*船橋市教育委員会(指導主事) **人文・社会教育学系
小学校英語におけるデジタル教材を活用した授業実践
―授業後の児童の情意面に着目して―
佐 藤 裕 子 ・染 谷 藤 重
(令和元年
8
月30日受付;令和元年12月2
日受理)要 旨
本研究の目的は
,
We Can !2
の “My Summer Vacation” の単元を通して,
デジタル教材の効果的な活用と指導法につ いての提案を行い,
その実践結果の報告を行うことにある。デジタル教材活用に当たっては,
1)十分な音声の慣れ親し み 2)キーワードの確認 3)児童の実態に合った内容の選択 4)ALTの活用 5)デジタル時間の限定の5点を基本とした。参加者は
6
年児童152名で,
“My Summer Vacation” に絞って実践した。データは,
質問紙で行い,
分析は記述統計量と テキスト・マイニングで処理した。その結果
,
多くの児童が電子教材を使った英語の授業に好感を持ち,
電子教材の音声と視覚的な写真や文字が,
現在と 過去の表現の違いに気づかせる有効な働きをしていることも分かった。デジタル教材活用のポイントは
,
授業のねらい達成に向けていかにデジタル教材を有効に活用できるかということが確 認された。デジタル教材だけを見せること自体が目的となってはいけない。課題として,
児童の実態に合わせたデジタル 教材を活用するなど,
教員がデジタル教材の効果と課題を認識することが示された。KEY WORDS
ICT materials:ICT教材
,
Foreign Language in Elementary Schools:小学校外国語,
Learners:学習者,
Motivation:動機づけ,
Practical Report:実践報告1
はじめに
『
小学校学習指導要領(平成29年告示)』
改訂前は,5,6
年生においては,
Hi, friends ! 1,
2やHi, friends! Plus などの副読本が配布され,
90%
以上の小学校でHi, friends !を用いて授業が行われてきた(日本英語検定協会,
2013)。しかし,
小学校において,
外国語活動の必修化とともに,
電子黒板やプロジェクタなどのICT機器の充実が 叫ばれ,
多くの小学校にICT機器が設置されてきた(日本教育情報化振興会,
2014)。しかし,
Hi, friends !の付属の デジタル教材の使用率は,
55.
8%
と低いことが報告されている。全国の教員に抽出調査をした「
学校でのICT活用 についての実態調査」
(社団法人日本教育工学振興会・日本マイクロソフト株式会社,
2011)は,
教員が授業のICT 活用には賛成意見が多いにも関わらず,
活用が十分に進んでいないデータと共に,
授業へのICT活用が進まない原因 が,「
時間がかかる」「
コンテンツが少ない」「
設備が十分でない」「
人的支援がない」
の4
つであると指摘している。この調査を参考に
,
大学ICT推進協議会ICT利活用調査部会 (2015) は,
小学校教員を対象とした授業におけるICT 活用の課題についての問いに対し,「
機器の準備時間」
や「
教材研究の時間」
等の「
準備時間」
の課題が上位にあ がっているとしている。現在
,
外国語(英語)で用いられている副教材We Can ! 1,
2及び外国語活動で用いられているLet’s Try ! 1,
2 は,
すべての単元において,
電子教材が用意されており,
小学校の教員は,
それらの教材を適切に使うことが求めら れている。そこで,
本稿では,
小学校5,6
年生の外国語(英語)に焦点を絞り,
We Can ! の教材の効果的な指導 法を提案するとともに,
その指導法による授業を受けた児童の情意面に関しても検討を行っていく。2
先行研究2011年から英語活動必修化に伴い
,
担任が授業を進めるための補助教材として文部科学省より『
英語ノート』
(文 部科学省,
2007a,
2007b)が配布された。柳(2009)は,
メディア(ICT)の利用は効果的な授業を展開するためには欠かせない
,
教師の負担を軽くし,
臨場感のある言語使用場面を児童に与える助けになる,
と述べている。高学年 になるとピアジェが示した「
形式操作期」
に入り,
分析的思考を持つようになるため,
これまで低学年・中学年の総 合的な学習の時間などで行われてきたゲームや歌,
チャンツなどだけでは,
高学年児童の知的好奇心を満たすことが 困難となる。また,
そういった活動に対して照れくささが出てくるのも高学年の特徴である。そこで,
高学年を対象 とした,
知的好奇心を満足させる教材が必要となってくる。さらに,
