シミュレーション教育導入の有無が看護学生の小児 実習に与えるイメージと不安
著者 豊島 めぐみ, 久山 かおる
雑誌名 梅花女子大学看護保健学部紀要
号 10
ページ 28‑39
発行年 2020‑03‑20
URL http://doi.org/10.20832/00000213
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 導 入 の 有 無 が 看 護 学 生 の 小 児 実 習 に 与 え る イ メ ー ジ と 不 安
Comparing Expectations and Anxieties Exhibited by Pediatric Nursing Students: With or Without Simulation Education
豊 島 め ぐ み
1 )久 山 か お る
2 ) TOYOSHIMA Megumi KUYAMA Kaoru【 要 旨 】
本 研 究 は 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 導 入 の 有 無 が 看 護 学 生 の 小 児 実 習 に 与 え る イ メ ー ジ と 不 安 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。 同 意 を 得 ら れ た 短 期 大 学 看 護 学 科 の
3回 生 を 対 象 に 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 参 加 の 有 無 に よ り 参 加 群 と 非 参 加 群 に 分 類 し た 。 調 査 内 容 は 実 習 イ メ ー ジ と 不 安 で あ る 。結 果 は 学 生
37人
(53.6%
)か ら 回 答 を 得 た 。小 児 実 習 前 の 両 群は 知 識 技 術 の「 不 足 」、 「 怖 い 」な ど 不 安 を 示 し て い た 。一 方 、小 児 実 習 後 の 参 加 群 は 、 「 患 児 」 と 「 家 族 」 へ の 看 護 の 大 切 さ を イ メ ー ジ し 、 家 族 看 護 の 視 野 を 持 ち 実 習 に 取 り 組 め て い た 。 不 安 で は 、 小 児 実 習 後 の 両 群 と も に
STAIの 得 点 が 低 下 し て い た が 、 高 不 安 を 示 す 看 護 学 生 も い る こ と が 分 か っ た 。 本 研 究 よ り 、 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 は 学 生 の 視 野 を 広 げ て 実 習 に 取 り 組 め た こ と が 示 唆 さ れ た 。 実 習 後 も 継 続 し て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 な ど の 教 育 支 援 や 心 理 的 支 援 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。
キ ー ワ ー ド : シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 看 護 学 生 イ メ ー ジ 不 安
1) 梅 花 女 子 大 学 看 護 保 健 学 部 2) 武 庫 川 女 子 大 学 看 護 学 部
Ⅰ . は じ め に
近 年 、 医 療 の 高 度 化 や 看 護 ニ ー ズ の 多 様 化 に 対 応 し て い く た め 看 護 基 礎 教 育 の 充 実 が 求 め ら れ て い る 。 看 護 師 の 専 門 性 を 深 め て い く た め に は 看 護 基 礎 能 力 の 育 成 は 重 要 で あ り 、 学 生 は 看 護 実 習 等 の 看 護 実 践 体 験 を 通 し て 、 卒 業 時 に は 看 護 事 象 を 理 解 す る 基 盤 が で き て い る 事 が 求 め ら れ て い る
(厚 生 労 働 省
,2011)。そ の た め に 、看 護 基 礎 教 育で は 、 看 護 の 知 識 と 技 術 を 統 合 さ せ る た め に 臨 地 実 習 が カ リ キ ュ ラ ム に 位 置 づ け ら れ て い る 。
臨 地 実 習 は 、 看 護 職 者 が 行 う 実 践 の 場 に
学 生 が 身 を 置 き 、 看 護 職 者 の 立 場 で ケ ア を 行 う こ と で あ る 。 専 門 職 と し て の 実 践 能 力 を 修 得 す る た め に 、 他 で は 補 う こ と が 出 来 な い 重 要 な 学 習 の 機 会 で あ り 、 そ の 意 義 が 唱 え ら れ て い る
(安 酸,2000;坪 井 ら,2001)。 し か し 、 看 護 学 生 (以 下 、 学 生 と 記 す )に と っ て 病 院 で の 実 習 は 未 知 の 世 界 で あ り 、 強 い 緊 張 や ス ト レ ス を 抱 い た ま ま 実 習 に 向 か う こ と が あ る
(荒 木,2013)。小 児 看 護 学 は 、 1 年 次 に 小 児 看 護 学 概 論
を 受 講 し 、 2 年 次 に 小 児 看 護 学 方 法 論 と 小
児 看 護 の 課 題 と 探 求 を 修 学 し た 後 、 3 年 次
に 小 児 看 護 学 実 習 (以 下 、 小 児 実 習 と 記 す )
を 履 修 す る 。 小 児 実 習 は 、 子 ど も へ の 接 し 方 や 成 長 発 達 に 応 じ た 子 ど も へ の ケ ア を 学 ぶ 機 会 と な る 。 し か し 、 近 年 の 核 家 族 化 や 少 子 化 に よ り 学 生 は 子 ど も と 接 す る 機 会 が 少 な い た め 子 ど も を キ ャ ラ ク タ ー 的 に か わ い い 存 在 と し て 表 層 的 に 捉 え る 傾 向 が あ る
(荒 川,2005)。ま た 、子 ど も に 対 し て 漠 然 と し た イ メ ー ジ を 持 つ 学 生 は 、 現 実 の 子 ど も を 受 け 入 れ ら れ ず 、 実 習 の 場 で 傍 観 的 に な る
(西 田,2003)な ど 、多 く の 学 生 が 子 ど も との コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の と り 方 や 接 し 方 へ 不 安 を 抱 い て い る こ と が 報 告 さ れ て い る
(飯 出,2005)。
