qualitative health Research, 8(4), 547-555, 1998. 22) 前掲書17),217. 23) 前掲書15),144. 24) 萱間真美,南 裕子:修士論文作成に関する倫理的問題 の研究者による認識およびそれに対する配慮の実態調査─ 1982年度∼1992年度の10年間に作成されたA看護大学修士 論文について─,聖路加看護大学紀要,20,35-39,1994. 25) 前掲書16),342. 26) 日本学術振興会「科学の健全な発展のために」編集委員 会:【テキスト版】科学の健全な発展のために─誠実な科 学者の心得─,日本学術振興会,11,2015,Retrieved from https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/rinri.pdf (2015年6月10日) 27) 橋本重治:教育評価基本用語解説,「自己評価」の項,指 導と評価,29(8),38,1983. 28) King, I.M.;杉森みど里訳:キング看護理論,医学書院, 180-181,1985.

(9)

EXPERIENCES OF GRADUATE NURSING STUDENTS IN THE PROCESS OF CONDUCTING MASTER’S THESIS

Etsuko Kanaya*

, Naomi Funashima*2

, Michiyo Mochizuki*2 *0: Doctoral Program student, Graduate School of Nursing, Chiba University *2

: Graduate School of Nursing, Chiba University KEY WORDS :

Experiences, Graduate students, Master thesis

The purpose of this study was to conceptualize the experiences and clarify the features of graduate nursing students who were in the process of conducting master’s thesis. The Methodology for Conceptualization of Nursing was adopted. Data were collected through semi-structured interviews with 20 nurses who had graduated from master’s programs. Based on the results of the interviews, 20 concepts that represented the experiences of graduate nursing students in the process of writing a master’s thesis emerged, including the following: a) Finishing a course to fulfill requirements and receiving individual advice for completing their master’s thesis; b) Repeatedly searching for and reading the literature necessary for completing their master’s thesis; c) Making progress while obeying research ethics, but violating research ethics when placing a higher priority on progress; d) Resistance to and avoidance of excessive advising; e) Disregarding advice from an adviser due to its perceived unachievability, and discussing this with the adviser; f) Receiving support from and providing support to other graduate students; g) Feeling nervous while giving presentations and consequently receiving advice from faculty; h) Gaining a deeper understanding of nursing and related research through making progress towards the completion of their master’s thesis; and i) Perceiving a sense of both accomplishment and discomfort in completing their master’s thesis. From the result of comparison with an original research, 9 new concepts were focused on. These concepts were classified into three different categories according to their characteristics. i)Experience of conflict of normative ethics. ii)Experience confronting with problem over the process of master’s thesis conducting. iii)Experience involving interactions with faculty.

参照

関連したドキュメント

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

It turns out that the symbol which is defined in a probabilistic way coincides with the analytic (in the sense of pseudo-differential operators) symbol for the class of Feller

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Our method of proof can also be used to recover the rational homotopy of L K(2) S 0 as well as the chromatic splitting conjecture at primes p > 3 [16]; we only need to use the

discrete ill-posed problems, Krylov projection methods, Tikhonov regularization, Lanczos bidiago- nalization, nonsymmetric Lanczos process, Arnoldi algorithm, discrepancy

Using the batch Markovian arrival process, the formulas for the average number of losses in a finite time interval and the stationary loss ratio are shown.. In addition,

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.