女性の就業要因と家庭内生産の限界生産性の検討
―家庭内生産関数の推計をもちいて―
長 谷 川 か お り
キーワード:家庭内生産関数 女性の就業 家庭内結合生産 賃金率 非正規雇用 Household production,Joint production of leisure,
Empirical identification problem
1.はじめに
これまで、日本における女性の就業を妨げる要因としては、男性と比べた賃金の低さ、女 性が育児など家庭内労働の主たる担い手であること、男性配偶者の収入など非本人所得の高 さなどが、議論されてきた。本稿では、それらの女性の就業を阻害する要因に関する仮説を 四つに整理し、女性の家庭内労働時間と市場賃金の関わりから間接的に推論するのではなく、
家庭内生産関数を推計することにより検証する。
市場での就業選択問題は、とりもなおさず、家庭内労働時間の選択問題である。そして、
家庭内労働時間の選択は、家庭内生産関数の限界生産性によって大きく左右される。しかし ながら、Kerkhofs and Kooreman(2003)、長谷川(2015)で議論されているように、家 庭内生産関数を推計することには、これまで難しいとされてきた。その理由としては、家庭 内で生産される財の量も、生産に使用される財の量も家庭内の消費であって、市場で扱われ ないためにその量が特定できないという計量経済学上の問題があった。
これに対してKerkhofs and Kooreman(2003)が、一つの解決法を示した。彼らが示し た家庭内生産関数の同一性命題によって、世帯の中に互いに家庭内生産労働を代替できる構 成員(夫婦など)が存在する場合には、家庭内生産の生産要素として、互いの家庭内労働時
謝辞
本論文の作成に当たり、編集にあたって下さった東洋英和女学院大学『人文・社会科学論 集』編集委員会の委員の皆様、および大変有益なコメントを頂いたレフェリーの方々に心よ り御礼申し上げます。
間が代替的であるために、推計する方程式の自由度を下げることができる。それは、各家庭 内でどの程度の財・サービスの生産や消費が行われるかを確定せずとも、世帯の構成員の家 庭内労働時間は、世帯全体にとって最も効率的な配分に決定されるはずだというモデリング によるものである。このようなモデルにおいては、世帯の効用関数や家庭内生産の中間財た る市場財の投入量が特定できなくても、家庭内労働時間のデータがあれば、共働き世帯につ いては家庭内生産関数の推計ができることがわかったのである。
さらに、彼らのモデルでは、家庭内労働によって生産されるのは家庭内消費財だけではな く、家庭内労働の供給者自身の効用も同時に生み出される結合生産が考慮されている。この 結合生産では、家庭の成員のためのケア労働に従事することの効用が生産されると考えてよ い。この結合生産関数が推計できれば、家庭内生産関数とともに、就業およびその時間の決 定がどのようになされ、それがどのように厚生に影響を与えるかを分析することができる。
そこで、本稿では、まだ日本では推計されたことのないこれらの関数のうち、家庭内生産 関数を世帯の成員の家庭内労働時間から推計する試みを行いたい。これまで日本のデータを 用いて、家庭を持つ女性について、家庭内生産労働の限界生産性と就業の蓋然性との関連を 議論する際には、家庭内労働の生産性を示す代理変数として末子の年齢、子供の数、介護を 必要とする高齢者の家庭内での有無などケア労働の必要性を高く示す指標が使われてきた。
(周(2012)など)その理由としては、末子年齢が低く、子供の数が多いほど、そして介護を 必要とする高齢者が家庭内にいるなど、家庭内のケア労働を必要とする家族の存在が、家庭 内労働時間を押し上げ、家庭内生産労働の限界生産性を下げると考えられるからであった。
しかし、家庭内生産関数自体が推計できていないために、その結果については相対的な議 論に留まらざるを得ない。また、ケア労働の必要性が高いことと家庭内生産労働の限界生産 性の高いことは、結合生産が存在する場合、必ずしも同値であるとは限らない。このような 女性の就業に関する様々な仮説について家庭内生産関数を用いてより正確かつ詳細に検証す ることは、男女共同参画社会にむけて、様々な政策が検討され実施されている日本において、
重要な研究課題である。
本稿の推計では、Kerkhofs and Kooreman(2003)の同一性命題を用いるため、共働き 世帯1のみに対象を絞り、OLS回帰分析モデルで家庭内生産関数のパラメータ群を推計する。
用いるデータは、平成8年の社会性生活基本調査生活時間編である。平成8年は、総務省 の労働力調査の各年のパートタイム労働者についての統計によると、新規学卒者の一般入職 者の割合が低下し、パートタイムでの入職の割合が高くなり始めた初めの年である。その後
1. 本論文で取り扱う共働き世帯とは、夫婦と子どもの世帯、夫婦と子どもと両親の世帯、夫婦の みの世帯、全てを含む。
も一般労働者に対するパートタイム労働者の割合が増え続け、女性はパートタイム労働の主 要な担い手である。
そのため、筆者は平成 8 年以降、平成 28 年に至るまで 5 年ごとの毎回の社会生活基本調 査を用いて、女性の就業の現状と家庭内生産関数と結合生産関数のパラメータ推計比較を 行って、女性の就業の蓋然性についての研究を進めており、本研究はその最初のものである。
2.先行研究と三つの仮説
女性の就業選択は、古典的にはBecker(1965)に始まる既婚女性の消費と時間配分にお ける合理的選択問題として考えられてきた。そこでは、既婚女性は、配偶者とともに構成す る世帯において、市場で購入した財・サービスと家庭内労働時間を組み合わせ、世帯の効用 最大化問題を予算制約と時間の制約の下で解くとされる。こうしたモデルでは、世帯の家庭 内生産は、世帯内で消費されてしまうので、市場には表われず、また世帯で消費するものと して、市場の財・サービスと家庭内生産財は完全代替的であるとされてきた。