A 短 期 大 学 の 小 児 実 習 は 、 保 育 所 も し く は 幼 稚 園 実 習 に は 2 日 間 、 総 合 病 院 の 小 児 病 棟 実 習 は 6 日 間 で 構 成 さ れ て い る 。 実 習 目 標 は 、 保 育 園 も し く は 幼 稚 園 で は 、 健 康 な 乳 幼 児 の 成 長 発 達 と 発 達 課 題 、 日 常 生 活 な ど に つ い て 理 解 す る こ と 、 総 合 病 院 の 小 児 病 棟 実 習 で は 、 小 児 と 家 族 の 関 わ り 、 子 ど も の 権 利 、 親 の 価 値 観 、 小 児 の 基 本 的 看 護 技 術 、 問 題 を 科 学 的 に 分 析 し 、 解 決 方 法 を 柔 軟 に 思 考 し 実 践 で き る と さ れ て い る 。
筆 者 は 以 前 に 短 期 大 学 で 小 児 実 習 を 担 当 し て い た 。 小 児 実 習 前 に 学 生 は 、 子 ど も の 成 長 発 達 や 発 達 課 題 、 疾 患 、 検 査 、 治 療 な ど に つ い て 事 前 課 題 と し て 自 己 学 習 が 課 さ れ て い た が 、 バ イ タ ル サ イ ン 測 定 や 清 拭 、 お む つ 交 換 、 更 衣 な ど の 看 護 技 術 を 事 前 に 練 習 す る 機 会 は な か っ た 。 実 習 が 近 づ く と
「 実 習 が 不 安 」、 「 実 習 が 上 手 く い く か 心 配 」 な ど 不 安 を 訴 え る 学 生 が い た 。 こ の こ と か ら 、 学 生 の 不 安 を 解 消 し 小 児 実 習 に 備 え る 必 要 性 が あ る こ と を 感 じ た 。 そ こ で シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 導 入 を 検 討 し た 。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 と は 、臨 床 を 模 倣・
再 現 し た 状 況 の 中 で 、 人 や 物 と 関 わ り な が ら 専 門 的 な 知 識 と 技 術 を 学 ぶ こ と で あ り 、 欧 米 先 進 諸 国 の 医 学 教 育 や 日 本 の 医 療 分 野 で 重 要 視 さ れ て い る
(志 賀,2014)。患 者 へ の
負 担 が な く 、繰 り 返 し の 学 習 が 可 能 と な る 。 平 成 31 年 、厚 生 労 働 省「 看 護 基 礎 教 育 検 討 会 報 告 書 」 に お い て 、 教 育 現 場 に お い て 、 双 方 向 性 の 講 義 や シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 等 を 活 用 し た 演 習 、実 習 と 連 動 し た 演 習 等 に よ り 、 更 な る 教 育 方 法 の 工 夫 等 が 推 奨 さ れ て い る 。
そ こ で 本 研 究 で は 、 小 児 実 習 を 履 修 す る 学 生 を 対 象 に シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 導 入 の 有 無 が 看 護 学 生 の 小 児 実 習 に 与 え る イ メ ー ジ
(以 下 、 実 習 イ メ ー ジ と 記 す
)と 不 安 を 報 告 す る 。
Ⅱ . 用 語 の 定 義
本 研 究 に お け る 用 語 の 定 義 は 以 下 の 通 り と し た 。
1 . 実 習 イ メ ー ジ と は 、 学 生 の 実 習 に 対 す る イ メ ー ジ で あ り 、 実 習 が ど の よ う な も の か 、 実 習 に 対 す る 印 象 や 想 像 を 意 味 す る 。 2 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 と は 、 実 際 の 臨 床 場 面 を 疑 似 的 に 再 現 し 、 そ の 環 境 の 中 で 学 習 者 が 実 際 に 経 験 す る こ と を 通 じ て 学 ぶ 形 式 の 教 育 を 意 味 す る
(阿 部
,2013a)。3 . ブ リ ー フ ィ ン グ と は 導 入 を 意 味 す る 。 本 研 究 に お い て は 、 学 生 が 教 育 の 場 面 設 定 や 使 用 可 能 物 品 な ど 説 明 を 受 け 、 学 習 を 導 く た め 準 備 を す る こ と を 示 す 。
4 . デ ブ リ ー フ ィ ン グ と は 、 振 り 返 り を 意 味 す る 。 本 研 究 に お い て は 、 体 験 と そ の 原 因 を 気 づ き シ ー ト を 活 用 し 振 り 返 る こ と を 示 す 。
Ⅲ . 研 究 目 的
本 研 究 の 目 的 は 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 導 入 の 有 無 が 看 護 学 生 の 小 児 実 習 に 与 え る イ メ ー ジ と 不 安 を 明 ら か に す る こ と と し た 。
Ⅳ . 研 究 方 法 1 . 研 究 対 象 者
A 短 期 大 学 看 護 学 科 の 小 児 実 習 を 履 修 し
て い る 最 終 学 年 の 3 回 生 69 名 を 対 象 と し
た 。
2 . 調 査 期 間
2016 年 4 月 か ら 11 月 に 実 施 し た 。
3 . 調 査 方 法 1 ) 手 順
本 研 究 は 、 以 下 の 手 順 で 実 施 し た 。
① 実 習 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 終 了 後 、 本 研 究 の 内 容 に つ い て 、 学 生 全 員 に 文 書 と 口 頭 で 説 明 を 行 い 、 研 究 協 力 の 承 諾 を 得 、 対 象 学 生 を リ ク ル ー ト し た 。
② 調 査 1 回 目 は 、 同 意 を 得 た 学 生 を 対 象 と し 実 習 前 に 自 記 式 質 問 紙 を 用 い て 学 生 の 実 習 イ メ ー ジ と 不 安 に つ い て デ ー タ 収 集 を し た 。
③ 小 児 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 は 、 自 由 参 加 と し た 。 学 生 に 内 容 と 日 程 を 提 示 し 、 学 生 の 都 合 に 合 わ せ て 実 施 し た 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 に 参 加 し た 学 生 を 参 加 群 、 参 加 し な か っ た 学 生 を 非 参 加 群 と し た 。