文字を利用した学習にも興味を持つようになる と言われている(関東甲信越支部;調査研究プロジェクト・チーム,
1999)。山本(2010)は
,
新潟県N小学校6
年生23人に対して,
国際交流を行うにあたり,
マルチメディア教材を提供する ことで,
英語の読み書きに興味を持ち始めた子どもの英語学習への動機づけを比較調査方法で調べた結果を報告して いる。子どもの国際交流のプロジェクトに,
開発したPC学習システムを導入した結果,
交流前に比べ交流後「
英語 の読み書き練習したい」
と日本の小学生(5,6
年生)の英語学習に対する学習意欲が高まったことを検証できたと 述べている。また
,
教育の効率化,
児童・生徒の授業参加を促進するために電子黒板で指導する事例が報告されている(日本教 育新聞,
2009;小川,
2009)。管・梅本(2009)がA中学校第1
学年266名に対して比較調査を行った結果では,
デジ タル教材を利用した場合に学習への動機づけが高まったことが報告されている。しかしながら,
ICTの有効活用が進 んでいく中,
管・梅本(2009)は「『
機械を使う人・機械に使われる人』
にならないことだ。教員はあくまで活用す る人である。機械を動かす人になっては本末転倒である(日本教育新聞,
2009)」
と述べている。文部科学省(2013)の
「
グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」
により,
新たな英語教育の在り方と実現 のための体制整備として,
2014年度からモジュール指導用ICT教材の開発・整備があげられた。2012年
4
月よりHi, friends !が小学校外国語活動の副読本として全国の国公私立の小学校に文部科学省著作物とし て配布された。加藤ら(2016)は,
Hi, friends !デジタル教材に焦点を絞り,
言語学,
音声学,
文学,
異文化理解,
コミュニケーション能力,
そして小中連携の6
つの視点からその評価を試みた。その結果,
Hi, friends !デジタル教 材は,
外国語活動の授業において教師が外国語の音声や基本的な表現への慣れ親しみの活動に割く時間を長くし,
言 語や文化についての体験的な理解を促す活動に割く時間を短くすることを導く教材であると述べている。さらに,
教 材の用い方として以下の課題を挙げている。Hi, friends !デジタル教材には,
英語・仏語・日本語・スペイン語・韓 国語・中国語での数字の言い方の差異に気づかせる音声や,
米国・フィンランド・韓国・インドの給食を紹介して世 界の料理に興味を持たせる動画などがある。外国語活動ではこうした言葉の気づきや文化の気づきを育む活動を教師 がさらに「
補充」
して,
児童の英語学習への意欲を高めて中学校外国語科に進ませたいと指摘している。これまでの研究は
,
英語授業で使用されるICT活用の有効性やデジタル教材内容の評価はわかったが,
具体的に授 業の中でどう活用していくかはまだ研究が不十分である。したがって,
今後の課題として,
デジタル教材を活用した 効果的な指導に焦点を当てた研究を行っていくことが必要と考えられる。3
研究の目的We Can ! 2のUnit
5
“My Summer Vacation” の単元における効果的な指導方法とデジタル教材の活用方法につい ての提案を行い,
その実践結果の報告を行う。4
研究方法4
.1
参加者本研究の参加者は
,
千葉県A市にある公立小学校であるB小学校の6
年生児童152名である。B小学校の児童は,
平成19年度に文部科学省教育課程特例校として小学校1
年生より教科として英語の授業を受けている(1
年生から4
年生は週1
回20分,5
年生では,
年間35時間)。昨年まで,
担任・ALT(
Assistant Language Teacher)
・JC(
Japan coordinator)
(日本人コーディネーター:英語授業プランや教材を作成)の3
人体制であったが,
今年度より英語専 科(第一筆者)が入り,4
人体制となった。B小学校では,
A市独自のカリキュラムに基づいた外国語(活動)が実 施されてきたが,
本年度より新たな取り組みとして副教材We Can ! 1,
2を使用することになった。授業は週1.
5時 間年間50時間実施している。4
.2
授業実践の内容本研究では
,
We Can ! 2のUnit5
“My Summer Vacation” でデジタル教材を活用しての授業を実践した。本来,
週2
回70時間実施で全8
時間計画となっているが,
筆者の勤務校では週1.