これに対して、Gronau(1977)らは、家庭内生産財をより明示的にモデル化し、いわば 家事という財・サービスを家庭内で生産され、それと市場の財・サービスは区別されるべき ものであることを示唆した。その後、Graham and Green(1984)らは、家庭内労働は、
消費財だけでなく、余暇に匹敵する効用を同時に結合生産するという改良型モデルを提案し、
Kerkhofs and Kooreman(2003)らもこの立場を踏襲している。結合生産物とは、女性の 家庭内労働過程自体が生み出す効用のことをいう。これを家庭内労働量とのかかわりで明示 的に測ることができれば、女性がなぜ賃金が高いにもかかわらず、労働市場から退出するこ とがあるのか、逆に賃金が低いにも関わらず働き続けるのかといった一見逆説的な問題を計 量理論モデルから説明できる。
近年の日本の女性労働については、周(2012)が、厚生労働省「パートタイム労働者総 合実態調査」をもとに、2011年のパートタイマーの70.9%が「家計の足しにするため」に 働くと述べていることを挙げ、こうした理由で働く非正規雇用者、パートタイマーの増加を 指摘した。2
このことは、世帯としての効用最大化の制約条件が、働いて得られた所得を上限として最 適な支出を決めるのみでなく、生活に必要な金額の下限も制約条件に入っており、この条件 が就業選択に重要な影響を及ぼすようになってきていることを示している。さらに、「家計 の足しにする」ために働きに出た結果、これまで家庭内で生産していた消費財を市場で購入 せざるを得ず、そのことが世帯の成員や女性の効用を押し下げるといった問題も生まれてい
2. 厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査」2011年
る。女性の市場賃金、家庭内労働の限界生産性、家庭内労働に対する選好、女性以外の非本 人収入の金額などが女性の就業選択に与える影響は、複雑であり総合的に分析されなければ ならない。
周(2012)は、女性の就業選択に関する仮説を次のように整理した。
1 )専業主婦を選ぶ人は、家事の労働生産性が相対的に高く、外で働いて得られる市場 賃金よりも、本人にとっての家事労働時間の限界生産性が高いか、非本人賃金収入 が高い。
2 )留保賃金が市場賃金よりも高い場合、専業主婦を選ぶ。
本稿では、Kerkhofs and Kooreman(2003)らのモデルを用いて、家庭内生産関数を用 いて、家庭内生産労働の限界生産性を推計し、これらの仮説を検証する。そこで、周(2012)
の仮説 1 )および仮説 2 )について、本稿の分析の対象である共働き家庭に置き換えてお きたい。
仮説 1 :共働き女性で労働時間を短く選ぶ人は、家庭内労働の本人生産性が相対的に高く、
本人の市場賃金率よりも、本人にとっての家庭内労働時間の限界生産性が高いか、
非本人賃金収入が高い。
仮説 2 :共働き女性で労働時間を短く選ぶ人は、市場での賃金率が自分の家庭内生産の限 界効率性の大きさにかかわらず、家庭内労働に対する選好が強いか非本人収入が高 いからである。
仮説 3 :共働きでいることが、本人にとって最適な選択でないにもかかわらず、不本意な がら世帯としての収入や非本人収入が足りず、共働きでいる。
仮説 1 は、家庭内生産関数の限界生産性と市場賃金率を比較することで検証できる。また、
大学卒の女性が正規雇用ではなく、非正規雇用やパートタイム労働を就業形態として選ぶの は、子どもを自分でどうしても育てたいから、あるいは家族のケアをしたいからという理由 が挙げられることも多い。これは仮説2のケースに当てはまる。仮説3は周(2012)で共働 き家庭について、分析結果にたいする仮説として述べられていたものである。
以上が、本稿の分析で検討する先行研究に見られる仮説である。その他、本稿のデータを 見て、新たに出てきた仮説については、後述する。
3.モデル
本稿のモデルにおいて、家庭の効用関数は一つであり、家庭に関する意思決定は男女のペ
アの合意のもとになされることとなっている。家庭内では消費と家庭内生産は基本的に共同 で行われ、家庭内で生産されたものは、市場では販売できない。市場財は、家庭内での消費 と生産の投入物の両方に使用する。効用関数はそれらの消費や家庭内生産物から得られる効 用および、余暇と家庭内労働からの結合生産物(家庭内労働をあたかも余暇と同じように感 じられる時間)で測られる。ここで消費する市場財はxm、家庭財はz、男性の余暇はLm、 女性の余暇はLf、男性の家庭内労働時間はHm、女性の家庭内労働時間はHfと表す。また、
家庭内での結合生産物は、男女それぞれ個別に家庭内の労働時間によって付随的に生産され、
gi (Hi), i=m,f である。投入財としての市場財はxz、また、家庭内生産関数は、Z=Z(Hm, Hf, xz)で表す。また、男女それぞれの市場労働時間はNi, i=m,f であり、賃金率はそれ ぞれwi i=m,f で、家庭の不労所得である資産はVとする。したがって家庭の効用関数最大 化問題は以下のように示される。
【効用最大化問題】
MAX U(xm, z, Lm+gm(Hm), Lf+gf(Hf)) s t . xm+xz V+wm Nm + wf Nf
Hi+Li+Ni=T, i=m,f
また、市場財は消費に使われても、投入に使われても、非負の値をとり、余暇時間、家庭 内労働時間も効用を高めるとする。また、効用関数および家庭内生産関数、結合生産関数を 連続二回微分可能な準凹関数とし、ただ一つの解が存在するようなKuhn-Tucker定理の条 件を満たすという仮定をおく。
また、結合関数は増加関数、その第一微分係数は1以下であり、家庭内労働時間が持ち時 間の限界Tに近づくとき、0に収束すると仮定する。また、家庭内生産関数は、家庭内労働 時間の単調増加関数とする。