④ 調 査 2 回 目 は 、 小 児 実 習 終 了 後 に 自 記 式 質 問 紙 を 用 い て 学 生 の 実 習 イ メ ー ジ と 不 安 に つ い て デ ー タ 収 集 を し た 。
2 ) シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 内 容 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 学 習 目 標 は 、 ① 学 生 が 患 児 や 家 族 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 方 法 が 理 解 で き 、 ② 患 児 に 必 要 な 情 報 が 収 集 で き 、 ③ 患 児 の 成 長 、 発 達 、 健 康 レ ベ ル に 応 じ た 日 常 生 活 の 援 助 ( 清 潔 ) を 身 に つ け る こ と で あ っ た 。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 手 順 は 、 学 生 4 人 か ら 5 人 を 1 グ ル ー プ と し て 、 ① ブ リ ー フ ィ ン グ (導 入 )か ら 、 ② シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し 、 ③ デ ブ リ ー フ ィ ン グ (振 り 返 り ) を し た 。そ の 後 、④ 評 価 と ま と め を 行 っ た 。 な お 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と デ ブ リ ー フ ィ ン グ は 繰 り 返 し 行 っ た 。 学 生 の 気 づ き を デ ブ
リ ー フ ィ ン グ で 表 現 し や す く す る た め 、 気 づ き シ ー ト (表 1)を 活 用 し た 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 中 で 、 学 生 間 で 複 数 回 の 意 見 交 換 を し 、 実 施 し た 行 為 の 裏 付 け に つ い て お 互 い に 確 認 し 合 っ た 。
表 1 気 づ き シ ー ト
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 環 境 設 定 は 、 部 屋 に 病 院 と 同 様 の 小 児 用 ベ ッ ド 、床 頭 台 (着 替 え や お む つ 、テ ッ シ ュ ケ ー ス 、お も ち ゃ 、 絵 本 等 を 入 れ て お く )、点 滴 台 、椅 子 な ど を 配 置 し 、 演 習 ス ペ ー ス お よ び 講 義 ス ペ ー ス に 、 ブ リ ― フ ィ リ ン グ や デ ブ リ ― フ ィ ン グ が で き る 机 や 椅 子 、 ホ ワ イ ト ボ ー ド な ど を 設 定 し た 。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 内 容 は 、 前 年 度 の 小 児 実 習 で 学 生 が 受 け 持 つ こ と が 多 か っ た 患 児 の 年 齢 と 疾 患 名 を 参 考 に シ ナ リ オ 作 成 を 行 っ た 。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 は 以 下 の 流 れ で 実 施 し た 。
[事 例 患 児 情 報 ]
A ち ゃ ん 、 8 か 月 、 女 児 、 身 長 は 70 ㎝ 、 体 重 は 7,600g 。
診 断 名 は 、 肺 炎 で あ り 、 既 往 歴 と ア レ ル ギ ー は な し 。
現 病 歴 は 、 4 月 1 日 よ り 鼻 汁 と 微 熱 が あ り 病 院 受 診 し 抗 生 剤 処 方 さ れ 、 そ の 後 、 解 熱 し た が 鼻 汁 は 続 い て い た 。 4 月 6 日 再 び 発 熱 と 咳 嗽 を 認 め る よ う に な り 再 受 診 し 水 薬 を 処 方 さ れ 帰 宅 し た 。 そ の 後 も 発 熱 が 続 き 4 月 8 日 再 受 診 し 、 レ ン ト ゲ ン の 結 果 、 右 下 肺 野 に 浸 潤 陰 影 あ り 肺 炎 と 診 断 さ れ 入 院 と な っ た 。
入 院 後 、 呼 吸 状 態 は 安 定 し て い る が 鼻 汁
と 咳 嗽 は 続 い て い る 。 治 療 と し て 輸 液 療 法
(末 消 点 滴 は 右 手 背 よ り 挿 入 )、吸 入 、水 薬 、
張 り 薬 が 開 始 さ れ る 。 検 査 結 果 は 、 レ ン ト ゲ ン 結 果 -右 下 肺 野 部 分 に 浸 潤 陰 影 あ り 、採 血 結 果 は 、 WBC14100 個 /μ l・ CRP8.7 mg/dl と 設 定 し た 。
学 生 に は 以 下 の 課 題 を 提 示 し た 。
「 現 在 10 時 半 で す 。 学 生 は 、 10 時 に バ イ タ ル サ イ ン 測 定 を し ま し た 。 学 生 は 、 指 導 者 へ バ イ タ ル サ イ ン 測 定 値 と 患 児 の 状 態 、 今 か ら 清 潔 ケ ア を 実 施 す る 旨 を 報 告 し ま し た 。
今 か ら 、患 児 の 清 潔 ケ ア (清 拭 、陰 部 洗 浄 、 更 衣 、オ ム ツ 交 換 )に 行 っ て き て く だ さ い 。」
4 . 調 査 内 容
1 ) 学 生 の 実 習 イ メ ー ジ
学 生 の 実 習 イ メ ー ジ を 問 う た め 、 「 実 習 に つ い て ど の よ う な イ メ ー ジ を 抱 い て い ま す か 」と 尋 ね 、A4 サ イ ズ の 用 紙 に 自 由 記 述 を 求 め た 。
2 ) 学 生 が 抱 く 不 安
学 生 が 感 じ て い る 小 児 実 習 に 対 す る 不 安 は 、肥 田 野 ら
(2009)が 作 成 し た 新 版 STAI を 使 用 し た 。 状 態 不 安 の 質 問 で あ る 「 1.穏 や か な 気 持 ち だ 」、「 2. 安 心 し て い る 」、「 3.
緊 張 し て い る 」、 「 4.ス ト レ ス を 感 じ て い る 」、
「 5.気 楽 で あ る 」、 「 6.気 が 動 転 し て い る 」、
「 7.何 か 良 く な い こ と が 起 こ る の で は な い か と 心 配 し て い る 」、「 8. 満 足 し て い る 」、
「 9. お び え て い る 」、「 10. 快 適 で あ る 」、
「 11. 自 信 が あ る 」、「 12. 神 経 過 敏 に な っ て い る 」、「 13. い ら い ら し て い る 」、「 14.