5回50時間実施のため全4
時間でひとつの 単元として扱った。この単元は,
夏休みの思い出について伝え合う言語活動に取り組むことで,
児童にとって聞いた り話したりする必然性を与えるとともに,
過去形に初めて触れさせる単元である。指導計画は表1
に示す通りであ る。先行研究で言及された通り
,
今後,
デジタル教材の授業への導入は避けられない課題となる。そこで,
上記の実践 を行うために筆者が提案するデジタル教材を用いるための基本的な5
つの基本方針を以下に記述する。1
)授業内で,
初めからデジタル教材を用いないようにする。繰り返し音声に慣れ親しませた後に活用するように することで,
児童のデジタル教材の内容の理解を促進し,
聞くことができないという自己効力感の低下を防ぐ手立 てを行う。2
)デジタル教材で出てくる初めての語とキーワードの語は,
デジタル教材使用前に必ず確認させる。3
)児童の実態に合わせて,
使用するデジタル教材の内容を選択する。4
)デジタル教材のみに頼らず,
ALTの発音と合わせて聞かせるようにする。その理由としては,
デジタル教材 は,
音声の速さを調整できないので,
児童がより理解しやすいようにALTにゆっくり発音してもらうようにする ことを心掛ける必要性がある。5
)1
時間の中で,
児童とALT(教員),
児童と児童などのコミュニケーションの活動時間を確保するために,
デ ジタル教材にのみ頼った授業を実施しない。上記の基本事項を
,4
時間扱いの単元 “My Summer Vacation” の第3
時間目の授業例を基に,
詳細を記述する。【導入】
・あいさつ
,
リスニングクイズ(10分)最初の10分間でウォーミングアップを図る。ここでは
,
毎回児童全員が担任や英語専科・ALT・JCと直接挨拶をす るようにしている。Q:“How are you?”
A:“I’m hot and hungry
.
”などのやりとりで
,
大きな声で発話することに慣れ親しませている。次に3
ヒントで誰のことかを当てるリスニング クイズを実施している。児童の意欲や関心を高めるために,
その時間に行う単元に関連した児童が興味を持つと考え られる題材を設定するようにしている。そして,
ALTの質問や答えを全員で復唱し,
聞くだけでなく話すことにも つなげるように工夫している。【展開
1
】デジタル教材 “Let’s Listen
3
”(10分)の使用 表1
指導計画と使用したデジタル教(4
時間扱い)時間 主な学習活動 使用したデジタル教材
1
・夏休みの思い出について話す。
・行った場所,食べた物,楽しんだことなど夏休みに関 わる語彙の確認をする。
・Let’s Chant「Summer Vacation」の音声(歌)に合わせて発音する。
・Let’s Listen 1
登場人物の夏休みの思い出について聞いて,線で結ぶ。
2
・夏休みに行った場所や食べた物,楽しんだこと,感想 などを言ったり聞いたりする。
・過去のことを表す表現に触れる。
・Let’s Chant「Summer Vacation」の音声(歌)に合わせて発音する。
3
・夏休みの思い出について例文を参考に,自分の夏休み の出来事に関して発表カードに書く。
・Let’s Chant「Summer Vacation」の音声(歌)に合わせて発音する。
・Let’s Listen 2
登場人物が夏休みにどんなことをしたのかを聞いて,線で結ぶ。
4
・友だちに自分の夏休みの出来事について紹介する。
・発表会を開く。 ・Let’s Chant「Summer Vacation」の音声(歌)に合わせて発音する。
・Let’s Watch and Think 2
映像を見て登場人物が夏休みにどんなことをしたのかを聞いて,
表に書く。
デジタル教材使用の基本方針
1
)2
)4
)音声を聞き
,4
人の登場人物がどこへ行ったかを考えて,
内容に合う絵を線で結ぶ活動を行う。この活動では
,
一気に聞かせると難しく感じる児童も存在することを踏まえて,
登場人物の1
人の音声(発話)が 終わるたびに再度ALTにゆっくり発音してもらい聞かせた。今まで繰り返し練習したことの復習となる内容となる。デジタル教材の中に登場する
4
人の登場人物は,「
夏休みに行ったこと」
の思い出を話す。キーワードとして,
以 下の4
点を入れて話が進んでいる。①
「
~へ行った(I went to ~)」
②
「
~を楽しんだ(I enjoyed ~)」
③
「
~を食べた(I ate ~)」
④
「
~はすばらしい(It was nice.)」
ここでは
,
“I went to ~.
