Al ‑ Mg‑ Si 合金 の機 械的性質 に及ぼす希土類 元素添加の影響
小林義一 森山実 堀内富雄
1 . 緒
言Al ‑ Mg‑ Si 合金は Mg2 Si を硬化要素 とする熱処理合金で,少量 の Mg と Si の添加のみ で著 しく時効硬化 し,良好な機械的性質を示すため,その熱間加工性の良好なことと相 まっ て,アル ミサ ッシなどに多量に使用 されている. またこの合金は微量の添加元素が,その機械 的性質に著 しい影響を及ぼす ことも知 られてお り,今までに Cu,Fe ,Au ,Mn な どの数量 添加が, この合金の機械的性質に及ぼす影響について研究報告されている
(1)〜(5).筆者 らの一 人 も ,Mg と Si の量比や Fe ,Cu の添加が, この合金の機械的性質に及ぼす影響について 銀告 してきたが
(6)〜( 8 ) ,今回は非鉄金属用高力化添加剤 として も知 られる希土類元素が, この 合金の横桟的性質にどのような影響を及ぼすかについて実験 したので,その結果を報告す る.
2 . 試料の作成 と実験方法 2 ‑1 試料の作成
試料 としては,99 . 99 %Al ,9 9 . 9 %Mgおよび A1 ‑ 2 4. 3% Si 母合金を用い,内面をアル ミ ナ とケイ酸 ソーダで ライニングした30 番黒鉛 るつぼで A1 ‑ 0 . 7 % Mg‑ 0 . 4% Si 合金を作成 し た.希土類の添加は,得 られた A1 ‑ Mg‑ Si 合金を再度溶解 し, これに市販の ミッシュ メ タ
表 l 試料の配合倍と化学分析値 ( %)
T. RE・ ・ ・ ・ ‑希土炉元素 ( Ce ,La ,Nd,Pr ,Sm) の合計を示す
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( C)
図 1 試験片 ( a ) かたき測定用 ( b) 電顕組織観察用 ( C ) 引張試験用
* 昭和 6 0 年 1 2 月 日本金属学会北陸信越支部講演会において発表
** 機械工学科教授
*** 機械工学科助手
**** 機械工学科技官
原稿受付 昭和 6 1 年 9 月 2 9 日
3 2 長野工業高等専門学校紀要 ・第 1 7 号
ル ( Ce 4 7 . 21 %, 1 La 31 . 3 8 %,Nd1 4 . 8 2 %,Pr 4 . 4 7 %,SmO . 3 3 % , Fel . 3 2 % ,その他 0 . 4 7 %) を加 えて,総希土類元素が 0 ,0 ・ 1 ,0 ・ 2 お よび 0 ・ 4 % に年るような 4 種類の合金を作成 した・
鋳造条件 としては,溶湯温度 7 6 0o C ,鋳込温度 7 1 0o C とし ,2 5 0o C に加熱 し た 2 0×7 0×
1 70 mm の金型に鋳造 した.
このように して得 られた鋳塊を 5 6 0o C で 8 時間の均質化処理を行 なって の ち, 表面を 5 mm ずつ切削 して除去 し ,1 0×6 0×1 5 0 mm のスラブを作成 した.更にこのスラブを熱 間 圧 延 で厚 さ 5mm にし,つづいて冷間で 2mm,1mm お よび 0 . 5 mm になるまで圧延 し,それ ぞれ引張試験用,かたさ測定用お よび電顕組織観察用 とした. これ らの試験片の形状寸法を 図 1 に, また試料の配合値 と化学分析値を表 1 に示す.