た め ら っ て い る 」、「 15. く つ ろ い で い る 」、
「 16.満 ち 足 り た 気 分 だ 」、 「 17.悩 み が あ る 」、
「 18. ま ご つ い て い る 」、「 19. 安 定 し た 気 分 だ 」、 「 20.楽 し い 気 分 だ 」の 20 項 目 に つ い て 回 答 を 求 め た 。状 態 不 安 の 回 答 は 、 「 全 く あ て は ま ら な い 」 か ら 「 非 常 に よ く あ て は ま る 」の 4 件 法 (1 点 か ら 4 点 )を 用 い た 。
5 . 分 析 方 法
1 ) 学 生 の 実 習 メ ー ジ
学 生 の 実 習 イ メ ー ジ は 、 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ (KHcoder フ リ ー ソ フ ト ウ エ ア )の 手 法 を 用 い た 。 実 習 イ メ ー ジ の 内 容 は 、 テ キ ス ト デ ー タ を 計 量 的 方 法 に よ っ て 分 析 し 、 形 式 化 さ れ て い な い 膨 大 な テ キ ス ト デ ー タ か ら 言 葉 同 士 に 見 ら れ る パ タ ー ン や 規 則 性 を 見 つ け 、 役 に 立 ち そ う な 知 識 、 情 報 を 取 り 出 し た 。 一 度 、 出 現 回 数 を 分 析 し 、 出 現 回 数 の 上 位 150 語 ま で の 用 語 の 中 で 、 同 じ 用 語 が 異 な る 3 語 と し て 抽 出 さ れ た も の は 、 強 制 抽 出 し て 元 デ ー タ の 前 処 理 を 行 っ た
(樋 口
,2014; 服 部,2010; 服 部,2013)。
本 調 査 で は 、 ① か ら ③ の 流 れ に 沿 っ て 分 析 し た 。
① 学 生 の 実 習 イ メ ー ジ と 不 安 に つ い て そ れ ぞ れ 使 用 頻 度 の 高 い 用 語 を 明 ら か に す る た め に 、 用 語 の 出 現 頻 度 順 に 並 べ 替 え を 行 っ た 。
② 用 語 同 士 の 関 連 を み る た め に 、 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク を 作 成 し た 。 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク と は 、 文 章 内 の 関 連 が 深 い 用 語 を 結 び 可 視 化 で き る よ う に 表 現 し た も の で あ る 。
③ 出 現 パ タ ー ン の 似 通 っ た 用 語 の 組 み 合 わ せ を 検 討 す る た め に 、 ク ラ ス タ ー 分 析 を 行 っ た 。 ク ラ ス タ ー 分 析 と は 、 類 似 し た 用 語 の 組 み 合 わ せ を 表 現 し た も の で あ る 。
2 ) 学 生 が 抱 く 不 安
学 生 が 小 児 実 習 に 抱 く 不 安 は 、55 点 以 上 を〈 高 不 安 〉、45 点 以 上 55 点 未 満 を〈 不 安 〉、
45 点 未 満 を〈 低 不 安 〉と し て 新 版 STAI の 3
段 階 の 基 準 に 沿 っ て 集 計 し た
(肥 田 野
ら
,2009)。 参 加 群 と 非 参 加 群 の 小 児 実 習 に
抱 く 不 安 に 差 が な い か を 見 る た め に 、 2 群
間 に 対 し χ
2検 定 を 用 い て 分 析 し た 。 ま た 、
小 児 実 習 前 後 の 不 安 は 平 均 値 ±標 準 偏 差 で
示 し 、得 点 は Mann-Whitney U 検 定 を 用 い て
参 加 群 と 非 参 加 群 の 不 安 の 得 点 に 差 が な い
か 分 析 し た 。 な お 、 本 研 究 の 統 計 学 的 有 意 水 準 は 全 て 5% 未 満 と し た 。
Ⅴ . 倫 理 的 配 慮
実 習 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン の 終 了 後 、 対 象 者 に 本 研 究 の 目 的 、 意 義 、 方 法 、 参 加 の 自 由 、 個 人 情 報 の 保 証 、 研 究 に 参 加 し な く て も 学 業 上 の 不 利 益 が な い こ と な ど を 文 書 及 び 口 頭 で 説 明 し 同 意 を 得 た 。 ま た 、 対 象 者 が 回 答 し た 研 究 同 意 書 は 対 象 者 自 身 で 封 筒 に 入 れ 所 定 の 場 所 に 置 か れ た 回 収 箱 へ 投 入 す る 方 法 で 回 収 し た 。 回 答 用 紙 は 、 記 号 化 し て 、 個 人 が 特 定 さ れ な い よ う に デ ー タ 化 し た 。
な お 、 本 研 究 は 、 著 者 の 所 属 し て い た 大 学 の 研 究 倫 理 委 員 会 よ り 2015 年 10 月 9 日 付 (承 認 番 号 124)、 2016 年 6 月 30 日 付 (承 認 番 号 R16- 1)で そ れ ぞ れ 承 認 を 得 た 。
Ⅵ . 結 果
対 象 者 69 人 の う ち 同 意 が 得 ら れ た の は 53 人 (76.8% )で あ っ た 。欠 損 回 答 や 未 記 入 の 16 人 を 省 い た 結 果 、37 人( 53.6% )が 有 効 回 答 で あ っ た 。 内 訳 は 、 参 加 群 22 人 (62.9% )、非 参 加 群 15 人 (83.3% )で あ っ た 。
1 . 学 生 の 実 習 に 対 す る イ メ ー ジ 1 ) 小 児 実 習 前
( 1 ) 抽 出 語 の 出 現 頻 度
参 加 群 の 抽 出 語 の 出 現 頻 度 は 、 総 抽 出 語 数 は
759語 で あ り 、異 な り 語 数 は
250語 で あ っ た 。 出 現 頻 度 が
3回 以 上 の 用 語 は 、
26語 抽 出 さ れ た 。
非 参 加 群 の 総 抽 出 語 数 は
475語 で あ り 、 異 な り 語 数 は
182語 で あ っ た 。 出 現 頻 度 が
3回 以 上 の 用 語 は 、
15語 抽 出 さ れ た
(表
2)。表
2 小 児 実 習 前 の 3回 以 上 の 抽 出 語
抽 出 語 の 中 で 、 参 加 群 と 非 参 加 群 の 両 群 に 共 通 し た 用 語 は 、 「 不 安 」、 「 怖 い 」、 「 不 足 」、
「 精 神 」 な ど
9語 で あ っ た 。
参 加 群 の 使 用 率 は 、 「 不 安 」は
5.99% で あ り 、「 怖 い 」 は
3.75% で あ っ た 。
非 参 加 群 の 使 用 率 は 、 「 看 護 」と「 患 者
(患 児
)」 は 4.22%で あ り 、「 課 題 」 は 3.01% で あ り 、「 実 習 」 は
2.41%で あ り 、「 不 足 」 と「 精 神 」、 「 大 変 」は
1.18% で あ っ た(図 1)。
図
1 小 児 実 習 前 の 参 加 群 と 非 参 加 群 の共 通 抽 出 語 の 使 用 率
( 2 ) 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク ・ ク ラ ス タ ー 分 析
① 参 加 群