” のように故意的に行った場所を音声で隠し,
楽しんだことなどのキーワードをもとに考 えさせている。児童は,
今までにない問題の出し方に最初は戸惑っていたが,
ゆっくり説明して慣れてくると「
なー んだ!そういうことか!」
と,
問題を理解した子ども達から声が上がってきた。1
問目は,
躊躇していた児童もその 後は,
皆問題を理解し,
積極的に答えを発表することができた。答え合わせの後,4
人の友だちの話した会話を確認 しながらALTに続いて繰り返し練習した。ALTには,
ゆっくり発音するようにお願いした。2
回繰り返した後,
最 後はデジタル教材に戻ってもう一度問題を聞かせた。「
あっ,
もうわかる」「
聞き取れた」
などの声が聞かれた。【展開
2
】発表会に向けて夏休みの思い出についての文を書く活動(20分)
ここでは
,
書かせる前にどういう発表会にするかのゴールとして,
イメージをしっかり持たせることに主眼をおい た。発表会で発表する内容を担任・ALT・英語専科3
人が見本となり発表した。掲示用に大きめに作った発表例文 を黒板に貼りだし,1
つ1
つの書き方について説明を行った。英語専科の簡単な英語での指示の後,
担任が日本語で 説明を加えた。書く内容は,
今まで繰り返し練習してきたキーワードを選んで写すだけであるが,
児童にとってはふ だん書き慣れていないこともあり,
皆緊張しながら書いていた。書く内容は,
以下の(
)
の中の例の5
カ所である。Hello!My name is
(
Taro Tanaka).
I went to
(
the sea).
I enjoyed
(
swimming).
I ate
(
fresh fish).
It was
(
fun).
児童には
,
習った例文を参考にして書いても良いと伝えたが,
ほとんどの児童は自分が夏休みに過ごした内容を書 いていた。英語での表現が難しい語彙はALT・英語専科・担任に聞いて書き写し,
文字が間違っていないか最終的 なチェックを受けた。【振り返り】
授業の振り返り
,
終わりのあいさつ(5
分)。最後に授業の振り返りを行った。英語専科がALTや担任に対して
,
“How was today’s class?” と聞き,4
段階で評 価を行った。評価の段階としては,
“Perfect,
” “Great,
” “Good,
” and “OK”の4
段階であり,
児童も,
それぞれ自分の 学習の様子を振り返ってどのように感じたかを考えるように指導した。ALTが大げさなジェスチャーで “Perfect ! ” と言うと児童たちは非常に喜んでいる様子が見て取れた。この時に,
毎回,
なぜその評価を得られたかの理由を フィードバックするように心がけている。今回の場合は,「
夏休みの思い出についての言葉を全員が聞けたことや自 分の思い出について書けたこと」
と具体的にがんばったことを評価した。パーフェクトシールをALTが担任に渡 し,
教室に掲示してもらった。自分達ががんばったことを視覚化することによって,
後日の授業に関する学習意欲を 高めることが狙いである。4
.3
調査方法と時期調査方法は
,
表2
に示すとおりである。① 2018年
4
月時点のアンケートでは,
デジタル教材を使用する前の実態として児童の英語への情意要因に関する 調査を行った。アンケートの答え方で,
クラス間に差が出ないように,
直接,
第一筆者が質問を行った。「
英語の勉 強は好きですか?」「
英語の授業は楽しいですか?」
の学習意欲(動機づけ)を問う質問,
及び「1
年前にくらべて 英語が話せるようになったと思いますか?」「1
年前にくらべて英語が聞けるようになったと思いますか?」
と児童 自身の1
年間の成長をどのように評価しているか調査するためにこれら項目を入れた。② 電子教材に関するアンケートは
,
デジタル教材を使用しての児童の興味・関心・理解度を知るために行われ た。今後,
デジタル教材を活用して授業を進めて行くために,
児童がデジタル教材に対してどのように感じているの か,
また,
具体的にどのような内容を好んでいるかに関しての項目を含めて作成した。③ デジタル教材の自由記述に関するアンケートでは
,
児童のデジタル教材使用に当たっての効果と課題について 調査する目的で行った。5
. 調査結果5
.1
2018
年4
月時点での児童の情意アンケートの結果表
3
には,
2018年4
月初め時点での児童の情意アンケートの結果を示す。情意アンケートの結果,
すべての質問に 対し「
平均値3」
を超えた数値を示している。特に,
質問項目の中でも「
Q2
: 英語の授業は楽しいですか」
と「
Q5
: もっと英語を話せるようになりたいと思いますか」
の2
つは特に高い数値を示している(Q2
: M=3.