よって、Kuhn-Tucker 定理より、この家庭の意思決定問題の解は、以下の必要条件を満 たすことになる。
∂Z =U'1 (1)
∂xz U'2
∂Z =w(1−i g'(i Hi))∂Z
i=m,f (2)
∂Hi ∂xz
ただし、U'iは効用関数の第i変数による偏微分係数を表し、g'(i Hi)は一変数関数giの微 分係数を表す。
ここでデータから観察可能な賃金率のベクトル視線Vから集合Wを、
W={(wm, wf)∈ℵ:(wm, wf, V)が観察可能なデータに入っているもの}
とする。さらに、この集合Wは連結であると仮定する。最大化問題に置いた仮定より、こ の集合Wの元に対し、必ず唯一解としての最大化問題の解(Hm*, Hf*, xz*)を得ること が出来るので、Wの元に対し最適解を与える(Hm*, Hf*)の全体の集合をH*とする。関 数 Z およびgを二回連続微分可能と仮定したことから、集合 W も連結である。これらのこ とより、Kerkhofs & Kooreman(2003)と同様に陰関数定理を適用することによって、集 合H*の閉包において定義される関数で、(Hm*, Hf*)を与えると(Hm*, Hf*, xz*)を 最大化問題の解となるようなxz*を選ぶ微分可能な関数φ:H*の閉包 → 非負の実数の集 合が得られる。
この陰関数の存在により、(2)式は
∂Z (Hm*, Hf*, φ(Hm*, Hf))
∂Hi
=w(1−i g'(i Hi))∂Z
(Hm*, Hf*, φ(Hm*, Hf)) i=m,f (2)ʻ
∂xz
となる。
以上のことから、実際に家庭内生産関数を推計するときには、家庭内で生産されるxZの 量はわからなくとも、
Z*(Hm, Hf)= Z(Hm, Hf, φ(Hm, Hf)) (3)
を推計すればよいことがわかる。
また、ここでは、市場財と家庭内生産財との完全代替性を仮定するので、
∂Z =1
∂xz
となり、したがって、最大化のための条件は、
∂Z*(Hm, Hf)=w(1−i g'(i Hi)) i=m,f (4)
∂Hi
となる。
4.データと変数
このモデルを検証するにあたり、平成8年の社会生活基本調査生活時間編(総務省統計局)
と賃金構造基本調査(厚生労働省)、および総務省労働力調査(総務省統計局)を用いた。
社会生活基本調査は,統計法に基づく基幹統計『社会生活基本統計』を作成するため、総 務省統計局により1976年以来5年ごとに行われている統計調査である。生活時間の配分や 余暇時間における主な活動の状況、雇用形態、家族形態など、国民の社会生活の実態を明ら かにするための基礎資料となっている。
今回用いる社会生活基本調査では、世帯収入は質問されているが、無回答のものも多い。
また、世帯員の個別の賃金率はわからないが、就業形態、ある仕事日の労働時間、家庭内生 産のための労働とみなせる買い物時間、家事時間、育児時間、身の回りの雑用などのために 要した時間は細かく記録されている。こうしたデータをもとに、家庭内生産労働時間、市場 労働時間、余暇を算出した。また、10歳以下の子どもの数、介護をしているか否かなどは、
就業選択にかかわる特性としてカテゴリー変数化した。
市場賃金率としては、平成8年の賃金構造基本調査を使用し、学歴・年齢・男女・雇用形 態別の所定内給与額を用いた。
5.女性就業の決定要因:年齢の上昇と10歳以下の子の数(ロジット・モデル)
平成8年社会生活基本調査を用いて、まず、女性の就業の決定に影響を与える要因が何か を見るために、20歳から59歳までの女性全体のカテゴリーについて、就業しているかどう かのダミー変数を被説明変数、年齢と学歴、10歳以下の子の人数、介護を必要とする高齢 者の有無のそれぞれのカテゴリー変数を説明変数として、それぞれロジット分析を行った。
社会生活基本調査は、各都道府県別に国勢調査の人口に比例させた抽出率で、国勢調査の 調査区を抽出したものである。次に、抽出された調査区内の世帯を対象として、単純無作為 抽出により、標本世帯を抽出し、調査日を指定する。その際には、標本調査地区をランダム に8等分し、それぞれを調査グループとして、調査曜日が割り当てられ、最終的には、曜日 ごとに標本世帯の調査票データには、「線形推定用乗率」と呼ばれる母集団推定のためのウ エイトが計算されている。したがって、全国レベルにおいて、標本による推定構成比が母集 団構成比から離れることがなく、地域的なセレクションバイアスのほぼ無いデータとなって いる。
このロジット分析の結果、学歴と介護を必要とする高齢者の有無による影響は、ほかの条 件を一定とすると、ほとんど見ることができなかったが、年齢と10歳以下の子の人数につ いては、影響が有意にあったので、表1に年齢と10歳以下の子の人数による就業の蓋然性 の差を表示した。
この推計結果をみると、年齢の影響としては、25歳から44歳までは、年齢が上がるにつ れ就業の蓋然性が高まり、それ以降は年齢の上昇が就業の蓋然性を逓減させていることがわ かる。特に、30歳−34歳のカテゴリーから35歳−39歳のカテゴリーへ移る際には、その 前カテゴリー間の蓋然性の増加が 0.076 ポイントの増加だったのに対し、0.79 ポイントの 増加と飛躍的である。これは、結婚や出産による初職離職後に子育てなどが一段落して再就 職する女性の割合が高いためと思われる。そして、その再就職の割合としては、高卒・高 専・短大卒業の女性のほうが、四年制大学卒業の女性よりも高いことが知られている。3 10歳以下の子の有無についてみてみると、子がいないときと比べて、1人目の子を持つこ とは、女性の就業の蓋然性を0.53ポイント押し下げる。子どもが増えてゆくとき、4人目ま では、子の数が増えることが、非常に強く女性の就業の蓋然性を押し下げることが明らかで ある。