関 連 が 深 い 用 語 の 結 び を 示 す 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析 の 結 果 (図 2)、5 つ の ネ ッ ト ワ ー ク が 抽 出 さ れ た 。 1 つ 目 は 、「 不 安 」が 抽 出
2.62 2.25 2.25
1.87 1.5 1.12 1.12
3.75 5.99
4.22 3.01 4.22
2.41 1.81 1.81 1.81
3.01 3.61
0% 50% 100%
患者 課題 看護 実習 大変 精神 不足 怖い 不安
使用率 (%) 抽出語
参加群 非参加群
語 の 中 心 で あ り 、「 患 者 (患 児 )」、「 技 術 」、
「 不 足 」、 「 多 い 」が 結 び つ い て い た 。2 つ 目 は 、中 心 に 抽 出 さ れ た 語 は「 怖 い 」で あ り 、
「 看 護 」、「 グ ル ー プ 」、「 イ メ ー ジ 」、「 上 手 い 」が 結 び つ い て い た 。3 つ 目 は 、 「 時 間 」、
「 睡 眠 」、 「 課 題 」、 「 追 う 」、 「 体 調 」、 「 崩 す 」、
「 大 変 」、 「 実 習 」が 結 び つ い て い た 。4 つ 目 は 、 「 ス ト レ ス 」、 「 体 力 」、 「 怒 る 」、 「 精 神 」、
「 勉 強 」 が 結 び つ い て い た 。5 つ 目 は 、「 忙 し い 」、「 寝 る 」 が 結 び つ い て い た 。
参 加 群 の ク ラ ス タ ー 分 析 の 結 果 は 、 5 つ の ク ラ ス タ ー が 判 断 さ れ 、 各 ク ラ ス タ ー に 含 ま れ る 語 は 2 語 か ら 6 語 で あ っ た 。 Cluster1 は 、「 看 護 」 -「 大 変 」 -「 体 調 」 -
「 崩 す 」-「 病 院 」-「 実 習 」で あ っ た 。Cluster2 は 、 「 睡 眠 」-「 忙 し い 」-「 課 題 」-「 寝 る 」 -「 追 う 」-「 時 間 」で あ っ た 。Cluster3 は 、
「 不 安 」-「 怖 い 」-「 上 手 い 」-「 グ ル ー プ 」 -「 患 者 (患 児 )」 -「 イ メ ー ジ 」 で あ っ た 。 Cluster4 は 、 「 多 い 」-「 技 術 」-「 不 足 」で あ っ た 。Cluster5 は 、 「 体 力 」-「 怒 る 」-「 ス ト レ ス 」 -「 勉 強 」 -「 精 神 」 で あ っ た 。
図
2 小 児 実 習 前 の 参 加 群 の共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析
② 非 参 加 群
非 参 加 群 の 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析 の 結 果 (図 3)か ら 4 つ ネ ッ ト ワ ー ク が 抽 出 さ れ た 。1 つ 目 は 、 「 看 護 」と「 患 者 (患 児 )」
が 、抽 出 語 の 中 心 で あ り 、 「 自 分 」、 「 知 識 」、
「 不 足 」、「 学 習 」、「 行 う 」 が 結 び つ い て い た 。2 つ 目 は 、 「 勉 強 」、 「 大 変 」、 「 精 神 」 が 結 び つ い て い た 。3 つ 目 は 、 「 不 安 」、 「 実 習 」、 「 課 題 」が 結 び つ い て い た 。4 つ 目 は 、
「 指 導 」、「 怖 い 」 と 結 び つ い て い た 。 非 参 加 群 の ク ラ ス タ ー 分 析 の 結 果 は 、 4 つ の ク ラ ス タ ー が 判 断 さ れ 各 ク ラ ス タ ー に 含 ま れ る 語 は 2 語 か ら 5 語 で あ っ た 。 Cluster1 は 、 「 勉 強 」-「 大 変 」-「 精 神 」 -「 行 う 」で あ っ た 。Cluster2 は 、 「 看 護 」 -「 患 者 (患 児 )」-「 学 習 」-「 知 識 」-「 自 分 」で あ っ た 。Cluster3 は 、 「 指 導 」-「 怖 い 」で あ っ た 。Cluster4 は 、 「 不 安 」-「 課 題 」 -「 実 習 」 -「 不 足 」 で あ っ た 。
図
3 小 児 実 習 前 の 非 参 加 群 の共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析
2 ) 小 児 実 習 後
( 1 ) 抽 出 語 の 出 現 頻 度
参 加 群 の 抽 出 語 の 出 現 頻 度 は 、 総 抽 出 語 数 は
739語 で あ り 、異 な り 語 数 は
231語 で あ っ た 。 出 現 頻 度 が
3回 以 上 の 用 語 は 、
22語 抽 出 さ れ た 。
非 参 加 群 の 総 抽 出 語 数 は
622語 で あ り 、
異 な り 語 数 は
223語 で あ っ た 。 出 現 頻 度 が
3回 以 上 の 用 語 は 、
19語 抽 出 さ れ た
(表 3)。
表
3 小 児 実 習 後 の 3回 以 上 の 抽 出 語
抽 出 語 の 中 で 、 参 加 群 と 非 参 加 群 の 両 群 に 共 通 し た 用 語 は 、 「 楽 し い 」、 「 思 う 」、 「 イ メ ー ジ 」、 「 小 児 」、 「 子 ど も 」な ど
11語 あ っ た 。
参 加 群 の 使 用 率 は「 子 ど も 」は
4.33% であ り 、「 楽 し い 」 は
3.46% で あ り 、「 イ メ ージ 」 は
3.9% で あ り 、「 小 児 」 と 「 思 う 」 は
3.03% で あ っ た 。非 参 加 群 の 使 用 率 は 、「 患 者
(患 児
)」 は
5.38% で あ り 、「 関 わ る 」は
2.69% で あ り 、「 看 護 」と「 実 習 」は
2.24% で あ り 、 「 難 し い 」 は
1.79% で あ り 、「 大 切 」 は
1.35で あ っ た
(図 4)。図
4 小 児 実 習 後 の 参 加 群 と 非 参 加 群 の共 通 抽 出 語 の 使 用 率
( 2 ) 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク ・ ク ラ ス タ ー 分 析
① 参 加 群
参 加 群 の 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析 の 結 果
(図 5)か ら 、4つ の ネ ッ ト ワ ー ク が 抽 出 さ れ た 。
1つ 目 は 、「 患 者
(患 児)」 が 抽 出 語 の 中
心 で あ り 、 「 家 族 」、 「 ケ ア 」、 「 難 し い 」が 結 び つ い て い た 。
2つ 目 は 、「 イ メ ー ジ 」、「 抱 く 」、 「 看 護 」、 「 実 習 」、 「 小 児 」、 「 大 切 」、 「 実 際 」が 結 び つ い て い た 。
3つ 目 は 、 「 子 ど も 」、
「 関 わ る 」、 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」、 「 大 変 」、
「 思 う 」、「 感 じ る 」、「 緊 張 」 が 結 び つ い て い た 。
4つ 目 は 、「 楽 し い 」、「 受 け 持 つ 」 が 結 び つ い て い た 。
参 加 群 の ク ラ ス タ ー 分 析 の 結 果 は 、