40;Q5
: M=3
.
34)ことが分かる。アンケートは
,4
件法を用いており,4
=「
とてもそう思う」
から1
=「
思わない」
となっている。5
.2
ICT(デジタル教材)活用後の児童の情意面に関する結果 表4
は,
電子教材に関するアンケートの記述統計量を示している。表
2
調査方法課題 回答者 質問紙・調査用紙 分析
(N) 対象項目 方法
①2018年4月時点でのアンケート N=155 好感・楽しさ・興味・自己評価 記述統計量
②デジタル教材に関するアンケート N=152 好感・楽しさ・理解度・有用性・興味・難易度 記述統計量
③デジタル教材の自由記述に関するアンケート N=152 自由記述 テキスト・マイニング
表
3
2018
年4
月時点での児童の情意アンケートの結果( =156)質問項目 Min. Max. Mean. SD 歪度 尖度
Q1:英語の勉強は好きですか。 1 4 3.15 0.743 -0.436 0.061
Q2:英語の授業は楽しいですか。 1 4 3.4 0.64 -0.455 -0.499 Q3:1年前に比べて英語が話せるようになったと思いますか。 1 4 3.01 0.827 -0.51 0.386 Q4:1年前に比べて英語が聞けるようになったと思いますか。 1 4 3.07 0.771 -0.293 -0.33 Q5:もっと英語を話せるようになりたいと思いますか。 1 4 3.34 0.799 -0.922 -0.096 Q6:日本以外の違う国について興味がありますか。 1 4 3.01 0.902 -0.561 -0.53
表
4
電子教材についてのアンケート結果(記述統計量)( =152)質問項目 Min. Max. Mean. SD 歪度 尖度
電子教材を使った,
Q1:英語の勉強は好きですか。 1 4 2.89 0.72 -0.487 0.407 Q2:英語の授業は楽しいですか。 1 4 2.93 0.672 -0.445 0.622 Q3:英語の授業はわかりやすいですか。 1 4 3.09 0.731 -0.557 0.264 Q4:英語の授業は役に立つと思いますか。 1 4 3.08 0.785 -0.806 0.657 Q5:電子教材を使った英語の授業は難しかったですか。 1 4 2.08 0.802 0.481 -0.08 電子教材を使った英語の授業で,どの程度好きか。
Q6-1: 世界の国の様子を知る 1 4 2.99 0.789 -0.961 1.533 Q6-2: 外国の友達の話を聞く 1 4 2.62 0.861 -0.247 -0.535 Q6-3:チャンツで歌う 1 4 2.34 0.892 0.118 -0.73
Q6-4:リスニングで問題を考える 1 4 2.93 0.859 -0.509 -0.317
電子教材についてのアンケートの結果
,
平均値が3
に近い程,
意識が高いととらえることができる。特に,
電子教 材を使った授業は,
わかりやすく役に立つと考えていることが数値から判断できる。さらに,
Q5
の分析結果から,
児童は,
電子教材での授業をあまり難しいとは思っていないことが伺えた。電子教材の内容については「
世界の国の 様子を知る」「
リスニングで問題を考える」
ことに比較的に好感が高いことが分かる。
5
.3
自由記述のテキスト・マイニング結果小学校
6
年生152名に対して,
電子教材を用いた授業に関する自由記述をKH coder 2を用いて,
テキスト・マイニ ングを行った。その結果を図1
に示す。分析の結果
,
メリットとして児童が電子教材での歌や発音の楽しさを実感し,「
英語で言っていることがわかると 楽しい」「
デジタル教材で発音した後,
先生に見てもらうと覚えられる」
との記述パターンが見て取れた。一方,
デ メリットとしては電子教材での会話が速いことや夏休みの思い出について書くことが少し難しいとの記述パターンが 見られた。6
総合的考察本研究では
,
第一筆者の勤務する公立小学校において英語専科として指導しながら,
今年度配布されたWe Can ! 2 におけるデジタル教材の使用を通して,
デジタル教材使用を意識した。効果的な指導と児童の情意面に見られる変化 を検討した。2020年度から
,
小学校5
年生から外国語が教科化となりデジタル教材を使用することが必須であり,
授業の中で効 果的な指導のあり方に知見を得られたことに意味があると考える。以下,
本研究で示された調査研究の考察とデジタ ル教材の効果的な活用および今後の課題についてまとめる。
6
.1
調査研究の考察表
4
の電子教材についてのアンケート結果では,「
電子教材を使った英語の勉強は好きですか。」
は,4
月の情意ア ンケート結果による「
英語の勉強は好きですか」
に比べると高いとは言えないが,
比較的多くの児童が電子教材を 使った英語の授業はわかりやすく役に立つと思っている。特に電子教材の映像から世界の国の様子がよくわかること は,