これらの結果から、子どもを持つ女性にとって、年齢が上がることは、子の数が増えるこ とによる就業への負の効果と、賃金の上昇という就業への正の効果の双方を持つといえる。
そこで、この二つの効果のどちらが、どのような属性を持つ女性について大きいのか、これ らの効果の原因となるのはどのようなことかについて、次節以降で検証したい。
Number of obs = 71074 LR chi2(12) = 3740.46 Prob > chi2 = 0.0000 Log likelihood = -47149.68 Pseudo R2 = 0.0382 基準値 20歳―24歳 就業確率 Odds Ratio Std. Err. z P>|z| [95% Conf. Interval]
25歳―29歳 1.451972 .1004085 5.39 0.000 1.267929 1.66273 30歳―34歳 1.841366 .125323 8.97 0.000 1.611415 2.104131 35歳―39歳 2.479197 .1656884 13.59 0.000 2.174823 2.826168 40歳―44歳 2.291349 .1520613 12.49 0.000 2.011883 2.609635 45歳―49歳 1.949125 .129587 10.04 0.000 1.710992 2.220402 50歳―59歳 1.491861 .100499 5.94 0.000 1.307336 1.702431 60歳―64歳 .9125708 .0617599 -1.35 0.176 .7992083 1.042013 10歳以下の子の人数: 基準値 0人
1人 .4740388 .0118915 -29.76 0.000 .4512956 .4979281 2人 .3549981 .0106788 -34.43 0.000 .3346731 .3765574 3人 .3254039 .0180873 -20.20 0.000 .2918162 .3628576 4人 .1860034 .0395748 -7.91 0.000 .122579 .2822446 5人 .3742859 .2299013 -1.60 0.110 .1122953 1.247514
出典:平成8年度社会生活基本調査(総務省統計局)をもとに著者作成
表1 10歳以下の子の人数と年齢別 就業を決める要因 (ロジット・モデル)
3. 『平成11年版働く女性の実情』(厚生労働省)
6.家庭内労働時間の増減と家庭内労働の限界効率性
前節で観察したように、年齢の上昇は女性の就業確率に正と負両方の影響を与える。その 理由は、特に就業率の増減が大きい30歳代女性に関しては、三つ考えられる。一つは年功 序列賃金体系による賃金率の上昇が就業へ与える正の影響、二つ目は子どもを持つ女性が子 どもに手がかかって家事労働負担が増えるがゆえの退職を強いられる、あるいは子育てに専 念したいために退職をするという就業への負の影響である。三つ目は、子どもの教育費や住 宅ローンなどの多額の支出のため、30代から50代の就業の蓋然性が上がっているのではな いかということである。
第一点目については、近年正規雇用社員として働く女性も増えてきたものの、その年齢に よる賃金の上昇率は、男性のそれに比べて大きくはないことが、様々な統計から知られてい るところである。さらに、本稿第1節でも述べたように、平成8年ごろから、男女ともに非 正規雇用や雇用されずに働く人が増えており、非正規雇用では年功序列型ではあるもの、正 規雇用と比べて、賃金体系の年功による上昇は大きくない。つまり、年功序列型賃金の影響 だけで、30歳―34歳代から35歳―39歳代代にかけての女性全体の就業の蓋然性の大きな 上昇は説明できないのではないか。また、この再就職率は、正規雇用女性と非正規雇用女性 で乖離していることから、分析も別カテゴリーで分けて行う必要がある。
女性の就業選択が最適になされ、内点解を得る際には、式(4)が示すように、賃金率か ら家庭内生産の結合生産物の市場価値を引いた大きさは、家庭内労働時間の限界効率と等し くなる。したがって、家庭内生産関数と結合生産関数の準凸性の仮定から、この場合、年功 序列型賃金体系を持つ正規雇用女性は、非正規雇用女性に比べて、年齢とともに家庭内労働 時間を減らし、市場労働の時間を増やすはずである。このことを検証すべき仮説として挙げ ておく。
仮説 4 :正規雇用女性は、年功序列型賃金体系に従って、年齢が上昇するとともに非正規雇 用女性よりも、家庭内労働時間を減らし、その代わり市場労働時間を増やしてゆく。
この仮説4の妥当性を検討するために、この後の分析では、女性を正規雇用女性と非正規 雇用女性のカテゴリーにわけて分析を行いたい。
また、10歳以下の子の数の増加は、明らかにその分の食事、身の回りの世話、育児など の量が増えることを意味する。これを家庭内で生産して賄うか、市場で代替サービスを購入 して消費するかは、各世帯の意思決定による。家庭内で生産することになれば、女性の家庭 内労働時間が増える傾向になり、そのぶん就業の蓋然性を低めると考えられる。一方、市場 で代替サービスを購入することを選べば、家庭内労働時間に影響は少ないものの、またその
購入費用を賄うために、所得を支出することになる。
では、実際のデータでは、子の数と家庭内労働時間の関係はどうなっているのか。正規雇 用で、介護はしておらず、教育水準は大卒以上の女性が、仕事のある日に行う家庭内労働時 間(家事、育児、買い物の合計時間)を10歳以下の子の数別に比較したのが、表2である。
10歳以下の子がいないカテゴリーと10歳以下の子が一人のカテゴリーでは、10歳以下の 子が一人あるいは二人と増えるにつれ、家庭内労働時間は減っている。また、10歳以下の 子が2人までは、その平均値にあまり差はないが、三人以上になると大きく家庭内労働時間 が減少する。