5つ の ク ラ ス タ ー が 判 断 さ れ 、 各 ク ラ ス タ ー に 含 ま れ る 語 は
3語 か ら
6語 で あ っ た 。
Cluster1は 、 「 家 族 」
-「 ケ ア 」
-「 大 変 」
-「 大 切 」-「 思 う 」-「 抱 く 」で あ っ た 。Cluster2 は 、「 子 ど も 」
-「 関 わ る 」-「 コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン 」
-「 難 し い 」
-「 緊 張 」 で あ っ た 。
Cluster3は 、「 患 者 」
-「 楽 し い 」-「 笑 顔 」 で あ っ た 。
Cluster4は 、「 実 際 」
-「 受 け 持 つ 」
-「 イ メ ー ジ 」 で あ っ た 。Cluster5は 、
「 小 児 」
-「 看 護 」-「 実 習 」-「 感 じ る 」 であ っ た 。
図
5 小 児 実 習 後 の 参 加 群 の共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析
② 非 参 加 群
非 参 加 群 の 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析 結 果
(図
6)か ら 、
3つ の ネ ッ ト ワ ー ク が 抽 出 さ れ た 。1 つ 目 は 、「 患 者 」が 抽 出 語 の 中 心 で あ り 、 「 楽 し い 」、 「 実 習 」、 「 関 わ る 」、 「 難 し い 」 が 結 び つ い て い た 。
2つ 目 は 、「 看 護 」、「 イ
4.333.03 3.9 3.46
3.03 2.16 2.16 1.73
1.3 3.46 1.3
1.79 1.79 2.24 5.38
1.79 2.24 2.24 2.69
1.35 1.79 1.79
0% 50% 100%
子ども 小児 イメージ 患者 思う 看護 実習 関わる 大切 楽しい 難しい
使用率 (%) 抽出語
参加群 非参加群
メ ー ジ 」、 「 小 児 」、 「 成 人 」、 「 大 切 」、 「 違 う 」 が 結 び つ い て い た 。3 つ 目 は 、「 援 助 」、「 自 身 」、「 方 法 」、「 出 来 る 」、「 思 う 」 が 結 び つ い て い た 。
非 参 加 群 の ク ラ ス タ ー 分 析 結 果 は 、
4つ の ク ラ ス タ ー が 判 断 さ れ 、 各 ク ラ ス タ ー に 含 ま れ る 語 は
2語 か ら
7語 で あ っ た 。
Cluster1は 、 「 子 ど も 」
-「 大 切 」で あ っ た 。
Cluster2は 、 「 情 報 」
-「 小 児 」
-「 成 人 」
-「 看 護 」-「 違 う 」- 「 難 し い 」- 「 イ メ ー ジ 」- 「 情 報 」 で あ っ た 。
Cluster3は 、「 自 身 」
-「 出来 る 」
-「 援 助 」
-「 方 法 」で あ っ た 。
Cluster4は 、 「 楽 し い 」- 「 患 者 」- 「 関 わ る 」- 「 思 う 」
-「 実 習 」 で あ っ た 。図
6 小 児 実 習 後 の 非 参 加 群 の共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 分 析
2 ) 学 生 が 抱 く 不 安
( 1 ) 小 児 実 習 前
① 参 加 群
小 児 実 習 前 に 参 加 群 が 抱 く 不 安 は
53.1±13.0
で あ っ た 。不 安 の 割 合 は 、 〈 高 不 安 〉の 学 生 は
9人
(40.9%
)で あ り 、〈 不 安 〉の 学 生は
8人
(36.4%
)で あ り 、〈 低 不 安 〉の 学 生 は 5人
(22.7%
)で あ っ た 。
② 非 参 加 群
小 児 実 習 前 に 非 参 加 群 が 抱 く 不 安 は
57.1±9.3 で あ っ た 。 不 安 の 割 合 は 、〈 高 不 安 〉 の 学 生 は
10人
(66.7%)で あ り 、〈 不 安 〉 の
学 生 は
4人
(26.7%)で あ り 、〈 低 不 安 〉の 学生 は
1人
(6.7%)で あ っ た 。
( 2 ) 小 児 実 習 後
① 参 加 群
小 児 実 習 後 に 参 加 群 が 抱 く 不 安 は
48.8±6.9
で あ り 、小 児 実 習 前 の
53.1±13.0と 比 較 し 減 少 し 、 小 児 実 習 前 後 の 両 群 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た
(p=.012)。
(図 7)。不 安 の 割 合 で は 、 〈 低 不 安 〉の 学 生 は
5人
(22.7%
)で あ り 、〈 不 安 〉 の 学 生 は
15人
(68.2%
)で あ り 、〈 高 不 安 〉 の 学 生 は
2人
(9.0%)で あ っ た 。 実 習 前 後 の 両 群 間 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ た
(p=.037)。(図
8)。
② 非 参 加 群
小 児 実 習 後 の 非 参 加 群 は 、46.8 ±10.0 で あ り 、小 児 実 習 前
57.1±9.3と 比 較 す る と 減 少 し 、 小 児 実 習 前 後 の 両 群 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た
(p=.004)(図 7)。不 安 の 割 合 で は 、 〈 低 不 安 〉の 学 生 は
6人
(40.0%
)で あ り 、〈 不 安 〉 の 学 生 は
6人
(40.0%
)で あ り 、〈 高 不 安 〉 の 学 生 は
3人
(20.0%
)で あ っ た 。 実 習 前 後 の 両 群 間 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ た
(p=.021 )(図 8)。図
7 小 児 実 習 前 後 の 不 安図
8 小 児 実 習 前 後 の 不 安 の 割 合 46.848.8 57.1 53.1
0 20 40 60 80
非参加群 参加群
得点
実習前 実習後
40.0 6.7
22.7 22.7
40.0 26.7
68.2 36.4
20.0 66.7
9.0 40.9
0 20 40 60 80 100
実習後 実習前 実習後 実習前
非参加群参加群
(%) 低不安 不安 高不安
Ⅶ . 考 察
1 . 学 生 の 実 習 に 対 す る イ メ ー ジ
実 習 イ メ ー ジ は 、小 児 実 習 前 の 参 加 群 は 、
「 患 児 」 に 対 し て 行 う 「 多 く 」 の 看 護 「 技 術 」が「 不 足 」し て い る の で は な い か と「 不 安 」 を イ メ ー ジ し て い た 。 ま た 、 実 習 「 グ ル ー プ 」 の 中 で 「 上 手 く 」 関 係 性 が 保 て る の か 、 学 生 間 の 人 間 関 係 に つ い て 「 怖 い 」 と 思 っ て い た 。自 己 学 習 の「 課 題 」に「 追 」 わ れ て い る 状 況 が 推 察 さ れ 、 「 睡 眠 」 「 時 間 」 の 確 保 の 難 し さ や 「 体 調 」 を 「 崩 す 」 危 惧 を し 「 実 習 」 が 「 大 変 」 と 感 じ て い た と 考 え ら れ る 。ま た 、 「 勉 強 」で「 忙 し く 」、教 員 等 に 「 怒 ら れ る 」 の で は な い か と 「 ス ト レ ス 」 を 感 じ 、 自 分 自 身 の 現 状 か ら 「 体 力 」 面 や「 寝 る 」時 間 に 着 目 し 実 習 に 対 し て 様 々 な 不 安 を イ メ ー ジ し て い た 。
