新旧幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領の音楽科に関する 内容と教育方法の特色と課題
山口(藤田)文子*
(2017 年 8 月 31 日受理)
Contents and Contents of Educational Method
and Subjects Concerning the Music Department of Instructional Guidelines of Old and New Kindergarten Education, Elementary and Junior High School.
Ayako Yamaguchi (Fujita) * (Accepted August 31, 2017)
はじめに
平成29年3月31日,幼稚園教育要領,小・中学校の学習指導要領が告示された。
こういった音楽科教育の根幹をなす改定に際して,決して多いとは言い難い状況にある先行研究1) について見渡すと,今回検討を加えることは,時期尚早ととらえる考え方もあろう。しかしながら 今の時点で考察を加えることは,教育の新しい局面に向けて準備を行うという観点に立てば,意義 のあることと言えるのではないだろうか。
本論文では,こういった視点を基に,平成29年3月告示の幼稚園教育要領,小・中学校の音楽 科について,学習指導要領で示された文言,本論文ですでに示した先行研究なども参照し,内容と 教育方法の特色と課題について検討を行うこととする。
まず,今回の改定で,どの学校段階でも共通的に該当する事項を,文部科学省初等中等教育局教 育課程課教育課程企画室から出されている,A.(以下,英大文字は筆者附記)「幼稚園教育要領,小・
中学校学習指導要領等の改定のポイント2)」から,音楽科に関係する事項を中心に言及する(「幼 稚園教育要領小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連と標記する)。
その上で,それらがあまねく敷衍されている,B. 幼稚園教育要領,C. 小学校,D. 中学校の順で 新旧の幼稚園教育要領表現(音楽),もしくは学習指導要領の音楽科の内容と教育方法の特色と課 題について,特に相違点に着目して考察する。最後にまとめにかえてで,総括的に特色と課題につ いて取り扱うこととする。
*茨城大学教育学部音楽教育研究室(〒310-8512 水戸市文京2-1-1; Laboratory of Music Education, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).
A.「幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連
ここでは,1.今回の改定の基本的な考え方,2.知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・
対話的で深い学び」,3.各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立,4.教育内容の主な 改善事項の順で述べている。本論文もこの順序で,主に音楽科に関連することを中心に言及するこ ととする。
1.今回の改定の基本的な考え方
ここでは教育基本法,学校教育法などを踏まえ,子供たちが未来社会を切り拓くための資質・
能力を一層確実に育成することを提言している。
さらに現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で,知識の理解の質をさらに高め,
豊かな学力を育成するとしている。
道徳教育の充実や体験活動の重視などにより,豊かな心や健やかな体を育成するとしている。
2.知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」
ここでは,「『何ができるようになるか』を明確化」,「我が国の教育実践の蓄積に基づく授業 改善」の二つに分けて述べている。
「『何ができるようになるか』を明確化」では,「知・徳・体にわたる「生きる力」を子供た ちに育むため,「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら,授業の創意工夫や 教科書の教材の改善を引き出していけるよう,すべての教科等を,①知識及び技能,②思考力,
判断力,表現力等,③学びに向かう力,人間性等の三つの柱で再整理」している。
「我が国の教育実践の蓄積に基づく授業改善」では,「我が国のこれまでの教育実践に基づく 授業改善の活性化により,子供たちの知識の理解の質の向上を図り,これからの時代に求めら れる資質・能力を育んでいくことが重要。・・・・・・これまでの教育実践を若手教員にしっ かり引き継ぎつつ,授業を工夫・改善する必要」を説いている。また,「既に行われている優 れた教材・指導案などの集約・共有化し,各種研修や授業研究,授業準備での活用のために提 供するなどの支援の充実」を提案している。
3.各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立