2 ‑2 実験方法
実験 としては,図 1 に示 された形状寸法の引張試験片,かたさ試験片お よび電顕組織観察 用試験片を 5 2 0o C で 1 時間溶体化処理後 2o C の氷水中に焼入れ し,その後直 ちに シリコンオ イル中で 1 4 5o C,1 7 5o C および 2 0 5o C の 3 種類の温度で時効処理 した.そして,所定の時間 時効処理 した試験片について引張試験 とかたさ測定お よび電顕組織観察を行い,時効に とも な う引張特性 とかたさの変化お よび電顕組織の変化を調べた.なお,引張試験は島浄オー ト グラフを使用 し引張速度 2 mm/ mi n で行ない,かたさはマイクロビッカース硬度計を 使 用 し荷重 5 0 0g で測定 した.また,電顕組織観察 としては,冷間圧延に よって 0 . 5 mm まで薄 くした試料について所定の熱処理を施 した後 , 1% カセイソーダ水溶液でほぼ 0 .1 mm まで 薄 くしてか ら,直径 3 mm の円板を打抜いて,デンマークのス トルーアス社製テヌポールで 電解研摩 した. この ときの研摩液の組成は,過塩素酸 1 0 0 m l ,グ リセ ロール 2 0 0 m l ,メタノ ール 7 0 0 m lの混合液 とし,液温 ‑5o C ,電流 0 . 1 2A で電解研摩 した. このように して得 られ た試料を 日本電子製 J EM‑ 1 0 0 C 型電子顕微鏡を使 って,加速電圧 1 0 0 Kv で電顕組織観察を 行なった.
3 . 実 験 結 果
図 2‑ 図 4 は希土類元素を 0 ,0 . 1 ,0 . 2 お よび 0 . 4 % 添加 した Al ‑ Mg‑ Si 合金を時効処理 し た ときの時効時間の経過に ともな うかたさの変化を示 し,図 2 は時効温度 1 4 5o C の場合,国
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図 2 時効処理したときのかたさに及ぼす希土 頬元素の影響
( 溶体化処理 5 2 0 o CXl hr ,時効温度 1 4 5o C)
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図3 時効処理したときのかたさに及ぼす希土 類元素 の影響
( 溶体化処理 5 2 0 o CXl hr ,時効温度 1 7 5 o C)
Al ・ Mg・ Si 合金の機材的性質に及ぼす希土類元素添加の影響 3 3 3 は時効温度1 75oCの場合そ して図 4 は時効温度205o
Cの場合であ る. これ らに よる と時効 温度 1 4 50Cの場 合 は,時効時間1 0 時間 まではかた きの変化 は見 られ な て コ =
いが, それ以後かた きは上昇 し 始め, 200 時間 の時効 こ8 0
で最高値を示 し,それ以後 は過時効 とな りかた さは低 ゲ7 ・ R 0
下す るが,希土類元素が多 いほ ど最高かた きは低 くな ってい る.時効温度 1 7 5oCの場合は, 時効 時間 3 時間 か らかた さの上 昇が見 られ,1 0 時間で最高かた きを示 し,それ以後 はかた さは低下す るが, やは り希土析元 素が多 く入 ってい るほ どかた きは低い. また時効温度 205oCの場合 には,時効時間 1 時間か らか た くな り始 め ,4 時間で最高かた きを示 し,それ以後 は軟化が起 るが,希土塀元素が多 く含 まれ るほ どやは りかた きは
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1 2 4 681 0 2 0 406 08 0 1 ∞ 2 C K ) 4 0 0
時 効 時 間 (hr s)
E 95 時効処理 したときの 引求強さと 0.2%
耐力に及ぼす希土類元素の影響
( 溶体化処理 5 2 0o C X l hr ,時効温度1 4 5o C)
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図 7 時効処理 したときの引張強さ と 0.2%
耐力に及ぼす希土頬元素の影響
( 溶体化処理 5 2 0o C X l hr ,時効温度2 0 5o C)
図 4 時効処理したときのかたさに及 ばす希土析元素の影響