小 児 実 習 前 の 非 参 加 群 で は 、 「 勉 強 」は「 精 神 」的 に「 大 変 」と 感 じ て い た 。 「 看 護 」を 実 践 す る 上 で 「 知 識 」 が 必 要 で あ る が 、 学 習「 不 足 」と「 課 題 」が「 不 安 」で あ る と イ メ ー ジ し て い た 。 ま た 、「 指 導 」 が 「 怖 い 」 の で は な い か と 感 じ て い た 。
小 児 実 習 後 の 参 加 群 は 、 「 患 児 」と「 家 族 」 へ の 看 護 「 ケ ア 」 は 「 大 切 」 で あ る と イ メ ー ジ し て い た 。 「 子 ど も 」と「 関 わ る 」中 で
「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 は 「 緊 張 」 し 「 難 し い 」と 感 じ た が 、 「 患 児 」の「 笑 顔 」は「 楽 し い 」と イ メ ー ジ し て い た こ と が 分 か っ た 。
小 児 実 習 後 の 非 参 加 群 は 、 「 小 児 」と「 成 人 」は「 違 い 」、「 難 し 」く 、「 情 報 」が「 大 切 」で あ る と イ メ ー ジ し て い た 。 「 患 児 」と
「 関 わ る 」こ と は「 楽 し い 」と 感 じ て い た 。 参 加 群 と 非 参 加 群 の 両 群 の 共 通 は 、 実 習 前 で は 、 不 安 や 大 変 な ど ネ ガ テ ィ ブ な イ メ ー ジ を 表 し 、 小 児 実 習 後 で は 、 患 児 と 関 わ る 難 し さ を 感 じ る 反 面 で 患 児 と 関 わ る 楽 し さ を 示 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 近 年 の 少 子 化 に よ り 子 ど も を 想 像 し か つ 疾 患 を 持 つ 子 ど も を イ メ ー ジ す る こ と は 容 易 で
は な い
(五 木 田
,2006; 宮 崎
,2006; 清 水
,2012)。中 で も 、学 生 は 患 児 へ の 対 応 や 看護 技 術 に 関 す る も の に 着 目 し 、 知 識 と 技 術 の 向 上 も 必 要 と 感 じ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。
両 群 の 違 い は 、 参 加 群 は 小 児 実 習 前 に 人 間 関 係 や 体 力 面 に 不 安 を イ メ ー ジ し 、 小 児 実 習 後 に 看 護 技 術 が 難 し い と 思 う 中 で 看 護 の 対 象 を 患 児 と 家 族 に 視 野 を 広 げ る こ と が で き て い た 。 こ の こ と か ら 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 影 響 と し て 家 族 看 護 の 視 点 を 持 つ こ と が で き た と 考 え ら れ る 。
一 方 で 、 非 参 加 群 は 「 家 族 」 に つ い て の 記 載 は な く 、 看 護 学 生 の 知 識 不 足 を 感 じ な が ら 実 習 課 題 に 対 し 不 安 を イ メ ー ジ し 、 小 児 と 成 人 の 違 い を 感 じ 情 報 の 大 切 さ を 感 じ て い た こ と が 明 ら か に な っ た 。
2 . 学 生 が 抱 く 不 安
小 児 実 習 前 の 非 参 加 群 は 、 参 加 群 よ り 高 不 安 を 示 す 割 合 と 不 安 の 得 点 が 高 い こ と か ら 、 小 児 実 習 に 抱 く 不 安 が 強 い と 言 え る 。 そ の た め 、 小 児 実 習 前 の 教 育 支 援 を 任 意 で は な く 学 生 全 員 が 受 け ら れ る 環 境 を 整 え る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。
小 児 実 習 後 の 不 安 は 、 参 加 群 非 参 加 群 と も に 減 少 し て い た 。 小 児 実 習 が 終 わ り 安 堵 し 不 安 が 減 少 し た と 思 わ れ る 。 一 方 で 、 小 児 実 習 後 も 高 不 安 を 示 す 学 生 が い る 。 そ の 不 安 内 容 は 明 確 で は な い が 実 習 期 間 に 不 安 状 態 が 持 続 し た ま ま に な ら な い よ う に 学 生 へ の 個 別 対 応 を 行 い 不 安 の 軽 減 に 努 め る 必 要 が あ る と 考 え る 。 精 神 的 な サ ポ ー ト だ け で は な く シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 と い っ た 教 育 支 援 も 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。
3 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育
小 児 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 学
習 目 標 と し て 学 生 が 患 児 や 家 族 と の コ ミ ュ
ニ ケ ー シ ョ ン 方 法 が 理 解 で き る こ と を あ げ 、
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 中 で 家 族 と の 関 り に 取 り 組 ん だ 。 小 児 実 習 後 の 参 加 群 は 、 患 児 だ け で な く 家 族 を 含 む 看 護 を 体 験 し て い た こ と か ら 小 児 実 習 前 に 実 習 の 場 で 家 族 と の 関 わ り を 意 識 で き た と 推 測 で き る 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 は 、 事 実 そ の も の で は な く 模 擬 と い う 手 段 に よ っ て 真 似 し 、 再 現 し た も の で あ る が 、模 擬 的 な 手 段 で あ っ て も 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に あ る 技 能 や 概 念 の 獲 得 と い っ た 目 標 達 成 を 目 指 し た 模 擬 的 状 況 が 設 定 で き れ ば 、 学 生 は そ の 状 況 と 関 わ り な が ら 知 識 や 技 能 を 獲 得 で き る( 加 藤
,2015)。学 生 が 緊 張 す る 病 院 実 習 の 場 で 患 児 以 外 に 家 族 に 視 野 を 広 げ る こ と が 出 来 た の は 、 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 に よ っ て 実 習 を イ メ ー ジ す る こ と が で き た た め で あ る と 考 え る