ここでは,「学習の基盤となる資質・能力の育成(言語能力,情報活用能力,問題発見・解 決能力等)や現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成のためには,教科等横断 的な学習を充実する必要」があるなどとしている。「『主体的・対話的で深い学び』の充実には 単元など数コマ程度の授業のまとまりの中で,習得・活用・探求のバランスを工夫することが 重要」であるとしている。そのため,カリキュラム・マネジメントの確立について説いている。
4.教育内容の主な改善事項
ここでは,「言語能力の確実な育成」,「理数教育の充実」,「伝統や文化に関する教育の充実」,
「道徳教育の充実」,「体験活動の充実」,「外国語教育の充実」に分けて論述している。
以下,特に音楽科に関連する事項を中心に取り上げることとする。
「言語能力の確実な育成」では,「発達段階に応じた,語彙の確実な習得,意見と根拠,具体 と抽象を押さえて考えるなど情報を正確に理解し適切に表現する力の育成(小中:国語)」と したうえで,「学習の基盤としての各教科等における言語活動(実験レポートの作成,立場や根
拠を明確にして議論することなど)の充実(小中:総則,各教科等)」を強調している。特に 音楽科では,こういった文脈で,歌詞の内容理解などの,言語能力から入り,さらに音楽表現 に結び付ける,この結果を十分に話し合うなど,更なる学習活動が期待されていると筆者は判 断している。
「理数教育の充実」についてであるが,筆者の考えでは,一見音楽科と一切のかかわりを持 たないと判断されがちであるが,そうではなく,ここで示された,「日常生活等から問題を見 いだす活動(小:算数,中:数学)や見通しをもった観察・実験(小中:理科)」など,音楽 科の音符,休符,拍感,形式,様式感などへの広がりも考えられ,重要性が感じられる。また
「必要なデータを収集・分析し,その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育の充実(小:
算数,中:数字)」などが言及されているが,音楽科の表現や鑑賞のなかで必要なバランス感覚,
実技におけるエネルギーの配分方法など,関連性が指摘できる部分も多いと,筆者は考えてい る。
「伝統や文化に対する教育の充実」では,「正月,わらべ歌や伝統的な遊びなど我が国や地域 社会における様々な文化や伝統に親しむこと(幼稚園)」としている。またこの項目では,「古 典などの我が国の言語文化(小中:国語),県内の主な文化財や年中行事の理解(小:社会),
我が国や郷土の音楽,和楽器(小中:音楽),武道(中:保健体育),和食や和服(小:家庭,中:
技術・家庭)などの指導の充実」としている。これらは相互に連関しており,音楽科と不可分 のものとして認識されねばならないと筆者は見ている。
また「道徳教育の充実」における音楽科との関連は特筆すべきであろうし,「体験活動の充実」
に示された,「挑戦や協働の重要性」は音楽科において効果的な形で実現可能であると筆者は 判断する。
ここで,この項目で最後に示された「外国語教育の充実」について取り上げることとする。
ここに示された,「小・中・高等学校一貫した学びを重視し,外国語能力の向上を図る目標を 設定するとともに,国語教育との連携を図り日本語の特徴や言語の豊かさに気付く指導の充実」
という文言は,児童・生徒たちの興味・関心のある外国語の歌など音楽科の導入などにより,
また逆にこういった「外国語教育の充実」により,より一層音楽科の学習が広まり,深まって,
より理想的な形で学びが成立する,と筆者は考える。
B. 幼稚園教育要領の表現(音楽)の内容と教育方法の特色と課題について
幼稚園教育要領の表現(音楽3))については,前回の教育要領と比較すると,また表現の領域に 限定して言えば,内容,教育方法共にほとんど変わらなかったと言ってよいであろう。
しかしながら,A.「幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された 音楽科との関連で示された改定のポイントは,幼稚園の発達段階を考慮して,幼稚園教育要領すべ てにたくし込まれており,全く姿を異にしているという見方もできるであろう4)。
それは,第1章 総則 第2 幼稚園教育において育みたい資質・能力及び「幼児期の終わりま でに育ってほしい姿」の⑴,⑵,⑶で示された,「知識技能の基礎」,「思考力,判断力,表現力等 の基礎」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱に通じる教育内容などに見ることができる5)。
特に表現(音楽)に関して言及すれば,第2章 ねらい及び内容 表現 3 内容の取扱い ⑴に 付け加えられた「その際,風の音や雨の音,身近にある草や花の形や色など自然の中にある音,形,
色などに気付くようにすること6)。」があろう。
ここでは,マリー・シェーファー7)の提唱した「サウンド・サウンドエデュケーション8)」を彷 彿とさせられる。
シェーファーは,「私の音楽教育上のしごとは以下の3つの分野に集中しています」として,以 下の内容を示している。
「1 創造的可能性をもつこどもたちが自分たちの音楽をつくるために必要なものすべてを発見 しようとすること。2 あらゆる年齢層の生徒に環境音を紹介すること,世界の音風景を,人間を 主要作曲者とする音楽作品としてとりあつかい,その改良に役立つかもしれない批判的判断をくだ すこと。3 あらゆる芸術がそこでであい,調和の中で発展できるような結節点,あるいは中心を 発見すること9)。」