10歳以下の子供の数が増えると、育児時間なども比例して増えるのではないかと考えら れるが、表2からは大卒以上の正規雇用女性では、逆に減っているという結果になった。女 性の就業の蓋然性を下げている主要因であるにもかかわらず、10歳以下の子の数が増える ということだけでは、家庭内労働時間が増えるとはいえない。家事・育児の消費量が増えて も、家庭内生産の生産性が上がれば、同じ家庭内労働時間でも、その家庭内生産財をまかな うことができる。さらに、家庭内労働時間を増やすのは、その労働による女性本人の効用が 増加する、つまり、結合生産される効用の大きさにも依存するのである。データからも、理 論からも、女性は「子どもに手がかかるから」という物理的時間の問題だけで退職するわけ ではない事がわかる。では、こうした家庭内労働の生産性や結合生産を推計するにはどうし たらよいのであろうか。
7.家庭内生産関数の推計
これまで見てきたように、就業の蓋然性を意思決定に影響する要因は、女性の市場賃金、
その世帯の消費や余暇に対する選好、および家庭内生産の限界生産性に依存して決まる。つ まり、この意思決定は、第3節のモデルの解の条件(4)式を満たすものと考える。
表2 大卒以上 仕事のある日の家庭内労働時間 (単位:時間)
10歳以下の子どもの数
0人 1人 2人 3人 4人 5人
標本数(人) 26398 7355 5531 1048 77 2
家庭内生産労働(時間)平均値 1.79 1.68 1.62 1.75 1.5 0.6
標準偏差 1.74 1.75 1.72 1.88 1.4 0.2
最低値 0 0 0 0 0 0.5
最大値 14.5 14 15.5 14 7.5 0.8
出典:平成8年度社会生活基本調査(総務省統計局)をもとに著者作成
そこで、回帰分析をするにあたり、家庭内生産関数Z* (・、・)および結合生産関数g(・)
の関数形を特定しなければならない。結合生産関数の推計は、女性の結婚出産による離職の 要因分析に非常に重要なものであり、女性の結婚・出産による離職の要因分析に有力なツー ルを提供すると思われる。しかし、本稿では、まず、モデルの複雑化を避け、家庭内生産に よる結合生産については、家庭内労働を増やしても、その量はほぼ変化しないもの仮定し、
通常の準凸性満たす家庭内生産関数を推計することにする。4 家庭内生産関数の形はコブ・
ダグラス型、CES型などを試したが、Kerkhofs & Kooreman(2003)らが用いていたクォ ドラティック型の関数のモデル適合が良かったので、分析には最終的にそれを採用した。
また、今回用いた平成8年の社会生活基本調査のデータで、男女の家庭内生産労働時間の 平均を比べたところ、女性は男性の約6倍もの家庭内労働をしており、仕事のある日の男性 の家事時間が非常に少なかったことから、男性の家庭内生産活動が女性の就業に与えている 影響は小さいと判断し、男性の家庭内労働時間を一定と仮定した。5
したがって、ここで推計するべき家庭内生産関数は、以下の式になる。
Z* (Hf)= a + bHf + 1⁄2 cH2f aは定数 (5)
そして、各女性の最適な意思決定のための条件は
∂Z*(Hf)=Wf (6)
∂Hi
となり、上の関数形をこの条件に代入すると、以下の線形式を得る。したがって、女性の賃 金率を女性の家庭内労働時間で回帰分析すれば、パラメータbとcを推計できる。
wf= b + cHf (7)
(7)式をもとに、賃金率を家庭内労働時間でOLS回帰分析した結果を表3から表6にまと めた。いずれの回帰分析も調整済み決定係数は、0.1よりも大きく、統計的に説明力はある モデルとなっている。
正規雇用女性については、市場賃金率を賃金構造基本調査の年齢学歴別月収から、日収を 割り出し、各標本の調査日の労働時間から、実質市場賃金率を計算し、それを家庭内労働時 間(家事、育児、介護、買い物、身の回りの世話などを合計)で回帰した。この回帰分析の
4. 結合生産のないモデルで、データが十分説明できれば、モデルの複雑化は避けるべきと考える。
本稿の推計の検討の後に、この関数を推計するべきかどうかを論じる。
5. 男性の家庭内労働時間に関しても、重要な課題であるが、脚注3と同様の理由で、後に検討し たい。
係数は、(7)式のbとcの推計となっている。
非正規女性については、月収はわからず、平成8年の賃金構造基本統計調査から雇用形態 別の平均時給しかわからなかったために、各標本について実質市場賃金率を計算することが できなかった。そのために、(7)式そのものの推計はできないが、参考のために、就業し た日の市場労働時間をかけて日収を求め、それにたいして、就業した日の家庭内労働時間で 回帰分析をした。つまり、市場での労働時間が十分少ない場合には、この方法によるbとc は家庭内生産関数のパラメータの近似と解釈することができるが、市場労働時間が大きい場 合には、かなりかい離があると考えられる。なお、この非正規雇用女性の回帰による係数cは、
家庭内労働時間を1時間増やしたら、どれだけ市場からの日収が減るのかを表しており、符 号がマイナスとなっているため、その絶対値をもって(7)式cの近似と解釈する。また、b については、(7)式そのものの推計ではないので、結合生産の効果も反映されている。
これらの回帰分析の結果を表 3 から表 6 にとりまとめた。これらの係数は、t 値をみても 統計的にモデルの推計としては有意なものが多く、これを比較して仮説を検証してみたい。
統計的に有意なものを比較しての考察は、以下のことである。
1 )大卒以上の女性は高卒女性よりも、サンプル数そのものが少なく、かつ子の数が少ない。