( 浮説 豊 2 % 雪 2 c Oo Cxl hr )
ASG L1 2 4 681 0 2 0 406 08 )1 00 時 効 時 間 (hr s)
図 6 時効処理したときの引張強さ と 0.2%
耐力に及ぼす希土類元素の影響
( 浮体化処理 5 2 0o Cxl hr ,時効温度1 7 5o C)
4 0
30
20
1 0
1 2 4 681 0 20 40608 0て) 0 2 C O 4 0 0
時 効 時 間 (hr s)
図 8 時効処理したときの伸びに及ぼす希土 類元素の彫響
( 溶体化処理 5 2 0oCxl hr ,時効温度1 4 5oC)
3 4 長野工業 高等専門学校紀要 ・第 1 7 号
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図 9 時効処理したときの伸びに及ぼす希 土類元素の影響
( 溶体化処理 5 2 00 C xl hr ,時効温度 1 7 5 o C)
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時 効 時 間 (hr s)
図 1 0 時効処理したときの伸びに及ぼす希 土醗元素の影響
( 溶体化処理 5 2 0 o C xl hr ,時効温度 2 0 5 o C)
低 くなっている. また,焼入れ直後のかたさも希土煩元素が多いほ ど低 くなっている・
図 5‑ 図 1 0 は時効 した試料の引張試験の結果を示 し,図 5 は 1 4 5o C 時効のときの引張強さ と 0 . 2 % 耐力の変化,図 6 は 1 7 5oC 時効の ときの引張強 さと 0 . 2 % 耐力の変化,図 7 は 2 0 5o C 時効のときの引張強 さと 0 . 2 % 耐力の変化,図 8は 1 4 5oC 時効の ときの伸びの変化,図 9は 1 7 5o C 時効の ときの伸びの変化そ して図 1 0 は 2 0 5o C 時効 した ときの伸びの変化を示す・ これ らに よると,引張強 さと 0 . 2 % 耐力は,時効時間の経過につれて上昇するが, とくに 0 ・ 2 % 耐 力の時効による上昇が著 しい。 また,希土現元素が多 く含 まれるほ ど引張強 さと 0 ・ 2 % 耐力 の値は低 くなっているが,かたさのときほ どの著 しい低下は認め られない・ しか し 2 0 5o C 時 効 の場合には引張強 さ , 0 . 2 % 耐力ともに時効硬化の現象はほ とんど認め られない・伸びは, 時効時間が長 くなるにつれて低下の傾向を示 し,各々の時効温度における最高強度を示す時 間近 くになると,希土類元素が多 く含 まれ るほど伸びの低下率は著 しい・
以上の ような時効に ともな うかたさ,引張強さ ,0 . 2 % 耐力お よび伸びの変化をまとめる と図 1 1 ‑ 図 1 3 のようになる.図1 1は各時効温度
〇 x △ ̲ ・ ・ 一 一 ̲ ・ ̲ 一 や . <〝 △〝 時 効温度1 1 2 4 7 0 5 5 5 ' ' ℃ c C
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0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4
希 土 輯 元 素 (% )
図1 1 最高かたきに及ぼす希土頬元 素影響
( 溶体化処理 5 2 0 o C xl hr )
で時効させた ときの最高かたさが希土琉元素の
添加によってどのように変化す るかを示 し,図
1 2 と図 1 3 は引張試険の結果で,各 々の時効曲線
における最高引張強 さ ,0 . 2% 耐力 お よび伸び
が希土類元素に よって どのように変化するかを
示 している. これ らに よると,時効温度が低い
方が最高のかた さ,引張強 さ ,0 . 2% 耐力は高
い値を示 し, またいずれの時効温度の場合 も希
土煩元素が多 く含 まれ るにつれて,かたさ,引
張強 さ ,0 . 2% 耐力は低下す る. また伸びも希
土塀元素が多 く含まれるにつれて低下する煩向
を示 している.
Al ‑ Mg‑ Si 合金の機材的性質に及ぼす希土煩元来添加の彫懲 3 5
(edH)C
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