こういったあり方は,鳥越によれば「『自然界との響き合い』を含めた音楽の根源的在り方に立 ち戻り,『音楽とは何か』『音とは何か』といった問題を扱うことを可能にする10)」とされており,
大きく評価されよう。
また,同じく表現(音楽)第2章 ねらい及び内容 表現 3 内容の取扱い ⑶で付け加えて 示された,「様々な素材や表現の仕方に親しんだり,11)」という文言は, A.「幼稚園教育要領,小・
中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された1.今回の改定の基本的な考え方の体験活動 の重視へと通ずるであろう。
また,ここで取り上げた点や,A.「幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」
に示された音楽科との関連で示された,共通的に改訂が行われたとされるポイントだけでも,幼児 期という発達段階を考えれば,かなり難しいという考え方もあろう。
しかしながら逆に今回の改定で,茫洋として今までとらえきれなかった部分をも含めて教育内容,
教育方法共に,より顕在化され,小学校への軌跡をより明確に示し,より学びやすくなっていると 受け取るべきであろう。
C. 小学校学習指導要領の音楽科の内容と教育方法の特色と課題について
上記の幼稚園教育要領を受けて,小学校学習指導要領12)は展開している。当然,A.「幼稚園教 育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連は,すべての項 目に浸透している。
新旧小学校学習指導要領の比較で言えば13),すべてにおいて,必要に応じ,文言,項目を附記 することで教育内容,教育方法をより明確化し,充実させたことが言えよう。
ここで,各項目を具体的に取り上げて詳しく論じることは避けるが,骨子については触れておく こととする。
ここでは目標に,「曲想と音楽の構造などとのかかわり」と明記し,⑴~⑶を附記し,より分か
りやすく展開している。また,A表現に関して言えば,身に付けることを,よりはっきりとした形 で示し,指導を促し,知識と技能に着目して展開している。B鑑賞に関しても,身に付ける内容を より近づきやすい形で示している。
共通事項に関して言えば,身に付けることとして,音楽を形づくっている要素に着目するのは,
以前の学習指導要領に準ずる事としても,より有機的連関をもって学習できるよう配慮されている。
共通教材,各学年の[共通事項]の⑴のイに示す「音符,休符,記号や用語」題名や種類は以前の 学習指導要領と同じである。しかしながら「音符,休符,記号や用語」に関して言えば,運用の仕 方に改善がみられる14)。
小学校学習指導要領解説音楽編15)によれば,目標,各学年の目標共に,⑴,⑵,⑶がそれぞれ,
A. 「幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連の 2.で示された①知識及び技能,②思考力,判断力,表現力等,③学びに向かう力,人間性等の三つ の柱が対応しているとされている。
また,A 表現では歌唱の活動,器楽の活動,音楽づくりの活動共に,ア,イ,ウがそれぞれ「思 考力,判断力,表現力等」,「知識」,「技能」に対応しているとされている。
B 鑑賞では鑑賞の活動,[共通事項]で,ア,イに,それぞれ「思考力,判断力,表現力等」,「知 識」が対応しているとされている。
また,先行研究16)に示されたように,小学校音楽科の学習内容の改善・充実として,「音楽科で 育成する知識として,曲想と音楽の構造との関わりなどを明示」,「和楽器を,中学年の旋律楽器の 例示に追加。(現行は高学年のみで例示。)」とする見方もあろう。
更に,小学校学習指導要領の「第2章 各教科 第6節 音楽 第3 指導計画の作成と内容の 取扱いの,1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。」として,示された,
「⑴題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の 主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること,その際,音楽的な見方・考え方を働かせ,
他者と協働しながら,音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさを生み出したりするなど,思 考,判断し,表現する一連の過程を大切にした学習を図ること17)」に関しては,さらなる言語活 動の充実が求められていると言えよう。
また,小学校音楽科における学習指導要領は,前回の学習指導要領を継承しつつも,発展・充実 させ,幼稚園教育要領に継続するものであることを,筆者は確信している。
D. 中学校学習指導要領の内容と教育方法の特色と課題について
上記の小学校学習指導要領を受けて,中学校学習指導要領18)は展開している。当然,A.「幼稚 園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連は,すべて の項目に浸透している。