2 )正規雇用の大卒以上と高卒以下を比べると、大卒以上の推計では、多くの推計値が統計 的に有意であったのに対し、高卒以下では50歳から54歳のカテゴリーを除き、総計的 に有意な推計にはならなかった。正規雇用女性でも、高卒以下と大卒以上では、就業に 関する意思決定に大きな違いがみられるのではないか。このモデルの推計では、モデル の内点解の推計となっているが、正規雇用の高卒女性では端点解となっている可能性が ある。つまり、就業の意思決定に予算制約の下限、生活上のボトムラインが大きく影響 している可能性がある。正規雇用の高卒女性で、唯一50歳から54歳のカテゴリーが(7)
式の推計で統計的に有意になったのは、その予算制約下限を超える収入となったからで はないか。
3 )非正規雇用の女性について比べると 35 歳から 39 歳の子が 1 人のカテゴリー以外では、
家庭労働係数は、大卒の方が高卒よりも高い。この差は、市場賃金率は年齢別の平均を 用いているので、市場労働時間が十分少ない場合には、家庭内労働の生産性の差の近似 であると考えられる。しかし、市場労働時間がどの程度少なければ、近似として考えて 良いかについては、検討を要する課題である。また、この係数は家庭内労働時間を1時 間減らした場合の市場からの日収の減少であるから、大卒女性の方が、家庭内労働を減 らしたら日収が増える状況にあると考えられる。つまり、高卒の非正規雇用女性は、大 卒女性に比べて、これ以上家庭内労働時間を限界的に減らしても日収が増える程度が少 ないほど、すでに働いていると考えることができ、大卒女性よりも余裕のない状況にあ
ることが推測される。
4 )非正規雇用の女性の家庭内労働の生産性の近似は、多くカテゴリーで1、正規女性の家 庭内労働の生産性の推計値よりも高い傾向にある。
5 )10歳以下の子どもが多くなるときの家庭内労働の生産性は、どのカテゴリーでも、10 歳以下の子どもが1、2人から3、4人に増えると著しく低下する。
8.結論
以上のことから、最後に四つの仮説を再掲して、検証する。
仮説 1 :共働き女性で労働時間を短く選ぶ人は、家庭内労働の生産性が相対的に高く、外で 働いて得られる市場賃金よりも、本人にとっての家庭内労働時間の限界生産性が高 いか、非本人賃金収入が高い。
家庭内生産関数の推計から、非正規雇用女性の方が、家庭内労働の生産性が高い傾向があ ることがわかった。(前節(4)参照)また、正規雇用女性より、非正規雇用女性は、市場 労働の平均時間が正規雇用女性よりも短いことが、本分析に使用したデータからわかってい る。つまり、仮説1の妥当性は高い。ただし、本稿の用いたデータでは、非本人賃金収入は 分からないので、非本人収入と労働時間の関係はわからない。ただし、市場賃金率と比べる べきは、家庭内労働の限界生産性と家庭労働選好である結合生産物の市場価値の和であり、
家庭内労働の限界生産性そのものではないことを指摘しておく。
また、本稿の分析での非正規女性の賃金率には、非正規雇用女性の年齢別平均賃金率を用 いた。したがって、本来はその賃金率地域や職種によるばらつきがあると思われる。また、
本稿のデータで、非正規雇用女性の労働時間の分散を見ると、正規雇用女性よりも高い。正 規雇用女性と同様に長時間労働をしている場合もある。これらの点については、今後より詳 細な検討を要する。
仮説 2 :労働時間を短く選ぶ人は、市場での賃金率が自分の家庭内生産の限界効率性にかか わらず、家庭内労働に対する選好が強いか非本人収入が高いからである。
総じて、正規雇用女性よりも、労働時間の短い非正規雇用女性との正規雇用女性定数項の 値は一定の傾向を示さなかった。つまり、家庭内労働に対する選好や非本人収入が高いこと は、非正規雇用女性の就業選択に主要な影響を与えていないといえる。したがって、仮説2 の妥当性は低い。
仮説 3 :共働きでいることが、本人にとって最適な選択でないにもかかわらず、不本意なが ら世帯としての収入や非本人収入が足りず、共働きでいる。
これについては、本稿の推計では、本人が制約の中で最適な選択をするという前提で分析 をしているため、前半の条件「不本意ながら」との解釈が、このモデルではできない。あえ て、検証すれば、本稿の(4)式の最大化条件を満たさない端点解として、就業選択がなさ れているので、本人の家庭内労働の限界生産性よりも賃金率が低いにもかかわらず、就業を
年齢階層 正規大卒女性の
生産関数
10歳以下の子どもの数
0人 1~2人 3 ~ 4人
1.20歳~ 24歳
家 庭 労 働 係 数 302.693*
該当者なし 該当者なし
定 数 項 55.95447
Adj R-squared 0.714 Number of obs 4
2.25歳~ 29歳
家 庭 労 働 係 数 374.5486*** 180.0637
該当者なし
定 数 項 -7.68311 373.5773
Adj R-squared 0.4044 0.0366
Number of obs 53 16
3.30歳~ 34歳
家 庭 労 働 係 数 76.4006 1042.391*** 206.7254***
定 数 項 1816.614 -2530.358*** 141.4389*
Adj R-squared -0.0267 0.3492 0.9745
Number of obs 37 87 9
4.35歳~ 39歳
家 庭 労 働 係 数 487.2736*** 777.3071*** 158.4159*
定 数 項 187.7427 -1331.808 687.679
Adj R-squared 0.3715 0.145 0.32
Number of obs 41 108 8
5.40歳~ 44歳
家 庭 労 働 係 数 324.7023*** 237.5121 737.8018
定 数 項 658.1365 882.6504 -69.96394
Adj R-squared 0.0975 0.0172 1
Number of obs 140 83 2
6.45歳~ 49歳
家 庭 労 働 係 数 566.8877*** 167.7899**
該当者なし
定 数 項 89.35817 1076.011**