(阿 部,2013b; 玉 井,2015)。 乳 幼 児 ・ 小 児 期 で は 、 成 長 発 達 ・ 健 康 問 題 の 支 援 の 必 要 性 と こ れ ら を 育 む 家 族 へ の 支 援 の 必 要 性 を 判 断 し 看 護 計 画 を 作 り 支 援 す る と 報 告 が あ る よ う に
(厚 生 労 働 省
,2011)、家 族 看 護 の 必 要 性 に 気 づ け た こ と は 大 き な 意 義 が あ っ た と 考 え ら れ る 。
ま た 、 小 児 実 習 後 の 学 生 は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 難 し さ を 示 し て い た こ と か ら 、 少 子 化 や 核 家 族 化 な ど 近 年 の 社 会 的 な 背 景 に 伴 い 学 生 が 子 ど も と 接 触 す る こ と が 少 な く な っ て い る こ と か ら シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 な ど 模 擬 的 状 況 が 設 定 さ れ た 中 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 向 上 を 図 る 機 会 を 増 や す 必 要 が あ る と 考 え る 。
4 . 教 員 の 役 割
小 児 実 習 は 、 机 上 の 知 識 や 看 護 技 術 に 加 え て 、 患 児 、 家 族 、 医 療 ス タ ッ フ と の 人 間 関 係 へ の 対 応 な ど 、 応 用 力 が 要 求 さ れ る ス ト レ ス の 多 い 学 習 で あ る と 指 摘 さ れ て い る
(亀 田,1994)。 西 田
(2003)は 、 教 員 の 役 割 と し て は 患 児 と 家 族 、 学 生 間 、 医 療 ス タ ッ フ と の 関 係 性 づ く り が 良 好 に 得 ら れ る よ う な
工 夫 を し 、 実 習 前 の 準 備 段 階 か ら 教 育 効 果 を 考 慮 し た 調 整 が 重 要 で あ る と 述 べ て い る 。
教 員 は 、 学 生 に と っ て 日 常 の 環 境 で あ る 学 内 な ど 安 心 で き る 学 習 環 境 を 整 え る こ と も 必 要 で あ る こ と が 分 か っ た 。 安 心 で き る 学 習 環 境 の 中 で シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 を 実 施 す る こ と は 、 病 院 実 習 な ど の 場 面 の 疑 似 体 験 を と お し て 学 生 が 課 題 を 発 見 し 解 決 に 必 要 な 知 識 や 技 術 を 体 験 し 実 感 す る こ と が で き る 。 山 田
(2014)と 谷 口
(2012)が 述 べ る よ う に 、 学 習 が 動 機 づ け ら れ 、 続 く 実 習 に 対 す る 心 理 的 適 応 も 促 さ れ る 。 実 習 前 の 準 備 段 階 か ら 学 生 が 安 心 で き る 学 習 環 境 の 提 供 を す る こ と が 大 切 で あ る と 考 え る 。
Ⅷ . お わ り に
本 研 究 で は 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 導 入 の 有 無 が 看 護 学 生 の 小 児 実 習 に 与 え る イ メ ー ジ と 不 安 を 明 ら か に す る こ と で あ っ た 。 小 児 実 習 前 の 実 習 イ メ ー ジ は 、 両 群 共 に 知 識・技 術 の「 不 足 」や「 怖 い 」な ど 不 安 を 示 し 、小 児 実 習 後 は「 難 し い 」や「 楽 し い 」な ど を イ メ ー ジ し て い た 。 両 群 の 違 い は 、 参 加 群 は 、 小 児 実 習 前 に 人 間 関 係 や 体 力 面 に 不 安 を イ メ ー ジ し 、 小 児 実 習 後 に 看 護 技 術 が 難 し い と 思 う 中 で 看 護 の 対 象 を 患 児 に 留 め ず 家 族 に も 視 野 を 広 げ 小 児 実 習 に 取 り 組 ん で い た 。 こ の こ と か ら 小 児 実 習 前 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 の 実 施 に よ る 影 響 は 、 家 族 へ の 関 わ り を 模 擬 的 イ メ ー ジ で き た 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ る 。 一 方 で 、 非 参 加 群 は 、 学 生 の 知 識 不 足 を 感 じ な が ら 実 習 課 題 に 対 し 不 安 を イ メ ー ジ し 、 小 児 と 成 人 の 違 い を 感 じ 情 報 の 大 切 さ を 感 じ て い た こ と が 明 ら か に な っ た 。
小 児 実 習 後 の 参 加 群 非 参 加 群 と も に 学 生
は 、 不 安 の 得 点 と 高 不 安 を 示 す 割 合 は 減 少
し 、 実 習 終 了 し た こ と の 安 堵 を 示 し て い る
と 考 え る 。 し か し 、 小 児 実 習 後 も 高 不 安 を
示 す 学 生 が い た た め 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教
育 な ど の 教 育 支 援 や 心 理 的 支 援 が 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。 ま た 、 小 児 実 習 前 の 非 参 加 群 は 、 参 加 群 よ り 高 不 安 を 示 す 割 合 と 平 均 値 と も に 高 い こ と が 分 か っ た こ と か ら 、 教 員 は 、 常 に 学 生 が 安 心 で き る 学 習 環 境 を 整 え て い く 必 要 が あ る と 考 え る 。
本 研 究 は 、 学 生 が 他 領 域 の 実 習 に 参 加 し た 経 験 に よ る 学 習 の 影 響 を 考 慮 し て い な い 。 そ の た め 、 結 果 が 他 領 域 の 実 習 の 経 験 に よ り 、 イ メ ー ジ や 不 安 に 影 響 を 与 え て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 育 を 実 施 す る 時 期 な ど も 今 後 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え る 。
謝 辞
調 査 に ご 協 力 い た だ い た 対 象 学 生 の 皆 様 に 心 か ら 感 謝 い た し ま す 。 ま た 、 調 査 や 研 究 の 場 を ご 提 供 く だ さ い ま し た 看 護 学 科 の 教 職 員 の 皆 様 に 深 く 感 謝 い た し ま す 。
本 稿 は 、大 学 院 修 士 論 文 と 第 37 回 日 本 看 護 科 学 学 会 学 術 集 会 に お い て 発 表 し た も の を 大 幅 に 加 筆 修 正 し た も の で あ る 。
引 用 文 献
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