新旧中学校学習指導要領の比較で言えば19),すべてにおいて,必要に応じ,文言,項目を附記 することで教育内容,教育方法をより明確化し,充実させたことが言えよう。
ここでも,各項目を具体的に取り上げて詳しく論じることは避けるが,骨子については触れてお くこととする。
ここでも目標に,「曲想と音楽の構造などとのかかわり及び音楽の多様性について理解する」と 明記し,⑴~⑶を附記し,より分かりやすく展開している。また,A表現に関して言えば,身に付 けることを,よりはっきりとした形で示し,指導を促し,知識と技能に着目して展開している。B 鑑賞に関しても,身に付ける内容をより近づきやすい形で示している。
共通事項に関して言えば,身に付けることとして,音楽を形づくっている要素に着目するのは,
以前の学習指導要領に準ずる事としても,より有機的連関をもって学習できるよう配慮されている。
共通教材,各学年の[共通事項]の⑴のイに示す「音符,休符,記号や用語」題名や種類は以前の学 習指導要領と同じである。しかしながら「音符,休符,記号や用語」に関して言えば,ここでも運 用の仕方に改善がみられる20)。
中学校学習指導要領解説音楽編21)によれば,目標,各学年の目標共に,⑴,⑵,⑶がそれぞれ,
A.「幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」に示された音楽科との関連の2.で 示された①知識及び技能,②思考力,判断力,表現力等,③学びに向かう力,人間性等の三つの柱 が対応しているとされている。
また,A 表現では歌唱の活動,器楽の活動,音楽づくりの活動共に,ア,イ,ウがそれぞれ「思 考力,判断力,表現力等」,「知識」,「技能」に対応しているとされている。
B 鑑賞では鑑賞の活動,[共通事項]で,ア,イにそれぞれ,「思考力,判断力,表現力等」,「知 識」が対応しているとされている。
また,先行研究16)に示されたように,中学校音楽科の学習内容の改善・充実として,「音楽科で 育成する知識として,曲想と音楽の構造や背景との関りなどを明示」,「『B鑑賞』において,生活 や社会における音楽の意味や,音楽表現の共通性や固有性について考える事項を追加。」とする見 方もあろう。
更に,中学校学習指導要領の「第2章 各教科 第5節 音楽 第3 指導計画の作成と内容の 取扱いの,1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。」として,示された,
「⑴題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の 主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること,その際,音楽的な見方・考え方を働かせ,
他者と協働しながら,音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさを生み出したりするなど,思 考,判断し,表現する一連の過程を大切にした学習を図ること22)」に関しては,ここでも小学校 学習指導要領同様,さらなる言語活動の充実が求められていると言えよう。
以上のように,簡単な吟味を通してであるが,中学校音楽科における学習指導要領は,前回の学 習指導要領を継承しつつも,それを発展・充実させており,小学校学習指導要領に継続するもので あることがわかる。
まとめにかえて
以上,新旧の幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領の音楽科に関する内容と指導方法の特色 と課題について検討してきた。
ここで大括りであるが,総括して,今回の改定について,特にその課題について検討を加えるこ とにしよう。
幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領の音楽科に関する内容と教育方法に関して言えば,や はり何といっても,初等中等教育局教育課程課に平成29年4月に登録されている「幼稚園教育要領,
小・中学校学習指導要領等の改定のポイント」が,すべてに浸透していることは否めないであろう。
しかも今回告示の学習指導要領は,音楽科に関して言えば,内容,教育方法共に,前回の学習指 導要領がより発展し,進化していると言えるであろう。
また,幼稚園教育要領,小・中学校学習指導要領にそれぞれカリキュラム・マネジメントという 言葉が取り入れられていることでもわかるように23),極めてバランスの良い,調和のとれたもの,
もしくはそれらを目指すものになっている。
しかしながら,それだけにこういったあり方は,それが独り歩きし,形骸化し,中身の少ないも のになる危険を孕んでいると言えないであろうか?
音楽の本質から離れず,教育活動を行うこと,ここに課題があろう。
現場の先生方,しかも優れた音楽家である現場の先生方の音楽科に関する研究,それも授業に関 連する指導をしている際に,よく聞く言葉がある。
それは,「音楽がおりてきたらどうしよう」という言葉である。
音楽が本来呪術的な力を持っており,しかもヴィルトゥオーゾらによってその魅力が神秘の扉の 中にしまわれている,と考えれば当然の言葉であろう。
学習指導案と,こういった音楽の本来あるとされてきた姿(様々な見方はあるであろうが・・・・・・)
は,相互に矛盾するものであろうか?