Adj R-squared 0.1163 0.2407
Number of obs 120 16
7.50歳~ 54歳
家 庭 労 働 係 数 1037.882***
該当者なし 該当者なし
定 数 項 -1279.224**
Adj R-squared 0.3925 Number of obs 105
***p<0.01, **p<0.05, *p<0.1
表3 大卒以上 正規雇用女性の生産関数:10歳以下の子どもの人数別
しなければならないというケースとなるであろう。端点解は、推計では出てこないので、別 途分析手法が必要と思われる。
仮説4:正規雇用女性は、年功序列型賃金体系に従って、年齢が上昇するとともに、非正規 雇用女性よりも、家庭内労働時間を減らし、市場労働時間を増やしてゆく。
仮説4について、学歴を問わず、正規雇用女性の家庭内労働の生産性は、年齢とともに比
年齢階層 大卒以上
非正規雇用
10歳以下の子どもの数
0人 1~2人 3 ~ 4人
1.20歳~ 24歳
家 庭 労 働 係 数 -3630.301*
該当者なし 該当者なし
定 数 項 20485.51**
Adj R-squared 0.4957 Number of obs 6
2.25歳~ 29歳
家 庭 労 働 係 数 -646.5254***
計算不能 該当者なし
定 数 項 -9618.356***
Adj R-squared 0.4557 Number of obs 24
3.30歳~ 34歳
家 庭 労 働 係 数 -946.6954*** -50.4342 定 数 項 10127.54*** 6291.518*** 計算不能 Adj R-squared 0.3855 -0.0673
Number of obs 32 16
4.35歳~ 39歳
家 庭 労 働 係 数 -345.7193* -443.1028***
該当者なし 定 数 項 8346.616*** 7185.006***
Adj R-squared 0.1078 0.2790
Number of obs 25 61
5.40歳~ 44歳
家 庭 労 働 係 数 -606.8506*** -462.8805***
該当者なし 定 数 項 8702.119*** 7500.676***
Adj R-squared 0.3091 0.1316
Number of obs 60 45
6.45歳~ 49歳
家 庭 労 働 係 数 -606.8506*** -462.8805**
該当者なし 定 数 項 8702.119*** 7500.676**
Adj R-squared 0.3091 0.1316
Number of obs 60 56
7.50歳~ 54歳
家 庭 労 働 係 数 -523.0644***
計算不能 該当者なし
定 数 項 8217.49**
Adj R-squared 0.2457 Number of obs 54
***p<0.01, **p<0.05, *p<0.1
表4 大卒以上 非正規雇用女性の生産関数:10歳以下の子どもの人数別
例的に上昇していない。この理由は、女性のライフステージでは、年齢と経験による家庭内 の仕事への熟練度が増すだけでなく、出産、育児、介護などその都度あらたに経験しなれな ければならないことがあり、今回の推計値からは、さらにライフステージのイベントと結び 付けて、家庭内生産関数の推計を深めていく必要があることがわかった。
以上のように分析を進めてきたが、今後の課題として以下のことが挙げられる。まず、家 庭内生産関数を推計する際に結合生産関数の影響を非常に小さいと仮定し、正規雇用女性に 関しては、統計的に有意な結果を得たが、結合生産関数も推計した上で、今回の結果と比較
年齢階層 高卒以下
正規雇用
10歳以下の子どもの数
0人 1~2人 3 ~ 4人
1.20歳~ 24歳
家 庭 労 働 係 数 27.32666 -17.57976
該当者なし
定 数 項 579.2424 682.2888
Adj R-squared 0.0215 0.0124
Number of obs 26 21
2.25歳~ 29歳
家 庭 労 働 係 数 532.2494 509.5264 26.67853
定 数 項 79.95622 -1102.19 607.117
Adj R-squared 0.0778 0.158 0.1072
Number of obs 145 100 10
3.30歳~ 34歳
家 庭 労 働 係 数 137.6722 207.9787 100.4542
定 数 項 702.8611 244.3389 368.705
Adj R-squared -0.0032 0.0703 0.4349
Number of obs 109 275 31
4.35歳~ 39歳
家 庭 労 働 係 数 331.2406 244.9589 179.5761
定 数 項 -204.3551 225.1153 309.9095
Adj R-squared 0.0775 0.0526 0.2627
Number of obs 276 283 30
5.40歳~ 44歳
家 庭 労 働 係 数 350.4374 286.0499 7.058078
定 数 項 -259.164 -95.03524 856.1082
Adj R-squared 0.1024 0.1111 -0.1858
Number of obs 950 155 7
6.45歳~ 49歳
家 庭 労 働 係 数 290.0306 380.5976
該当者なし
定 数 項 11.07245 -217.3753
Adj R-squared 0.0545 0.095
Number of obs 1725 55
7.50歳~ 54歳
家 庭 労 働 係 数 -523.0644***
計算不能 該当者なし
定 数 項 8217.49**
Adj R-squared 0.2457 Number of obs 54