現在学習している社会の授業との関連からもより関心が高まっていると推察できる。また,
問題に対する解答の 仕方が言葉で答える・記入するのではなく,
クイズ形式で番号や○等で選択する方法はゲーム世代の児童が好む傾向図
1
テキスト・マイニングの結果*出現頻度10 回以上のもの のみ選出 電子教材で発音した後
,
先生に見てもらうと覚えられる 歌を歌うのが
面白い
英語を言うことが 分かると楽しい
英語の発音が分
かると楽しい 夏休みのことを書
くのが少し難しい
(電子教材における)
会話が早い
になっていると考える。テキスト・マイニングの結果では
,
書くことの結果として「
難しい」
という意識が出てくる が,
この単元において過去形が表出し限られた時間内で理解させるのは困難であると推察する。
6
.2
デジタル教材の効果的な活用文部科学省(2017b)は
,
ICTで日本語と英語の音声や文構造の違いに気づかせる指導に活用出来ると述べてい る。“My Summer Vacation” での現在と過去の表現との違いにチャンツなどの音声と視覚的な写真や文字が違いに気 づかせる有効な働きをしていると考える。前述の授業実践でも述べているが,
ただデジタル教材を授業の中で流すの ではなく,
授業の目標に向けていかに有効に活用できるかが重要となってくる。デジタル教材の良さを活かすために 事前事後のフォローが必要である。事前に教材に出てくる語彙の確認と繰り返し耳に慣れさせることにより,
児童は デジタル教材の音声での聞き取りや発音練習を楽しむことができるのである。さらに,
繰り返し練習したことを一人 一人が自信を持って発表できるようになると,
進んでコミュニケーションを図れるようにつなげていくことができ る。電子教材だけでは,
発音が速くて聞き取れなかったり,
理解できなかったりする児童のためにALTが発音の速 さを調整しての協力が欠かせないと考える。また
,
デジタル教材がどの程度好きかという調査結果から,
リスニングが得意でない児童がチャンツを好んでいる ことから,
授業内容の構成も配慮して進めて行きたいと考える。7
結論ICT(デジタル教材)活用のポイントは
,
授業のねらい達成に向けていかにデジタル教材を有効に活用出来るかで ある。デジタル教材だけを見せることが目的となってはいけない。そのためには,
教員がデジタル教材の効果と課題 を認識することが不可欠であろう。デジタル教材の対象児童は幅広く一般的な学年の児童であると推察される。そこ では,
児童の実態に合わせた担任のデジタル教材活用が大きく関わってくる。英語嫌いを増やさないために児童一人 一人に応じた指導と工夫が今後必要となってくるであろう。さらに,
授業の目的に向けた活用がどれだけできるか授 業構成をしっかり立てることが大切である。今後,
外国語教科化に向けて,
児童がデジタル教材を活用して英語好き になっていくことを願う。謝辞
本研究においては,千葉県A市の小学校教諭の皆様にご協力いただいたことに感謝を申し上げます。また,B小学校の児童 の皆様にも,アンケート調査に協力いただいたことに心より感謝を申し上げます。
付記
本研究は,2019年8月に,弘前大学で行われた「全国英語教育学会第45回弘前研究大会」での口頭発表を基に作成したもの である。
1,2,3,4,6,7
章を第一筆者が,5
章を第二筆者が執筆を行った。参考・引用文献
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スマートボード」
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* Funabashi City Broad of Education ** Humanities and Social Studies Education
Practical Report Using Digital Teaching Materials in Elementary School English Classes
―Focusing on Children’s Emotions after the Class Yuko SATO*・Fujishige SOMEYA**
ABSTRACT
The purpose of this study was to propose effective use of digital teaching materials and teaching methods through the unit “My Summer Vacation” in We Can! 2, and to report the results of the practice study. The basic points to remember when using digital teaching materials are: 1