学校音楽は浅薄で,本当の芸術とは相いれないものであろうか?
学習指導要領で示されてきた様々な変遷も,本来,不易と流行という立場に立てば,高久清吉24) の言うように,流行は不易のまわりをまわっているものであり,決して不易と切り離されて考える べきものではないであろう25)。
今回の学習指導要領の改定も,前回の改定をさらに進めるものであったと,筆者は考えている。
細部にわたってきめ細かく,またわかりやすい形で,学習できるように配慮されている。
音楽科に携わる教員は,「音楽」を教えるという原点を忘れず,あくまで授業にはいかなる場面 にも「音楽」があり,その上でこういった学習活動が存在しているという事を忘れてはならないで あろう。
注
1)時事通信出版局編 代表藤田晃之『平成29年3月告示 小学校学習指導要領完全対応 ひと目でわかる! 小 学校「新学習指導要領解説付き新旧対照本』(株式会社時事通信出版局,2017),大杉昭英編『中学校学習指 導要領 全文と改定のピンポイント解説』(明治図書出版株式会社,2017),奈須正裕編集『『新教育課程』ポイ ント理解₂』よくわかる 小学校・中学校 新学習指導要領 全文と要点解説』([株]教育開発研究所,2017)ほか。
2)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384662.htm1384662_2.pdf(2017,8,14閲覧).
3)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs1384661.htm1384661_3_2pp.17,18(2017,8,14閲覧).
4)同上1384661_3_1(2017,8,14閲覧).
5)注3前掲,pp.3,4 (2017,8,14閲覧).
6)注3前掲,p.18(2017,8,14閲覧).
7)1933年カナダのオンタリオ州サーニアに生まれる。1945年から1955年までトロント王立音楽院でピアノ とチェンバロと理論を学ぶ。1954年から1年間トロント大学で作曲を学ぶ。1965年にはバンクーバーのサ イモン・フレーザー大学のコミュニケーション研究部の教授になる。図形楽譜を使い,ひびきとそれがつく りだす感情によって,きき手に訴えかける。1970年代には,環境にある音を調査し,「世界音風景」にとり かかった。音楽教育のあたらしい方法のためにパンフレットをかいた。主要作品 囚人のためのカンツォーニ
(1961~62),夜の讃歌(ノヴァーリス)など。マリー・シェイファー,高橋悠治訳『教室の扉』(全音楽譜 出版社,1995),pp.82,83.
8)カナダの音楽家,マリー・シェーファーが,「サウンドスケープsoundscape」の考え方をもとに生み出した 課題やプロジェクト。中等科音楽教育研究会編,鳥越けい子『最新中等科音楽教育法[改訂版]中学校・高 等学校教員養成課程用』(音楽之友社,2013),p.181.
9)注7前掲書,p.14.
10)注8参照。
11)注3前掲,p.18(2017,8,14閲覧).
12)注3前掲, 1384661_4_2(2017,8,14閲覧).
13)注3前掲, 1384661_4_1 _1 (2017,8,14閲覧).
14)前掲,p.138,p.142,pp.145,146(2017,8,14閲覧).
15)注3前掲,1387017_7_1(2017,8,14閲覧)p.125の後の表.
16)時事通信出版局編 代表藤田晃之 橋田慈子『平成29年3月告示 小学校学習指導要領完全対応 ひと目で
わかる! 小学校「新学習指導要領解説付き新旧対照本』(株式会社時事通信出版局2017),p.170.
17)注12前掲,p.106 (2017,8,14閲覧).
18)注3前掲,1384661_5 (2017,8,14閲覧).
19)注3前掲,1384661_5_1 (2017,8,14閲覧).
20)注3前掲1384661_5,p.86,pp.87,.88(2017,8,14閲覧).
21)注3前掲,1387018_6_1(2017,8,14閲覧),p.117の後の表.
22)注3前掲,1384661_5.p.88(2017,8,14閲覧).
23)幼稚園教育要領では,注3掲,p.6,小学校学習指導要領では,注12前掲,p.4,中学校学習指導要領では,
注18前掲,p.4。
24)ヘルバルト研究者として著名であるが,小学校教諭を歴任するなど教育実践家としても知られている.
25)山口(藤田)文子<音楽教育史学会第28回研究大会シンポジウム記録>《特集》シンポジウム「戦後70年と
音楽教育史」『音楽教育史研究』第18号(音楽教育史学会,2015),p.37,pp.57,58.