***p<0.01, **p<0.05, *p<0.1
表5 高卒以下 正規雇用女性の生産関数:10歳以下の子どもの人数別
したい。また、今回は、OLS回帰で分析を行ったが、ML最尤法で各個人のより詳細なパラメー タから、同様の推計をすることで、より分析の制度をあげることができるかもしれない。特 に、非正規雇用女性に関する家庭内生産関数については就業時間が短い場合の近似でしかな かったので、今後推計を正確に行う必要がある。さらに、今回は男性の就業行動を一定と仮 定して、分析を行い、家庭内生産の相互補完性には触れなかった。男女共同参画という視点 からは、この相互補完性の推計は重要課題であると思われる。
年齢階層 高卒以下
非正規雇用
10歳以下の子どもの数
0人 1~2人 3 ~ 4人
1.20歳~ 24歳
家 庭 労 働 係 数 -523.7794** -227.5267 定 数 項 8037.157*** 6468.176*** 計算不能 Adj R-squared 0.1811 0.0438
Number of obs 31 40
2.25歳~ 29歳
家 庭 労 働 係 数 -465.5487*** -379.1969*** -706.4405***
定 数 項 7910.358*** 7433.753*** 9832.754***
Adj R-squared 0.1667 0.2106 0.5056
Number of obs 131 181 18
3.30歳~ 34歳
家 庭 労 働 係 数 -610.0805*** -396.8251*** -241.1276*
定 数 項 8523.447*** 7421.747*** 6085.609***
Adj R-squared 0.2330 0.8152 0.0384
Number of obs 97 402 51
4.35歳~ 39歳
家 庭 労 働 係 数 -460.8884*** -458.9339*** -687.1123***
定 数 項 7963.158*** 7686.008*** 9135.274***
Adj R-squared 0.2227 0.2201 0.4313
Number of obs 477 578 25
5.40歳~ 44歳
家 庭 労 働 係 数 -507.6552*** -472.9705***
定 数 項 8228.205*** 7869.927*** 計算不能 Adj R-squared 0.2593 0.2989
Number of obs 1400 286
6.45歳~ 49歳
家 庭 労 働 係 数 -514.5711*** -556.5589***
定 数 項 8344.499*** 7865.331*** 計算不能 Adj R-squared 0.2569 0.3108
Number of obs 2356 66
7.50歳~ 54歳
家 庭 労 働 係 数 -541.4328*** -574.9287***
定 数 項 8383.968*** 8564.989*** 計算不能 Adj R-squared 0.2604 0.4620
Number of obs 1587 33
***p<0.01, **p<0.05, *p<0.1
表6 高卒以下 非正規雇用女性の生産関数:10歳以下の子どもの人数別
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Why Are Women Employed?
Estimation Results of Household Production Tells the Reason.
HASEGAWA Kaori
Summary
We consider the various causes for the resignation of female employees from the labor markets in Japan. We estimate employment probabilities in two female groups: university graduates and the under-senior high school graduates in all age groups. The results show that two factors are important in both groups, the number of young children and age. For women in their thirties and forties, the probability of employment is considerably higher in the under-senior graduates group than among university graduates.
To determine an explanation for this, we compare the productivities of household production and market wage rate of females. By estimating the parameters of the production function where the inputs consist of family time and market goods, we suggest new microeconomic estimates of productivity in household production.
The result shows that productivity in household production is higher among non- regular employees than regular employees.