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2018年度牧会サマーセミナー「今、語り合いたい教会のこと、牧師のこと」(2018年度聖学院大学総合研究所牧会心理研究会主催) 利用統計を見る

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 2018年 9 月10日(月)、牧会サマーセミナーが開 催された。

 思えば、2009年 8 月に第 1 回目の牧会サマーセ ミナーを開催してから10年10回目となる。記念す べき第 1 回は、「牧会者の癒しと自己開示」という テーマで、加藤常昭先生を講師としてお招きした。

その後のテーマの推移を見ると、当初は、牧会者 と癒しの問題を扱っていた(②「今日の教会と牧 師の役割」、③「傷付いた魂の癒しを求めて」、④「牧 会者の危機と癒し」)。ついで牧会相談の具体論(⑤

「牧会における家族の問題」、⑥「教会における人 間関係」)に移行し、最近では牧会者自身の自己ケ アの問題に辿り着いた(⑦「牧会者の自己ケア」、

⑧「牧会者の自己ケア〜時間と生活」、⑨「牧会者 の説教と自己ケア」)。

 今回は、これら10年間の余韻を味わいながら、

なるべく幅広く、参加者の自由な語り合いを目指 し、「今、語り合いたい教会のこと、牧師のこと」

をテーマとした。そして今回の講師は、香山リカ 先生、堀肇先生のお二人にお願いし、それぞれ精 神科医、牧師の立場からご講演をいただくことと した。

 さてセミナーでは、最初に参加者一人一人が自 己紹介をし、本セミナーへの期待を語った。19名 の牧師、伝道師等が参加してくださったのだが、

すべてのそれは切実なものが多く、牧会者として 自分に向き合う真摯な姿勢を印象付けるものばか りであった。

 その後午前中に 2 つの講演があった。一つ目の 講演は、香山リカ先生(精神科医、立教大学教授)

によるもので、 3 つのトピックスが扱れた。一つ は現代人が癒しや救いを求めている現状について、

二つは教会に来る精神障害者への対応の仕方につ いて、三つは牧師のメンタルヘルスのあり方につ いて、それぞれ精神科医の立場から述べられたも のであった。そして最後に問題提起として①「出 入り自由」のキリスト教はあるのか、②教会は「パ

ワースポット」になれないのか、③AI牧師ではダ メなのか、と語りかけて講演を終えた。社会を分 析し、かたや牧会者を受容し期待する姿勢には、

参加者一堂が励まされ、また新鮮な示唆を受けた。

筆者は「出入り自由」のキリスト教との提言にい たく刺激され、一日いろいろとそのことを考えて いた。

 二つ目の講演は、堀肇先生(牧師、聖学院大学 総合研究所特別研究員)で、多くの事柄を扱って くださったが、大きく捉えるとやはり 3 つのトピッ クスについて論じられたと思う。一つは牧師と信 徒の問題についてである。牧師の目標と求道者や 信徒の霊的ニーズのずれがあることについて述べ られた。また引退牧師の語った「落ち穂拾い」と いう言葉を紹介し、教会が悩む人を受け入れ、落

2018 年度 聖学院大学総合研究所 牧会心理研究会主催 2018 年度 牧会サマーセミナー

「今、語り合いたい教会のこと、牧師のこと」

発題者:香山リカ・堀肇 報 告

(上)講演者:香山リカ先生 (下)堀肇先生

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聖学院大学総合研究所 NEWSLETTER vol.28, No.1, 2018

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ちこぼしてしまった魂への配慮をする責任がある ことに触れられた。二つは牧師の孤独の問題につ いて取り上げ、霊的同伴者の必要を述べ、三つは 教会のあり方について取り上げ、教会の本質は「慰 めの共同体」であると述べられた。そして、共同 体を喪失している現代社会に対して提示すべき真 の共同体モデルであると語られた。盛りだくさん の内容を扱った講演であったが、牧会者を温かく 受容するような語り口で、ひとつひとつについて ゆったりと深く味わうような講演であった。

 昼休憩をはさみ、午後からは 3 つのグループに 分かれた。このグループでの語り合いは午後の 2 時間を使い、参加者が午前中の講演で引き出され た思いや課題、また現に直面している困難を語り 合い、分かち合うことを目指した。グループごと にあらかじめテーマがあるわけでなく、参加者は いわば機械的に振り分けられるのだが、グループ ごとに話題は個性化する。守秘義務があるため、

内容については書けないが、どのグループでも切 実な事柄が話され、その場で解決策をコメントす るわけではないのだが、語り合いの中で各自が新 たな洞察を得ているように思われた。

 その後全体で集まり、グループごとに語り合っ た内容を報告し、全体でわかちあい、最後に花野 井百合子先生(臨床心理士、聖学院大学総合研究 所カウンセリング研究センター心理相談スタッフ)、

藤掛明、堀肇先生がそれぞれに報告に関連してコ メントを述べて、まとめとした。こうして 9 時30 分から始まったセミナーは予定通り16時に終了し た。

 長時間のセミナーであるが、あっという間の一 日であった。今回参加者の方々から、 「このセミナー には不思議な居心地の良さがある」「リラックスし た空気」などのお声を聞いたが、講演にもグルー プにも、豊かな相互作用性が働いている証だと思 わされた。

(文責:藤掛 明[ふじかけ・あきら]聖学院大学 総合研究所カウンセリング研究 研究代表 聖学 院大学心理福祉学部心理福祉学科教授、同大学院 教授)

 コーディネーター  (左上)藤掛明先生  (右上)堀肇先生  (左下)花野井百合子先生

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